JP3607113B2 - 貨幣残置方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貨幣残置方法および装置に関し、特に、状況変化に強く柔軟性の向上が図られた貨幣残置方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、交通機関や金融機関の窓口、あるいは、スーパーマーケットや百貨店等のレジでは、貨幣の入出金を自動的に行う貨幣入出金機が採用されている。この貨幣入出金機に収納された貨幣は、通常、1日の業務が終了した後、翌日の釣銭分を残して回収される。
【0003】
従来、この翌日の釣銭分として残置する枚数は、各金種ごとに予め設定され、貨幣入出金機に収納された枚数からこの設定された残置枚数を差し引いて、その残りが売り上げとして回収される。特開平8−212431号公報には、これに類する装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の貨幣入出金装置では、残置枚数を各金種ごとに設定する必要があり、次のような場合に問題となる。即ち、一の金種について残置枚数の不足が発生した場合には、該金種について設定額の残置ができないため、他の窓口や金庫から不足分を補充して釣銭を確保する必要がある。
【0005】
上記のような残置不足が頻繁に発生すると、補充作業が煩雑になり、業務効率に支障を来すことにもなる。一方、この残置不足の問題を解決するために、残置枚数を少な目に設定すると、釣銭不足の問題が発生し易くなる。
【0006】
貨幣入出金は、その日の状況によって常時変化するものであり、予測が困難である。従って、あらゆる状況に対応できるような残置枚数の設定は、一般には成し得ない。このように、予測困難な状況に対する最適化問題を専門に取り扱う分野として、オペレーションズリサーチ(OR)が知られている。オペレーションズリサーチは、システムに内在する法則性を捉えて、制御パラメータを合目的的に決定し、最適化を図る手法である。
【0007】
オペレーションズリサーチは、特定の法則に基づいて設計する技術であるため、このオペレーションズリサーチを用いれば、残置枚数設定の最適化が可能である。即ち、ある程度の状況変化に対応可能な残置枚数の設定値を得ることができる。
【0008】
しかし、どのように最適化された設定であっても、設定値が固定である以上は限界があり、常に、満足する結果が得られるとは限らない。他方、フィードバックシステムのように、貨幣の入出金の程度に応じて、残置金額の設定値を変化させるようなシステムは、煩雑であり好ましくない。
【0009】
このように、日々の状況変化に対応し得る残置方法は、未だ実用化されておらず、貨幣入出金の分野では、比較的柔軟性のある残置方法が求められている。
【0010】
そこで、本発明は、状況変化に強く柔軟性の向上が図られた貨幣残置方法および装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、金種別に収納された貨幣の一部を回収して、各金種ごとの残置枚数を決定する貨幣残置方法において、前記収納された枚数の範囲内で各金種を組み合わせて得られる複数の金額のうち、一の金額を目標残置金額として決定し、この目標残置金額に一致することを条件として、前記各金種の残置枚数を決定することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、残置対象とする複数の金種(i)を設定する工程と、残置したい金額の合計、即ち、設定残置金額(V)を設定する工程と、前記金種ごとの収納枚数(T[i])を計数する工程と、前記収納枚数(T[i])の範囲内で各金種を組み合わせて得られる金額であって、前記設定残置金額(V)の目標値とする目標残置金額(X)を決定する工程と、前記収納枚数(T[i])を各金種の回収枚数(Z[i])の初期値として設定する工程と、前記回収枚数(Z[i])の一部を各金種の残置枚数として決定される決定残置枚数(Y[i])に充当する充当工程と、確認のための試算であって、前記決定残置枚数(Y[i])の合計金額と前記目標残置金額(X)との偏差Bを求める工程と、前記充当の結果減少した回収枚数(Z[i])の範囲内で各金種を組み合わせて、前記偏差Bと一致する金額が得られるか否かを判断し、該偏差Bと一致する金額が得られない場合には、前記充当の結果増加した決定残置枚数(Y[i])を減少させる減少工程と前記充当工程乃至前記減少工程を各金種(i)について実行する工程とを具備する。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記目標残置金額(X)の決定は、高額金種を優先的に組み合わせて行う。
請求項4記載の発明は、請求項2または請求項3記載の発明において、最低残置しておきたい最低残置枚数を各金種ごとに設定する工程をさらに具備し、前記回収枚数(Z[i])から前記決定残置枚数(Y[i])への充当は、前記回収枚数(Z[i])から前記最低残置枚数を減算し、その結果を前記決定残置枚数(Y[i])に加算して行い、前記決定残置枚数(Y[i])の減少は、前記減算後の回収枚数(Z[i])の範囲内で各金種を組み合わせて前記偏差Bと一致する金額が得られるか、または、前記決定残置枚数(Y[i])の値が0になるまで行う。
請求項5記載の発明は、請求項2または請求項3記載の発明において、最低残置しておきたい最低残置枚数を各金種ごとに設定する工程をさらに具備し、前記回収枚数(Z[i])から前記決定残置枚数(Y[i])への充当は、前記回収枚数(Z[i])のデクリメントと前記決定残置枚数(Y[i])のインクリメントを前記偏差Bが0になるまで行う。
請求項6記載の発明は、請求項2または請求項3記載の発明において、残置する金種の優先度を設定する工程をさらに具備し、前記回収枚数(Z[i])から前記決定残置枚数(Y[i])への充当は、前記優先度に従って、前記回収枚数(Z[i])のすべての値を前記決定残置枚数(Y[i])に移動させて行い、前記決定残置枚数(Y[i])の減少は、前記移動後の回収枚数(Z[i])の範囲内で各金種を組み合わせて前記偏差Bと一致する金額が得られるか、または、前記決定残置枚数(Y[i])の値が0になるまで行う。
請求項7記載の発明は、請求項2または請求項3記載の発明において、残置する金種の優先度を設定する工程をさらに具備し、前記回収枚数(Z[i])から前記決定残置枚数(Y[i])への充当は、前記回収枚数(Z[i])のデクリメントと前記決定残置枚数(Y[i])のインクリメントを前記偏差Bが0になるまで行う。
請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の方法を実行する制御部(101)を具備する。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記制御部(101)の実行結果として得られた決定残置枚数(Y[i])と、残置したい金額として予め設定された設定残置金額(V)との差額を表示する不足金額表示手段をさらに具備する。
【0012】
【発明の実施の形態】
(発明の概要)
本発明の一の特徴は、現に収納された枚数の範囲内で各金種を組み合わせて得られる複数の金額のうち、一の金額を目標残置金額として決定し、この目標残置金額に一致することを条件として、前記各金種の残置枚数を決定することにある。
【0013】
本発明は、従来技術のように各金種ごとの残置枚数を設定するという観点からではなく、残置する合計金額を第1の条件にして各金種の残置枚数を決定するという観点から構成される。残置する合計金額へのアプローチは、現在収納されている金種を組み合わせて行う。また、後述するように、金種ごとの優先順位や最低残置枚数等の別の条件を指定する場合には、これらを第1の条件よりも優先度の低い第2の条件とする。
【0014】
金種の組み合わせは、金種の数および各金種の収納枚数に応じて幾通りも存在するため、設定という静的な概念ではなく、状況に応じた動的なアプローチが可能である。例えば、ある金種がまったく収納されていなくても他の金種を残置すれば、所望の残置合計を残すことも可能であり、極めて柔軟性の高い構成であるといえる。
【0015】
しかし、柔軟性の高さは、裏を返せば確実性の低さでもある。例えば、従来技術のように、各金種ごとに残置枚数を固定としておけば、該当金種が十分収納されている場合には、所望の枚数が確実に残置され、その結果、残置金額の合計が一定になる。対して、本発明のように、残置金額を第1の条件として指定し、残置枚数の可変を許容した場合には、複数の解が存在することになり、必ずしも残置金額の合計が一定になるとは言い難い。
【0016】
特に、残置する金種の優先度や最低残置枚数を確保したい場合等の金種の組み合わせに制限を設ける場合には、残置金額の合計が所望の値から外れやすくなる。この問題は、組み合わせに課す制限が厳しければ厳しい程顕著になる。
【0017】
そこで、本発明では、収納された金種を組み合わせて得られる複数の金額のうち、一の金額を目標残置金額として決定する。即ち、この決定した金額を最終的に残置する金額の目標値とするのである。望ましくは、この目標値を所望する残置金額に最も近い値に設定する。さらに望ましくは、目標値を所望金額以下の値に設定する。この方法の詳細は後述する。
【0018】
そして、この目標値を金種を組み合わせる際の条件として、各金種の残置枚数を決定する。該目標値は、現に収納されている枚数の範囲内で決定された値であるため、確実で達成できる値である。従って、最終的に得られる残置金額の合計は、この目標値と一致する。即ち、本発明は、金種配分の柔軟性と残置金額の確実性を両立させる技術といえる。
【0019】
(発明プロセス)
本発明者は、前述した課題を解決すべく、以下に示す過程を経て本発明を完成させるに至った。
まず、本発明者らは、従来の貨幣入出金において残置金額不足が発生する原因を次のように考えた。即ち、従来の方法では、残置枚数の設定が固定しているため、いずれかの金種で残置不足が発生すると、即、残置金額の不足となる。どの金種が不足するかは、その日の入出金状況によるため、この問題の解決は困難である。
【0020】
しかし、ここで見落とされがちなのが次の点である。即ち、例えば、交通機関の入出金について考えてみると、金種ごとの残置枚数はそれほど厳密に満たす必要はなく、それよりも、一定の金額を残置したいという要求が強いことである。
【0021】
このようなニーズに着目してみれば、従来のように、金種ごとの残置枚数にそれほどこだわる必要はなく、むしろ残置金額を第1に考えることが重要である。所望の残置金額を満たせばよいのであれば、この要求は、各金種の多彩な組み合わせにより実現できる。
【0022】
しかし、ここで留意すべき点は、金種の組み合わせ方は膨大であり、必ずしも所望の組み合わせが得られるとは限らないことである。例えば、極端な例では、500円硬貨のみが残って他の金種は残らないという状況も考えられる。これでは、釣銭として機能しない。
【0023】
