JP3606158B2 - 画質評価装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビ放送受信機能や映像再生機能を持った供試機器に妨害が加わった時の画像障害等の妨害現象を判断する画質評価装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テレビ受信機などのビデオ信号を扱う機器のイミュニティ試験の国際規格として国際無線障害特別委員会が定めたCISPR20があり、具体的な規制例として欧州規格標準化委員会が定めたEN55020がある。他国でも良く似た規格が制定されている。これらの規格は、供試機器の外部より受信放送局以外の放送電波や妨害電波、強電界、妨害電圧、妨害電流を加わえても供試機器のビデオ信号が妨害を受けにくく、テレビ画面には正常な画面が映ることを目的にしている。この評価に影響を与える要因は数多くあり、室内照明やテレビ画面の解像度、大きさ、明るさ等の他に測定距離も規定され、目視による検査法で定義されている。この目視による画質評価は、予想もしていないようなさまざまな画像障害を確認することが出来るという特徴がある。
【0003】
ところで一般的に妨害を加えていない場合の画質評価の方法がある。供試機器に均一なあるビデオ信号を入力して、そのテレビ画像になる部分の映像のみを取り出してビデオS/Nを測定し、そのS/N値の大きさで画質評価を下す方法である。映像部ノイズは最終的にはビデオルミナンスノイズと、クロミナンスノイズのAMノイズやPMノイズの三つの要素に分解される。したがって画質評価はその三種類のビデオS/Nを測定すれば出来るという考えである。例えば図8に従来のビデオS/N測定に用いるビデオ信号図を示す。ビデオルミナンスノイズのS/Nを測定する場合は、供試機器に図8(a)の白信号を入力して映像部の白レベルに乗るノイズを分離増幅し、その実効電圧を測定して入力の白レベルに対するノイズの電圧比という形でS/Nを求める。クロミナンスノイズのAMノイズやPMノイズのS/Nを測定する場合は、供試機器に図8(b)の一色カラー信号を入力し、入力のクロミナンス信号に計測器の内部発振器を位相ロックさせ、AMノイズの場合は振幅ノイズ成分、PMノイズの場合は位相変動ノイズ成分を分離増幅し、その実効電圧を測定して入力のクロミナンス信号に対する電圧比という形でS/Nを求める。このように一般に機器を評価する時に、三つの要素のノイズ分析をして弱いところを調べて画質向上を図る手法がある。
【0004】
また近年ビデオ信号がデジタル化され、圧縮伸張された符号化処理画像の画質評価装置の技術が知られるようになった。これは圧縮伸張処理前後の同一画素間の情報の変質比較を行なう。例えば特開平8−195888号公報に見られるように、原画像と符号化処理画像を符号化処理時と同じ複数のブロックに分割して個々のブロック毎に劣化画質の変化量を算出する方法がある。また例えば、特開平2−89260公報に見られるように、デジタルビデオ磁気テープ記録再生機で再生された信号とデジタルビデオ原信号間のエラー検出とその解析による評価方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のテレビ画面の目視による画質評価は、検査する人の主観評価が入り結果が左右されるという問題点を有していた。例えばテレビ画面に映し出された鮮やかなカラーバーが、妨害の影響を受けているかどうかを評価する場合をあげる。ほとんどの人が画面を見て問題が無いと思っても、注視を続けると薄墨の透明な膜がカラーバーの表面に部分的に漂っているのが見えたりする。画面上で幾本かの縦あるいは斜めの直線が大きな時間周期で平行に左右に速度を変えて移動し、静止状態に近付いて初めて直線ノイズの存在に気づいたりする場合がある。カラーバー自体の縦縞画面に妨害ノイズが隠れて見落としが発生する場合もある。あるいは妨害でない固有のノイズが妨害ノイズとテレビ画面に並存する場合は、その見える固有ノイズに邪魔されて妨害の強さを弱めて妨害ノイズが消える条件を求める際に、誤判断をしてしまうこともある。このような諸問題があるために、誤判断を少なくするための方法として、結果的に室内照明を暗くするなどの環境設定を逸脱する補助手段をとる方法も併用していた。この方法でも肉体的疲労を考える必要もあり、測定精度を上げるには短時間で測定を済ますことは出来ない。
【0006】
またビデオS/N値の大きさで画質評価を下す方法は、前述したように基準にするビデオ信号の入力電圧に対するビデオルミナンスノイズの電圧比や、クロミナンスノイズのAMノイズ電圧比やPMノイズ電圧比で表される。これは一般の画質評価をするにはそれで十分であるが、供試機器に妨害を加えた場合にテレビ画面によく現れる線状の妨害ノイズが見えても、強く現れる周波数を分離して測定することはしない。各ノイズの時間領域の実効電圧を、その中にどのような周波数成分が混ざっても一緒に測定をするのみである。したがってビデオS/N値の大きさで画質評価を下す方法は、目視で確認できる線状妨害ノイズとの相関が取り難い。
【0007】
さらに近年のデジタル技術の応用としての画質評価は、テレビ放送受信機能や映像再生機能を持った供試機器に何らかの原因で妨害が加わり画像障害等を引き起こすと、同一画素間の情報の変質量が増えると推定される。しかしこの応用は、目視のような広い画面上に連続して現れる線状あるいはかすみ状の妨害を見て画質評価をするものではないので、やはり目視の結果と相関が取り難い。
【0008】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、目視と相関性が高く何時でも誰が測定をしても同じ結果を導く画質評価装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の画質評価装置は、テレビ画面で画質評価を行なう装置であって、ビデオ信号を入力し画質評価部分に任意の位置と大きさの選別ゲートを設定して任意の映像部ノイズを出力しさらに選別ゲートから外れる映像部と同期信号部を零出力とする映像部選別手段と、映像部選別手段の出力を入力として分析周波数幅とその解像度に応じて水平走査線を順次に分割して時系列に分析する周波数分析手段と、ビデオ信号を入力し同期信号を検出し周波数分析手段に出力する同期検出手段と、周波数分析手段が複数画面を測定してその内の基準画面の周波数分析結果を水平走査線分割と同順に記録する周波数分析手段の出力にある第一の記録手段と、比較したい毎回の画面の周波数分析結果を水平走査線分割と同順に記録する周波数分析手段の出力にある第二の記録手段と、第一の記録手段と第二の記