JP3605267B2 - 内燃機関のバイパスエア制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は内燃機関のバイパスエア制御装置に関し、より具体的には内燃機関の吸気系のバイパスエア通路(2次空気通路あるいは補助空気通路)に配置されたバイパスエア制御バルブの開弁指令値の上限値の算出に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の吸気系にスロットルバルブをバイパスするバイパスエア通路を設け、そこを開閉するバイパスエア制御バルブを開弁してバイパスエア(2次空気)量を制御するバイパスエア制御装置において、バイパスエア制御バルブの開弁指令値を所定の上限値以下に制限することは例えば特公昭61−23377号公報記載の技術から知られている。
【0003】
上記した従来技術は、手動変速機車両においてドライブレンジでブレーキを作動させて停止するとき、運転状態によっては機関の出力トルクが増加し、運転者がブレーキペダル踏力を増加せざるを得ないなどの不都合を解消するために、機関無負荷状態で機関回転数が900rpm程度になるような制御量を上限値としている。
【0004】
また、同様に運転者の要求する出力トルク以上の出力トルクの発生を防止する意図から上限値を機関冷却水温に応じて可変に設定することも知られており、その場合には冷機時は完全暖機時に比較してフリクションが大きいため、上限値は低温側で増加するように設定されている。かかるバイパスエア制御の主目的はアイドル中に機関回転数を目標値にフィードバック制御する、あるいはエアコンディショナなどの補機の負荷によるロスを補正することであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近時、リーンバーン制御が種々提案されているが、リーンバーン制御にあっては空燃比を理論空燃比に制御する場合などに比し、スロットル開度が同一でも機関の出力トルクは低下する。その出力トルクの低下をバイパスエアによって補正しようとするとき、従来技術のように上限値を機関冷却水温の上昇につれて低くなるように設定すると、完全暖機時においてはバイパスエア量が不足する場合がある。
【0006】
即ち、従来技術のようにバイパスエア制御バルブの開弁指令値の上限値を機関冷却水温に関して設定すると、運転者の要求する以上の出力トルクの発生の防止と、出力トルクの補正とを両立させることができないと言う問題がある。この問題はリーンバーン制御に限らず、出力トルクの低下をバイパスエアによって補おうとするときに共通して生じる。
【0007】
従って、この発明の目的は上記した問題を解消し、リーンバーン制御の場合など、スロットル開度に対して出力トルクの低下が生じるときも出力トルクの低下をバイパスエアによって補正することを可能とすると共に、併せて運転者の要求する出力トルク以上に出力トルクを発生させないようにした内燃機関のバイパスエア制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は請求項1項にあっては、内燃機関の吸気系に設けられたスロットルバルブをバイパスするバイパスエア通路および前記バイパスエア通路に配設されたバイパスエア制御バルブを備え、前記バイパスエア制御バルブを介して前記内燃機関に供給するバイパスエア量を制御する内燃機関のバイパスエア制御装置において、前記内燃機関の運転状態に応じて前記バイパスエア制御バルブの開弁指令値を算出する開弁指令値算出手段、前記内燃機関の冷却水温を検出する機関冷却水温検出手段、前記検出された機関冷却水温に応じて前記開弁指令値の第1の上限値を算出する第1の上限値算出手段、前記内燃機関の吸気系に配置されたスロットルバルブの開度を検出するスロットル開度検出手段、前記検出されたスロットルバルブの開度に応じて前記開弁指令値の第2の上限値を算出する第2の上限値算出手段、前記第1の上限値と第2の上限値を比較して大きい方を選択する上限値選択手段、および前記選択された上限値以下において前記開弁指令値を決定する開弁指令値決定手段を備えると共に、前記第2の上限値は、前記スロットルバルブの開度が増加するにつれて増大するように設定される如く構成した。
【0009】
請求項2項にあっては、前記開弁指令値算出手段は、前記内燃機関の目標空燃比を理論空燃比よりリーン方向の値に制御するリーンバーン条件が成立しているか否かを判定するリーンバーン条件判定手段、および前記内燃機関の回転数を検出する機関回転数検出手段を備え、リーンバーン条件が成立していると判定されるとき、前記目標空燃比、前記検出されたスロットル開度および機関回転数に応じて前記開弁指令値を増加する補正項を算出する如く構成した。
【0010】
【作用】
請求項1項にあっては、リーンバーン制御の場合など、スロットル開度に対して出力トルクの低下が生じるときも出力トルクの低下をバイパスエアによって補正できると共に、併せて運転者の要求する出力トルク以上の出力トルクの発生を防止することができる。
【0011】
