JP3606868B2 - セイバンモロコシ(Johnson grass)花粉からのアレルゲン蛋白質およびペプチド - Google Patents

セイバンモロコシ(Johnson grass)花粉からのアレルゲン蛋白質およびペプチド Download PDF

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Description

発明の背景
遺伝的素因を有する個体は全集団の約10%を占めており、そのような個体はそれらの露出対象である様々な環境的源からの免疫原に対して過敏症(アレルギー)を示すようになる。即時性および/または遅延型の過敏症を誘導する可能性があるこれらの抗原はアレルゲンとして知られている。(King,T.PP.、Adv.Immunol. 23:77−105(1976))。花粉症、喘息、および蕁麻疹の症状を初めとするアナフィラキシーもしくはアトピーは即時性アレルギーの一つの形態である。これは、牧草、低木、大木、動物のフケ、昆虫、食物、薬物、および化学物質の産物のような様々なアトピー性アレルゲンにより生じる可能性がある。
アトピー性アレルギーに関与する抗体は、主に免疫グロブリンのIgEクラスに属する。IgEは肥満細胞および好塩基球に結合する。特異的アレルゲンと肥満細胞もしくは好塩基球に結合したIgEとが接触する際にはこのIgEは細胞表面上に架橋結合形成を行うことができ、IgE−抗原相互作用の生理学的効果がもたらされる。これらの生理学的効果には、他の物質の中でも気管支平滑筋細胞の持続的収縮を引き起こすヒスタミン、セロトニン、ヘパリン、好塩基球性白血球のための走化性因子、および/またはロイコトリエン類であるC4、D4、およびE4の放出がある(Hood、L.E.et alImmunology(2nd ed.)、The Benjamin/Cumming Publishing Co.、Inc.(1984))。放出されるこれらの物質は、IgEと特異抗原との接触により生じるアレルギー性症状をもたらす仲介物である。それらの仲介物を通してアレルゲンの効果が現れる。このような効果は、抗原が体内に侵入する経路ならびに肥満細胞もしくは好塩基球上のIgEの付着のパターンに依存して、実際には全身的となることも、あるいは局所的となることもある。局所性発症は、一般的には、アレルゲンが体内に侵入する位置の上皮表面で生じる。全身的効果にはアナフィラキシー(アナフィラキシーショック)があり、これは循環性(血管内)抗原に対するIgE−好塩基球反応の結果である。
亜熱帯性イネ科植物であるソルグーム ハレペンセ(Sorghum halepense)(セイバンモロコシ)は、穀粒植物として広く栽培されている代表的な層である。ソルグームはアフリカにおいて収穫される主要な穀粒物であり、そしてまた米国、インド、パキスタン、および北部中国において栽培されている。セイバンモロコシは耐熱性であり、そして温暖な条件によく適合する。セイバンモロコシ、バイアグラス(Bahia grass)、およびギョウギシバ(Bermuda grass)の花粉は北米におけるアレルゲンとして重要なイネ科植物花粉となっている(FrenchおよびMajor、J.Allergy :286−291(1930);Martian et al.、Ann.Allergy 54:992−104(1985))。セイバンモロコシとバイアグラスとの両方は亜科パニコイデアエ(Panicoideae)の一員であり、この亜科には経済的に重要な属サッカルム(Saccharum)(サトウキビ)およびゼア(Zea)(トウモロコシ)もある(Watson、1990、Reproductive Versartility in the Grasses(G.P.Chapman ed.)Cambridge University Press、pp.258−265))。
セイバンモロコシが広く分布する地域におけるセイバンモロコシのアレルゲンとしての重要性が文献に報告されている(FrenchおよびMajor、1930、上述)。セイバンモロコシは亜科クロリデアエ(Chlorideae)からのギョウギシバおよび亜科ポーイデアエ(Pooideae)の寒地型牧草の両方とアレルゲン性を共有しているようである(Martin et al.、1985、上述)。セイバンモロコシのグループIアレルゲンは、他のグループIアレルゲンとのアレルゲン的交差反応性を有することが示されている(SinghおよびKnox、Int.Arch.All.Appl.Immunol.72:243−248(1985))。
アレルゲンに対する感受性低下をもたらすために、花粉抽出物の投与によりイネ科植物アレルゲンに対する感受性を治療することが試みられている。しかしながら、花粉抽出物を使用する感受性低下には、高用量を使用する場合にはアナフィラキシーが誘導される可能性があり、一方ではアナフィラキシーを回避するために低用量を用いる場合には、その抽出物に対する耐性を確立させるために治療を数年間にわたり継続する必要があるという欠点が存在する。イネ科植物花粉アレルギーが注目されているにもかかわらず、ヒトにおける不利な効果の原因となるセイバンモロコシ花粉アレルゲンの特定もしくは性質決定は完結したというには程遠い状態である。
発明の要約
本発明は、ソルグーム ハレペンセ(Sorghum halep ense)の主要花粉アレルゲンであるSor h Iをコードする核酸配列、およびその断片を提供する。本発明はまた、Sor h Iもしくは少なくとも一つのその断片をコードするヌクレオチド配列を有する核酸で形質転換させた宿主細胞内に産生される単離されたSor h I蛋白質もしくは少なくとも一つのその断片、ならびに合成により製造されたSor h Iの単離された断片をも提供する。本明細書内において用いられるように、Sor h Iの全アミノ酸配列をコードする核酸配列の断片は、Sor Iおよび/または成熟Sor h Iの全アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と比較して少なめの塩基を有するヌクレオチド配列を意味する。このような蛋白質およびその断片は、セイバンモロコシ花粉アレルゲンに対する感受性の診断、治療、および予防に役立つ。本発明は添付される請求の範囲においてより具体的に記載され、そして以下に示される記述における好ましい態様において記載される。
図面の簡単な記述
図1は、異なる組織からのセイバンモロコシ花粉蛋白質の免疫ブロット分析を示す。パネルA:クーマシーブリリアントブルーR250染色により明らかにされる蛋白質バンド。パネルB:イネ科植物花粉アレルギーの個体のプール血清からの抗体。パネルC:mAb FMC−Al、パネルD:mAb Cd I−1D1、パネルE:mAb Cd I−3A2、およびパネルF:mAb Cd I−4D2。
図2は、異なる供給元からのセイバンモロコシ花粉蛋白質の免疫ブロット分析を示す。このブロットは以下に示すモノクローナル抗体で探索した。パネルA:FMC−A1、パネルB:Cd I−1D1、パネルC:Cd I−3A2、パネルD:Cd I−4D2、パネルE:FMC−A7;パネルF:Lp IX−3A;およびパネルG:Lp IX−4A。
図3は、モノクローナル抗体およびアレルギー患者からの血清で探索したセイバンモロコシ花粉の可溶性蛋白質のウエスタンブロットを示す。
図4は、配列決定法およびSor h Iクローン3Sのマップの概略図である。
図5A−5Cは、Sor h Iクローン3Sのヌクレオチド配列(配列番号1)および演繹されるアミノ酸配列(配列番号2)である。
図6は、Sor h Iの疎水性状態を示すグラフである。
図7A−7Cは、ライグラス(rye grass)アレルゲンLo l p I(配列番号3)およびセイバンモロコシアレルゲンSor h I(配列番号1)のヌクレオチド配列の比較である。Sor h I配列中の点はLol p Iとの相同性を表す。
図8は、Lol p I(配列番号4)およびSor h I(配列番号2)の演繹されるアミノ酸配列の比較である。相同な残基をコロンにより示す。類似する残基を「s」により表示する。
図9は、様々なSor h Iペプチドを示し、アミノ酸番号は、図5A−5Cにおいて表されるアミノ酸残基に対応する。
発明の詳細な記述
本発明は、セイバンモロコシ花粉中に見いだされる主要アレルゲンでSor h Iをコードする核酸配列を提供する。Sor h Iをコードする核酸配列は、図5A−5Cにおいて示される配列(配列番号1)を有することが好ましい。Sor h Iクローン3Sの配列分析により、cDNA挿入断片は1072ヌクレオチド長であり、そしてヌクレオチドの位置25、37、および40において3つの可能な読み枠内(in−frame)ATG開始コドンを含むことが明らかになった。位置40におけるATCコドンを翻訳開始のための部位として提唱する。この翻訳部位は、位置823におけるTAA停止コドンで終結し、そして261のアミノ酸からなる蛋白質をコードする783のヌクレオチドの読み枠に相当する。図5A−5C(配列番号1および2)を参照せよ。クローン3SのcDNA挿入断片を含むベクターで形質転換させた宿主細胞は、American Type Culture Collectionに寄託してある(ATCC受託番号第69106号)。
Sor h Iクローン3Sの予想アミノ酸配列は、23のアミノ酸からなる仮定的シグナルペプチド配列を有する。このシグナルペプチドは疎水性であり、そしてペプチド開裂部位に関連する位置−1および−3に鎖の小さいアミノ酸を含む。従って、プロセシングを経て来た成熟So r h I蛋白質は25.8kDという算出分子量を有する238のアミノ酸である。共通配列Asn−X−Ser/Thrに適合するこの蛋白質の親水性領域内の位置9のアスパラギン残基に一つの可能なアスパラギン関連性グリコシル化部位が存在する(図5A−5C)。このグリコシル化部位を利用すると分子量が増大し、そして成熟蛋白質のp Iに影響を及ぼすであろう。
追加的なSor h Iクローンであるクローン2Sの配列は、クローン3S配列中の位置594と945との間の451ヌクレオチドに相当する。Sor h I内にはヌクレオチド配列の多形性が存在することが期待され、そしてSor h Iをコードする核酸配列中の一つもしくは複数のヌクレオチド(せいぜいヌクレオチドの約1%まで)は天然の対立遺伝子変化が原因で個々のソルグーム ハレペンセ(Sorghum halepense)植物の内で変化することがあることは、当業者に理解されるであろう。このようなヌクレオチド変化および得られるアミノ酸の多形性のいずれかのものおよび全てのものは、本発明の範囲内に含まれる。その上、Sor h Iの一つもしくは複数の同族構成物が存在する可能性がある。このような同族構成物は、機能およびアミノ酸配列においてSor h Iに関連するが、ただし離れた遺伝子の位置に存在する遺伝子によりコード化される蛋白質として特定される。
セイバンモロコシのグループIアレルゲンSor h Iは、多くの点でライグラス花粉の主要アレルゲンLol Iに類似している。Sor h Iは約35kDの分子量を有し、そして抗−Lol p Iおよび抗−Cyn d I(ギョウギシバの主要アレルゲン)モノクローナル抗体との抗原的交差反応性を示す。Lol p Iと同様にSor h Iは組織特異的発現を示し、そして花粉内においてのみ検出される。Sor h Iは、ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列の両方においてLol p Iと広範囲にわたる相同性を共有している(図7A−7Cの配列番号3、および図8の配列番号4を参照せよ)。
5つのイネ科植物(すなわち、Lol p I(配列番号8)、Fes e I(配列番号9)、Agr a I(配列番号10)、Poa p I(配列番号11)、およびAnt o I(配列番号12))のグループIアレルゲンのアレルゲンとして重要な部位として同定される領域をセイバンモロコシの対応配列(配列番号13)と比較することにより、Sor Iもやはりこの領域が高度に保存されていることが示される(表IVを参照せよ)。この領域中の6つのアミノ酸に違いが存在するものの、これらの内の3つは保存的なものである。興味深いことに、位置7、9、11、21、および26において調査したところLol p Iと他の4つのイネ科植物(EschおよびKlapper、Mol.Immunol. 2 6:557−561(1989))との間に違いが観察されたことに気づく。これらの位置の内の3つである、9、11、および26は、Sor h Iにおいて観察された違いが存在する位置と一致した。実際、Lol p Iのイソ型の内の一つのものにおいては位置11のVal残基がPheに代わっている(Perez et al.(1990)J.Biol.Chem. 265:16210−16215)。このことにより、これらの残基はエピトープ構造においてはさほど重要ではないということが示唆される可能性がある。これ以外では、エピトープ構造にかかわる可能性があるリシンは5つのイネ科植物中で保存されており、そして位置8のこれらの残基のうちの一つは、HoppおよびWoods(1983)の親水性指数プロットにより予想される仮定的抗原性決定基内に含まれる(EschおよびKlapper、上述、1989)。
Sor h IとLol p Iとの間にはイネ科植物のアレルギー患者血清からのIgE結合のパターンの一致が見られないものの、Lol p IについてのIgE結合という点ではアレルゲン決定基として記載される領域内に広域な相同性が観察されている。これについての一つの有望な説明は、Sor h Iへの感作には個別な露出が必要であるということである。類似する結果がSchumacher et al.、(Ann.Allergy55:584−587(1985))によりギョウギシバについて報告されており、彼らは、ギョウギシバに感作した患者は他のイネ科植物花粉アレルゲンと有意な反応性を示すIgE抗体を保有してはいないことを報告している。ギョウギシバを初めとする幾つかのイネ科植物に対するIgE抗体を有する患者の場合は、ギョウギシバではない幾つかのイネ科植物への感受性を示すためには、それらの内の少なくとも一つに対して露出することが必要である。これはMatthiesenおよびLowenstein(Clin.Exp.Allergy 21:309−320(1991))の所見に相対するものであり、彼らはデンマークにはギョウギシバは見られないにもかかわらず、デニッシュグラス(Danish grass)花粉アレルギー患者においてギョウギシバに対するIgE抗体を発見した。