録手段の出力にあり第一の記録手段の水平走査線と第二の記録手段の水平走査線の相対位置を同期させて特定区間を選びその特定区間内において第一の記録手段と第二の記録手段間の同一各周波数ポイントでの差のスペクトラムの第一演算をしかつ時間方向平均のスペクトラムの第二演算をする比較演算手段と、比較演算手段の出力を入力として調査する周波数全域の平均値を求めてこれを基準に比較演算手段の出力の各周波数ポイントにおける偏り値の自乗和を求める自乗演算手段と、自乗演算手段の出力を入力として供試機器の外部より妨害を加えられない画面のみの測定を所定回数繰り返した自乗演算手段の出力の取り得る分布上限値を定めるかあるいは外部より任意の値に設定可能な機能を持つ判定値設定手段と、周波数分析手段が複数画面を測定する場合にその内の基準画面を前記供試機器の外部より妨害の加えられない画面とし、比較したい毎回の画面を供試機器の外部より妨害を加えられた画面とし同様に測定して得られた自乗演算手段の出力と判定値設定手段の出力とを入力して妨害の影響を判定する画質判定手段と、画質判定手段の出力を入力して自乗演算手段の出力が判定値設定手段の出力より大きいならば一定条件の下でその差の量に応じて供試機器の外部から加える妨害の強さを変更し自乗演算手段の出力が判定値設定手段の出力と同等もしくはそれ以下になったと判定される時には供試機器の外部から加える次の新しい妨害周波数を含む妨害条件に切り替え設定するプログラム機能を併せ持つ妨害設定手段とを備えた構成を有している。
【0010】
この構成によって、目視と相関性が高く何時でも誰が測定をしても同じ結果を導く画質評価装置が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、テレビ画面で画質評価を行なう装置であって、ビデオ信号が外部より妨害を加えられる映像を扱う供試機器の出力でありビデオ信号を入力し画質評価部分に任意の位置と大きさの選別ゲートを設定して任意の映像部ノイズを出力しさらに選別ゲートから外れる映像部と同期信号部を零出力とする映像部選別手段と、映像部選別手段の出力を入力として分析周波数幅とその解像度に応じて水平走査線を順次に分割して時系列に分析する周波数分析手段と、ビデオ信号を入力し同期信号を検出し周波数分析手段に出力する同期検出手段と、周波数分析手段が複数画面を測定してその内の基準画面の周波数分析結果を水平走査線分割と同順に記録する周波数分析手段の出力にある第一の記録手段と、比較したい毎回の画面の周波数分析結果を水平走査線分割と同順に記録する周波数分析手段の出力にある第二の記録手段と、第一の記録手段と第二の記録手段の出力に有り第一の記録手段の水平走査線と第二の記録手段の水平走査線の相対位置を同期させて特定区間を選びその特定区間内において第一の記録手段と第二の記録手段間の同一各周波数ポイントでの差のスペクトラムの第一演算をしかつ時間方向平均のスペクトラムの第二演算をする比較演算手段と、比較演算手段の出力を入力として調査する周波数全域の平均値を求めてこれを基準に比較演算手段の出力の各周波数ポイントにおける偏り値の自乗和を求める自乗演算手段と、さらに自乗演算手段の出力を入力として供試機器の外部より妨害を加えられない画面のみの測定を所定回数繰り返した自乗演算手段の出力の取り得る分布上限値を定めるかあるいは外部より任意の値に設定可能な機能を持つ判定値設定手段と、周波数分析手段が複数画面を測定する場合にその内の基準画面を供試機器の外部より妨害の加えられない画面とし、比較したい毎回の画面を供試機器の外部より妨害を加えられた画面とし同様に測定して得られた自乗演算手段の出力と判定値設定手段の出力とを入力して妨害の影響を判定する画質判定手段と、さらにまた画質判定手段の出力を入力して自乗演算手段の出力が判定値設定手段の出力より大きいならば一定条件の下でその差の量に応じて供試機器の外部から加える妨害の強さを変更し自乗演算手段の出力が判定値設定手段の出力と同等もしくはそれ以下になったと判定される時には供試機器の外部から加える次の新しい妨害周波数を含む妨害条件に切り替え設定するプログラム機能を併せ持つ妨害設定手段とを備えたことを特徴としたものであり、テレビ画面の水平走査線を順次に周波数分析をして、妨害有無の両画面間の水平走査線のスペクトラム変化を求め、調査する周波数全域の平均値からの各周波数ポイントでの偏り値の自乗和で一個の定量的な数値に変換することにより、その数値の大きさで画像障害の相対画質評価を行なうことができ、さらに供試機器に外部より妨害を加えられない画面のみの画質判定の実測を繰り返して分布上限値を定めあるいは外部より任意値を設定することで妨害を加えた時の相対画質評価を容易にし、さらにまた妨害による画質判定結果を妨害を加えていない画質相当レベルにすることにより供試機器の画像障害の生じ易い程度を表す自乗和の判定数値を、外部より加える画像障害を引き起こさない最大許容妨害レベルの普遍的な評価数値に置き換えるという作用と、この測定が終了すると次の新しい妨害周波数を含む妨害条件に切り替え、測定が容易に簡単に進めることができるという作用を有する。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図7を用いて説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における画質評価装置の構成を示すブロック図である。図1において、100は外部より妨害を加えられる供試機器である。101は供試機器100内臓のビデオ信号発生部でありビデオ信号を出力する。102は映像部選別手段でありビデオ信号を入力し、映像部ノイズを出力する。103は周波数分析手段で、映像部選別手段102の出力を入力とし、第一の記録手段104と第二の記録手段105に出力する。107は同期検出手段であり、ビデオ信号を入力して周波数分析手段103に奇数あるいは偶数フィールドの垂直同期信号を出力する。106は比較演算手段であり、第一の記録手段104と第二の記録手段105の出力を入力する。110は自乗演算手段であり、比較演算手段106の出力を入力とする。自乗演算手段110は切り替え二出力を持つ。供試機器100に外部から妨害が加えられていない状態での複数の画面間の相対画質評価の値の分布上限値を測定する場合は、判定値設定手段111に出力する。供試機器に外部から妨害が加えられていない場合と加えられた場合の相対画質評価の値を測定する場合は、画質判定手段112に出力される。判定値設定手段111は分布上限値を定めるかあるいは外部より任意値を設定して画質判定手段112に出力し、画質判定手段112はその判定値設定手段111からの値を判定レベルとして自乗演算手段110からの入力を判定する。画質判定手段112の出力に妨害設定手段113の入力が接続され、一定条件の下でその値に応じて妨害設定手段113の出力は供試機器100の外部から加える妨害条件の設定をする。以上のように構成された画質評価装置について以下に詳細に述べる。
