JP3605627B2 - 造粒物の粒径測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば細粒剤、顆粒剤、打錠用顆粒等の医薬品、調味料等の食品、粉末冶金、セラミック材料等の化学製品などの造粒やコーティングを行う造粒装置において、造粒物の粒径を測定するのに好適な撮影用センサヘッドと、このセンサヘッドを用いた造粒物の粒径測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
造粒やコーティングを行うための造粒装置として、攪拌造粒装置、転動造粒装置、遠心流動造粒装置、流動層造粒装置等が知られている。これら造粒装置においては、目的にかなった粒径の造粒物を得るために正確な運転制御が必要である。この運転制御の方法として従来最も一般的には、所定の時間となったときに造粒を終了する時間制御が採用されている。
【0003】
ところがこの時間制御は、造粒物の粒径を正確に一定に保つことが困難である。そこで、最近では造粒装置内で造粒物に造粒される粉体を撮影して画像処理することによりその粒径を測定する方法が採られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば造粒装置の側面に覗き窓を開けて造粒装置内の様子を外部から観察する方法は、造粒装置の側面は通常は温度調節用の熱媒を流すジャケットなどで覆われた構成になっているため、そのような覗き窓を設けることは困難である。また、造粒装置内部に撮影用のカメラを設置した場合はその撮影位置が問題となる。即ち、造粒装置に投入された原料粉体中に深く埋没してしまうような位置で撮影したのでは、カメラで撮影される画像が一面造粒物や粉体だらけになってしまい、それでは一個づつの粉体の粒径を測定することができなくなる。一方、造粒装置内のあまり高い位置で撮影したのでは、肝心の粉体を撮影できなくなってしまう。造粒物に造粒される粉体の粒径を好適に測定するためにはカメラの撮影位置を造粒装置内の粉体の表面近傍に維持しておくことが好ましいが、粉体の表面の高さは変動し一定に保つことができない。
【0005】
本発明は、かかる従来の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は表面近傍において分散して存在している粉体を好適に撮影し、その粒径を正確に測定できる手段を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
造粒装置で造粒物に造粒される粉体を撮影し、画像処理することによりその粒径を測定する装置において、造粒装置内に揺動自在に吊り下げられたアーム部材と、該アーム部材の下端に取り付けられた、造粒装置で造粒物に造粒される粉体を撮影するためのセンサヘッドと、該センサヘッドで撮影した粉体を画像処理することによりその粒径を測定する画像処理装置を有することを特徴とする造粒物の粒径測定装置が提供される。
【0007】
一般に、原料粉体を撹拌して造粒する造粒装置においては、撹拌に伴って粉体の表面近傍には粉体粒子が分散した状態で存在している。この粒径測定装置によれば、揺動自在に吊り下げられたアーム部材の下端にセンサヘッドを取り付けているので、アーム部材はその自重によって造粒装置内において垂れ下がった状態となり、造粒装置で造粒されている粉体の表面近傍にセンサヘッドを常に適当な圧力で押し付けた状態を維持することができる。そして、センサヘッドは、造粒装置の運転時には粉体の表面近傍において分散した状態で存在している粉体の粒径を正確に測定することが可能となる。
【0008】
この粒径測定装置において、前記アーム部材の上端を、造粒装置の上面に対して揺動自在に装着した構成とすることができる。また、前記造粒装置は、例えば撹拌造粒装置、転動造粒装置、遠心流動造粒装置または流動層造粒装置である。また、前記画像処理装置が、体積基準または個数基準を用いて造粒物の平均粒径を算出する構成とすることができる。
【0009】
前記センサヘッドは、粉体を通過させる検出空間と、該検出空間内を通過する粉体に光を投光する投光手段と、該投光手段から投光された光を受光する受光手段とを有していることが好ましい。
【0010】
