JP3607292B2 - 心臓血管障害の治療方法および装置 - Google Patents

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Description

発明の属する技術分野
本発明は、心臓血管障害の診断、監視および治療方法に係り、特に動脈波形を分析することによってヒトの心臓血管系における血行力学的パラメータを測定する方法、そのパラメータを用いて高血圧や他の心臓血管の障害・疾患を診断する方法、ならびにこの方法を実行する装置に関する。
発明の背景
心臓血管に疾患があると、死に到ったり、障害の原因になる。多くの人が罹患している心臓血管疾患の一つは、高血圧(異常に高い血圧と定義される)である。高血圧は、きわめてよく見られる疾患であり、6千万人を超える米国人がこの疾患をもつと推定されている。
心臓障害が、死や重病、重い障害につながるのを防止するには、患者の心臓血管系の状態を監視し、得られたデータから、患者の心臓血管系にこれ以上の進行を防ぐため治療を要する障害があるかどうかを解析する必要がある。
ところで、心臓血管系の状態を監視するのに最も頻繁に使用されている方法は、患者の血圧測定である。ヒトの血圧は、通常mmHg単位で与えられる収縮期血圧と拡張期血圧を読み取ることによって記述される。収縮期血圧は、得られる二つの値のうち高い方の値であり、拡張期血圧は低い方の値である。生理学的観点からは、収縮期血圧は通常、血液が、血圧測定中に血圧カフ(cuff)によって圧縮される動脈を通じて流動を開始する時点での血圧を表す。収縮期血圧を超える血圧(超収縮期血圧;supra−systolic pressures)の下になると、動脈を通じる血流は、血圧測定のための血圧カフによって堰き止められる。拡張期血圧は、動脈を通ずる血流が血圧カフによって妨害を受ける圧力以下の血圧を表す。収縮期血圧と拡張期血圧の読み取りに関する生理学的基礎についての詳細は、米国特許第4,880,013号(Chio,1989年11月14日発行)および同第5,162,991号(Chio,1992年11月10日発行)を参照されたい。これら二つの特許は、本発明者によって出願され、譲受されたものである。
一般には、収縮期血圧が140mmHgを超え、また拡張期血圧が90mmHgを超えたときは、高血圧と認識されている。そして、これらの血圧値は、非侵襲式の血圧測定かあるいは侵襲式の血圧測定かを問わず、高血圧を示すものと一般には受け取られている。
収縮期血圧と拡張期血圧は、高血圧がどうかを判断するのには便利な方法であるが、完全な信頼性を有するものではない。収縮/拡張の高血圧の閾値(140mmHg/90mmHg)は、被検者が高血圧かどうか、あるいは何が原因で高血圧になっているかについて、常に完全に正確な情報を提供するとは限らない。この点に鑑み、高血圧の約80%は、「内因性高血圧(essential hypertension)」に分類されるものと考えられる。「内因性高血圧」とは、通常高血圧の原因が不明であることを意味する。このため、「内因性高血圧」の患者は、収縮期血圧と拡張期血圧を測定するだけでは、正確にまた信頼性よく診断することはできないことがある。例えば、収縮・拡張期血圧が140/90より低い人も、遺伝学的には高血圧である場合もある。逆に、収縮・拡張期血圧が140/90より高い人であっても、環境あるいは遺伝学的に見て高血圧でない場合もある。より重要なのは、医師が高血圧の原因を知らなければ、患者を適切に治療することができないことである。
ここ20年以上、収縮・拡張期血圧以外の生理学的血行力学パラメータを見つける研究が行われてきた。例えば、1970年代中頃には、Wattが動脈の「コンプライアンス(compliance)」あるいは「弾性係数」を評価する研究を行った(Watt,T.B.他,「Arterial Pressure Contour Analysis for Estimating Human Vascular Properties」,J.Applied Physics,(1976年),第171〜176頁)。Wattの研究では、電気回路モデルが使われ、Windkesselモデルをヒトの動脈系用に修正して、生理学的・血行力学的パラメータを決定するモデルをつくっている。Wattのモデルでは二つのコンプライアンス成分C1とC2、抵抗RおよびインダクタンスLを定義している。Wattはさらに、その電気回路領域に発生するとする方程式を使って、C1は大動脈の弾性コンプライアンスであると定義している。この因子(C1)はまた、「近位(proximal)コンプライアンス」と呼ばれる。一方、Wattは、C2は「遠位(distal)コンプライアンス」と呼ばれるより小さな辺縁動脈のコンプライアンスであることを見出している。
また、Wattは、近位コンプライアンスC1および遠位コンプライアンスC2の値と高血圧の有無の間には相関があると報告している。まず、Wattは、高血圧の患者は両コンプライアンスが小さいことを発見した。実際、Wattの研究以来、多くの研究が、動脈のコンプライアンスと高血圧の種々の原因との相関に焦点を絞って行われ、近位コンプライアンスC1と高血圧の関係については多くの報告がある。また、米国特許第5,054,493号(J.N.Cohn他,19981年10月8日発行)には、遠位コンプライアンスC2は、近位コンプライアンスC1より血圧測定において感度がよい旨を発見したとある。Cohnはそこで、高血圧の診断においては、近位コンプライアンスC1より遠位コンプライアンスC2の方がよりパラメータであると教示している。Cohnはまた、Windkesselモデルおよびコンプライアンスに関する多数の文献をを検証する上でも参照に値する。Cohnの第3コラムには、大近位動脈の性質と、これら動脈の性質(特に近位コンプライアンスC1)の関係に触れた多数の文献を引用している。
C2は遠位コンプライアンスであり、また遠位コンプライアンスは動脈系の中でも辺縁動脈からの反射波によって強く影響されるため、その測定は侵襲法あるいは非常に感度の良い非侵襲センサを使って行う必要がある。また、非侵襲法で測定したときによく見られる準完全波を得るためには、特別に感度のよい非侵襲センサも多分必要である。この反射現象とその測定への影響は、Schwidが報告している(Schwid,H.A.他「Computer Model Analysis of Radial Artery Pressure Waveforms」,J.Clinical Monitoring(1987年)第3巻,第4号,第220〜228頁)。さらに、遠位コンプライアンスC2の測定は、この反射波によっても影響される。そして、遠位コンプライアンスの測定は、動脈断面積の変動や測定中の四肢における動脈の閉塞など、被検者の他の要因によっても変動を受ける。このようなわけで、遠位コンプライアンスC2はまだ、ヒトの心臓血管系の物理的な条件や他の血行力学的パラメータを測定するパラメータとして信頼に足るものとはなっていない。最近のHayozの研究によれば、コンプライアンスは、高血圧の有効な指標ではないとされている。Hayozは、弾性的な挙動(コンプライアンス)は、血圧の増加によっては必ずしも変化しないことを発見した(Hayoz,D.他「Conduit Artery Compliance and Distensibility are Not Necessarily Reduced in Hypertension」,Hipertension(1992年)第30巻,第1〜6頁参照)。
上述の文献はすべて、心臓と心臓血管の状態を測定する方法に関係し、その中でも、いくつは収縮期血圧と拡張期血圧以外の血行力学的パラメータにも関係しているが、改善の余地は依然として存在する。
そこで、本発明は、ヒトの心臓血管系における血行力学的パラメータを測定する方法を提供することを目的とする。
発明の概要
本発明によれば、患者の心臓血管の疾患を診断する方法が提供される。この方法は、(1)患者の心臓血管状態の情報を収集する工程と、(2)この収集した情報から、患者の収縮期血圧および拡張期血圧ならびにこれらの平均値を求める工程を含む。本発明の方法においては、求めた収縮期血圧および拡張期血圧ならびにこれらの平均値のうちの少なくとも一つを使って、患者の辺縁抵抗を求める。求めた辺縁抵抗はついで、所定の辺縁抵抗の閾値と比較する。こうして患者は、求めた辺縁抵抗が所定の辺縁抵抗の閾値より大きい場合は、心臓血管に疾患があると診断される。
本発明の好ましい態様においては、この方法はさらに、求めた収縮期血圧および拡張期血圧ならびにこれらの平均値のうちの少なくとも一つを使って、心圧を求める工程を含む。求めた心圧はついで、所定の閾値と比較される。もし患者の心圧と辺縁抵抗の積が、所定の閾値を上回っている場合は、高血圧と診断される。この患者の心圧(cardiac output;CO)および辺縁抵抗(peripheral resistance;PR)の積と比較する所定の閾値は、所定の平均動脈血圧(mean arterial pressure;MAP)閾値である(すなわち、MAP=(CO)(PR)となる)。
また、本発明によれば、心臓血管疾患に罹るおそれが高いという診断を下す方法も提供される。この方法は、非侵襲の圧力インデューサ手段とトランスデューサ手段を患者に固定する工程を含む。圧力インデューサ手段によって誘導される圧力は、収縮期血圧より高い圧力(超収縮期血圧)にまで引き上げられ、その後時間をかけて、拡張期血圧より低い圧力(サブ拡張気圧)にまで減じられる。データの流れは、トランスデューサから得られる。データの流れは、一連の拍動信号データ波形を得るため、圧力データと拍動信号データを含む。この拍動信号データ波形は、少なくとも、超収縮期血圧の下で得た拍動データと、サブ拡張期血圧の下で得た拍動データを含む。仮性大動脈波形は、超収縮期血圧波形データとサブ拡張期血圧データから形成される。患者は次いで、この仮性大動脈波形を、波形が知られている心臓血管疾患の心臓血管波形と比較することにより、心臓血管に疾患があると診断される。
本発明によれば、さらに、心臓血管疾患に罹るおそれが高いという診断を下す方法も提供される。この方法は、非侵襲の圧力インデューサ手段とトランスデューサ手段を患者に固定する工程を含む。圧力インデューサ手段によって誘導される圧力は、収縮期血圧より高い圧力(超収縮期血圧)にまで引き上げられ、その後時間をかけて、拡張期血圧より低い圧力(サブ拡張気圧)にまで減じられる。データの流れは、トランスデューサから得られる。データの流れは、一連の拍動信号データ波形を得るため、圧力データと拍動信号データを含む。この拍動信号データ波形は、少なくとも、超収縮期血圧の下で得た拍動データと、サブ拡張期血圧の下で得た拍動データを含む。そして、こうして得られたデータの流れから心臓収縮のピークを求める。患者は次いで、この心臓収縮のピークに基づいて、心臓血管に疾患があることを診断される。