【0016】
映像部選別手段102は、テレビ画面の画質評価部分に任意の位置と大きさの選別ゲートを設定して、任意の映像部ノイズを出力し、さらに選別ゲートから外れる映像部と同期信号部を零出力にする。ところで映像部選別手段102の映像部ノイズには、ビデオルミナンスノイズと、クロミナンスノイズのAMノイズやPMノイズが選べる。映像部選別手段102の入力信号には、一般の画質評価において前述したように、ビデオルミナンスノイズの場合は図8(a)に示す白信号を入力し、またクロミナンスノイズのAMノイズやPMノイズの場合は、図8(b)に示す一色カラー信号を入力信号に用いる。三つの要素のノイズを確認するために図8(a)と(b)の二つの入力信号が必要になる。しかし実際には上記のような3つのノイズ要素を調査することは、煩雑でその分時間がかかるので避けたい。したがって個別に分離して確認する必要はないので、可能な限りクロミナンスノイズだけの測定を避け、ビデオルミナンスノイズと一緒に測定することで画質評価にかかる時間を削減し、高速化を図りたい。そこでここに工夫を入れる。すなわちビデオ信号の入力に、図8(b)に示す一色カラー信号を用い、そのビデオルミナンスノイズを確認するようにする。以下PAL方式と略称するが、PALカラーテレビ方式を用いて説明する。例えば映像部選別手段102には4.43MHzで0.7Vp−pの電圧が0.35Vp−pの電圧の白信号に重畳されて入力される。この出力をビデオルミナンスノイズ設定にすると、何も妨害を受けていない場合は4.43MHzの周波数波形を出力するだけであるが、クロミナンスノイズがあればその一部要素がビデオルミナンスノイズとして混ざり込む。もちろん本来のビデオルミナンスノイズの周波数成分も出力される。したがって映像部選別手段102に図8(b)に示す一色カラー信号を入力に用い、この出力には任意の映像部ノイズを選べるが差し支えない限りビデオルミナンスノイズに設定する。また補足的にクロミナンスノイズを測定する必要を感じれば、その時は入力に容易に同一の一色カラー信号を用い、出力をクロミナンスノイズ設定に切換えて個別にクロミナンスノイズを測定することが出来る。こうすることで少なくとも入力信号の切換えの手間が省略でき、また測定の簡素化も図れる効果をもたらす。
【0017】
図2は本発明の実施の形態1における映像部選別手段102の入出力の関係図である。図2(a)は水平走査線単位の図8(b)と同じ一色カラー信号の入力信号を表す。以下PAL方式と略称するが、PALカラーテレビ方式を用いて説明する。水平ブランキング201の期間は11.8μs〜12.3μsで、202はテレビ画像になる部分の映像部であり、この両者を加えたものが周期64μsの水平走査線を構成する。映像部選別手段102は図2(b)に示すように、選別ゲートが設定されたテレビ画像になる部分の映像部202の一部を切り出してその部分を増幅して選別映像部ノイズ204を出力し、水平ブランキング201の期間を含む選別外の映像部205は零出力にする。この様にして、映像部選別手段102は、テレビ画面に現れるノイズ周波数を検出するのに邪魔になる水平ブランキング201および垂直同期信号等の高い周波数成分を削除する。次段の周波数分析手段103は、フーリエ変換を用いることを特徴とした計測器であり、選別映像部ノイズ204と零出力の選別外の映像部205との複合選別信号210の周波数分析をする。
【0018】
図3は本発明の実施の形態1における周波数分析手段103の読込タイミングと出力データの関係図である。周波数分析手段103は複合選別信号210を読み込み分析を続けるのであるが、実際にはどのように水平走査線302を分割して、どのように時間的にずらして読み込み分析を繰返すかを、図3(a)のテレビ画面301を使ってその横に区切り線を並べて表す。区切り線で示す303が水平走査線302の分割本数を表す。左のテレビ画面301上の分割本数303の幅の水平走査線302を読込む。304が水平走査線302の読込ずれ本数である。左のテレビ画面301上の読込ずれ本数304の幅だけずらして、次の連続した分割本数303幅の水平走査線302を読込む。先の分割本数303と次の分割本数303の重なっている部分は、同じ水平走査線302のデータを多重使用し、オーバーラップさせる。図3(b)は、周波数分析手段103が読み込み分析を繰返した結果のデータシートを重ねて表した。最初に測定のデータシートを一番下に敷き、その次のデータシートをその上に積み上げて、測定回数の増加に伴い空間的にデータシートをずらして示した。
【0019】
ここで横軸が周波数、縦軸がスペクトラムレベルの図3(b)のデータシートを透明なものとして上下、斜めに重ねて時間経過が分かるようにしたものを一般にウォータ・フォール表示と呼ぶ。このような3次元表示として他に、横軸が周波数、縦軸が時間経過で、色あるいは白黒濃淡でスペクトラムレベルの強さを表すスペクトログラム表示もある。勿論時刻を特定すれば、ウォータ・フォール表示でもスペクトログラム表示でも、その時刻の横軸が周波数、縦軸がスペクトラムレベルの周波数分析データが得られる。フーリエ変換アルゴリズムを用いて周波数分析をするFFTアナライザで、上記のウォータ・フォール表示と、スペクトログラム表示することが出来るようにした計測器がある。例えばソニー・テクトロニクス社の3056型リアルタイム・スペクトラム・アナライザがある。このような表示を使うと、テレビ画面301の水平走査線上に現れるノイズの時々刻々変化する様子の観察が容易になる。複合選別信号210をこの計測器に入力し、その周波数分析データの処理方法を考えることで最適な画質評価をすることが出来る。例えばPAL方式では625本の水平走査線302で1フレームの絵を作る。1秒間に25フレームの絵が切り替わるが、1フレームは奇数と偶数の2フィールドで構成されている。すなわち625本の半分の水平走査線302で粗く2回テレビ画面301を掃引する。これらのフィールドが交互に切り替わる間に、垂直同期信号部が水平走査線302の約25本分の長さで存在して、走査中の水平走査線302がテレビ画面301を下から上に移動する。この間はテレビの通常の映像信号は無い。したがって図3(b)のデータシートの枚数は、垂直同期信号部も含めて1フィールドでは次式で表せる。
【0020】
625/{2×(水平走査線の読込ずれ本数304の数値)}