この粒径測定装置によれば、検出空間内を通過する粉体に光を投光してその光を受光手段で受光することにより、造粒物に造粒される粉体を撮影することができる。なお、前記受光手段は、前記投光手段によって投光された光が粉体で遮られることによって作り出された陰影像を映し出すスクリーンを備えている構成とすることができる。また前記検出空間は、前記センサヘッドの下面から上方に凹むように形成されている構成とすることができる。更に、粉体を分散させる空気を噴出するノズルを設けた構成としても良い。更にまた、前記投光手段が、光源から発せられた光を平行光にするレンズを備えている構成とすることも良い。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の好ましい実施の形態を説明する。なお、回分式攪拌造粒装置として最も伝統的なものの一つであるヘンシェルミキサータイプ(スーパーミキサ)と呼ばれる造粒装置を例にして説明する。
【0012】
図1は、ヘンシェルミキサータイプの造粒装置1の説明図である。この造粒装置1は円筒型の容器2を備えており、容器2の底部には攪拌翼3が配置されている。攪拌翼3は、電動機4の稼働によってベルト5を介して回転駆動されるようになっている。攪拌翼3の形状や数量などは目的に応じて適宜選択されるが、通常は攪拌翼3は、上下2段の羽根を備えている。容器2の上面6は開閉自在に構成されており、また、容器2の周囲には温度調節用のジャケット7が装着されている。
【0013】
この造粒装置1において、上面6を持ち上げて開放した容器2内に医薬品や食品等の原料である粉体Aを投入し、電動機4の稼働で攪拌翼3を回転させて造粒を行い造粒物を作り出す。液状結合剤を用いる場合は、攪拌翼3の外周速度が例えば約5〜10m/s程度になるように電動機4の稼働を制御する。一方、PVCコンパウンドの場合のように、攪拌翼3の回転で発生する摩擦熱により温度上昇させ、顆粒を作り出す場合は、攪拌翼3の外周速度を例えば約20〜30m/s程度、場合によっては約40m/s程度になるように電動機4の稼働を制御する。また、容器2に装着したジャケット7に流通させる熱媒の温度を制御することによって、造粒を行う際の加熱時間を減少させたり、造粒後の冷却を行うなどといった工程も行うことができる。更に、混合効率を高めるために容器2内に邪魔板の一種であるデフレクター(図示せず)を配したり、容器2の内壁に原料が付着する場合にはかき落し用のワイパー(図示せず)を設けることもある。容器2内への粉体Aの投入量は、一般には全容量の2/3を有効容量とするが、状況によっては更に多く粉体Aを容器2内へ投入することもあり、逆に少量しか粉体Aを投入しない場合もある。
【0014】
以上のように構成された造粒装置1内の上方には、本発明の実施の形態にかかる造粒物の粒径測定装置10が装着されている。この粒径測定装置10は、容器2の上面6から揺動自在に吊り下げられたアーム部材11と、該アーム部材11の下端に取り付けられたセンサヘッド12を備えている。
【0015】
図2、3に基づいてこの粒径測定装置10の構成を更に詳述すると、図示の実施の形態においては、アーム部材11はステンレス製の中空円筒管で構成されており、その上端に形成された基部15が、造粒装置1の容器2の上面6に取り付けられたブラケット16に突設されている支軸17に回動自在に支持されている。これによってアーム部材11は、容器2の上面6に対して揺動自在に懸吊され、自重によって垂れ下がった状態になっている。また基部15の上面には、後述するように、造粒装置1の容器2内で造粒物に造粒される粉体Aの陰影像を撮影するためのCCDカメラ18が装着されている。なお図示はしないが、支軸17の高さを変更することによって、アーム部材11を吊り下げている高さを調整することができるように構成されている。
【0016】
そして、このようにアーム部材11が容器2の上面6に対して揺動自在に懸吊されていることにより、アーム部材11下端に取り付けられているセンサヘッド12は、造粒装置1の容器2内にて造粒・製造される粉体Aの表面近傍に常に適当な圧力で押し付けられた状態を維持している。即ち、図3において実線で示すアーム部材11は、容器2内にて造粒・製造される粉体Aの表面の高さが低い場合であり、この時はアーム部材11は自重で垂れ下がってセンサヘッド12は下方に移動する。一方、図3において一点鎖線で示すアーム部材11’は、粉体Aの表面の高さが高い場合であり、この時はアーム部材11は粉体Aの表面で押し上げられてセンサヘッド12は上方に移動し、一点鎖線12’で示される状態となる。このように粉体Aの表面の高さの変化に応じてアーム部材11が揺動することにより、センサヘッド12が粉体Aの表面近傍に常に適当な圧力で押し付けられている。
【0017】
図4に示すように、センサヘッド12の下面中央には、センサヘッド12の下面12aから上方に凹むようにして検出空間20が形成されている。造粒装置1において攪拌翼3を回転させて造粒を行っている際には、攪拌に伴って粉体Aの表面近傍には粉体Aの粒子が分散した状態で存在するので、上述したようにセンサヘッド12が粉体Aの表面近傍に位置していることにより、その表面近傍において分散して存在している粉体Aが、この検出空間20内に入り込む。
