JP3607100B2 - 二重硬化メカニズムを有する高固形分熱硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
発明の分野
本発明は、熱硬化性コーティング組成物に関し、特にアミノプラスト架橋剤とともにカルバメート官能化合物を使用して、また、ヒドロキシル基とポリイソシアネート架橋剤との架橋を通して硬化する系におけるレオロジーのコントロールおよび環境的腐蝕抵抗を提供することに関するものである。
【0002】
発明の背景
ベースコート−クリアコートのコーティング、またはカラー−プラス−クリア複合材料コーティングは、非常に優れた外観を有するので、特に自動車産業において、広く使用されている。自動車のコーティングは高い光沢、色の深さ、画像の特有性、およびその他をもたなくてはならないばかりでなく、かつまた擦傷、引掻き、腐蝕、または環境的沈着からのスポッティング、チョーキング、および他の形態の塗膜の劣化に対して耐性でなくてはならない。塗膜の劣化に対して耐性であるクリアコート層を有することは、カラー−プラス−クリア複合材料コーティングにおいて特に重要である。
【0003】
外観および耐久性の考察に加えて、塗装プロセスからの調節された揮発性有機化合物の放出の量を最小とするように、コーティングを配合しなくてはならない。熱硬化性のソルベントボーン(solventborne)系について、このことは通常低分子量の樹脂および架橋剤を使用することによって達成される。このアプローチの1つの欠点は、このようなコーティング系が適用および硬化焼付けの間により劣った流動学的性質を有することである。コーティングを加熱して樹脂と架橋剤との間の反応を引き起こさせるとき、低分子量の樹脂の粘度は減少する。コーティングがそれ以上の動きを防止するために十分なレベルまで硬化する前に、これらの樹脂はコーティングされた支持体上で流れて、たるみ、スランピング、いわゆる塗りだまり、および他の外観の問題を引き起こす傾向がある。
【0004】
レオロジーをコントロールする困難は、架橋剤としてブロックされたポリイソシアネートを使用して硬化されるコーティング組成物の場合に特に問題であった。ポリイソシアネート架橋剤を使用するコーティング組成物は塗膜のきわめてすぐれた外観および耐久性について非常に好ましいが、このような系は通常290°F(143℃)およびそれより高い温度に加熱して、ポリイソシアネートを脱ブロックし、これにより硬化を開始させなくてはならない。これらの温度において、低分子量の主樹脂の流れる傾向は増加する。こうして、コーティングの薄膜を硬化させるために十分な架橋が存在する前に、コーティング組成物は所望よりも多く流れてしまう。過度の流れは前述の硬化したコーティングにおいて外観の問題に導く。
【0005】
米国特許第5,342,888号明細書(Sudo)には、ブロックされた脂肪族ポリイソシアネートとアルキルエーテル化メラミン樹脂との組み合わせを使用するヒドロキシル官能アクリル樹脂の硬化が記載されている。Sudoによれば、アルキルエーテル化メラミン樹脂のみで硬化されたアクリル樹脂からのコーティングは酸性雨による劣化に対して劣った耐性を有し、これに対してブロックされたポリイソシアネートのみで硬化されたこのようなコーティングはすぐれた酸耐性を有するが、劣った低温硬化および加工性を有する。一方において、不適切な硬化を回避し、他方において、劣った酸耐性を回避するために、メラミン樹脂/ブロックされたポリイソシアネートの比率は重量で50/50〜95/5でなくてはならないことをSudoは教示している。しかしながら、Sudoのコーティング組成物はアミノプラスト−ヒドロキシの硬化からの十分な量のエーテル結合をなお有するコーティングを形成するので、このようなコーティングは酸性雨からの有意な劣化を示すであろう。
【0006】
米国特許第4,102,847号(Hartmanら)および米国特許第4,892,906号(Phamら)各明細書には、Sudoのそれに類似するコーティング組成物が開示されている。HartmanおよびPhamの双方の参考文献は、メラミンとイソシアネートとの混合物で硬化されたヒドロキシル官能性樹脂を教示している。これらの参考文献のコーティング組成物は、十分な量のエーテル結合を有するコーティングを形成し、こうして酸性雨の腐蝕からの有意な劣化を示すであろう。
【0007】
カルバメート官能性反応性希釈剤は下記の特許明細書に記載されている。WO87/00851号(Hoyら)、米国特許第5,115,015号(Richey、Jr.ら)、米国特許第4,814,382号(Hoyら)、米国特許第4,677,168号(Hoyら)および米国特許第4,520,167号(Blankら)。カルバメート官能性反応性希釈剤は、1つのカルバメート基をもつ低分子量の化合物である。これらの物質は開示されている系において1官能性であり、したがって、硬化サイクルの開始において前述のたるみおよび他の流れの問題を防止するために十分に速く粘度を発生することができない。
【0008】
発明の要約
熱硬化の初期段階の間に過度の流れの問題を解決するために使用できる、新規な二重硬化系が今回発見された。本発明の二重硬化系は、(a)ヒドロキシル官能性およびカルバメート官能性の双方を有する化合物または(b)ヒドロキシル官能性を有する第1化合物と、カルバメート官能性を有する第2化合物との組み合わせを含んでなり、(a)の化合物、または(b)の化合物の組み合わせを少なくとも1種のポリイソシアネート架橋剤および少なくとも1種のアミノプラスト架橋剤と組み合わせる。好ましくは、アミノプラスト架橋剤が有効カルバメート基とのみ反応するように、アミノプラスト架橋剤の量が制限される。アミノプラスト官能基は、ヒドロキシル基と実質的に反応する前に、まず有効カルバメート官能基と反応する。このようにして、アミノプラスト架橋剤とカルバメート基とをより速く反応させると同時に、アミノプラスト架橋剤の残留官能性とヒドロキシル基との反応から生ずる硬化されたコーティング中の望ましくないエーテル結合の形成を回避するという利益を得ることができる。
【0009】
したがって、本発明の組成物から形成されたコーティングは最大限にウレタン結合を有することが好ましい。存在するカルバメート官能性と反応するために必要なメラミンの量は、また、メラミンの自己縮合を回避するために十分に低いことが好ましい。本発明の組成物は、硬化条件下のメラミンとカルバメートとの比較的速い反応のために、すぐれたレオロジーのコントロールを提供する。多少のメラミンの存在からの追加の利益は、すべてイソシアネート架橋剤を使用する系に比較して、より高い固形分の組成物である。
【0010】
詳細な説明
本発明は、架橋性成分および架橋剤成分を含む硬化性コーティング組成物を提供するものである。架橋性成分は、ヒドロキシル官能性およびカルバメート官能性の双方を有する化合物、あるいはヒドロキシル官能性を有する第1化合物と、カルバメート官能性を有する第2化合物との組み合わせを含む。架橋剤成分は、少なくとも1種のポリイソシアネート架橋剤および少なくとも1種のアミノプラスト架橋剤を含む。
【0011】
本発明によるカルバメート基は、一般的に下記の構造式により特徴づけられる。
【化3】
式中、RはHまたはアルキル、好ましくは炭素数1〜4のアルキルである。より好ましくは、RはHまたはメチルであり、なおより好ましくはRはHである。
【0012】
好ましくは、本発明の硬化性組成物は、架橋性成分として、(1)ヒドロキシル官能性およびカルバメート官能性の双方を有する樹脂またはポリマー、あるいはこのような樹脂またはポリマーの組み合わせ、あるいは(2)複数のヒドロキシル基を有する樹脂またはポリマーである1またはそれより多い第1化合物と、複数の官能基を有し、それらの少なくとも1つがカルバメート官能基である、1またはそれより多い第2化合物との組み合わせ、を含む。第2化合物は、(1)少なくとも2つのカルバメート基を有するか、あるいは(2)少なくとも1つのカルバメート基および少なくとも1つのヒドロキシル基を有する簡単なモノマー化合物であることができる。また、第2化合物は、複数の官能基を有し、それらの少なくとも1つがカルバメート官能基である、樹脂またはポリマーであることができる。本発明のなお他の態様において、2またはそれより多いモノマーの第2化合物と、樹脂またはポリマーの第2化合物との組み合わせを使用することができる。
【0013】