Sor h Iの蛋白質断片をコードする核酸配列の断片は、本発明の範囲内に含まれる。本発明の範囲内に含まれる断片には、最低限の量のIgEの刺激、IgEの結合、IgGおよびIgM抗体産生の誘導、もしくは増殖のようなT細胞反応の誘導、および/またはリンホカイン分泌、および/またはT細胞アネルギーの誘導のような、哺乳類、好ましくはヒトにおける免疫反応を誘導するSor h Iの断片をコードするものがある。Sor h Iの前述の断片は、本明細書においては抗原性断片として引用される。本発明の範囲内に含まれる核酸は、Sor h Iとの交差反応性を示すアレルゲンを検出するためのスクリーニング法において使用するための他の植物種からの核酸とハイブリダイズすることが可能なものも含む。本明細書において用いられるように、Sor h Iをコードする核酸配列の断片は、Sor h Iおよび/または成熟Sor Iの全アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より少ない塩基を有するヌクレオチド配列を意味する。一般的には、Sor h Iの一つの断片もしくは複数の断片をコードする核酸配列は成熟蛋白質をコードする塩基から選択されるであろうが、幾つかの事例においては、本発明の核酸配列のリーダー配列部分からの一つの断片もしくは複数の断片の全てもしくは一部分を選択することが所望されることがある。このような核酸配列もやはり、リンカー配列、改変した制限エンドヌクレオアーゼ部位、ならびにSor h Iもしくはその断片のクローニング、発現、もしくは精製に役立つ他の配列を含むことができる。
Sor h Iをコードする核酸配列はソルグーム ハレペンセ(Sorghum halepense)植物から取得することができる。ゲノムDNAからSor h Iをコードする核酸配列を取得することも可能であることがある。ソルグーム ハレペンセ(Sorghum halepense)はよく知られた種の穀粒植物であり、そしてこの植物材料は、野生植物、栽培植物、および観葉植物から取得することができる。So r h Iをコードする核酸配列は、本明細書において開示される方法、あるいは遺伝子の単離およびクローニングに適する他の技術を使用して取得することができる。本発明の核酸配列はDNAもしくはRNAであることができる。
本発明は、発現ベクターおよび本発明の核酸配列を発現するために形質転換させた宿主細胞を提供する。Sor Iをコードする核酸配列もしくは少なくとも一つのその断片を、大腸菌(E. coli)のような細菌細胞、昆虫細胞(バキュロバイラス)、イースト、もしくはチャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO)のような哺乳類細胞内で発現させることができる。適切な発現ベクター、プロモーター、エンハンサー、および他の発現調節因子は、Sambrook et al.Molecular Cloning:A L aboratory Manual、second edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring.Harbor、New York(1989)において見いだすことができる。他の適切な発現ベクター、プロモーター、エンハンサー、および他の発現因子は当業者に知られている。哺乳類、イースト、もしくは昆虫細胞における発現により、組換え物質の部分的もしくは完全なグリコシル化ならびに鎖間および鎖内ジスルフィド結合の形成がもたらされる。イーストにおける発現に適するベクターには、YepSecl(Baldari et al.(1987)Embo J.6:229−234)、pMFa(KurjanおよびHerskowits(1982)Cell 30:933−943、JRY88(Schultz et al.(1987)Gene 54:113−123)、ならびにpYES2(Invitrogen Corporation社、San Diego、CA)がある。これらのベクターは自由に入手することができる。バキュロバイラスおよび哺乳類発現系もやはり入手することが可能である。例えば、昆虫細胞内における発現用のバキュロバイラス系を市販品として入手することができ(PharMingen社、San Diego、CA)、一方で哺乳類細胞内の発現用のpMSGベクターを市販品として入手することができる(Pharmacia社、Piscataway、NJ)。
他の中でも大腸菌内における発現に適切な発現ベクターには、pTRC(Amann et al.(1988)Gene 69:301−315)、pGEX(Amrad Corp.、Melbourne、Australia)、pMAL(N.E.Biolabs社、Beverly、MA)、pRIT5(Pharmacia社、Priscataway、NJ)、pET−11d(Novagen社、Madison、WI)[Jameel et al.、(1990)J.Viro l. 64:3963−3966]、およびpSEM(Knapp et al.(1990)Bio Techniques :280−281)がある。例えば、pTRCおよびpET−11dを利用することにより非融合化蛋白質の発現がもたらされるであろう。pMAL、pRIT5、pSEM、およびpGEXを利用することによりマルトースE結合性蛋白質(pMAL)、プロテインA(pRIT5)、切断型β−ガラクトシダーゼ(PSEM)、もしくはグルタチオンS−トランスフェラーゼ(pGEX)に融合させたアレルゲンの発現がもたらされるであろう。
Sor h I、その一つの断片、もしくは複数の断片を融合蛋白質として発現させる場合には、担体蛋白質と、Sor h Iもしくはその断片との間の融合連結部に酵素開裂部位を挿入することは特に有利である。その後、So r h Iもしくはその断片を、酵素部位における酵素開裂、ならびに蛋白質およびペプチドの精製のための通常の技術を使用する生化学的精製法を通して融合蛋白質から回収することができる。適切な酵素開裂部位には血液凝固因子X aもしくはトロンビンのための酵素開裂部位があり、これらについては開裂に適する酵素および開裂法説明書を、例えばSigma Chemicals Company社、St.Louis、MO、およびN.E.Biolabs社,Beverly、MA、から市販品として入手することができる。
適切なベクターは異なるプロモーター領域を有することがあり、これらのプロモーター領域により構成的発現、あるいは例えばIPTG誘導(PRTC、Amann et al.、(1988)上述、pET−11d、Novagen社、Madison、WI)もしくは温度誘導(pRIT5、Pharmacia社,Piscataway、NJ)での誘導可能発現が可能となる。組換え物として発現される蛋白質を分解する能力を変化させた様々な大腸菌宿主(例えば、米国特許第4,758,512号)内において組換えSor h Iを発現させることが適切である場合もある。別法では、大腸菌に好んで利用されるコドンを利用するために核酸配列を変えることが有利であることがあり、この場合、このような核酸修飾は発現される蛋白質のアミノ酸配列には影響を及ぼさないものであろう。リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウム共沈殿法、DEAE−デキストランを介するトランスフェクシン、もしくは電気穿孔法のような通常の技術を使用することで宿主細胞を形質転換させて本発明の核酸配列を発現させることができる。宿主細胞を形質転換させるための適切な方法は、Sambrook et al.、上述、および他の研究用教科書において見いだすことができる。
本発明の核酸配列はまた、標準的な技術を使用して化学的に合成することもできる。
本発明はまた、単離されたSor h I蛋白質、もしくは少なくとも一つの単離されたその断片を産生する方法をも提供する。Sor h Iもしくはその断片をコード化するDNAで形質転換させた宿主細胞を適切な培地内で培養して、細胞と、Sor h I蛋白質もしくはその断片を含む培地との混合物を産生させる。この混合物を精製して、実質的に純粋なSor h I蛋白質もしくは少なくとも一つのその断片を産生する。細胞培養に適する培地は当該技術分野において良く知られている。Sor h I蛋白質およびペプチドは、細胞培養培地、宿主細胞、もしくはその両方から、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過法、電気泳動法、およびSor h Iもしくはその断片に特異的な抗体での免疫精製法を初めとするペプチドおよび蛋白質の精製のための当該技術分野において知られる技術を利用して精製することができる。用語「単離された」と「精製された」とは本明細書においては互換性があり、そして組換えDNA技術により産生される場合には細胞性物質もしくは培養培地を実質的に含まず、あるいは化学的に合成される場合には化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない、ペプチド、蛋白質、蛋白質断片、および核酸配列を意味する。
所望の抗原性反応を誘導するセイバンモロコシ花粉からのアレルゲンの断片(本明細書においては抗原性断片として引用する)を、例えば、このようなペプチドをコードするSor h Iの核酸配列の対応断片から組換え技術により産生されるペプチドをスクリーニングすることにより取得することができる。その上、これらの断片は当該技術分野において知られる技術を使用して化学的に合成することができる。例えば、このアレルゲンを、断片の重複がないように所望の長さの断片に随意に分けることができ、あるいは好ましくは所望の長さの重複断片に分けることもできる。これらの断片を検査してそれぞれの免疫原性を決定する(例えば、その断片が哺乳類において免疫反応を誘導する能力)。Sor h Iの断片を治療目的に使用する場合には、刺激(例えば、増殖またはリンホカイン分泌)のようなT細胞反応を誘導することができ、そして/またはT細胞アネルギーを誘導することができる断片であることが特に所望される。
最低限のIgE刺激活性を有するSor h Iの断片もやはり所望される。最低限のIgE刺激とは、精製された天然のSor h I蛋白質により刺激されるIgE産生量を下回るIgE産生を刺激する活性を意味する。その上治療目的のためには、単離されたSor h Iおよびその断片は、セイバンモロコシに特異的なIgEに結合しないか、あるいはこのようなIgEに結合する精製された天然のセイバンモロコシアレルゲンと比較して実質的により低い度合でこのようなIgEに結合することが好ましい。単離されたS or h Iもしくはその断片がIgEに結合する場合には、このような結合が肥満細胞もしくは好塩基球からの仲介物質(例えば、ヒスタミン)の放出をもたらさないことが好ましい。
単離されたSor h Iもしくはその好ましい抗原性断片をセイバンモロコシ花粉に感受性を示す個体に投与する場合には、これらの物質はその個体のセイバンモロコシ花粉へのアレルギー反応を変化させることが可能である。その上、単離されたSor h Iもしくはその好ましい抗原性断片を、ロリウム ペレッネ(Lolium perenn e)もしくはシノドン ダクティロン(Cyndon dactylo n)の花粉からのアレルゲンのような、セイバンモロコシアレルゲンと交差反応性を示すアレルゲンにアレルギーを示す個体に投与して、このような交差反応性アレルゲンへのその個体のアレルギー反応を変化させることができる。ある個体へのSor h Iもしくはその抗原性断片の投与が、アレルゲンへのその個体のB−細胞反応、T−細胞反応、もしくはB−細胞とT−細胞との両方の反応を変えることが好ましい。本明細書において使用されるように、セイバンモロコシ花粉アレルゲンへの感受性を示す個体のアレルギー反応の改変は、標準的な臨床研究法(例えばVawrney et al.British Medical Journal302:265−269(1990))により決定される、セイバンモロコシ花粉誘導性喘息症状の軽減を初めとするアレルゲンに対する無反応性もしくは病状の軽減として特定することができる。本明細書において引用されるように、症状の軽減には、本発明のペプチドもしくは蛋白質での養生法後の、アレルゲンに対するある個体のアレルギー反応のいずれかの減少がある。このような症状の軽減は、主観的に(すなわち、アレルゲンへの露出の際に患者がより快適に感じることを意味する)、あるいは標準的な皮膚検査を用いるような臨床的な方法により決定することができる。
単離されたSol h Iもしくは単離されたその断片を検査して、Tamura et al.(1986)Microbiol.Immuno l. 30:883−896、および米国特許第4,939,239号において開示されるマウスモデル、あるいはChiba et al.(1990)Int.Arch.Allergy Immunol. 93:83−88、において開示される霊長類モデルのような適切な哺乳類モデルにおける治療的有効性を決定することが好ましい。Sol h I蛋白質もしくはその断片へのIgE結合についての初回のスクリーニングは、実験用動物もしくはヒトのボランティアにおけるスクラッチテスト(scratch test)もしくは皮内皮膚テスト(intradermal skin test)により、あるいはRAST(放射性アレルギー吸着テスト)、RAST阻害、ELISAアッセイ、放射性免疫アッセイ(RIA)、もしくはヒスタミン放出のようなインビトロ系内で実施することができる。
T細胞刺激活性を有し、そしてそのためにSor h Iの少なくとも一つのT細胞エピトープを含む単離された抗原性断片もしくはペプチドが特に所望される。Sor IのT細胞エピトープを少なくとも一つは含むことができる本発明の好ましいペプチドは、以下に示すペプチドの全てもしくは一部分を含み、それらのペプチドとは、Sor h−1(配列番号22)、Sor h−2(配列番号23)、Sor h−3(配列番号24)、Sor h−4(配列番号25)、Sor h−5(配列番号26)、Sor h−6(配列番号27)、Sor h−7(配列番号28)、Sor h−8(配列番号29)、Sor h−9(配列番号30)、Sor h−10(配列番号31)、Sor h−11(配列番号32)、Sor h−12(配列番号33)、Sor h−13(配列番号34)、Sor h−14(配列番号35)、Sor h−15(配列番号36)、Sor h−16(配列番号37)、Sor h−17(配列番号38)、Sor h−18(配列番号39)、h−18(配列番号40)、Sor h−19(配列番号41)、およびSor h−20(配列番号41)であり、これらすべてを図9に示す。好ましいペプチドのいずれの部分も少なくとも一つのT細胞エピトープを含むことが好ましい。T細胞エピトープは、アレルギーの臨床症状の原因となる蛋白質アレルゲンに対する免疫反応の開始および不朽化に関与していると思われている。これらのT細胞エピトープは、抗原提示細胞の表面上の適切なHLA分子に結合し、そして関連するT細胞亜集団を刺激することによるTヘルパー細胞レベルにおける初期現象の引き金を引くものと考えられる。これらの現象が、T細胞増殖、リンホカイン分泌、局所性炎症性反応、その部位への追加的免疫細胞の増員、および抗体の産生をもたらすB細胞カスケードの活性化を誘導する。これらの抗体の内の一つのイソタイプであるIgEはアレルギー症状の進展にとって基本的に重要であり、そしてこの抗体産生は分泌されるリンホカインの性質によりTヘルパー細胞レベルにおける現象のカスケードの初期段階に影響される。T細胞エピトープはT細胞レセプターによる認識の基本成分すなわち最小単位であり、この場合エピトープはレセプター認識に必須なアミノ酸を含んでいる。T細胞エピトープのものに似せてあり、そして蛋白質アレルゲンへのアレルギー反応を変化させるアミノ酸配列は、本発明の範囲内に含まれる。