すなわち1フィールドでは上記枚数のデータシートで構成され、周波数分析手段103が水平走査線302の読み込み分析を上記と同一の回数分繰返す。
【0021】
さらに、このFFTアナライザの基本動作の理解を深めるために使用例を示す。この計測器は、サンプリング周波数が25.6MHzで、時間領域を1,024ポイント、12ビット分解能でデータを読込む。高速フーリエ変換の演算を毎秒12,500回行なって、分析周波数幅が0.2MHzスパンの場合は641ポイントの周波数分析データ、分析周波数幅が5MHzスパンの場合は801ポイントの周波数分析データを得る。分析周波数幅が0.2MHzスパンの場合は、PAL方式水平走査線の分割本数303は50本で、水平走査線の読込ずれ本数304を3.125本にすると、テレビ1フィールド分の長さでは、100回のデータ読み込み分析の繰返しとなり、100回分のデータが得られる。この場合先述の分析時の水平走査線302のオーバーラップ量は、93.75%になる。分析周波数幅が5MHzスパンの場合は、水平走査線の分割本数303は2.5本、水平走査線の読込ずれ本数304を2.5本にすると、テレビ1フィールド分の長さでは、125回のデータ読み込み分析の繰返しとなり、125回分のデータが得られる。この場合の分析する水平走査線302のオーバーラップ量は、丁度0%になるが、水平走査線302を途中で省かずに全部を連続して周波数分析する。このように複合選別信号210の周波数スペクトラムの変化の観測を通して、数フィールドに渡り時々刻々に変化するテレビ画面301に現れるノイズ観察が、容易になる。なお実際に用いる計測器では0周波数のデータは、レベルが時間的に変動する問題があるので省く必要がある。
【0022】
ここで目視でテレビ画面301に感じる妨害ノイズと、周波数分析手段103の測定結果との関連を簡単に述べる。極端な例としてテレビ画面に1本の縦線妨害ノイズが映る場合を考えると、原理上は水平走査線302と同じ周期あるいは同じ周波数のスペクトラムが映像信号にノイズとして乗れば見える。2本の縦線妨害ノイズでは水平走査線302の2分の1の周期あるいは2倍の周波数のスペクトラムが映像信号にノイズとして乗れば見える。もし周波数分析結果が水平走査線302の周波数の整数倍でなく端数を示せば、複数の水平走査線302間に妨害ノイズが分布することを意味し、この場合は結果的に常に水平位置が定まらず動き回るので、テレビ画面301全体で見れば斜め平行線が右に左に揺れ動くように感じることになる。実際にはテレビ画面301上で妨害ノイズの見える本数は30本から200本近く様々で、さらに見える線1本1本が細かく震えるなどの変化を示す。したがって検出された周波数と水平走査線302の周波数の比率が目視でテレビ画面301に感じる妨害ノイズと関係が深いことが理解される。
【0023】
図4は本発明の実施の形態1における応用データ取得図である。2種類のスペクトログラム表示データと、それから求められる平均された差のスペクトラムの関係を示す。図4(a)は供試機器100に外部から妨害が加わっていない時の第一の記録手段104のスペクトログラム表示データで、図4(b)は供試機器100に外部から何らかの妨害が加わった時の第二の記録手段105のスペクトログラム表示データで、それぞれ同じ奇数フィールド垂直同期信号で同期をかけて3フィールド分の長さで求めた。このようにすると、複数のテレビ画面301の水平走査線の相対位置を合わせて周波数分析をすることができる。このために後の比較演算手段106においては、二画面の相対位置合わせをした演算が容易に出来るようになる。401は選別ゲート外映像部と垂直同期信号部のスペクトログラムである。図3(a)で言えば、テレビ画面301上で選別ゲート305から上下に外れた水平走査線302と垂直同期信号部が主体の周波数分析手段103の出力である。この部分は零出力にしているために、周波数分析結果のスペクトラムレベルは低い。また402と412は奇数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラムで、403と413は偶数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラムで、第一の記録手段104も第二の記録手段105も同順に記録される。いずれも図3(a)で言えば、テレビ画面301上の選別ゲート305で囲まれた部分である。PAL方式では選別ゲート外映像部と垂直同期信号部のスペクトログラム401を挟み、奇数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム402あるいは412と、偶数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム403あるいは413が交互に現れる。垂直同期信号部を含めた各フィールドの幅は、先に述べた説明から0.2MHzスパンの分析周波数幅では100本のデータ、5MHzスパンの場合は125本のデータからなる。もし図3(a)のテレビ画面301上の選別ゲート305がその上下幅を狭めるならば、水平走査線302の総本数は変わらないので図4(a)、(b)の図中の1フィールドの幅は変わらないが、奇数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム402あるいは412、偶数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム403あるいは413の各帯の幅は狭くなり、選別ゲート外映像部と垂直同期信号部のスペクトログラム401の幅はその分だけ広くなる。図4(b)は、周波数Fnにおいて時間経過とともに妨害により発生するノイズ周波数が、細かく振動するように鋸歯状にピークが変動する例を示す。また図4(a)、図4(b)では、この供試機器100に外部より加わる妨害の有り無しに関わらず、周波数Faにおいて供試機器固有の単一ピークのノイズがある例を示した。この件は後述する。選別ゲート外映像部と垂直同期信号部のスペクトログラム401のレベルは、前述したように零出力で−90dBm近辺を示し、また奇数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム402あるいは412、偶数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム403あるいは413の特にノイズの少ない部分は−80dBm近辺の値を取る。これらのレベルは映像部選別手段102に内蔵のノイズ出力の増幅率や、周波数分析手段103の分析周波数幅とその解像度等の測定する条件によって指示値が変わる。
