JP3607275B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーディオビデュアル(AV)機器やオフィスオートメーション(OA)機器に使用でき画面の大型化が容易な液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、AV機器として用いられる家庭用のテレビ、OA機器に用いられる表示装置に対して、軽量化、薄型化、低消費電力化、高精細化及び画面の大型化が要求されている。このため、陰極線管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)、エレクトロルミネセンス表示装置(EL)、発光ダイオード表示装置(LED)などの表示装置においても大画面化の開発・実用化が進められている。
【0003】
なかでも液晶表示装置は、他の表示装置に比べ、厚さ(奥行き)が格段に薄くできること、消費電力が小さいこと、フルカラー化が容易なことなどの利点を有するので、近年においては種々の分野で用いられつつあり、画面の大型化への期待も大きいものである。
【0004】
ところが、上記従来の液晶表示装置は画面の大型化を図ると、製造工程において信号線の断線、画素の欠陥などによる不良率が急激に高くなり、不良率の上昇による液晶表示装置の価格上昇を招来するといった問題を有している。そこで、上記の各問題を解決するために、複数の液晶パネルを単につなぎ合せて全体で1台の液晶表示装置とし、画面の大型化を図ることが行われている。
【0005】
しかし、上記の方法で大型化した画面では、液晶パネルの表示画面におけるつなぎ目が目立ち、得られる表示画像の表示品位が低下するので、自然な表示画像を得るために、液晶パネルの表示画面におけるつなぎ目を目立たなくする工夫が必要とされる。
【0006】
そこで、本願発明者らは、表示画面におけるつなぎ目をより目立たなくする方法として、特願平6−283306号(特開平8−146455号公報)において、R・G・B各色のカラーフィルタに対応した3つの画素電極が、液晶パネルの接続部から等距離に配置される方法を提案している。
【0007】
上記方法による液晶表示装置は、図13に示すように、液晶パネル101・101に配されているマトリクス状の画素113…において、R・G・B各色のカラーフィルタに対応した3つの画素電極114…が、接続部111からほぼ等距離となるようにR・G・Bの順に、表示画面上で得られる、たとえば、ビルなどといった建造物の表示画像における上下方向となるような方向である、接続部111に沿った方向(図13ではY軸方向)に沿って並んで配設されている。
【0008】
上記画素113は、図14に示すように、R・G・B各色それぞれに対応する各画素電極114…にそれぞれ接続された各TFT素子115…により駆動されている。すなわち、TFT素子115…には、それぞれが絶縁膜116…によって絶縁された信号線117…と、走査線118…とが接続され、画素電極114…をそれぞれ独立して駆動するようになっている。
【0009】
上記構成では、接続部111に近接した画素113…に対応したカラーフィルタを透過する光が接続部111により分光屈折率あるいは屈折率の影響を受けても、各画素113の色変調の度合いがほぼ等しくなる。このため、接続部111に近接する画素113の斜め方向からの光に対して、光の色バランスが崩れず、接続部111での色調の異なる領域が生じない。したがって、表示画面におけるつなぎ目がより目立たなくなる。
【0010】
このように、2枚の液晶パネルを接続し、表示画面におけるつなぎ目を目立たなくすることで、品位の高い大画面表示を可能にしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特開平8−146455号の方法における画素電極の配列では、信号線117の1ライン長が従来よりも2倍以上長くなり、そのため、信号線117における表示画像を表示するための駆動信号となる電気信号の遅延が顕著になり、表示画像に悪影響を与えるという問題点を生じている。
【0012】
すなわち、線順次走査を行う従来のアクティブマトリクス型の液晶表示装置では、表示画面上で得られる、たとえばビルなどといった建造物の表示画像における上下方向となるような方向である、図14におけるY軸方向に沿って信号線が、また、上記Y軸方向に対して直交する方向である図14におけるX軸方向に沿って走査線が配設されている。
【0013】
これに対し、特開平8−146455号の方法による液晶表示装置では、従来の液晶表示装置と同様の駆動信号で画素電極114…を駆動するために、信号線117が画素電極114…の周囲にコ字状に巡らされることによってY軸方向に配設されている。このため、信号線117の1ライン長が従来よりも2倍以上に長くなる。したがって、信号線117が上記のように配設されると、液晶表示装置の大型化に伴い信号線117における電気信号が遅延し、表示画像に悪影響を与える。
【0014】
加えて、走査線118と信号線117とが絶縁膜116を介して交差する箇所が増加するため、交差箇所での電気短絡による欠陥が発生しやすいという問題点も生じる。
【0015】
本発明の目的は、上述した問題点を解決するためのものであって、つなぎ目が目立たなくなる各画素電極の配列を維持し、かつ、より単純な信号線または走査線の構造を用いて、表示画像の品質向上および不良率の改善が可能な液晶表示装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は、以上の課題を解決するために、カラー表示のための複数の各カラーフィルタに対応した複数の画素電極を、それぞれ得られる表示画像における上下方向となる方向に並んで有している画素が複数マトリクス状に設けられ、かつ、走査線が、上記表示画像における上下方向となる方向に沿って配設され、上記各画素電極を駆動する複数の信号線が上記表示画像における上下方向となる方向に対して交差する方向に沿って配設されている液晶パネルと、得られる表示画像における上下方向となる方向に線順次走査するための画像データの配列を上記表示画像における上下方向となる方向に対して交差する方向に線順次走査するための画像データの配列に変換するためのデータ記憶手段と、を有していることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、各カラーフィルタに対応した各画素電極を走査線および信号線により駆動することで、各画素でのカラー表示が可能となる。また、上記構成では、走査線を、得られる表示画像における上下方向となる方向に沿って配設することによって、信号線を上記表示画像における上下方向となる方向に対し、たとえば直交するように交差する方向に沿って直線状に配設することができる。このため、従来のように信号線をコ字状に配設する必要がない。したがって、信号線の1ライン長を従来より短くできるので、電気信号となる画像表示信号の遅延を抑制することができる。また、上記構成では、走査線と信号線の交差箇所が従来のように増加することを防止でき、該交差箇所での電気短絡による不良を低減することができる。