そこで、本発明者らは、優先度と最低残置枚数という金種の組み合わせを制限する概念を導入した。このような概念の導入は、極端なばらつきの防止に有効である。しかし、ここで問題になるのは、このような制限を課したことによって、所望の金額を達成する最適な金種の組み合わせが得られにくくなるということである。即ち、一の金種のみが残るといった極端な配分はある程度解消するが、所望の残置金額に満たないケースが多発するといった別の問題が表れる。
【0024】
この問題は、トレードオフの問題であり、次のように考えることができる。即ち、金種の配分に課する制限を厳格にすれば、所望の残置金額に満たない確率が高くなり、一方、残置金額を絶対的な条件にすれば、金種の配分に制限を課することができなくなるのである。
【0025】
上記のように考えた本発明者らは、もう一つ重要な点に着目した。その着目点とは、残置金額を絶対的な条件とする必要は必ずしもなく、不足した分または余剰分は、後で調整すればよいという点である。このことは、従来の残置枚数不足の補充とはその意味するところが根本的に異なる。
【0026】
即ち、従来の金種ごとの残置枚数不足は、他の手段によって各金種ごとに補充する必要があるため、状況の変化に起因して比較的多発し易いのに対し、残置金額の補充という概念は、各金種の配分にはこだわらないという側面を有するため、比較的発生しにくく、また、たとえ発生したとしてもその補充分は少なくてすむ。
【0027】
従って、各金種の残置枚数と同様に、残置金額にもある程度の自由度を持たせることができる。このことは、本発明を想到する上で非常に重要な着目点となる。
【0028】
本発明者らは、上記のような観点に基づいて創作行為を繰り返し、貨幣入出金の分野に有効な構成を考え出した。以下、この特徴ある新規な構成を詳細に説明する。
【0029】
(発明の形態)
以下、本発明に係る貨幣残置方法の構成および概念を詳細に説明する。
【0030】
本発明では、貨幣の回収および残置を実行するにあたって、まず、残置対象とする貨幣の金種iを設定する。貨幣は、1万円札や千円札等の紙幣および500円硬貨や100円硬貨等の硬貨の双方を含む概念である。金種とは、貨幣の種類であり、1万円、5千円、千円等の貨幣を額面という視点から捉えた分類形態である。後述の実施例では、硬貨を主として説明しているが、本発明は、紙幣および硬貨の双方をその技術的範囲に含む。ここで、設定した金種が残置金額を達成するために組み合わせられる。
【0031】
次に、残置したい金額の合計(以下、「設定残置金額V」という)を設定する。この設定残置金額Vは、ユーザーが所望する残置金額であり、例えば、翌日の釣銭用として残置しておきたい金額等が該当する。貨幣入出金機に収納された金額のうち、この設定残置金額Vを除いた金額、即ち、回収金額がその日の売り上げとなる。この設定残置金額Vは、常に一定の値を確保することが好ましいが、前述したように、貨幣の入出金は、日々の状況によって変化するため、一定の値を確実に残置することは困難である。本発明では、設定残置金額Vの達成にある程度自由度を持たせて、残置回収処理の柔軟性を優先している。
【0032】
上記2つの工程は、業務開始前に予め設定しておけば、その設定内容が継続して引き継がれる性質を有し、残置回収処理を実行するたびに行う必要はない。
【0033】
次に、前記設定した金種ごとの収納枚数T[i]を計数する。収納枚数T[i]とは、例えば、貨幣入出金機に収納された各金種ごとの枚数である。後述の実施例では、図3に示す金種別収納部41に収納された硬貨の枚数がこの収納枚数T[i]に該当する。収納枚数T[i]を計数は、貨幣が入出金される度に行われる。このような機構は、一般に、貨幣入出金機に設けられる。後述の実施例では、図1に示す計数センサ88と図3に示す硬貨識別部53がこの機構を達成する。貨幣入出金機に残置する枚数と回収する枚数は、この収納枚数T[i]を基に割り当てられるため、収納枚数T[i]の正確な計数は、本発明を実施する上で重要である。この詳細については、後述の実施例で述べる。
【0034】
次に、収納枚数T[i]の範囲内で各金種を組み合わせて得られる金額であって、設定残置金額Vの目標値とする目標残置金額Xを決定する。即ち、目標残置金額Xとは、収納枚数T[i]の範囲内で確実に達成できる金額であり、必ずしも設定残置金額Vと一致しなくてもよい。ただし、目標残置金額Xは、可能な限り設定残置金額Vに近い方が好ましい。これは、最終的に残置された金額と設定残置金額Vの差額の補充を容易にするためである。
【0035】
前述したように、目標残置金額Xは、本発明において第1の条件となり、優先順位や最低残置枚数等の他の条件を支配する。即ち、優先順位や最低残置枚数は若干くずれても、最終的な残置金額を目標残置金額Xに一致させることが本発明の重要なポイントである。
【0036】
目標残置金額Xへの一致を第1条件にすることの技術的意義は、他の条件を課すことによって金種の組み合わせが変動し、合計金額が変動し得ることに着目してみれば理解できる。
【0037】
図27は、金種の組み合わせによる解と設定残置金額Vとの関係を示す概念図である。同図に示すように、金種の組み合わせ方を変えれば、該組み合わせの結果として得られる合計金額も変化する。この合計金額と設定残置金額Vとの差に着目してみると、得られた合計金額を示す輪郭線の落ち込んだ部分が設定残置金額Vに比較的近い値になる。
【0038】
従って、目標残置金額Xは、金種の組み合わせ方によって、設定残置金額Vに近くにも遠くにもなる。このような目標残置金額Xの変動は、金種の組み合わせに課する制限の内容によって変化する。例えば、設定残置金額Vに可能な限り近い解という制限を課した場合には、設定残置金額Vに近い目標残置金額Xが得られるが、金種ごとに残置する優先順位を上記「設定残置金額Vに可能な限り近い解」という条件よりも優先させた場合には、目標残置金額Xが設定残置金額Vから離れた値になる可能性がある。ことのとは、次の命題を考えてみれば理解できる。
【0039】
[130円の命題]
100円硬貨と10円硬貨が以下のように収納されているとき、合計金額が130円に最も近くなる組み合わせを考えよ。
【0040】
・100円硬貨=10枚
・10円硬貨 =10枚
上記命題は、人間であれば、100円硬貨1枚と10円硬貨3枚を組み合わせれば、130円丁度になることが容易に導き出せる。しかし、機械的な直列アルゴリズムは、与えられた条件を忠実に実行するため、条件の与え方によって所望の結果が得られない場合がある。例えば、「10円硬貨を優先的に充当する」という条件を与えた場合には、10円硬貨が先に10枚充当されて、130円に最も近い解が100円になる。このように、金種の優先度を重視するという制限を課した場合には、所望の解が得られない場合が発生する。
【0041】
釣銭として使用される金種の頻度には、業務内容によって決まる法則性があり、残置する優先度を金種ごとに設定することは、貨幣入出金システムにおいて非常に重要である。例えば、一般の小売店では、10円硬貨や1円硬貨が釣銭として多く使用される。従って、これらの硬貨を優先的に残置することが重要であり、この条件を制約として課すことを考慮する必要がある。
【0042】
本発明では、目標残置金額Xを第1の条件とすることで、上記130円の命題のような事態が発生することを防止する。即ち、金種の優先度を反映させることによって組み合わせが変動しても、最終的には目標残置金額Xが得られる。
【0043】
前述したように、目標残置金額Xは、可能な限り設定残置金額Vに近い値であることが望まれる。この可能な限り近い状態を達成するためには、高額金種を優先的に組み合わせて、目標残置金額Xを決定するアルゴリズムが有用である。このことは、前述した130円の命題を再度考えてみれば理解できる。即ち、低額金種を優先すると、端数をあわせることができなくなり、最適な金額が得られる組み合わせがあるにも拘わらず、別の結果になる場合がある。これに対し、高額金種から組み合わせてゆけば、端数は低額金種で充当できるので、設定残置金額Vに確実に近くなる。この高額金種を優先的に組み合わせる具体例は、図9のフローに例示する。
【0044】
上記のようにして、目標残置金額Xを決定した後、収納枚数T[i]を各金種の回収枚数Z[i]の初期値として設定する。回収枚数Z[i]とは、貨幣入出金機から回収する枚数であり、この回収後に残る枚数が残置枚数である。本発明では、回収枚数と残置枚数のバランスを調節しながら解を収束させる。従って、収納枚数T[i]を回収枚数Z[i]の初期値として設定することは、収納枚数T[i]の範囲内で残置配分を決定することを意味する。この具体例は、図11のフローに例示する。
【0045】
次に、回収枚数Z[i]の一部を各金種の残置枚数として決定される決定残置枚数Y[i]に充当する。決定残置枚数Y[i]とは、最終的に貨幣入出金機に残置される枚数である。従って、収納枚数T[i]と、回収枚数Z[i]と、決定残置枚数Y[i]は、以下の関係で捉えることができる。
収納枚数T[i]=回収枚数Z[i]+決定残置枚数Y[i]
この回収枚数Z[i]から決定残置枚数Y[i]への充当には、次の2つの形態を考えることができる。
【0046】
第1は、最低残置枚数の確保を目的とする充当である。最低残置枚数とは、金種ごとに設定された最低残置しておきたい枚数である。この最低残置枚数を確保する方法にも様々な方法が考えられる。本発明では、最低残置枚数を確保する代表的なアルゴリズムを2つ提示する。この詳細は、図12および図13並びに図23および図24に例示する。これらの例では、「ニアエンプティ枚数N[i]+1」が上記最低残置枚数に該当する。
【0047】
第2は、金種の優先度を考慮した充当である。この優先度を考慮した充当にも様々な方法が考えられる。本発明では、この表的なアルゴリズムを2つ提示する。この詳細は、図16および図17並びに図25および図26に例示する。
【0048】
尚、本明細書で開示したアルゴリズムの様々な変形例も考えられるが、これらのすべてを開示することは現実的でないので、本明細書では割愛する。ただし、これらの変形例は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で本発明に含まれるものである。
【0049】
次に、決定残置枚数Y[i]の合計金額と目標残置金額Xとの偏差Bを求める。この偏差Bは、現在割り当てられた決定残置枚数Y[i]の合計が目標残置金額Xにどれだけ近いかを指標するパラメータである。即ち、この偏差Bを0に収束させることが、決定残置枚数Y[i]の合計を目標残置金額Xに一致させることになる。
【0050】
次に、前記充当の結果減少した回収枚数Z[i]の範囲内で各金種を組み合わせて、前記偏差Bと一致する金額が得られるか否かを判断する。これは、現在の決定残置枚数Y[i]の配分が目標残置金額Xに収束する方向にあるか否かを判断するためである。即ち、次のステップでの充当は、この減少後の回収枚数Z[i]の範囲内で行われるため、この減少後の回収枚数Z[i]の範囲内で各金種を組み合わせて偏差Bが達成できなければ、現在の決定残置枚数Y[i]の配分は、解を発散させる方向にあることになる。
【0051】
従って、上記判断の結果、偏差Bと一致する金額が得られない場合には、前記充当の結果増加した決定残置枚数Y[i]を減少させる。これにより、目標残置金額Xへの収束が確実になる。換言すると、本発明は、目標残置金額Xへの収束性を常に軌道修正しながら、最低残置枚数の確保や優先度に従った充当を行うものといえる。