さらに、本発明によれば、辺縁抵抗、拡張期の血流速度、左心室収縮および動脈のコンプライアンスを測定する方法も提供される。そして本発明は、これらのパラメータを測定する装置も提供する。
本発明の特徴の一つは、広範な血行力学的パラメータを非侵襲方式で測定できることである。本発明者によって発見され、本明細書に開示された多くのパラメータはこれまで知られていず、心臓血管疾患の診断に有用であるとも認識されていなかった。さらに、本発明により測定されるパラメータのいくつかは、これまでは患者にカテーテルを適用する侵襲方式でのみ得られるものであった。本発明者の発明は、これら従来の侵襲方式の測定を改善し、患者に不快感や高い費用を要求することなく、臨床医が広範なデータを得ることを可能にするものである。
本発明のもう一つの特徴は、拡張期の血流速度、コンプライアンスあるいは動脈の弾性係数、および左心室(left ventricle;LV)収縮を測定するため、非侵襲のカフパルス波形から測定される動脈パルスの波形を解析する方法を提供することである。
本発明のさらに他の特徴は、本発明者が、拡張期の血流速度から導出される辺縁抵抗は、高血圧を診断する上で、コンプライアンスを用いるよりよい方法であることを発見したことである。非侵襲的手段を用いる本発明者の技術によりえら得る心臓(LV)収縮は、高血圧だけでなく、他の心臓障害を診断する上でも有用である。
これらの特徴は、以下の添付の図面を参照しながら進める、本発明に係る好ましい態様の詳細な説明を読めば、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、14人の被検者について行った研究の結果を示す、遠位辺縁抵抗(PR2)を平均動脈血圧(MAP)の関数としてプロットしたグラフである;
図2は、動脈の一部の説明図である;
図3は、動脈断面の説明図である;
図4は、収縮期と拡張期(収縮期における正の最も傾きが大きい勾配と負の最も傾きが大きい勾配、および拡張期の拡張期勾配)を示す動脈パルス波の説明図である;
図5は、大動脈および大きな動脈系の簡単な生理学的モデルの説明図である;
図6は、大動脈の一部の説明図である;
図7は、カテーテルを挿入して得た大動脈パルス圧波、ならびに本発明の非侵襲方式で得た超収縮期血圧とサブ拡張期血圧パルス波形のグラフ図である;
図8は、超収縮期血圧条件下における大動脈の説明図である;
図8Aは、超収縮期血圧時の動脈血圧波形のグラフ図である;
図9は、サブ拡張期血圧時における動脈系の説明図である;
図11は、大動脈(aortic wave)波形(AO)および左心室(LV)波形における種々の時間成分間の関係を示すグラフ図である;
図12Aは、侵襲式のカテーテルから得られた大動脈狭窄症患者の実際の大動脈血圧波形と、これに合わせてプロットした仮性大動脈カフ波形を示すグラフ図である;
図12Bは、侵襲式のカテーテルから得られた大動脈硬化症患者の実際の大動脈血圧波形と、これに合わせてプロットした本発明の非侵襲式測定で求めた仮性大動脈カフ波形を示すグラフ図である;
図13は、DYNAPULSE血圧計から採取した一連の典型的な心臓血管波形を示すサンプル出力の説明図である;
図14は、患者のパルス圧曲線の一部の第1の導関数曲線(dP/dt)を表示するプログラムを備えたDYNAPULSE血圧計から採取したサンプル出力の説明図である;
発明の詳細な説明
I.概観
本発明においては、心臓血管障害および合併症を含む広範な心臓血管疾患の診断、特に内因性高血圧の診断用に、動脈コンプライアンスあるいは弾性毛数、動脈の流量あるいは血流速度、辺縁抵抗、心圧および心臓収縮性などの特定の重要なパラメータを導出するため、動脈血圧あるいはパルス波形を分析する。
上述の血行力学的パラメータ、特に動脈特性を直接測定する方法は、超音波エコーを使うものである。超音波エコーを使うと、パルス波の速度と動脈径を直接測定することができる。そして、これらの測定したパラメータから、コンプライアンスと血液の流量を算出することができる。他方、先のパラメータを関節的に測定する方法は、動脈波形(侵襲式のカテーテルを使ったときの波形)を、Windkesselモデルとして知られる電気的なモデルにフィットさせる方法である。この方法を行う場合は、キャパシタンスがコンプライアンスに等しく、電気抵抗は辺縁抵抗に等しく、またコンダクタンスは慣性に等しいという仮定を置く。しかし、侵襲方式のカテーテルを通して得られる波形とは異なる、非侵襲方式(例えばインフレートカフ、圧力アレー、光学吸収あるいは反射センサ)で得られる動脈パルス波形については、血行力学的パラメータを得るためのよく定義された方法は存在しない。この点、心臓パラメータ、心圧および心臓収縮は、通常は侵襲方式のカテーテルを使って測定することに留意されたい。
先のChioの米国特許第4,880,013号に詳しく述べてあるように、侵襲方式の測定は、非侵襲方式の測定に比べて、患者に外傷を負わせ、費用もかかる。このため、医師は、血圧パラメータを測定する際には、可能な場合には、患者に外傷を負わせることの少ない非侵襲の方式を使うのが好ましい。したがって、心臓パラメータを非侵襲方式で測定する能力は、侵襲方式の技術よりも好ましいといえる。
Chioの米国特許第4,880,013号は、動脈パルス波形を得る方法を詳しく述べている。本発明においては、これらの波形を解析して、拡張期血流速度、辺縁抵抗、動脈(遠位)および大動脈(近位)コンプライアンス、および弾性係数などの血行力学的パラメータを導出するのに用いる。さらに、本発明では、Chioの波形を、心臓(左心室)収縮の導出に使う。しかし、本明細書で述べる方法は、Chioの方法によって導出される波形以外の波形を使っても行うことができる。例えば、本発明の解析方法は、他の侵襲方式で測定した波形や、他の非侵襲センサで測定した波形に適用しても有用である。
本発明者は、遠位動脈コンプライアンスと近位動脈コンプライアンスはともに、動脈の断面積に依存することを発見した。しかし、拡張期血流速度は、動脈の大きさには無関係である。高血圧は直接には、心臓血管系の辺縁抵抗(PR)に関係し、血流速度(VO)は、以下の方程式で表される形で抵抗と固有の依存関係を有する。
VO=(入力血圧−出力血圧)÷辺縁抵抗
したがって、二つの関連する辺縁抵抗パラメータは、次のように定義される:
PR1=(収縮期血圧−拡張期血圧)/V0 式58
PR2=(平均動脈血圧−拡張期血圧)/V0 式59
ここで、(収縮期血圧−拡張期血圧)=パルス圧(PP)であり、V0は血流速度に等しい。
発明者は、遠位血流速度(本明細書における定義である)、すでに定義した辺縁抵抗(PR1およびPR2)、あるいは血流速度と辺縁抵抗の組合せは、高血圧の指標あるいはマーカーとしては、コンプライアンスを測定して使うよりも、有用であることを発見した。これらの値は、内因性高血圧と正常な心臓出力を有する人の高血圧を判断するのに特に有用と考えられる。高血圧の診断を下すのに、本発明でコンプライアンスと伸張性以外のパラメータを使うのは非常に有効で、特に高血圧の患者においてはコンプライアンスと伸張性は減少しないという最近の研究に鑑みれば、これまでの技術からは大きな前進と考えられる。Hayoz他,前掲書参照。
本発明はまた、関連する辺縁抵抗(すでに定義済み)を、高血圧診断用のマーカーあるいは指標として用い、高血圧治療方法のガイドの役割を果たす。
本発明者による実験によれば、関連する辺縁抵抗は、関連する辺縁抵抗を、高血圧診断用のマーカーあるいは指標として用い、高血圧治療方法のガイドの役割を果たすとの本発明者の主張は、十分に支持される。図1は、14人の被検者について行った研究の結果を示す、遠位辺縁抵抗(PR2)を平均動脈血圧(MAP)の関数としてプロットしたグラフである。このグラフはついで、6つのセクション(10,12,14,16,18および20)に分割される。これら6つのセクションは、患者の6つの異なる条件に対応する。これらのセクションをみる場合は、これらセクションは、平均動脈血圧(MAP)と辺縁抵抗(PR2)だけでなく、心臓出力にも関係づけられることに留意すべきである。心臓出力は通常、平均動脈血圧を辺縁抵抗で除したもの(下記の式により表される)に等しいため、このグラフは、心臓出力の指標として用いることができる。
MAP/PR=CO
セクション10は、患者の辺縁抵抗PRが正常であり、平均動脈血圧MAPが正常ないし低い値であることを表している。これらの条件から、セクション10に入る患者は、心臓出力COが低〜正常範囲にあると診断される。セクション12は、患者の辺縁抵抗PRと平均動脈血圧MAPが正常であることを表している。これらの条件から、セクション10に入る患者もまた、正常な心臓出力を有すると診断される。
セクション14は、患者の辺縁抵抗PRが低く、他方平均動脈血圧MAPは高いことを表している。これらの条件から、セクション14に入る患者は、心臓圧力が高いと診断される。また、セクション16は、患者の辺縁抵抗PRが高く、他方平均動脈血圧MAPは低いことを表している。これらの条件から、セクション14に入る患者は、心臓圧力が低いと診断される。
セクション19は、患者の辺縁抵抗PRが高く、他方平均動脈血圧MAPは正常であることを表している。これらの条件から、セクション18に入る患者は、心臓圧力が低いと診断される。また、セクション20は、患者の辺縁抵抗PRも平均動脈血圧MAPも高いことを表している。これらの条件から、セクション20に入る患者は、心臓圧力が正常であるかあるいは高めのどちらかであると診断される。
本明細書においては、辺縁抵抗が高いとは、一般に0.6mmHg(sec/cm)を超えるものをいう。また、平均動脈血圧が高いとは一般に108mmHgを超えるものをいい、低い平均動脈血圧とは一般に80mmHg未満のもの、そして正常な平均動脈血圧とは80ないし約108mmHgのものをいう。
図1の分析方法は、本発明者の新規な高血圧診断方法の一つを明らかにするものである。セクション20に入る患者は、高辺縁抵抗型の高血圧である可能性が非常に高い。またセクション14に入る患者は、高心臓出力型の高血圧である可能性が高い。高辺縁抵抗型あるいは高心臓出力型高血圧の患者は、高血圧でない人に比べ、心臓病に罹っているおそれが高い。高血圧の原因(高辺縁抵抗型であれ高心臓出力型であれ)を究明すれば、医師は、適当な治療計画を立てられるようになる。例えば、高辺縁抵抗型高血圧の患者には血管拡張薬を用いるのが普通であるが、高心臓出力型高血圧の患者にはカルシウムチャネルブロッカーを用いるのが好ましい。