架橋剤成分は、少なくとも1つのポリイソシアネート架橋剤および少なくとも1つのアミノプラスト架橋剤を含む。アミノプラスト架橋剤の有効当量は、硬化性コーティング組成物中のカルバメート官能性の当量に等しいか、あるいはそれより小さい。好ましくは、アミノプラスト架橋剤の有効当量/カルバメート官能性の当量の比が少なくとも約0.6:1、より好ましくは少なくとも約0.8:1、特に好ましくは約1:1、である。ポリイソシアネート架橋剤の有効当量は、好ましくは架橋性成分中のヒドロキシル官能性の当量に等しいか、あるいはそれより小さい。より好ましくは、ポリイソシアネート架橋剤の有効当量/ヒドロキシル官能性の当量の比は、約1:1まで、なおより好ましくは約0.9:1までである。ポリイソシアネート架橋剤の有効当量/ヒドロキシル官能性の当量の比は、また、より好ましくは少なくとも0.5:1、なおより好ましくは少なくとも約0.6:1、である。特に好ましい態様において、ポリイソシアネート架橋剤の有効当量/ヒドロキシル官能性の当量の比は約0.7:1である。
【0014】
句「有効当量」は、本発明に関して使用するとき、すべての有効官能性と実際に反応することを期待できる官能基の数に基づく当量を意味する。反応することを期待できるアミノプラスト架橋剤の官能基の数は、既に形成した架橋からの立体障害性、残りの基の反応に要求される異なる条件、あるいは当業者がよく知っている他の因子のために、反応の理論的に有効な基の数よりしばしば小さい。例えば、架橋を形成するヘキサメトキシメチルメラミンの官能基の有効数は理論的な6より小さいことはよく知られている。種々の基の反応の程度および形成した結合の型は、慣用的方法、例えば、特に、フーリエ変換赤外線(FTIR)分光法、により測定することができる。
【0015】
複数のヒドロキシル基を有する樹脂またはポリマーである1またはそれより多い第1化合物は、硬化性コーティング組成物において有用であることがこの分野において知られている多数の型の樹脂またはポリマーから選択することができ、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、および付加ポリマー、例えば、アクリルの樹脂およびポリマーを包含する。
【0016】
適当なポリエステルポリマーの非限定的例は、ポリ酸(2またはそれより多いカルボン酸基をもつ化合物)、あるいはこのような酸の無水物、およびポリオール(2またはそれより多いアルコール基をもつ化合物)から製造されたものである。好ましくは、ポリエステルが末端のヒドロキシル基を有するように、過剰当量のポリオールを使用する。また、酸末端のポリエステルが形成するように、過剰当量の酸官能性を使用する場合、1またはそれより多いヒドロキシル基および1またはそれより多い酸基反応性基を有する化合物、例えば、ポリオール、アミノアルコール、およびその他と反応させることができる。
【0017】
このようなポリ酸またはポリ酸の無水物の非限定的例は下記のものを包含するが、これらに限定されない。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、脂肪酸二量体、ベンゼントリカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、グルタミン酸、およびこれらの酸の無水物。包含され得るる他の酸は、分子のアルキル部分の中の炭素数が12〜36の酸であり、脂肪酸二量体は特に好ましい。適当なポリオールは下記のものを包含するが、これらに限定されない。1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、トリエチロールプロパン、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−2−エチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、チオジグリコール、1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、そしてこのようなアルコールの混合物。酸基およびアルコール基の双方を有する化合物は、ジメチロールプロピオン酸、リシノール酸であるこのような化合物、ヒドロキシ酸、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸、およびその他を包含するが、これらに限定されない。ポリエステルの他の成分は、ラクトン、例えば、ε−カプロラクトンおよびδ−ブチロラクトン、を包含するが、これらに限定されない。ポリオールは、フッ素基またはシラン基を包含することができる。これらの非限定的例は、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオールおよびペルフルオロアゼライン酸を包含する。
【0018】
少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリウレタンは、ポリオール、好ましくはジオール、を、ポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネート、と反応させることによって製造することができる。ポリイソシアネートは脂肪族ポリイソシアネートであることができ、脂環式ポリイソシアネート、または芳香族ポリイソシアネートを包含する。用語「ポリイソシアネート」は、本明細書おいて使用するとき、1分子あたり平均複数のイソシアネート官能基を有する化合物を意味する。ポリイソシアネートは、例えば、モノマー状ジイソシアネートを包含するモノマー状ポリイソシアネート、ビウレットおよびモノマー状イソシアヌレート、1モルのジオールと2モルのジイソシアネートまたは1モルのトリオールと3モルのジイソシアネートとの反応により形成した延長された多官能性のイソシアヌレートおよびその他を包含する。コーティング組成物が自動車のトップコート組成物であるとき、脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。有用な例は下記のものを包含するが、これらに限定されない。エチレンジイソシアネート、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,4−ブチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートのイソシアヌレート、メチレンビス−4,4’−イソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4’,4”−トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、およびメタキシレンジイソシアネート。
【0019】
ポリオールは、ポリエステルの製造について前述したポリオールと同一であることができる。好ましい態様において、少なくとも1種のオリゴマー状またはポリマー状のポリオールを使用してポリウレタンを製造する。オリゴマー状またはポリマー状のポリオールの非限定的例は、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールである。
【0020】
2つの一般的合成アプローチを利用して、ポリウレタン樹脂を製造することができる。末端ヒドロキシ官能性を有するポリウレタンは、ジイソシアネートおよびジオールを1:1より大きいOH:NCO当量比において反応させることによって製造することができる。この場合において、形成されるポリウレタン樹脂は、当量過剰のポリオールの結果として、末端のヒドロキシル基を有するであろう。また、ポリイソシアネートおよびポリオールを1:1より小さいOH:NCO当量比において反応させ、こうして末端のイソシアネート官能性を有するポリウレタンを形成させ、次いで第2工程(時にはキャッピング工程と呼ばれる)において末端のイソシアネート基を、イソシアネート官能性と反応性の少なくとも1つの基(これは、例えば、ヒドロキシル基、あるいは第一級または第二級のアミン基であることができる)、および少なくとも1つの(少なくとも1つの追加の)ヒドロキシル基またはヒドロキシル基に変換できる少なくとも1つの基を有する化合物と反応させることによって、ポリウレタンを製造することができる。適当なキャッピング剤は下記のものを包含するが、これらに限定されない。アミノアルコール、例えば、エタノールアミンおよびジエタノールアミン、ソルケタール(solketal)、ジオール、例えばネオペンチルグリコール、トリオール、例えばトリメチロールプロパン、およびこれらの混合物。この方法は、ポリマーの各末端に複数のヒドロキシル基を提供するために有用である。
