JP3606599B2 - 液圧装置の圧力制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、圧力の閉ループ又はフィードバックにより液圧アクチュエータの駆動を制御する液圧装置の圧力制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
摺動抵抗などの非線形要素を含む液圧アクチュエータや作動流体に高粘度性流体を利用する液圧装置において、高精度で圧力の制御を行うものとして特開平3−255205号公報が知られている。
【0003】
これについて説明すると、図7において、ポンプ1で発生した圧力が切換弁94で方向を選択された後にシリンダ5へ供給されて負荷6が駆動される液圧装置において、圧力センサ7の検出値と指令値P1の偏差に基づいて電磁式リリーフ弁93が駆動される。
【0004】
圧力センサ7の出力は特性変換器92及びPID補償器91へそれぞれ入力され、検出圧力が図8に示す斜線領域にあれば第1開閉器97a、97bを閉じて閉ループ制御を行う一方、そうでない場合には第2開閉器98a、98bを閉じて開ループ制御を行うものでる。
【0005】
偏差の大きさに応じて閉ループ制御と開ループ制御とを自動的に切り換えることにより、偏差が小さい場合にはPID補償器91によるオフセット(定常偏差)の補償を行う一方、偏差が大きくなると開ループ制御によって応答特性を向上させるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フィードバック制御時の補償量の大きさと極性は制御回路の定数に左右され、これら定数を大きくすれば応答特性及びオフセット(定常偏差)を改善することができるが、制御系に非線形要素(リリーフ弁の応答特性、アクチュエータの摺動抵抗など)が存在する場合には、制御系が補償量の大きさと極性の変化に追従できずに補償量の変化がさらに激しくなりハンチングあるいは発振を起こすことがあり、このようなハンチングを抑制するために制御定数を低減させねばならず応答特性及びオフセットの改善を充分に行えないことがある。
【0007】
また、上記電磁式リリーフ弁93の圧力特性は高圧域においては直線性を確保できるが、低圧域においては非線形となるため、上記従来のような圧力制御装置においては閉ループから開ループへ、あるいはその逆に制御を切り換える場合には、切り換え時の制御圧力の乱れを抑制するため、閉ループ制御における応答特性を上記のような理由から低く設定する必要がある。
【0008】
しかしながら、閉ループの応答特性を低く設定した場合には、閉ループ制御領域内で圧力が変動し、この変動周期が閉ループの応答周期を越えるような場合には制御圧力が安定するまでに時間を要して制御特性を劣化させることがあり、また、閉ループの制御ゲインを低く設定するとともに制御系がシリンダ5の摺動抵抗などに起因する非線形要素を備える場合、シリンダ5に加わる予想外の外乱による偏差が一定時間継続すると、積分補償量が急激に増減するため制御圧力が不安定となってハンチングが発生することがあるという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、予想外の外乱が加わった場合にもハンチングを抑制するとともに、応答特性及び精度の高い液圧装置の圧力制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図1に示すように、負荷を駆動する液圧装置と、液圧装置の負荷圧力PSを検出する圧力検出手段51と、液圧装置への供給圧力を制御する電磁式制御弁52と、前記圧力検出手段51の検出値PSが圧力の指令値P1と一致するよう電磁式制御弁52を帰還制御する手段とを備えた圧力制御装置において、前記指令値P1と検出値PSとの差から偏差を演算する偏差演算手段53と、所定の周期で前記偏差をサンプリングするサンプリング手段54と、前記サンプリングした偏差及び前記周期に応じて補償値を演算する補償手段55と、前記補償手段の出力と前記指令値とを加算して前記電磁式制御弁に出力する加算手段56とを備え、前記補償手段55が、前記偏差の大きさに応じたランプ関数に基づいて補償値を発生する。