本発明の立証もまた、図1に与えられている。図1に結果を示す、カテーテルを挿入した被検者のうち8人は、冠状動脈疾患(CAD)を有することが確認された。図1はまた、高辺縁抵抗型、高心臓出力型(それぞれセクション14と20に対応)を問わず、6人の高血圧の患者はすべて、冠状動脈疾患を有することを示している。しかし、正常な平均動脈血圧と正常な辺縁抵抗をもつ(セクション18に入る)、血圧が正常な患者も、環状動脈疾患のおそれがある。平均動脈血圧が正常で辺縁抵抗が低い(セクション10と12に入る)人は、本研究によれば、一般に環状動脈疾患のおそれが少ないことが示されている。したがって、図1のデータは、辺縁抵抗、平均動脈血圧および心臓出力のような一定のパラメータは、高血圧および他の心臓疾患診断のガイドラインとして用いることができるという本発明者の学説を支持している。さらに、上述のように、辺縁抵抗、平均動脈血圧および心臓出力を測定すると、患者の高血圧の原因を究明するのに役立ち、患者の治療が容易になる。
本発明はまた、心臓(左心室)の収縮性を導出する方法を提供する。通常は、左心室の収縮性は、侵襲式のカテーテルを使った測定によってのみ行うことができる。本発明の方法によれば、左心室(LV)の収縮性は、非侵襲のカフ圧波形を用いて測定することができる。このLV収縮性パラメータは、他のいくつかの心臓障害の診断にも利用できる。本発明によるLV収縮性の導出方法は、比較的信頼に足る。本発明者が試みた臨床例においては、本発明の方法により、心臓収縮性について968と1015mmHg/秒の値が得られた。これらの値は、侵襲式のカテーテルを使った方法で得られる1057と1000mmHg/秒の値にそれぞれ近似している。本発明においては、再構成した大動脈波形あるいは超収縮期血圧波形から心臓収縮性を算出するには、ガウス曲線を用いる。しかし、この考えに沿ったものなら、他の曲線適合法も用いることができ、そのような方法も本発明の範囲に入る。
II.本発明の基礎をなす物理学と生理学
A.物理学
動脈は一般には、内部が血液で満たされた可撓性の管である。動脈はこのように可撓性で中が充填された管の性質をもつため、半径方向の運動、拡張および、一般に管壁に垂直方向の圧縮が可能である。これら半径方向の運動、拡張および圧縮は、通常血圧(P(x,t))に応答する。動脈内の血圧は、一般に一定ではなく、経時的に一定の割合で変化する。血圧の動脈の運動、拡張および圧縮に対するの影響をよりよく理解するため、図2を参照されたい。図2においては、動脈セグメント内側の圧力差である(P1−P2)=dPは、時間と空間両方の関数である(dP(x,t))。動脈セグメントの容積は、dV=(A)(dx)と定義される。ここで、Aは動脈の断面積である。後に分るように、動脈の容積Vと動脈の断面積Aは、時間と空間の関数である。さらに、動脈の弾性係数Keを仮定することができ、その弾性特性は次のように定義される:
Figure 0003607292
動脈のコンプライアンスCは次のように定義される:
Figure 0003607292
血圧カフを使って測定をする場合は、カフは通常、有効長さlcuffと無視できる程度の弾性定数を有する。この場合、圧力あるいは容積の変動曲線は、弾性特性方程式(式1)をカフの長さと合わせたものである。その結果、特定の時間tにおける、圧力のカフパルス波形は、カフの有効長さlcuffの関数として次のように記述される:
P(lcuff,t)=Ke[A(t)][lcuff] 式3
そして、このカフパルス波形の一次導関数は次の通りである:
Figure 0003607292
上述の方程式を解いて弾性係数Keを求めるためには、式4における特定の時間における圧力Ptとこの特定の時間における動脈の断面積A(t)の両方について、簡単なシヌソイドパルス波形が存在すると仮定してよい。すなわち、圧力の時間変化(dP/dt)の最大値と最小値、および断面積の時間変化(dA/dt)の最大値と最小値は、「ゼロ.」で起こるはずであり、ここでは動脈血圧は平均値あるいは平均動脈血圧MAPとなり、動脈の断面積も平均値A0となる。これら二つの仮定を置くと、次の方程式が成り立つ。
Figure 0003607292
Figure 0003607292
シヌソイドパルス波が外部の力によってはほとんど影響されない理想の場合(カフ圧が患者の拡張期血圧より小さいときなど)は、断面積の変動dA(t)は、図3に示すスケッチから定義される。図3のスケッチは、面積の変化は、次式で表されるように、半径の変化を2πR倍したものに等しいことを示唆している:
dA=[2πR][dR] 式7
この式において、Rは動脈の半径である。この式から、動脈面積の時間変化は、次の式で表されることが分る:
Figure 0003607292
Rt=R0[sin(2πft)] 式9
動脈半径がいつの時点でも平均半径とパルス周波数の関数であると仮定すると、次の式が当てはまる:式中fはパルス周波数である。したがって、半径Rの時間変化の最大値は、以下の式で表される:
Figure 0003607292
同様に、半径Rの時間変化の最小値は、以下の式で表される:
Figure 0003607292
したがって、次の式も成り立ち、
Figure 0003607292
最終的には、次式のようになる:
Figure 0003607292
パルス周波数fは、1/2Tpp(Tppはピーク間の幅で、正の最大勾配(dP/dt)maxと負の最大勾配(dP/dt)min間の時間間隔を表す)に等しい。次に図4を参照する。図4は、動脈パルス波形を示し、正の最大勾配(dP/dt)maxと負の最大勾配(dP/dt)minが表されている。したがって、圧力の経時変化(dP/dt)ppに等しい、最大値(あるいは圧力の経時的な正の変化もしくは勾配(dP/dt)max)と最小値(あるいは圧力の経時的な負の変化もしくは勾配(dP/dt)min)のピーク間値は、以下の式によって得られる。
Figure 0003607292
Figure 0003607292
Figure 0003607292
Figure 0003607292
Figure 0003607292
上述の各式において、
A0=π(R0 式19
であり、各A0は動脈の平均断面積「A」に等しい。弾性係数Keは次のようにして求められる:
Figure 0003607292
Figure 0003607292
さらに、コンプライアンスCは次のようにして得られる:
Figure 0003607292
Figure 0003607292
非シヌソイドパルス波形の場合は、
Figure 0003607292
である。さらに、Tppは、弾性係数KeとコンプライアンスCの両方の算出に用いた方がよい。
現実のヒトの心臓血管系においては、パルス波形はシヌソイド関数形ではないため、収縮期、収縮期波SW、拡張期および拡張期波DWは独立に扱うことができる。弾性係数KeとコンプライアンスCを決定するため図4において導かれるカフパルス波形は、収縮期波SWについてのみ有効である。したがって、収縮期波SWの周波数としては、ピーク間の時間幅の1/2(1/2Tpp)を使った方がよい。拡張期波DWは、収縮期波SWが終わると開始する。拡張期波DWは、図4に示す動脈パルス波形によって観察される「重拍ノッチ」から始まる。図4に示すように、重拍ノッチDNは、一般に収縮期と拡張期の境界線として使用される。
拡張期波DWの運動方程式は、パルス波形がカテーテルチップx1の位置では次の式で定義されると仮定するならば、すでに述べた式1で表される:
Figure 0003607292
Figure 0003607292
ここで、
Figure 0003607292
である。
また、他に二つの仮定を置くこともできる。第1の仮定は、パルスサイクルの平均値(パルス波の平均動脈血圧MAP)近傍から拡張期の終点までは、パルス圧はほぼ線形に増加するというものである。図4に表した面積は、重拍ノッチから拡張期まで続くパルス波の一部して示されている。第2の仮定は、拡張期波の二次あるいはこれ以上の次数の高調波のために、拡張期波は無視できる程度の振動を引き起こし、この拡張期波のほぼ線形の勾配は、拡張期波の時間t1からt2にかけての部分であり、次式で表される:
Figure 0003607292
Figure 0003607292
ここでA0は動脈の平均断面積に等しく、V0は平均血流速度に等しい。
式21からは、次の関数が得られる:
Figure 0003607292
Figure 0003607292
Figure 0003607292
ここで、パルス圧の経時変化
Figure 0003607292
とピーク間の時間幅Tppは、カフパルス波形の収縮期波の一次導関数曲線から得られ、拡張期波における圧力の経時変化
Figure 0003607292
は、(a)侵襲方式のカテーテルで測定したパルス波形の拡張期波から得られるか、または(b)拡張期波が重拍ノッチから拡張期の終点まで線形の勾配をもつと仮定したカフパルス波形から得られる。
B.ヒトの心臓血管系の簡単なモデル
大動脈と大動脈系の簡単な生理学的モデルを図5に模式的に示す。図5に示した心臓血管系の主な構成要素は、大動脈32とこれに血液を送る左心室を有する心臓30である。大動脈は、カフ36が圧力を加える動脈の枝34のみを示す。通常この枝34は上腕動脈であり、動脈系の残りは、動脈38として示す。
図5はまた、3種の血圧P1、P2およびP3を示す。P1は心臓30の左心室から大動脈32へ向かう際の血圧に等しく、P2は大動脈32から、カフが圧力を加えている大動脈34に向かう血圧を表す。そしてP3は動脈系38の残りに加えられている血圧に等しい。
カテーテルの先端が大動脈に配置されたときは、大動脈中の血圧波形Pa(x,t)は、下記の式34によって定義される。式34は一般に先に述べた式1と等価であることが分るであろう。
Figure 0003607292
ここで、Pa(x,t)、Ke(aorta)およびAa(t)はそれぞれ、図6に示すように、大動脈の血圧波、弾性定数および断面積である。
ここで、大動脈の「有効長さ」を「la」で表し、この有効長さlaにわたって積分すると、位置xaにおける大動脈の血圧波形Pa(xa,t)は、次のように定義される:
a(xa,t)=[Ke(aorta)][Aa(xa,t)][la] 式35
カテーテルを使って測定した典型的な大動脈血圧波形は、収縮期波と拡張期波が重拍ノッチで互いに分離された上述の波形に非常によく似た形状をとるものと考えられる。
ヒトの心臓血管系は、基本の血圧が拡張期血圧Pdiaである閉鎖システムであるため、大動脈Pa(t)は次のように記述される:
Pa(t)=Pa(t)l+Pdia35A
ここでPa(t)lは、拡張期点を超える大動脈血圧の上昇を示す。