【0021】
ポリエーテルポリオールの非限定的例は、ポリ(オキシテトラエチレン)グリコール、ポリ(オキシ−1,2−ブチレン)グリコールを含むポリアルキレンエーテルグリコールである。また、種々のポリオール、例えば、グリコール、例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールAおよびその他、あるいは他の高級ポリオール、例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびその他のオキシアルキル化から製造されたポリエーテルポリオールは有用である。より高い官能性の有用なポリオールは、例えば、ソルビトールまたはスクロースのような化合物のオキシアルキル化により製造することができる。1つの通常利用されているオキシアルキル化法は、酸性または塩基性の触媒の存在において、ポリオールをアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド、と反応させることである。
【0022】
少なくとも2つのヒドロキシル基を有する樹脂は、また、ヒドロキシル基を有する付加ポリマーであることができる。このようなポリマーは、例えば、付加反応において、1またはそれより多いヒドロキシル基を有する不飽和モノマーを含めることによって合成することができる。1またはそれより多いヒドロキシル官能エチレン系不飽和モノマーを使用して合成されたアクリル樹脂が好ましい。ヒドロキシル官能エチレン系不飽和モノマーは、好ましくはアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルである。(本発明を記載する関係において、メタクリレートおよびアクリレートの双方のエステルを包含するために、用語「(メタ)アクリレート」を使用するであろう。)好ましいヒドロキシル官能モノマーは下記のものを包含する。ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、炭素数が約10までの分枝鎖状もしくは直鎖状のアルキル基を有する他のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物。これらのヒドロキシル官能モノマーのカプロラクトンエステルは、また、好ましい化合物の中に含まれる。また、既知の方法に従う重合反応後に、カプロラクタムを付加ポリマーのヒドロキシル基と反応させることができる。ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物は、ヒドロキシル官能エチレン系不飽和モノマーとして特に好ましい。他の手段、例えば、有機酸またはアミンによる、グリシジル基、例えば、グリシジルメタクリレートからグリシジル基、の開環により、ヒドロキシル基が発生できることを当業者は理解するであろう。
【0023】
少なくとも1つのヒドロキシル基を有する不飽和モノマーを、この分野において知られている他の不飽和共重合性モノマーと一緒に重合させる。このような共重合性モノマーは下記のものを包含するが、これらに限定されない。(イ)α,β−エチレン系不飽和モノカルボン酸、特に炭素数約3〜5のもの、およびこれらの酸のエステル、ニトリル、またはアミド、(ロ)炭素数4〜6のα,β−エチレン系不飽和ジカルボン酸、およびそれらの酸の無水物、(ハ)モノエステル、およびジエステル、(ニ)ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、および芳香族またはヘテロサイクルの脂肪族ビニル化合物。
【0024】
アクリル酸、メタクリル酸、およびクロトン酸のエステルの代表例は、下記のものを包含するが、これらに限定されない。(イ)炭素数1〜20の飽和脂肪族および脂環式アルコールとの反応からのもの、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、テトラヒドロフルフリル、ステアリル、スルホエチル、およびイソボルニルアクリレートおよびメタクリレート(ロ)およびポリアルキレングリコールアクリレートおよびメタクリレート、および(ハ)ポリアルキレングリコール。
【0025】
付加ポリマー、特にアクリル樹脂の重合に含めることができる他の官能モノマーは、下記のものを包含するが、これらに限定されない。(イ)イソシアナト、アミノ、アミド、またはグリシジル基を有するアクリレートまたはメタクリレート、例えば、不飽和エステルのグリシジルエステルおよび不飽和アルコールのグリシジルエーテル、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートおよびアリルグリシジルエーテル、(ロ)N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(ハ)アクリルアミド、メタクリルアミド、および関係する化合物、(ニ)イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、ビニルイソシアネート、イソプロペニルイソシアネート、およびメタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート。メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートは、American Cyanamid Co.(米国ニュージャージー州ワイネ)から商品名「TMI(Meta)unsaturated aliphatic isocyanate」で入手可能である。
【0026】
他のエチレン系不飽和重合性モノマーの代表例は、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、テトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、シトラコン酸、およびイタコン酸の無水物およびエステル(メタ)アクリル酸アミド、ならびに(メタ)アクリロニトリルのような化合物を包含するが、これらに限定されない。重合性ビニルモノマーの代表例は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、例えば、ビニルエチルエーテル、ビニルおよびビニリデンハライド、およびビニルエチルケトンのような化合物を包含するが、これらに限定されない。芳香族またはヘテロサイクル脂肪族ビニル化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、および2−ビニルピロリドンのような化合物を包含するが、これらに限定されない。
【0027】
他の適当な付加ポリマーは、ポリアルキレンホモポリマー、ポリアルキレンコポリマーまたはポリアルキレンブロックコポリマーのような化合物を包含するが、これらに限定されない。このような化合物は、エチレン、プロピレン、ブチレン、およびそれらの混合物から重合される。1例は、Shell Chemical Company(米国テキサス州ヒューストン)から商業的に入手可能であり、そして商標KratonRで販売されている、末端のヒドロキシル官能性を有するエチレン/ブチレンコポリマーである。
【0028】
付加コポリマーは好ましくはアクリルポリマーである。本発明の目的のために、アクリルポリマーは、炭素数3〜5の1またはそれより多いα,β−エチレン系不飽和モノカルボン酸またはそれらの酸の誘導体、例えば、前述のエステルまたは他の誘導体を包含する。好ましいアクリルポリマーは、慣用の技術、例えば、遊離基重合、カチオン重合、またはアニオン重合により、例えば、バッチ式または半バッチ式方法において、製造することができる。例えば、重合は、エチレン系不飽和モノマーを塊状で、あるいは有機溶液または水性分散液中で、遊離基源、例えば、有機ペルオキシドまたはアゾ化合物および、必要に応じて、連鎖移動剤の存在において、バッチ式法について、加熱することによって実施することができるか、あるいは、また、モノマー、1またはそれより多い開始剤、および任意の連鎖移動剤をコントロールされた速度で、半バッチ式方法において溶媒を供給した加熱された反応器の中に供給することができる。
【0029】