【0018】
本発明の液晶表示装置は、以上の課題を解決するために、得られる表示画像における上下方向となる方向に線順次走査するための画像データの配列を、上記画像データを記憶するデータ記憶手段を用いることによって、上記表示画像における上下方向となる方向に対して交差する方向に線順次走査するように変換することを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、走査線および信号線が上記の配設関係をとることによって、線順次走査を行う方向は、得られる表示画像における上下方向となる方向からこの方向に対し交差する方向に変更される必要がある。このため、得られる表示画像における上下方向となる方向に対応した画像データを、データ記憶手段に一度格納して、上記表示画像における上下方向となる方向に対して交差する方向に並べ代えて出力することによって、従来の液晶表示装置と同様の画像表示を行うことができ、かつ、画像表示信号の遅延を抑制できるとともに、不良率も改善でき、さらに、液晶パネルをつなぎ合わせた場合に、より品位の高い大画面表示を得ることが可能となる。
【0020】
本発明の液晶表示装置は、以上の課題を解決するために、カラー表示のための複数の各カラーフィルタに対応した複数の画素電極を、それぞれ得られる表示画像における上下方向となる方向に並んで有している画素が複数マトリクス状に設けられ、かつ、上記各画素電極を駆動する複数の信号線が、上記表示画像における上下方向となる方向に沿って配設され、走査線が上記複数の画素電極毎に、上記表示画像における上下方向となる方向に対して交差する方向に沿って配設されている液晶パネルと、得られる表示画像における上下方向となる方向に線順次走査するための画像データを画素における複数の画素電極に対応する複数の画像データに分解し、前記分解された画像データを順に出力するようにタイミングを制御するためのデータ記憶手段と、を備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、各カラーフィルタに対応した各画素電極を走査線および信号線により駆動することで、各画素でのカラー表示が可能となる。また、上記構成では、走査線を上記複数の画素電極毎に、得られる表示画像における上下方向となる方向に対し、たとえば直交するように交差する方向に沿って配設している。このため、上記各画素電極に対する信号線を直線状に配設することが可能となり、従来のように信号線をコ字状に配設する必要がない。したがって、信号線の1ライン長を従来より短くできるので、電気信号となる画像表示信号の遅延を抑制することができる。また、上記構成では、走査線と信号線の交差箇所が従来のように増加することを防止でき、該交差箇所での電気短絡による不良を低減することができる。
【0022】
本発明の液晶表示装置は、以上の課題を解決するために、得られる表示画像における上下方向となる方向に線順次走査するための画像データを、上記画像データを記憶するデータ記憶手段を用いて出力するタイミングを制御することにより、画素における複数の画素電極に対応する複数の画像データをそれぞれ独立させて出力し、上記各画素電極を、得られる表示画像における上下方向となる方向に線順次走査することを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、走査線および信号線が上記の配設関係をとるため、画面の線順次走査は、一つの画素を構成する各色の複数の画素電極ごとに行われる必要がある。そこで、データ記憶手段を用いて、各色の複数の画像データを平行してデータ記憶手段に格納し、該データを格納時の1/3の時間に圧縮してタイミングを制御しながら各色の画像データをそれぞれ一つずつ液晶パネルへ出力し、各色の画素電極ごとに線順次走査を行うことによって、従来の液晶表示装置と同様の画面表示を行うことができ、かつ、画像表示信号の遅延を抑制できるとともに、不良率も改善でき、さらに、液晶パネルをつなぎ合わせた場合により品位の高い大画面表示を得ることが可能となる。
【0024】
本発明の液晶表示装置は、以上の課題を解決するために、液晶パネルが、複数、各画素による表示面を同一平面とするように並べられ、かつ、得られる表示画像における上下方向となる方向に沿った端部で互いに接続されていることを特徴としている。
【0025】
上記の構成によれば、複数の画素電極が、液晶パネルの接続部から等距離となるように、得られる表示画像における上下方向となる方向に沿って形成されているため、上記接続部に近接した画素電極に対応したカラーフィルタを透過する光が、接続部により光の散乱や屈折の影響を受けても、各画素電極の色変調の度合いが等しくなる。
【0026】
このため、上記構成では、接続部に近接する画素の斜め方向からの光に対して光の色バランスが崩れず、接続部での色調の異なる領域が生じない。したがって、表示画面におけるつなぎ目がより目立たなくなるため、より品位の高い大画面表示を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、図2および図3に示すように、長方形板状の2枚の各液晶パネル21・21を互いにそれらの長手方向端面となる接続部13にて隣接接続して、カラー大画面表示を行なう液晶表示装置20について説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0028】
本実施の形態に係る液晶表示装置20では、図2に示すように、2つの液晶パネル21・21が、それらの表示面が同一平面状となるように、ガラスなどの1枚の大型透明基板23の同一平面上にて上記大型透明基板23に対して光透過性の材料からなる屈折率調整材14により接着され、また、各液晶パネル21・21が互いに隣接して上記屈折率調整材14によって接続され、さらに、一対の偏光板24・24によって挟まれてなっている。偏光板24・24は、互いの偏光軸が直交する、すなわち、クロスニコル状態となるようにそれぞれ設置されている。
【0029】
液晶パネル21は、薄膜トランジスタ(TFT)基板1と対向基板8とを対向配置し、紫外線硬化樹脂などからなるシール材9を介して貼り合わせ、それら各基板1・8間に液晶を封入して液晶層10を形成してなっている。
【0030】
対向基板8上には、図示しない光透過性の酸化インジウム錫(ITO)などからなる共通電極が上記液晶層10に適するように形成されるとともに、TFT基板1上のカラー表示のための各画素電極5…に対応した位置にR・G・B各色のカラーフィルタ11…と、各画素2…の分離を行うブラックマトリクス12とが形成されている。なお、ブラックマトリクス12は、対向基板8側に限らず、TFT基板1側に設けられていてもよい。