【0024】
スペクトログラム表示の同一の測定条件内でも、時間方向に隣接して並んだ一刻一刻の周波数分析データ間で比較すると、同一周波数においてはスペクトラムレベルは常に細かく上下している。各フィールドの選別ゲート内映像部のスペクトログラムのノイズ特性をつかむためには、同一フィールド内で周波数分析データが安定するように時間方向平均することが望ましい。
【0025】
図5に本発明の実施の形態1における1フィールド分のスペクトログラム表示データの時間軸拡大図を示す。この拡大表示で、毎回測定したデータを1本1本識別する。例えば1フィールドが125本のデータで構成された場合を考える。1番目のデータ501が選別ゲート外映像部と垂直同期信号部のスペクトログラム401の始点で、29番目のデータ529が選別ゲート外映像部と垂直同期信号部のスペクトログラム401の終点、30番目のデータ530が奇数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム402の始点、125番目のデータ625で奇数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム402の終点を表す。各データと、周波数分析手段103の入力タイミングを図3(a)を併用して述べる。最初の1番目のデータ501の読み込みがテレビ画面301の選別ゲート305を下に外れた最初の水平走査線302から始まったとする。それから順に、垂直同期信号部の読み込みを経て、テレビ画面301の上部の水平走査線302の読み込みに移り、次に選別ゲート305内の水平走査線302の読み込みに進む。30番目のデータ530の読み込みの途中で、選別ゲート305の外から内へ水平走査線302の読み込みが切り替わったとする。これまで映像部選別手段102の働きで周波数分析手段103には連続した零入力があったが、突然に選別ゲート305で切り取った図2(b)に示すような選別映像部ノイズ204が混じり始める。この場合は図2(b)に示したような選別映像部ノイズ204と、零出力の選別外の映像部205が全体に規則正しく交じり合って連続した複合選別信号210とは異なる。選別ゲート305の切り替わりによる選別映像部ノイズ204の変動のために周波数分析手段103の出力には過渡的な別の周波数成分が混じる。このように水平走査線の分割本数303内に選別ゲート305の切り替わりの不規則が生じると、選別ゲート内映像部のノイズ周波数を正確に表せなくなる。これが選別ゲート305の上下両端で発生する端効果である。したがって、その部分を外して全体に規則正しく交じり合って連続した複合選別信号210のスペクトログラム部分の時間方向平均をする必要がある。この場合、30番目のデータ530と125番目のデータ625の近辺も端効果が現れる。また水平走査線302のオーバーラップ量でも変わるので、切り替わりの境界が明確に分けられないこともある。したがって、図5におけるデータが安定する特定区間を選び、その特定区間内において時間方向平均区間555を、40番目のデータ540から120番目のデータ620に選ぶと、奇数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム402のより正しい時間方向平均スペクトラムが得られる。このようにして他のフィールドにおいても時間方向平均スペクトラムを求めることが出来る。この場合偶数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム403の時間方向平均区間は隣接するフィールドであるので、125の数値を加えて、165番目から245番目のデータ間を選べば良い。
【0026】
図4(c)は、図4(a)と図4(b)の水平走査線の位置を同期させて、奇数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム402と同じ奇数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム412の特定区間内における差のスペクトラムの第一演算をし、かつ時間方向平均のスペクトラムの第二演算をした平均された差のスペクトラムを表す。これは差のスペクトラムの第一演算と時間方向平均のスペクトラムの第二演算の、演算する手順を変えても同じ結果が得られる。例えば先にスペクトラムを時間方向平均する場合、図4(a)の奇数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム402と、図4(b)の奇数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム412のそれぞれのスペクトログラムで、40番目のデータ540から120番目のデータ620までの時間方向平均スペクトラムを求め、図4(b)の時間方向平均スペクトラムから図4(a)の時間方向平均スペクトラムを引いたものが、図4(c)で示す演算手順変更前と同一の平均された差のスペクトラムとなる。縦軸はスペクトラムのレベル差を表し、供試機器100に外部妨害が加わった時のスペクトラム変化が分かる。横軸は周波数であるがすでに述べたように、分析周波数幅が0.2MHzスパンの場合641ポイント、分析周波数幅が5MHzスパンの場合は801ポイントのデータからなる。周波数Fnでは、妨害により発生するノイズ周波数が細かく振動するレベルの高い鋸歯状ノイズから妨害が無いノイズの少ない部分を引くので、図4(c)に示すように正方向にレベルが上がる。一方で図4(a)、図4(b)のように周波数Faにおいて供試機器固有の単一ピークのノイズがある場合において、供試機器100に外部から妨害を加えても妨害の影響が無く、そのレベルが変わらないものとすると、図4(c)に示すように周波数Faには何も現れない。他の周波数成分の所は、互いにノイズの非常に少ない部分同士の差し引きであるので、横軸0dBを中心にして小さく凹凸を繰返す。なお従来の目視による問題点として、固有のノイズが妨害ノイズとテレビ画面に並存する場合は、その見える固有ノイズに邪魔されて供試機器100の外部より加える妨害の強さを弱めて妨害ノイズが消える条件を求める際に、妨害ノイズがまだ残存しているかどうかの誤判断をし易いと述べた。しかし今回の例のように、図4(c)に示す平均された差のスペクトラムを求める方法では周波数Fa成分は現れないので演算結果に全く影響を与えないことが想定され、これがこの画質評価装置の特長である。
【0027】