請求項2項にあっては、出力トルクの低下をバイパスエアによって一層確実に補正することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1はこの発明に係る内燃機関のバイパスエア制御装置を全体的に示す概略図であり、符合10は例えば4気筒の内燃機関の本体を示す。機関本体10には吸気管12が接続され、吸気管12の途中にはスロットルボディ14が設けられ、内部にスロットルバルブ16が配置される。
【0014】
スロットルバルブ16にはスロットル開度センサ(スロットル開度検出手段)18(図で「TH」と示す)が接続され、スロットル開度THに応じた信号を出力し、電子制御ユニット(以下「ECU」という)20に送出する。
【0015】
スロットルボディ14の下流で各気筒燃焼室(図示せず)の吸気弁(図示せず)の少し上流には燃料噴射弁24が設けられる。燃料噴射弁24は図示しない燃料ポンプに接続されると共に、ECU20に電気的に接続され、ECU20からの信号によって開弁時間が制御され、それに対応する燃料量を気筒に供給する。
【0016】
吸気管12において、前記燃料噴射弁24およびスロットルボディ14の間には、吸気管12内と大気とを連通するバイパスエア通路(2次空気通路)26が接続される。バイパスエア通路26の大気開口端にはエアクリーナ28が取り付けられると共に、その途中にはバイパスエア量(2次空気量)を調節するバイパスエア制御バルブ(EACV)30が配置される。
【0017】
バイパスエア制御バルブ30は常閉型であり、バイパスエア通路26の開度(開口面積)を連続的に変化させるバルブ本体30aと、そのバルブ本体30aを閉塞方向に付勢するスプリング30bと、通電時にバルブ本体30aをスプリング30bの付勢力に抗して開放方向に移動させる電磁ソレノイド30cからなる。
【0018】
前記スロットルボディ14のスロットルバルブ16の下流には分岐管32を介して絶対圧センサ34(図で「PBA」と示す)が設けられ、吸気管内絶対圧PBAに応じた信号を出力する。また内燃機関10の冷却水通路(図示せず)付近には機関冷却水温センサ(機関冷却水温検出手段)40(図で「TW」と示す)が設けられ、機関冷却水温TWに応じた信号を出力する。
【0019】
また、機関のカムシャフト(図示せず)などの回転部の付近にはクランク角センサ(機関回転数検出手段)42(図で「NE」と示す)が設けられ、特定気筒の所定クランク角度で気筒判別用のCYL信号を、各気筒の所定クランク角度でTDC信号を、前記所定クランク角度を細分した単位クランク角度でCRK信号を出力する。また、機関本体10の付近には大気圧センサ44が設けられ、内燃機関が位置する場所の大気圧に応じた信号を出力する。
【0020】
内燃機関の出力は前進4段後進1段の変速機構からなる自動変速機(図で「A/T」と示す)に接続され、内燃機関および自動変速機は一体的に車両(図示せず)に搭載される。車両のドライブシャフト(図示せず)の付近には車速センサ46が設けられてドライブシャフト1回転当たりに信号を出力すると共に、ブレーキ機構(図示せず)の付近にはブレーキスイッチ48が設けられ、ブレーキ機構の作動・非作動に応じた信号を出力する。
【0021】
前記した自動変速機の油圧パワーステアリング機構(図示せず)にはパワーステアリングスイッチ50が設けられ、パワーステアリング機構の作動・非作動に応じた信号を出力する。機関本体10には吸気弁および排気弁のリフト量および開閉タイミングを機関回転数(および機関負荷)に従って2分される高低2種の特性で切り換える、可変バルブタイミング機構(図で「V/T」と示す)が設けられる。可変バルブタイミング機構VTにはバルブタイミングセンサ52が設けられ、選択されているタイミング特性に応じた信号を出力する
【0022】
上記した絶対圧センサ34などの出力も、ECU20に送られる。ECU20はマイクロコンピュータからなり、入力回路20a、CPU20b、記憶手段20c、および出力回路20dを備える。入力回路20aは、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号をデジタル信号に変換する。CPU20bはクランク角センサ42の出力するCRK信号をカウントして機関回転数NEを算出すると共に、車速センサ46の出力をカウントして車速Vを算出する。
【0023】
また、CPU20bは記憶手段20cに格納されたプログラムに従って前記したバイパスエア制御バルブ(EACV)30の開弁指令値(通電電流指令値)ICMDを決定し、出力回路20dを介して電磁ソレノイド30cに供給してその開度(開口面積)を調節し、バイパスエア(2次空気)量を制御する。尚、図示の装置にあっては、ICMDと、バイパスエア通路26を通って吸気管12に供給される2次空気量とは比例関係にあるように構成される。
【0024】
次いでこの発明に係る内燃機関のバイパスエア制御装置の動作を説明する。
【0025】
図2はその動作を示すメイン・フロー・チャートである。尚、図示のプログラムは各気筒TDCなどの所定クランク角度で起動される。
【0026】
以下説明すると、先ずS10において機関が始動モードにあるか否か判断する。これは、例えばイグニションスイッチがオンしたか、あるいはクランキングモータが作動しているか否かを検出することで行う。S10で肯定されるときはS12に進んでフラグF.FB(後述)のビットを零にリセットし、S14に進んで開弁指令値ICMDを始動モードの式に従って算出する。具体的には以下の通り算出する。