【0031】
上記TFT基板1上には、図1に示すように、画素2…、走査線3…および信号線4…が形成されている。TFT基板1はガラスなどの透明な絶縁性基板を有しており、この上に画素2…がマトリクス状に形成されている。一つの画素2は、赤(R)、緑(G)、青(B)各色に対応する3つの画素電極5…からなっている。これら3つの画素電極5…は、表示画面上で得られるたとえばビルなどといった建造物の表示画像における上下方向となるような方向に並んで形成されている。つまり、図1では、一つの画素2における3つの画素電極5…は、液晶パネル21における長手方向(図1ではY軸方向であり、以下、実施の形態においてはこの方向をY軸方向とする)に並んで形成されている。
【0032】
すなわち、3つの画素電極5…は、液晶パネル21・21の接続部13から等距離になるよう配置されている。R・G・B各色に対応する各画素電極5…には、それぞれTFT素子6…が接続されている。
【0033】
TFT素子6…には、絶縁膜7…によって互いに絶縁された走査線3…と、信号線4…とが接続されている。走査線3…は、液晶パネル21の長手方向となるY軸方向に沿って、信号線4…は、液晶パネル21の長手方向に対して直交する方向(図1ではX軸方向であり、以下、実施の形態においてはこの方向をX軸方向とする)に沿ってそれぞれ配設されている。つまり、一般的なアクティブマトリクス型の液晶表示装置に対し、走査線3…と信号線4…の配設関係が逆に、すなわち90°回転した関係となるように配設されている。
【0034】
上記画素電極5…は、透過型の液晶表示装置20として使用する場合はITOなどの透明導電膜、反射型の液晶表示装置20として使用する場合はアルミニウム(Al)などの反射性導電膜より形成される。
【0035】
TFT素子6…は、アモルファスシリコン(a−Si)や多結晶シリコン(p−Si)などの半導体薄膜を用いた電界効果型トランジスタであり、画素電極5…への電気信号の供給を制御している。すなわち、画素電極5…は、走査線3…および信号線4…からの信号によるTFT素子6…のオン・オフによって駆動される。走査線3…や信号線4…にはタンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)などの金属膜を用いることができる。
【0036】
このようにして得られた本実施の形態の液晶表示装置20は、図1に示した配線構造をとることによって、従来の液晶表示装置の配線構造のように信号線4…を画素電極5…の周囲にコ字状に巡らせる必要がないため、信号線4…の1ライン長が従来の2倍以上に長くなることを回避できる。
【0037】
このため、従来の液晶表示装置に比べ、電気信号となる画像表示信号の遅延を約1/2に抑えることができる。上記の画像表示信号の遅延を抑制することは、特に、大画面の液晶表示装置において、表示画像を表示する速度の遅延を回避するには有効であり、中でも本実施の形態に示すような、つなぎ合わせによる大画面ディスプレイにはより一層有効である。
【0038】
また、各液晶パネル21のつなぎ目を目立たなくするための画素電極5…の配置を維持しながら、より単純な走査線3…および信号線4…を用いる方法として、TFT基板1上に形成されている層間絶縁膜を利用して、走査線3…と信号線4…とを多層構造にすることも考えられるが、この方法を用いた場合、製造工程が増加して繁雑化し、製造コストも上昇することが考えられる。
【0039】
これに対して、本実施の形態の液晶表示装置20は、走査線3…および信号線4…をTFT基板1上に一つの層で形成することができるため、製造工程の繁雑化を回避し、製造コストの上昇も回避できる。
【0040】
さらに、上記の配線構造では、走査線3…と信号線4…とが絶縁膜7…を介して交差する箇所は従来例よりも少ない。具体的には、従来の配線構造では、一つの画素あたり6箇所あった配線の交差箇所が、図1に示す配線構造では3箇所になっている。つまり、配線の交差箇所が従来と比較して半分になっているため、電気短絡による不良発生率を約1/2以下に低減することができ、製造コストを低減できる。
【0041】
本実施の形態の液晶表示装置20に用いられる前述のブラックマトリクス12は、光を吸収して黒色を呈する材料からできた光吸収膜から形成されており、画素電極5…間の隙間やTFT素子6…エリアへの光の入射を遮るために設けられている。たとえば、画素電極5…以外のエリアに光が透過すると、黒表示状態の品位が下がり、表示画面のコントラストが低下する。また、TFT素子6…に光が入射するとTFTチャネル内に光励起によるリーク電流が発生し、表示画面の品位が低下する。これをブラックマトリクス12を形成することによって防止する。
【0042】
また、上記の各液晶パネル21・21の接続部(つなぎ目)13には、屈折率調整材14が充填されている。この屈折率調整材14は、各液晶パネル21・21を構成するTFT基板1および対向基板8とほぼ同じ屈折率を有する材料からなっている。なお、屈折率調整材14は、各液晶パネル21・21を大型透明基板23上に貼り合せる際の接着剤としても利用することができる。
【0043】
さらに、上記TFT基板1と対向基板8とは、それぞれの対向面側の液晶層10と接触する面に、液晶分子を所定方向に配向させる配向膜(図示せず)が形成されている。
【0044】
上記配向膜は、ラビング法などによりホモジニアス配列処理を行なうことによって形成される。これにより、TFT基板1と対向基板8との間に封入された、誘電異方性が正のネマティック液晶の液晶分子の配列の方向が、2枚の基板間で90°ねじれるようになっている。したがって、本実施の形態の液晶パネル21は、ツイストネマティック(TN)表示モードにより液晶分子を駆動するようになっている。
【0045】
上記の構成である一対の各液晶パネル21・21をつなぎ合わせて、1枚の大型透明基板23の同一平面上に配置して大型パネルを形成する。この大型パネルの表裏面のそれぞれに、互いの偏光軸が直交する方向で一対の偏光板24・24をほぼ全面に設置することにより、本実施の形態の液晶表示装置20が形成されている。
【0046】
このようにして得られた本実施の形態の液晶表示装置20には、前記のように、各液晶パネル21・21の接続部13に、TFT基板1および対向基板8とほぼ同じ屈折率の屈折率調整材14が充填されている。このため、上記接続部13における基板端面の凹凸を原因とした、光の屈折・散乱が防止される。これによって、表示画面におけるつなぎ目が目立たない自然な表示画像を得ることが可能となる。
【0047】