【0012】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記補償手段が、前記サンプリングの周期に応じた所定時間まで偏差の大きさに応じたランプ関数で補償値を発生した後、この補償値を前記周期まで保持する。
【0014】
【作用】
したがって、第1の発明は、負荷圧力と指令値に基づいて偏差演算手段が演算した偏差の大きさとサンプリング周期に応じて補償手段は補償値を演算し、この補償値と指令値とを加算器で加算して電磁式制御弁に出力する。サンプリング周期ごとに演算された補償値で指令値を補正して開ループ制御を行うことが可能となり、急激な指令値の変動を抑制してハンチングを抑制しながら精度よく圧力制御を行うことができる。
また、前記補償手段が偏差の大きさに応じたランプ関数に基づく補償値を発生し、指令値の急激な変動を抑制して制御系のハンチングを抑制するとともに、精度よく圧力を制御することができる。
【0016】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記補償手段がサンプリングの周期に応じた所定時間まで偏差に応じたランプ関数に基づいて補償値を発生した後、この補償値を前記周期まで保持し、制御信号は所定時間を経過すると一定値に保持されるため、制御系の応答速度が遅い場合にもハンチングを抑制して高精度の圧力制御を行うことができる。
【0018】
【実施例】
図2〜図3に本発明の実施例を示す。
【0019】
図2において、ポンプ1で発生した液圧は切換弁4で方向を選択された後にシリンダ5に供給されて負荷6を駆動する。
【0020】
シリンダ5に加わる圧力はポンプ1からの作動流体の一部を電磁式制御弁としての比例電磁式リリーフ弁3を介してタンク2へ還流させることで調整され、圧力センサ7で検出したシリンダ5の負荷圧力PSに基づいて圧力制御装置としてのコントローラ8が比例電磁式リリーフ弁3を駆動して圧力の制御を行う。
【0021】
コントローラ8は入力された圧力の指令値P1に基づいて圧力センサ7の検出圧力PSが指令値P1となるような制御信号PCを比例電磁式リリーフ弁3に出力する。
【0022】
図3に示すように、コントローラ8に入力された指令値P1とフィードバックされた検出圧力PSから偏差演算手段としての加算器12は指令値P1からの偏差Δeを算出する。
【0023】
偏差Δeはサンプリング手段としてのサンプラー11で所定のサンプリング周期Tごとに読み込まれ、この読み込まれた偏差Δeが補償手段としてのランプ関数発生器10へ入力される。
【0024】
このランプ関数発生器10は読み込まれた偏差Δeの大きさ及び周期Tに応じた補償値Δpを発生するもので、図4に示すように、時間T/2となる所定の時間までに補償値Δpを0から偏差Δe(または−Δe)まで増大あるいは減少させた後に、周期Tまでこの値(Δp=Δe)を保持するもので、補償値Δpは時間T/2まで緩やかに変化した後、周期Tが経過するまで偏差Δe(または−Δe)の一定値に保持される。
【0025】
ランプ関数発生器10で発生した補償値Δpは換算器9bで制御系に応じた、すなわち、比例電磁式リリーフ弁3及びシリンダ5の特性に応じた圧力の指令値に換算される。
【0026】
一方、コントローラ8に入力された指令値P1も同様にして換算器9aで圧力値に換算され、これら換算された指令値P1’と補償量ΔP′が加算器13で加算され、制御信号PCとして比例電磁式リリーフ弁3へ出力されるのである。
【0027】
以上のように構成された圧力制御装置においては、検出圧力PSが指令値P1からずれてサンプラー11で偏差Δeが読み込まれると、ランプ関数発生器10からの補償値Δpは時間T/2まで変化した後に一定値Δeに保持され、周期Tごとにサンプリングした偏差Δeに基づいて開ループ制御が行われる。
【0028】
補償値Δpは時間T/2まで緩やかに変化するため、比例電磁式リリーフ弁3やシリンダ5からなる制御系に非線形要素(比例電磁式リリーフ弁3の応答特性またはシリンダ5の摺動抵抗など)が含まれるような場合や、シリンダ5に予期しない外乱が加わった場合においても急激な制御信号PCの変動が抑制されるため、制御系のハンチングを防止して安定した制御を行うことができるとともに、圧力の制御精度は比例電磁式リリーフ弁3の応答特性に影響されることがなくなって、高精度の圧力制御を行うことができる。
