JP3605809B2 - プリンタ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、シリアルドットインパクトプリンタ、インクジェットプリンタなどの用紙に対して印字ヘッドを走査させるタイプのプリンタに係り、特に用紙の印字可能領域への印字データの出力タイミング制御の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のプリンタでは、主走査方向に印字ヘッドを移動させて用紙に1行の印字を行い、次いで用紙を副走査方向に1行分移動し(紙送りし)、新たな行位置に同様に印字を行う、という動作を1頁分繰り返すことで、1枚の用紙に印字を行う。この印刷動作において、用紙の縁(副走査方向の上下端部分)に印字しようとすると、印字ヘッドをその縁の位置に持ってくる必要がある。
【0003】
しかし、そうすると、用紙固定用のガイドから用紙がはずれて用紙の縁が持ち上がり、これが原因となってこの部分に正確な印字ができないおそれがある。それに加え、特にシリアルドットインパクトプリンタの場合には、用紙の縁の位置で印字ヘッドを主走査させようとすると、用紙とインクリボンの間に配置されるヘッドマスクの開口部に、用紙の角が引っ掛かって紙詰まりを引き起こす可能性もある。また、インクジェットプリンタの場合では、用紙の縁の位置で印字すると、インクが用紙の縁外にも飛んでプラテンを汚す可能性がある。
【0004】
そこで、このような問題を解決するために従来のプリンタでは、用紙の上下の縁から所定の領域を印字不可能領域(印字禁止領域)として、この部分には印字をしないような対策を講じてきた。そのため、従来は印字開始時、印字ヘッドが用紙の縁から一定のマージンだけ内側の領域(印字可能領域)に来るまで自動的に紙送りした上で、その位置から印字を開始していた。また、印字途中において印字禁止領域に到達した場合でも、印字ヘッドが用紙の縁から一定のマージンだけ内側の領域(印字可能領域)に来るまで自動的に紙送りした上で、その位置から次の印字を再開していた。
【0005】
また、印字可能領域に収まらないサイズの画像は、その印刷を初めから受け付けないよう対策を講じたものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の様な印字禁止領域での自動送りの対策を講じた従来のプリンタにおいては、用紙の上端から一定のマージンだけ内側に入った位置である印字可能領域の端部位置から印字を開始するようになっている。すると、ユーザが意図した用紙上の画像位置とプリントアウトされた結果のそれとが、上記マージン分だけずれてしまうという不具合が生じる。例えば、1頁の中央に特定の画像要素を配置したいと意図して1頁の全体画像を作成しても、プリントアウトの際に上記マージン分だけずれた位置から全体画像の印字が開始されるため、その画像要素は意図した用紙上の位置よりマージン分だけずれた位置に印刷されることになる。
【0007】
また、印字可能領域に収まらないサイズの画像の印刷を受け付けない対策を講じた従来のプリンタの場合、例えば用紙と同サイズの画像を作成しても印刷が拒否されるため、予め上記マージン分だけ小さい画像を作らねばならず、使い勝手が悪く、ユーザにとって不満なものになる。
【0008】
本発明はこのような背景に基づいてなされたものであり、従来印字不可能領域とされていた用紙の縁近傍にまで領域を有する画像の印刷を可能とし、しかも、その画像をユーザの意図した通りの用紙上の位置にとりあえず配置できるプリンタを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は印刷データに基づいて印字ヘッドの主走査と用紙の送りとを繰り返しながら、用紙の縁近傍以外の印字可能領域に印刷を行うプリンタにおいて、印字ヘッドが用紙の縁近傍の印字不可能領域に位置している時は、この印字不可能領域に対応する印刷データを廃棄し、印字ヘッドの主走査を停止し、かつ、用紙の送りのみを行い、一方、印字ヘッドが用紙の印字可能領域に位置している時は、この印字可能領域に対応する印刷データに基づいて通常の印刷動作を行なう制御装置を備えたことを特徴とする。
【0010】
【作用】
本発明では、用紙の縁に印字ヘッドを位置合せした状態から、まるで用紙の縁から印刷を開始するかのごとくに、印刷処理が開始される。しかし、印字ヘッドが用紙の縁近傍(印字不可能領域)に位置している間は、この印字不可能領域に印刷されるべき画像の印刷データは廃棄し、印字ヘッドの主走査を停止し、そして紙送り(副走査)のみ行う。つまり、印字不可能領域においては、そこに印刷すべき画像が存在しないとみなし、実際の印刷は行わず紙送りだけ行う。
【0011】
一方、紙送り一定マージン分だけ進み、印字ヘッドが印字可能領域に入ると、初めて印刷データに基づき印字ヘッドの駆動と主走査を開始して、正常な印字動作に入る。
【0012】
そのプリントアウト結果は、印刷データの表現する画像から用紙縁近傍の印字不可能領域に対応する画像部分を除いた、印字可能領域に対応する画像データ分だけを印刷したものとなる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施例に係るプリンタのハードブロック図である。