図4(c)の意味するところは、妨害の影響が大きければ周波数Fnでの縦軸方向のレベル差は大きくなり、妨害の影響が小さければ横軸0dBの値に近付く。したがって、調査する周波数全域においてこの各周波数ポイントのスペクトラム変化レベルを加算して一つの値にすれば、その値の絶対値の大小で妨害を加えられた後の供試機器100の画像障害の影響を評価出来る演算方法が考えられる。しかしこの演算方法の使える条件は、図4(c)の周波数Fn以外の全ての周波数において、平均された差のスペクトラムが横軸0dBの値に平均して安定していることである。すなわち妨害の影響が現れていない所において、平均された差のスペクトラムは横軸0dBから上下片方に寄らず離れないことである。この条件が成立しないような場合、つまり妨害の影響が小さいのにスペクトラムが横軸0dBから離れ上下片方に片寄った場合、各周波数成分のスペクトラム変化を加算してその絶対値を求めて一つの値にすると、片寄った分だけ妨害の影響を受けているという間違った判断になる。したがってこの条件は、この演算方法を使うには必要不可欠である。
【0028】
ところでテープ等の記録媒体を使ったビデオ磁気テープ記録再生機に応用すると、この前提が成立しない場合が発生する。即ち妨害を加えていなくても、記録されたテープの巻き始めや、巻き中、巻き終わり等違う場所を再生するだけで、二信号の平均された差のスペクトラムは横軸0dBから片方に浮かび上がる場合がある。つまり供試機器100の映像ノイズのスペクトラムを求めた場合に、再生するテープの位置で特にノイズを検出しない低レベルにおいては常に一定値を示さない。その外に、計器類の温度ドリフト等で同様の問題を発生する可能性も考える必要がある。ある時点の一点のデータを基準にして、他の測定データを比較演算する時に基準データからの測定時間間隔や、再生場所が離れ過ぎるとこの問題を引起こし易い。したがって、調査する周波数全域において平均された差のスペクトラムの各周波数ポイントでのスペクトラム変化を加算して一つの値にし、その絶対値の大小を論じることは汎用性が少ない。このような問題点を克服するために、別の演算方法を導入する。
【0029】
この別の演算方法とは平均された差のスペクトラムから調査する周波数全域において平均値を求め、この平均値と前述の平均された差のスペクトラム間との偏り値を演算して、調査する周波数全域の各周波数ポイントのその自乗和を求め、一個の値を得ての相対画質評価をする方法である。
【0030】
図6は本発明の実施の形態1における零レベルに漸近しない平均された差のスペクトラムの別の図を示す。図4(c)と同様に、供試機器100に妨害が無い時と、外部妨害が加わった時の、あるフィールドの選別ゲート内映像部のそれぞれのスペクトログラムを求めた後に、平均された差のスペクトラム601を演算し、図示したものである。図6のような現象はビデオ磁気テープ記録再生機を使って、同一画像を記録したテープの再生場所を変えた場合に現れやすい。ここでは妨害の影響がFn1とFn2の2点の周波数で現れた例を示す。注目点はFn1とFn2以外の妨害の影響を受けていない部分が、図4(c)の平均された差のスペクトラムのように横軸0dBの近辺の値を取らずに、周波数の上昇とともに正の値に離れている。図6の中に調査する周波数全域の平均された差のスペクトラム601全体を平均した平均値655を破線で示す。各周波数ポイントでの平均された差のスペクトラム601の値と平均値655との差、すなわち平均値655からの偏り値602を求める。その偏り値602の自乗値は、妨害の影響を受けていない部分は平均値に近いために小さな値を示す。妨害の影響を受けて差のスペクトラム601がやや大きくピークを示すものでは、その偏り値602の自乗値は、もっと大きくなり妨害の影響を検出しやすくなる。分析周波数幅が0.2MHzスパンの場合641ポイント、分析周波数幅が5MHzスパンの場合は801ポイントのこれらの自乗値を一つの値に加算することは、平均値655からの平均された差のスペクトラム601全体の外れ方を間接的に表す数値になる。
【0031】
平均された差のスペクトラムから求めるこの演算方法を、以下に数式を使って説明する。
ここで分析周波数幅の各ポイントを原点側から下式のように整数値を与える。
X=1、2、3、・・・・・、641(もしくは801: 分析周波数幅による)
調査範囲の周波数両端を上に準じて最小値をXmin、最大値をXmaxとする。
Xポイントの平均された差のスペクトラム値をDxとし、平均値をMとすれば
【0032】
【数1】
Figure 0003606158
【0033】
求める自乗和をPとすれば
【0034】
【数2】
Figure 0003606158
【0035】
(数1)、(数2)両式からも求められるが、次の(数3)の利用が簡単である。
【0036】
【数3】
Figure 0003606158
【0037】
このように一個の自乗和Pの値を得て相対画質評価が出来る。この場合妨害を加えていないもの同士の二画面を比較するだけでも相当に大きな数値(400近辺)になるが、妨害の影響が現れた場合はその数倍から時により数百倍の値を示し、それとの大小比較を行なうために十分に相対画質評価が可能である。この演算方法は図4(c)において提案した各周波数ポイントのスペクトラム変化レベルの全部の加算とその絶対値の演算方法よりも、ビデオ磁気テープ記録再生機のように測定時間間隔や、再生場所が原因で相対画質評価に問題を引起こすようなことは少なくなり汎用性が出てくる。したがって、テレビ画面の水平走査線を順次に周波数分析をして、基準画面と比較したい画面間のスペクトラム変化を求め、調査する周波数全域での平均値からの各周波数ポイントでの偏り値を自乗和する演算方法は、供試機器100がノイズの発生の少ないベースレベルでそのレベルが多少変動するものでも十分に適用でき、比較したい画面の相対画質評価に使えることができる。
【0038】
ところでこの値に比較する基準値がないと、供試機器100に妨害がない状態からどれほど相対画質が悪くなっているか不明である。供試機器100に妨害を加えないで何度もこの自乗和の値を求めるとバラツキ幅を持つ。そこで前もってこの自乗和の分布を調べ、その分布上限値を定めるかあるいは外部より任意の値を設定して比較基準を作るのが判定値設定手段111である。以下分布について述べる。統計理論によれば、自乗和の数値をPとして自乗和Pが何度も測定を繰り返すと正規分布すると仮定し、測定回数Nが多ければ標準偏差sは
【0039】
【数4】
Figure 0003606158
【0040】
ここでΣPとは、自乗和PをN回の測定回数分加えることを意味する。自乗和Pの下式で示す分布上限値Pmaxを越える確率は、定数をkとすると
Pmax=(Pの平均値)+ks