【0029】
また、周期Tでサンプリングした偏差Δeに基づいて周期的な開ループ制御を行うため、前記従来例における閉ループ制御のように負荷条件の変動によるハンチングを防止して幅広い負荷条件に対応することができ、また、ランプ関数発生器10はT/2ごとに補償値Δpを一定値に保持するため、制御系の応答速度が低い場合にもハンチングの発生を防止して高精度の圧力制御を行うことができるのである。
【0030】
ここで、サンプリングの周期Tは負荷条件に応じて適宜設定されるもので、例えば、シリンダ5の応答特性が低い場合には周期Tを縮小する一方、同じく応答特性が高い場合には周期Tを増大させることで負荷条件に応じて安定した制御を行うことができるのである。
【0031】
図5は他の実施例を示し、前記第1の実施例におけるコントローラ8をマイクロコンピュータにより構成した場合の制御の一例を示すもので、その他の構成は前記第1実施例と同様である。
【0032】
図5のフローチャートは、カウンタtの所定時間Δtごとに実行されるもので、以下本図に基づいて詳述する。
【0033】
ステップS1では入力された指令値P1と圧力センサ7から読み込まれた検出圧力PSとから偏差Δeを算出し、ステップS2においてカウンタtの値が周期T以上であるかを判定し、カウンタtが周期T以上であればカウンタtをリセットして次の周期に入る(ステップS3)。
【0034】
ステップS4ではカウンタtと周期T/2とを比較して、カウンタtがT/2未満であればステップS5の処理へ進む一方、そうでなければステップS6の処理へ進む。
【0035】
ステップS5は前記第1実施例に示したランプ関数発生器10と同様に偏差Δeの大きさに応じたランプに基づいて補償値Δpを演算するもので、この補償値Δpは偏差Δeをパラメータとしたカウンタtの関数として予め定義され、カウンタtがT/2までの間は補償値Δpが偏差Δeまたは−Δeまで緩やかに変化する。
【0036】
一方、ステップS6ではカウンタtがT/2以上であれば補償値ΔpがステップS1で演算した偏差Δeとなり、これらステップS5、S6において前記第1実施例の図4と同様なランプ関数に基づいて補償値Δpを演算する。
【0037】
こうして換算された補償量ΔP′に換算された圧力の指令値P1’を加えたものを制御信号PCとして演算し(ステップS7)、ステップS8でこの制御信号PCに基づいて比例電磁式リリーフ弁3を駆動した後、ステップS9でカウンタtに所定時間Δtを加算して次の処理に備える。
【0038】
上記ステップS1〜S9を繰り返すことにより、前記第1実施例と同様にして周期Tごとにサンプリングした偏差Δeの大きさに応じたランプで補償値Δpを緩やかに変化させることで開ループ制御を行うことができ、過渡応答時や外乱を受けた場合等におけるハンチングを防止するとともに、高い応答特性を確保しながら高精度の制御が可能となるのである。
【0039】
図6はさらに他の実施例を示し、前記第1実施例における負荷6を射出成型機などに使用されるシリンダ60に置き換えるとともに、圧力センサ7をシリンダ60に配設して負荷に加わる圧力を直接検出するようにしたものであり、その他の構成は前記第1実施例と同様である。
【0040】
直接検出した負荷圧力に基づいて圧力の指令値を変更する閉ループ制御を行うため、シリンダ5の摺動抵抗や比例電磁式リリーフ弁3の制御特性に非線形要素が含まれる場合にも高精度かつ高応答特性の制御を行うことができるのである。
【0041】
なお、上記実施例において、電磁式制御弁として比例電磁式リリーフ弁3を開示したが、図示はしないが特開平2−72201号公報、特開平4−210180号公報または特開平5−141572号公報に開示されるような制御弁を採用することができ、この場合上記実施例に比して直線性に優れた圧力オーバーライド特性を備えるため、流量に影響を受けることなく指令値P1に比例した高精度の圧力制御を行うことが可能となるのであり、また、前記第1実施例における換算器9a、9bの設定値を変更することにより容易に制御系の変更、すなわち、比例電磁式リリーフ弁3やシリンダ5を他の要素に変更することができる。
【0042】