【0015】
この図において、外部のホストコンピュータから出力される印刷データ1は、I/F(インタフェース)2を介してマイクロコンピュータで構成される制御装置3に取り込まれる。
【0016】
制御装置3はホストコンピュータからの印刷データ1を解釈し、実画像データ4を作成してヘッドドライバ5に送り、またキャリッジモータ制御信号6をキャリッジモータドライバ7に送り、さらに紙送りモータ制御信号8を紙送りモータドライバ9に送る。なお、制御装置3の具体的動作は後述する図2に示すアルゴリズムに従う。
【0017】
印字ヘッド10はヘッドドライバ5により駆動されて、用紙上にドットマトリクスによる印字を行う。キャリッジモータ11はキャリッジモータドライバ7により駆動されて、印字ヘッド10を主走査方向に移動させる。紙送りモータ12は紙送りモータドライバ9により駆動されて、給紙および紙送り(印字ヘッド10の副走査)を行う。
【0018】
次に制御装置3のアルゴリズム(本発明の実施例の制御動作)について図2を基に説明する。なお、図中、Phは現在のヘッド位置(副走査方向の位置と主走査方向の位置からなり、原点は印字用紙の左上とする)、Piuは用紙の上端部の印字不可能領域の内側(下側)端、Pidは用紙の下端部の印字不可能領域の内側(上側)端をそれぞれ示す。
【0019】
印刷データ1がホストから入ると、最初に、印字、紙送り、紙取り込み、紙排出の動作を所定のシーケンスで順序立てて行うよう、それらの動作を選択する(S1)。
【0020】
まず、用紙を取り込み、印字ヘッド10が用紙の上端に位置するように頭出しを行う(S2)。そして、用紙に対する現在のヘッド位置Phに初期値0をセットする(S3)。
【0021】
次に印字動作に入る。ここでは用紙に対する現在のヘッド位置Phの副走査方向の値が、用紙の印字可能領域内(つまり、Piu<Ph<Pidの範囲内)にあるか否かチェックし(S4)、Yesなら、印字ヘッド10を駆動し、かつ印字ヘッド10を主走査させることにより印字を行う(S5)。一方Noならば、つまり現在のヘッド位置Phが印字不可能領域内なら、その行の印字データを捨て(S6)、次の処理に入る。このようにして現在のヘッド位置Phが印字不可能領域内ならば、印字ヘッド10の主走査は行わずに印字データを捨てていき、副走査を行ない、印字可能領域に達したところの印字データから有効として印字ヘッドの駆動を行う。
【0022】
1行の印字処理が終了すると、紙送りを行う。ここで、用紙の有無をチェックし、用紙が有れば(S7でYes)、指定量だけ用紙を送り(S8)、そして再度用紙の有無をチェックし、用紙が有れば(S9でYes)、Phを紙送り量だけ増やす(S10)。紙送り後、用紙が無くなれば、用紙排出を行う(S11)。また最初のチェックで用紙が無ければ(S7でNo)、用紙の取り込み動作に入る(S2)。1頁分の印字が終わるまで、1行の印字と紙送りとを交互に繰り返して行く。そして1頁分の印字が終わると、用紙を排出する(S11)。
【0023】
以上の動作は、要するに、画像の上端と用紙の上端とを位置合せした状態で用紙上端から印字処理を開始するものの、印字ヘッドが用紙の上下端部の印字不可能領域内にあるときは、その領域に印字すべきデータは無視して印字ヘッドの主走査を行わず、副走査つまり紙送りだけを行うようにしたものである。
【0024】
この動作は、特に、用紙と同サイズの画像をDTPソフト等で作成して印刷しようとした場合に、ユーザに対して格別な使い易さを提供する。以下、具体的に説明する。
【0025】
図3は図2のアルゴリズムに基づく印刷結果の説明図である。
【0026】
図3において、20は例えばDTPソフトでユーザが作成したA4サイズ1頁分の画像であり、20aはその画像の上端を、また20bは上下方向での画像中心位置を示している。
【0027】
一方、21はA4の用紙であり、21aは用紙の上端、21bは上下方向での用紙中心位置を示している。また21cは用紙上側の印字不可能領域、21dは下側の印字不可能領域をそれぞれ示し、21eは両印字不可能領域21c,21dの内側の印字可能領域を示している。なお、両印字不可能領域21c,21dのマージンは例えば5mm位である。なお、前記Piu及びPidを矢印で示している。
【0028】
本実施例においては、画像上端20aと用紙上端21aを一致させ、印字不可能領域21c部分の印字データを廃棄して、この部分では紙送りだけを行って実際の印字は行わない。そして印字可能領域21eに印字ヘッド10が入ったら、初めて印字データを印字ヘッドに与えて、用紙21の印字可能領域21eに印字を行う。その後、下側の印字不可能領域21dに入ったなら、再び印字ヘッドは駆動せずに印字データを破棄し、副走査だけ行なうか、或はその副走査も省略するようにする。
【0029】
このようにすると、用紙サイズと全く同じサイズの画像の印刷が受け入れられることになる。そして、用紙21の端に画像の端を位置合わせした状態で印刷処理が行われるので、ユーザの意図した通りの用紙上の位置に画像が配置されることになる。
【0030】