カフを上腕の動脈に配置して収縮期点を超える圧力にまでインフレートさせたときは、超収縮期血圧の条件が存在する。図8には、超収縮期血圧条件を模式的に示す。すなわち上腕の動脈34を通じる血液の流れが、カフ36によって加えられる超収縮期血圧によって遮蔽されている。上腕動脈34が超収縮期血圧条件にある心臓血管系は、上腕枝34(ここでは上腕動脈のもの)の一つが閉塞するため、この条件にないものとは異なる挙動を示す。
カフ36によって感知された血圧が、カフ圧が収縮期点を超える点にさしかかるときは、以下に示す幾何学的変換因子Gss(t)と非幾何学的動脈−カフカップリング因子Hss(t)によって大動脈圧Pa(t)に関係づけられる圧力をもつ超収縮期波Pss(t)が存在する:
Pss(t)=Gss(t)Pa(t)l+Pdia+Hss(t) 式36
規格化した超収縮カフ波の幾何学的因子と非幾何学的因子は、次のように定義される:収縮期については:
Gss(t)=1,Hss(t)=0 式37
そして、拡張期については:
Gss(t)=1,Hss(t)=F(t) 式38
ここでF(t)は高次高調波の振動関数である。
図8Aに進むと、血圧波は、グラフで図のように表される。血圧カフが腕に患者の拡張期血圧より低い圧力(サブ拡張期血圧)を加えた場合は、患者の心臓血圧計、特に大動脈系は、カフが超収縮期血圧を加えた場合の挙動とは異なる挙動を示す。そして、図9は、カフがサブ拡張期血圧を加えたときの心臓血管系を示す。上腕の動脈34はカフ36によっては邪魔されていないことが分るであろう。上腕動脈34を通る血流がカフ36によって妨害されていないため、超収縮期波に似た方法で、次の式によりサブ拡張期血圧に対応するカフ圧波形Psd(t)が得られる:
Psd(t)=[Gsd(t)Pa(t)l]+Pdia+Hsd(t) 式39
ここでGsd(t)とHsd(t)はそれぞれ、患者の動脈/大動脈系の幾何学的因子と非幾何学的因子である。
サブ拡張期波の幾何学的因子と非幾何学的因子は、次のように定義される:収縮期については:
Gsd(t)=1,Hsd(t)=0 式40
そして、拡張期については:
Gsd(t)=1,Hsd(t)>0 式41
非侵襲方式のカフ系から、侵襲方式のセンサ系から得た血圧波に似た血圧波を得るためには、非侵襲方式のセンサが、侵襲方式のカテーテル装置センサが感応する周波数と同じ周波数の範囲に感応する必要がある。高周波数センサと低周波数センサを用いる場合は、非侵襲カフパルス波Pn(t)は、次式のように再定義される:
Pn(t)=Gn(t)[Pa(t)lh+Pa(t)ll]+Pdia+Hn(t)式42
ここで「h」と「l」はそれぞれ高周波成分と低周波成分を表し、「n」はパルス波の非侵襲カフによる測定を表す。
血圧カフは、高圧にインフレートされると、より高周波パルスに感応しやすくなる。逆に、この血圧カフは低圧にインフレートされると、低周波信号に感応しやすくなる。したがって、式36と39においてそれぞれ定義した超収縮期波およびサブ拡張期波は、次のように再定義することができる:
Pss(t)=Gss(t)[Pa(t)lH+Pdia+Hss(t)] 式43
Psd(t)=Gsd(t)[Pa(t)lL+Pdia+Hsd(t)] 式44
さらに、上記式43と44から、前述の幾何学因子Gと非幾何学因子Hについて上に述べた仮定を置く場合は、非侵襲長収縮期カフ波形とサブ拡張期カフ波形から、仮性カテーテル(大動脈/動脈)侵襲方式の波形P(t)を再構成することができる。この点、明瞭さの点から、収縮期、収縮期波、拡張期および拡張期波を別々に考慮して、仮性因習式動脈波形P(t)の形成を説明するのが好ましい。本明細書においては、「仮性」の語は、波形を示す語の前に置かれた場合(例えば仮性大動脈波、仮性大動脈波形、仮性侵襲時動脈波等)は、関心のある波形に近似するモデルを構成するため、直接ではなく、データを操作して導出される波形を示すのに用いられる。
C.収縮期波
Gssが0に等しく、Gsd=1,Hss=0、およびHsdが非常に小さくて無視できるときは、式43と44は次のように変換される:
Pss(t)=Pa(t)lH+Pdia=Pa(t)H 式46
Psd(t)=Pa(t)lL+Pdia=Pa(t)L 式47
ここでPa(t)HとPa(t)Lは、特定の時間における大動脈血圧の高周波成分と低周波成分であり、仮性侵襲式収縮期波Psw(t)の圧力は、超収縮期波とサブ拡張期波に何らかのウエートを仮定すれば得られる。これらのウエートを仮定すると、特定の時間における収縮期波の圧力を記述する次の式が得られる。
Figure 0003607292
ここでWssは超収縮期波成分のウエートであり、Wsdはサブ拡張期波成分のウエートである。これら超収縮期波成分とサブ拡張期波成分のウエートWssとWsdは経験的に決定される。これらのウエートを経験的に決定するためには、次のことを行う。
まず、超収縮期波成分とサブ拡張期波成分のウエートWssとWsdとして適当な値を選び、式48を使ってこれらの値を使って仮性侵襲収縮期波Psw(t)を構成してみる。次に、得られた仮性侵襲収縮期波を侵襲カテーテル式大動脈血圧波Pa(t)と比較してみる。
この後は、侵襲カテーテル式大動脈血圧波Pa(t)に最もフィットする仮性侵襲収縮期波Psw(t)をみつけ、これを超収縮期波成分とサブ拡張期波成分に割り当てるウエートの決定に用いる。
表1には、17人の患者に最もフィットする波の因子を示した。そして、フィットの例は、図7、12Aおよび12Bに示した。
17人の被検者について行ったテストの結果、本発明者は、最もよいフィットを与えるウエートの平均値として次のものを確認した:
Wss=1,Wsd=0.4およびWd=0.6 式48A
これらのウエートは「平均ウエート因子」を表し、ほとんど患者に当てはまるものである。表1に示すように、これらウエート因子の標準偏差(ウエート因子の誤差)は、それぞれ0,0.29および0.19である。
Figure 0003607292
D.拡張期波
拡張期波DWの場合は、Gss=,Gd=1、およびHss(t)とHsd(t)が0に等しくないため、式43と44は拡張期波を記述するため次のように変換される。
Pss(t)=Pdia+Hss(t) 式50
Figure 0003607292
拡張期には、大動脈−動脈系の血圧は低く、心臓血管系は一般に弛緩状態にある。したがって、このときは、低周波波動成分が、高周波波動成分より支配的となる。すなわち、Pat=Pa(t)Lである。さらに、Hsd(t)=(Wd)(Hss(t))を仮定すれば、大動脈血圧Pa(t)に等しい仮性−侵襲拡張期波の圧力Pdw(t)は、次のようにして導出される。次式において「Wd」はウエート因子である。
Pdw(t)=Psd(t)+(Wd)(Pdia−Pss(t)) 式52
Wdは、先に、表1と式48および48Aに関連して述べたように、経験的に決定される数である。
III.左心室血圧波と大動脈あるいは仮性大動脈血圧波
上述の項では、大動脈波の再構成を説明した。実際には、観察と種々の値の数学的操作によって得られる仮性大動脈波は、カフ動脈波について決定される。理想的には、大動脈波の収縮期(収縮期波SWは前に定義した通りである)は、左心室波の一部であるため、これらの関係は図11に表したグラフによって記述することができる。
時間「0」(血圧が最大となる時間あるいは収縮点)における大動脈の収縮期波と左心室の収縮期波にともに単純なガウス曲線を仮定すると、大動脈収縮期波SWの式は次のように定義される:
Figure 0003607292
式53において、Pp=パルス圧;Ta=大動脈波の1/2Tpp、そしてPdia=拡張期血圧である。
同様に、左心室(LV)収縮期波PLV(t)の圧力の式は次のように定義される:
Figure 0003607292
ここで、Psys=収縮期血圧;Ta=LV波の1/2Tpp、そしてTpp=左心室波における最大血圧と最小血圧の間の時間である。ここで、大動脈収縮期波のTppは、一般に左心室波のTppより小さい。
上述の各式から、最大値は、
Figure 0003607292
となり、またガウス曲線は対称であるため、最小値は、
Figure 0003607292
となる。左心室の収縮性は次式のようにして得られる:
Figure 0003607292
式55において、
Figure 0003607292
ここで
Figure 0003607292
そして
Figure 0003607292
他の心臓パラメータも、上述のモデルを使って求められる。
IV.本発明の実施
A. 心臓血管条件に関する情報の収集
特定の血行力学的パラメータ(例えば辺縁抵抗、心臓出力、血圧等)の決定、あるいは心臓血管疾患(例えば高血圧)の診断における第1の工程は、患者の心臓血管条件に関する情報を収集することである。この情報収集の好ましい方法は、Chioの米国特許第4,880,013号に記述がある。
Chioの方法と装置は非侵襲の方法および装置に関するもので、その方法は、インフレートカフと、カフの使用中に心臓血管系によって生起される圧力波信号を取り出す手段を用いる。心臓血管のノイズは、圧力波信号を聴覚信号から電気信号に変換するトランスデューサによって送られる。こうして得られたアナログ形の電気信号は、アナログ−デジタルコンバータによって変換され、ソフトウエア内蔵のパーソナルコンピュータなどの情報処理装置に送られる。情報データの流れ(データストリーム)は、コンピュータによって、使用可能なグラフディスプレイへの処理される。データストリームの「基本的な」ディスプレイは、パルス信号データがカフ圧あるいは時間の関数として表示されるグラフ表示である。
コンピュータは、データストリームを操作してデータストリームの他の特性を表示するソフトウエアを内蔵する。時間(およびカフ圧)の関数としてのパルス圧のディスプレイは、Chioの米国特許第4,880,013号にある図2に示した情報に似た形で現れる。Chioの方法は、米国特許第4,880,013号に詳しく説明されているので、ここでは繰り返さない。
Chioの方法は、カフの圧力を最初に患者の予想収縮期血圧を超える圧力まで引きあげるという点で、血圧を測定する最もよく知られた方法と類似性がある。「超収縮期血圧」は、データ捕捉の出発点である。ついで時間をかけてカフ圧を収縮期血圧を越えて、収縮期血圧と拡張期血圧の間の圧力範囲まで減少させ、最終的には患者の所定の拡張期血圧より低い点で終わらせる。以下に詳しく説明するように、超収縮領域とサブ拡張領域で得られるパルス波形は、本発明の関心対象であるいくつかの血行力学的パラメータを決定する上で特に有用であることが、本発明者によって発見された。
このデータストリーム(およびこれから形成された波形)から、患者の収縮期血圧、拡張期血圧および平均動脈血圧を決定することができる。
Chioの方法を使う場合は、本出願人であるPulse−Metric社製造のDYNAPULSE血圧モニタ装置を購入する必要がある。そして、上述のように、収縮期血圧と拡張期血圧の間の領域における情報とともに、超収縮期血圧の情報とサブ拡張期血圧の情報のデータストリームを手に入れるべきである。
