JP3606089B2 - アルカリ蓄電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ蓄電池の製造工程において、特に巻回時に発生する正極板のクラックがセパレータを突破ることによって生じる正極と負極の微少短絡を抑制するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、機器のポータブル化、コードレス化が急速に進む中、これらの電源として小型且つ軽量で高エネルギー密度を有する二次電池への要望が高まりつつある。市場では、とくに高容量で、安価な二次電池が要望されている。このため、ニッケル−水素蓄電池やニッケル−カドミウム蓄電池などに代表されるアルカリ蓄電池のコストダウンと市場での信頼性向上が強く要望されている。
【0003】
従来このようなアルカリ蓄電池は、水酸化ニッケルを主活物質とする正極板と負極板と、この両者間に介在して電気的に絶縁するセパレータとを渦巻状に巻回して構成した極板群を金属製電池ケースに収納し、この極板群にアルカリ電解液が所定量注入された後、電池ケース上部を正・負いずれか一方極の端子を兼ねた封口板で密閉して構成される。
【0004】
ここでの正極板は、水酸化ニッケルを主とする活物質を水と水溶性の結着剤とともに混練して活物質ペーストを作製し、これをニッケルからなるスポンジ状基板に充填して乾燥した後、プレスして厚みを均一にするとともに活物質の充填密度を高め、次いで同じ径のプレスローラ間を通して正極板の柔軟処理をしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成方法では、正極板はその柔軟度が十分ではないため、巻回時に巻回軸芯側である電極板の内周側は圧縮され、反対に外周側は伸長されるため、特に、外周側においてクラックが生じることがある。
【0006】
この正極板と負極板と、この両者間に介在するセパレータとを巻回して渦巻状極板群を構成すると、クラックがセパレータを貫通して負極板と接触し、内部短絡を発生させるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決し、特に巻回時の正極板のクラックを抑制し、この正極板のクラックに起因する内部短絡のないアルカリ蓄電池の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、金属酸化物からなる活物質を水と水溶性の結着剤とともに混練して活物質ペーストを作製し、このペーストを三次元的に連なった空間を有する帯状のスポンジ状金属多孔体に充填、乾燥してプレスした後、プレスローラ間を通過させて柔軟処理した帯状の正極板と負極板との間にセパレータを介在させて渦巻状に巻回した極板群をケース内に収納するアルカリ蓄電池の製造方法において、正極板は、乾燥してプレスした後、加圧しながら少なくとも二つのプレスローラ間を通過させて曲げ加工するものであり、この二つのプレスローラは、一方のプレスローラが他方のプレスローラよりも径の小さなものであるアルカリ蓄電池の製造方法としたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の発明は、金属酸化物からなる活物質を水と水溶性の結着剤とともに混練して活物質ペーストを作製し、このペーストを三次元的に連なった空間を有する帯状のスポンジ状金属多孔体に充填した帯状の正極板と負極板との間にセパレータを介在させて渦巻状に巻回した極板群をケース内に収納するアルカリ蓄電池の製造方法において、 前記正極板は、乾燥してプレスした後、加圧しながら少なくとも二つのプレスローラ間を通過させて曲げ加工するものであり、前記二つのプレスローラは、一方のプレスローラが他方のプレスローラよりも径の小さなものであるアルカリ蓄電池の製造方法である。
【0010】
この正極板は、加圧されながら、一方のプレスローラが他方のプレスローラよりも径の小さなものである二つのロール間を通過させて曲げ加工するため、柔軟性が増し、巻回時に主に外周側に発生するクラックを抑制できる。したがって、この正極板を用いて負極板とセパレータとで渦巻状に巻回して極板群を構成しても、従来のように巻回時に正極板の主に外周側に発生したクラックがセパレータを貫通して負極と接触し、内部短絡を引き起こすことを防止することができる。