典型的な遊離基源は、有機ペルオキシドであり、(イ)ジアルキルペルオキシド、例えば、ジt−ブチルペルオキシドおよびジクミルペルオキシド、(ロ)ペルオキシエステル、例えば、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエートおよびt−ブチルペルオキシピバレート、(ハ)ペルオキシジカーボネート、例えば、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネートおよびジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、(ニ)ジアシルペルオキシド、例えば、ジベンゾイルペルオキシドおよびジラウロイルペルオキシド、(ホ)ヒドロペルオキシド、例えば、クメンヒドロペルオキシドおよびt−ブチルヒドロペルオキシド、(ヘ)ケトンペルオキシド、例えば、シクロヘキサノンペルオキシドおよびメチルイソブチルケトンペルオキシド、および(ト)ペルオキシケタール、例えば、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンおよび1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、ならびにアゾ化合物、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)および1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、を包含する。典型的な連鎖移動剤は(イ)メルカプタン、例えば、オクチルメルカプタン、n−またはt−ドデシルメルカプタン、チオサリチル酸、メルカプト酢酸、およびメルカプトエタノール、(ロ)ハロゲン化化合物、および(ハ)アルファ−メチルスチレン二量体である。
【0030】
遊離基重合は、通常約20℃〜約200℃、好ましくは90℃〜170℃、の温度において実施される。この反応は好都合には還流下に実施することができるが、還流は不必要である。開始剤は、反応温度におけるその半減期が好ましくは30分を超えないように、選択される。
【0031】
好ましいアクリルポリマーは一般に約1000〜約40,000、好ましくは約1000〜約6000、なおより好ましくは約1000〜約3000、の数平均分子量を有する。分子量はポリスチレンの標準を使用するゲル透過クロマトグラフィーにより決定することができる。この分野においてよく知られている方法に従い、コモノマーの選択および分配により、ガラス転移温度を調節することができる。好ましい態様において、アクリルポリマーまたは樹脂のTgは約−20℃〜約+80℃であり、より好ましくはアクリルポリマーまたは樹脂のTgは少なくとも約+10℃、また、より好ましくはアクリルのTgは約+50℃までである。
【0032】
本発明の硬化性組成物は、カルバメート官能性を有する少なくとも1種の物質を含む。前述したように、組成物は複数のヒドロキシル基を有する樹脂またはポリマーである1またはそれより多い第1化合物を含むとき、複数の官能基を有し、官能基の少なくとも1つがカルバメート官能基である、少なくとも1種の第2化合物をまた含める。第2化合物は複数のカルバメート基を有することができるか、あるいは少なくとも1つのカルバメート基および少なくとも1つのヒドロキシル基を有することができる。別法において、組成物は、ヒドロキシル官能性をもつ第1化合物とカルバメート官能性をもつ第2化合物との組み合わせの代わりに、ヒドロキシル官能性およびカルバメート官能性の双方を有する樹脂またはポリマーを含むことができる。これらのカルバメート官能性物質を一緒に説明する。
【0033】
カルバメート官能性を有するか、あるいはヒドロキシル官能性およびカルバメート官能性の双方を有する化合物は、簡単なモノマー化合物、例えば、ヒドロキシエチルカルバメートまたはヒドロキシアルキルカルバメートおよびポリイソシアネートの付加物であることができるか、あるいは樹脂、オリゴマー、またはポリマー、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、またはアクリルポリマー、であることができる。オリゴマーおよびポリマーは屋外の耐久性のために好ましいが、モノマーの化合物は、レオロジーのコントロールをも提供する。
【0034】
カルバメート官能性を有するか、あるいはヒドロキシル官能性およびカルバメート官能性の双方を有する樹脂またはポリマーである化合物は、2つの基本的方法により製造することができる。第1の方法において、化合物は1またはそれより多いカルバメート官能性反応性モノマーを含む混合物の重合により製造される。カルバメート官能性およびカルバメート官能性の双方を有する化合物について、混合物は1またはそれより多いヒドロキシル官能性反応性モノマーをさらに含むことができる。第2の方法において、第1工程においてカルバメート基に変換させ、次いで第2工程によりその基をカルバメート官能性に変換させて、本発明の化合物を製造することができる基を有するポリマーを形成させる。ヒドロキシル官能性およびカルバメート官能性の双方を有する化合物について、ポリマーまたは樹脂はカルバメート基に変換できる基に加えてヒドロキシル基を有することができる。ヒドロキシル官能性をカルバメート基に変換できる基として使用する場合において、分子上のすべてより少ないヒドロキシルのカルバメートへの変換は、ヒドロキシル官能性およびカルバメート官能性の双方を有する化合物を生ずるであろう。
【0035】
第1によれば、化合物は1またはそれより多いカルバメート官能性反応性モノマーを含む混合物の重合により製造される。アクリルポリマーの場合において、そのエステル部分にカルバメート官能性を有するエチレン系不飽和モノマーを重合または共重合して、カルバメート官能性をもつアクリルポリマーを製造することができる。このようなモノマーはこの分野において知られており、そして、例えば、米国特許第3,479,328号、米国特許第3,674,838号、米国特許第4,126,747号、米国特許第4,279,833号、米国特許第4,340,497号、および米国特許第5,412,049号各明細書(それらのすべては引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されている。特に好ましいカルバメート官能性をもつエチレン系不飽和モノマーは、2−ヒドロキシエチルカルバメート(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルカルバメート(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチルカルバメート(メタ)アクリレート、N−メチル−2−ヒドロキシエチルカルバメート(メタ)アクリレート、N−エチル−2−ヒドロキシエチルカルバメート(メタ)アクリレート、N−プロピル−2−ヒドロキシエチルカルバメート(メタ)アクリレート、N−ブチル−2−ヒドロキシエチルカルバメート(メタ)アクリレート、N−メチル−2−ヒドロキシプロピルカルバメート(メタ)アクリレート、N−エチル−2−ヒドロキシプロピルカルバメート(メタ)アクリレート、N−プロピル−2−ヒドロキシプロピルカルバメート(メタ)アクリレート、N−ブチル−2−ヒドロキシプロピルカルバメート(メタ)アクリレートである。
【0036】
これらおよび他のカルバメート官能性モノマーは既知の方法により製造し、そして他のエチレン系不飽和モノマー、例えば、ヒドロキシル官能性ポリマーに関して前述したモノマーと一緒に、この分野においてよく知られている技術により重合することができる。1例として、α,β−エチレン系不飽和モノマーを合成する1つの方法は、ヒドロキシエステルを尿素と反応させてカルバモイルオキシカルボキレートを形成させることを含む。カルバモイルオキシカルボキレートを形成させる他の方法は、α,β−不飽和酸または無水物をヒドロキシカルバメートエステルと反応させることによる。ヒドロキシアルキルカルバメートは、第一級または第二級アミンまたはジアミンを環状カーボネート、例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートと反応させ、次いでヒドロキシル基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化させてモノマーを形成させることによって製造することができる。好ましいアクリルは米国特許第5,474,811号明細書(引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されているものである。