なお、前述のように、屈折率調整材14は、各液晶パネル21・21を大型透明基板23上に貼り合せる際の接着剤としても利用することができるが、この場合、大型透明基板23と対向基板8との界面において光の反射が起こることがある。このため表示画面のコントラストが低下するので、屈折率調整材14は、対向基板8および大型透明基板23と同じ屈折率の樹脂を使用することが好ましい。これにより、さらにつなぎ目の目立たない、自然な表示画像を得ることが可能となる。
【0048】
一般に、マルチ表示方式の液晶表示装置として、TFT素子を用いたアクティブマトリクス型の液晶パネルを単につなぎ合わせただけの液晶表示装置では、それぞれの液晶パネルの接続部に生じる隙間からバックライトの光が漏れ、表示画面におけるつなぎ目が目立ちやすい。
【0049】
しかしながら、本実施の形態の液晶表示装置20においては、2つの液晶パネル21・21をつなぎ合わせて構成した大型パネルの表裏ほぼ全面に、互いの偏光軸が直交する方向で偏光板24・24が設置されている。このため、接続部13からの光の漏れが偏光板24・24のクロスニコル状態で黒色を呈する。
【0050】
したがって、液晶表示装置のほぼ正面に位置する観視者から見た場合は、液晶パネル21・21の接続部13から漏れる光は偏光板24・24のクロスニコル状態で完全な黒状態が実現できるので、表示画面におけるつなぎ目を目立ちにくくすることができる。
【0051】
ここで、屈折率調整材14の屈折率を、可視光全領域において各液晶パネル21・21を構成する基板、すなわち、TFT基板1、対向基板8および大型透明基板23に完全に合わせることは難しい。それゆえ、わずかながら接続部13で光の屈折や散乱が生じ、目立ちにくいとはいえ、上記つなぎ目がある程度、観視者によって確認されてしまう。
【0052】
ところが、本実施の形態の液晶表示装置20の画素配列は、図3に示すように、2つの液晶パネル21・21のパネル基板に配されているマトリクス状の画素2…において、R・G・B各色のカラーフィルタ11…に対応した3つの画素電極5…が、接続部13からほぼ等距離となるように、R・G・Bの順に同図のY軸方向に沿って配設されている。
【0053】
これによって、接続部13に近接した画素2…に対応したカラーフィルタ11…を透過する光が接続部13により光の散乱や屈折の影響を受けても、各画素2…の色変調の度合いがほぼ等しくなる。このため、接続部13に近接する画素2の斜め方向からの光に対して、光の色バランスが崩れず、接続部13での色調の異なる領域が生じない。したがって、表示画面におけるつなぎ目がより目立たなくなるという効果を得ることができる。
【0054】
つまり、図4に示すように、2つの液晶パネルをそれぞれ21a・21bとした場合、R・G・B各色に対応する画素電極5…が、液晶パネル21a・21bの接続部13からほぼ等距離に配置されている。このため、透過光R、透過光Bは、それぞれ液晶パネル21bの下方から液晶パネル21a上の画素電極5…に向かって入射した場合、ともに液晶パネル21a・21bの接続部13を通過した後に各画素電極5…上に形成されたカラーフィルタ11…(図4には図示せず)を透過することになる。言い換えれば、R・G・B各色のカラーフィルタ11…を透過する光は、液晶パネル21a・21bの接続部13によって同じ度合の影響を受けている。
【0055】
すなわち、液晶パネル21b側から接続部13を介して液晶パネル21a側に透過する光が、接続部13に近接したどのカラーフィルタ11…においても同じ状態で透過することができる。これによって、液晶パネル21b側から屈折率調整材14を介して液晶パネル21a側に透過する光は、接続部13に近接した画素2…を透過するとき、この画素2…の各色に対応する画素電極5…に対して屈折率調整材14による色変調を等しくすることができるので、画素2…全体の色崩れを生じさせない。
【0056】
また、一般に、液晶パネルを複数個つなぎ合わせる際、液晶パネルのガラス厚のばらつきや反りなどの影響で、段差なくつなぎ合わせることは非常に困難である。さらに、液晶パネルを加工する際、液晶パネルのエッジにチッピングなどの傷も生じる。このような液晶パネルのつなぎ合わせ部の段差あるいは液晶パネルのエッジの傷があれば、そこで光の散乱が生じるため、つなぎ目を目立たせる原因となる。
【0057】
しかしながら、本実施の形態の液晶表示装置20では、図2に示すように、2つの液晶パネル21・21を1枚の大型透明基板23上に、屈折率調整材14を介して貼り合せているため、観視者が大型透明基板23側から表示画像を観視したときに、液晶表示装置20の表面に、各液晶パネル21・21のガラス厚のばらつきや反りなどの影響による段差や傷が露出されない。それにより、つなぎ目のさらに目立たない自然な表示画像を得ることができる。
【0058】
さらに、上記の大型透明基板23は、各液晶パネル21・21をつなぎ合わせて液晶表示装置20が大面積化した際に補強板としての役目も果たすため、液晶表示装置20の耐衝撃性を向上させることができる。それにより、本実施の形態の液晶表示装置20は、さらなる大画面化を可能としたつなぎ目の目立たない自然な表示画像を有するものとすることができる。
【0059】
以上のことから、上記液晶表示装置20においては、2つの液晶パネル21・21における接続部13を目立たなくし、この結果、液晶表示装置20の表示品位を向上させることができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、液晶パネルを2枚接続した場合について述べたが、たとえば3枚の液晶パネルを横方向に並べて接続しても良い。このように、横方向に長くなるように液晶パネルを接続して大画面とすることで、近年の横長テレビあるいはワイドテレビなどに対応させることができる。
【0061】
次に、上記の液晶表示装置20の駆動方法について説明する。
本実施の形態の液晶表示装置20は、前記の通り、走査線3…がY軸方向に沿って形成されている。そのため、画面の左から右方向、あるいは、右から左方向へと図1のX軸方向に沿って線順次走査を行う必要がある。従来の液晶表示装置では、Y軸方向、すなわち、表示画面上で得られる、たとえばビルなどといった建造物の表示画像における上下方向となるような方向に沿って線順次走査を行い画像を表示するように画像データが設定されている。それゆえ、本実施の形態では、従来のY軸方向に対する線順次走査用の画像データをX軸方向に対する線順次走査用の画像データに変換しなければならない。
【0062】
従来の画像データ処理では、図15に示すように、液晶表示装置にカラー表示データを示すコンポジット信号51が入力され、これがRGBデコーダ52によりR・G・B各色の画像データに分解される。分解された各色の画像データは、ガンマ特性の補正53を受け、極性反転54された後、Y軸方向に線順次走査され、液晶パネル55において画像として表示される。