【0011】
上記の正極板の製造方法において、正極板を乾燥してプレスした後、ベルトコンベアなどの搬送ベルト間に挟まれた状態で、少なくとも二つのプレスローラ間を加圧しながら通過させて曲げ加工すると、量産性が向上するので好ましい。
【0012】
また、充放電サイクルの繰り返しにより正極板の膨張によりセパレータが圧縮され、とくに正極板に発生したクラックがセパレータを突破ることによって微少短絡が発生しやすいが、上記のように正極板に十分な柔軟性を持たせることによって、正極板のクラックの発生を抑制するできるので、充放電サイクルを繰り返し行っても微少短絡が発生することがなく、長期に渡る信頼性も向上できる。
【0013】
【実施例】
以下に、本発明の具体例を説明する。
【0014】
水酸化ニッケル100重量部に対し、結着剤としてカルボキシメチルセルロース0.2重量部と、全ペーストの25重量%となるように水を加え練合してペースト状活物質を作製した。
【0015】
このペースト状活物質をニッケルのスポンジ状基板に充填して乾燥した後、プレスして充填密度を高め、幅61mm、厚み0.8mm、長さ110mmの正極板1を作製した。
【0016】
図1に示す正極板の柔軟処理工程において、搬送用上下ベルト2に正極板1を挟みながら、正極板1を搬送する。次に、直径12mmの鋼製のプレスローラ3と直径12mmの鋼製のロールにゴムを巻き付けた直径65mmのプレスローラ4を垂直に配置し、正極板1を3kgf/cm2の力で加圧しながら、プレスローラ3とプレスローラ4の間を通過させて曲げ加工をした。
【0017】
この処理によって正極板1は、プレスローラ3とプレスローラ4の間を通過する際に、図2に示すように、正極板1はプレスローラ3の外周に反った状態でプレスローラ4に押し付けられ曲げ加工されることによって正極板1の軟化度が向上する。
【0018】
この正極板1と、水素吸蔵合金粉末をパンチングメタルからなる芯材に塗着した、幅61mm、厚さ0.4mm、長さ145mmの負極板5と、この両者間に介在して電気的に絶縁するセパレータ6とを渦巻状に巻回して構成した極板群を鉄にニッケルメッキした電池ケース7に挿入し、アルカリ電解液を注入した後、電池ケース7の上部を、正極端子を兼ねた封口板8で密閉して、HR17/67サイズで公称容量3800mAhの本発明の実施例におけるニッケル−水素蓄電池Aを作製した。この電池の半裁断面図を図3に示す。
【0019】
次に、正極板1と同じ材料を用いて正極板9を作製し、正極板9を鋼製で同じ径の二つのプレスローラ間を通過させて柔軟処理した。この正極板9を用いた以外は、上記の実施例の電池と同じ構成とした比較例のニッケルー水素蓄電池Bを作製した。
【0020】
上記の電池Aと電池Bをそれぞれ10000個ずつ作製した。
【0021】
なお、実施例の正極板1と比較例の正極板9の柔軟性を見るために、その正極板の端部から、正極板の端部から長さ方向に1/4の長さの位置に50gf/cm2の荷重を正極板にかけたときのたわみ量についてロードセルを用いて測定したところ、比較例の正極板9が約2mmのたわみ量であるのに対して、実施例の正極板1は、約5mmのたわみ量を有している。つまり、実施例の正極板1の方が比較例の正極板9よりも柔軟性に優れていることがわかる。
【0022】
電池Aと電池Bのそれぞれを初期の充放電を施した後に、端子電圧が1.20〜1.35Vの電池を良品の基準として、電圧検査した。実施例の電池Aは10000個全て1.24〜1.30Vの電圧の範囲であるのに対し、比較例の電池Bは、1.20Vより低い電圧の電池が60個も発生し、特に0.00〜0.10Vの電池電圧のものが58個もあった。
【0023】
この比較例の電池Bの電圧不良品60個を分解して調査すると、図4に示すように、正極板9の外周側においてクラック10が発生しており、これがセパレータ6を突破り負極板5と接触して内部短絡を引き起こしていた。
【0024】
