JP3606927B2 - 高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法及びその固化物 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法及びその固化物に関する。詳しくは、酸化劣敗の激しい高度不飽和脂肪酸含有脂質をプロラミン系蛋白質で固化するに際し、該脂質中のトコフェロ−ル濃度を特定の値に調整するという方法を採用することにより、酸化安定性に優れた高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物を得るものである。
【0002】
【従来の技術】
高度不飽和脂肪酸含有脂質は、様々な生理作用、例えば、目の疲労回復、血中脂質の改善、記憶・反射応答の向上等の作用があることが報告されており、健康食品や医薬品としての利用が計られている。
【0003】
しかし、高度不飽和脂肪酸は酸化し易く、酸化劣敗に伴なって悪臭を発生するので、高度不飽和脂肪酸を多く含む脂質(油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル)では、酸化による変敗と悪臭の発生が保存上の重大な問題となっている。
【0004】
脂質の酸化防止には、抗酸化剤の添加が最も頻繁に採用される方法である。抗酸化剤としては、トコフェロ−ル、茶抽出物、クエン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸脂肪酸エステル等が一般に知られている。
【0005】
これらの抗酸化剤を用いた脂質の酸化抑制を目的とした製剤や方法については多数考案されているが、大豆油、コ−ン油、ラ−ド等の油脂に対しては抑制効果が十分であっても魚油や微生物由来の高度不飽和脂肪酸を含む油脂に対して効果が十分であるものは少ない。
【0006】
一方、油脂類は粉末状とすることにより食品への利用が広がっている。これらの固化物における酸化防止は、液状の油脂の酸化防止と並んで技術的課題の一つである。固化した油脂における酸化防止効果はプロラミン系蛋白質(ツェイン、グリアジン)においてあることが知られている(特開平3−50292号公報;J. Agric. Food Chem. ,Vol.39 ,351−355(1991);Agric. Biol. Chem. ,Vol.51 ,3301−3307(1987))。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
脂質の抗酸化に作用するトコフェロ−ルには至適濃度が存在する。トコフェロ−ルが至適濃度以下では濃度に比例して抗酸化力が高まるが、至適濃度を越えた過剰なトコフェロ−ルの存在は逆に酸化を促進する方向に働くことが一般に知られている。植物油等ではトコフェロ−ルの至適濃度は数100ppm以下にあるが、魚油等の高度不飽和脂肪酸を多く含む脂質ではこの至適濃度が植物油等に比べかなり高いところにある。一般には、魚油に対してトコフェロ−ルが10000ppmまでは酸化抑制の方向に働き、過剰添加にはならないと言われている。
【0008】
本発明者等も魚油に対するトコフェロ−ルの効果を調べ、7000ppm まではトコフェロ−ル濃度が高いほど酸化を抑制する方向へ働くことを確認している(表1参照)。
【0009】
植物油や魚油等液状の脂質を対象としたトコフェロ−ルの抗酸化性と濃度の関係については上記のような知見があるが、プロラミン系蛋白質で固化した固体状の脂質に対するトコフェロ−ルの効果については全く未知で検討が為されていない。
【0010】
また、トコフェロ−ルにはα体、β体、γ体、δ体といった同族体が存在し、これら同族体別の抗酸化力はα体、β体、γ体、δ体の順に強くなる(抗酸化力:α体〈β体〈γ体〈δ体)と言われているが、植物油やラ−ドで調べられた結果から(JOURNAL OF F00D SCIENCE ,55(5),1464−1465(1990);栄養と食糧、33(6),393−398)、濃度によっては抗酸化力の順位が逆転することも判っている。このように、トコフェロ−ルの各同族体、特にα体、γ体、δ体の効果については植物油を対象として調べられている。しかし、β体については他の同族体に比べ天然に存在する量が極めて少ないことから現状では工業的な意義は低く、単独での抗酸化効果を調べた事例は見当たらない。
【0011】
さらに、高度不飽和脂肪酸を含有する脂質でトコフェロ−ルの同族体別の抗酸化効果を詳しく検討した例はほとんどない。唯一、高度不飽和脂肪酸を含む脂質を対象として同族体の効果について調べた例にはエイコサペンタエン酸(以下、EPAという)を多く含むイワシ油を用いた報告がある(愛媛工技研究報告 No.21,19−28(愛媛県工業技術センタ−業績 278号))が、この報告ではα体の効果を調べるに留まっている。