【0018】
またセンサヘッド12の内部には、以上のようにしてセンサヘッド12の下面中央に形成された検出空間20の両側を挟むように、レンズ21とスクリーン22が対向して配置されている。レンズ21の背部には例えばLED(発光ダイオード)などからなる光源23が配置されている。光源23にはリード線24が接続されており、該リード線24は、上述のようにステンレス円筒管で構成されたアーム部材11の内部を通ってアーム部材11上端の基部15を中継し、更に図3に示す電源25に接続されている。この電源25からリード線24を介して電流を供給することにより、光源23を発光させることができる。こうして光源23から発光した光は、レンズ21を通過する際に偏光されて平行光となって、スクリーン22に受光される。そして、検出空間20に粉体Aが存在する場合には、レンズ21を通過して投光された平行光が当該粉体Aで遮られることによって作り出された陰影像がスクリーン22に映し出される。
【0019】
一方、スクリーン22の背部には、アーム部材11の下方内部に入れられたミラー26が配置されており、前述のようにスクリーン22に映し出された陰影像は、このミラー26によって反射した後、アーム部材11の内部に配置されたボアスコープ27(あるいは光ファイバ)に入光するようになっている。ボアスコープ27はアーム部材11の内部を通って、アーム部材11上端の基部15に装着されたCCDカメラ18に接続されている。これにより、スクリーン22に映し出された陰影像をCCDカメラ18で撮影できる。こうしてCCDカメラ18で映し出された陰影像は、図3に示したケーブル28を介して画像処理装置29に送信され、粉体Aの粒径が測定される。画像処理装置29は、CCDカメラで撮影した粉体Aの陰影像を画像処理することによって粉体Aの粒径を測定し、その粒度分布などを分析すると共に楕円形、円形等の形状分析を行う機能を有し、更に撮影した粉体Aを適当な倍率で拡大してあらわす観察用のモニタなども備えている。この場合、画像処理装置29は、粉体Aの粒径を、体積基準または個数基準を用いて算出した粉体Aの平均粒径で表すように構成されている。
【0020】
更に図2、3に示すように、この実施の形態では「J]の字形状をしたノズル30が、センサヘッド12の側方に配置されている。このノズル30の先端(下端)は、先に説明したセンサヘッド12の下面中央の検出空間20に指向している。一方ノズル30の上端には、図3に示すように空気供給源31からの空気を供給するための管32が接続されており、空気供給源31の稼働によってノズル30の先端から検出空間20に向かって空気流を導入できるように構成されている。
【0021】
さて以上のような造粒装置1において造粒を行う場合は、上面6を持ち上げて開放した容器2内に医薬品や食品等の原料である粉体Aを投入し、電動機4の稼働で攪拌翼3を回転させて造粒を行い造粒物を作り出す。このように造粒される粉体Aの粒径を粒径測定装置10を用いて測定する。この場合、アーム部材11の揺動により、センサヘッド12が粉体Aの表面近傍に常に位置しているので、センサヘッド12の下面中央の検出空間20内には、攪拌によって(あるいは、ノズル30による空気流によって)表面近傍において分散した状態で存在している粉体Aが粒子の状態で入り込むようになる。
【0022】
そして粉体Aの粒径を測定するに際しては、電源25から電流を供給することにより光源23を発光させ、レンズ21で偏光させた平行光を検出空間20内に入り込んだ粉体Aに向かって投光する。これにより、検出空間20内に入り込んでいる粉体Aで遮られることによって作り出された陰影像がスクリーン22に映し出される。こうしてスクリーン22に映し出された陰影像を、ミラー26で反射させてボアスコープ27に入光させ、CCDカメラ18で撮影する。
【0023】
このCCDカメラ18で映し出された陰影像をケーブル28を介して画像処理装置29に送信する。画像処理装置29は、こうして得た粉体Aの陰影像を画像処理し、その粒径を測定する。また、画像処理装置29は粉体Aの粒度分布なども分析し、更に形状分析などを行う。なお、粉体Aの粒径は、体積基準または個数基準を用いて算出した粉体Aの平均粒径で表される。また、CCDカメラ18で撮影した粉体Aの様子をモニタに適当な倍率で拡大してあらわすことも可能である。
【0024】
かくして、この実施の形態の粒径測定装置10によれば、センサヘッド12の位置を造粒装置1の容器2内で製造されている粉体Aの表面近傍に常に維持することができ、検出空間20内において分散した状態で粉体Aを好適に撮影し、その粒径や粒度分布など正確に測定できるようになる。