また、前記図4に示したランプ関数を一次関数として示したが、図示はしないが制御系の特性などに応じて適宜曲線などに置き換えることができ、同様にして補償値Δpの最大値も偏差Δeに制御系の応答特性に応じた所定の定数を乗じることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように第1の発明は、負荷を駆動する液圧装置と、液圧装置の負荷圧力PSを検出する圧力検出手段と、液圧装置への供給圧力を制御する電磁式制御弁と、前記圧力検出手段の検出値PSが圧力の指令値P1に一致するよう電磁式制御弁を帰還制御する手段とを備えた圧力制御装置において、前記指令値P1と検出値PSとの差から偏差を演算する偏差演算手段と、所定の周期で前記偏差をサンプリングするサンプリング手段と、前記サンプリングした偏差及び前記周期に応じて補償値を演算する補償手段と、前記補償手段の出力と前記指令値とを加算して前記電磁式制御弁に出力する加算手段とを備え、サンプリング周期ごとに演算された補償値で指令値を補正して開ループ制御を行うことが可能となり、偏差の大きさと周期に応じて補償値は急激な変動を抑制されるため、液圧装置が摺動抵抗などの非線形要素を備える場合にもハンチングを防止しながら高精度の圧力制御を行うことが可能となって、前記従来のように開ループから閉ループへ切り換えることがないために制御系の乱れを防止して円滑な制御特性を得ることができる。
また、前記補償手段が、前記偏差の大きさに応じたランプに基づいて補償値を発生し、指令値の急激な変動が抑制されて制御系のハンチングを防止しながら応答特性を確保することができ、安定した制御特性を得ることができる。
【0045】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記補償手段が、前記サンプリング周期に応じた所定時間まで偏差の大きさに応じたランプで補償値を発生した後、この補償値を前記周期まで保持し、制御信号は所定時間を経過すると一定値に保持されるため、応答速度が遅い制御系であってもハンチングを抑制しながら追従させることが可能となって高精度の圧力制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレーム対応図である。
【図2】本発明の実施例を示す液圧装置のブロック図である。
【図3】コントローラを示すブロック図である。
【図4】ランプ関数発生器の特性図である。
【図5】他の実施例を示す制御のフローチャートである。
【図6】他の実施例を示すブロック図である。
【図7】従来の例を示すブロック図である。
【図8】同じく制御特性を示すグラフである。
【符号の説明】
3 比例電磁式リリーフ弁
5 シリンダ
7 圧力センサ
8 コントローラ
10 ランプ関数発生器
11 サンプラー
12 減算器
13 加算器
51 圧力検出手段
52 電磁式制御弁
53 偏差演算手段
54 サンプリング手段
55 補償手段
56 加算手段
【産業上の利用分野】
本発明は、圧力の閉ループ又はフィードバックにより液圧アクチュエータの駆動を制御する液圧装置の圧力制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
摺動抵抗などの非線形要素を含む液圧アクチュエータや作動流体に高粘度性流体を利用する液圧装置において、高精度で圧力の制御を行うものとして特開平3−255205号公報が知られている。
【0003】
これについて説明すると、図7において、ポンプ1で発生した圧力が切換弁94で方向を選択された後にシリンダ5へ供給されて負荷6が駆動される液圧装置において、圧力センサ7の検出値と指令値P1の偏差に基づいて電磁式リリーフ弁93が駆動される。
【0004】
圧力センサ7の出力は特性変換器92及びPID補償器91へそれぞれ入力され、検出圧力が図8に示す斜線領域にあれば第1開閉器97a、97bを閉じて閉ループ制御を行う一方、そうでない場合には第2開閉器98a、98bを閉じて開ループ制御を行うものでる。
【0005】