単離されたSor h IもしくはSor h Iの少なくとも一つのT細胞エピトープを含む単離されたペプチドにアレルギーをを患う個体を露出させると、適切なT細胞亜集団が寛容もしくはアネルギーを示すようになり、そのためこれらの個体は蛋白質アレルゲンに反応しないようになり、そしてこのような露出に際する免疫反応の刺激化に関与しなくなる。その上、天然の蛋白質アレルゲンもしくはその一部分への露出と比較してみると、本発明の蛋白質アレルゲンもしくは少なくとも一つのT細胞エピトープを含むペプチドの投与によりリンホカイン分泌状況が変化する可能性がある(例えば、IL−4の減少および/またはIL−2の増加がもたらされる)。その上、このようなペプチドもしくは蛋白質アレルゲンへの露出により、通常はアレルゲンへの反応に関与しているT細胞亜集団が影響を受けることがあり、この場合これらのT細胞はアレルゲンへの通常の露出部位(一つもしくは複数)(例えば、鼻粘液、皮膚、および肺)から離れ、その断片もしくは蛋白質アレルゲンの治療的投与部位(一つは複数)に向かう。T細胞亜集団のこのような再拡散により、アレルゲンに対する通常の露出部位において通常の免疫反応を刺激化するある個体の免疫系の能力を改善もしくは減少させることが可能であり、このことによりアレルギー症状の軽減がもたらされる。
単離されたSor h I蛋白質、および単離された断片もしくはそれから得られる一部分(ペプチド)を、セイバンモロコシ花粉アレルゲンもしくは免疫学的交差反応性蛋白質アレルゲンへのアレルギー反応を診断、治療、および予防する方法に使用することができる。従って、本発明は、Sor h Iもしくは少なくとも一つのその断片を発現するように形質転換させた宿主細胞内に産生される単離されたSor h Iもしくは少なくとも一つのその断片、ならびに薬剤学的に許容される担体もしくは賦形剤を含む治療用組成物を提供する。本発明の治療用組成物は、化学合成により産生される単離されたSor h I蛋白質もしくは少なくとも一つの単離されたその断片をも含むことができる。
脱感作させるべき個体への本発明の治療用組成物の投与は既知の技術を用いて実施することができる。Sor I蛋白質もしくは少なくとも一つの単離されたその断片を、例えば適切な賦形剤、担体、および/またはアジュバンドと組み合わせて、ある個体に投与することができる。薬剤学的に許容される賦形剤には食塩水および水性緩衝液がある。薬剤学的に許容される担体には、ポリエチレングリコール(Wie et al.(1981)Int.Arch.A llergy Appl.Immunol. 64:84−99)およびリポソーム(Strejan et al.(1984)J.Neuroimmunol. :27)がある。T細胞アネルギーを誘導する目的のためには、この治療用組成物を、例えばアジュバンドを含まない非免疫原性形態において投与することが好ましい。このような組成物は一般的に、注射(皮下注射、静脈内注射など)、経口投与、吸入法、経皮塗布、もしくは直腸投与により投与されるであろう。本発明の治療用組成物はセイバンモロコシ花粉に感受性を示す個体に、セイバンモロコシ花粉へのその個体の感受性を低減するのに(つまり、アレルギー反応を低減する)有効な用量および期間で投与する。治療用組成物の有効量は、セイバンモロコシへのその個体の感受性の度合い、個体の年齢、性別、および体重、ならびにその個体において抗原反応を誘導するSor h I蛋白質もしくはその断片の能力に従って変化するであろう。
Sor h IのcDNA(もしくは、そこから転写されたmRNA)あるいはその一部分を使用して、いずれかの品種もしくは種類の植物における類似配列を同定し、そしてそれにより低緊縮性条件下においてSor h IのcDNAもしくはmRNAあるいはその一部分とハイブリダイズするのに十分な相同性を有する配列を同定もしくは「引き抜いてくる」ことができる。十分な相同性(一般的に40%を上回る)を有するこれらの配列を選択して、本明細書において記載される方法を使用する更に詳しい評価を行うことができる。別法では、高緊縮性条件を使用することができる。この様式においては、本発明のDANを使用して、他の種類の植物、好ましくは関連する科、属、もしくは種におけるSor h Iのものと類似するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコード化する配列を同定し、そしてそのことにより他の種におけるアレルゲンを同定することができる。
抗体の交差反応性もしくはT細胞の交差反応性などによりSor h Iに免疫学的に関連する単離されたアレルゲン性蛋白質もしくはその断片は、既に同定されているものを除いて、本発明の範囲内に含まれる。このような蛋白質もしくはその断片は本発明の蛋白質もしくはペプチドに特異的な抗体に結合するか、あるいは本発明の蛋白質もしくはペプチドに特異的なT細胞を刺激する。
本発明のcDNAによりコード化される蛋白質もしくはペプチドを、例えば「精製」アレルゲンとして使用することができる。このような精製アレルゲンはセイバンモロコシに対するアレルギーの診断および治療用の決め手となる試薬であるアレルゲン抽出物の評定に役立つ。その上、Sor h Iの核酸配列に基づくペプチドを使用することにより、抗−ペプチド抗血清もしくはモノクローナル抗体を標準的な方法を使用して作製することができる。これらの血清もしくはモノクローナル抗体を使用してアレルゲン抽出物を評定することができる。
本発明のペプチドおよび蛋白質の利用を介して、矛盾を生じず洗練された組成物および生物学的活性物質の調製を行い、そしてこれらを治療目的で(例えば、セイバンモロコシへ感受性を示す個体のアレルギー反応を変化させるために)投与することができる。このようなペプチドもしくは蛋白質を投与すると、例えばSor h IアレルゲンへのB−細胞反応、Sor h IアレルゲンへのT−細胞反応、もしくはその両方の反応を変化させることができる。単離されたペプチドを用いてセイバンモロコシ花粉へのアレルギーの免疫療法のメカニズムを研究し、そして免疫療法に役立つ修飾誘導体もしくはアナログを設計することもできる。
高い用量のアレルゲンを使用すると一般的には最良の結果(すなわち、最高レベルでの症状の軽減)が得られることが他の研究者による研究により示されている。しかしながら、そのアレルゲンに対するアレルギー反応を理由に多くの人々は大用量のアレルゲンに寛容を示すことが不可能である。天然アレルゲンの修飾法は、天然アレルゲンに相当するのと同じもしくは高い治療特性を有するものの副作用(特にアナフィラキシー反応)は低減させてある修飾ペプチドもしくは修飾アレルゲンを産生することができるというような様式において設計することが可能である。これらは例えば、本発明の蛋白質もしくはペプチド(例えば、Sor h Iのアミノ酸配列の全てもしくは一部分を有するもの)、あるいは修飾蛋白質もしくはペプチド、あるいは蛋白質もしくはペプチドアナログであることができる。
可溶性の増大、治療もしくは予防効果、あるいは安定性(例えば、生体外での(ex vivo)貯蔵期間、およびインビボでの蛋白質分解に対する耐性)の亢進のような目的のために、本発明の蛋白質もしくはペプチドの構造を変化させることが可能である。免疫原性を改変するおよび/またはアレルゲン性を低減するためにアミノ酸置換、欠損、もしくは添加によるような方法でアミノ酸を変化させてあるか、あるいは同一目的のためにある構成成分を添加した修飾蛋白質もしくはペプチドを産生することができる。例えば、T細胞エピトープ機能に必須なアミノ酸残基を既知の技術(例えば、各残基の置換およびT細胞反応性の存在および非存在の決定)を使用して決定することができる。必須であることが示されたこれらの残基を修飾することができ(例えば、その存在によりT細胞反応性の亢進が示される他のアミノ酸による置換)、同様にT細胞反応性に必要ではないものを修飾することもできる(例えば、他のアミノ酸により置換させる方法によるが、この場合このアミノ酸を取り込ませることによりT細胞の反応性は亢進するが、関連するMHCへの結合は減少しない)。蛋白質もしくはペプチドの修飾の他の例は、ジスルフィド結合を介する二量体形成を最低限に抑えるためのシステイン残基の、好ましくはアラニン、セリン、スレオニン、ロイシン、もしくはグルタミン酸との置換である。本発明のペプチドも、アミノ酸側鎖の化学修飾もしくはペプチドの環化により修飾することができる。
安定性および/または反応性を亢進させる目的で、本発明の蛋白質もしくはペプチドを修飾して蛋白質アレルゲンのアミノ酸配列に天然の対立遺伝子の変化から生じる一つもしくは複数の多形性を取り込ませることもできる。その上、D−アミノ酸、非天然のアミノ酸、非アミノ酸アナログを置換もしくは添加して、本発明の範囲内に含まれる修飾蛋白質もしくはペプチドを産生することができる。その上、本発明の蛋白質もしくはペプチドを、A.Sehonおよび共同研究者(Wie et al.、上述)のようなポリエチレングリコール(PEG)法を使用することで変化させて、PEGと複合化結合している蛋白質もしくはペプチドを産生することができる。その上、PEGを本発明の蛋白質もしくはペプチドの化学合成中に添加することができる。蛋白質もしくはペプチドあるいはそれらの一部分の修飾には、還元/アルキル化(Methods of Protein Microcharacterization(蛋白質の微細な性質の決定法)、J.E.Silver ed.Humana Press、Clifton、NJ、pp.155−194(1986)におけるTarr)、アシル化(Tarr、上述)、適切な担体上への化学結合(MishellおよびShiigi、eds、Selected Methods in Cellu lar Immunology(細胞性免疫学における選択された方法)、WH Freeman、San Francisco、CA(1980)、米国特許第4,939,239号)、もしくは緩和なホルマリン処理(Marsh、International Archives of Allergy a nd Applied Immunology41:199−215(1971))も含まれる。
本発明の蛋白質もしくはペプチドの精製を容易にさせ、そして可能性としてそれらの可溶性を増大させるために、ペプチド主鎖にレポーター基(一つもしくは複数)を添加することが可能である。例えば、ポリヒスチジンをペプチドに添加して、免疫化金属イオン親和性クロマトグラフィー(Hochuli、E.et al.Bio/Technolo gy:1321−1325(1988))上でそのペプチドを精製することができる。その上、所望であらば特異的エンドプロテアーゼ開裂部位をレポータ基とペプチドのアミノ酸配列との間に組み入れて、無関係の配列を含まないペプチドの単離を容易にさせることができる。蛋白質抗原に対してある個体をうまく脱感作させる目的では、ペプチドに官応基添加するか、あるいは疎水性T細胞エピトープのような疎水性領域を含まないようにさせるかにより蛋白質もしくはペプチドの可溶性を増加させることが必要である場合がある。
ペプチド内に含まれるT細胞エピトープが抗原による正しい作用を受けるのを補助することを可能にするために、規定プロテアーゼ感受性部位をそれらの領域間(各領域は少なくとも一つのT細胞エピトープを含む)に組換え法あるいは合成法により作製することができる。例えば、KKもしくはRRのような電荷を帯びたアミノ酸対を、ペプチドの組換え物作製中にペプチド内の領域間に組み入れることができる。得られるペプチドは、一つもしくは複数のT細胞エピトープを含むペプチドの一部分を作製するためのカテプシンおよび/または他のトリプシン様酵素開裂に対する感受性を付与されている可能性がある。その上、電荷を帯びたこのようなアミノ酸残基はペプチドの溶解度の増加をもたらす可能性もある。
本発明のペプチドもしくは蛋白質(例えば、Sor h Iもしくはその断片)をコード化するDNAの部位特異的突然変異誘発を使用して、当該技術分野に知られる方法によりそのペプチドもしくは蛋白質の構造を変化させることができる。このような方法は、中でも、縮重オリゴヌクレオチでのPCR(Ho et al.Gene77:51−59(1989))、もしくは突然変異型遺伝子の全合成(Hostom sky、Z.et al.Biochem.Biophys.Res.Comm. 161:1056−1063(1989))を含むことができる。細菌発現を増大させるために、前述の方法を他の方法と組み合わせて使用して、本発明の蛋白質もしくはペプチドをコード化するDNA構築物中の真核生物コドンを、大腸菌、イースト、哺乳類細胞、もしくは他の真核生物細胞において好んで用いられるものに変化させることができる。
現在入手可能な構造情報を使用することにより、セイバンモロコシに感受性を示す個体に十分量を投与する場合にセイバンモロコシ花粉アレルゲンに対するその個体のアレルギー反応を変化させるであろうSor h Iペプチドを設計することが可能である。これは例えば、Sor Iの構造を調査し、感受性を示す個体におけるB−細胞および/またはT−細胞反応に影響を及ぼす能力を調査すべきペプチドを産生させ(発現系を介して、合成により、あるいはその他の方法により)、そしてそれらの細胞により認識されるエピトープを含む適切なペプチドを選択することにより実施することができる。エピトープを引用するにあたり、エピトープは具体的には免疫グロブリン、免疫適合性抗原、およびT細胞レセプターであるレセプターによる認識の基本成分すなわち最小単位であり、この場合、エピトープはレセプター認識に必須なアミノ酸を含む。エピトープのものに似せてあり、そしてSor h Iに対するアレルギー反応を抑制方向に調節することが可能であるアミノ酸配列を使用することもできる。
現在では、感受性を示す個体におけるアレルギー反応を誘導するSor h Iの能力を遮断もしくは阻害することが可能な作用物質もしくは薬物を設計することも可能である。例えば、それらが関連性のある抗−Sor h I IgEに結合し、それによりIgE−アレルゲン結合およびその後の肥満細胞の脱顆粒を予防するような様式で作用するそのような作用物質を設計することができる。別法では、このような作用物質は免疫系の細胞性構成成分に結合し、その結果セイバンモロコシ花粉アレルゲンに対するアレルギー反応の抑制もしくは脱感作をもたらすことが可能である。このことの非制限的な例は、セイバンモロコシ花粉に対するアレルギー反応を抑制するための、本発明のcDNA/蛋白質構造に基づく適切なB−およびT−細胞エピトープペプチドあるいはその改変物の利用である。これは、セイバンモロコシ花粉に感受性を示す個体からの血液構成成分を用いるインビトロでの研究においてB−およびT−細胞機能に影響を及ぼすB−およびT−細胞エピトープペプチドの構造を特定することにより実施することができる。