【0025】
なお、造粒装置1の容器2内で製造される粉体Aが比較的重い場合や原料粉体が油状成分を含んでいる場合などは、攪拌によっては表面近傍においT粉体Aが容易に分散しなくなることがある。かかる場合は、空気供給源31を稼働させてセンサヘッド12の側方に配置したノズル30の先端から検出空間20に向かって空気流を導入すると良い。この空気流の導入により表面近傍の粉体Aを舞い上がらせ、分散させた状態で検出空間20内に入り込ませることによって粉体Aを撮影すれば、先と同様に粒径の測定ができるようになる。図示の形態では「J」の字形状のノズル30によって上向きに吹き上げる場合について説明したが、粉体Aの表面に向かって下向きに空気流を噴射させて粉体Aを分散させても良い。また、空気供給源31から供給する空気流の流量はレギュレーターで制御するが、造粒の進行に伴って次第に重くなる粉体Aを浮遊させることができるように、造粒の進行に伴って空気の流量を増やすように構成しても良い。
【0026】
図5に、本発明の他の実施の形態にかかるセンサヘッド40を示す。このセンサヘッド40も、先に図4で説明したセンサヘッド12と同様に、造粒装置1の容器2に揺動自在に懸吊されたアーム部材11の下端に取り付けられており、センサヘッド40は造粒装置1の容器2内で造粒される粉体Aの表面近傍に常に位置するように構成されている。
【0027】
但しこのセンサヘッド40は、左右に分割されたセンサヘッド左ケース41とセンサヘッド右ケース42を備えており、スライド部43を介してそれらセンサヘッド左ケース41とセンサヘッド右ケース42を互いに近付けたり、離すように移動させることによって、センサヘッド40の下面中央の検出空間45の容積を狭めたり、広げたりすることができるようになっている。また、そのような検出空間45の両側を挟むようにして対向配置されているレンズ46の内面側とスクリーン47の内面側には、何れも隙間48、49が形成されており、センサヘッド右ケース42の上面に接続された管50を介してセンサヘッド40内部に導入した空気を、その隙間48、49から検出空間45内に向かって噴出させることができるように構成されている。
【0028】
なおセンサヘッド40のその他の構成は、先に図4で説明したセンサヘッド12とほぼ同様であるので、図5において図4で説明した構成要素と同じものについては図4と同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0029】
さて、このセンサヘッド40にあっては、スライド部43でセンサヘッド左ケース41とセンサヘッド右ケース42をスライド移動させて検出空間45の容積を変えることにより、検出空間45内に入り込む粉体Aの量を調整することができる。従って、例えば粉体Aが軽くて分散しやすく、検出空間45内に入り込む粉体Aが多いときは、センサヘッド左ケース41とセンサヘッド右ケース42を互いに近付けるように移動させて、検出空間45の容積を狭めればよい。逆に、例えば粉体Aが重くて浮遊しにくく、出空間45内に入り込む粉体Aが少ないときは、センサヘッド左ケース41とセンサヘッド右ケース42を互いに離すように移動させて、検出空間45の容積を広げれば良い。また、このセンサヘッド40は、レンズ46とスクリーン47の内面に沿って空気を噴出させることができるので、レンズ46やスクリーン47の内面に原料粉体Aや造粒物が付着する心配がなく、撮影の邪魔とならないといった利点がある。
【0030】
【実施例】
本発明の粒径測定装置を用いて実際に粉体の粒径を測定した。その結果を図6に示す。なお、粉体の粒径は一定でなく大小様々であるので、粒径測定装置によって得た画像を解析して、体積基準で求めた50%平均粒径と、個数基準で求めた50%平均粒径をそれぞれ示した。また、篩い分け法によって求めた50%平均粒径も併せて示した。なお、この篩い分け法によって求める方法は質量基準とも呼ばれている。粉体の密度が一定であれば粉体粒子の体積に密度を乗ずれば質量となるので、体積基準と質量基準は一致する。しかし、実際には粉体の密度は造粒時間や粒径によって密度が異なるため、両者は同じ傾向を示すが完全には一致しない。本実施例では、粉体の密度を1g/cm3と仮定し、質量基準の傾向を体積基準でみることとした。
【0031】
ここで、体積基準とは、粉体の各粒径毎の頻度を体積で表した粒度分布であり、個数基準とは、粉体の各粒径毎の頻度を個数で表した粒度分布である。篩い分け法とは、造粒装置内よりサンプルとして取り出した粉体を篩を用いて等級分けし、粒度分布を調べる方法である。この篩い分け法により測定した粒度分布が最も真値に近いと考えられる。篩い分け法は、日本薬局方に収載の方法で従来から行われている方法でもある。50%平均粒径とは、その粒径よりも大きい粒径を持った粉体粒子の量が粉体全体に対して50%となる粒径である。