【0052】
以上のように構成される本発明によれば、現在の収納枚数T[i]の範囲内で達成可能な金額が目標値として設定されるため、最低残置枚数や優先度が考慮される場合であっても、設定残置金額Vに近い金額を残置することができる。
【0053】
また、上記目標値や優先度は、絶対的な制限ではなく、ある程度自由度のある動的な制限として課されるため、柔軟性のある回収および残置が期待できる。
【0054】
【実施例】
(要約)
硬貨入出金装置に収納された収納枚数T[i](「i」は金種を示す)の範囲内で目標残置金額Xを決定し、この目標残置金額Xと現在の決定残置枚数Y[i]の合計金額との偏差Bの収束性を判断しながら、各金種の残置配分を決定する(図14参照)。
【0055】
(第1の実施例)
目標値への収束を条件に残置配分を決定するという技術思想は、貨幣入出金の分野において、非常に有用な考え方である。ここでは、この特徴ある技術思想を産業上好ましいと思われる態様で具現化した例を示す。尚、以下に示す実施例は、本発明の一具現化例であり、本発明を限定するものではない。
【0056】
図1は、本発明に係る硬貨入出金装置の内部構造を示す断面図である。同図に示すように、装置本体12は、装置筐体11の前面開口部を通じて、該装置筐体11内に装着される。装置筐体11の両側内壁面には、ガイドレール機構13が配設され、これによって、装置本体12の引出が可能になる。装置本体12は、通常、その前部12aを除くほとんどの部分が装置筐体11内に収容され、メンテナンス時に該装置筐体11から引き出される。
【0057】
図2は、図1に示した装置本体12の外観を示す斜視図である。同図に示すように、装置本体12の前部12aの上部右側には硬貨受入口25が形成され、上部左側には操作部26が形成される。そして、該前部12aの下部左側には受け皿状の硬貨払出口27が形成され、下部右側には着脱収納箱28が配設され、下部中央には電源スイッチ29が配設される。
【0058】
硬貨受入口25は、装置本体12内に投入される硬貨を受け入れる口であり、硬貨払出口27は、装置本体12内に収納された硬貨を払い出す口である。図1に示すように、硬貨払出口27の底面には、開口部31と該開口部31を開閉する蓋体32が設けられる。この蓋体32は、支軸33によって開閉自在に配設される。この蓋体32は、図2に示すように、閉じた状態で硬貨払出口27の底面を構成する。
【0059】
図1および図2の双方に示すように、硬貨払出口27には、払い出された硬貨が収容量一杯になったことを検知する硬貨払出口満杯検知手段34が配設される。この硬貨払出口満杯検知手段34は、発光器と受光器の対からなるフォトセンサで構成される。このフォトセンサによって、硬貨払出口27の上端近傍に光軸が形成される。
【0060】
図1に示すように、装置本体12は、硬貨を金種別に区分収納する金種別収納部41を備える。金種別収納部41は、硬貨受入口25に投入された硬貨を1枚ずつ取り込む入金機構と、出金指令に応じて必要な硬貨を硬貨払出口27に払い出す出金機構と、硬貨回収指令に応じて硬貨を硬貨払出口27に払い出す回収機構とを有する。
【0061】
硬貨受入口25の下側には、図3に示すように第1の平ベルト42が前後方向に沿って配設される。この第1の平ベルト42が回転駆動して硬貨が搬送される。
【0062】
図3は、図1に示した金種別収納部41の構造を示す平面図である。同図に示すように、金種別収納部41には硬貨通路44が配設され、この硬貨通路44の入り口に上記第1の平ベルト42の後端が接続される。硬貨通路44は、装置本体12の右側に沿って配設された硬貨識別通路部側板47と、装置本体12の後側に沿って配設された金種別硬貨選別通路部46とを有する。
【0063】
硬貨通路44は、通路の底面を構成する通路板47と、通路の両側を構成する第1ガイド側板48および第2ガイド側板49との間に形成され、硬貨は、硬貨識別通路部側板47と金種別硬貨選別通路部46の上方に沿って配設された第1搬送ベルト50および第2搬送ベルト51と、図1に示す第3搬送ベルト52によって搬送される。尚、該各搬送ベルトによる硬貨の搬送速度は、第1の平ベルト42による硬貨の繰り込み速度よりも速く設定されるため、硬貨識別通路部側板47内に繰り込まれた硬貨は、1枚ずつ前後の間隔があいた状態で搬送される。
【0064】
硬貨識別通路部側板47では、第1ガイド側板48が通路の中央側に突出し、硬貨搬送時の第1の基準縁48aとなる。そして、この第1の基準縁48aに対応して、硬貨識別部53と硬貨選別部リジェクト口54が上流側から順に配設される。硬貨識別部53は、硬貨の材質、直径、孔の有無等に基づいて、該硬貨の異常と金種を識別し、硬貨選別部リジェクト口54は、硬貨識別部53が異常を検出した時と、金種別収納部41が満杯になった時にこれらの硬貨を強制的に落下させる。この硬貨選別部リジェクト口54は、通路板47に穿孔形成された第1の選別孔55と、硬貨を通路内外に進退移動させる第1のシャッタ56と、該第1のシャッタ56を操作する第1ソレノイドSD1によって構成される。
【0065】
第1の選別孔55の下側には、該第1の選別孔55から落下した硬貨を図2に示す着脱収納箱28に導く図示しないシュートが取り付けられる。第1のシャッタ56は、通常通路内に進入した状態になっており、硬貨識別部53で正常と識別された硬貨の通過が許容される。一方、硬貨識別部53で硬貨の異常が検知されると、第1のシャッタ56が通路外に退避して、硬貨が第1の選別孔55から落下し、着脱収納箱28に収納される。着脱収納箱28には、図2に示すように錠機構65が設けられる。
【0066】
金種別硬貨選別通路部46では、第2ガイド側板49が通路の中央側に突出し、第2の基準縁49aとなる。この金種別硬貨選別通路部46には、第2の基準縁49aに沿って、各金種の直径に対応した第2の選別孔58が小径硬貨から大径硬貨の順に形成される。ただし、5円硬貨の直径と100円硬貨の直径は、区別しにくいため、5円硬貨を強制的に選別する5円硬貨選別部リジェクト口54が最上流位置に設けられる。この5円硬貨選別部リジェクト口54は、硬貨を通路内外に進退移動させる第2のシャッタ60と、該第2のシャッタ60を操作する第2ソレノイドSD2によって構成される。
【0067】
上記第2の選別孔58の上流側には、搬送中の硬貨を検知する図示しないタイミングセンサが配設される。このタイミングセンサによって、5円硬貨が5円硬貨選別部リジェクト口54に到達することが検知されると、第2のシャッタ60が通路外に退避して、5円硬貨が第2の選別孔58から落下する。一方、搬送中の硬貨が5円硬貨でない場合には、第2のシャッタ60が通路内に進入し、該硬貨が5円硬貨選別部リジェクト口54を通過することになる。そして、該当する第2の選別孔58で落下して、金種別収納部41に区分収納される。
【0068】
金種別収納部41は、図3に示すように、金種別に区画形成され、各区画部の底面は、図1に示す第2の平ベルト84によって構成される。図1に示すように、この第2の平ベルト84の前端上方には、該第2の平ベルト84の進行方向と逆方向に回転駆動する第2の逆転ローラ85が配設される。この第2の逆転ローラ85によって、第2の平ベルト84上の硬貨は、1枚ずつの通過に規制される。
【0069】
第2の逆転ローラ85の下流には、第2の平ベルト84によって搬送された硬貨を停止させるストッパ機構86が設けられ、該ストッパ機構86の下流には、ストッパ機構86を通過した硬貨の枚数を計数する計数センサ88が配設される。そして、第2の平ベルト84の終端には、シュート89が接続され、このシュート89によって各硬貨が硬貨払出口27に導かれる。
【0070】
図4は、図2に示した操作部26の構成を示す平面図である。同図に示すように、操作部26には、入金、出金、在高、不足金額等の金額情報を表示する金額表示部91と、金種別に設けられた金種指定ボタン92aおよび着脱収納箱28にされた硬貨をリジェクトするリジェクト指定ボタン92bからなる指定ボタン92と、該指定ボタンに対応して設けられた金種別収納量表示部93と、釣銭用の硬貨を払い出すマニュアル払出ボタン94と、金種別に硬貨を回収させる個別回収ボタン95と、全金種を一斉に回収させる一括回収ボタン96と、金種別収納部41および着脱収納箱28の在高を順次金額表示部91に表示させる在高表示ボタン97と、操作を取り消すリセットボタン98と、入金硬貨の収納を開始させるスタートボタン99が配置される。
【0071】
金種指定ボタンの下に設けられた金種別収納量表示部93は、各金種のニアエンプティ状態を表示する。例えば、500円硬貨がニアエンプティよりも1枚少ない場合には、「1」の数値が表示される。リジェクト指定ボタン92bの下に設けられた金種別収納量表示部93は、リジェクトすべき異常硬貨がある場合に点灯する。
【0072】
図5は、本発明に係る硬貨入出金装置を制御する制御部の接続構成を示すブロック図である。同図に示すように、制御部101には、操作部26と、第1の平ベルト42、第2の平ベルト84、第1搬送ベルト50、第2搬送ベルト51および第3搬送ベルト52を駆動するモーター102と、第1ソレノイドSD1および第2ソレノイドSD2と、硬貨識別部53や計数センサ88等のセンサ群103と、検知手段16と、硬貨払出口満杯検知手段34と、マニュアル払出ボタン94が押下されたときに払い出す釣銭の金種と枚数を記憶するマニュアル払出枚数記憶部104と、マニュアル払出ボタン94が押下されたときの操作履歴を記憶する操作履歴記憶部105と、金種別収納部41に収納された硬貨および着脱収納箱28に収納された硬貨の収納枚数を記憶する収納枚数記憶部106と、各種設定を記憶する設定記憶部110が接続される。
【0073】
また、制御部101には、図1に示すキャッシュレジスタ107が接続され、該キャッシュレジスタ107と制御部101との間で相互通信が行われる。この相互通信時には、制御部101からキャッシュレジスタ107に入金硬貨の金額信号が出力され、この信号を受けたキャッシュレジスタ107から制御部101に釣銭払出信号が出力される。制御部101は、この釣銭払出信号に基づいて各部をコントロールし、その結果、図2に示す硬貨払出口27に釣銭が払い出される。この制御部101は、前述した装置本体12の入金機構、出金機構および回収機構の制御も行う。
【0074】
制御部101は、装置本体12が装置筐体11内に収容された状態と所定の長さだけ引き出された状態で、キャッシュレジスタ107からの硬貨回収指令を受け付ける。そして、装置本体12の回収機構を制御して、硬貨の回収を開始する。硬貨回収時には、硬貨払出口満杯検知手段34が硬貨払出口27の状態を常時検知する。制御部101は、硬貨払出口満杯検知手段34の検知結果に基づいて、硬貨払出の一時停止および再開を制御する。硬貨払出口27に払い出された硬貨は、開口部31を通って、レジ台108の回収ボックス109に放出される。
【0075】
次に、上記のように構成される硬貨入出金装置の動作例を簡単に説明する。
【0076】