偏差の大きさに応じて閉ループ制御と開ループ制御とを自動的に切り換えることにより、偏差が小さい場合にはPID補償器91によるオフセット(定常偏差)の補償を行う一方、偏差が大きくなると開ループ制御によって応答特性を向上させるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フィードバック制御時の補償量の大きさと極性は制御回路の定数に左右され、これら定数を大きくすれば応答特性及びオフセット(定常偏差)を改善することができるが、制御系に非線形要素(リリーフ弁の応答特性、アクチュエータの摺動抵抗など)が存在する場合には、制御系が補償量の大きさと極性の変化に追従できずに補償量の変化がさらに激しくなりハンチングあるいは発振を起こすことがあり、このようなハンチングを抑制するために制御定数を低減させねばならず応答特性及びオフセットの改善を充分に行えないことがある。
【0007】
また、上記電磁式リリーフ弁93の圧力特性は高圧域においては直線性を確保できるが、低圧域においては非線形となるため、上記従来のような圧力制御装置においては閉ループから開ループへ、あるいはその逆に制御を切り換える場合には、切り換え時の制御圧力の乱れを抑制するため、閉ループ制御における応答特性を上記のような理由から低く設定する必要がある。
【0008】
しかしながら、閉ループの応答特性を低く設定した場合には、閉ループ制御領域内で圧力が変動し、この変動周期が閉ループの応答周期を越えるような場合には制御圧力が安定するまでに時間を要して制御特性を劣化させることがあり、また、閉ループの制御ゲインを低く設定するとともに制御系がシリンダ5の摺動抵抗などに起因する非線形要素を備える場合、シリンダ5に加わる予想外の外乱による偏差が一定時間継続すると、積分補償量が急激に増減するため制御圧力が不安定となってハンチングが発生することがあるという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、予想外の外乱が加わった場合にもハンチングを抑制するとともに、応答特性及び精度の高い液圧装置の圧力制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図1に示すように、負荷を駆動する液圧装置と、液圧装置の負荷圧力PSを検出する圧力検出手段51と、液圧装置への供給圧力を制御する電磁式制御弁52と、前記圧力検出手段51の検出値PSが圧力の指令値P1と一致するよう電磁式制御弁52を帰還制御する手段とを備えた圧力制御装置において、前記指令値P1と検出値PSとの差から偏差を演算する偏差演算手段53と、所定の周期で前記偏差をサンプリングするサンプリング手段54と、前記サンプリングした偏差及び前記周期に応じて補償値を演算する補償手段55と、前記補償手段の出力と前記指令値とを加算して前記電磁式制御弁に出力する加算手段56とを備え、前記補償手段55が、前記偏差の大きさに応じたランプ関数に基づいて補償値を発生する。
【0012】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記補償手段が、前記サンプリングの周期に応じた所定時間まで偏差の大きさに応じたランプ関数で補償値を発生した後、この補償値を前記周期まで保持する。
【0014】
【作用】
したがって、第1の発明は、負荷圧力と指令値に基づいて偏差演算手段が演算した偏差の大きさとサンプリング周期に応じて補償手段は補償値を演算し、この補償値と指令値とを加算器で加算して電磁式制御弁に出力する。サンプリング周期ごとに演算された補償値で指令値を補正して開ループ制御を行うことが可能となり、急激な指令値の変動を抑制してハンチングを抑制しながら精度よく圧力制御を行うことができる。
また、前記補償手段が偏差の大きさに応じたランプ関数に基づく補償値を発生し、指令値の急激な変動を抑制して制御系のハンチングを抑制するとともに、精度よく圧力を制御することができる。
【0016】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記補償手段がサンプリングの周期に応じた所定時間まで偏差に応じたランプ関数に基づいて補償値を発生した後、この補償値を前記周期まで保持し、制御信号は所定時間を経過すると一定値に保持されるため、制御系の応答速度が遅い場合にもハンチングを抑制して高精度の圧力制御を行うことができる。
【0018】
【実施例】