【0012】
【表1】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、プロラミン系蛋白質による高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化製品において、その酸化安定性に資する抗酸化剤のトコフェロ−ルについて詳しく研究した結果、該固化製品の酸化安定性はトコフェロ−ルの同族体の配合割合に大きな影響を受けることを見出し、このような新しい知見に基づいて、本発明を完成した。
【0013】
本発明は、高度不飽和脂肪酸含有脂質をプロラミン系蛋白質を使用して固化(粉末化)するに際し、高度不飽和脂肪酸含有脂質中のトコフェロ−ル同族体の配合割合を下記のような値に特定することによって、高い酸化安定性の高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物を得るものである。
【0014】
すなわち、本発明は、(1)高度不飽和脂肪酸含有トリグリセリド、高度不飽和脂肪酸含有ジグリセリド、高度不飽和脂肪酸モノグリセリド、高度不飽和脂肪酸、及び高度不飽和脂肪酸とアルコ−ル類のエステルの1種または2種以上から選択される高度不飽和脂肪酸含有脂質をプロラミン系蛋白質で固化する、高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物を製造する方法において、該高度不飽和脂肪酸含有脂質中のトコフェロ−ル濃度が下記に示した範囲になるようにトコフェロ−ルを添加することを特徴とする高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法。
【0015】
[トコフェロ−ル濃度範囲(ppm)]
0 ≦ [α] ≦ 600 且つ
300 + 0.4 × [α] ≦ [γ] + [δ] ≦ 4400 − 4.0 × [α]
ここで、[α]、[γ]、[δ]は、それぞれ、α−トコフェロ−ル濃度、γ−トコフェロ−ル濃度、δ−トコフェロ−ル濃度を表す;及び(2)高度不飽和脂肪酸含有トリグリセリド、高度不飽和脂肪酸含有ジグリセリド、高度不飽和脂肪酸モノグリセリド、高度不飽和脂肪酸、及び高度不飽和脂肪酸とアルコ−ル類のエステルの1種または2種以上から選択される高度不飽和脂肪酸含有脂質をプロラミン系蛋白質で固化してなる高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物において、該高度不飽和脂肪酸含有脂質中のトコフェロ−ル濃度が下記に示した範囲になるようにトコフェロ−ルを添加することを特徴とする高度不飽和脂肪酸含有脂質の酸化安定性固化物。
【0016】
[トコフェロ−ル濃度範囲(ppm)]
0 ≦ [α] ≦ 600 且つ
300 + 0.4 × [α] ≦ [γ] + [δ] ≦ 4400 − 4.0 × [α]
ここで、[α]、[γ]、[δ]は、それぞれ、α−トコフェロ−ル濃度、γ−トコフェロ−ル濃度、δ−トコフェロ−ル濃度を表す。;である。
【0017】
本発明におけるトコフェロ−ル濃度の規定の根拠は、図1によるものである。
【0018】
図1において、(○)は実施例1〜7、(△)は実施例8〜14、(×)は比較例1〜11における、トコフェロ−ル同族体の濃度関係を示す。請求項1は実線で囲まれた部分のものから、請求項2は破線で囲まれた部分のものから、それぞれ、誘導されたものである。
【0019】
トコフェロ−ルの添加時期は、高度不飽和脂肪酸含有脂質の製造工程中または高度不飽和脂肪酸含有脂質の最終製品段階のいずれでも可能である。
【0020】
トコフェロ−ルの添加方法は、所定量のトコフェロ−ルを溶かした少量の高度不飽和脂肪酸含有脂質を所定量の高度不飽和脂肪酸含有脂質へ添加するなど、均一に添加できる方法であれば、どのような方法でも構わない。
【0021】
トコフェロ−ルの高度不飽和脂肪酸含有脂質中への配合は、次のいずれかの方法によって、行うことができる。
【0022】
(1)α、β、γ、δ体をすべて含むトコフェロ−ル製剤を配合する
(2)γ体及び/またはδ体が豊富な製剤を配合する
(3)(1)製剤、(2)製剤、α体が豊富な製剤を組み合わせて配合する
本発明において処理対象とされる高度不飽和脂肪酸含有脂質としては、魚油のように特に不飽和度の高い脂肪酸を多量に含有するトリグリセリドやその加水分解によって得られる分解物がある。この加水分解物としては、高度不飽和脂肪酸含有ジグリセリド、高度不飽和脂肪酸モノグリセリド、高度不飽和脂肪酸、及びこれらの混合物がある。さらに、これらを低級のアルコールでエステル化したものがある。
【0023】