【0063】
本実施の形態の液晶表示装置20の画像データでは、図5に示すように、上記従来の画像データ処理と比較して、フレーム内の画像データを並べ替えるフレームメモリ(データ記憶手段、図5〜図7ではFMと省略)58a・58bが、R・G・B各色の画像データごとに2個ずつ、計6個追加されている。また、これに伴い、フレームメモリ58a・58bに格納する画像データをデジタル化するA/Dコンバータ56と、フレームメモリ58a・58bから出力された画像データをアナログ化するD/Aコンバータ57が、R・G・B各色にそれぞれ設けられている。
【0064】
データ変換の過程について順を追って説明すると、液晶表示装置に入力されたコンポジット信号51は、まず、RGBデコーダ52によってR・G・B各色の画像データに分解される。以下R(赤)の画像データ(以下Rデータとする)について説明すると、分解されたRデータは、A/Dコンバータ56によりデジタル化された後、フレームメモリ58a・58bへ取り込まれる。
【0065】
フレームメモリ58a・58bは、メモリ内を液晶パネルの大きさに合わせてn行、m列の番地に区切っている。そして、図6(a)に示すような、間隔1Hの入力同期信号によってRデータ(ここでは画像データをDとする)を、〔D11,D12,D13,…,D1n〕、〔D21,D22,D23,…,D2n〕、…、〔Dm1,Dm2,Dm3,…,Dmn〕の順で1間隔につき1行ごとに格納する。
【0066】
また出力時には、図6(b)に示すような、間隔1H’の出力同期信号によって、〔D11,D21,D31,…,Dm1〕、〔D12,D22,D32,…,Dm2〕、…、〔D1n,D2n,D3n,…,Dmn〕の順に1間隔につき1列ごとに配列変換されたRデータを出力する。
【0067】
また、フレームメモリ58a・58bは、Rデータの格納と出力とを同時に行うことができるように、第一のメモリ(図5および図7ではFM1と省略)58aと第二のメモリ(図5および図7ではFM2と省略)58bとの2種類を備えている。そして、図7に示すような入出力同期信号によりこれらフレームメモリ58a・58bを制御し、第一のメモリ58aと第二のメモリ58bとを交互に作動させる。
【0068】
つまり、まず、図7(a)に示す入力同期信号によって、第一のメモリ58aがRデータを格納している期間は、図7(d)に示す出力同期信号によって第二のメモリ58bがRデータを出力する。次に、図7(b)に示す出力同期信号によって、第二のメモリ58bがRデータを格納し始めると、図7(c)に示す出力同期信号によって、第一のメモリ58aがRデータを出力する。
【0069】
そのため、上記入出力同期信号は、たとえば図7に示すように、それぞれ間隔が2Vで周波数も同一となっているが、ただし、第一のメモリ58aのデータ格納および第二のメモリ58bのデータ出力を制御する入出力同期信号と、第二のメモリ58bのデータ格納および第一のメモリ58aのデータ出力を制御する入出力同期信号とは、半間隔1Vずれた状態で設定されている。ここで、R・G・B各色の画像データの格納および出力は、表示画像の乱れを防止するため、必ず上記の入出力同期信号を基準として行う必要がある。
【0070】
上記のようにフレームメモリ58a・58bの作動を設定することで、フレームごとのRデータの変換を行うことができる。そして、上記フレームメモリ58a・58bから出力されたRデータは、図5に示すように、D/Aコンバータ57によってアナログ化された後、ガンマ特性の補正53を受け、極性反転54される。G(緑)およびB(青)の画像データも上記Rデータと同じデータ変換を受け、この後、変換されたR・G・B各色の画像データが液晶表示装置20において表示画像として表示される。
【0071】
これによって、図1に示すような走査線3…および信号線4…の配設関係を有する本実施の形態の液晶表示装置20においても、従来の液晶表示装置と同様の画像表示を行うことができるので、つなぎ目を目立たなくできるとともに、表示画面の品質向上をはかることが、より容易に可能となる。
【0072】
なお、本実施の形態の液晶表示装置20の駆動方法は、上記の方法に限定されるものではない。たとえば、パソコンから画像データを入力する場合などは、A/Dコンバータを使用する方法に代えて、直接デジタル画像データをフレームメモリに入力する方法を用いることができる。また、上記のデータ変換処理方法の代わりに、ソフトウエアを用いて直接パソコンでデータ変換を行うこともできる。上記フレームメモリの数なども特に限定されるものではない。
【0073】
また、上記したように、本実施の形態では液晶パネルとして、TFT素子を利用したアクティブマトリクス型の液晶パネルを用いたが、アクティブマトリクス型の液晶パネルとしては、他に、ダイオード(MIM、Metal Insulator Metal)を用いたものも有効である。また、アクティブマトリクス型以外の液晶パネルとして、デューティ駆動型の液晶パネルも有効である。ただし、クロストークが少なく、より表示品位の高い表示画像を得ることができる点から、アクティブマトリクス型の液晶パネルを利用することが望ましい。
【0074】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の他の形態について図8ないし図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施の形態では、上記実施の形態1と同じく2枚の液晶パネルを隣接接続してカラー大画面表示を行なう液晶表示装置について説明する。また、これによって本発明が限定されるものではない。
【0075】
図8に示すように、本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の液晶表示装置25は、画素電極5…に接続されている走査線33…および信号線34…の配設の方法が異なっている以外は、上記実施の形態1と同じである。
【0076】
つまり、透明な絶縁性基板からなるTFT基板1上に画素2…がマトリクス状に形成されており、一つの画素2には、R・G・B各色の3つの画素電極5…が、画素開口部が液晶パネルのY軸方向となるように並んで形成されている。すなわち、前記図3と同じく、3つの画素電極5…が、液晶パネル21・21の接続部13から等距離になるよう配置されている。R・G・B各色の画素電極5…には、それぞれTFT素子6…が接続されている。
【0077】
TFT素子6…には、それぞれが絶縁膜7…によって絶縁された走査線33…と、信号線34…とが接続されている。走査線33…はX軸方向に、信号線34…はY軸方向にそれぞれ配設されている。つまり、走査線33…と信号線34…の配設関係については、一般的なアクティブマトリクス型の液晶表示装置と同様となっている。