更には、その用紙と同サイズの画像のうち、印字不可能領域21c,21dに位置する縁部分については、実際の印刷は行われないので、前述したような用紙の縁に印刷することによる不具合は回避できる。しかも、画像の縁部分は、通常、文書の余白部分であったり、写真の余り重要でない背景部分であったりすることが多いため、印刷が省略されても実用上問題とならないケースが多い。
【0031】
次に、上記の上下の領域のみを考慮したものではなく、上下左右の領域を考慮した実施例について示す。その制御装置3のアルゴリズム(本発明の実施例の制御動作)について図4を基に説明する。なお、図中のPilは用紙の左端部の印字不可能領域の内側(左側)端、Pirは用紙の右端部の印字不可能領域の内側(右側)端をそれぞれ示す。図2と異なるのはS4の判断ステップである。
【0032】
このS4について説明する。ここでは用紙に対する現在のヘッド位置Phが、用紙の印字可能領域内(Piu<Ph(副走査方向)<PidかつPil<Ph(主走査方向)<Pirの範囲内)にあるか否かチェックし(S4)、Yesなら、印字ヘッド10を駆動しかつ印字ヘッド10を主走査させることにより印字を行う(S5)。一方、Noならば、つまり、現在のヘッド位置Phが印字不可能領域内なら、その印字データを捨て(S6)、印字ヘッド10の主走査を停止し、副走査を行って印字データが印字可能な領域まで達したところから印字データを有効とし、印字ヘッドを駆動させる。
【0033】
このようにして、図5に示すように用紙と同サイズの画像のうち、印字不可能領域21c,21dに加えて21fと21gに位置する縁部分についても、印刷を行わないので前述したような用紙の縁に印刷することによる不具合は回避できる。
【0034】
本実施例は、特に、デザイナーがポスターやパンフレットをデザインしてテスト印刷したり、事務所などでイメージスキャナーで帳票イメージを取り込んで記入した後プリントアウトする場合などに好適である。デザインの場合には、用紙端の余白の寸法や各画像要素の用紙上の位置等、画像のあらゆる構成が厳格にデザインされた上で、テスト印刷ではそのデザインが忠実に再現されることが要求されるからである。また、帳票の場合は、普通、元の帳票と全く同一サイズの用紙に全く同一のレイアウトで印刷される必要があるからである。
【0035】
一方、アプリケーションによっては、本実施例の処理よりも従来の処理の方が都合がよい場合もあるため、本実施例の処理と従来の処理とを選択可能にする機構を設けることで、より一層使い勝手が向上するのは明らかである。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、従来印字不可能領域とされていた用紙の縁近傍にまで領域を有する画像の印刷が可能になり、また、ユーザの意図した通りの用紙上の位置に印刷を行うことが可能になるため、使い易く、付加価値の高いプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るプリンタのハードブロック図である。
【図2】本実施例の制御装置のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図3】図2のアルゴリズムに基づく印字結果の説明図である。
【図4】本実施例の制御装置の別のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】図4のアルゴリズムに基づく印字結果の説明図である。
【符号の説明】
3 制御装置
10 印字ヘッド
11 キャリッジモータ
12 紙送りモータ
Claims (4)
- 印字可能領域に収まらないサイズの画像の印刷データに基づいて、印字ヘッドの主走査と副走査とを繰り返しながら、用紙の印字可能領域に印刷を行うプリンタにおいて、
前記印字ヘッドが用紙の印字不可能領域に位置しているか、印字可能領域に位置しているかを判断する判断手段と、
該判断により前記印字ヘッドが用紙の印字不可能領域に位置していると判断した時は、
前記印字不可能領域に対応する印刷データを廃棄して、印字を行うことなく副走査を行い、一方、該判断により前記印字ヘッドが用紙の印字可能領域に位置していると判断した時は、前記印字可能領域に対応する印刷データに基づいて印刷動作を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とするシリアルプリンタ。 - 用紙の端から所定のマージンだけ内側の領域である印字可能領域の印刷データに基づいて、印字ヘッドの主走査と副走査とを繰り返しながら印刷を行うプリンタにおいて、
前記用紙の用紙サイズと同一なサイズの画像を印刷するとき、前記用紙の端に前記画像の端を位置合せした状態で、前記画像の印刷データのうち、前記所定のマージンに対応する部分の印刷データを破棄する処理を行うとともに、前記印字可能領域に対応する部分の印刷データを用いて印刷動作を行う制御手段を備えることを特徴とするシリアルプリンタ。 - 前記画像は、イメージスキャナでスキャンされた画像であることを特徴とする請求項2記載のシリアルプリンタ。
- 前記画像は、複数の画像要素を含む原稿であり、
前記用紙上に出力される前記画像要素の位置は、前記原稿上の前記画像要素の位置と同一であることを特徴とする請求項3記載のシリアルプリンタ。
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