【0037】
第2方法によれば、第1工程においてカルバメート基に変換させ、次いで第2工程によりその基をカルバメート官能性に変換させて本発明の化合物を製造することができる基を有するポリマーを形成させる。カルバメートに変換できる基は、環状カーボネート基、エポキシ基、および不飽和結合を包含する。環状カーボネート基は、環状カーボネートを開環してβ−ヒドロキシカルバメートを形成させるアンモニアまたは第一級アミンとの反応によりカルバメート基に変換することができる。エポキシ基をまずCO2との反応により環状カーボネート基に変換することによって、カルバメート基に変換することができる。これは大気圧から超臨界CO2圧力までの任意の圧力下に実施することができるが、好ましくは高い圧力(例えば、60〜150psi)下に実施される。この反応の温度は好ましくは60〜150℃である。有用な触媒は、エポキシド環を活性化させる任意の触媒、例えば第三級アミンまたは第四級塩(例えば、テトラメチルアンモニウム臭化物)、錯体有機錫ハロゲン化物およびアルキルホスホニウムハロゲン化物の組み合わせ(例えば、((CH3)3SnI、Bu4SnPI、Bu4PI、および(CH3)4PI)、カリウム塩(例えば、K2CO3、KI)好ましくはクラウンエーテルとの組み合わせ、オクタン酸錫、オクタン酸カルシウム、およびその他を包含する。次いで、前述したように、環状カーボネート基をカルバメート基に変換させることができる。任意の不飽和結合をまずペルオキシドと反応させてエポキシ基に変換させ、次いでCO2と反応させて環状カーボネートに変換させ、次いでアンモニアまたは第一級アミンと反応させてカルバメートを形成させることによって、カルバメート基に変換させることができる。
【0038】
他の基、例えば、ヒドロキシル基またはイソシアネート基を、また、カルバメート基に変換させることができる。ヒドロキシル基をシアン酸(これは尿素の熱分解によりその場で形成させることができる)との反応により本発明の第一級カルバメート基(すなわち、非置換カルバメート)を形成させることによって、カルバメート基に変換させることができる。この反応は、好ましくはこの分野において知られているように、触媒の存在において実施される。ヒドロキシル基は、また、ホスゲン、次いでアンモニアと反応させて、第一級カルバメート基を形成させることができる。他のアプローチは、イソシアネートをヒドロキシアルキルカルバメートのような化合物と反応させて、カルバメートキャップドイソシアネート誘導体を形成させることである。例えば、トルエンジイソシアネート上の1つのイソシアネート基をヒドロキシプロピルカルバメートと反応させ、次いで他のイソシアネート基を過剰のポリオールと反応させてヒドロキシカルバメートを形成させることができる。最後に、カルバメートをエステル交換アプローチにより製造することができ、ここでヒドロキシル基をアルキルカルバメート(例えば、メチルカルバメート、エチルカルバメート、ブチルカルバメート)と反応させて、カルバメート基を含有する化合物を形成させる。この反応は、加熱下に、好ましくは触媒、例えば有機金属触媒(例えば、ジブチル錫ジラウレート)、の存在において実施される。低級アルキル基を有するカルバメート化合物は、より速いエステル交換を与える。エステル交換は、ルイス酸、例えば、錫またはチタネートの触媒により触媒作用が及ぼされる。有用な触媒には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキシド、およびイソブトキシチタネートが包含されるが、これらに限定されない。また、この反応は、ブレンステッド酸、例えば、p−トルエンスルホン酸により触媒作用が及ばされる。メチロールアクリルアミドを化合物上のヒドロキシル基と反応させ、次いでカルバメートに変換させることができる。この反応において、前述したように、次いで不飽和結合をペルオキシド、CO2、およびアンモニアと反応させる。カルバメートを製造する他の技術は、また、この分野において知られており、例えば、P.Adams & F.Baron、″Esters of Carbamic Acdid″、Chemical Review、v.65、1965、に記載されている。
【0039】
他の技術は、ヒドロキシアルキルカルバメート、例えば、ヒドロキシプロピルカルバメートのヒドロキシル基をポリマー上のイソシアネート基と反応させることを包含する。イソシアネート官能アクリルはこの分野において知られており、例えば、米国特許第4,301,257号明細書(引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されている。イソシアネートビニルモノマーの適当な例は、上に列挙されている。
【0040】
有用なカルバメート官能性ポリウレタンは、Rehfussらの米国特許第5,373,069号明細書(1994年12月13発行)(引用することによって本明細書の一部とされる)に開示されている。
【0041】
有用なカルバメート官能アクリルポリマーは、Taylorらの米国特許第5,552,497号(1996年9月3発行)および米国特許第4,758,632号各明細書(それらの双方は引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されている。米国特許第5,552,497号明細書には、カルバメート官能性モノマーとの重合により重合されたアクリルポリマーが記載されているが、米国特許第4,758,632号明細書には、アクリルポリマーのようなポリマーを他の成分と反応させてポリマーの主鎖に添付されたカルバメート官能基を形成させる反応が記載されている。
【0042】
有用なカルバメート官能ポリエステルは、Menovcikら、米国特許第5,451,656号(1995年9月19発行)、米国特許第5,508,379号(1996年4月16発行)および米国特許第5,532,061号(1996年7月2発行)各明細書(それらの各々は引用することによって本明細書の一部とされる)に開示されている。
【0043】
カルバメート官能樹脂は1分子あたり少なくとも2つのカルバメート基を有し、好ましくは約700g/当量のカルバメート官能性より小さい当量を有する。原理的には、上記方法のいずれかを使用して、モノマー化合物上の官能基をカルバメート基に変換させて、複数のカルバメート基または少なくとも1つのカルバメート基および少なくとも1つのヒドロキシル基を有するモノマー化合物を製造することができる。
【0044】
他の有用なモノマー化合物は、ヒドロキシアルキルカルバメート、ラクトンまたはヒドロキシカルボン酸と化合物上の活性水素基(例えば、ヒドロキシまたはアミン)との反応により形成されたカルバメート基とヒドロキシル末端セグメントとを有する化合物、およびモノマーのイソシアネート化合物から誘導された物質、例えば、Rehfussら、米国特許第5,512,639号明細書(1994年4月30発行)(引用することによって本明細書の一部とされる)に開示されている物質を包含する。ヒドロキシアルキルカルバメートは、下記の一般構造式を有する化合物である。
【化4】
式中、nは0〜約6、好ましくは1、の整数を表し、そしてRはHまたはアルキル、好ましくは炭素数1〜4のアルキルである。より好ましくは、RはHまたはメチルであり、より好ましくはRがHである。好ましいヒドロキシアルキルカルバメートは、ヒドロキシエチルカルバメートおよびヒドロキシプロピルカルバメートを包含する。
【0045】
ヒドロキシアルキルカルバメートは、ヒドロキシアルキル環状カーボネートから製造することができる。ある種のヒドロキシアルキル環状カーボネート、例えば、3−ヒドロキシプロピルカーボネート(すなわち、グリセリンカーボネート)は商業的に入手可能である。環状カーボネート化合物は、前述のいくつかのアプローチの1つにより合成することができる。1つのアプローチは、エポキシ基を含有する化合物とCO2との反応を包含する。また、エポキシドをβ−ブチロラクトンとこのような触媒の存在において反応させることができる。他のアプローチにおいて、グリコール、例えばグリセリン、を少なくとも80℃の温度においてジエチルカーボネートと触媒(例えば、炭酸カリウム)の存在において反応させて、ヒドロキシアルキルカーボネートを形成させる。また、構造
【化5】
を有する1,2−ジオールのケタールを含有する官能化合物を水で、好ましくは微量の酸で開環させて1,2−グリコールを形成させ、次いでこれをさらにジエチルカーボネートと反応させて環状カーボネートを形成させる。