本発明の蛋白質、ペプチド、もしくは抗体を、セイバンモロコシアレルゲンに対する感受性の検出および診断に使用することも可能である。例えば、これは、感受性についての評定を行うべき個体から取得した血液もしくは血液産物を、単離された抗原性ペプチドもしくはSor Iのペプチドもしくは単離されたSor h I蛋白質と、血液中の構成成分(例えば、抗体、T−細胞、B−細胞)とペプチド(一つもしくは複数)もしくは蛋白質との結合に適する条件下において接触させ、そしてそのような結合が生じる程度を決定することにより実施することができる。本発明の蛋白質、ペプチド、もしくは抗体を使用することができるアレルギー性疾患の他の診断方法は、放射性アレルゲン吸着検査法(RAST)、濾紙放射性免疫吸着検査法(PRIST)、酵素関連免疫吸着アッセイ法(ELISA)、放射性免疫アッセイ法(RIA)、免疫放射測定アッセイ法(IRMA)、ルミネセンス免疫アッセイ法(LIA)、ヒスタミン放出アッセイ法、およびIgE免疫ブロット法を含む。
本発明のいずれかの態様において用いられるDNAは、本明細書において記載される要領で取得されるcDNAであることができるか、あるいは別法では本明細書において記載される配列の全てもしくは一部分を有するいずれかのオリゴヌクレオチド配列もしくはその機能等価物であることができる。このようなオリゴヌクレオチド配列は、既知の技術を使用することで化学的もしくは酵素的に産生することができる。オリゴヌクレオチド配列の機能等価物は、1)図5A−5Cの配列[配列番号1](もしくはそれに相当する配列の一部分)またはその断片がハイブリダイズする相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることが可能な配列であるか、あるいは、2)図5A−5C[配列番号1]に相補的な配列(もしくはそれに相当する配列の一部分)であるか、そして/または、3)図5A−5C[配列番号1]の配列(もしくはそれに相当する配列の一部分)によりコード化される産物と同一の機能的特徴を有するある産物(例えば、ポリペプチドもしくはペプチド)をコード化する配列である。機能等価物が一つもしくは両方の基準を満たす必要があるか否かはその利用法に依存するであろう(例えば、それを単にオリゴプローブとして用いる場合には、それは第一もしくは第二基準のみを満たす必要があり、そしてそれをSor h I蛋白質を産生するために使用する場合は、それは第三基準のみを満たす必要がある)。
本発明は、以下に示す非制限的実施例により更に詳細に説明される。
実施例
A.材料
1.植物材料
セイバンモロコシ、すなわちソルグーム ハレペンセ(Sorghum halepense)の種子は、Mr.P.Taylor、School of Botany、University of Melbourneの御好意で譲ってもらった。この種子を室温で栽培および育成した。鋭利なピンセットを使用して新しく開花した穂から葯を回収した。
葉および根のような栄養組織は湿らせた濾紙(Whatman 3mm、Whatman Inc.社、Clifton、NJ)上で種子を発芽させ、そして苗が6−7cmの高さになるまでそれらを2−3週間育成させることにより取得した。根および葉を鋭利なピンセットを使用して取り除き、プラスチック製の試験官に入れ、そして液体窒素中で凍結させた。これらを必要時まで液体窒素中で保存した。
この研究過程中に調査したセイバンモロコシの乾燥保存花粉は、Greer Laboratories社(Lenoir NC、USA)、Hollister−Steir社(Spokane、WA、USA)、およびBiopol Laboratories社(Spokane、WA、USA)から購入した。
2.市販品として入手可能な材料
メッセンジャーRNA精製キット、You−prime cDNA合成キット、T7ポリメラーゼ配列決定用キット、Deeaze T7ポリメラーゼキット、Gene Ataq配列決定用キット、およびデオキシヌクレオチド(dNTP)は、Pharmacia社(Upsalla、Sweden)から購入した。オリゴ−ラベル化用キットはBresatec社(SA、Australia)から購入した。グルタジーン グルタチオン(Glutagene Glutathione)S−トランスフェラーゼ クローニングおよび配列決定用キットは、Amrad Corporation Ltd社、(VIC、Australia)から購入した。マウスモノクローナルイソタイプ決定用キットおよび増感BLシルバー(intense BL silver)増幅キットは、Amersham International社(UK)から購入した。g gt11とPackageneとの抽出系、pGEM−4Zプラスミド系、プロモータープライマーSp6、T7およびT3は、Promega Corporation社(Madison WI、USA)から購入した。セクアゲル(Sequagel)配列決定系はNational Diagnostics社(Manville、NJ、USA)から購入した。
全ての制限酵素はPromega社およびPharmacia社から購入し、そして製造業者により推奨される条件下において使用した。オリゴヌクレオチド合成において用いた材料および化学物質はPharmacia社(Upsalla、Sweden)から購入した。アガロースはPromega社から、そして低融点アガロースはBethesda Research Laboratories社(Gaithersburg MD、USA)から購入した。
3.モノクローナル抗体
この研究に用いた幾つかのモノクローナル抗体は、他の研究者の好意により使用させてもらった。FMC−A1(40.1)およびFMC−A7(12.3)は、Dr.I.Smart、,Flinders Medical Center、(Adelaide SA、Australia)により供与された。新しいデータにより、もともとのFMC−A1調製物はモノクローナルではなくポリクローナルである可能性があることが示されている。FMC−A1調製物中のある抗体はLol p I aに特異的であると思われるが、一方で第二抗体はLol p I bに特異的であると思われ、このことによりこの抗体調製物のポリクローナル性が示される。ライグラスのタイプIアレルゲンに対する抗体21.3および3.2は、Dr.D.G.Marsh、Johns Hopkins Asthma and Allergy Center(Baltimore MD、USA)により供与された。抗体Lp IX−3AおよびLp IX−4Aは、以下に示す第13項目において記載される要領で産生した。モノクローナル抗体Cd I−1D1、Cd I−3A2、およびCd I−4D2は、ギョウギシバであるシノドン ダクティロン(Cynodon dactylon)のグループIアレルゲンに対して作製され、そしてMiss P.M.Smith(University of Melbourne、Melbourne、Australia)により使用させてもらった。ニワトリ胸腺に対するmAbはDr.John Pettit、Alfred Hospital(Melbourne、VIC Australia)により供与された。
セイヨウカラシパーオキシダーゼ(HRP)複合化ヒツジ抗−マウス抗体はSilenus社(Melbourne、VIC Australia)から購入し、そしてHRP−ヤギ抗−ウサギ抗体はPromega社から購入した。ウサギ抗−ヒトIgE抗体はDakopatts Corporation社(Carpinteria CA、USA)から購入し、そして125I−ラベル化ヤギ抗−ヒトIgEはKallestad Laboratories社(Chaska MN、USAから購入した。
4.ヒト血清
血清は、アレルギー性および非アレルギー性個体により供与され、そしてインフォームドコンセントの後に開業医により採取された。アレルギー性個体はイネ科植物の花粉の時期の間に季節的花粉症および喘息の典型的な症状を示し、そしてイネ科植物の花粉抽出物での皮膚刺激検査に陽性反応を示した。血清を、ウエスタンブロットにおけるライグラス花粉の可溶性蛋白質とのIgEの反応性についてアッセイした。
B.方法
1. 蛋白質の単離法
可溶性蛋白質を、氷上で3時間、1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)を含むリン酸緩衝化食塩水(PBS;150mMのNaCl、16mMのNa2HPO4、4mMのNaHPO4、pH7.2)中で激しく震盪することによりイネ科植物花粉から抽出した。この溶液を4℃において20分間、2500rpmで遠心することによりその濁りを除き、そして上清を回収した。蛋白質濃度はBio−Rad社(Richmond CA、USA)の微小量蛋白質アッセイ(micro protein assay)、およびウシのガンマーグロブリン標準を使用して決定した。蛋白質を分注に分け、そして−20℃に保存した。
栄養組織(葉、根、および種子)を回収し、そして液体窒素中で直ちに凍結した。まだ凍っているうちに乳バチと乳棒を使用してこれらを微細粉末に挽いた。この蛋白質を1mMのPMSFを含むPBSを添加し、そして氷上で1時間振盪することにより抽出した。上清を2500rpmで遠心することによりその濁りを除いた。試料は、先に記載される要領で蛋白質濃度を決定した後に−20℃に保存した。
2. SDS−PAGE
ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を、分離用ゲル、4%のスタッキングゲル、およびLaemmil緩衝系(Laemmil、Nature 227:680、1970)を使用して実施した。ゲルは低分子量マーカー(Pharmacia社、Upsalla、Sweden)もしくはBio−Rad社(Richmond、CA)の予め染色済みの低分子量マーカーを使用して検量した。電気泳動用の試料をSDS/還元用試料緩衝液(62mMのトリス、pH6.8、0.2%のSDS、50mMのDTT、10%のグリセロール、およびブロモフェノールブルー)中に1:1で希釈し、そしてゲルに載せる前に5分間沸騰させた。
濃度勾配SDS−PAGEの処理を行う際には、しゅう動式ポンプおよびBio−Rad社(Richmond、CA)のProtean IIスラブゲル装置を使用して10−15%の分離用濃度勾配ゲルを流し込んだ。ゲルは140mm×115mm、および1.5mmの厚みであった。ゲルに適切な量の蛋白質を重層し、そして20mA/ゲルの定電流を1時間、そして染色物の先端がゲルの端から約1cmに来るまで30mA/ゲルの定電流を流した。
12%の分離用ミニゲルの処理を行う際には、Bio−Rad社のMini−Protean II装置を使用してそのゲルを流し込んだ。ゲルの寸法は80mm×73mm×1mmであった。電気泳動はゲル当たり200Vの定電圧で約1時間実施した。
SDS−PAGEにより分離された蛋白質をクーマシーブリリアントブルーR250染色液(0.2%(w/v)クーマシーブリリアントブルーR250、50%のメタノール、10%の氷酢酸)により1時間可視化処理を施し、その後に10%の酢酸、5%のメタノール、および3%のグリセロールを含む溶液中で脱染色した。
3. ウエスタンブロット
SDS−PAGEにより分離した蛋白質を、Towbin et a l.Proc.Natl.Acad.Sci USA 76:4250−4354(1976))の方法に従って、トランスブロット緩衝液(20mMのトリス、150mMのグリシン、20%のメタノール)を含むBio−Rad社のトランスブロットセル中で、電気泳動処理によりゲルからニトロセルロース膜(0.45μm、Schleicher and Schuell社、Dassel、Germany)上へと転移させた。
濃度勾配ゲルについての転移条件は、4℃における一晩の150mAの定電圧であり、そしてミニゲルについての転移条件は、室温における2−3時間の200mAの定電流であった。
4. スロット免疫ブロット
スロット免疫ブロット用には、2μgの総花粉蛋白質を含む100μlの試料を、Minifold IIスロットブロット装置(Schleicher and Schuell社、Keene、NH)を使用してニトロセルロース膜に載せた。この膜をPBS中で洗浄し、そして10%の低脂肪牛乳粉末を含む同一緩衝液中に浸し、そして以下に記載の要領でスクリーニングを行った。
5. 蛋白質の免疫学的スクリーニング
ニトロセルロース膜上に固定化したいずれの蛋白質の免疫学的スクリーニングについては以下に示す方法を使用した。この方法には、ウエスタンブロット、蛋白質のプラークリフト(plaque lifts)、および蛋白質のドットブロットが含まれる。
(i)モノクローナル抗体でのスクリーニング
ニトロセルロース膜をPBS中の10%の無脂肪牛乳粉末中で1時間、追加的蛋白質結合部位を遮断する目的でインキュベートした。その後この膜をPBS中で4回洗浄し、0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBS中で希釈した適切な抗体溶液中に入れた。この膜を室温で1−2時間インキュベートした。この膜を0.1%Tween 20(YPBS)を捕足してあるPBS中で一度、そしてPBS中で2度洗浄し、そして適切なHRP複合化第二抗体中で1時間インキュベートした。第二抗体は、PBS−0.5%BSA中で1:500に希釈したHRP抗−マウス抗体(Silenus社、Melbourne、VIC、Australia)、あるいはPBS−0.5%BSA中で1:2500に希釈したHRP抗−ウサギ抗体(Promega社、Madison、WI)のいずれかであった。この膜をTPBS中で2度、PBS中で2度洗浄し、そしてパーオキシダオゼ基質である4−クロロ−1−ナフトール(Sigma Chemical Co.社、Sr.Louis MO、USA)を添加することにより37℃における呈色反応を生じさせた。
(ii)IgE抗体の親和性精製
第6−12項目において記載される要領で取得したセイバンモロコシの精製済みcDNAクローンとの反応性を示す親和性精製済みIgE抗体を取得した。λ中のこのcDNAクローンを密集するまでプレート培養し、そしてそのプレートにイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を染み込ませたニトロセルロース膜(0.45μm、Schleicher and Schuell社、Keene、NH)を被せることにより融合蛋白質産生を誘導させた。その後組換え蛋白質を含む膜を10%の牛乳粉末中に浸して遮断し、洗浄し、そして予め大腸菌抽出物と共にインキュベートしてあったアレルギー患者のプール血清中において一晩インキュベートした。この膜をTPBS中で2回、そしてその後PBSのみで洗浄した。結合したIgE抗体を1%のBSAを含む0.1Mの塩酸グリシン、pH2.6で溶出させた。精製済み抗体を使用してウエスタンブロットを検索した。IgEの結合は、先の項目において記載される要領で125I−ラベル化ヤギ抗−ヒトIgEを使用し、その後オートラジオグラフィーを行うことにより可視化させた。