図13は、DYNAPULSE血圧モニタ装置の出力の例を示す。この図の波形と、約180ないし160mmHgの範囲における情報は、この装置で得た超収縮期血圧の情報を表す。図13においては、収縮期血圧は、159mmHgと決定された。決定した収縮期血圧(159mmHg)と決定した拡張期血圧(81mmHg)の間における情報は、決定した収縮期血圧と決定した拡張期血圧の間の領域における情報を表す。予想されるように、平均動脈血圧(109mmHg)は、この領域で発生する。81mmHgと試験終了時における血圧(約45mmHg)の間で捕捉したデータは、サブ拡張期の情報である。このサブ拡張期情報の中で特に関心のある情報は、約81mmHgと約65mmHgの間の近サブ拡張期範囲の情報である。
ChioのChioの米国特許第4,880,013号に開示され、DYNAPULSE血圧モニタ装置に接続して用いられるトランスデューサの外に、圧力カフの位置よりも動脈の上流側に配置される超音波プローブなどの他の血圧センサを用いることもできる。
B. 辺縁抵抗の決定と、この辺縁抵抗を用いた患者の診
上述のように、まず第一には、得られた情報のデータストリームから、収縮期血圧、拡張期血圧および平均動脈血圧を求める。求めた収縮期血圧と拡張期血圧は、以下に述べる用途の外に、超収縮期領域とサブ拡張期領域を定義するのに用いられる。超収縮期血圧時に測定した動脈パルス波は収縮点を超える圧力があると測定されるあるため、超収縮期領域から得られたパルス波(超収縮期パルス)の情報は重要である。パルス波の超収縮期セグメントの生理学的重要性は、収縮点を超えると、カフ領域では血液が流れなくなることである。
同様に、サブ拡張期波は、圧力導入装置(例えばカフ)が動脈に、拡張期血圧より低い圧力を導入したときに、カフ圧(あるいは類似の血圧センサ装置)で測定した動脈パルス波である。サブ拡張期パルス波は、圧力導入カフ装置あるいは、超音波プローブなどの他のセンサ手段によって感知できる。拡張期血圧の生理学的重要性は、サブ拡張期血圧の下で検出されたパルス波は何ら邪魔されずに動脈を通る血流の条件を表すことである。
収縮期血圧、拡張期血圧および平均動脈血圧とともに、超収縮期とサブ拡張期における波形が得られたら、次の工程は、超収縮期波とサブ拡張期波を収縮点および拡張点に規格化することである。これらの波を規格化するためには、まず超収縮期波とサブ拡張期波のピークは、ともに収縮期血圧の下で生じると仮定する。さらに、超収縮期波の収縮期部分の開始とサブ拡張期波の最下点は、拡張期血圧の下で起こるとも仮定する。これら二つの仮定から、超収縮期波とサブ拡張期波の両方が、図7に示す収縮期血圧と拡張期血圧に規格化される。図7では、規格化された超収縮期波とサブ拡張期波は、侵襲方式のカテーテル法で得られた大動脈血圧波と一緒にプロットされている。図7に示した例においては、規格化した非侵襲方式で得た波と、侵襲方式のカテーテル法で得た波は、ともに171mmHgの収縮期血圧と、96mmHgの拡張期血圧、および116mmHgの平均動脈血圧を有する。この「規格化」の手続は、本発明者の観察と、大動脈サイクルの基礎をなす理論の理解に基づいている。式46に記載したように、超収縮期波は、「高調波」(非幾何学的)成分Pa(t)Hが支配的である。したがって、超収縮期波は、出発点あるいは「平均線」が拡張期血圧にありピークが収縮期血圧にある図8Aに示す波と同様に形で現れるはずである。本発明者は、侵襲式で測定したサブ拡張期波形も、非侵襲式で測定したサブ拡張期波形も、収縮期にピークがあり、拡張期に最下点があることを発見した。
次の工程は、式31を使って拡張期の流速V0(この流速は勿論辺縁抵抗と血圧勾配に直線関係する)を算出することである。式31を使うためには、データストリームを得る血圧カフの有効長さlcuffを決定しなければならない。データストリームのデータとは、隣接する波形のピーク間の時間Tpp、拡張期波における血圧の経時変化(あるいは傾き)
Figure 0003607292
、および収縮期波の傾きにおけるピーク間変化
Figure 0003607292
である。
上述の変数に関しては、血圧カフの有効長さlcuffは測定することができる。標準的な大人用血圧カフの典型的な有効長さは、約9cmである。例えば、隣接する波形のピーク間の時間は、データストリームのパルス波形から経験的に求められる。例えば、図12Aに示すデータストリームにおいては、拡張期波における血圧の経時変化は、時間t(0.5秒)と時間t2(0.6秒)の間の血圧差を得れば、仮性大動脈波から求めることができる。この場合、時間tにおける血圧は122mmHg、時間t2における血圧は111mmHgで、両者の差は、122−111=11mmHgである。したがって、血圧の経時変化(dP/dt)は11mmHg/0.1秒あるいは110mmHg/秒に等しい。同様に、超収縮期波における圧力の経時変化の最大値と最小値は、収縮期波の時間に関する一次導関数から導出される。式14を使うと、(dP/dt)ppが求まる。さらに、これら最大値と最小値間の時間も一次導関数曲線から求められる。
この一次導関数は、患者の情報データストリームを得、また処理するの関連してに用いられる中央処理装置の適当なプログラムから得られる。図14は、DYNAPULSE血圧モニタ装置のディスプレイを示す。一次導関数曲線は、血圧の経時変化(dP/dt)をプロットしてものであるため、血圧経時変化の最大値(dP/dt)maxと血圧経時変化の最小値(dP/dt)minはこの曲線から明らかである。好ましい態様においては、中央処理装置は、(1)(dP/dt)maxと(dP/dt)minの数値を与え、(2)求めたt1t2からTppを決定し、そして(3)求めた(dP/dt)maxと(dP/dt)minから式14を解くようプログラムされる。
所与の時間T(sw)(t)における収縮期波の血圧を求め、拡張期波における血圧の経時変化(dP/dt)(dw)を求めるためには、式48を使う。
式48を使って拡張期波における血圧の経時変化とこの血圧経時変化の最大値と最小値を求めたら、次に下に再掲する式31によって拡張期血流速度V0を求める。
Figure 0003607292
拡張期血流速度が分ったら、今度は、これから遠位辺縁抵抗PR2または系辺縁抵抗PR1、および先に式58で述べた辺縁抵抗パラメータ方程式を算出する。
PR1=(収縮期血圧−拡張期血圧)/V0
同様に、本発明者が計測し求めた辺縁抵抗の結果を示す式59からは遠位辺縁抵抗PR2を求めることができる。特に、図1は、14の患者について求めた辺縁抵抗PR2を示す。この患者について求めた辺縁抵抗を平均動脈血圧の関数として描いた図は、辺縁抵抗が分っている患者の心臓血管疾患を診断する上で有用である。
患者を診断するためには、まず、特定の心臓血管疾患をもっているおそれのある患者とそうでない人の境界線としての役目を果たす臨床的に重要な閾値を求める。本発明の場合は、収縮期血圧、拡張期血圧および平均動脈血圧についての公知の「ベンチマーク」閾値を用いた。本発明者はまた、遠位辺縁抵抗についても閾値を求め、設定した。
標準的な閾値は、平均動脈血圧については108mmHg、収縮期圧力にあっては140mmHg、そして拡張期血圧については90mmHgである。本発明者が辺縁抵抗について求めた閾値は、0.6(mmHg)(sec/cm)である。
これらの閾値を使うと、(1)平均動脈血圧が108mmHgより高いか、あるいは収縮期血圧が140mmHgより高いか、または拡張期血圧が90mmHgより高く、かつ(2)遠位辺縁抵抗が0.6(mmHg)(sec/cm)より大きい場合は、患者は満足のできる確率で高辺縁抵抗型高血圧をもつと診断できる。
遠位辺縁抵抗に対する0.6(mmHg)(sec/cm)の閾値は、研究が進めば、修正ないしより精緻なものにされる可能性がある。
特定の患者が上述の基準を満足する場合は、その患者は高高辺縁抵抗型高血圧をもつと診断できる。
その場合、適当な治療方法は、血管拡張薬の使用と指示されるであろう。
さらに、辺縁抵抗は、高心臓出力(cardiac output;CO)型高血圧の患者を診断するのにも用いることができる。本発明者は、高心臓出力型高血圧の患者は、典型的には、平均動脈血圧が108mmHgより大きいか、または収縮期血圧が140mmHg、あるいは拡張期血圧が90mmHgをそれぞれ越えることを発見した。しかし、高心臓出力型高血圧患者は、高心臓出力型高血圧は典型的には遠位辺縁抵抗が0.6(mmHg)(sec/cm)より小さいという点で、高辺縁抵抗型高血圧の患者からは区別される。本発明者は遠位辺縁抵抗を用いて実験を行ったが、系の辺縁抵抗は、高血圧の測定、ならびに高辺縁抵抗型高血圧患者と高心臓出力型高血圧患者の差異を診断するのにも用いることができることは分るであろう。上で述べた辺縁抵抗を測定するための工程は、(大部分)手動で行った旨説明したが、上で説明した辺縁抵抗の測定と、この辺縁抵抗と同じく測定した心臓出力に基づいて患者を診断する両方の処理を行うよう、コンピュータにプログラムを組むこともできることは理解されるであろう。
上述の辺縁抵抗の測定はまた、患者が冠状動脈疾患をもっている可能性が高いかどうかを判断するのにも用いることができる。もう一度いうと、患者から測定した辺縁抵抗と平均動脈血圧は、閾値と比較される。測定した辺縁抵抗と平均動脈血圧、ならびにその閾値の間の関係に基づいて、患者は、冠状動脈疾患の可能性が高いか、中くらいかあるいは低いかを診断される。本発明者は、一般に、患者の平均動脈血圧が108mmHgを越える場合は、その患者は冠状動脈疾患を有するおそれが高いことを発見した。また、平均動脈血圧が108mmHgより小さいが、遠位辺縁抵抗が0.6(mmHg)(sec/cm)の閾値を越える場合は、冠状動脈疾患を有するおそれは中くらいであることが分った。さらに、平均動脈血圧が108mmHgより小さく、遠位辺縁抵抗もが0.6(mmHg)(sec/cm)の閾値より小さい場合は、冠状動脈疾患を有するおそれは低いことも発見した。
C. 仮性大動脈波形の測定と、その心臓血管疾患の診断 への応用
本発明のもう一つの様相は、仮想大動脈血圧波形の決定と、この波形を心臓血管疾患をもつ患者の診断に役立てることにある。特に、この方法は、心臓や大動脈疾患の条件を診断するのに好適である。
ヒトの心臓血管系における仮性大動脈血圧波形を決定するためには、患者にまず圧力導入手段とトランスデューサと取り付ける。すると、患者からトランスデューサを通してデータストリームが得られる。データストリームは、圧力データとパルス信号データを含む。好ましくは、データストリームは、超収縮期血圧とサブ拡張期血圧、および所定の収縮期血圧と拡張期血圧の間にある圧力の下で得られたデータを含む。