k=2の場合、測定して得られる毎回の自乗和PのPmaxを越える確率2.3%
k=3の場合、測定して得られる毎回の自乗和PのPmaxを越える確率0.1%
この分布上限値Pmaxを与えるkは、小さく設定し過ぎると供試機器100に妨害を加えなくても画像障害有りと誤判断される割合が増え、逆にkが大きいと妨害による画像障害を検出し難くなる感度の定数である。供試機器100の測定モードすなわち受信状態や再生状態その他さまざまな使用状態により、その時々に応じて感度の定数kを変更して分布上限値Pmaxの設定変更が可能であることが望ましい。また時には分布上限値Pmaxに代わり、外部より任意の数値設定をする外部設定機能を持つことも望ましい。112は画質判定手段であり、前述のように供試機器100の外部より妨害を加えられない画面間の分布上限値を定めるかあるいは外部より任意値を設定した判定値設定手段111の出力と、さらに妨害を加えられない画面と妨害を加えられた画面間の自乗演算手段110の出力とを入力して妨害が加えられた画面の画像障害の大きさを判定する。判定値設定手段111に定めた分布上限値あるいは外部設定値と自乗演算手段110の出力が等しいか、あるいは自乗演算手段110の出力が小さければその妨害による画像障害は無いと判定される。したがってこの構成により、妨害の加えられた画面の相対画質評価を容易にすることができる。
【0041】
また自乗演算手段110で自乗和の相対画質評価値を求めたり、判定値設定手段111との比較で自乗和を使った演算結果を求めても、自乗和の数値自体は普遍的な数値ではない。したがって妨害を供試機器100の外部より加えても画像障害を引き起こさない最大許容妨害レベルという普遍的な評価数値に置き換える工夫について以下に説明をする。説明を簡単にするために自乗演算手段110から判定値設定手段111を引いたものを自乗和の差と略称する。妨害設定手段113を一定条件の下で自乗和の差の大きさに応じて供試機器100に外から加える妨害条件の設定をする。その一定条件の内容を説明する。最初に供試機器100および妨害を加える設備が許容する最大の妨害が加えらる。その自乗和の差の値により以降の再測定で加えられる妨害の下げ方を例えば以下のように決める。(1)10,000≦自乗和の差の時、妨害を16dB下げて再測定する。(2)5,000≦自乗和の差<10,000の時、妨害を8dB下げて再測定する。(3)1,000≦自乗和の差<5,000の時、妨害を4dB下げて再測定する。(4)200≦自乗和の差<1,000の時、妨害を3dB下げて再測定する。(5)50≦自乗和の差<200の時、妨害を2dB下げて再測定する。(6)0≦自乗和の差<50の時、妨害を1dB下げて再測定する。(7)最初が1,000≦自乗和の差で、再測定1回目に自乗和の差<0になると事前の下げた値の半値を逆に大きくして再々測定をし、以降妨害を下げる測定を繰り返す。(8)再測定2回目以降、自乗和の差<0になると、再測定を終える。その時の供試機器100の外部より加える妨害は、画像障害を引き起こさない最大許容妨害レベルと考える。
【0042】
図7に、本発明の実施の形態1における妨害設定手段113を応用した平均された差のスペクトラムの減少変遷図を示す。この例はある受信放送波の隣接放送帯の±0.5MHzの周波数のところに無変調映像波すなわち妨害波を90dBμV加えて、受信放送波に乗せた映像信号が画像障害を引き起こさない最大許容妨害レベルを求めた例である。判定値設定手段111は供試機器100に妨害を加えない状態で測定して、k=3の場合で450に設定された。調査する周波数全域を50kHzから4.2MHzに選ぶとその間では、周波数ポイント数が5MHzスパンで801ポイントあるのでこの場合は665ポイントになる。細線で示した妨害波90dBμVデータ701の665ポイントにおける偏り値の自乗和の差は5,440のために前述の条件(2)より再測定1回目は8db下げる。その結果太線で示す再測定1回目の妨害波82dBμVデータ702では、自乗和の差は260になるため前述の条件(4)により3db下げる。再測定2回目は破線で示す妨害波の79dBμVデータ703になり、自乗和の差は−30で再測定は終了する。この最大許容妨害レベルの値は試みに何度測定しても同じ値になり再現性が高い。一方で確認のために目視測定では同一人物が日時を変えて4回測定すると、82dBμVから78dBμVに毎回違う判定が出た。なおEN55020で定められた目視方法で測定して妨害波90dBμV印加時の画像障害の現象は、8色のカラーバーで一色あたり7本位の曲がった縦縞が左右に微動して、画面全体が落着かない様子を示していた。
【0043】
前述の条件(7)で再測定1回目に自乗和の差<0になると、事前の下げた値の半値を逆に大きくして再々測定を続ける特例を述べた。この目的は、自乗和の差の値に応じて妨害レベルを急速に下げるために妨害減少値を大きく設定しているが、下げ過ぎから最大許容妨害レベルを大幅に実態から外れて割り込むことを防止するためのもので、再測定の回数をいかに少なくするかの妨害設定手段113の技術的な対応の一方法である。なお一定条件の例を自乗和の差の値のクラス分けで供試機器100の外部から加える妨害の強さを変更する方法を述べたが、その他の例として、自乗和の差の値の平方根を計算してそれにある係数を乗じて演算をし、そのdB値だけを供試機器100に加える妨害の強さを変更する方法の組み合せも考えられる。
【0044】
妨害設定手段113には別機能も存在する。図7の例では妨害波の79dBμVデータ703の自乗和の差が負になることで測定は完了するわけではない。一連の測定を早く進めてゆくために、次の違う隣接放送帯の妨害波の周波数、最大妨害電圧の設定へと新しい測定条件へ切り替えるというプログラム機能も併せて持つ。したがって妨害設定手段113は、一般の制御回路で言うフィードバック機能を有しているものでなく、無駄な手順を省きいかに測定回数を少なく高速に進めるかの技術的な要素を持つものである。
【0045】
なおこの画質評価装置の周波数分析手段103は、複数の画面を分析することになるが、基本的にはある一つの画面に対する他の比較したい画面の相対画質比較になるため、スペクトログラム表示データを貯える記録手段は多ければ多いほど良いが、最低限度二つ必要である。第一の記録手段104と第二の記録手段105の二つだけの場合は、比較する基準画面の分析データを第一の記録手段104に記録し続けて第二の記録手段105には比較したい画面の分析データを次々と記録と消去を繰り返せば、次段の比較演算手段106には基準画面に対する複数の比較したい画面の分析データが出力されて、画質評価装置の機能を阻害されることはない。
【0046】