6. 総RNAの単離
セイバンモロコシからの総RNAの単離に用いる方法は、ChomczynskiおよびSacchi(Anal.Biochem. 162:156−159(1987))のイソチオシアン酸グアニジウム法の改変版であった。花粉、葉、根、もしくは他の植物組織からの新鮮組織もしくは保存組織を、0.05Mのトリス−HCl pH7.0、0.05容量の純粋なβ−メルカプトエタノール(2ME Kochlight Ltd.社)、および0.1容量の5%サルコシル(Sarcosyl)中の5Mのイソチオシアン酸グアニジニウム(Fluk社、FRG)の存在下、液体窒素中で微細粉末に挽いた。このスラリーを7000×gで30分間遠心し、上清を、3mlのCsClクッション(0.1MのEDTA中の5.7MのCsCl、密度=1.71g/ml)を予め下層として入れてあるポリアロマ−(polyallomer)製のBeckmanクイック−シール(quick−seal ultracentrifuge tube)超遠心管(Beckman社、Palo Alro CA、USA)(16×76mm)内にデカンテーションにより注ぎいれた。Beckman L8−70超遠心機内のTi 70.1ローター中での、20℃下20分間の40,000rpmにおける遠心処理の後、クッションの界面が現れるまで上清を吸引し、そして遠心管を反転させた。RNAペレットを簡単に空気乾燥させ、0.05%のSDSに再懸濁させ、その後混入蛋白質を除去するために等量のフェノールで抽出した。その後RNAを0.1容量の3M酢酸ナトリウムおよび2.5容量の100%エタノールを用いて−70℃下で一晩沈殿させ、そしてTE緩衝液中に再懸濁させた。RNAの濃度は260nmにおいて計測する分光測光により決定した。
7. mRNAの単離
メッセンジャーRNAは、Pharmacia社(Upsalla、Sweden)のmRNA精製用キットを使用して総RNAから親和性精製した。1mlのTE緩衝液中の総RNA試料を65℃において5分間熱変性させ、そして氷上に置いた。塩濃度を0.5M NaClに合わせ、そして全試料を、高濃度の塩緩衝液(0.5MのNaCl)で予め平衡化させてあるオリゴ−(dT)−セルローススパンカラムに載せた。高濃度の塩緩衝液、その後に低濃度の塩緩衝液(0.1MのNaCl)で数回洗浄することにより未結合のRNAを除去した。ポリ(A)+RNAは暖めた無塩緩衝液での溶出により回収した。洗浄および溶出段階は、全てカラムの低速度遠心により非常に迅速に実施した。第一スパンカラムから回収したRNAを第二回目のスパンカラムクロマトグラフィーに供してポリ(A)+RNAの比率を試料の90%を上回るまでに増加させた。ポリ(A)+RNAをグリコーゲンでの沈殿により濃縮した。
8. cDNAライブラリーの作製
cDNAライブラリーは先に記載の要領で単離したmRNAおよびPharmacia社(Upsalla、Sweden)のYou−Prime cDNA合成用キット(Synthesis Kit)を使用し、製造業者の説明書に従って作製した。cDNA合成はオリゴ−dTを用いて開始させた。二本鎖のcDNAをEco R I/Not Iアダプターで連結させ、そして12℃において16時間、λ gt11ベクター(Promega社)のEco R I部位内に連結させた。Promega社(Madison、WI)からのPackagene(商標)インビトロパッケージングシステム(Packaging System)を使用して製造業者の説明書に従ってファージ粒子のゲノム詰め込みを行った。最終容量0.5mlまでのファージ緩衝液(20mMのトリス−HCl、pH7.4、100mMのNaCl、10mMのMgSO4)および25μlのクロロホルムをゲノム詰め込み済みのファージに添加した。これを4℃において最高3週間まで保存した。
をファージ緩衝液での希釈によりゲノム詰め込み済みファージの適定を行った。このファージを使用して大腸菌y1090宿主細胞を感染させ、アンピリシン、X−Gal、およびIPTGを含むトップアガロースと混ぜ合わせ(45℃)、そして暖めたLBプレートに注ぎいれた。このプレートを一晩37℃でインキュベートした。非組換え体ファージは青色プラークを形成し、そして組換え体は透明のプラークを形成した。組換え体のパーセンテージを算出する目的でプラークを計数した。
このライブラリーを、X−GalおよびIPTGはトップアガロースから削除してあることを除いては先に記載される要領で15cmのプレート当たり10,000プラークの密度でプレートに撒いた。プラーク形成が開始するまでこのプレートを40℃においてインキュベートし、そしてこのプレートにIPTGを染み込ませてあるニトレセルロースフィルターを被せ、そして37℃において4−5時間インキュベートした。抗体陽性プラークを、先に記載の免疫学的スクリーニング法を使用して同定した。
9. ラムダー溶菌液およびラムダーDNAの単離
記載される標準的な方法(Leder et al.Science 196:175−177(1977))に従ってバクテリオファージλの液体溶菌液を調製した。
バクテリオファージλのDNAを単離するために使用した方法は、ジエチルアミノエチ(DEAE)−セルロース樹脂(DE52、Whatman Clifton、NJ、USA)上でのクロマトグラフィーを必要とする。DEAE−セルロース樹脂(DE52)は、BensonおよびTaylor(Biotechniques、May−June、126−127(1984))に従い、数倍容の0.05M HClをpHが4.5以下に低下するまで100gのDE52に添加することにより調製した。その後10MのNaOHの添加によりこの溶液のpHを6.8に調節し、そしてこの樹脂をL−ブイヨン培地中で数回洗浄した。DE52溶液は、60%の樹脂、40%のL−ブイヨン、0.1%のアジ化ナトリウムのスラリーとして4℃に保存した。Meese et al.、(Nucleic A cids Res. 18:1923(1990))により記載される要領で約2mlの樹脂を含むように樹脂カラムを詰めた。液体溶菌液をカラムに載せ、溶出を行い、そしてカラムをL−ブイヨンで洗浄した。溶出液を合わせ、そして最終濃度0.07MまでのNaClおよび2倍容の100%冷却エタノールの添加により20℃下で20分間ファージを沈殿させた。12,000×gの遠心の後、得られるペレットを70%エタノール中で洗浄し、そして0.2%のSDSを含むTE緩衝液、pH7.6中に再懸濁させた。等容量のフェノールを添加することによりファージの溶菌を行った。この試料をボルテックスミキサーにかけ、12,000×gで遠心し、そして水相を回収し、そして再度フェノールで抽出した。2倍容の100%エタノールの添加によりファージDNAを沈殿させ、そして各70%および100%のエタノールで2度洗浄した。その後単離DNAを制限酵素で消化させ、クローニングに使用する挿入断片のライブラリー作製を行った。
10. cDNA挿入断片のアガロースゲル電気泳動および単離
水平式アガロースゲル電気泳動は、DNA断片を分離するのに用いられる標準法であった。様々なサイズ範囲にわたるDNA分子を分離する目的で、様々なアガロース濃度からなるゲルを様々な実験に用いた(Helling et a l.J.Virol. 14:1235−1244(1974))。典型的には、寸法6.5×10.2×0.5cmであり、0.5μg/mlの最終濃度の臭化エチジウムを含む0.8−1.2%のアガロースミニスラブゲル(mini−sub DNA cell、Bio−Rad Laboratories社,Richmond、CA)を、1×TBE(89mMのトリス、89mMのホウ酸、2.5mMのEDTA、pH8.2)中で、1.5−2時間、70−100Vの定電圧で泳動させた。
クローニングもしくは探索目的で用いられるDNA断片を、低融解性アガロースゲル(BPL社の低融解性アガロース(Low melting agarose))からの溶出により単離した。バンドをUV照射下において可視化させ、そして目的のバンドを含むアガロース切片をレーザーメスを用いて取り出した。その後このアガロース切片を、150μlのTE緩衝液を含む小遠心管に入れ、そしてアガロースを65℃において融解させた。その後予め暖めてある等容量のフェノールを添加し、そしてこの混合物を12000×gにおいて3分間遠心した。その後上清を当容量のクロロホルムと混ぜ、そして30秒間遠心した。1/10容量の3M酢酸ナトリウムの添加後に、100%エタノールを用いて上清からDNAを沈殿させ、そして70%エタノール中で洗浄した。DNAペレットを吸引乾燥させ、そして滅菌蒸留水中に再懸濁させた。この方法で単離されたDNA挿入断片を、連結反応もしくはニックトランスレーションに用いた。
11. プラスミドベクター内へのcDNA挿入断片のサブクローン化
pGEM(商標)−4ZもしくはpBluiescript(Stratagene Inc.社、La Jolla CA、USA)のいずれかのプラスミドDNA(20ng)を予め適切な制限酵素で切断しておき、これをベクター適合性末端を保持する目的のDNA挿入断片の100ng分と連結させた。反応容積は通常は、50mMのトリス−HCl(pH7.4)、10mMのMgCl2、1mMのスペルミジン、0.1mg/mlのBSA、1mMのATP、および3単位のT4 DNAリガーゼ(Promega社,Madison、WI)を含む10μlの溶液であった。連結反応に付着末端を必要とする場合には、この反応を15℃において18時間行った。平滑末端連結反応のためには、6単位の酵素を使用し、そして反応物を4℃において24時間インキュベートした。連結反応の効率を検査するための対照を必要とした。これらの対照は、予め制限酵素消化を行い、そして連結させてあるベクター、ならびに制限酵素消化のみを行ったベクターであった。
12. 感応細胞の調製、形質転換、および組換えプラスミドの同定
形質転換に使用した細菌株は、pGEM(商標)−4Zについては大腸菌JM 109deari、pGEXについてはJPA 101であり、そしてpBluescriptについてはXL−Blueであった。これら全てのプラスミドはアンピリシン選択マーカーを保持している。JM 109およびXL−Bluescriptもやはり青色/白色の呈色についてスクリーニングすることができる。宿主株を最小培地プレートにおいて維持した。
感応細胞産生については、単一コロニーを選択し、そして激しく震盪させながらL−ブイヨン中で37℃において一晩増殖させた。一晩培養物の1:100希釈液をA600が0.45−0.55に達するまで増殖させ、そしてその後細胞を4℃における10分間の800×gでの遠心によりペレット化させた。その細胞を、50mlの氷冷滅菌CaCl2(50mM)中に再懸濁させることにより形質転換に感応性を示すようにさせ、そして氷上で1時間インキュベートした。再び細胞をペレット化させ、その後予め冷却させた10mlの50mM CaCl2中に再懸濁させた。このように調製した感応細胞を4℃下氷上で保存し、そして調製後最長でも48時間の間には使用したが、それらの生存率は24時間後には下降し始めた。
形質転換のためには、300μlの感応細胞を10μlの連結反応混合物に添加し、氷上に1時間放置し、そしてその後42℃において2分間熱ショックを与えた。この後0.3μlのL−ブイヨンを添加し、そして細胞を1−2時間37℃でインキュベートし、そしてその後0.2mlを選択培地中でプレート培養した。
pGEMおよびBluescriptベクター系の両方がlacZα−ペプチドをコードし、複数のクローニング部位を挟み込むDNA配列を保持している。このような配置により機能的α−ペプチドが生じるが、このα−ペプチドはlacZ M15遺伝子の産物を補足して機能的β−ガラクトシダーゼを産生することができる。F'ピリ上にlacZ M15遺伝子を有しそしてまたpGEM(商標)−4ZもしくはpBluescriptプラスミドをも含む細菌コロニーは、IPTGおよび5−ジブロモ−4−クロロ−3−インドルチオガラクトシダーゼ(X−gal)を含む培地上でプレート培養した際に青色を呈する。しかしながらlacZ α−ペプチドが多重クローニング領域内へのクローニングにより破壊される場合には、相補性は生じず、そしてβ−ガラクトシダーゼ活性は産生されない。従って、組換えプラスミドを含むコロニーは白色である。
組換えpGEXプラスミドで形質転換させたJPA 101細胞をアンピシリン含有性培地上でプレート培養し、そして組換え体を、プラスミドの単離、ならびにその後の制限酵素消化、およびアガロースゲル電気泳動により確認した。
13. モノクローナル抗体Lp IX−3AおよびLp IX−4Aの産生
ライグラス花粉アレルゲンLol p IXに対するモノクローナル抗体Lp IX−3AおよびLp IX−4Aを作製した。Lo l p IX(国際出願AU92/00430号において記載され、この特許の開示内容は引用することにより本明細書内に取り込まれる)をコード化するcDNAの全長クローン12R(1229bp)を制限酵素Hinc IIで消化し、そしてアガロースゲル電気泳動後に673塩基対の断片1Hを選択した。この1H断片をpGEXプラスミド発現系内にサブクローン化させた。グルタチオン S−トランスフェラーゼ(GST)との融合物としての蛋白質の発現を、SmithおよびJohnson(Gene 67:31−40(1988))により概略が記載される方法に従って実施した。簡便に記載すると、12R pGEX−1、2P pGEX−1、および1H pGEX−3組換えプラスミドと共に大腸菌を一晩培養させた培養物を新鮮なL−ブイヨン中に1:10で希釈し、そして激しく震盪させながら37℃において1時間増殖させた。0.1mMになるようにIPTGを添加することにより融合蛋白質産生を誘導した。この細胞をさらに4−5時間増殖させ、その後にこれらをペレット化し、そしてPBS(150mMのNaCl、16mMのNa2HPO4、4mMのNaHPO4、pH7.2)中に再懸濁した。この混合物を液体窒素中の3回の凍結−解凍周期に供することにより細胞を溶菌させ、そして上清を遠心後に回収した。
GST−1H融合蛋白質を含む上清をSuperdex 75 HR 10/30カラム(Pharmacia社)にかけた。カラムからの試料の溶出は、0.02%のアジ化ナトリウムを含む50mMのPBSを用い、1ml/分の一定流速下で室温において実施した。融合蛋白質を含む分画は、各分画の5μl分をニトロセルロース膜(BA 0.45mm、Schleicher and Schuell社)上に点染し、そしてアレルギー患者からの血清を用いて特異的IgEの結合についてスクリーニングすることにより同定した。この蛋白質をミニコン ウルトラフリー(minicon ultrafree)−MC 10000NM WL フィルターユニット装置(Millipore社、Bedford MA、USA)を使用して濃縮した。