この比較例では、正極板9を巻回する時に巻回軸芯の内側は圧縮され、反対に外周側は伸長される。このときに、正極板9に十分な柔軟性がないために、正極板9の外周側は、伸長されたときにクラック10が発生したものである。
【0025】
実施例の正極板1では、プレスローラ3とプレスローラ4間を通過する際に、プレスローラ4よりも径の小さなプレスローラ3の径に反ってプレスローラ4に押し付けられ曲げ加工されるために、正極板1の柔軟性が大幅に向上し、巻回時にクラック10が発生しなく、内部短絡を引き起こすことがないものと推定される。
【0026】
なお、上記の実施例ではプレスローラ3(径の小さいプレスローラ)とプレスローラ4(径の大きいプレスローラ)の径の比としては、プレスロ−ラ3の径:プレスローラ4の径=12:65としたが、プレスローラ3の径:プレスローラ4の径=1:10を下回ると、正極板の曲げ加工時の曲率が高くなりすぎ、加工時にひび割れが発生し、またプレスローラ3の径:プレスローラ4の径=1:1.5を上回ると、十分な柔軟性が得られないため、プレスローラ3とプレスローラ4の径の比としては、プレスローラ3の径:プレスローラ4の径=1:10〜1:1.5が好ましい。
【0027】
また、上記の実施例では正極板1をプレスローラ3とプレスローラ4間を通過させるときの加圧は、3kgf/cm2としたが、0.5kgf/cm2を下回ると、十分な応力を正極板にかけられないため正極板の柔軟性加工が十分にできなく、また5kgf/cm2を上回ると、曲げ加工時に正極板1にかかる応力が強すぎ、ひび割れが発生するため、正極板1の加圧としては0.5〜5kgf/cm2が好ましい。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明のアルカリ蓄電池の製造方法では、渦巻状の極板群を構成する前に、正極板を直径の違う上下ローラ間を加圧しながら通過させて曲げ加工して十分な柔軟処理するので、巻回時に巻回軸芯側である電極板の内周側は圧縮され、反対に外周側は伸長されても、正極板のクラックを抑制することができる。
【0029】
したがって、この正極板を用いて負極板とセパレータとで渦巻状の極板群を構成しても、正極板のクラックがセパレータを貫通して負極と接触し、内部短絡を引き起こすことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における正極板の柔軟軟処理工程の模式図
【図2】同正極板のプレスローラ通過時の模式図
【図3】同ニッケル−水素蓄電池の半裁断面図
【図4】比較例の正極板の模式図
【符号の説明】
1 正極板
2 搬送用ベルト
3 プレスローラ
4 プレスローラ
5 負極板
6 セパレータ
7 電池ケース
8 封口板
9 比較例の正極板
10 クラック
Claims (2)
- 金属酸化物からなる活物質を水と水溶性の結着剤とともに混練して活物質ペーストを作製し、このペーストを三次元的に連なった空間を有する帯状のスポンジ状金属多孔体に充填、乾燥してプレスした後、柔軟処理した帯状の正極板と、負極板とをセパレータを介して渦巻き状に巻回した極板群をケース内に収納するアルカリ蓄電池の製造方法において、
前記柔軟処理は、
乾燥してプレスした後の前記正極板を、搬送ベルト間に挟まれた状態で、少なくとも二つのプレスローラ間を加圧しながら通過させて曲げ加工するものであり、
前記二つのプレスローラは、一方のプレスローラが他方のプレスローラよりも径の小さなものであり、
前記径の小さい一方のプレスローラの材質は鋼製であり、
前記径の大きい他方のプレスローラの材質は鋼製のローラにゴムを巻いたものであり、
前記径の小さい一方のプレスローラと、前記径の大きい他方のプレスローラとの径の比は1:10〜1:1.5であり、
前記二つのプレスローラによる正極板の加圧力が0.5〜5kgf/cm 2 であるアルカリ蓄電池の製造方法。 - 前記径の小さい一方のプレスローラと、前記径の大きい他方のプレスローラとの径の比が12:65〜1:1.5である請求項1記載のアルカリ蓄電池の製造方法。
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