レジ係員が顧客から受け取った硬貨を硬貨受入口25に投入し、操作部26のスタートボタン99を押下すると、制御部101は、装置本体12の入金機構を制御して入金処理を開始する。
【0077】
入金処理が開始されると、硬貨受入口25に投入された硬貨は、第1の平ベルト42と第1の逆転ローラ43によって、1枚ずつ硬貨通路44の硬貨識別通路部側板47に繰り込まれる。そして、硬貨識別部53で識別され、正常硬貨かつオーバーフロー硬貨でなければ、硬貨選別部リジェクト口54を通過して、金種別硬貨選別通路部46に送り込まれる。その後、金種別に分類されて金種別収納部41に分類収納される。一方、硬貨識別部53で異常硬貨やオーバーフロー硬貨が発生すると、該硬貨は、着脱収納箱28に収納される。
【0078】
硬貨識別部53の識別結果は、図5に示す収納枚数記憶部106の記憶内容に反映される。即ち、硬貨識別部53が硬貨の金種を識別するごとに、該当金種の収納枚数がインクリメントされる。制御部101は、硬貨識別部53で所定時間以上硬貨が検出されなかったときに入金処理を停止する。
【0079】
続いて、制御部101は、キャッシュレジスタ107から釣銭払出信号を受け取ると、出金処理を開始する。出金処理が開始されると、金種別収納部41に設けられた該当金種のストッパ機構86が解除されて通過許容状態になり、他のストッパ機構86は停止状態になる。
【0080】
その後、第2の平ベルト84と第2の逆転ローラ85との回転によって、金種別収納部41内の硬貨が払出方向に向かって移動する。この移動した硬貨のうち、ストッパ機構86が解除された金種の硬貨のみが第2の平ベルト84の前端から1枚ずつ繰り出される。そして、該繰り出された硬貨は、計数センサ88で検知され、出金枚数に達すると、ストッパ機構86が停止状態に切り換えられて、硬貨の繰り出しが停止する。
【0081】
釣銭払出信号に対応した全ての出金が完了すると、制御部101は、出金処理を停止する。計数センサ88の検知結果は、図5に示す収納枚数記憶部106の記憶内容に反映される。即ち、計数センサ88が硬貨の通過を検知するごとに、該当金種の収納枚数がデクリメントされる。このようにして、金種別収納部41から繰り出された硬貨は、硬貨払出口27に払い出され、レジ係員によって顧客に釣銭として渡される。
【0082】
一方、操作部26の指定ボタン92が押下されると、制御部101は、装置本体12の回収機構を制御して、回収処理を開始する。このとき、金種指定ボタン92aが押下された場合には、金種別の回収が行われ、一括回収ボタン96が押された場合には、全ての硬貨が硬貨払出口27に払い出される。硬貨払出口27に払い出された硬貨は、図1に示す蓋体32の操作によって、回収ボックス109内に放出され、一括回収される。
【0083】
上記回収処理は、予め設定された残置金額を金種別収納部41に残し、それ以外の硬貨を回収する処理である。この回収処理は、本発明の特徴的な部分であるため、その詳細な内容を以下に説明する。
【0084】
図6は、回収処理を行うにあたって予め実行される初期設定処理の実行手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて、該初期設定処理の実行手順を説明する。尚、この処理は、ユーザーからの入力操作によって行われ、一度設定すれば、その設定状態が維持されるものとする。
【0085】
ユーザーは、まず、回収および残置対象とする金種iを設定する(ステップS100)。その後、金種別収納部41に残したい合計金額、即ち、設定残置金額Vを設定し(ステップS102)、残置する優先順位P[i]を設定し(ステップS104)、金種別収納部41に最低確保しておきたい枚数、即ち、ニアエンプティ枚数N[i]を設定する(ステップS106)。ここで、[i]なる表記は、本明細書において、「各金種ごと」を意味するものとする。例えば、P[500]は、500円硬貨の優先順位を意味し、N[100]は、100円硬貨のニアエンプティ枚数を意味する。これらの設定内容は、図5の設定記憶部110に記憶され、変更があるまで保持される。
【0086】
図7は、図6の初期設定処理による設定例を示す概念図である。同図に示す例では、設定金種iとして、500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨および1円硬貨が設定され、該設定された各金種の優先順位P[i]およびニアエンプティ枚数N[i]は、それぞれ同図に示すように設定される。また、設定残置金額Vは、「3000円」に設定される。以下の説明は、この設定例に基づいて行う。
【0087】
図8は、図6に示した初期設定終了後に行われる残置可否判断処理の実行手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて、該残置可否判断処理の実行手順を説明する。
【0088】
制御部101は、まず、図5の収納枚数記憶部106に記憶された各金種ごとの収納枚数T[i]を用いて、在高金額Aを算出する(ステップS200)。ここで、同図中で使用する「Σ」の記号は、
上式のように解するものとする。以後、図中の「Σ」は、上式と同様の意味を有するものとする。
【0089】
次に、上記のようにして算出した在高金額Aを図5の設定記憶部110に記憶された設定残置金額Vを比較し(ステップS202)、在高金額Aの方が大きいときは、図9に示すステップS300に進む(ステップS202でNO)。
【0090】
一方、設定残置金額Vの方が大きいときは(ステップS202でYES)、在高金額不足であるため、不足金額V−Aを図4の金額表示部91に表示して(ステップS204)、処理を終了する。この表示により、ユーザーは、所定金額の残置ができなかったことを知り、他の収納庫から金額の補充等を行う。
【0091】
図9は、図8に示した処理の実行後に行われる目標値決定処理の実行手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて、この目標値決定処理の実行手順を説明する。
【0092】
制御部101は、まず、設定残置金額Vに達するまでの残額VVの初期値として、設定残置金額Vを代入するとともに、変数iの初期値を500に設定する(ステップS300)。このVVは、硬貨の組み合わせが設定残置金額Vにどれだけ近づいているかを指標するパラメータになる。このVVが0になれば、設定残置金額V丁度の組み合わせが存在するということである。
【0093】
変数iは、処理対象となる金種を示す変数である。この変数iは、処理が進むにつれて、500→100→50→10→5→1の順にシフトする。以下、変数iのシフトと述べたときは、この高額から低額の順番にシフトするものとする。
【0094】
次に、制御部101は、前記VVを金種iで割った商を該金種iの目標残置金額決定用金種別枚数W[i]に設定する(ステップS302)。この処理は、VVを最大限埋めることができる金種iの枚数を求める処理である。この除算で余りが出た場合は、これを切り捨てて、商のみを目標残置金額決定用金種別枚数W[i]とする。余りを切り捨てる理由は、目標残置金額Xを設定残置金額Vよりも常に低く設定するためである。
【0095】
制御部101は、続いて、上記設定した目標残置金額決定用金種別枚数W[i]を収納枚数T[i]と比較し(ステップS304)、収納枚数T[i]が目標残置金額決定用金種別枚数W[i]よりも大きかった場合には(ステップS304でNO)、ステップS308に進む。一方、目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の方が大きかった場合には(ステップS304でYES)、該収納枚数T[i]を目標残置金額決定用金種別枚数W[i]とする(ステップS306)。これは、収納枚数T[i]以上の充当ができないためである。
【0096】
その後、前記VVから目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の合計金額を引いて、VVを更新する(ステップS308)。その結果、当該目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の充当分だけ、VVが0に近づく。そして、変数iをシフトして(ステップS310)、処理対象を次の金種に移行する。
【0097】
上記一連の処理を全ての金種について実行し(ステップS312でNO)、全ての金種について処理が終了したときは(ステップS312でYES)、全金種の目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の合計金額を算出し、これを目標残置金額Xとする(ステップS314)。この目標残置金額Xが現在収納された硬貨で達成可能な設定残置金額Vに最も近い金額となる。
【0098】
図10は、図9に示した処理の過程を示す概念図である。図5の収納枚数記憶部106に記憶された収納枚数T[i]が同図の如くである場合には、図9の処理は、次のような出力結果を示す。
【0099】
まず、処理前は、各金種の目標残置金額決定用金種別枚数W[i]が0である(シフト回数にハイフンが記入された行)。そして、最初の処理(シフト回数が0)で変数iが500に設定され、処理対象が500円硬貨になる。その結果、500円硬貨の収納枚数T[500]が500円硬貨の目標残置金額決定用金種別枚数W[500]に充当されて、W[500]が1になる。このとき変化したセルを太枠で示す(以下同様に変化したセルは太枠で示すものとする)。これにより、目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の合計金額が500円になる(この値は、図9に示す処理で計算されるものではないが理解補助のために記載する)。
【0100】
続いて、変数iが1回シフトすると、100円硬貨が処理対象に設定され、100円硬貨の収納枚数T[100]が100円硬貨の目標残置金額決定用金種別枚数W[100]に充当されて、W[100]が25になる。その結果、目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の合計金額が設定残置金額Vと同額になり、目標残置金額Xが3000円に設定されて処理が終了する。
【0101】
上記の例では、目標残置金額Xが設定残置金額Vと同じになったが、収納枚数T[i]の内容によっては、目標残置金額Xと設定残置金額Vとの間に差が生じる場合がある。このような場合は、図9に示した処理によって、設定残置金額Vに最も近い金額が目標残置金額Xになる。このようなケースは、後に例示する。
【0102】
図11は、図9に示した処理の実行後に行われる回収枚数の初期設定処理の実行手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて、この初期設定処理の実行手順を説明する。
【0103】
ます、変数iの初期値を500に設定する(ステップS400)。そして、回収枚数の決定用に用意した変数Z[i]に収納枚数T[i]を代入する(ステップS402)。この回収枚数Z[i]が図3の金種別収納部41から回収する枚数になる。
【0104】