GST−1H融合蛋白質抗原に特異的なマウス抗体は、4匹の雌BALB/cマウスを、0.1mlのPBSおよび0.1mlのRIBIアジュバンド中の100μgのFPLC精製済みGST−1H融合蛋白質を腹膜内(i.p.)注射で免疫化することにより調製した。14日後に同一物質のブースター腹膜内注射を施した。10日後にマウスからの採血を行った。血清をライグラス花粉の総蛋白質のウエスタンブロットへの結合についてスクリーニングし、そしてマウスをこの血清結合に基づいて選択した。14日後に、融合用に選択したマウスに100μgの融合蛋白質のみを含む0.2mlの腹膜内ブースター投与を施した。4日後にマウスを屠殺し、そして骨髄腫細胞(Veterinary Research Institute、Parkville、からの贈与物)との融合のために脾臓を取り出した。融合および培養に用いた方法は、PRMIおよびHybridsera(Commonwealth Serum Laboratories社、Melbourne、VIC、Australia)を用いるHarlowおよびLane(Antibodies、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988))のものに基づくものであった。アミノプテリン選択を用いた(50×HAT & HT溶液、Flow−Laboratories社、Scotland、UK)。得られるハイブリドーマを直接結合ELISAアッセイにより、抗体の存在についてスクリーニングした。陽性を示すハイブリドーマを限界希釈法によりクローン化した。
ELISAは膜を底にはめ込む形のマイクロタイタープレート(membrane bottomed microtiter plates)(Amersham社)を用いて実施した。抗原、すなわちライグラス花粉の1μgの可溶性蛋白質を各ウエルの底面にある膜上に点染し、そして室温において15分間インキュベートした。PBSでウエルを洗浄した後、非特異的結合部位を遮断する目的で1%のBSA(100μl)を添加し、そして30分間インキュベートした。各ウエルをTPBSで3回洗浄し、そして培養上清(100μl)を添加し、そして室温において30分間インキュベートした。これらのウエルを再び洗浄し、そして100μlのHPR−複合化第二抗体(Silenus社、Melbourne、VIC、Australia)と共に30分間インキュベートした。TPBSで4回洗浄した後、4−クロロ−1−ナフトールを含むパーオキシダーゼ基質溶液を添加し、そして37℃において紫色の呈色が生じるまで約5分間インキュベートした。
モノクローナル株のイソタイプ決定は、マウスモノクローナル抗体イソタイプ決定用キット(Amersham International社)を使用して、製造業者の説明書に従って実施した。
14. プラスミドDNAの単離
目的のプラスミドを含む細菌を、適切な抗生物質を含むL−ブイヨン中で37℃において一晩培養した。その後この培養物をDNAの単離に用いた。
(i)プラスミドの急速単離
この方法はSerghini et al.Nucleic Acid Res 17:3604(1989))により開発され、そして通常行われる分析に用いられるDNAを精製するためのものである。1.5mlの培養物をエッペンドルフ試験官に移す。12,000×gにおける3分間の遠心により細胞をペレット化させ、50μlのTNE(10mMのトリスーHCl pH8、100mMのNaCl、1mMのEDTA)中に再懸濁させ、そして50μlの混合化(v/v/v)フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25/24/1)を添加する。この混合物をボルテックスミキサーで激しく撹拌し、そして12,000×gで5分間遠心してほぼ透明な上清を得る。50μlの水相を新しい遠心管に移し、そして2Mの酢酸アンモニウム(最終濃度)および2倍容の100%冷却エタノールを用いて氷上で15分間沈殿を生じさせる。沈殿したDANを12,000×gでの5分の遠心により回収し、70%エタノールで洗浄し、乾燥させ、そして適切な容量のTE(10mMのトリス−HCl pH8.0、1mMのEDTA)中に溶かす。
(ii)配列決定用DNA
Qiagen Inc.社(Chatsworth CA、USA)により供給される実験計画書に従って、配列決定用鋳型に用いるDNAを単離および精製した。1.5mlの細菌培養物を12,000×gで2分間ペレット沈殿させた。このペレットを0.3mlの緩衝液P1(100μg/mlのRNアーゼA、50mMのトリス−HCl pH8.0、10mMのEDTA)中に再懸濁させ、そして0.3mlの緩衝液P2(200mMのNaOH、1%のSDS)をそれに添加し、そして混合した。室温において5分間インキュベートした後、0.3mlの緩衝液P3(2.55Mの酢酸カリウム pH4.8)を添加し、即座に混合し、そして4℃において15分間遠心した(12,000×g)。上清を新しい試験官に移し、そして製造業者の説明書に従って精製用のQiagenカラムにかけた。カラムからの溶出後、DNAを0.5倍容のイソプロパノールで沈殿させ、そして12,000×gで30分間遠心した。その後DNAを70%エタノールで洗浄し、5分間空気乾燥させ、そして適切な容量のTE緩衝液中に再度溶解させた。
15. DNA配列決定
DNA配列決定は、Sanger et al.(Proc.Natl.Acad.S ci USA 74:5463−5467(1977))の鎖終結法を使用して実施した。pGEM(商標)−4Zは2つのプライミング部位、Sp6およびT7プロモータープライマーを有しており、これらは多重クローニング部位の反対側の末端に位置している。pBluescript IIKS中のプロモータープライマーはT7およびT3である。
配列決定用の二本鎖DNA鋳型は先に記載の要領で調製した。ジデオキシ配列決定反応は、Pharmacia社(Uppsala、Sweden)からのT7ポリメラーゼ配列決定用キットかGnen Ataq配列決定用キットの中のDeaze T7ポリメラーゼキットのいずれかを使用して、製造業者の説明書に従って実施した。使用したラベル化物は5−α−[35S]チオトリリン酸デオキシアデノシンのトリエチルアンモニウム塩(Amersham社)であった。
配列決定反応物の電気泳動は、ポリアクリルアミドゲルおよびIBI Base Runner配列決定装置(International Biotechnologies、Inc.社、Connecticut WI、USA)中で実施した。0.35mmのプラスチック製スペーサーで間隔を空けてある25×60cmのガラスプレート内にゲルを流し込んだ。ガラスプレートを耐水性テープ(Scotch社のビニールテープNo.471)で張り合わせた。ゲルは、典型的には7M尿素中の6%アクリルアミドであった。ゲル混合物は、適切な量のSequagel濃厚液および希釈溶液(National Diagnostics社、Manville NJ、USA)、TBE緩衝液、過硫酸アンモニウム、およびN,N,N',N'−テトラメチレンジアミン(TEMED、Bio−Rad社)を使用して作製した。ゲルを90分間放置してポリマー形成を行わせ、その後に予備泳動を開始した。ゲルに重層用染色液を重層し、そして15−30分間予備泳動させた。その後配列決定反応物を、サメの歯型のコーム(shark's tooth comb)により作製したウエル内に重層し、そして電気泳動をTBE緩衝液内において50Wで2−3時間実施した。各ゲルから得られる配列決定情報の量を最大限にするために、5−6時間というより長めの泳動を実施した。電気得移動後、ゲルをWhatman社の濾紙に移し、そしてその後にBio−Radゲル乾燥機上で吸引しながら80℃下で2時間乾燥させた。通常オートラジオグラフィ−は、増感紙を使用せずに室温において一晩実施した。Kodak社のXAR X−線フィルムを使用した。
16. コンピューター分析
配列分析はMELBDSYS系、すなわちWalter and Eliza Hall Institute、Ludwig Institute for Cancer Research、およびthe Howard Florey InstituteでMelbourne Australiaにおいて開発された一連の配列分析用プログラムを使用して実施した。これは以下に示す源、すなわちRoger Standen、MRC Labs Cambridge、England;NIH/Los Alamos National Laboratory、USA;NBRF Protein Identification Resource、Washington、USA;GENBANK(Los Alamos National Laoratory、USA)、NBRF PIR、PSD−Kyoto(ooi);GBtrans、Swiss−Prot and Doolittleの蛋白質データベースのプログラムを取り込んでいる。最終検索期間中には、EMBLおよびGENBANKデータベースはそれぞれ28.0および68.0を公開した。
17. オリゴヌクレオチド合成
オリゴヌクレオチドプライマーは選択されたDNA配列に基づいて作製した。これらのプライマーはPharmacia Geneassembler DNA合成機(Pharmacia社)を使用して、WinnackerおよびDorper(Anal.Biochm. 142:78−90(1982))により広範囲にわたって論議されているホスホルアミダイド法により合成した。
18. 核酸のラベル化
もともとはMaxamおよびGilbert(Meth.Enzymol. 65:763−774(1980))により記載される方法に基づき、オリゴヌクレオチドプローブをγ32P−ATP(Amershm International社)でラベル化した。通常は20ng(1μl)のプローブを、50mMのトリス−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl2および1mMのDTTを含む緩衝液に添加した。この後に40μCiのラベルおよび5単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Pharmacia社)の添加を行った。反応混合物をミリポア処理済み滅菌水で適切な容積に合わせ、そして37℃において45分間インキュベートした。1mMの最終濃度になるようにEDTAを添加することにより反応を停止させた。
Sephadex G−50カラムを通しながら反応混合物を遠心することにより遊離カウントを除去した。このカラムは1mlの注射器にグラスウールを詰め、そしてその注射器にTE(pH8.0)で平衡化させたSephadex G−50を充填することにより調製した。その後このカラムを滅菌済み使い捨て用10ml試験管内に入れ、そして1,000×gで1分間遠心し、そしてその後に混合物をカラムに載せ(<100μlの容積のもの)、そして1,000×gで更に1分間遠心した。ラベル化プローブを含む流出液を回収した。
DNA挿入断片のラベル化はランダムプライミング法(FeinbergおよびVogelstein、Anal.Biochem. 137:266−267、1984)により通常行う様式で実施した。60から100ngのdsDNAを95℃において2分間加熱することにより変性させ、そして即座に氷上で冷却した。12.5ngのランダムプライマー、50mMのトリス−HCl pH7.5、10mMのMgCl2、10mMのDTT、50μCiの32P−dCTP、および5単位のクレノウ(klenow)DNAポリメラーゼIを含むラベル化用混合液(Breastec社)を添加した。この反応物を40℃において20分間インキュベートした。その後プローブを記述の項目に記載の要領で精製し、そして95℃において2分間加熱してDNAを変性させてから使用した。
19. RNAの電気泳動およびノザンブロット
RNAを、ホルムアルデヒドを含むゲル(Lehrach et al.Biochemistry 16:4743−4745、1977)を通す変性条件下における電気泳動にかけた。粉末アガロース1.8g(Promega社)は、電子レンジ内で加熱することによりジエチルピロカルボネート(DEPC)処理済みミリポア(Milipore)水110ml中に溶かした。60℃において冷却した後、15mlの10×MOPS(0.4Mのモルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、pH7.0、100mMの酢酸ナトリウム、および10mMのEDTA、pH8.0)、およびDEPC一滴を添加した。10分後に4.8mlのホルムアルデヒド(水中の37%溶液)を添加し、混合し、そして溶かした溶液を適切なゲル鋳型上に注ぎいれた。電気泳動予定の様々な組織からの総RNA試料は、6.2μlのRNA(10−20mg)を0.4μlの1M MOPS、3.4μlのホルムアルデヒド、および10mLの脱イオン化ホルムアミデと混合することにより調製し、その後60℃で5分間インキュベートして変性を容易にさせた。この試料を氷上で冷却した後、RNAゲルローディング緩衝液を、1×の最終濃度になるように添加した。試料を載せ、そして70Vで4時間電気泳動させた。
電気泳動後、RNAを含むゲルをオートクレーブ済みミリポア(Milipore)水中に浸し、この間この水を数回取り替えた。RNAを、VacuGeneブロッティングシステム(Pharmacia社、Upsalla、Sweden)を用いて吸引下においてナイロン膜であるHybond−N+(Amersham社、Arlington Heights、IL)に移した。移動後3−4時間目にこのフィルターを室温において乾燥させ、そして膜に対するRNAの架橋形成を行わせる目的で5分間UV光に露出させた。
20. ハイブリッド形成
DNAブロットもしくはフィルターとdsDNAプローブとのハイブリッド形成用には、一般的にDNA−標的化DNAプローブ法を用いた。予備ハイブリッド形成は、2×SSPE(0.18MのNaCl、10mMのNaPO4、1mMのEDTA)、7%のSDS、0.5%の無脂肪乳粉末、1%のポリエチレングリコール20000、および0.5mg/mlの非相同性担体DNA(Sigma社)を含むハイブリッド形成用緩衝液中において、68℃下で4時間実施した。予備ハイブリッド形成後、ハイブリッド形成を、32P−ラベル化dsDNAプローブを含む新鮮なハイブリッド形成用緩衝液中において、68℃下で16時間実施した。
ハイブリッド形成後、ブロットもしくはフィルターを2×SSC(0.15MのNaCl、15mMのNa3−クエン酸)中で簡便にすすぎ、その後室温において激しく震盪させならが2×SSC、0.1%のSDS中で15から30分間洗浄した。最終洗浄は、予め暖めておいた1×SSC、0.1%のSDAS中において68℃下で15分間実施した。その後このブロットをポリエチレンフィルムで包み、そしてX−線フィルムおよび増感スクリーンを用いてオートラジオグラフィーを−70℃下で実施した。