このパルス信号データと圧力データを使うと、仮性大動脈圧力波形を決定することができる。
仮性大動脈血圧波形を決定するためには、まず、図7で説明した規格化された超収縮期血圧波とサブ拡張期波データを使う。式48Aと表1に記載した最もよいフィットをえるため、式48を使って、ウエート因子を含むこのデータを決定する。
仮性大動脈血圧波形Psw(t)が求まったら、この規格化された超収縮期波とサブ拡張期波データを式52と組合せて用い、仮性拡張期波形Psw(t)を求める。ここで、式52で用いるウエートW(d)は0.6である。
この情報から、仮性拡張期波形が得られる。ついで、この仮性収縮期波形と仮性拡張期波形を組合せて、式12Aと12Bに示す仮性大動脈血圧波を得る。この再構成し、規格化した仮性大動脈血圧波形は、患者の心臓血管系について多量の情報を含む。特に心臓血管系の多数の特性と広範なヒトの血行力学パラメータ、および心臓血管疾患を診断するのに用いられる。
例えば、仮性大動脈血圧波形は、公知の心臓血管疾患のチャートと比較できる。また、この仮性大動脈血圧波形は、K.G.Andreoli他編「Comprehensive Cardiac Care」,C.V.Mosby CO.,セントルイス(1983年)の図4.2に示す相関ECGにおける動脈パルス波形の種々の変形例とも比較できる。
波形を比較すると、動脈硬化などが分る。図12Bにおいて、仮性大動脈血圧波の101〜115mmHg(0.05〜0.15秒)にある「ノッチ」は、動脈硬化のある患者に典型的に見られるノッチである。
他方、図12Aの仮性大動脈波形は、大動脈硬化があることを示す。図12Aに示す大動脈硬化は、パルス圧波の収縮期における曲線の上昇部分において、領域110における傾きの減少によって表される。図12のパルス圧力波の対応部分をみると、動脈硬化のない患者においては傾きが急減してはいないことが分るであろう。
C. 心臓出力の測定と左心室に関係する心臓血管疾患の 診断
ヒトの心臓血管系における左心室収縮のピークを求めるためには、まず非侵襲方式の圧力導入手段とトランスデューサを患者に取付け、トランスデューサからデータストリームを得る。データストリームは、圧力データとパルス信号データを含むはずである。これらの点においては、この左心室収縮のピークを求める方法は、すでの述べた各方法とほぼ同じである。Chioの米国特許第4,880,013号に開示されたデータストリームを得る方法は、このデータストリームを得る場合にも好ましい方法である。
データストリームが得られたら、パルス信号データと圧力データは、次の工程に従って、左心室収縮のピークを求めるために使用する。第一に、超収縮期波とサブ拡張期波は、式48(これとウエート因子)とともに用いて、仮性収縮期波形Psw(t)を得る。こうすると、拡張期波の経時変化が、ピーク間の経時圧力変化とともに求められる。
式57と測定した収縮期血圧Psys、拡張期血圧Pdiaおよびピーク血圧(Pp=Psys−Pdia)を使うと、Tpp(aorta)のTpp(LV)(上述のIII項[式53〜57]で定義した通り)に対する比であるTfを算出することができる。上述の算出した各パラメータと式56を使うと、左心室収縮のピークを算出することができる:
Figure 0003607292
左心室収縮のピークは、心臓の強度を表す指標として利用できるため、心臓血管疾患の診断に用いることができる。心臓の強度(あるいは強度の欠如)は、心臓疾患や心不全の診断にとって重要なパラメータとなり得ることが分るであろう。
D. 動脈コンプライアンスとヒト心臓血管系の弾性の測
本発明はまた、動脈コンプライアンスC0とヒトの心臓血管系の弾性Keを求める際に役立つ。このためには、式27と28を用いる。この際は、大動脈断面積を測定するか、あるいは大動脈断面積A0が0.67cm2であると仮定する。さらに、動脈弾性係数Keと、弾性係数の逆数に等しいコンプライアンスC(=1/Ke)を導出することもできる。患者の動脈弾性係数あるいはコンプライアンスに関する情報は、患者の心臓血管系の状態を診断する有用なパラメータでもある。
E. 組合せによる使用
以上、種々の因子やパラメータを説明してきたが、このようにして求めたパラメータは、互いに組合せて、広範な疾患を診断し、またこのようにして求めた他のパラメータやこれに基づく診断に対してこれを支持する証拠やこれに反対する証拠を提供するのに用いることもできる。
F. 上述のパラメータを求めるための装置
上述の方法は、上述の処理を自動的に行う装置に組み入れることができる。そのような装置はまず、必要な情報を得ることができるものでなければならない。そのような情報を得る能力がある装置は、本出願人であるPulse−Metric Inc.(カリフォルニア州サンジエゴ)製のDYNAPULSE 200M血圧モニタである。このDYNAPULSE装置は、先のChioの米国特許第4,880,013号に詳細に記載してある。この装置は、患者の腕に圧力をかける血圧カフを備える。また、心臓血管信号を補足し、これらの信号を電気信号に変換するためトランスデューサを具備する。アナログ化したノイズをデジタル情報ストリームに変換するのには、アナログ−デジタルコンバータを用いる。デジタル情報ストリームはついでCPUによって処理され、広範な情報ディスプレイを実現する。種々のパラメータの決定に関連する上述の様々な関係式や方程式は、この装置が、種々のパラメータを求めようとしている臨床医が使用できる型のディスプレイや印刷を行えるよう、CPUにプログラムすることができる。パラメータのいくつか(例えば辺縁抵抗)は、数値を使って最もよくデジタル表示できるであろう。他のディスプレイ(例えば仮性大動脈波)は、グラフ表示した方がよいであろう。仮性大動脈波形に関しては、装置はまた、臨床医に、患者が特定の心臓血管疾患(例えば大動脈硬化や大動脈狭窄)をもつ可能性を示唆するよう、得られた仮性大動脈波を公知の心臓疾患の大動脈波形と比較するプログラムを内蔵する。他方、ディスプレイは、臨床医が視覚を通じてより十分に診査しようと欲するような他の診断結果も示唆する。この点、本発明者は、上述のパラメータを求め、心臓血管疾患を診断する上で、波形のディスプレイは有用なツールとなることを発見した。
V. 実施例
本発明に係る診断を行うのに必要な種々のパラメータを得る第1の工程は、規格化された超収縮期波とサブ拡張期波を得ることである。
そのためには、まず患者の収縮期血圧、拡張期血圧および平均動脈血圧を測定する。本発明においては、これは、本出願人の先のDYNAPULSE 200M血圧モニタを使って行う。こうして得られた血圧は、図13に示す。
先に述べたように、超収縮期波形は、血流が各領域を通らないような圧力下で得た波形である。したがって、超収縮期血圧時にこの装置を使って、カフの位置あるいはこの近傍で測定した動脈パルス波は、この条件を反映する。
図13において、超収縮期波は、このDYNAPULSE装置を使って得たものである。動脈に収縮期血圧より高い圧力を加えて血流を閉塞するのには、標準的な血圧カフを用いた。超収縮期波はついで、Chioの米国特許第4,880,013号に明示的に記載があるように、トランスデューサとアナログ−デジタルコンバータを使って得た。また、超収縮期血圧における心臓血管音を検出するためには、超音波プローブを使うこともできる。この方法の途中でカフを使って加える圧力は、最初は、患者の収縮期血圧より高い圧力とする。カフ圧は、時間をかけてほぼ直線的に、患者の拡張期血圧より低い圧力まで減じられる。この間ずっと、パルス圧波は、患者から取り続ける。パルス圧波は、患者の求めた拡張期血圧より低い圧力の下で、患者から得られる。サブ拡張期パルス圧波は、このサブ拡張気圧の下で得られる。しかし、ある情報だけ(例えばサブ拡張期と超収縮期の情報だけ)が必要とされる状況下では、その情報を得るためだけに装置を使ってもよい。
超収縮期(SS)波とサブ拡張期(SD)波はついで、収縮点Psysと拡張点Pdiaに規格化される。上で説明した通り、収縮期血圧と拡張期血圧は、DYNAPULSE血圧モニタを使うか、あるいは他の血圧測定方法を用いて測定することができる。
次に、超収縮期波とサブ拡張期波の最大点が収縮期血圧であり、また超収縮期波の収縮期の開始とサブ拡張期波の最下点が拡張期血圧であると仮定する。ついで、超収縮期波とサブ拡張期波の両方は、図7に示すような収縮期血圧と拡張期血圧に規格化される。図7においては、規格化された超収縮期波とサブ拡張期波は、カテーテル法で得られた大動脈血圧波と一緒にプロットされている。図7に示した例においては、非侵襲方式で測定し規格化した波と、侵襲式のカテーテル法で測定した波は、収縮期血圧が171mmHg、拡張期血圧が96mmHgである。
規格化した超収縮期血圧とサブ拡張期血圧が得られたら、式48と52を適当な波因子(Wss=1、Wsd=0.4およびWd=0.6)とととに使って、仮性大動脈血圧波Psw(t)とPdw(t)を得る。
つぎに、規格化した超収縮期血圧とサブ拡張期血圧および仮性大動脈血圧波を使ってさらに、パルス波の上昇部分における最大勾配(dP/dt)max点とパルス波の下降部分における最小勾配(dP/dt)min点において、その勾配(dP/dt)を算出する。図12Aに関連して説明したように、この方法は、患者からのデータストリーム収集に関連して用いられる中央処理装置の適当なプログラムを使って行う。
こうして、ピークの値[(dP/dt)maxと(dP/dt)min]が得られる。式14を使うと、(dP/dt)maxと(dP/dt)minから(dP/dt)ppが求まる。
図7の例においては、式31に必要な変数は、以下のようにして決定される。幅5インチの標準的な大人用のカフを用いる場合は、Lcuffは9cm;
Tppは0.24秒(Tppはは圧力の最大経時変化のピーク値(dP/dt)maxと圧力の最小経時変化のピーク値(dP/dt)minの間の時間である);
(dP/dt)ppは1250mmHg/sec;そして、
(dP/dt)DWは62.5mmHg/secである。
これらの値と式31を使うと、図7で心臓血管情報が得られた患者の拡張期の血流速度は、V0=23.56cm/secと求められる。
つぎに、式22を使い、また動脈の断面積A0が0.67cmと仮定する。これらの値から、動脈のコンプライアンスCは0.26cc/mmHgと算出される。
辺縁抵抗PR1とPR2は次の式を用いて計算される:
PR1=(収縮期血圧−拡張期血圧)/V0 式58
PR2=(平均動脈血圧−拡張期血圧)/V0 式59
式58と59を使うと、近位辺縁抵抗PR1と遠位辺縁抵抗PR2の両方を算出することができる。心臓の情報が図13と7に示される患者の両辺縁抵抗値は:
PR1=3.18(mmHg)(sec/cm);そして、
PR2=0.85(mmHg)(sec/cm)である。
次に、左心室収縮は、仮性大動脈収縮期波Psw(t)とその圧力経時変化のピーク値(dP/dt)を式57,57と一緒に用い、心臓に関する情報が図7に示される患者の左心室ピーク収縮を計算することにより得られる。
Figure 0003607292
一例は示す。収縮期血圧が166mmHgの患者について、求めた拡張期血圧が94mmHgのときは、式58によれば、パルス圧Ppは72mmHgと計算される。式57を使うと、Tppは0.563と計算される。
つぎに、圧力の経時変化のピーク値が、次式に従って仮性大動脈波から、[(dP/dt)aortamax=804mmHg/secとして得られる。これから、式56を使えば左心室収縮のピークが算出できる。本実施例においては、左心室収縮のピーク
Figure 0003607292
は、1015mmHg/secであった。
本発明者の非侵襲的方法で得られた値は、侵襲方式のカテーテル法で得た値と比較した。同じ患者について、同じ情報を使い、侵襲方式のカテーテル法で測定した左心室収縮のピーク値は1000mmHg/secであった。
結果はほとんど一致しており、本発明の信頼性には説得力が与えられたと解される。
VI.実験結果
A. 高血圧の診断
本発明者は、本発明を試験するのに用いた実験手順の一部として、種々の患者について研究を行った。本出願に当っては、本発明に従って行った試験中に得た情報を示す種々のグラフを添付した。これらグラフ上のプロットは、図2〜6と8〜11に示した図を含む。
拡張期波速度の測定から導かれ、上で定義した辺縁抵抗(PR1とPR2)を用いる理論を検証するため、45歳から81歳までの14人の被検者について試験を行った。まず、これらの被検者から、侵襲式で得た大動脈血圧波形と非侵襲方式のカフパルス波形を得た。そして、式31で定義したパラメータを求めるため、サブ拡張期波形を解析した。これらの研究において、使用したカフの長さは5インチであった。この有効な長さは、カフの有効長さは、測定したカフの長さを√2で除したものに等しいという仮定を置いて計算したものである。この結果、測定長が5インチのカフの有効長さは、3.5インチとなった。さらに、拡張期波の圧力の経時変化(dP/dt)DW)は、拡張期波(例えば図11参照)におけるT1ないしT2の線形部分から算出でき、侵襲式で測定した波形により確認されることが分った。これらの値は、ついで式31で使用した。
図7は拡張期波の一部の決定方法と侵襲方式で測定した波形から導出される情報と比較・確認する方法を示す。
コンプライアンスは、身長60インチ(5フィート)男の被検者は、動脈の断面積が1cm2で、同じ身長の女の被検者はそれが0.8cm2であるという仮定を置いた上で、式22と23を使って算出される。身長が異なる場合は、動脈断面積は次式により調製した:
Ao(x)=A()(身長(x)/60)。
添付書類の図2〜6と本出願の図1は、系の辺縁抵抗PR1と遠位辺縁抵抗PR2の両方の結果を収縮期血圧、拡張期血圧および平均動脈血圧の関数として表示している。これらの結果は、系の辺縁抵抗と遠位辺縁抵抗のどちらかが高血圧の診断に使用できるという本発明者の発見を実証するものである。本発明者はまた、高齢者は拡張期血圧が減少し、通常高血圧のベンチマークとなる値(収縮期圧力[140mmHg]/拡張期血圧[90mmHg])が信頼に足る指標ではなくなるため、辺縁抵抗は、平均動脈血圧あるいは収縮期血圧に対してプロットするのが好ましいことも発見した。
添付書類の図8と9は、拡張期の血流速度を、14人の被検者から読み取った収縮期と拡張期に対してプロットしたものである。収縮期血圧が140mmHgより小さいかあるいは拡張期血圧が70mmHgにょり小さい被検者は、拡張期の血流速度が低いという傾向があった。しかし、収縮期血圧、拡張期血圧ともに高い患者には、拡張期の血流速度が高い人のグループと低い人のグループが見られた。辺縁抵抗は平均動脈血圧を心臓出力で除したものに等しいため、辺縁抵抗が低いグループは高い心臓出力をもつことになる。したがって、同じ高血圧でも、二つのグループでは違う治療を行うべきである。これについてはすでに述べた。
添付書類の図10と図11は、14人の被検者について算出したコンプライアンスを、収縮期血圧と拡張期血圧の関数としてプロットしたものである。求めたコンプライアンスは収縮期血圧と拡張期血圧について広範囲に分散しているが、本発明者は、コンプライアンスと収縮期血圧を比較したときの傾向は、コンプライアンスと拡張期血圧を比較したときの傾向と正反対であることに気づいた。このデータは、コンプライアンスは高血圧の指標としては、本発明により測定した辺縁抵抗ほど、有効でも信頼に足るものでもないことを示唆している。
B. 大動脈波形の再構成
上述の考察および臨床データによれば、式51と式52を使えば、経験的にフィットする仮性大動脈波を形成することは可能である。この仮性大動脈波はさらに、動脈硬化や動脈狭窄のような一定の心臓疾患を診断するのにも用いることができる。そして、大動脈便や左心室の特性についてさらに情報を提供してくれる。上述の14人の被検者のデータと適当な波形因子を使えば、適当な仮性大動脈波形を構成することができる。図12Aと12Bは、本発明によって構成した仮性大動脈波形と、侵襲方式のカテーテル法で測定した大動脈波形の比較を示す。
C. カフパルス波形からの左心室収縮
一人の患者について、侵襲方式のカテーテル法で測定した左心室血圧波形と、非侵襲方式のカフパルス波形を同時に記録した。非侵襲方式のカフを用い、式56と57を使って、PdiaとPpを求めた。さらに、(dP/dt)maxを収縮期波形を90%、拡張期波形を10%使って求めた。これを用いたところ、平均した
Figure 0003607292
は968(±139)mmHg/secと算出された。侵襲方式のカテーテル法から導かれた左心室血圧から算出した心臓収縮性1057mmHg/secによく近似している。仮性大動脈の収縮期波形は対称形ではないため、この波の上昇部分における圧力の経時変化は、約675mmHg/secに等しい。しかし、この波の下降部分における圧力の経時変化は、約900mmHg/secである。大動脈の圧力経時変化の最大値(dP/dt)maxとして900mmHg/secを用いる場合は、これから算出される左心室収縮性
Figure 0003607292
は、1106mmHg/secとなる。したがって、非対称な大動脈収縮期波については、本発明者は、左心室収縮性を算出することによって、その圧力経時変化のより大きな値を用いる方がよいと考える。大動脈波の上昇部分の勾配は、大動脈狭窄や大動脈硬化あるいは他の未知の因子によって減少する可能性があるため、これは直観的には正しいと思える。
以上、好ましい態様を参照しながら本発明を詳細に説明してきたが、以下の請求の範囲に記載した本発明の範囲・趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形・変恒例が可能であろう。

Claims (28)

  1. 血行力学的パラメータを非侵襲方式で測定する装置であって、
    (1)患者から非侵襲方式で、一連の波形を得るために、圧力データとパルス信号データを有するデータストリームを含む心臓血管情報を収集する手段であって、前記データストリームが、
    (a)超収縮期血圧、
    (b)収縮期血圧、
    (c)拡張期血圧、および
    (d)サブ拡張期血圧、
    のそれぞれで採取したパルス信号データを含む心臓血管情報収集手段と、
    (2)収集した心臓血管条件に関する情報から、患者の収縮期血圧、拡張期血圧および平均動脈血圧を求める手段と、
    (3)患者の辺縁抵抗を決定するため、前記求めた収縮期血圧および拡張期血圧、または前記求めた拡張期血圧 および平均動脈血圧を用いる手段を含む装置。
  2. 拡張期の血流速度を求めるため、前記波形の少なくとも一つを利用する手段をさらに含む請求の範囲第1項記載の装置。
  3. 前記拡張期の血流速度を求めるため少なくとも一つの波形を利用する手段は、
    (1)圧力の経時変化におけるピーク間の変化を決定するため収縮期血圧における波形を用いる手段と、
    (2)圧力の経時変化における拡張期の血流変化を決定するため拡張期血圧における波形を用いる手段を含む請求の範囲第2項記載の装置。
  4. 前記拡張期の血流速度を求めるため少なくとも一つの波形を利用する手段は、次の式に従って拡張期の血流速度を決定する手段を含む請求の範囲第2項記載の装置:
    Figure 0003607292
    ここで、
    V0=拡張期の血流速度、
    lcuff=データストリームを得るための血圧カフの有効長さ、
    Tpp=収縮期波形の正の勾配のピーク値と負の勾配のピーク値の間の時間、
    Figure 0003607292
    Figure 0003607292
  5. 前記辺縁抵抗を決定する手段は、系の辺縁抵抗を次の式に従って決定する手段を含み:
    Figure 0003607292
    (ここで、
    PR1=系の辺縁抵抗、
    SYS=求めた収縮期血圧
    DIA=求めた拡張期血圧、および
    V0=求めた拡張期の血流速度)、さらに心臓出力を次式に従って決定する手段を含む:
    Figure 0003607292
    (ここで、
    CO=心臓出力、および
    MAP=求めた平均動脈血圧)
    請求の範囲第4項記載の装置。
  6. 前記辺縁抵抗を決定する手段は、遠位辺縁抵抗を次の式に従って決定する手段を含み:
    Figure 0003607292
    (ここで、
    PR2=遠位辺縁抵抗、
    MAP=求めた平均動脈血圧
    DIA=求めた拡張期血圧、および
    V0=求めた拡張期の血流速度)、さらに心臓出力を次式に従って決定する工程を含む:
    Figure 0003607292
    (ここで、
    CO=心臓出力、および
    MAP=求めた平均動脈血圧)請求の範囲第4項記載の装置。
  7. 前記装置はさらに、患者の心臓出力を拡張期の血流速度を求めることによって決定し、前記辺縁抵抗を決定する手段は、次式に従って系の辺縁抵抗を決定する手段を含む:
    Figure 0003607292
    Figure 0003607292
    ここで、
    PR1=系の辺縁抵抗、
    SYS=求めた収縮期血圧
    DIA=求めた拡張期血圧、および
    V0=求めた拡張期の血流速度、
    Pdw(t)=所与の時間tにおける仮性大動脈拡張期波における血圧、
    Pdia=求めた拡張期血圧、および