図2〜図3に本発明の実施例を示す。
【0019】
図2において、ポンプ1で発生した液圧は切換弁4で方向を選択された後にシリンダ5に供給されて負荷6を駆動する。
【0020】
シリンダ5に加わる圧力はポンプ1からの作動流体の一部を電磁式制御弁としての比例電磁式リリーフ弁3を介してタンク2へ還流させることで調整され、圧力センサ7で検出したシリンダ5の負荷圧力PSに基づいて圧力制御装置としてのコントローラ8が比例電磁式リリーフ弁3を駆動して圧力の制御を行う。
【0021】
コントローラ8は入力された圧力の指令値P1に基づいて圧力センサ7の検出圧力PSが指令値P1となるような制御信号PCを比例電磁式リリーフ弁3に出力する。
【0022】
図3に示すように、コントローラ8に入力された指令値P1とフィードバックされた検出圧力PSから偏差演算手段としての加算器12は指令値P1からの偏差Δeを算出する。
【0023】
偏差Δeはサンプリング手段としてのサンプラー11で所定のサンプリング周期Tごとに読み込まれ、この読み込まれた偏差Δeが補償手段としてのランプ関数発生器10へ入力される。
【0024】
このランプ関数発生器10は読み込まれた偏差Δeの大きさ及び周期Tに応じた補償値Δpを発生するもので、図4に示すように、時間T/2となる所定の時間までに補償値Δpを0から偏差Δe(または−Δe)まで増大あるいは減少させた後に、周期Tまでこの値(Δp=Δe)を保持するもので、補償値Δpは時間T/2まで緩やかに変化した後、周期Tが経過するまで偏差Δe(または−Δe)の一定値に保持される。
【0025】
ランプ関数発生器10で発生した補償値Δpは換算器9bで制御系に応じた、すなわち、比例電磁式リリーフ弁3及びシリンダ5の特性に応じた圧力の指令値に換算される。
【0026】
一方、コントローラ8に入力された指令値P1も同様にして換算器9aで圧力値に換算され、これら換算された指令値P1’と補償量ΔP′が加算器13で加算され、制御信号PCとして比例電磁式リリーフ弁3へ出力されるのである。
【0027】
以上のように構成された圧力制御装置においては、検出圧力PSが指令値P1からずれてサンプラー11で偏差Δeが読み込まれると、ランプ関数発生器10からの補償値Δpは時間T/2まで変化した後に一定値Δeに保持され、周期Tごとにサンプリングした偏差Δeに基づいて開ループ制御が行われる。
【0028】
補償値Δpは時間T/2まで緩やかに変化するため、比例電磁式リリーフ弁3やシリンダ5からなる制御系に非線形要素(比例電磁式リリーフ弁3の応答特性またはシリンダ5の摺動抵抗など)が含まれるような場合や、シリンダ5に予期しない外乱が加わった場合においても急激な制御信号PCの変動が抑制されるため、制御系のハンチングを防止して安定した制御を行うことができるとともに、圧力の制御精度は比例電磁式リリーフ弁3の応答特性に影響されることがなくなって、高精度の圧力制御を行うことができる。
【0029】
また、周期Tでサンプリングした偏差Δeに基づいて周期的な開ループ制御を行うため、前記従来例における閉ループ制御のように負荷条件の変動によるハンチングを防止して幅広い負荷条件に対応することができ、また、ランプ関数発生器10はT/2ごとに補償値Δpを一定値に保持するため、制御系の応答速度が低い場合にもハンチングの発生を防止して高精度の圧力制御を行うことができるのである。
【0030】
ここで、サンプリングの周期Tは負荷条件に応じて適宜設定されるもので、例えば、シリンダ5の応答特性が低い場合には周期Tを縮小する一方、同じく応答特性が高い場合には周期Tを増大させることで負荷条件に応じて安定した制御を行うことができるのである。
【0031】
図5は他の実施例を示し、前記第1の実施例におけるコントローラ8をマイクロコンピュータにより構成した場合の制御の一例を示すもので、その他の構成は前記第1実施例と同様である。
【0032】
図5のフローチャートは、カウンタtの所定時間Δtごとに実行されるもので、以下本図に基づいて詳述する。
【0033】
ステップS1では入力された指令値P1と圧力センサ7から読み込まれた検出圧力PSとから偏差Δeを算出し、ステップS2においてカウンタtの値が周期T以上であるかを判定し、カウンタtが周期T以上であればカウンタtをリセットして次の周期に入る(ステップS3)。