そして、変数iをシフトし(ステップS404)、処理対象を次の金種に移して、上記処理を全ての金種について実行する(ステップS406でNO)。全ての金種について処理が終了したときは(ステップS406でYES)、図12に示す処理に進む。この処理を実行した結果、回収枚数Z[i]の初期値として、収納枚数T[i]がセットされる。
【0105】
図12は、図11に示した処理の実行後に行われる最低残置枚数の確保処理の第1の実行手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて、この第1の実行手順を説明する。
【0106】
制御部101は、まず、優先順位を示す変数Pの初期値を1に設定する(ステップS500)。そして、該変数Pが示す順に金種を変数jに格納する(ステップS502)。以後の処理では、この変数jで示す金種が処理対象となる。尚、以後の説明において、金種を特定する変数として、この変数jを用いたときは、処理対象となる金種が優先順位に従ってシフトするものとする。
【0107】
次に、該当金種のニアエンプティ枚数N[j]が0であるかどうかを判断し(ステップS504)、0であった場合には(ステップS504でYES)、最低残置枚数の確保が不要であるため、図13に示すステップS560に進み、当該金種についての処理をパスする。
【0108】
一方、0でなかった場合には(ステップS504でNO)、最低残置枚数を確保する必要があるため、ニアエンプティ枚数N[j]に1を加えた値を変数Cに代入する(ステップS506)。ここで、1を加える理由は、ニアエンプティ枚数N[j]に1枚余裕を持たせるためである。
【0109】
そして、上記変数Cと回収枚数Z[j]とを比較し(ステップS508)、回収枚数Z[j]の方が大きい場合には(ステップS508でNO)、変数Cの充当が可能であるため、そのままステップS512に進む。
【0110】
一方、変数Cの方が大きい場合には(ステップS508でYES)、変数Cを充当するには回収枚数Z[j]が足りないため、変数Cの値を回収枚数Z[j]とする(ステップS510)。
【0111】
その後、回収枚数Z[j]から変数Cの値を引いて、該回収枚数Z[j]の値を更新し(ステップS512)、残置枚数の決定用に用意した変数Y[j]に変数Cの値を代入する(ステップS514)。この決定残置枚数Y[j]が図3の金種別収納部41に釣銭用として残置する枚数となる。
【0112】
上記一連の処理により、最低残置しておきたい枚数が決定残置枚数Y[j]に充当される。上記処理は、最低残置枚数を一時的に充当するだけの処理であり、この充当によって、最終的な解である決定残置枚数Y[i]の合計金額が目標残置金額Xと一致しなくなった場合には、これを修正する必要がある。
【0113】
図13は、図12に示した処理の実行後に行われる最低残置枚数の確保処理の第2の実行手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて、この第2の実行手順を説明する。
【0114】
まず、制御部101は、図14に示すサブルーチンを実行して、上記充当が目標残置金額Xの達成を可能にするものであるか否かを判断する(ステップS550)。当該サブルーチンは、目標残置金額Xの達成が可能である場合には、変数Bを0に設定して復帰し、達成不能である場合には、0以外の値を設定して復帰する。このサブルーチンの実行手順は後述する。
【0115】
図14に示すサブルーチンの実行後、目標残置金額Xの達成が可能と判断した場合には(ステップS552でYES)、図12に示した処理での充当は、目標残置金額Xの達成が可能と試算できるため、そのままステップS560に進む。
【0116】
一方、目標残置金額Xの達成が可能と判断した場合には(ステップS552でNO)、図12に示した処理での充当は、条件を満足しないため、回収枚数Z[j]をインクリメントし(ステップS554)、決定残置枚数Y[j]をデクリメントする(ステップS556)。その結果、決定残置枚数Y[j]が図12で充当した状態から1枚減少し、解が収束方向に向かう。
【0117】
このとき、決定残置枚数Y[j]が0であれば(ステップS558でYES)、図12の充当は、初めから行われなかったものとなるため、解は再び目標残置金額Xに収束する。一方、決定残置枚数Y[j]が0でなければ(ステップS558でNO)、図12の充当効果が依然残っているため、解が目標残置金額Xに収束するかどうかを判断し、必要であれば調整する必要がある。ステップS550〜ステップS556までの繰り返しは、解を収束方向に軌道修正する調整ステップである。
【0118】
最終解の収束方向が目標残置金額Xに向けられた後は(ステップS552でYES、ステップS558でYES)、変数Pをインクリメントして(ステップS560)、処理対象となる金種をシフトする。そして、上記一連の処理を全ての金種について実行し(ステップS562でNO)、全ての金種について処理が終了したときは(ステップS562でYES)、図16に示す処理に進む。この処理を実行した結果、目標残置金額Xの達成が可能な状態で最低残置枚数が確保される。
【0119】
図14は、サブルーチンとして実行される目標値達成可否判断処理の実行手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて、この目標値達成可否判断処理の実行手順を説明する。
【0120】
このサブルーチンでは、まず、各金種の決定残置枚数Y[i]の合計金額を算出し、これを変数XXに代入する(ステップS600)。そして、図9で求めた目標残置金額Xから数XXの値を減算して、目標残置金額Xと目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の合計金額との偏差Bを求める(ステップS602)。この偏差Bは、目標残置金額Xに達するまでに、どれだけ充当すればよいかを示すパラメータとなる。その後、変数iの初期値を500に設定し(ステップS604)、当該サブルーチンの初期設定を終了する。
【0121】
次に、上記求めた偏差Bを変数iで除して、その結果を変数Dに代入する(ステップS604)。この変数Dは、偏差Bを0に収束させるために必要な当該金種の枚数である。そして、この変数Dの値と金種iの回収枚数Z[i]とを比較し(ステップS608)、回収枚数Z[i]の方が大きい場合には(ステップS608でNO)、変数Dの値だけ充当することができるので、そのままステップS612に進む。
【0122】
一方、変数Dの方が大きい場合には(ステップS608でYES)、現在の収納枚数では充当できないため、当該収納枚数T[i]のずべてを変数Dに格納する(ステップS610)。
【0123】
その後、上記のようにして決定された変数Dが示す枚数だけ、金種iを充当したものと仮定して、偏差Bの値を更新する(ステップS612)。その結果、この充当された分だけ偏差Bが0に近づく。
【0124】
その後、変数iをシフトし(ステップS614)、上記一連の処理を全ての金種について実行する(ステップS616でNO)。全ての金種について処理が終了した後(ステップS616でYES)、メインルーチンに復帰する。
【0125】
上記処理の結果、偏差Bの値が0になっていれば、現在割り当てられた決定残置枚数Y[i]で目標残置金額Xの達成が可能である。偏差Bの値は、復帰時にメインルーチンに引き渡される。
【0126】
図15は、図11乃至図13に示した処理の過程を示す概念図である。これらの処理は、次のような出力結果を示す。
【0127】
まず、図11の処理により、回収枚数Z[j]の初期値として、図10に示した収納枚数T[i]がそのまま格納される。一方、決定残置枚数Y[j]は、全て0になっている(優先順位にハイフンが記入された行)。そして、最初の処理(優先順位が1)で変数jが10に設定され、処理対象が10円硬貨になる。その結果、10円硬貨のニアエンプティ枚数N[10]に1を加えた値である5枚がZ[10]から減算されて、Y[10]に加算される。この演算は、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、そのまま次の金種に処理が移行する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は50円になる。
【0128】
次に、優先順位が2にシフトして、変数jが100に設定され、処理対象が100円硬貨になる。その結果、100円硬貨のニアエンプティ枚数N[100]に1を加えた値である5枚がZ[100]から減算されて、Y[100]に加算される。この演算も、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、そのまま次の金種に処理が移行する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は550円になる。
【0129】
次に、優先順位が3にシフトして、変数jが1に設定され、処理対象が1円硬貨になる。その結果、1円硬貨のニアエンプティ枚数N[1]に1を加えた値である5枚がZ[1]から減算されて、Y[1]に加算される。この演算も、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、そのまま次の金種に処理が移行する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は555円になる。
【0130】
次に、優先順位が4にシフトして、変数jが50に設定され、処理対象が50円硬貨になる。その結果、50円硬貨のニアエンプティ枚数N[50]に1を加えた値である2枚がZ[50]から減算されて、Y[50]に加算される。この演算も、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、そのまま次の金種に処理が移行する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は655円になる。
【0131】
次に、優先順位が5にシフトして、変数jが5に設定され、処理対象が5円硬貨になる。ここで、5円硬貨のニアエンプティ枚数N[5]は0であるため、Z[5]およびY[5]の値は変更されず、次の金種に処理が移行する。従って、このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は655円のままになる。
【0132】
次に、優先順位が6にシフトして、変数jが500に設定され、処理対象が500円硬貨になる。ここで、500円硬貨のニアエンプティ枚数N[500]に1を加えた値は、2枚であるが、Z[500]には1枚しかないため、Y[500]には1が適用される。この演算も、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、処理がそのまま終了する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は1155円になる。
【0133】
図16は、図13に示した処理の実行後に行われる残置枚数決定処理の第1の実行手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて、この第1の実行手順を説明する。