なおまた供試機器100に外部から妨害を加える前後の画質評価装置として説明を続けてきたが他の応用例としては、妨害が無い状態のもとで供試機器100にテレビチューナー単品を入れ替えて、それぞれの画像を第一の記録手段104、第二の記録手段105に取り込み部品間の違いによる性能の相対画質評価に使えるなどの応用が考えられる。さらにPAL方式を例に説明を加えたが、他のテレビ方式や高精細度テレビ、飛び越し走査、線順次走査等、すべてのテレビ方式にこの考えが応用できる。さらにまたテレビ画面において画質評価を行うと記載したが、テレビ画面は同等のモニター画面であっても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明の画質評価装置によれば、複数のテレビ画面の連続した水平走査線の周波数分析を比較することで、相対的な位置のスペクトラム変動値から演算により定量的な画質評価数値が得られ、しかも目視と相関性も良い。計測器の示す数値から判断することで客観的評価が出来て人による要因が絡まないことや、また目視では惑わされるような供試機器の固有のノイズも、平均された差のスペクトラムレベルにはそれが現れず判断基準が明確になることと、そして外部から妨害を加えていなくても時間的、空間的に微妙にノイズレベルが変動する供試機器であっても演算できるので供試機器を選ばない普遍的な方法として優れた効果が得られる。
【0048】
さらに画質評価数値が妨害無しの状態で常に一定値をとるとは限らず判定値設定手段を設けそこで分布上限値を演算しあるいは数値を外部から設定することで、画質評価の判定基準を明確化するという優れた効果が得られる。
【0049】
また妨害設定手段は、画質評価数値として普遍的ではない自乗和の数値自体を画像障害を引き起こさない最大許容妨害レベルという普遍的な評価数値に置き換える効果と、測定終了と共に次の測定条件への設定というプログラム機能を併せて持ち測定を早く容易に進めるいう優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1における画質評価装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における映像部選別手段の入出力の関係図
【図3】本発明の実施の形態1における周波数分析手段の読込タイミングと出力データの関係図
【図4】本発明の実施の形態1における応用データ取得図
【図5】本発明の実施の形態1における1フィールド分のスペクトログラム表示データの時間軸拡大図
【図6】本発明の実施の形態1における零レベルに漸近しない平均された差のスペクトラムの別の図
【図7】本発明の実施の形態1における妨害設定手段を応用した平均された差のスペクトラムの減少変遷図
【図8】従来のビデオS/N測定に用いるビデオ信号図
【符号の説明】
100 供試機器
101 ビデオ信号発生部
102 映像部選別手段
103 周波数分析手段
104 第一の記録手段
105 第二の記録手段
106 比較演算手段
107 同期検出手段
201 水平ブランキング
202 テレビ画像になる部分の映像部
204 選別映像部ノイズ
205 選別外の映像部
210 複合選別信号
301 テレビ画面
302 水平走査線
303 水平走査線の分割本数
304 水平走査線の読込ずれ本数
305 選別ゲート
401 選別ゲート外映像部と垂直同期信号部のスペクトログラム
402 奇数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム
403 偶数フィールド選別ゲート内映像部のスペクトログラム
501 1番目のデータ
530 30番目のデータ
555 時間方向平均区間
601 平均された差のスペクトラム
602 偏り値
625 125番目のデータ
655 平均値
701 妨害波90dBμVデータ
702 妨害波82dBμVデータ
703 妨害波79dBμVデータ

Claims (1)

  1. テレビ画面で画質評価を行なう装置であって、ビデオ信号が外部より妨害を加えられる映像を扱う供試機器の出力であり前記ビデオ信号を入力し画質評価部分に任意の位置と大きさの選別ゲートを設定して任意の映像部ノイズを出力しさらに前記選別ゲートから外れる映像部と同期信号部を零出力とする映像部選別手段と、前記映像部選別手段の出力を入力として分析周波数幅とその解像度に応じて水平走査線を順次に分割して時系列に分析する周波数分析手段と、前記ビデオ信号を入力し同期信号を検出し前記周波数分析手段に出力する同期検出手段と、前記周波数分析手段が複数画面を測定してその内の基準画面の周波数分析結果を前記水平走査線分割と同順に記録する前記周波数分析手段の出力にある第一の記録手段と、比較したい毎回の画面の周波数分析結果を前記水平走査線分割と同順に記録する前記周波数分析手段の出力にある第二の記録手段と、前記第一の記録手段と前記第二の記録手段の出力にあり前記第一の記録手段の水平走査線と前記第二の記録手段の水平走査線の相対位置を同期させて特定区間を選びその特定区間内において前記第一の記録手段と前記第二の記録手段間の同一各周波数ポイントでの差のスペクトラムの第一演算をしかつ時間方向平均のスペクトラムの第二演算をする比較演算手段と、前記比較演算手段の出力を入力として調査する周波数全域の平均値を求めてこれを基準に前記比較演算手段の出力の各周波数ポイントにおける偏り値の自乗和を求める自乗演算手段と、前記自乗演算手段の出力を入力として供試機器の外部より妨害を加えられない画面のみの測定を所定回数繰り返した前記自乗演算手段の出力の取り得る分布上限値を定めるかあるいは外部より任意の値に設定可能な機能を持つ判定値設定手段と、前記周波数分析手段が複数画面を測定する場合にその内の基準画面を前記供試機器の外部より妨害の加えられない画面とし、比較したい毎回の画面を前記供試機器の外部より妨害を加えられた画面とし同様に測定して得られた前記自乗演算手段の出力と前記判定値設定手段の出力とを入力して妨害の影響を判定する画質判定手段と、前記画質判定手段の出力を入力して前記自乗演算手段の出力が前記判定値設定手段の出力より大きいならば一定条件の下でその差の量に応じて前記供試機器の外部から加える妨害の強さを変更し前記自乗演算手段の出力が前記判定値設定手段の出力と同等もしくはそれ以下になったと判定される時には前記供試機器の外部から加える次の新しい妨害周波数を含む妨害条件に切り替え設定するプログラム機能を併せ持つ妨害設定手段とを備えたことを特徴とする画質評価装置。
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