【0034】
ステップS4ではカウンタtと周期T/2とを比較して、カウンタtがT/2未満であればステップS5の処理へ進む一方、そうでなければステップS6の処理へ進む。
【0035】
ステップS5は前記第1実施例に示したランプ関数発生器10と同様に偏差Δeの大きさに応じたランプに基づいて補償値Δpを演算するもので、この補償値Δpは偏差Δeをパラメータとしたカウンタtの関数として予め定義され、カウンタtがT/2までの間は補償値Δpが偏差Δeまたは−Δeまで緩やかに変化する。
【0036】
一方、ステップS6ではカウンタtがT/2以上であれば補償値ΔpがステップS1で演算した偏差Δeとなり、これらステップS5、S6において前記第1実施例の図4と同様なランプ関数に基づいて補償値Δpを演算する。
【0037】
こうして換算された補償量ΔP′に換算された圧力の指令値P1’を加えたものを制御信号PCとして演算し(ステップS7)、ステップS8でこの制御信号PCに基づいて比例電磁式リリーフ弁3を駆動した後、ステップS9でカウンタtに所定時間Δtを加算して次の処理に備える。
【0038】
上記ステップS1〜S9を繰り返すことにより、前記第1実施例と同様にして周期Tごとにサンプリングした偏差Δeの大きさに応じたランプで補償値Δpを緩やかに変化させることで開ループ制御を行うことができ、過渡応答時や外乱を受けた場合等におけるハンチングを防止するとともに、高い応答特性を確保しながら高精度の制御が可能となるのである。
【0039】
図6はさらに他の実施例を示し、前記第1実施例における負荷6を射出成型機などに使用されるシリンダ60に置き換えるとともに、圧力センサ7をシリンダ60に配設して負荷に加わる圧力を直接検出するようにしたものであり、その他の構成は前記第1実施例と同様である。
【0040】
直接検出した負荷圧力に基づいて圧力の指令値を変更する閉ループ制御を行うため、シリンダ5の摺動抵抗や比例電磁式リリーフ弁3の制御特性に非線形要素が含まれる場合にも高精度かつ高応答特性の制御を行うことができるのである。
【0041】
なお、上記実施例において、電磁式制御弁として比例電磁式リリーフ弁3を開示したが、図示はしないが特開平2−72201号公報、特開平4−210180号公報または特開平5−141572号公報に開示されるような制御弁を採用することができ、この場合上記実施例に比して直線性に優れた圧力オーバーライド特性を備えるため、流量に影響を受けることなく指令値P1に比例した高精度の圧力制御を行うことが可能となるのであり、また、前記第1実施例における換算器9a、9bの設定値を変更することにより容易に制御系の変更、すなわち、比例電磁式リリーフ弁3やシリンダ5を他の要素に変更することができる。
【0042】
また、前記図4に示したランプ関数を一次関数として示したが、図示はしないが制御系の特性などに応じて適宜曲線などに置き換えることができ、同様にして補償値Δpの最大値も偏差Δeに制御系の応答特性に応じた所定の定数を乗じることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように第1の発明は、負荷を駆動する液圧装置と、液圧装置の負荷圧力PSを検出する圧力検出手段と、液圧装置への供給圧力を制御する電磁式制御弁と、前記圧力検出手段の検出値PSが圧力の指令値P1に一致するよう電磁式制御弁を帰還制御する手段とを備えた圧力制御装置において、前記指令値P1と検出値PSとの差から偏差を演算する偏差演算手段と、所定の周期で前記偏差をサンプリングするサンプリング手段と、前記サンプリングした偏差及び前記周期に応じて補償値を演算する補償手段と、前記補償手段の出力と前記指令値とを加算して前記電磁式制御弁に出力する加算手段とを備え、サンプリング周期ごとに演算された補償値で指令値を補正して開ループ制御を行うことが可能となり、偏差の大きさと周期に応じて補償値は急激な変動を抑制されるため、液圧装置が摺動抵抗などの非線形要素を備える場合にもハンチングを防止しながら高精度の圧力制御を行うことが可能となって、前記従来のように開ループから閉ループへ切り換えることがないために制御系の乱れを防止して円滑な制御特性を得ることができる。