高度不飽和脂肪酸としては、炭素数18以上で二重結合3個以上を有する高度不飽和脂肪酸が使用されるが、具体的には、ドコサヘキサエン酸(以下DHAという)、EPA、アラキドン酸、α−又はγ−リノレン酸等を挙げることができる。
【0024】
アルコールエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、コレステロールエステル等の他にグリセロフォスホリルエステル等の複合脂質のエステルが挙げられる。
【0025】
プロラミン系蛋白質としては、トウモロコシ由来のツェインや小麦由来のグリアジン等が使用されるが、これらのものは、市販されているものは勿論、熱水処理による水溶性成分の除去やヘキサン等の溶剤処理による脱脂等を施して市販品の純度を高めたものや、コ−ングルテンミ−ルや小麦グルテンから含水アルコ−ル等の溶媒によって抽出したもの等も対象となる。
【0026】
高度不飽和脂肪酸含有脂質とプロラミン系蛋白質の使用割合は、高度不飽和脂肪酸含有脂質1部に対してプロラミン系蛋白質1〜10部で配合することが望ましいが、通常は、2〜4部の割合が選択される。
【0027】
高度不飽和脂肪酸含有脂質をプロラミン系蛋白質で固化する方法としては、次の様な方法が挙げられる。
【0028】
(1)プロラミン系蛋白質と高度不飽和脂肪酸含有脂質の混合または混練。
【0029】
(2)湿熱処理したプロラミン系蛋白質と高度不飽和脂肪酸含有脂質の混合または混練。
【0030】
(3)プロラミン系蛋白質と高度不飽和脂肪酸含有脂質混合物の湿熱処理、必要に応じて乾燥・粉砕。
【0031】
(4)プロラミン系蛋白質溶液へ高度不飽和脂肪酸含有脂質を添加混合後、薄膜乾燥または噴霧乾燥。
【0032】
特に湿熱加熱処理により行うのが好ましい。湿熱処理方法としては、この混合物を湿熱加熱処理するものであるならば、どのような方法も採用することができるが、好ましくは140℃以上の温度で飽和水蒸気下において湿熱加熱する方法を採用するのがよい。
【0033】
湿熱加熱処理の場合は、加圧下において行われる。その圧力は、採用される加熱温度によるが、通常は、蒸気圧約2.7〜9kg/cm2が選択される。この方法を行うための具体的装置としては、オ−トクレ−ブ、レトルト殺菌装置、反応釜等の耐圧容器が挙げられる。
【0034】
湿熱加熱処理の時間は、品温が湿熱処理温度になってから30分〜2時間ぐらいで目的を達成することができる。
【0035】
本発明で得られた高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物は、乾燥後、ハンマ−等で粉砕し、コ−ヒ−ミル等によって、粉末化することができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。
【0037】
表2に示す各トコフェロ−ル濃度の魚油を調製し、以下のような固化方法を行い、得られる固化物の酸化安定性の確認を行った。
【0038】
酸化安定性の評価には、55℃暗所大気圧下において、過酸化物価が3meq/kg以下である日数で示した。(この条件での1日は25℃暗所における1週間に相当する。)
(固化方法)
ツェイン(昭和産業(株)製「昭和ツェインDP」)8重量部に対して表2に示した組成を有する魚油2重量部及び水20重量部を混合してスラリ−状とし、これをステンレス製のトレ−上へ厚さ約3〜4cmに広げた後、耐圧容器に入れ、加熱した飽和水蒸気を吹き込んで、140℃、2.7kg/cm2の蒸気圧下において90分湿熱加熱処理を施した。板状の処理物を取り出した後、FTS SYSTEM社製真空凍結乾燥機を使用して棚温度35℃にて凍結乾燥した。乾燥品をハンマ−によって砕いた後に、PHILIPS社製コ−ヒ−ミルを使用して粉砕して、粉末とした。
【0039】
実施例1〜14では、供試魚油1〜14を、比較例1〜12では、供試魚油15〜26を、それぞれ、使用した。
【0040】
表2中の供試魚油15は、無添加品に当たる。検出されたトコフェロ−ルは魚油由来のものである。
【0041】
得られた粉末の酸化安定性についての評価結果は、表3に示すとおりである。
【0042】
ここで、20日以上の安定性が得られるものを○、10〜19日の安定性が得られるものを△、9日以下のものを×、で示した。
【0043】
(図1においても、同様である)
表3より、酸化安定性の固化物を得るためには、α−トコフェロ−ルの濃度が600ppm以下であって、しかも、γ−トコフェロ−ルとδ−トコフェロ−ルの濃度の和が一定の範囲であることが必要である。
【0044】
又、極めて優れた酸化安定性を有する固化物を得るためには、α−トコフェロ−ルが200ppm以下であって、しかも、γ−トコフェロ−ルとδ−トコフェロ−ルの濃度の和が一定の範囲であることが必要である。
【0045】