【0032】
図6を見れば分かるように、篩い分け法によれば、造粒時間が0〜約8分までの間は粉体の粒径が徐々に大きくなっており、この間では造粒が進んでいることが分かる。一方、約8分を経過した後は粉体の粒径が余り変化していない。約8分を経過した時点で造粒が終了したものと考えられる。
【0033】
また、体積基準で求めた50%平均粒径は、篩い分け法によって求めた50%平均粒径と殆ど同様の傾向となり、約8分を経過した時点で造粒が終了したことを示唆した。一方、個数基準で求めた50%平均粒径は全体に渡ってあまり大きな変化を示さない。この結果から、体積基準は真値と考えられる篩い分け法と非常によい相関性があるので、造粒装置のプロセス制御に好適に利用できると考えられる。また、医薬品業界では従来から質量基準で数値を扱う場合が多いが、重量と体積は比例関係にあるので、体積基準はその慣習にも一致している。一方、個数基準は変化が少なく判定しにくい。その理由は、粒子の個数は大きいものより小さいもののほうが圧倒的に多く、個数基準だと粒径が小さい方に引っ張られがちになり、平均粒子径としては数値的に大きな変化が見られなくなってしまうためと考えられる。但し、体積基準の欠点は、非常に大きい粒子が一つあると粒径が3乗されるために平均粒径も大きな値となり、小さい粒子がたくさんあっても無視されてしまうことになることである。この欠点を解消するために、例えば実験的に閾値を定め、ある大きさ以上の粒子は無視するように設定すると良い。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、造粒装置の攪拌に伴って粉体の表面近傍に分散して浮遊した状態で存在している粉体の粒子を撮影することによって、粉体の粒径の経時的変化を正確に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】造粒装置の全体図である。
【図2】粒径測定装置を拡大して示した斜視図である。
【図3】粒径測定装置の正面視図である。
【図4】センサヘッドを拡大して示した縦断面図である。
【図5】他の実施の形態にかかるセンサヘッドを拡大して示した縦断面図である。
【図6】実施例の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
A 粉体
1 造粒装置
6 上面
10 粒径測定装置
11 アーム部材
12 センサヘッド
20 検出空間
21 レンズ
22 スクリーン
23 光源
30 ノズル
Claims (9)
- 造粒装置で造粒物に造粒される粉体を撮影し、画像処理することによりその粒径を測定する装置において、
造粒装置内に揺動自在に吊り下げられたアーム部材と、
該アーム部材の下端に取り付けられた、造粒装置で造粒物に造粒される粉体を撮影するためのセンサヘッドと、
該センサヘッドで撮影した粉体を画像処理することによりその粒径を測定する画像処理装置を有することを特徴とする造粒物の粒径測定装置。 - 前記アーム部材の上端を、造粒装置の上面に対して揺動自在に装着した請求項1に記載の造粒物の粒径測定装置。
- 前記造粒装置が、撹拌造粒装置、転動造粒装置、遠心流動造粒装置または流動層造粒装置である請求項1または2に記載の造粒物の粒径測定装置。
- 前記画像処理装置が、体積基準または個数基準を用いて粉体の平均粒径を算出する請求項1〜3の何れかに記載の造粒物の粒径測定装置。
- 前記センサヘッドは、粉体を通過させる検出空間と、該検出空間内を通過する粉体に光を投光する投光手段と、該投光手段から投光された光を受光する受光手段とを有することを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の造粒物の粒径測定装置。
- 前記受光手段は、前記投光手段によって投光された光が粉体で遮られることによって作り出された陰影像を映し出すスクリーンを備えている請求項5に記載の造粒物の粒径測定装置。
- 前記検出空間が、前記センサヘッドの下面から上方に凹むように形成されている請求項5または6に記載の造粒物の粒径測定装置。
- 粉体を分散させる空気を噴出するノズルを設けた請求項5〜7の何れかに記載の造粒物の粒径測定装置。
- 前記投光手段が、光源から発せられた光を平行光にするレンズを備えている請求項5〜8の何れかに記載の造粒物の粒径測定装置。
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