【0078】
ところが、走査線33は、従来、一つの画素2ごとに配設されているのに対し、本実施の形態では、R・G・B各色に対応する画素電極5…それぞれに配設されている。すなわち、一つの画素2に対して3つの走査線33が配設されていることになる。また、信号線34は、従来、R・G・B各色に対応する画素電極5…それぞれに配設されているのに対し、本実施の形態では一つの画素2ごとに配設されている。
【0079】
上記のTFT基板1を用いた本実施の形態に係る液晶表示装置25の駆動方法について説明する。
本実施の形態の液晶表示装置25は、上記の通り、信号線34…が、表示画面のY軸方向に沿って形成され、かつ、走査線33…がR・G・B各色に対応する画素電極5…に個々に配設されている。そのため、画面の線順次走査は、画素2…に対してではなく、画素2…を構成するR・G・B各色に対応する画素電極5…それぞれに対して行う必要がある。
【0080】
上記の条件に対応するために、本実施の形態の液晶表示装置25に用いる画像データ処理には、図9に示すように、前記図15に示した従来の画像データ処理と比較して、画像データを並べ替えるラインメモリ(データ記憶手段、図9〜図11ではLMと省略)59a・59bが、各色の画像データごとに2個、計6個追加されている。
【0081】
また、これに伴い、ラインメモリ59a・59bに格納する画像データをデジタル化するA/Dコンバータ56が、R・G・B各色の画像データに対してそれぞれ設けられている。また、ラインメモリ59a・59bからそれぞれ独立して出力されるR・G・B各色の画像データをアナログ化するD/Aコンバータ57が設けられている。
【0082】
データ変換の手順を順を追って説明すると、液晶表示装置25に入力されたコンポジット信号51は、まず、RGBデコーダ52によりR・G・B各色の画像データに分解される。分解された各色の画像データは、A/Dコンバータ56により、それぞれデジタル信号に変換された後、ラインメモリ59a・59bに一度格納されてから出力される。
【0083】
ラインメモリ59a・59bは、実施の形態1のフレームメモリ58a・59bと同様に、画像データの格納と出力を同時に行えるように、第一のメモリ(図9〜図11ではLM1と省略)59aと第二のメモリ(図9〜図11ではLM2と省略)59bの2種類を備えている。第一のメモリ59aおよび第二のメモリ59bは、図10に示す入出力同期信号により制御され、第一のメモリ59aと第二のメモリ59bとが交互に作動するようになっている。つまり、第一のメモリ59aで画像データを格納している期間は第二のメモリ59bで画像データの出力を行い、第一のメモリ59aが画像データを格納し始めると第二のメモリ59bが画像データを出力する。
【0084】
この際、図10に示すように、ラインメモリ59a・59bにおける入力同期信号に対し、出力同期信号の周波数を3倍にすることにより、画像データを1/3の時間に圧縮して出力する。すなわち、入出力同期信号の隣合う同期信号の間隔を2Hとした場合、画像データの格納では、半間隔1Hの周期で第一のメモリ59aと第二のメモリ59bとが交互に作動し、該データの出力では、1/3Hの周期で第一のメモリ59aと第二のメモリ59bとが交互に作動する。
【0085】
上記ラインメモリ59a・59bにおいて1/3の時間に圧縮された出力信号は、R・G・Bの順に繰り返される走査信号に同期させるため、図10の入出力同期信号により、各ラインメモリ59a・59bの入出力のタイミングを調節し、並行して格納されたR・G・B各色の信号の画像データがR・G・Bの順に繰り返し出力できるように設定する。
【0086】
つまり、まず、図10(a)、(c)、(e)に示す入力同期信号によって、第一のメモリ59aがR・G・B各色の信号の画像データをそれぞれ並行して格納している期間に、図10(h)、(j)、(l)に示す出力同期信号によって第二のメモリ59bが1/3の時間に圧縮された画像データをR・G・Bの順に出力する。次に、図10(b)、(d)、(f)に示す入力同期信号によって、第二のメモリ59bがR・G・B各色の信号の画像データをそれぞれ並行して格納し始めると、図10(g)、(i)、(k)に示す出力同期信号によって、第一のメモリ59aが1/3の時間に圧縮された画像データをR・G・Bの順に出力する。
【0087】
ここで、R・G・B各色の画像データの格納および出力は、表示画像の乱れを防止するため、必ず上記の入出力同期信号を基準として行う必要がある。
【0088】
上記の入出力同期信号によって制御されたラインメモリ59a・59bによって、R・G・B各色の画像データ(ここではDで示す)が図11に示すように格納および出力される。R・G・B各色の画像データ〔Dn−1〕は、第一のメモリ59aに対して、図10に示す入力同期信号(図11では(a)に示す入力同期信号)にしたがって、信号の間隔1Hの時間に図11(b)〜(d)に示すようにそれぞれ並行して格納される。これと同時に、第二のメモリ59bからR・G・B各色の画像データ〔Dn−2〕が、図10に示す出力同期信号(図11では(h)に示す出力同期信号)にしたがって、図11(j)に示すように、上記格納の時間と比較して1/3に圧縮された、信号の間隔1/3Hの時間で、R・G・Bの順に繰り返し出力される。
【0089】
つまり、R・G・B各色の画像データ〔Dn−1〕それぞれが、第一のメモリ59aそれぞれに格納されている時間の長さと、画像データ〔Dn−2〕が、第二のメモリ59bからR・G・Bの順に出力される時間の長さとが等しくなるようになっている。
【0090】
そして、第一のメモリ59aへの画像データ〔Dn−1〕の格納、および第二のメモリ59bから画像データ〔Dn−2〕の出力が同時に終了すると、R・G・B各色の画像データ〔Dn〕が、図10に示す入力同期信号(図11では(a)に示す入力同期信号)にしたがって、図11(e)〜(f)に示すようにそれぞれ平行して第二のメモリ59bに格納される。これと同時に第一のメモリ59aから、先ほど格納された画像データ〔Dn−1〕が、図10に示す出力同期信号(図11では(h)に示す出力同期信号)にしたがって、図11(i)に示すように上記格納時の時間と比較して1/3に圧縮された時間で、R・G・Bの順に繰り返し出力される。
【0091】
画像データ〔Dn〕の格納と画像データ〔Dn−1〕の出力が終了すると、再び、第一のメモリ59aそれぞれが、図10に示す入力同期信号(図11では(a)に示す入力同期信号)にしたがって、図11(b)〜(d)に示すようにそれぞれ並行してR・G・B各色の画像データ〔Dn+1〕を格納し、同時に第二のメモリ59bが先ほど格納した画像データ〔Dn〕を、図10に示す出力同期信号(図11では(h)に示す出力同期信号)にしたがって、図11(j)に示すようにR・G・Bの順に出力する。これを繰り返すことによって、R・G・B各色ごとにライン走査を行うことができる。