ここでは、トコフェロ−ルの濃度が高くなるほどその酸化安定性が向上するという、固化前の液状の高度不飽和脂肪酸含有脂質にみられるような傾向は、全く見られない。
【0046】
このことは、固化前の高度不飽和脂肪酸含有脂質と固化後のそれとは、同一に論ぜられないことを教示していると言える。
【0047】
以上のとおり、高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法における、トコフェロ−ルのα、γ、δ各同族体の添加方法を検討した結果、本発明を成すに至った。
【0048】
【表2】
【表3】
【発明の効果】
本発明によれば、プロラミン系蛋白質の持つ酸化抑制性とトコフェロ−ルの持つ抗酸化性との相乗効果によって、優れた酸化安定性を有する高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物が得られる。
【0049】
本発明により得られた高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物は、本発明の範囲外であるところのものに比し、格段に優れた酸化安定性を有する。即ち、請求項1記載のトコフェロ−ル濃度に調整すれば55℃において過酸化物価が3meq/kg以下である期間を少なくとも2倍以上に延ばすことができ、特に、請求項2記載の濃度範囲に限定すれば、4〜20倍にまで飛躍的に延ばすことができる。
【0050】
固化前の液状の高度不飽和脂肪酸含有脂質は、単に、トコフェロ−ルの濃度を高くすれば、それだけ、その酸化安定性が向上するという傾向があるにすぎないことからみて、本発明における、固化後の高度不飽和脂肪酸含有脂質の酸化安定性についてのこのような効果は、全く予想外のことであり、本発明により初めてもたらされた特有の効果であるということができる。
【0051】
また、本発明で規定されたトコフェロ−ル同族体の割合は、天然に存在するトコフェロ−ル同族体の量比からすると、β体は極めて少なく、α体もγ体及びδに較べて少ない。
【0052】
α体はビタミンEとしての栄養学的な効果に富むので、天然トコフェロ−ルから工業的に単離濃縮されているが、このため、安価なγ体とδ体に富む画分が発生しており、γ体及びδ体を中心に使用するところの本発明は、このような画分を利用できるので有利である。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】特許請求の範囲のトコフェロ−ル濃度における同族体の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
実線で囲まれた部分・・・請求項1のもの
破線で囲まれた部分・・・請求項2のもの
○1〜○7・・・・・・実施例1〜7のもの
△8〜△14・・・・・ 実施例8〜14のもの
×1〜×11・・・・・ 比較例1〜11のもの
【産業上の利用分野】
高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法及びその固化物に関する。詳しくは、酸化劣敗の激しい高度不飽和脂肪酸含有脂質をプロラミン系蛋白質で固化するに際し、該脂質中のトコフェロ−ル濃度を特定の値に調整するという方法を採用することにより、酸化安定性に優れた高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物を得るものである。
【0002】
【従来の技術】
高度不飽和脂肪酸含有脂質は、様々な生理作用、例えば、目の疲労回復、血中脂質の改善、記憶・反射応答の向上等の作用があることが報告されており、健康食品や医薬品としての利用が計られている。
【0003】
しかし、高度不飽和脂肪酸は酸化し易く、酸化劣敗に伴なって悪臭を発生するので、高度不飽和脂肪酸を多く含む脂質(油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル)では、酸化による変敗と悪臭の発生が保存上の重大な問題となっている。
【0004】
脂質の酸化防止には、抗酸化剤の添加が最も頻繁に採用される方法である。抗酸化剤としては、トコフェロ−ル、茶抽出物、クエン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸脂肪酸エステル等が一般に知られている。
【0005】
これらの抗酸化剤を用いた脂質の酸化抑制を目的とした製剤や方法については多数考案されているが、大豆油、コ−ン油、ラ−ド等の油脂に対しては抑制効果が十分であっても魚油や微生物由来の高度不飽和脂肪酸を含む油脂に対して効果が十分であるものは少ない。
【0006】