また、前記補償手段が、前記偏差の大きさに応じたランプに基づいて補償値を発生し、指令値の急激な変動が抑制されて制御系のハンチングを防止しながら応答特性を確保することができ、安定した制御特性を得ることができる。
【0045】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記補償手段が、前記サンプリング周期に応じた所定時間まで偏差の大きさに応じたランプで補償値を発生した後、この補償値を前記周期まで保持し、制御信号は所定時間を経過すると一定値に保持されるため、応答速度が遅い制御系であってもハンチングを抑制しながら追従させることが可能となって高精度の圧力制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレーム対応図である。
【図2】本発明の実施例を示す液圧装置のブロック図である。
【図3】コントローラを示すブロック図である。
【図4】ランプ関数発生器の特性図である。
【図5】他の実施例を示す制御のフローチャートである。
【図6】他の実施例を示すブロック図である。
【図7】従来の例を示すブロック図である。
【図8】同じく制御特性を示すグラフである。
【符号の説明】
3 比例電磁式リリーフ弁
5 シリンダ
7 圧力センサ
8 コントローラ
10 ランプ関数発生器
11 サンプラー
12 減算器
13 加算器
51 圧力検出手段
52 電磁式制御弁
53 偏差演算手段
54 サンプリング手段
55 補償手段
56 加算手段
Claims (2)
- 負荷を駆動する液圧装置と、液圧装置の負荷圧力を検出する圧力検出手段と、液圧装置への供給圧力を制御する電磁式制御弁と、前記圧力検出手段の検出値が圧力の指令値に一致するよう電磁式制御弁を帰還制御する手段とを備えた圧力制御装置において、
前記指令値と検出値との差から偏差を演算する偏差演算手段と、
所定の周期で前記偏差をサンプリングするサンプリング手段と、
前記サンプリングした偏差及び周期に応じて補償値を演算する補償手段と、
前記補償手段の出力と前記指令値とを加算して前記電磁式制御弁に出力する加算手段とを備え、
前記補償手段が、前記偏差の大きさに応じたランプ関数に基づいて補償値を発生することを特徴とする液圧装置の圧力制御装置。 - 前記補償手段が、前記サンプリングの周期に応じた所定時間まで偏差の大きさに応じたランプ関数で補償値を発生した後、この補償値を前記周期まで保持することを特徴とする請求項1に記載の液圧装置の圧力制御装置。
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JP08170894A JP3606599B2 (ja) | 1994-04-20 | 1994-04-20 | 液圧装置の圧力制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP08170894A JP3606599B2 (ja) | 1994-04-20 | 1994-04-20 | 液圧装置の圧力制御装置 |
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JPH07293506A JPH07293506A (ja) | 1995-11-07 |
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ID=13753893
Family Applications (1)
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JP (1) | JP3606599B2 (ja) |
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-
1994
- 1994-04-20 JP JP08170894A patent/JP3606599B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH07293506A (ja) | 1995-11-07 |
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