RNAブロットのハイブリッド形成については、予備ハイブリッド形成およびハイブリッド形成を、2×SSPE、7%のSDS、0.5%の無脂肪乳粉末、1%のポリエチレングリコール20000、50%の脱イオン化ホルムアミド、および0.5mg/mlの非相同性担体DNA中、43℃において各々4時間および16時間実施した。ハイブリッド形成済みブロットの洗浄およびオートラジオグラフィ−は先に記載の要領で実施した。
オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリッド形成については異なる方法を用いた。予備ハイブリッド形成およびハイブリッド形成は、5×SSPE、7%のSDS、0.5%のスキムミルク粉末、1%のポリエチレングリコール20000、および0.5%mg/mlの非相同性担体DNA(Sigma社、St.Louis、MO)中において、適切なTm下(BoltonおよびMcCarthy(1962)PNAS 48:1390)において実施した。ハイブリッド形成済みの膜を3×SSC中で簡単にすすぎ、そして室温において激しく震盪させながら3×SSC、0.1%のSDS中で15分間洗浄した。この後に、予め暖めた2×SSC、0.1%のSDS中でハイブリッド形成温度における更に別の洗浄を15分間行った。その後1×SSC、0.1%のSDS中で簡便にすすいだ後に、この膜を−70℃においてX−線フィルムに露出させた。
C.結果
1. Sor h Iの特徴決定および免疫ブロットによるその組織特異性
S.ハルペンセ(S.halpense)の主要アレルゲンであるSor h IはグループIのその等価物と同様に、SDS−PAGEにより分析する際に約35kDの分子量を示す。このことにより、Lol p IおよびCyn d Iに対して作製したグループI抗体、ならびにイネ科植物花粉アレルギー個体の血清からのIgEとの反応性が示される。これらのモノクローナル抗体との免疫ブロットによっては花粉蛋白質のみとの反応性が示され、そして葉、根、および苗条を初めとする他の植物組織からの蛋白質との反応性は示されなかった。またこれらの研究により、花粉蛋白質の中でも優勢なIgE結合成分はSor h Iではあるが、ただし他の組織内の成分への結合も存在することも示された(図1)。
図1に示されるように、セイバンモロコシの葉(L)、花粉(P)、根(R)、および種子(S)から単離された蛋白質をSDS−PAGEにより分離した。パネルAはクーマシーブリリアントブルー R250染色により示される蛋白質の泳動像である。パネルB−Fは、モノクローナル抗体もしくはIgEで免疫探索を行い、そしてパーオキシダーゼ−ラベル化第二抗体を用いて検出したウエスタンブロットを示す。パネルBはイネ科植物花粉アレルギー個体のプール血清からの抗体である。パネルC:mAb FMC−Al、パネルD:mAb Cd I−1D1、パネルE:mAb Cd I−3A2、およびパネルF:mAb Cd I−4D2。
2. セイバンモロコシ花粉抽出物への抗体結合の変化
セイバンモロコシにおける抗体特異性についてのある所見は、様々な供給元からの花粉試料からの蛋白質の抗原性を示す泳動像における変化と関連していた。蛋白質の変異性を検査する目的で、セイバンモロコシの可溶性花粉蛋白質を3つの異なる供給源から取得した花粉から単離した。蛋白質のSDS−PAGE分離の後のクーマシーブリリアントブルー染色により、3つの試料全ては異なる蛋白質泳動像を有することが示された(図2)。異なるアレルゲンに対するmAbでのこれらの蛋白質のウエスタンブロットの免疫探索により、抗体の結合パターンの違いが示された。(パネルA:FMC−A、パネルB:Cd I1D1、パネルC:Cd I−3A2、パネルD:Cd I−4D2、パネルE:FMC−A7、パネルF:Lp IX−3A、およびパネルG:Lp IX−4A)。供給元1からのこの花粉の総蛋白質をSDS−PAGEにより分離し、ブロットを作製し、そしてmAb Lp IX−3AおよびLp IX−4Aでスクリーニングした際に、各々28、33、および40kDaのMWを有する3つの構成成分の結合が観察された。供給元2および3からの試料に対するmAb Lp IX−3AおよびLp Ix−4Aの結合は約30kDの単一バンドに対するものであった。mAb Lp IX−3AおよびLp Ix−4Aは供給元3からの試料に対しては弱い結合を示した(図2)。
3. セイバンモロコシcDNAクローンの単離および特徴決定
λ gt11中のS.ハルペンセ(S.halpense)cDNAクローンを、ライグラスおよびギョウギシバに対して作製した抗−グループI抗体でスクリーニングした。3つの陽性クローン、1S、2S、および3Sをプラーク精製し、そしてイネ科植物花粉アレルギー血清とのIgE結合について検査し、これによりウエスタンブロットにおけるセイバンモロコシの可溶性花粉蛋白質に対する反応性が示された。唯一のクローン3SのみがIgE抗体との反応性を示した。これらのクローンのうちのいずれのものも、mAb Lp IX−3AおよびLp IX−4Aとの反応性は示さなかった。これら3つのクローンについての抗体結合性データを表Iにまとめた。
3つのクローンの制限酵素分析により、クローン3Sは約1100ヌクレオチドの最大挿入断片を含み、1Sおよび2Sは各々約800および約400ヌクレオチドの挿入断片を含んでいることが示された。
Figure 0003606868
4. クローン化アレルゲン3Sの同定
抗−グループI mAbを使用することにより組換えクローン3Sを単離したため、セイバンモロコシ花粉蛋白質のウエスタンブロットにおけるこれらのmAbの特異性により、天然のアレルゲンとこのクローンとの関連性が示された。抗−ライグラスmAb FMC−A1を用いてセイバンモロコシ花粉蛋白質のウエスタンブロットの免疫探索を行ったところ、28から35kDa領域内にある構成成分に対する結合が示された。分子量は図3の左(kD)に付記した。レーンAにおいては、蛋白質をSDS−PAGEにより分離し、そしてクーマシーブリリアントブルー R250染色により可視化させた。レーンB−Gは、mAbもしくはIgEで免疫探索を行い、そして表示される場合を除きパーオキシダーゼ−ラベル化第二抗体を用いて検出したウエスタンブロットを示す。レーンB:mAb FMC−A1、レーンC:mAb Cd I−1D1、レーンD:mAb Cd I−3A2、およびレーンE:mAb Cd I−4D2。レーンFにおいては、イネ科植物花粉アレルギー個体のプール血清からのIgE抗体を使用した。レーンGは、免疫吸着物質としてクローン3Sの融合蛋白質を使用して親和性精製したIgE抗体を示す。IgEの結合は、125I−ラベル化抗−ヒトIgEで検出した。同一の結合パターンが、抗−ギョウギシバグループI抗体Cd I−1D1、Cd I−3A2、およびCd I−4D2について観察された(図3)。
セイバンモロコシ蛋白質のウエスタンブロットにおいて、クローン3Sによりコード化される蛋白質に相当する蛋白質バンドを同定する目的で、免疫吸着物質として3S融合蛋白質を使用することにより親和性精製したIgE抗体をスクリーニングに使用した。これにより約35kDからなるSor h Iの範囲のバンドへの結合が示された(図3)。
5. Sor h I cDNAの配列分析
3つのcDNAクローン1S−3S全てについての完全な配列決定を行った。配列5'−TCGCCACCCTTCTCCT−3'(配列番号14)を有し、そして図5A−5Cにおいて示されるクローン3Sのヌクレオチド538−653に相同な非コーディング鎖配列に相当する、16ヌクレオチドからなるあつらえプライマーを使用してクローン3Sの配列決定を行った。クローン3Sについての初めの配列決定法を図4に示した。既述の合成プライマーの位置を星印により付記した。その後、クローン3Sの両方の鎖を合成プライマー1004−1009、1014、および1015を使用して完全な再配列決定を行った。全てのプライマーは図5A−5Cに示されるSor h I配列を基にした。プライマー1004、5'−CCTGTTGGCTTACCGTACCA−3'(配列番号15)は、図5のヌクレオチド181−200に相同な非コーディング鎖配列に相当する。プライマー1005、5'−CAACCTCCCCATCTTCAA−3'(配列番号16)は、図5A−5Cのヌクレオチド282−299に相当する。プライマー1006、5'−GGCGATTTGCTCGTAGTTCAT−3'(配列番号17)は、図5A−5Cのヌクレオチド391−411に相同な非コーディング鎖配列に相当する。プライマー1007、5'−GGCATCATCGACATGAAGTTC−3'(配列番号18)は、図5A−5Cのヌクレオチド490−510に相当する。プライマー1008、5'−TACGCGTCGCCACCCTTCTCCTT−3は、図5A−5Cのヌクレオチド637−659に相同な非コーディング鎖配列に相当する。プライマー1009、5'−GCCAATCAAGTTTCCCGTCA−3'(配列番号19)は、図5A−5Cのヌクレオチド711−730に相当する。プライマー1014、5'−GAACTTCATGTCGATGATGCC−3'(配列番号20)は、図5A−5Cのヌクレオチド490−510に相同な非コーディング鎖配列に相当する。プライマー1015、5'−CTTGTCGCTGTCCTTCCTCC−3'(配列番号21)は、図5A−5Cのヌクレオチド692−711に相同な非コーディング鎖配列に相当する。
配列決定は、T3およびT7プライマー、ならびにあつらえプライマーを使用して実施した。配列決定法を矢印により示した。ヌクレオチド40−108の間のコーディング領域は、シグナルペプチドおよび成熟蛋白質をコード化する109と822との間のコーディング領域に相当する。
クローン3Sによりコード化されるセイバンモロコシの主要アレルゲンのDNAおよび演繹されるアミノ酸配列を図5に示す。クローン3Sの配列分析により、その挿入断片の長さが1072ヌクレオチドであることが示された。この配列には、位置25、37、および40に3つの存在可能な読み枠内ATG開始コドンが含まれる。この3つの存在可能な翻訳開始部位の内のいずれのものもAACAATGGC Latake et al.(1987)EMBO J. :43−48)の共通植物配列とは一致しなかった。従って、Lol p Iと比較することにより、位置40のATGコドンを翻訳開始用の部位であるとして提唱する。これは位置823のTAA停止コドン(図5A−5Cにおいて星印により表示される)で終結し、そして261のアミノ酸からなる蛋白質をコードする783ヌクレオチドからなる読み枠に相当する。この読み枠はGCに富む(62%GC)。
予想されるアミノ酸配列は23のアミノ酸からなる仮定的なペプチド配列を有する(図5A−5Cにおいては負の数により表示される)。あるいはヌクレオチド25もしくは37で開始するコドンが開始用のメチオニンをコードする場合には、リーダー配列は各々28もしくは24のアミノ酸からできていることになる。Sor h Iの予想されるアミノ酸配列の疎水性のグラフ(図6)は7つのアミノ酸からなるウインドウを用いるKyteおよびDoolittle(J.M ol Biol.157:105−132(1982))を基にしてある。S or h Iについて利用することができるN−末端アミノ酸配列は存在しないが、疎水性シグナルペプチドの予想開裂地点を矢印で示した。このシグナルペプチドには、他のシグナルペプチドについて既に記載されている(Von Heijne(1984)J.Mol.Biol. 173:243−251)ペプチド開裂部位と比較すると、位置−1および−3において小さな鎖のアミノ酸を含んでいる。このことにより、25.8kDの分子量を持つと思われる238のアミノ酸からなるプロセシング済みの成熟蛋白質が示される。この組換え蛋白質は予想されるp I値が7.5であり、この値はLol Iのものと比較すると高めである。
この蛋白質の親水性領域内の位置9(図5A−5Cにおいて太字にて記載)に存在するアスパラギン残基は共通配列Asn−X−Ser/Thrに一致する残基であるが、この残基に存在可能な一つのアスパラギン連結性グリコシル化部位が存在する。クローン2Sの配列は、3S配列中の位置594と945との間の451ヌクレオチド分に相当する。クローン1Sのヌクレオチド配列はクローン2Sおよび3Sとはいずれの相同性をも共有しておらず、そしてSor h Iとは異なる抗原をコード化するように思われる。
6. Sor h IとLol p Iとの比較
Sor h IとLol p Iのヌクレオチド配列および演繹されるアミノ酸配列の比較により有意な相同性が示された。ヌクレオチドレベルにおいては、コーディング領域はそれら2つの配列の間で78%の相同性を示す(図7A−7C、配列番号1および配列番号3)。コーディング領域における214ヌクレオチド分の違いは77のアミノ酸の違いをもたらすものであり、このうちの18は保存的置換である。図7A−7Cにおいては、ヌクレオチド配列がコドン内に割り込ませてあり、ギャップ挿入部分が存在し、そして翻訳領域内でのアライメントを最大の類似性が得られるように行っている。Lol p I配列はGriffith et al.FEBS Lett. 279:210−215(1991))のものである。各行末端の数値は各クローンの第一ヌクレオチドからのヌクレオチド残基数を意味する。
ライグラスクローンおよびセイバンモロコシクローンによりコード化される組換え蛋白質は互いのアミノ酸組成が類似している(表II)。これらは双方ともグリシン(Sor h Iについては12.6%;Lol p Iについては11.4%)およびリシン(Sor h Iについては10.7%;Lo l p Iについては10.3%)を豊富に含んでいる。総計で263のアミノ酸を一次構造内に有するLol p Iは、So r h Iと比較すると2残基余計に含んでいる。これらは、組換えLol p Iについては28.3kDの、そしてSor Iについては28.1kDの算出分子量に相当する。算出されたp I値は、Lol p Iについては6.8であり、そしてS or h Iについては7.5である。
Figure 0003606868
演繹される2つのアミノ酸配列の比較により、77%の相同性および70%の同一性が示される(図8、配列番号2および配列番号4)。同一残基をコロンにより示す。2つの配列の間の類似残基を小文字の「s」により示した。以下に示す残基は類似であるとみなす。A、S、T;D、E;N、Q;R、K;I、L、M、V;F、Y、W。星印は、相同性を最大限のものにさせるために挿入してあるブランクである。Lol p Iのアミノ酸配列(配列番号4)は、記述のGriffith et al.、(1991)に従うライグラスのものである。これらの配列のN−末端領域(Lol Iについては配列番号5、そしてSor h Iについては配列番号7)をギョウギシバCyn d IのグリープIアレルゲンのN−末端配列(蛋白質配列決定により取得)(配列番号6)と比較した際、3つの配列がこの領域がこの配列内において相同性を示すことが示された(表III)。この領域内における、Lol p IとCyn d Iとの同一性は70%であり、Lol p IとSor h Iとの同一性は63%であり、そしてCyn d IとSor h Iとの同一性は59%である。Cyn d Iの全一次配列も、他の2つのグループIアレルゲンとの総体的な相同性を示すように思われる。このことは、Lol p IおよびSor h Iに対する、Matthiesen et al.、(J.Allergy Clin Immunol. 88:763−774(1991))により報告されるmAbの交差反応性およびアミノ酸組成の類似性により示唆される。