一方、油脂類は粉末状とすることにより食品への利用が広がっている。これらの固化物における酸化防止は、液状の油脂の酸化防止と並んで技術的課題の一つである。固化した油脂における酸化防止効果はプロラミン系蛋白質(ツェイン、グリアジン)においてあることが知られている(特開平3−50292号公報;J. Agric. Food Chem. ,Vol.39 ,351−355(1991);Agric. Biol. Chem. ,Vol.51 ,3301−3307(1987))。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
脂質の抗酸化に作用するトコフェロ−ルには至適濃度が存在する。トコフェロ−ルが至適濃度以下では濃度に比例して抗酸化力が高まるが、至適濃度を越えた過剰なトコフェロ−ルの存在は逆に酸化を促進する方向に働くことが一般に知られている。植物油等ではトコフェロ−ルの至適濃度は数100ppm以下にあるが、魚油等の高度不飽和脂肪酸を多く含む脂質ではこの至適濃度が植物油等に比べかなり高いところにある。一般には、魚油に対してトコフェロ−ルが10000ppmまでは酸化抑制の方向に働き、過剰添加にはならないと言われている。
【0008】
本発明者等も魚油に対するトコフェロ−ルの効果を調べ、7000ppm まではトコフェロ−ル濃度が高いほど酸化を抑制する方向へ働くことを確認している(表1参照)。
【0009】
植物油や魚油等液状の脂質を対象としたトコフェロ−ルの抗酸化性と濃度の関係については上記のような知見があるが、プロラミン系蛋白質で固化した固体状の脂質に対するトコフェロ−ルの効果については全く未知で検討が為されていない。
【0010】
また、トコフェロ−ルにはα体、β体、γ体、δ体といった同族体が存在し、これら同族体別の抗酸化力はα体、β体、γ体、δ体の順に強くなる(抗酸化力:α体〈β体〈γ体〈δ体)と言われているが、植物油やラ−ドで調べられた結果から(JOURNAL OF F00D SCIENCE ,55(5),1464−1465(1990);栄養と食糧、33(6),393−398)、濃度によっては抗酸化力の順位が逆転することも判っている。このように、トコフェロ−ルの各同族体、特にα体、γ体、δ体の効果については植物油を対象として調べられている。しかし、β体については他の同族体に比べ天然に存在する量が極めて少ないことから現状では工業的な意義は低く、単独での抗酸化効果を調べた事例は見当たらない。
【0011】
さらに、高度不飽和脂肪酸を含有する脂質でトコフェロ−ルの同族体別の抗酸化効果を詳しく検討した例はほとんどない。唯一、高度不飽和脂肪酸を含む脂質を対象として同族体の効果について調べた例にはエイコサペンタエン酸(以下、EPAという)を多く含むイワシ油を用いた報告がある(愛媛工技研究報告 No.21,19−28(愛媛県工業技術センタ−業績 278号))が、この報告ではα体の効果を調べるに留まっている。
【0012】
【表1】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、プロラミン系蛋白質による高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化製品において、その酸化安定性に資する抗酸化剤のトコフェロ−ルについて詳しく研究した結果、該固化製品の酸化安定性はトコフェロ−ルの同族体の配合割合に大きな影響を受けることを見出し、このような新しい知見に基づいて、本発明を完成した。
【0013】
本発明は、高度不飽和脂肪酸含有脂質をプロラミン系蛋白質を使用して固化(粉末化)するに際し、高度不飽和脂肪酸含有脂質中のトコフェロ−ル同族体の配合割合を下記のような値に特定することによって、高い酸化安定性の高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物を得るものである。
【0014】
すなわち、本発明は、(1)高度不飽和脂肪酸含有トリグリセリド、高度不飽和脂肪酸含有ジグリセリド、高度不飽和脂肪酸モノグリセリド、高度不飽和脂肪酸、及び高度不飽和脂肪酸とアルコ−ル類のエステルの1種または2種以上から選択される高度不飽和脂肪酸含有脂質をプロラミン系蛋白質で固化する、高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物を製造する方法において、該高度不飽和脂肪酸含有脂質中のトコフェロ−ル濃度が下記に示した範囲になるようにトコフェロ−ルを添加することを特徴とする高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法。
【0015】
[トコフェロ−ル濃度範囲(ppm)]
0 ≦ [α] ≦ 600 且つ
300 + 0.4 × [α] ≦ [γ] + [δ] ≦ 4400 − 4.0 × [α]