【0046】
環状カーボネートは、この分野において知られているように、典型的には5〜6員環を有する。5員環は、合成が容易であるかつ商業的に入手容易性が高いので、好ましい。環状カーボネートの形成についてこの分野において知られている条件下に、ホスゲンを1,3−プロパンジオールと反応させることによって、6員環を合成することができる。実施において使用される好ましいヒドロキシアルキル環状カーボネートは、下記式により表すことができる。
【化6】
式中、R(またはnが1より大きい場合、Rの各々)は炭素数が1〜18、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3の、ヒドロキシアルキル基であり、これは直鎖状または分枝鎖状であり、かつヒドロキシル(これは第一級、第二級、または第三級であることができる)に加えて置換基を有することができ、そしてnは1または2であり、これは1またはそれより多い他の置換基、例えば、ブロックさえrたアミンまたは不飽和基により置換されることができる。より好ましくは、Rは−CmH2mOHであり、ここでヒドロキシルは第一級または第二級であることができ、そしてmは1〜8であり、なおより好ましくは、Rは−(CH2)p−OHであり、ここでヒドロキシルは第一級であり、そしてpは1〜2である。
【0047】
アミノカルバメートは米国特許第2,842,523号明細書(引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されている。
【0048】
1つの好ましい態様において、カルバメート官能性樹脂はヒドロキシアルキルカルバメートとイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートとの付加物である。ヒドロキシエチルカルバメート、ヒドロキシプロピルカルバメート、またはこれらと脂肪族ポリイソシアネート、例えば、前述のものとの組み合わせの付加物が特に好ましい。
【0049】
本発明のなお他の態様において、カルバメート官能性樹脂またはポリマーは、カルバメート官能性ポリマー上の環状カーボネート基をアンモニアと反応させることによって形成される。環状カーボネート官能アクリルポリマーはこの分野において知られており、例えば、米国特許第2,979,514号明細書(引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されている。カーボネート官能性は、エポキシド基を二酸化炭素と既知の方法、例えば、前述の方法に従い反応させることによって合成することができる。
【0050】
本発明の組成物は、1またはそれより多いアミノプラスト樹脂をさらに含む。アミノプラスト樹脂のメチロールまたはメチルアルコキシ基は、組成物のヒドロキシル官能性と反対に、本発明により考えられる硬化温度において、カルバメート官能性化合物のカルバメート基と優先的に反応する。カルバメート官能性のすべてが反応した後、過剰当量のアミノプラスト樹脂は、存在する場合、主樹脂のヒドロキシル基と反応させることができる。しかしながら、硬化した塗膜の中にエーテル結合を生成するとき、このさらなる反応は好ましくない。この理由のために、アミノプラスト硬化剤とヒドロキシル官能性との間の反応は本質的に存在しないことが好ましい。
【0051】
アミノプラスト樹脂とカルバメート官能化合物との間の反応は、焼付けの初期段階の間にコーティング組成物のレオロジーをコントロールする働きをする。アミノプラスト−カルバメートの反応の非存在において、コーティング組成物を硬化温度に加熱するときかつイソシアネート−ヒドロキシルの反応が感知可能な程度に進行する前に、コーティング組成物の粘度は低過ぎるようになる。したがって、アミノプラスト樹脂とカルバメート官能化合物との間の反応をより速くすることは、焼付けサイクルの間の過度の流れ、例えば、たるみ、くずれ落ち、ファットエッジ、オレンジピール、およびその他の望ましくないコーティングの欠陥を防止するために重要である。
【0052】
適当なアミノプラスト樹脂は、好ましくは少なくとも部分的にエーテル化された、最も好ましくは完全にエーテル化された、アミン/アルデヒド縮合物である。メラミンおよび尿素は好ましいアミンであるが、また、他のトリアジン、トリアゾール、ジアジン、グアニジン、またはグアナミンを使用して、アルキル化アミン/アルデヒドアミノプラスト樹脂の架橋剤を製造することができる。アミノプラスト樹脂は好ましくはアミン/ホルムアルデヒド縮合物であるが、他のアルデヒド、例えば、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、およびベンズアルデヒドを使用することができる。好ましいアミノプラスト樹脂の非限定的例は下記の通りである。(イ)モノマー状またはポリマー状のメラミンホルムアルデヒド樹脂、これは好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは1〜4、のアルコール、を使用して部分的または完全にアルキル化されたメラミン樹脂、例えばヘキサメトキシメチル化メラミンを包含する、(ロ)尿素ホルムアルデヒド樹脂、これはメチロール尿素およびシロキシ尿素、例えば、ブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂、アルキル化ベンズグアナミン、グアニル尿素、グアニジン、ビグアニジン、ポリグアニジン、およびその他を包含する。モノマー状メラミンホルムアルデヒド樹脂は特に好ましい。好ましいアルキル化メラミンホルムアルデヒド樹脂、例えば、Monsannto Corp.(米国ミズリー州セントルイス)から商標RESIMENEで、あるいはCytec Industries(米国コネチカット州スタンフォード)から商標CYMELで商業的に入手可能である。
【0053】
ポリイソシアネート架橋剤は、好ましくは脂環族を包含する脂肪族のポリイソシアネートである。脂肪族ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートに比較して、よりすぐれた色および紫外線分解に対する耐性を有するので、好ましい。例示的ポリイソシアネート架橋剤は、下記のものを包含するが、これらに限定されない。脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,2−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ジイソシアナトシクロヘキサン、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、およびビウレット、アロファネート、およびそれらのイソシアヌレート。ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、およびこれらのイソシアネートの混合物は特に好ましい。商用ポリイソシアネートは、例えば、Bayer(米国ペンシルベニア州ピッツバーグ)、およびHuels(米国ニュージャージー州ピスカタウェイ)から入手可能である。
【0054】
また、過剰のジイソシアネートをポリオールと反応させてポリイソシアネート架橋剤を形成させることは有用である。好ましくは、本発明のポリイソシアネート生成物はモノマー状である。例えば、有用な架橋剤は、2当量のジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートを1当量のポリオール、例えば、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、またはこれらの混合物を反応させることによって製造することができる。ポリイソシアネートとポリオールとの間の反応は純粋な状態で、あるいは溶液中で実施することができ、そして必要に応じて触媒、例えば有機錫触媒、ジブチル錫ジラウレートおよびジブチル錫ジアセテート、を使用することができる。
【0055】
ポリイソシアネート架橋剤は、好ましくは、フェノール、カプロラクタム、低分子量オキシム(例えばアセトンオキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサンオキシム、アセトフェノンオキシム、およびその他)のような化合物でブロッキングされ、これによりポリイソシアネート架橋剤を安定な組成物に配合することができる。メチルエチルケトキシムおよびアセトンオキシムは、低い脱ブロッキング温度を有するので、好ましい。