【0134】
制御部101は、まず、優先順位を示す変数Pの初期値を1に設定する(ステップS700)。そして、該変数Pが示す順に金種を変数jに格納する(ステップS702)。以後の処理では、この変数jで示す金種が処理対象となる。
【0135】
次に、該当金種の回収枚数Z[j]の全てを決定残置枚数Y[j]に充当して(ステップS704)、該回収枚数Z[j]をクリアする(ステップS706)。この処理は、回収枚数Z[j]の全てを決定残置枚数Y[j]に一時的に充当するだけの処理であり、この充当によって、最終的な解である決定残置枚数Y[i]の合計金額が目標残置金額Xと一致しなくなった場合には、これを修正する必要がある。
【0136】
図17は、図13に示した処理の実行後に行われる残置枚数決定処理の第2の実行手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて、この第2の実行手順を説明する。
【0137】
まず、制御部101は、図14に示すサブルーチンを実行して、上記充当が目標残置金額Xの達成を可能にするものであるか否かを判断する(ステップS752)。このサブルーチンは、前述した最低残置金額の確保で用いたものと同じルーチンである。
【0138】
図14に示すサブルーチンの実行後、目標残置金額Xの達成が可能と判断した場合には(ステップS752でYES)、図16に示した処理での充当が目標残置金額Xを達成できると試算できるため、そのままステップS760に進む。
【0139】
一方、目標残置金額Xの達成が可能と判断した場合には(ステップS752でNO)、図16に示した処理での充当は、条件を満足しないため、回収枚数Z[j]をインクリメントし(ステップS754)、決定残置枚数Y[j]をデクリメントする(ステップS756)。その結果、決定残置枚数Y[j]が図16で充当した状態から1枚減少し、解が収束方向に向かう。
【0140】
このとき、決定残置枚数Y[j]が0であれば(ステップS758でYES)、図16の充当は、初めから行われなかったものとなるため、解は再び目標残置金額Xに収束する。一方、決定残置枚数Y[j]が0でなければ(ステップS758でNO)、図16の充当効果が依然残っているため、解が目標残置金額Xに収束するかどうかを判断し、必要であれば調整する必要がある。ステップS750〜ステップS756までの繰り返しは、解を収束方向に軌道修正する調整ステップである。
【0141】
最終解の収束方向が目標残置金額Xに向けられた後は(ステップS752でYES、ステップS758でYES)、変数Pをインクリメントして(ステップS760)、処理対象となる金種をシフトする。そして、上記一連の処理を全ての金種について実行し(ステップS762でNO)、全ての金種について処理が終了したときは(ステップS762でYES)、次に示す回収処理と表示処理を実行する(ステップS764)。
【0142】
まず、制御部101は、装置本体12の回収機構を制御して、回収枚数Z[i]が示す枚数を図3の金種別収納部41から硬貨払出口27に払出し、決定残置枚数Y[i]が示す枚数を金種別収納部41に残置する。このときの決定残置枚数Y[i]の合計金額は、目標残置金額Xに一致する。従って、金種別収納部41には、目標残置金額Xが釣銭として残置される。
【0143】
次に、制御部101は、設定記憶部110に記憶された設定残置金額Vと上記目標残置金額Xとの差額を求めて、これを図4の金額表示部91に表示する。同時に、当該差額の補充に要する枚数を各金種ごとに算出し、その結果を金種別収納量表示部93に表示する。
【0144】
この表示された金額は、設定残置金額Vに対する不足金額である。従って、この表示された金額を金種別収納部41に補充すれば、該補充した額と回収金額との差額が利益になる。補充すべき枚数は、金種別収納量表示部93に金種ごとに表示されるため、ユーザーにとって便利である。
【0145】
次に、制御部101は、決定残置枚数Y[i]がニアエンプティ枚数N[i]に1を加えた値よりも多いか否かを判断し、ニアエンプティ枚数N[i]+1に満たない場合には、足りないことを金種別収納量表示部93に表示する。この表示によって、ユーザーは、最低残置枚数が確保されていないことを知る。
【0146】
図18は、図16および図17に示した処理の過程を示す概念図である。これらの処理は、次のような出力結果を示す。
【0147】
まず、図16の処理を開始するにあたっては、図15に示した優先順位が6の回収枚数Z[j]および決定残置枚数Y[j]が初期値となる(優先順位にハイフンが記入された行)。そして、最初の処理(優先順位が1)で変数jが10に設定され、処理対象が10円硬貨になる。その結果、10円硬貨の回収枚数Z[10]がY[10]に充当される。この演算は、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、そのまま次の金種に処理が移行する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は1475円になる。
【0148】
次に、優先順位が2にシフトして、変数jが100に設定され、処理対象が100円硬貨になる。その結果、100円硬貨の回収枚数Z[100]がY[100]に充当される。ここで、Y[100]が21枚以上の場合は、目標残置金額Xが達成できなくなるため、Y[100]の値は、20までデクリメントされる。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は2975円になる。
【0149】
次に、優先順位が3にシフトして、変数jが1に設定され、処理対象が1円硬貨になる。その結果、1円硬貨の回収枚数Z[1]がY[1]に充当される。ここで、Y[1]が21枚以上の場合は、目標残置金額Xが達成できなくなるため、Y[1]の値は、20までデクリメントされる。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は2990円になる。
【0150】
次に、優先順位が4にシフトして、変数jが50に設定され、処理対象が50円硬貨になる。その結果、50円硬貨の回収枚数Z[50]がY[50]に充当される。この演算は、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、そのまま次の金種に処理が移行する。従って、このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は2990円のままになる。
【0151】
次に、優先順位が5にシフトして、変数jが5に設定され、処理対象が5円硬貨になる。ここで、5円硬貨の回収枚数Z[5]は20枚あるが、目標残置金額Xとの差額が10円まできているため、Y[5]には、2枚だけ充当され、次の金種に処理が移行する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は3000円になる。
【0152】
次に、優先順位が6にシフトして、変数jが500に設定され、処理対象が500円硬貨になる。この段階では、既に、目標残置金額Xである3000円が達成されているため、500円硬貨の充当は行われない。従って、このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は3000円のままである。
【0153】
(第2の実施例)
上述した第1の実施例では、目標残置金額Xが設定残置金額Vと一致する場合を例示したが、本実施例では、目標残置金額Xが設定残置金額Vと一致しない場合を例示する。尚、本実施例の実行手順は、第1の実施例と同じであるため、ここでは、処理過程のみを取り上げて説明する。
【0154】
図19は、図6の初期設定処理による設定例を示す概念図である。同図は、第1の実施例の図7に対応する図であり、この設定例では、設定残置金額Vが900円に設定される。
【0155】
図20は、図9に示した処理の過程を示す概念図である。同図は、第1の実施例の図10に対応する図である。第2の実施例の場合、図9の処理は、次のような出力結果を示す。
【0156】
まず、処理前は、各金種の目標残置金額決定用金種別枚数W[i]が0である(シフト回数にハイフンが記入された行)。そして、最初の処理(シフト回数が0)で変数iが500に設定され、処理対象が500円硬貨になる。その結果、500円硬貨の収納枚数T[500]が500円硬貨の目標残置金額決定用金種別枚数W[500]に充当されて、W[500]が1になる。これにより、目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の合計金額が500円になる。
【0157】
続いて、変数iが1回シフトすると、100円硬貨が処理対象に設定され、100円硬貨の収納枚数T[100]が100円硬貨の目標残置金額決定用金種別枚数W[100]に充当されて、W[100]が1になる。その結果、目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の合計金額が600円になる。
【0158】
続いて、変数iがさらに1回シフトすると、50円硬貨が処理対象に設定される。しかし、50円硬貨の収納枚数T[50]は0であるので、50円硬貨の目標残置金額決定用金種別枚数W[50]には充当されない。従って、目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の合計金額は600円のままである。
【0159】
続いて、変数iがさらに1回シフトすると、10円硬貨が処理対象に設定され、10円硬貨の収納枚数T[10]が10円硬貨の目標残置金額決定用金種別枚数W[10]に充当されて、W[10]が10になる。その結果、目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の合計金額が700円になる。
【0160】
続いて、変数iがさらに1回シフトすると、5円硬貨が処理対象に設定され、5円硬貨の収納枚数T[5]が5円硬貨の目標残置金額決定用金種別枚数W[5]に充当されて、W[5]が20になる。その結果、目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の合計金額が800円になる。
【0161】
続いて、変数iがさらに1回シフトすると、1円硬貨が処理対象に設定され、1円硬貨の収納枚数T[1]が1円硬貨の目標残置金額決定用金種別枚数W[1]に充当されて、W[1]が33になる。その結果、目標残置金額決定用金種別枚数W[i]の合計金額が833円になる。
【0162】
図21は、図11乃至図13に示した処理の過程を示す概念図である。同図は、第1の実施例の図15に対応する図である。第2の実施例の場合、これらの処理は、次のような出力結果を示す。
【0163】