ここで、[α]、[γ]、[δ]は、それぞれ、α−トコフェロ−ル濃度、γ−トコフェロ−ル濃度、δ−トコフェロ−ル濃度を表す;及び(2)高度不飽和脂肪酸含有トリグリセリド、高度不飽和脂肪酸含有ジグリセリド、高度不飽和脂肪酸モノグリセリド、高度不飽和脂肪酸、及び高度不飽和脂肪酸とアルコ−ル類のエステルの1種または2種以上から選択される高度不飽和脂肪酸含有脂質をプロラミン系蛋白質で固化してなる高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物において、該高度不飽和脂肪酸含有脂質中のトコフェロ−ル濃度が下記に示した範囲になるようにトコフェロ−ルを添加することを特徴とする高度不飽和脂肪酸含有脂質の酸化安定性固化物。
【0016】
[トコフェロ−ル濃度範囲(ppm)]
0 ≦ [α] ≦ 600 且つ
300 + 0.4 × [α] ≦ [γ] + [δ] ≦ 4400 − 4.0 × [α]
ここで、[α]、[γ]、[δ]は、それぞれ、α−トコフェロ−ル濃度、γ−トコフェロ−ル濃度、δ−トコフェロ−ル濃度を表す。;である。
【0017】
本発明におけるトコフェロ−ル濃度の規定の根拠は、図1によるものである。
【0018】
図1において、(○)は実施例1〜7、(△)は実施例8〜14、(×)は比較例1〜11における、トコフェロ−ル同族体の濃度関係を示す。請求項1は実線で囲まれた部分のものから、請求項2は破線で囲まれた部分のものから、それぞれ、誘導されたものである。
【0019】
トコフェロ−ルの添加時期は、高度不飽和脂肪酸含有脂質の製造工程中または高度不飽和脂肪酸含有脂質の最終製品段階のいずれでも可能である。
【0020】
トコフェロ−ルの添加方法は、所定量のトコフェロ−ルを溶かした少量の高度不飽和脂肪酸含有脂質を所定量の高度不飽和脂肪酸含有脂質へ添加するなど、均一に添加できる方法であれば、どのような方法でも構わない。
【0021】
トコフェロ−ルの高度不飽和脂肪酸含有脂質中への配合は、次のいずれかの方法によって、行うことができる。
【0022】
(1)α、β、γ、δ体をすべて含むトコフェロ−ル製剤を配合する
(2)γ体及び/またはδ体が豊富な製剤を配合する
(3)(1)製剤、(2)製剤、α体が豊富な製剤を組み合わせて配合する
本発明において処理対象とされる高度不飽和脂肪酸含有脂質としては、魚油のように特に不飽和度の高い脂肪酸を多量に含有するトリグリセリドやその加水分解によって得られる分解物がある。この加水分解物としては、高度不飽和脂肪酸含有ジグリセリド、高度不飽和脂肪酸モノグリセリド、高度不飽和脂肪酸、及びこれらの混合物がある。さらに、これらを低級のアルコールでエステル化したものがある。
【0023】
高度不飽和脂肪酸としては、炭素数18以上で二重結合3個以上を有する高度不飽和脂肪酸が使用されるが、具体的には、ドコサヘキサエン酸(以下DHAという)、EPA、アラキドン酸、α−又はγ−リノレン酸等を挙げることができる。
【0024】
アルコールエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、コレステロールエステル等の他にグリセロフォスホリルエステル等の複合脂質のエステルが挙げられる。
【0025】
プロラミン系蛋白質としては、トウモロコシ由来のツェインや小麦由来のグリアジン等が使用されるが、これらのものは、市販されているものは勿論、熱水処理による水溶性成分の除去やヘキサン等の溶剤処理による脱脂等を施して市販品の純度を高めたものや、コ−ングルテンミ−ルや小麦グルテンから含水アルコ−ル等の溶媒によって抽出したもの等も対象となる。
【0026】
高度不飽和脂肪酸含有脂質とプロラミン系蛋白質の使用割合は、高度不飽和脂肪酸含有脂質1部に対してプロラミン系蛋白質1〜10部で配合することが望ましいが、通常は、2〜4部の割合が選択される。
【0027】
高度不飽和脂肪酸含有脂質をプロラミン系蛋白質で固化する方法としては、次の様な方法が挙げられる。
【0028】
(1)プロラミン系蛋白質と高度不飽和脂肪酸含有脂質の混合または混練。
【0029】
(2)湿熱処理したプロラミン系蛋白質と高度不飽和脂肪酸含有脂質の混合または混練。
【0030】
(3)プロラミン系蛋白質と高度不飽和脂肪酸含有脂質混合物の湿熱処理、必要に応じて乾燥・粉砕。
【0031】
(4)プロラミン系蛋白質溶液へ高度不飽和脂肪酸含有脂質を添加混合後、薄膜乾燥または噴霧乾燥。
【0032】
特に湿熱加熱処理により行うのが好ましい。湿熱処理方法としては、この混合物を湿熱加熱処理するものであるならば、どのような方法も採用することができるが、好ましくは140℃以上の温度で飽和水蒸気下において湿熱加熱する方法を採用するのがよい。
【0033】