【0056】
組成物は1またはそれより多い触媒をを含み、好ましくはアミノプラスト反応のための少なくとも1種の触媒およびイソシアネート反応のための少なくとも1種の触媒含むことができる。有用な触媒は下記のものを包含するが、これらに限定されない。(イ)アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、およびアルキルアリールスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、およびドデシルベンゼンスルホン酸、(ロ)ジノニルナフタレンジスルホン酸、(ハ)リン酸およびそのエステル、フェニル酸ホスフェート、ヒドロキシホスフェートエステル、およびブチルホスフェート、(ニ)三フッ化ホウ素エーテレート、トリメリト酸、モノブチルマレエート、トリフルオロメタンスルホン酸、(ホ)亜鉛オクタノエート、オクタン酸第一錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクタン酸ビスマス、およびその他。これらのうちで、ブロックされたおよびブロックされていないアルキルスルホン酸およびジアルキル錫塩が好ましい。
【0057】
本発明のコーティング組成物は粉末状コーティングとして使用できるが、好ましくは、コーティング組成物は有機溶剤をさらに含む。1つの高度に好ましい態様において、組成物は溶媒で運ばれるコーティング組成物である。好ましくは、コーティング組成物は有機溶媒溶液である。溶媒は約15〜99重量%、好ましくは約20〜約80重量%、より好ましくは約20〜約50重量%、の量で存在する。
【0058】
特定の溶媒の選択は、この分野においてよく知られている方法に従い行うことができる。最適な溶媒または溶媒混合物は、特定の混合物の簡単な試験により達成され得る。一般に、有用な溶媒は、エステル、特定のアセテート、プロピオネート、およびブチレート、アルコール、ケトン、芳香族溶媒、グリコールエーテルおよびエステル、非プロトン性アミド、非プロトン性スルホキシド、および非プロトン性アミンを包含するが、これらに限定されない。有用な溶媒の非限定的例は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アミルアセテート、ブチルアセテート、エチレングリコールブチルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、キシレン、トルエン、イソプロパノール、ブタノール、ナフサおよび芳香族炭化水素のブレンド、N−メチルピロリドン、およびイソブチルイソブチレートを包含するが、これらに限定されない。
【0059】
本発明によるトップコートのコーティング組成物は、顔料、例えば、この分野において普通に使用されている顔料、例えば、カラー顔料、フレーク顔料、および充填剤顔料をさらに含むことができる。これらの例示的例は、アゾレッド、キナクリドンレッドおよびバイオレット、ペリレンレッド、銅フタロシアニンブルーおよびグリーン、カルバゾールバイオレット、モノアリーリドおよびジアリーリドイエロー、トリルおよびナフトールオレンジ、金属酸化物、クロム酸塩、モリブデン酸塩、リン酸塩、およびケイ酸塩、シリカ、アルミナ、雲母、および青銅である。フレーク顔料は通常スラリーとして撹拌して入れるが、他の顔料を一般にこの分野において広く使用されている装置、例えば、アトライターおよびサンドミル、および方法により樹脂または分散剤および溶媒を使用して分散して顔料ペーストを形成させる。
【0060】
好ましい態様において、本発明のコーティング組成物は着色顔料を含有せず、クリアコートとして使用される。
【0061】
他の慣用の物質、例えば、色素、流れコントロール剤、湿潤剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、HALS化合物、酸化防止剤、およびその他を組成物に添加することができる。
【0062】
本発明のコーティング組成物は、コーティングされた支持体上の最も外部のコーティングの1またはそれより多い層として使用される。コーティングは多数の異なる支持体、例えば、木材、金属、ガラス、布、プラスチック、フォーム、金属、およびエラストマーの上に適用することができる。それらは自動車物品、例えば、金属ボディまたはエラストマーのフェーシア上のトップコートとして特に好ましい。
【0063】
好ましくは、これらのコーティング組成物はプライマーコーティングの1またはそれより多い層の上に適用される。物品が金属物品であるとき、エレクトロコートのプライマーおよび/またはプライマーのサーフェサーの層を有することが好ましい。本発明のコーティング組成物は1コートの着色トップコート層として使用することができるか、あるいはカラー−プラス−クリア複合材料コーティングのクリアコートであることができる。好ましい態様において、本発明のコーティング組成物はカラー−プラス−クリア複合材料コーティングのクリアコートである。クリアコートはベースコート組成物の層の上に好ましくはウェット・オン・ウェットで適用される。適当な着色コートまたはベースコートの組成物はこの分野においてよく知られている。ベースコート組成物において有用であることが知られているポリマーは、アクリル、ビニル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキド、およびポリシロキサンを包含するが、これらに限定されない。アクリルおよびポリウレタンが好ましい。また、熱硬化性ベースコート組成物が好ましく、その目的で、好ましいベースコートのポリマーは1またはそれより多い種類の架橋性官能基、例えば、ヒドロキシ、イソシアネート、アミン、エポキシ、アクリレート、ビニル、シラン、アセトアセテート、およびその他を含んでなる。ベースコートのポリマーは自己架橋性であることができるか、あるいは、好ましくは、組成物は架橋剤、例えば、前述の種類のポリイソシアネートまたはアミノプラスト樹脂を含むことができる。
【0064】
本発明のコーティング組成物は、多数のこの分野においてよく知られている任意の技術に従い、コーティングすべき物品に適用することができる。これらは、例えば、スプレーコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、およびその他を包含する。自動車の適用のために、スプレーコーティング、特に静電スプレー法、が好ましい。1ミルまたはそれより厚いコーティング層は通常2またはそれより多いコートで適用され、各コートは多少の溶媒が蒸発させる、すなわち適用された層から「フラッシュ」させるために十分な時間だけ隔てられる。フラッシュは周囲温度または高温において行うことができ、例えば、フラッシュは放射熱を使用することができる。適用されたばかりのコートは乾燥時0.5ミルから3ミルまでであることができ、そして十分な数のコートを適用して所望の最終コーティング厚さを生成させる。
【0065】
カラー−プラス−クリア複合材料物は通常ウェット・オン・ウェットで適用される。組成物は、前述したように、フラッシュで分離されたコートで適用され、フラッシュは、また、カラー組成物の最後のコートと第1コートのクリアコートとの間である。次いで2つのコーティング層を同時に硬化させる。好ましくは、硬化したベースコート層は0.5〜1.5ミルの厚さであり、そして硬化したクリアコート層は1〜3ミル、より好ましくは1.6〜2.2ミル、の厚さである。
【0066】
記載されたコーティング組成物は好ましくは熱で硬化する。硬化温度は好ましくは約70℃〜約180℃、特に好ましくは約120℃〜約150℃、である。これらの温度における典型的な硬化時間は15〜60分であり、そして好ましくは温度は約15〜約30分の硬化時間を可能とするように選択される。アミノプラスト架橋剤とヒドロキシル官能性を有する樹脂のヒドロキシル基との間の反応が本質的に存在しないように、コーティング組成物の成分の量を選択することが好ましい。また、コーティングのたるみおよび他の流れに関係するコーティングの欠陥を防止するために十分な程度に、カルバメート官能性化合物およびアミノプラスト架橋剤が硬化の間に反応するように、コーティング組成物の成分の量を選択することが好ましい。本発明の1つの好ましい態様において、ポリイソシアネート架橋剤の量は架橋剤の合計重量の少なくとも25重量%である。また、アミノプラスト架橋剤が架橋剤の合計重量の約60重量%までであるコーティング組成物が好ましい。