まず、図11の処理により、回収枚数Z[j]の初期値として、図20に示した収納枚数T[i]がそのまま格納される。一方、決定残置枚数Y[j]は、全て0になっている(優先順位にハイフンが記入された行)。そして、最初の処理(優先順位が1)で変数jが10に設定され、処理対象が10円硬貨になる。その結果、10円硬貨のニアエンプティ枚数N[10]に1を加えた値である5枚がZ[10]から減算されて、Y[10]に加算される。この演算は、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、そのまま次の金種に処理が移行する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は50円になる。
【0164】
次に、優先順位が2にシフトして、変数jが100に設定され、処理対象が100円硬貨になる。しかし、100円硬貨の回収枚数Z[100]は、100円硬貨のニアエンプティ枚数N[100]に満たないため、回収枚数Z[100]の全てがY[100]に加算される。この演算も、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、そのまま次の金種に処理が移行する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は150円になる。
【0165】
次に、優先順位が3にシフトして、変数jが1に設定され、処理対象が1円硬貨になる。その結果、1円硬貨のニアエンプティ枚数N[1]に1を加えた値である5枚がZ[1]から減算されて、Y[1]に加算される。この演算も、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、そのまま次の金種に処理が移行する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は155円になる。
【0166】
次に、優先順位が4にシフトして、変数jが50に設定され、処理対象が50円硬貨になる。しかし、50円硬貨の回収枚数Z[50]は0であるため、Y[50]に最低残置枚数を確保することができない。従って、決定残置枚数Y[j]の合計金額が155円のまま次の金種に移行する。
【0167】
次に、優先順位が5にシフトして、変数jが5に設定され、処理対象が5円硬貨になる。ここで、5円硬貨のニアエンプティ枚数N[5]は0であるため、Z[5]およびY[5]の値は変更されず、次の金種に処理が移行する。従って、このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は155円のままである。
【0168】
次に、優先順位が6にシフトして、変数jが500に設定され、処理対象が500円硬貨になる。ここで、500円硬貨のニアエンプティ枚数N[500]に1を加えた値は、2枚であるが、2枚加えると1155円となり、目標値の833円よりも大きくなるので、Y[500]には1が加算される。この演算も、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、処理がそのまま終了する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は655円になる。
【0169】
図22は、図16および図17に示した処理の過程を示す概念図である。同図は、第1の実施例の図18に対応する図である。第2の実施例の場合、これらの処理は、次のような出力結果を示す。
【0170】
まず、図16の処理を開始するにあたっては、図21に示した優先順位が6の回収枚数Z[j]および決定残置枚数Y[j]が初期値となる(優先順位にハイフンが記入された行)。そして、最初の処理(優先順位が1)で変数jが10に設定され、処理対象が10円硬貨になる。その結果、10円硬貨の回収枚数Z[10]がY[10]に充当される。この演算は、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、そのまま次の金種に処理が移行する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は705円になる。
【0171】
次に、優先順位が2にシフトして、変数jが100に設定され、処理対象が100円硬貨になる。しかし、100円硬貨の回収枚数Z[100]は0であるため、Y[100]には何も充当されない。従って、決定残置枚数Y[j]の合計金額は705円のままである。
【0172】
次に、優先順位が3にシフトして、変数jが1に設定され、処理対象が1円硬貨になる。その結果、1円硬貨の回収枚数Z[1]がY[1]に充当される。この演算は、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、そのまま次の金種に処理が移行する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は733円になる。
【0173】
次に、優先順位が4にシフトして、変数jが50に設定され、処理対象が50円硬貨になる。しかし、50円硬貨の回収枚数Z[50]は0であるため、Y[50]には何も充当されない。従って、このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は733円のままである。
【0174】
次に、優先順位が5にシフトして、変数jが5に設定され、処理対象が5円硬貨になる。その結果、50円硬貨の回収枚数Z[5]がY[5]に充当される。この演算は、目標残置金額Xの達成を阻害するものではないため、そのまま次の金種に処理が移行する。このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は833円になる。
【0175】
次に、優先順位が6にシフトして、変数jが500に設定され、処理対象が500円硬貨になる。この段階では、既に、目標残置金額Xである833円が達成されているため、500円硬貨の充当は行われない。従って、このときの決定残置枚数Y[j]の合計金額は833円のままである。
【0176】
(第3の実施例)
本実施例では、決定残置枚数Y[i]の充当を1枚ずつ行う場合の処理手順を示す。以下、説明する処理は、第1の実施例の図12および図13並びに図16および図17の処理に代えて使用することができる。
【0177】
図23は、図11に示した処理の実行後に行われる最低残置枚数の確保処理の第1の実行手順を示すフローチャートである。同図は、第1の実施例の図12に対応する図である。以下、同図に基づいて、第3の実施例に係る最低残置枚数の確保処理の第1の実行手順を説明する。
【0178】
制御部101は、まず、優先順位を示す変数Pの初期値を1に設定する(ステップS800)。そして、該変数Pが示す順に種を変数jに格納する(ステップS802)。以後の処理では、この変数jで示す金種が処理対象となる。
【0179】
次に、該当金種のニアエンプティ枚数N[j]が0であるかどうかを判断し(ステップS804)、0であった場合には(ステップS804でYES)、最低残置枚数の確保が不要であるため、図24に示すステップS860に進み、当該金種についての処理をパスする。
【0180】
一方、0でなかった場合には(ステップS804でNO)、回収枚数Z[j]が存在するか否かを判断し(ステップS806)、存在しない場合には(ステップS806でNO)、最低残置枚数の確保ができないので、図24に示すステップS860に進み、当該金種についての処理をパスする。
【0181】
回収枚数Z[j]が存在する場合には(ステップS806でYES)、回収枚数Z[j]をデクリメントし(ステップS800)、決定残置枚数Y[j]をインクリメントする(ステップS812)。ここまでの処理では、決定残置枚数Y[j]がとりあえず1枚増加するだけであり、第1の実施例のように、最低残置枚数のすべてが充当されるわけではない。本実施例では、目標残置金額Xの達成が可能であるか否かを判断しながら、決定残置枚数Y[j]を1枚ずつ増加させてゆく。
【0182】
図24は、図12に示した処理の実行後に行われる最低残置枚数の確保処理の第2の実行手順を示すフローチャートである。同図は、第1の実施例の図13に対応する図である。以下、同図に基づいて、第3の実施例に係る最低残置枚数確保処理の第2の実行手順を説明する。
【0183】
まず、制御部101は、図14に示すサブルーチンを実行して、上記充当が目標残置金額Xの達成を可能にするものであるか否かを判断する(ステップS850)。当該サブルーチンは、目標残置金額Xの達成が可能である場合には、変数Bを0に設定して復帰し、達成不能である場合には、0以外の値を設定して復帰する。
【0184】
図14に示すサブルーチンの実行後、目標残置金額Xの達成が可能と判断した場合には(ステップS852でYES)、図23に示した処理での充当は、目標残置金額Xの達成が可能と試算できるため、そのままステップS858に進み、決定残置枚数Y[j]とニアエンプティ枚数N[j]の比較を行う(ステップS858)。その結果、決定残置枚数Y[j]の方が大きければ(ステップS858でYES)、ニアエンプティ枚数N[j]+1を満たすので、処理を次の金種に移行し(ステップS860)、小さければ(ステップS858でNO)、ニアエンプティ枚数N[j]+1を満たしていないので、ステップS806に戻って、再び決定残置枚数Y[j]のインクリメントを行う。
【0185】
一方、ステップS852で目標残置金額Xの達成が可能と判断した場合には(ステップS852でNO)、図23に示した処理での充当は、条件を満足しないため、回収枚数Z[j]をインクリメントし(ステップS854)、決定残置枚数Y[j]をデクリメントする(ステップS856)。その結果、決定残置枚数Y[j]が図23で充当した状態から1枚減少し、解が収束方向に向かう。このときの決定残置枚数Y[j]が解を発散させない最大の枚数となる。
【0186】
その後、変数Pをインクリメントして(ステップS860)、処理対象となる金種をシフトする。そして、上記一連の処理を全ての金種について実行し(ステップS862でNO)、全ての金種について処理が終了したときは(ステップS862でYES)、図16に示す処理に進む。この処理を実行した結果、目標残置金額Xの達成が可能な状態で最低残置枚数が確保される。
【0187】
図25は、図13に示した処理の実行後に行われる残置枚数決定処理の第1の実行手順を示すフローチャートである。同図は、第1の実施例の図16に対応する図である。以下、同図に基づいて、第3の実施例に係る残置枚数決定処理の第1の実行手順を説明する。
【0188】
制御部101は、まず、優先順位を示す変数Pの初期値を1に設定する(ステップS900)。そして、該変数Pが示す順に金種を変数jに格納する(ステップS902)。以後の処理では、この変数jで示す金種が処理対象となる。
【0189】
回収枚数Z[j]が存在するか否かを判断し(ステップS806)、存在しない場合には(ステップS806でNO)、最低残置枚数の確保ができないので、図24に示すステップS860に進み、当該金種についての処理をパスする。
【0190】