湿熱加熱処理の場合は、加圧下において行われる。その圧力は、採用される加熱温度によるが、通常は、蒸気圧約2.7〜9kg/cm2が選択される。この方法を行うための具体的装置としては、オ−トクレ−ブ、レトルト殺菌装置、反応釜等の耐圧容器が挙げられる。
【0034】
湿熱加熱処理の時間は、品温が湿熱処理温度になってから30分〜2時間ぐらいで目的を達成することができる。
【0035】
本発明で得られた高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物は、乾燥後、ハンマ−等で粉砕し、コ−ヒ−ミル等によって、粉末化することができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。
【0037】
表2に示す各トコフェロ−ル濃度の魚油を調製し、以下のような固化方法を行い、得られる固化物の酸化安定性の確認を行った。
【0038】
酸化安定性の評価には、55℃暗所大気圧下において、過酸化物価が3meq/kg以下である日数で示した。(この条件での1日は25℃暗所における1週間に相当する。)
(固化方法)
ツェイン(昭和産業(株)製「昭和ツェインDP」)8重量部に対して表2に示した組成を有する魚油2重量部及び水20重量部を混合してスラリ−状とし、これをステンレス製のトレ−上へ厚さ約3〜4cmに広げた後、耐圧容器に入れ、加熱した飽和水蒸気を吹き込んで、140℃、2.7kg/cm2の蒸気圧下において90分湿熱加熱処理を施した。板状の処理物を取り出した後、FTS SYSTEM社製真空凍結乾燥機を使用して棚温度35℃にて凍結乾燥した。乾燥品をハンマ−によって砕いた後に、PHILIPS社製コ−ヒ−ミルを使用して粉砕して、粉末とした。
【0039】
実施例1〜14では、供試魚油1〜14を、比較例1〜12では、供試魚油15〜26を、それぞれ、使用した。
【0040】
表2中の供試魚油15は、無添加品に当たる。検出されたトコフェロ−ルは魚油由来のものである。
【0041】
得られた粉末の酸化安定性についての評価結果は、表3に示すとおりである。
【0042】
ここで、20日以上の安定性が得られるものを○、10〜19日の安定性が得られるものを△、9日以下のものを×、で示した。
【0043】
(図1においても、同様である)
表3より、酸化安定性の固化物を得るためには、α−トコフェロ−ルの濃度が600ppm以下であって、しかも、γ−トコフェロ−ルとδ−トコフェロ−ルの濃度の和が一定の範囲であることが必要である。
【0044】
又、極めて優れた酸化安定性を有する固化物を得るためには、α−トコフェロ−ルが200ppm以下であって、しかも、γ−トコフェロ−ルとδ−トコフェロ−ルの濃度の和が一定の範囲であることが必要である。
【0045】
ここでは、トコフェロ−ルの濃度が高くなるほどその酸化安定性が向上するという、固化前の液状の高度不飽和脂肪酸含有脂質にみられるような傾向は、全く見られない。
【0046】
このことは、固化前の高度不飽和脂肪酸含有脂質と固化後のそれとは、同一に論ぜられないことを教示していると言える。
【0047】
以上のとおり、高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法における、トコフェロ−ルのα、γ、δ各同族体の添加方法を検討した結果、本発明を成すに至った。
【0048】
【表2】
【表3】
【発明の効果】
本発明によれば、プロラミン系蛋白質の持つ酸化抑制性とトコフェロ−ルの持つ抗酸化性との相乗効果によって、優れた酸化安定性を有する高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物が得られる。
【0049】
本発明により得られた高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物は、本発明の範囲外であるところのものに比し、格段に優れた酸化安定性を有する。即ち、請求項1記載のトコフェロ−ル濃度に調整すれば55℃において過酸化物価が3meq/kg以下である期間を少なくとも2倍以上に延ばすことができ、特に、請求項2記載の濃度範囲に限定すれば、4〜20倍にまで飛躍的に延ばすことができる。
【0050】
固化前の液状の高度不飽和脂肪酸含有脂質は、単に、トコフェロ−ルの濃度を高くすれば、それだけ、その酸化安定性が向上するという傾向があるにすぎないことからみて、本発明における、固化後の高度不飽和脂肪酸含有脂質の酸化安定性についてのこのような効果は、全く予想外のことであり、本発明により初めてもたらされた特有の効果であるということができる。
【0051】
また、本発明で規定されたトコフェロ−ル同族体の割合は、天然に存在するトコフェロ−ル同族体の量比からすると、β体は極めて少なく、α体もγ体及びδに較べて少ない。
【0052】