【0067】
コーティング組成物を硬化させてコーティングされた物品を形成させる。好ましい態様において、コーティングされた物品は自動車のボディまたは部品である。
【0068】
下記の諸例により、本発明をさらに説明する。諸例は単に例示であり、記載されかつ特許請求されている本発明をいかなる方法においても限定するものではない。
【0069】
【実施例】
例1 ベータ−ヒドロキシカルバメートアクリル樹脂の製造
500部の量のポリプロピレングリコールモノメチルエーテルを反応器に供給し、還流するまで(116℃)に加熱した。520部のメチレン−2−オキソ−1,3−ジオキサンメタクリレート、260部のスチレン、260部の2−エチルヘキシルアクリレート、260部のラウレルメタクリレート、85部のt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートの混合物を反応器に3時間かけて添加した。次いで135部のポリプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加した。反応混合物をさらに1時間20分間還流に保持した。
【0070】
1800gのカーボネート官能性アクリル樹脂の重合生成物、350部のプロピレングリコールモノメチルエーテル、および350部のメタノールの溶液を形成させた。このアクリル樹脂溶液にアンモニアガスの流れを通入した。1.5時間後、追加の200部のメタノールを添加した。カーボネートのすべてが消費されるまで、反応を続けた。次いで反応混合物を123℃に加熱し、800部の溶媒を蒸留により除去した。最終生成物は493g/当量のカルバメート当量および493g/当量のヒドロキシル当量を有した。
【0071】
例2〜4 クリアコートの製造
表1に示す成分を一緒に混合することによって、クリアコートを製造した。
1. 3.5−ジメチルピラゾールでブロッキングされたイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートの70%溶液。
2. 3.5−ジメチルピラゾールでブロッキングされたヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートの70%溶液。
3. ジエチルマロネート/エチルアセトアセテートでブロッキングされたイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートの62.4%溶液。
4. ジエチルマロネート/エチルアセトアセテートでブロッキングされたヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートの62.7%溶液。
5. メチルエチルケトキシムでブロッキングされたイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートの65%溶液。
6. メチルエチルケトキシムでブロッキングされたヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートの75%溶液。
7. Cytec Industries(米国コネチカット州スタンフォード)から入手可能である。
8. Exxon Chemical Co.(米国テキサス州ヒューストン)から入手可能である。
【0072】
例2〜4のクリアコートを、下塗鋼パネル上の商用のソルベントボーンおよびウォーターボーンの黒色ベースコートの上に適用し、290°Fにおいて23分間焼付けた。コーティングされたパネルを、フロリダ州ジャクソヴィレにおいて14週間暴露することによって、環境的腐蝕抵抗について試験した。腐蝕抵抗について実験のコーティングの性能を目盛り1〜10で等級づけ、1は可視の腐蝕が存在せず、そして10は完全な不合格である。
【0073】
【0074】
好ましい態様を参照して、本発明を詳細に説明した。しかしながら、本発明の精神および範囲から逸脱しないで種々の変化および変更が可能であることを理解すべきである。
Claims (28)
- (a)の化合物が複数のヒドロキシル基を有する、請求項1に記載の硬化性コーティング組成物。
- (a)の化合物が複数の官能基を有し、それらの少なくとも1つはカルバメート基である、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
- (a)の化合物が、1分子あたり平均して複数のカルバメート基を有する、請求項1または2に記載の硬化性コーティング組成物。
- (a)の化合物が少なくとも2つのカルバメート基を有する、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
- (a)の化合物が少なくとも1つのカルバメート基および少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
- (b)の化合物が複数のヒドロキシル基を有する、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
- (a)の化合物がモノマー状化合物である、請求項1または2に記載のコーティング組成物。
- (a)の化合物が樹脂またはポリマーである、請求項1に記載の硬化性コーティング組成物。
- (a)の化合物がアクリルポリマーである、請求項1に記載の硬化性コーティング組成物。
- (b)の化合物がアクリルポリマーである、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
- アクリルポリマーが1000〜40,000の数平均分子量を有する、請求項11または12に記載の硬化性コーティング組成物。
- (a)の化合物がヒドロキシアルキルカルバメートである、請求項1または2に記載の硬化性コーティング組成物。
- アミノプラスト架橋剤の有効当量/カルバメート官能性の当量の比が少なくとも0.6:1である、請求項1または2に記載の硬化性コーティング組成物。
- アミノプラスト架橋剤の有効当量/カルバメート官能性の当量の比が少なくとも0.8:1である、請求項1または2に記載の硬化性コーティング組成物。
- ポリイソシアネート架橋剤の有効当量/ヒドロキシル官能性の当量の比が少なくとも0.5:1である、請求項1または2に記載の硬化性コーティング組成物。
- ポリイソシアネート架橋剤の有効当量/ヒドロキシル官能性の当量の比が少なくとも0.7:1である、請求項1または2に記載の硬化性コーティング組成物。
- (a)の化合物がベータ−ヒドロキシカルバメート化合物および脂肪族ポリイソシアネートの付加物である、請求項1または2に記載の硬化性コーティング組成物。
- (a)の化合物が、ヒドロキシエチルカルバメート、ヒドロキシプロピルカルバメート、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
- (a)の化合物がカルバメート官能性ポリエステルである、請求項1に記載の硬化性コーティング組成物。
- (b)の化合物は、ヒドロキシル官能性ポリエステル、ヒドロキシル官能性ポリウレタン、ヒドロキシル官能付加ポリマー、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
- (b)の化合物がアクリルポリマーである、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
- ポリイソシアネート架橋剤が、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載のコーティング組成物。
- アミノプラスト架橋剤がメラミンホルムアルデヒド樹脂である、請求項1または2に記載のコーティング組成物。
- 下記の工程からなる、物品をコーティングする方法。
(a) 物品の上に、最も外部のコーティング層として、請求項1または2に記載のコーティング組成物を適用し、そして
(b) 前記コーティング組成物を硬化させてコーティングされた物品を形成する。 - カルバメート官能性化合物およびアミノプラスト架橋剤を硬化の間に十分な程度に反応させて、コーティングのたるみを防止する、請求項26に記載の物品をコーティングする方法。
- 請求項26に記載の方法によりコーティングされた物品。
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