    Wd=ウエート因子)請求の範囲第1項記載の装置。
  8. 前記装置はさらに、患者の心臓出力を拡張期の血流速度を求めることによって決定し、前記辺縁抵抗を決定する手段は、次式に従って遠位辺縁抵抗を決定する手段を含む:
    Figure 0003607292
    (ここで、
    PR2=遠位辺縁抵抗、
    MAP=求めた平均動脈血圧
    DIA=求めた拡張期血圧、および
    V0=求めた拡張期の血流速度)請求の範囲第1項記載の装置。
  9. 血行力学的パラメータを非侵襲方式で測定する装置であって、
    (1)患者の取付け可能な非侵襲方式の圧力導入手段とトランスデューサと、
    (2)前記圧力導入手段によって導入された圧力を超収縮期血圧まで引き上げる手段と、
    (3)前記圧力導入手段によって導入された圧力をサブ拡張期血圧まで時間をかけて低下させる手段と、
    (4)少なくとも超収縮期血圧とサブ拡張期血圧で採取されたパルス信号データを含む一連のパルス信号データ波形を得るためのパルス信号データと圧力データを含むデータデータストリームを前記トランスデューサから得る手段と、
    (5)次の二つの式の組合せを介して、得られた超収縮期波形データとサブ拡張期波形データから仮性大動脈波形を構成する手段を含む装置
    Figure 0003607292
    および、
    Pdw(t)=Psd(t)+(Wd)(Pdia−Pss(t))
    (ここで、
    Psw(t)=所与の時間tにおける仮性大動脈収縮期波における血圧、
    Wss=超収縮期波成分に対するウエートを含む係数、
    Pss(t)=所与の時間tにおける超収縮期波成分の血圧、
    Wsd=サブ拡張期波成分に対するウエートを含む係数、
    Psd(t)=所与の時間tにおけるサブ拡張期波成分の血圧、
    Pdw(t)=所与の時間tにおける仮性大動脈拡張期波の血圧、
    Pdia=求めた拡張期血圧、および
    Wd=ウエート因子)。
  10. 前記仮性動脈波形を構成する手段は、仮性大動脈波形を構成する手段を含み、Wssは約1、またWsdは約0.4である請求の範囲第9項記載の装置。
  11. 血行力学的パラメータを非侵襲方式で測定する装置であって、
    (1)患者に取付け可能な非侵襲方式の圧力導入手段とトランスデューサと、
    (2)前記圧力導入手段によって導入された圧力を超収縮期血圧まで引き上げる手段と、
    (3)前記圧力導入手段によって導入された圧力をサブ拡張期血圧まで時間をかけて低下させる手段と、
    (4)少なくとも超収縮期血圧とサブ拡張期血圧で採取されたパルス信号データを含む一連のパルス信号データ波形を得るためのパルス信号データと圧力データを含むデータデータストリームを前記トランスデューサから得る手段と、
    (5)(a)圧力の経時変化の最大値を測定する工程と、
    (b)求めた拡張期血圧とパルス圧を使ってTr(TaortaのTventricleに対する比)を求める工程によって得られたデータストリームから、ピーク心臓収縮値を決定するため、求めたTrを使ってピーク心臓収縮値を決定する手段を含む装置。
  12. 前記ピーク心臓収縮値を決定する手段は、次式に従ってTrを決定する手段を含む請求の範囲第11項記載の装置
    Figure 0003607292
    (ここで、
    Tr=TsのTvに対する比、
    Ta=大動脈波における圧力の正の最大経時変化と負の最大経時変化の間の時間の1/2、
    Tv=左心室波における圧力の正の最大経時変化と負の最大経時変化間の時間の1/2、
    Pdia=求めた患者の拡張期血圧、および
    Pp=求めた患者のパルス圧)。
  13. 前記ピーク心臓収縮値を決定する手段は、次式に従ってピーク心臓収縮値を決定する手段を含む請求の範囲第12項記載の装置
    Figure 0003607292
    (ここで、
    Figure 0003607292
    Figure 0003607292
  14. 前記ピーク心臓収縮値を決定する手段は、次式に従ってピーク心臓収縮値を決定する手段を含む請求の範囲第13項記載の装置
    Figure 0003607292
    (ここで、
    Figure 0003607292
  15. 関心のある動脈の弾性係数を測定する装置であって、
    (a)関心のある動脈の断面積を測定する手段と、
    (b)心臓血管部分にある動脈の拡張期血流速度を測定する手段と、
    (c)動脈の弾性係数を求めるため、求めた動脈断面積と血流速度を使用する手段を備える装置。
  16. 前記弾性係数を求める手段は、次式を通して弾性係数を決定する手段を含む請求の範囲第15項記載の装置:
    Ke=[A0][V0]
    (ここで、
    Ke=求めた弾性係数、
    A0=動脈の断面積、および、
    V0=求めた血流速度)。
  17. 前記装置はさらに、次式を通して関心のある動脈のコンプライアンスを決定するため、求めた弾性係数を使用する手段を含む請求の範囲第16項記載の装置:
    C=1/Ke
    (ここで、
    C=コンプライアンス
    ke=求めた弾性係数)。
  18. 血行力学的パラメータを非侵襲方式で測定する装置であって、
    (1)(a)超収縮期血圧、(b)収縮期血圧、(c)拡張期血圧および(d)サブ拡張期血圧の下で採取されたパルス信号データを少なくとも一つは含む波形を得るためのパルス信号データと圧力データを含むデータデータストリームを有する心臓血管情報を、非侵襲方式で患者から収集する手段と、
    (2)収集した患者の心臓血管条件に関する情報から収縮期血圧、拡張期血圧および平均動脈血圧を測定する手段と、
    (3)患者の辺縁抵抗と拡張期血流速度の一方を決定するために、収集した患者の心臓血管条件に関する情報を使用する手段を含む装置。
  19. 前記装置はさらに、患者の他の辺縁抵抗と拡張期血流速度の一方を決定するために、前記すでに求めた辺縁抵抗と拡張期血流速度の一方を使用する手段を含み、このすでに求めた辺縁抵抗と拡張期血流速度の一方を使用する手段は、拡張期の血流速度を決定するために前記波形の少なくとも一つを使用する手段を含む請求の範囲第18項記載の装置。
  20. 前記波形の少なくとも一つを使用する手段は、
    (1)圧力が経時変化する際の拡張期血流速度を求めるため収縮期の波形を使用する手段と、
    (2)圧力の経時変化におけるピーク値とピーク値の間の変化を求めるため拡張期の波形を使用する手段を含む請求の範囲第19項記載の装置。
  21. 前記拡張期血流速度を決定するため、次の式に従って拡張期血流速度を決定する手段を含む請求の範囲第19項記載の装置:
    Figure 0003607292
    (ここで、
    V0=拡張期の血流速度、
    lcuff=データストリームを得るための血圧カフの有効長さ、
    Tpp=収縮期波形の正の勾配のピーク値と負の勾配のピーク値の間の時間、
    Figure 0003607292
    Figure 0003607292
  22. 前記辺縁抵抗を決定する手段は、系の辺縁抵抗を次の式に従って決定する手段を含み:
    Figure 0003607292
    (ここで、
    PR1=系の辺縁抵抗、
    SYS=求めた収縮期血圧
    DIA=求めた拡張期血圧、および
    V0=求めた拡張期の血流速度)、さらに心臓出力を次式に従って決定する手段を含む:
    Figure 0003607292
    (ここで、
    CO=心臓出力、および
    MAP=求めた平均動脈血圧)
    請求の範囲第21項記載の装置。
  23. 前記辺縁抵抗を決定する手段は、遠位辺縁抵抗を次の式に従って決定する手段を含み:
    Figure 0003607292
    (ここで、
    PR2=遠位辺縁抵抗、
    MAP=求めた平均動脈血圧
    DIA=求めた拡張期血圧、および
    V0=求めた拡張期の血流速度)、さらに心臓出力を次式に従って決定する工程を含む:
    Figure 0003607292
    (ここで、
    CO=心臓出力、および
    MAP=求めた平均動脈血圧)請求の範囲第21項記載の装置。
  24. 前記装置はさらに、患者の心臓出力を拡張期の血流速度を求めることによって決定し、前記辺縁抵抗を決定する手段は、次式に従って系の辺縁抵抗を決定する手段を含む:
    Figure 0003607292
    および、
    Pdw(t)=Psd(t)+(Wd)(Pdia−Pss(t))
    (ここで、
    PR1=系の辺縁抵抗、
    SYS=求めた収縮期血圧
    DIA=求めた拡張期血圧、および
    V0=求めた拡張期の血流速度、
    Pdw(t)=所与の時間tにおける仮性大動脈拡張期波における血圧、
    Pdia=求めた拡張期血圧、および
    Wd=ウエート因子)請求の範囲第18項記載の装置。
  25. 前記装置はさらに、患者の心臓出力を拡張期の血流速度を求めることによって決定し、前記辺縁抵抗を決定する手段は、次式に従って遠位辺縁抵抗を決定する手段を含む:
    Figure 0003607292
    (ここで、
    PR2=遠位辺縁抵抗、
    MAP=求めた平均動脈血圧
    DIA=求めた拡張期血圧、および
    V0=求めた拡張期の血流速度)請求の範囲第18項記載の装置。
  26. 前記装置はさらに、関心のある動脈の弾性係数を測定する手段であって、
    (a)関心のある動脈の断面積を測定する手段と、
    (b)心臓血管部分にある動脈の拡張期血流速度を測定する手段と、
    (c)動脈の弾性係数を求めるため、求めた動脈断面積と血流速度を使用する手段を備える請求の範囲第18項記載の装置。
  27. 前記弾性係数を求める手段は、次式を通して弾性係数を決定する手段を含む請求の範囲第26項記載の装置:
    Ke=[A0][V0]
    (ここで、
    ke=求めた弾性係数、
    A0=動脈の断面積、および、
    V0=求めた血流速度)。
  28. 前記装置はさらに、次式を通して関心のある動脈のコンプライアンスを決定するため、求めた弾性係数を使用する手段を含む請求の範囲第27項記載の装置:
    C=1/Ke
    (ここで、
    C=コンプライアンス
    ke=求めた弾性係数)。
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