次に、回収枚数Z[j]が存在するか否かを判断し(ステップS904)、回収枚数Z[j]が存在する場合には(ステップS904でYES)、回収枚数Z[j]をデクリメントし(ステップS906)、決定残置枚数Y[j]をインクリメントする(ステップS908)。ここまでの処理では、決定残置枚数Y[j]がとりあえず1枚増加するだけであり、第1の実施例のように、回収枚数Z[j]のすべてが充当されるわけではない。本実施例では、目標残置金額Xの達成が可能であるか否かを判断しながら、決定残置枚数Y[j]を1枚ずつ増加させてゆく。
【0191】
図26は、図13に示した処理の実行後に行われる残置枚数決定処理の第2の実行手順を示すフローチャートである。同図は、第1の実施例の図17に対応する図である。以下、同図に基づいて、第3の実施例に係る残置枚数決定処理の第2の実行手順を説明する。
【0192】
まず、制御部101は、図14に示すサブルーチンを実行して、上記充当が目標残置金額Xの達成を可能にするものであるか否かを判断する(ステップS952)。このサブルーチンは、前述した最低残置金額の確保で用いたものと同じルーチンである。
【0193】
図14に示すサブルーチンの実行後、目標残置金額Xの達成が可能と判断した場合には(ステップS952でYES)、図25に示した処理での充当は、目標残置金額Xの達成が可能と試算できるため、そのままステップS904に戻って、再び決定残置枚数Y[j]のインクリメントを行う。
【0194】
一方、目標残置金額Xの達成が可能と判断した場合には(ステップS952でNO)、図25に示した処理での充当は、条件を満足しないため、回収枚数Z[j]をインクリメントし(ステップS954)、決定残置枚数Y[j]をデクリメントする(ステップS956)。その結果、決定残置枚数Y[j]が図25で充当した状態から1枚減少し、解が収束方向に向かう。このときの決定残置枚数Y[j]が解を発散させない最大の枚数となる。
【0195】
その後、変数Pをインクリメントして(ステップS958)、処理対象となる金種をシフトする。そして、上記一連の処理を全ての金種について実行し(ステップS960でNO)、全ての金種について処理が終了したときは(ステップS960でYES)、前述した回収処理と表示処理を実行する(ステップS962)。
【0196】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、状況変化に強く柔軟性の向上が図られた貨幣残置方法および装置を提供することができる。
【0197】
また、本発明によれば、現在の収納枚数T[i]の範囲内で達成可能な金額が目標値として設定されるため、最低残置枚数や優先度が考慮される場合であっても、設定残置金額Vに近い金額を残置することができる。
【0198】
また、上記目標値や優先度は、絶対的な制限ではなく、ある程度自由度のある動的な制限として課されるため、柔軟性のある回収および残置が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る硬貨入出金装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】図1に示した装置本体12の外観を示す斜視図である。
【図3】図1に示した金種別収納部41の構造を示す平面図である。
【図4】図2に示した操作部26の構成を示す平面図である。
【図5】本発明に係る硬貨入出金装置を制御する制御部の接続構成を示すブロック図である。
【図6】回収処理を行うにあたって予め実行される初期設定処理の実行手順を示すフローチャートである。
【図7】図6の初期設定処理による設定例を示す概念図である。
【図8】図6に示した初期設定終了後に行われる残置可否判断処理の実行手順を示すフローチャートである。
【図9】図8に示した処理の実行後に行われる目標値決定処理の実行手順を示すフローチャートである。
【図10】図9に示した処理の過程を示す概念図である。
【図11】図9に示した処理の実行後に行われる回収枚数の初期設定処理の実行手順を示すフローチャートである。
【図12】図11に示した処理の実行後に行われる最低残置枚数の確保処理の第1の実行手順を示すフローチャートである。
【図13】図12に示した処理の実行後に行われる最低残置枚数の確保処理の第2の実行手順を示すフローチャートである。
【図14】サブルーチンとして実行される目標値達成可否判断処理の実行手順を示すフローチャートである。
【図15】図11乃至図13に示した処理の過程を示す概念図である。
【図16】図13に示した処理の実行後に行われる残置枚数決定処理の第1の実行手順を示すフローチャートである。
【図17】図13に示した処理の実行後に行われる残置枚数決定処理の第2の実行手順を示すフローチャートである。
【図18】図16および図17に示した処理の過程を示す概念図である。
【図19】図6の初期設定処理による設定例を示す概念図である。
【図20】図9に示した処理の過程を示す概念図である。
【図21】図11乃至図13に示した処理の過程を示す概念図である。
【図22】図16および図17に示した処理の過程を示す概念図である。
【図23】図11に示した処理の実行後に行われる最低残置枚数の確保処理の第1の実行手順を示すフローチャートである。
【図24】図12に示した処理の実行後に行われる最低残置枚数の確保処理の第2の実行手順を示すフローチャートである。
【図25】図13に示した処理の実行後に行われる残置枚数決定処理の第1の実行手順を示すフローチャートである。
【図26】図13に示した処理の実行後に行われる残置枚数決定処理の第2の実行手順を示すフローチャートである。
【図27】金種の組み合わせによる解と設定残置金額Vとの関係を示す概念図である。
【符号の説明】
11…装置筐体、12…装置本体、12a…前部、13…ガイドレール機構、16…検知手段、23…検知片、25…硬貨受入口、26…操作部、27…硬貨払出口、28…着脱収納箱、29…電源スイッチ、31…開口部、32…蓋体、33…支軸、34…硬貨払出口満杯検知手段、41…金種別収納部、42…第1の平ベルト、43…第1の逆転ローラ、44…硬貨通路、46…金種別硬貨選別通路部、47…硬貨識別通路部側板、47…通路板、48…第1ガイド側板、48a…第1の基準縁、49…第2ガイド側板、49a…第2の基準縁、50…第1搬送ベルト、51…第2搬送ベルト、52…第3搬送ベルト、53…硬貨識別部、54…硬貨選別部リジェクト口、55…第1の選別孔、56…第1のシャッタ、58…第2の選別孔、59…5円硬貨選別部、60…第2のシャッタ、65…錠機構、84…第2の平ベルト、85…第2の逆転ローラ、86…ストッパ機構、88…計数センサ、89…シュート、91…金額表示部、92…指定ボタン、92a…金種指定ボタン、92b…リジェクト指定ボタン、93…金種別収納量表示部、94…マニュアル払出ボタン、95…個別回収ボタン、96…一括回収ボタン、97…在高表示ボタン、98…リセットボタン、99…スタートボタン、101…制御部、102…モーター、103…センサ群、104…マニュアル払出枚数記憶部、105…操作履歴記憶部、106…収納枚数記憶部、107…キャッシュレジスタ、108…レジ台、109…回収ボックス、110…設定記憶部、SD1…第1ソレノイド、SD2…第2ソレノイド、A…在高金額、i…金種、N[i]…ニアエンプティ枚数、T[i]…収納枚数、V…設定残置金額、W[i]…目標残置金額決定用金種別枚数、X…目標残置金額、Y[i]…決定残置枚数、Z[i]…回収枚数、
Claims (9)
- 金種別に収納された貨幣の一部を回収して、各金種ごとの残置枚数を決定する貨幣残置方法において、
前記収納された枚数の範囲内で各金種を組み合わせて得られる複数の金額のうち、一の金額を目標残置金額として決定し、この目標残置金額に一致することを条件として、前記各金種の残置枚数を決定する
ことを特徴とする貨幣残置方法。 - 残置対象とする複数の金種(i)を設定する工程と、
残置したい金額の合計、即ち、設定残置金額(V)を設定する工程と、
前記金種ごとの収納枚数(T[i])を計数する工程と、
前記収納枚数(T[i])の範囲内で各金種を組み合わせて得られる金額であって、前記設定残置金額(V)の目標値とする目標残置金額(X)を決定する工程と、
前記収納枚数(T[i])を各金種の回収枚数(Z[i])の初期値として設定する工程と、
前記回収枚数(Z[i])の一部を各金種の残置枚数として決定される決定残置枚数(Y[i])に充当する充当工程と、
確認のための試算であって、前記決定残置枚数(Y[i])の合計金額と前記目標残置金額(X)との偏差Bを求める工程と、
前記充当の結果減少した回収枚数(Z[i])の範囲内で各金種を組み合わせて、前記偏差Bと一致する金額が得られるか否かを判断し、該偏差Bと一致する金額が得られない場合には、前記充当の結果増加した決定残置枚数(Y[i])を減少させる減少工程と
前記充当工程乃至前記減少工程を各金種(i)について実行する工程と
を具備する貨幣残置方法。 - 前記目標残置金額(X)の決定は、
高額金種を優先的に組み合わせて行う
請求項2記載の貨幣残置方法。 - 最低残置しておきたい最低残置枚数を各金種ごとに設定する工程をさらに具備し、
前記回収枚数(Z[i])から前記決定残置枚数(Y[i])への充当は、
前記回収枚数(Z[i])から前記最低残置枚数を減算し、その結果を前記決定残置枚数(Y[i])に加算して行い、
前記決定残置枚数(Y[i])の減少は、
前記減算後の回収枚数(Z[i])の範囲内で各金種を組み合わせて前記偏差Bと一致する金額が得られるか、または、前記決定残置枚数(Y[i])の値が0になるまで行う
請求項2または請求項3記載の貨幣残置方法。 - 最低残置しておきたい最低残置枚数を各金種ごとに設定する工程をさらに具備し、
前記回収枚数(Z[i])から前記決定残置枚数(Y[i])への充当は、
前記回収枚数(Z[i])のデクリメントと前記決定残置枚数(Y[i])のインクリメントを前記偏差Bが0になるまで行う
請求項2または請求項3記載の貨幣残置方法。 - 残置する金種の優先度を設定する工程をさらに具備し、
前記回収枚数(Z[i])から前記決定残置枚数(Y[i])への充当は、
前記優先度に従って、前記回収枚数(Z[i])のすべての値を前記決定残置枚数(Y[i])に移動させて行い、
前記決定残置枚数(Y[i])の減少は、
前記移動後の回収枚数(Z[i])の範囲内で各金種を組み合わせて前記偏差Bと一致する金額が得られるか、または、前記決定残置枚数(Y[i])の値が0になるまで行う
請求項2または請求項3記載の貨幣残置方法。 - 残置する金種の優先度を設定する工程をさらに具備し、
前記回収枚数(Z[i])から前記決定残置枚数(Y[i])への充当は、
前記回収枚数(Z[i])のデクリメントと前記決定残置枚数(Y[i])のインクリメントを前記偏差Bが0になるまで行う
請求項2または請求項3記載の貨幣残置方法。 - 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の方法を実行する制御部(101)を具備する
貨幣残置装置。 - 前記制御部(101)の実行結果として得られた決定残置枚数(Y[i])と、残置したい金額として予め設定された設定残置金額(V)との差額を表示する不足金額表示手段をさらに具備する
請求項8記載の貨幣残置装置。
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