【0092】
そして、上記ラインメモリ59a・59bから出力されたR・G・B各色の画像データは、D/Aコンバータ57でアナログ信号に変換された後、ガンマ特性の補正53を受け、極性反転54され、画素電極5…に対して表示画面のY軸方向に線順次走査が行われ、液晶パネル55に表示画像として表示される。これによって、図8に示すような走査線33…および信号線34…の配設関係を有する本実施の形態の液晶表示装置25においても、従来の液晶表示装置と同様の画像表示を行うことができる。
【0093】
なお、本実施の形態の液晶表示装置25における駆動方法は、上記の方法に限定されるものではない。たとえば、パソコンから画像データを入力する場合などは、A/Dコンバータなどを使用する方法に代えて、直接デジタル画像データをラインメモリに入力する方法を用いることができる。また、上記のデータ変換処理方法の代わりに、ソフトウエアを用いて直接パソコンでデータ変換を行うこともできる。
【0094】
また、上記したように、本実施の形態では液晶パネルとして、TFT素子を利用したアクティブマトリクス型の液晶パネルを用いたが、アクティブマトリクス型の液晶パネルとしては、他に、ダイオード(MIM、metal insulator metal)を用いたものも有効である。また、アクティブマトリクス型以外の液晶パネルとして、デューティ駆動型の液晶パネルも有効である。ただし、クロストークが少なく、より表示品位の高い表示画像を得ることができる点から、アクティブマトリクス型の液晶パネルを利用することが望ましい。
【0095】
ところで、本願発明者らは、特願平7−29395号(特開平8−122769号公報)において、液晶パネル同士のつなぎ目に、液晶パネルを構成するパネル基板の屈折率とほぼ同じ屈折率の屈折率調整材を充填することで、表示画面におけるつなぎ目を目立たなくすることを提案している。
【0096】
上記方法による液晶表示装置は、図2に示す本発明の液晶表示装置20と同じ構造をしているが、液晶表示装置を構成する液晶パネル101上には、図12に示すような、マトリクス状の画素113…が形成されている。
【0097】
上記画素113…は、赤(R)、緑(G)、青(B)各色のカラーフィルタに対応した3つの画素電極114…が、R・G・Bの順で、表示画面で得られる、たとえばビルなどといった建造物の表示画像における上下方向となる方向に対して直交する方向である、接続部111に直交する方向(図12ではX軸方向)に並んで形成されている。
【0098】
この方法では、本発明の液晶表示装置と同じく、液晶パネル101・101の接続部111に、TFT基板および対向基板とほぼ同じ屈折率の屈折率調整材が充填されている。このため、液晶パネル101・101の接続部111における基板端面の凹凸を原因とした光の屈折・散乱が防止される。これにより、表示画面におけるつなぎ目がある程度目立たない表示画像を得ることが可能となる。
【0099】
しかしながら、R・G・Bの各画素電極114…は、接続部111からの距離が異なっているため、画素電極114…上に形成されている図示しないカラーフィルタを透過する光の量が異なってしまう。このため、観視者が斜め方向から表示画面を見た場合、接続部111で透過した光の色のバランスが崩れ、液晶パネルのつなぎ目が目立つことになる。
【0100】
これに対して、本発明の液晶表示装置は、実施の形態1および2とも、図3に示す画素電極の配置をとるため、上記の問題が生じることはない。したがって、上記方法と比較して、よりつなぎ目を目立たなくすることができるものとなっている。
【0101】
【発明の効果】
本発明の液晶表示装置は、以上のように、カラー表示のための複数の各カラーフィルタに対応した複数の画素電極を、それぞれ得られる表示画像における上下方向となる方向に並んで有している画素が複数マトリクス状に設けられ、かつ、走査線が、上記表示画像における上下方向となる方向に沿って配設され、上記各画素電極を駆動する複数の信号線が、上記表示画像における上下方向となる方向に対して交差する方向に沿って配設されている液晶パネルを有する構成である。
【0102】
それゆえ、上記構成では、各カラーフィルタに対応した各画素電極を走査線および信号線により駆動することで、各画素でのカラー表示が可能となる。また、上記構成では、走査線を得られる表示画像における上下方向となる方向に沿って配設することによって、信号線を上記表示画像における上下方向となる方向に対し、たとえば直交するように交差する方向に沿って直線状に配設することができる。そのため、従来のように信号線をコ字状に配設する必要がない。したがって、信号線の1ライン長を従来より短くできるので、電気信号となる画像表示信号の遅延を抑制することができる。また、上記構成では、走査線と信号線の交差箇所が従来のように増加することを防止でき、該交差箇所での電気短絡による不良を低減することができるという効果を奏する。
【0103】
本発明の液晶表示装置は、以上のように、液晶パネルが、複数、各画素による表示面を同一平面とするように並べられ、かつ、得られる表示画像における上下方向となる方向に沿った端部で互いに接続される構成である。
【0104】
それゆえ、上記構成では、複数の画素電極が、液晶パネルの接続部から等距離となるように、得られる表示画像における上下方向となる方向に沿って形成されているため、上記接続部に近接した画素電極に対応したカラーフィルタを透過する光が、接続部により光の散乱や屈折の影響を受けても、各画素電極の色変調の度合いが等しくなる。
【0105】
このため、上記構成では、接続部に近接する画素の斜め方向からの光に対して光の色バランスが崩れず、接続部での色調の異なる領域が生じない。したがって、表示画面におけるつなぎ目がより目立たなくなるため、より品位の高い大画面表示を得ることができるという効果を奏する。
【0106】
本発明の液晶表示装置は、以上のように、得られる表示画像における上下方向となる方向に線順次走査するための画像データの配列を上記表示画像における上下方向となる方向に対して交差する方向に線順次走査するための画像データの配列に変換するためのデータ記憶手段を有する構成である。
【0107】
それゆえ、上記構成では、走査線および信号線が上記の配設関係をとることによって、線順次走査を行う方向は、得られる表示画像における上下方向となる方向からこの方向に対し交差する方向に変更される必要がある。このため、上記表示画像における上下方向となる方向に対応した画像データを、データ記憶手段に一度格納して、上記表示画像における上下方向となる方向に対して交差する方向に並べ代えて出力することによって、従来の液晶表示装置と同様の画像表示を行うことができ、かつ、画像表示信号の遅延を抑制できるとともに、不良率も改善でき、さらに、液晶パネルをつなぎ合わせた場合に、より品位の高い大画面表示を得ることができるという効果を奏する。