α体はビタミンEとしての栄養学的な効果に富むので、天然トコフェロ−ルから工業的に単離濃縮されているが、このため、安価なγ体とδ体に富む画分が発生しており、γ体及びδ体を中心に使用するところの本発明は、このような画分を利用できるので有利である。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】特許請求の範囲のトコフェロ−ル濃度における同族体の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
実線で囲まれた部分・・・請求項1のもの
破線で囲まれた部分・・・請求項2のもの
○1〜○7・・・・・・実施例1〜7のもの
△8〜△14・・・・・ 実施例8〜14のもの
×1〜×11・・・・・ 比較例1〜11のもの
Claims (10)
- 高度不飽和脂肪酸含有トリグリセリド、高度不飽和脂肪酸含有ジグリセリド、高度不飽和脂肪酸モノグリセリド、高度不飽和脂肪酸、及び高度不飽和脂肪酸とアルコ−ル類のエステルの1種または2種以上から選択される高度不飽和脂肪酸含有脂質をプロラミン系蛋白質で固化する、高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法において、該高度不飽和脂肪酸含有脂質中のトコフェロ−ル濃度が下記に示した範囲になるようにトコフェロ−ルを添加することを特徴とする高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法。
[トコフェロ−ル濃度範囲(ppm)]
0 ≦ [α] ≦ 600 且つ
300 + 0.4 × [α] ≦ [γ] + [δ] ≦ 4400 − 4.0 × [α]
ここで、[α]、[γ]、[δ]は、それぞれ、α−トコフェロ−ル濃度、γ−トコフェロ−ル濃度、δ−トコフェロ−ル濃度を表す。 - 高度不飽和脂肪酸含有脂質中のトコフェロ−ル濃度を下記に示した範囲になるようにトコフェロ−ルを添加することを特徴とする請求項1記載の高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法。
[トコフェロ−ル濃度範囲(ppm)]
0 ≦ [α] ≦ 200 且つ
800 + 1.0 × [α] ≦ [γ] + [δ] ≦ 3600 − 4.0 × [α] - プロラミン系蛋白質がツェイン(zein)である請求項1又は2に記載の高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法。
- 高度不飽和脂肪酸含有トリグリセリドが魚油である請求項1〜3のいずれか一つに記載の高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法。
- 高度不飽和脂肪酸がドコサヘキサエン酸又はエイコサペンタエン酸である請求項1〜3のいずれか一つに記載の高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化方法。
- 高度不飽和脂肪酸含有トリグリセリド、高度不飽和脂肪酸含有ジグリセリド、高度不飽和脂肪酸モノグリセリド、高度不飽和脂肪酸、及び高度不飽和脂肪酸とアルコ−ル類のエステルの1種または2種以上から選択される高度不飽和脂肪酸含有脂質をプロラミン系蛋白質で固化してなる高度不飽和脂肪酸含有脂質の固化物において、該高度不飽和脂肪酸含有脂質中のトコフェロ−ル濃度が下記に示した範囲になるようにトコフェロ−ルを添加することを特徴とする高度不飽和脂肪酸含有脂質の酸化安定性固化物。
[トコフェロ−ル濃度範囲(ppm)]
0 ≦ [α] ≦ 600 且つ
300 + 0.4 × [α] ≦ [γ] + [δ] ≦ 4400 − 4.0 × [α]
ここで、[α]、[γ]、[δ]は、それぞれ、α−トコフェロ−ル濃度、γ−トコフェロ−ル濃度、δ−トコフェロ−ル濃度を表す。 - 高度不飽和脂肪酸含有脂質中のトコフェロ−ル濃度を下記に示した範囲になるようにトコフェロ−ルを添加することを特徴とする請求項6記載の酸化安定性固化物。
[トコフェロ−ル濃度範囲(ppm)]
0 ≦ [α] ≦ 200 且つ
800 + 1.0 × [α] ≦ [γ] + [δ] ≦ 3600 − 4.0 × [α] - プロラミン系蛋白質がツェインである請求項6又は7に記載の高度不飽和脂肪酸含有脂質の酸化安定性固化物。
- 高度不飽和脂肪酸含有トリグリセリドが魚油である請求項6〜8のいずれか一つに記載の高度不飽和脂肪酸含有脂質の酸化安定性固化物。
- 高度不飽和脂肪酸がドコサヘキサエン酸又はエイコサペンタエン酸である請求項6〜8のいずれか一つに記載の高度不飽和脂肪酸含有脂質の酸化安定性固化物。
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