Figure 0003606868
7. アレルゲンとして重要な部位を含む領域の配列比較
亜科プーイデアエ(Pooideae)の全一員である5つのグループIアレルゲン(すなわち、Lol p I(配列番号8)、Fes e I(配列番号9)、Arg a I(配列番号10)、Poa p I(配列番号11)、Ant o I(配列番号12))のアレルゲン決定基として同定される領域の配列を、開裂断片を作製および配列決定することにより同定した(EschおおよびKlapper、Molecular Immunol. 26:557−561、(1989))。これらのものと、ヌクレオチド配列から演繹したSor h I(配列番号13)内の対応領域との比較を、表IVに示す。これらの配列との比較により、この領域内のペプチドの中に高い度合いの相同性が示された。Sor h I配列はこの領域内の28のアミノ酸のうちの22においてLol p Iとの同一性を示すが、位置1、9、10、11、24、および15においては6つの違いが検出された。これらの変化の内の3つ、すなわち9、24、および26はLol p Iと比較するとSerがThyに置換される保存的なものであった。
Figure 0003606868
アレルゲン決定基の間には広範囲にわたる相同性が存在するが、Lol p IおよびSor h IクローンのIgE反応性を比較する研究によっては、結合の一致は示されなかった。Lol p I cDNA13RおよびSor h I cDNA 3Sとの反応性について検査した30のイネ科植物アレルギー血清の内28がLol p I cDNAにより産生される蛋白質との反応性を示す一方、2つのみがSor h I cDNAのものとの反応性を示した。この2つのSor h I反応性血清はLol p Iとの反応性も示した。
本発明は、好ましい態様を引用することにより記載されているが、他の態様が同一の結果を達成することも可能である。当業者は、単なる日常的な実験を用いることにより、本明細書内に記載される具体的態様に対する数々の等価物を認識するであろうし、そうでなければそれを確認することが可能であろう。このような等価物は本発明の範囲内に含まれ、そして以下に示される請求の範囲に含まれるものとみなされる。
配列表
(1)一般情報:
(i)出願者:
(A)氏名:University of Melbourne
(B)街路名:
(C)市:Footscray
(D)州:Victoria
(E)国:Australia
(F)郵便番号(ZIP):3011
(G)電話番号:
(F)テレファックス:
(ii)発明の名称:セイバンモロコシ花粉からのアレルゲン蛋白質およびペプチド
(iii)配列数:21
(iv)コンピューター解読可能形態:
(A)メディウムの種類:フロッピーディスク
(B)コンピューター:IBM PC compatible
(C)操作システム:PC−DOS/MS−DOS
(D)ソフトウエアー:patentIn Release#1.0、Version#1.25
(v)現在の出願情報:
(A)出願番号:
(B)提出日:
(C)分類:
(vi)以前の出願情報:
(A)出願番号:米国特許第07/971,096号
(B)提出日:1992年10月30日
(viii)弁理士/代理店情報:
(A)氏名:Mandragouras、Amy E.
(B)登録番号:36,207
(C)引用/協議番号:IPC−042(IMI−022)
(ix)電気通信情報:
(A)電話番号:(617)227−7400
(B)テレファックス:(617)227−5941
(2)配列番号1についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:1072
(B)配列の種類:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(iv)配列の特徴:
(A)特徴を表す記号:CDS
(B)存在位置:37..822
(iv)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:mat_ペプチド
(B)存在位置:109..822
(xi)配列:配列番号1
Figure 0003606868
Figure 0003606868
Figure 0003606868
(2)配列番号2についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:261
(B)配列の種類:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:蛋白質
(xi)配列:配列番号2
Figure 0003606868
Figure 0003606868
(2)配列番号3についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:1123
(B)配列の種類:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(ix)配列の特徴:
(A)特徴を表す記号:CDS
(B)存在位置:16..807
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:mat_ペプチド
(B)存在位置:85..807
(xi)配列:配列番号3
Figure 0003606868
Figure 0003606868
Figure 0003606868
(2)配列番号4についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:263
(B)配列の種類:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:蛋白質
(xi)配列:配列番号4
Figure 0003606868
Figure 0003606868
Figure 0003606868
(2)配列番号5についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:27
(B)配列の種類:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(v)フラグメント型:中間部フラグメント
(xi)配列:配列番号5
Figure 0003606868
(2)配列番号6についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:27
(B)配列の種類:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(v)フラグメント型:中間部フラグメント
(xi)配列:配列番号6
Figure 0003606868
(2)配列番号7についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:27
(B)配列の種類:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(v)フラグメント型:中間部フラグメント
(xi)配列:配列番号7
Figure 0003606868
(2)配列番号8についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:28
(B)配列の種類:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(v)フラグメント型:中間部フラグメント
(xi)配列:配列番号8
Figure 0003606868
(2)配列番号9についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:20
(B)配列の種類:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(v)フラグメント型:中間部フラグメント
(xi)配列:配列番号9
Figure 0003606868
(2)配列番号10についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:26
(B)配列の種類:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(v)フラグメント型:中間部フラグメント
(xi)配列:配列番号10
Figure 0003606868
(2)配列番号11についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:26
(B)配列の種類:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(v)フラグメント型:中間部フラグメント
(xi)配列:配列番号11
Figure 0003606868
(2)配列番号12についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:26
(B)配列の種類:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(v)フラグメント型:中間部フラグメント
(xi)配列:配列番号12
Figure 0003606868
(2)配列番号13についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:28
(B)配列の種類:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:ペプチド
(v)フラグメント型:中間部フラグメント
(xi)配列:配列番号13
Figure 0003606868
(2)配列番号14についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:16
(B)配列の種類:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(xi)配列:配列番号14
Figure 0003606868
(2)配列番号15についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:20
(B)配列の種類:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(xi)配列:配列番号15
Figure 0003606868
(2)配列番号16についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:18
(B)配列の種類:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(xi)配列:配列番号16
Figure 0003606868
(2)配列番号17についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:21
(B)配列の種類:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(xi)配列:配列番号17
Figure 0003606868
(2)配列番号18についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:21
(B)配列の種類:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(xi)配列:配列番号18
Figure 0003606868
(2)配列番号19についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:20
(B)配列の種類:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(xi)配列:配列番号19
Figure 0003606868
(2)配列番号20についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:21
(B)配列の種類:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(xi)配列:配列番号20
Figure 0003606868
(2)配列番号21についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ:20
(B)配列の種類:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:cDNA
(xi)配列:配列番号21
Figure 0003606868

Claims (7)

  1. 配列番号1のヌクレオチド配列もしくはそのコーディング領域を含んで成る、Sor h Iタンパク質アレルゲンをコードする単離された核酸。
  2. 請求項1の核酸によってコードされる、単離されたSor h Iタンパク質アレルゲン。
  3. 請求項1の核酸を含んで成るベクター。
  4. 請求項1の核酸によってコードされるタンパク質を発現するために前記核酸によって形質転換された宿主細胞。
  5. 配列番号2のアミノ酸配列のアミノ酸残基 1〜238を含んで成る、単離されたSor h Iタンパク質アレルゲン。
  6. 請求項のタンパク質アレルゲンをコードする、単離された核酸。
  7. Sor h−1(AAYHFDLAGTAFG)、Sor h−2(YHFDLAGTAFGAM)、Sor h−3(EKLRKAGIIDMKF)、Sor h−4(FEIKCDKPAECSG)、Sor h−5(DAYQPLKHSWGAI)、Sor h−6(PKVAPGKNITATY)、Sor h−7(VTFHVEKGSNPNY)、Sor h−8(VQITTEGGTKTAY)、Sor h−9(KYVDGDGDVVGVD)、Sor h−10(NSMGACGNLPIFK)、Sor h−11(ATWYGKPTGAGPD)、Sor h−12(APFNSMGACGNLP)、Sor h−13(TAYEDVIPEGWKA)、Sor h−14(KTAYEDVIPEGWK)、Sor h−15(MKFRRVKCKYGEK)、Sor h−16(TDMNYEQIAAYHF)、Sor h−17(PIFKDGLGCGSCF)、Sor h−18(DKPIKFPVTVQIT)、Sor h−19(EAVVVHITDMNYE)およびSor h−20(AVVVHITDMNYEQ)から成る群より選択される、単離されたSor h Iタンパク質アレルゲンのペプチド。
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