【0108】
本発明の液晶表示装置は、以上のように、カラー表示のための複数の各カラーフィルタに対応した複数の画素電極をそれぞれ得られる表示画像における上下方向となる方向に並んで有している画素が複数マトリクス状に設けられ、かつ、上記各画素電極を駆動する複数の信号線が、上記表示画像における上下方向となる方向に沿って配設され、走査線が上記複数の画素電極毎に、上記表示画像における上下方向となる方向に対して交差する方向に沿って配設されている液晶パネルを有する構成である。
【0109】
それゆえ、上記構成では、各カラーフィルタに対応した各画素電極を走査線および信号線により駆動することで、各画素でのカラー表示が可能となる。また、上記構成では、走査線を上記複数の画素電極毎に、得られる表示画像において上下方向となる方向に対して、たとえば直交するように交差する方向に沿って配設している。このため、上記各画素電極に対する信号線を直線状に配設することができ、従来のように信号線をコ字状に配設する必要がない。したがって、信号線の1ライン長を従来より短くできるので、電気信号となる画像表示信号の遅延を抑制することができる。また、上記構成では、走査線と信号線の交差箇所が従来のように増加することを防止でき、該交差箇所での電気短絡による不良を低減することができるという効果を奏する。
【0110】
本発明の液晶表示装置は、以上のように、得られる表示画像における上下方向となる方向に線順次走査するための画像データを画素における複数の画素電極に対応する複数の画像データに分解し、前記分解された画像データを順に出力するようにタイミングを制御するためのデータ記憶手段を有する構成である。
【0111】
それゆえ、上記構成では、走査線および信号線が上記の配設関係をとるため、画面の線順次走査は、一つの画素を構成する各色の複数の画素電極ごとに行われる必要がある。そこで、データ記憶手段を用いて、各色の複数の画像データを平行してデータ記憶手段に格納し、該データを格納時の1/3の時間に圧縮してタイミングを制御しながら各色の画像データをそれぞれ一つずつ液晶パネルへ出力し、各色の画素電極ごとに線順次走査を行うことによって、従来の液晶表示装置と同様の画面表示を行うことができ、かつ、画像表示信号の遅延を抑制できるとともに、不良率も改善でき、さらに、液晶パネルをつなぎ合わせた場合に、より品位の高い大画面表示を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る液晶表示装置の画素部の詳細を示す概略平面図である。
【図2】上記の液晶表示装置の概略断面図である。
【図3】図2に示す液晶表示装置の概略平面図である。
【図4】図2に示す液晶表示装置の液晶パネル同士のつなぎ目近傍における透過光の状態を示す説明図である。
【図5】上記の液晶表示装置の駆動方法のブロック図である。
【図6】図5に示す液晶表示装置の駆動方法のフレームメモリへの画像データの入出力の順序を示す図である。
【図7】図5に示す液晶表示装置の駆動方法において第一のフレームメモリと第二のフレームメモリとを切り換える入出力同期信号の図である。
【図8】本発明の実施の他の形態に係る液晶表示装置の画素部の詳細を示す概略平面図である。
【図9】上記の液晶表示装置の駆動方法のブロック図である。
【図10】図9に示す液晶表示装置の駆動方法のラインメモリへの画像データの入出力の順序を示す図である。
【図11】図9に示す液晶表示装置の駆動方法のラインメモリへの画像データの入出力を示すタイムチャートである。
【図12】従来の液晶表示装置の概略平面図である。
【図13】従来の液晶表示装置の概略平面図である。
【図14】従来の液晶表示装置の画素部の詳細を示す概略平面図である。
【図15】従来の液晶表示装置の駆動方法のブロック図である。
【符号の説明】
1 TFT基板
2 画素
3 走査線
4 信号線
5 画素電極
6 TFT素子
13 接続部
20 液晶表示装置
21 液晶パネル
25 液晶表示装置
33 走査線
34 信号線
58a・58b フレームメモリ(データ記憶手段)
59a・59b ラインメモリ(データ記憶手段)

Claims (5)

  1. カラー表示のための複数の各カラーフィルタに対応した複数の画素電極を、それぞれ得られる表示画像における上下方向となる方向に並んで有している画素が複数マトリクス状に設けられ、かつ、画像表示する際に動作する走査線が、上記表示画像における上下方向となる方向に沿って配設され、上記各画素電極を駆動する複数の信号線であって、画像表示する際に動作する信号線が上記表示画像における上下方向となる方向に対して交差する方向に沿って配設されている液晶パネルと、
    得られる表示画像における上下方向となる方向に線順次走査するための画像データの配列を上記表示画像における上下方向となる方向に対して交差する方向に線順次走査するための画像データの配列に変換するためのデータ記憶手段と、を備えていることを特徴とする液晶表示装置。
  2. カラー表示のための複数の各カラーフィルタに対応した複数の画素電極を、それぞれ得られる表示画像における上下方向となる方向に並んで有している画素が複数マトリクス状に設けられ、かつ、上記各画素電極を駆動する複数の信号線が、上記表示画像における上下方向となる方向に沿って配設され、走査線が上記複数の画素電極毎に、上記表示画像における上下方向となる方向に対して交差する方向に沿って配設されている液晶パネルと、
    得られる表示画像における上下方向となる方向に線順次走査するための画像データを画素における複数の画素電極に対応する複数の画像データに分解し、前記分解された画像データを順に1/3の時間に圧縮して出力するようにタイミングを制御するためのデータ記憶手段と、を備えていることを特徴とする液晶表示装置。
  3. 液晶パネルが、複数、各画素による表示面を同一平面とするように並べられ、かつ、得られる表示画像における上下方向となる方向に沿った端部で互いに接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  4. 上記画像データは、赤(R)、緑(G)、青(B)各色の画像データであることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  5. 上記データ記憶手段は、赤(R)、緑(G)、青(B)各色の画像データ毎に2個ずつ設けられており、これら2個のデータ記憶手段は交互に作動されるものであることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
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