【0027】
ICMD=(ICRST+ILOAD)×KIPA+IPA
上記で、ICRST:始動モードの基本値、ILOAD:パワーステアリングなどの各種の負荷の補正項、KIPA,IPA:大気圧による充填効率を補償するための補正項、である。
【0028】
S10で否定されるときはS16に進んでフラグF.THIDLEのビットが1か否か判断する。このフラグのビットはスロットル開度が全閉相当の所定開度(例えば5度)以下にあるとき0にリセットされ、それ以上の高開度にあるとき1にセットされる。
【0029】
S16で肯定されるときはS18に進んで前記フラグF.FBのビットを0にリセットし、S20に進んで検出した機関回転数NEが所定回転数NG(例えば6000rpm)を超えるか否か判断し、肯定されるときはS22に進んで休止モードの式に従って開弁指令値ICMDを算出する(説明省略)。
【0030】
他方、S20で否定されるときはS24に進んで目標空燃比に応じたエア補正項IAFを算出する。
【0031】
図3はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0032】
以下説明すると、S100において目標空燃比を理論空燃比よりリーン側の値に制御するリーンバーン条件が成立しているか否か判断し、肯定されるときはS102に進んで検出したスロットル開度THから予め設定したIAF1,2テーブルを検索し、IAF1,IAF2を算出する。
【0033】
図4(A)にそのテーブルの特性を示す。図示の如く、IAF1,2はスロットル開度に対して設定されると共に、IAF1は高回転域に対応してエア量(流量)が増加するように高く設定され、IAF2は低回転域に対応するように比較的低く設定される。尚、IAF1,2の値a,bは共に、スロットル全閉時にIAFが0となるように設定されると共に、スロットル開度の増加に応じて増大するように設定される。
【0034】
次いでS104に進み、図4(B)に示す如く、所定の高低回転数NEIAF1,2の間に検出した機関回転数NEの補間値NEBを求め、求めた補間値NEBに対応する前記したIAF1,2の値IAF0を算出する。
【0035】
次いでS106に進んで目標空燃比がリーン方向の値に今回切り換えられたばかりか否か判断し、肯定されるときはS108に進んで目標空燃比KLSAF(n)を所定値KLSIAFSJとし、図4(C)に示す如く、所定の目標空燃比KLSIAF1,2の間に所定値KLSIAFSJの補間値KLSAFを求め、求めた補間値KLSAFに対応するIAFの値を算出する。
【0036】
尚、この明細書および図面において、nは離散系のサンプル番号、具体的には図2フロー・チャートの起動周期(演算周期)、より具体的には今回(現在)の起動周期(演算周期)を示し、n−mはそれよりm回前の起動周期(演算周期)を示す。ただし、演算周期が重要でない場合にはその付記を省略する。また、目標空燃比は当量比で示す。
【0037】
他方、S106で否定されるときはS110に進んで実際の目標空燃比KLSAF(n)を用いて補間演算し、IAFの値を算出する。また、S100で否定されるときはS112に進んでIAFを零とする。
【0038】
図3の処理について図5を参照して説明すると、リーンバーン条件が成立し、目標空燃比KLSAFが理論空燃比(当量比1.0)から図示のようにリーン方向に切り替えられると、機関の出力トルクは、この補正項IAFがないとき、破線イで示すように低下する。
【0039】
そこで、補正項IAFを同図に符号ロで示す如く算出するようにした。補正項IAFは目標空燃比KLSAFがリーン方向に増加するに従って増大するように算出すると共に、機関運転状態、より詳しくはスロットル開度THおよび機関回転数NEに応じて補正し、運転状態に応じてバイパスエアで出力低下を一層確実に補正できるように設定する。
【0040】
図2の説明に戻ると、次いでS26に進んで開弁指令値ICMDをフィードバックモードの式に基づいて算出する。これは、前記したフラグF.FBのビットが1か0によって以下のように行われる。
F.FBのビットが1にセットされているとき
ICMD=(IFBn+ISA+ILOAD)×KIPA+IPA
F.FBのビットが0にリセットされているとき
ICMD=(IFBn+IDP+ILOAD+IAF)×KIPA+IPA
【0041】
上記で、IFBn:所定の目標回転数との偏差に応じて(今回)算出されるフィードバック補正項、ISA:機関回転数の変化量に応じて設定される増加補正項、IDP:減速時にオーバーリッチを回避するためのスロットルバルブ急閉を防止するダッシュポット制御に対応する補正項、である。
【0042】
尚、この発明の要旨はICMDの上限値の算出にあるので、前記したISA、IDPなどの詳細な説明は省略する。
【0043】
次いでS28に進み、センサなどにフェールが検知されているか、あるいは機関冷却水温TWなどのセンサ出力A/D変換値がリミットに達しているか否か判断し、肯定されるときはS30に進んでICMDを所定のフェールモードの式に従って算出する。具体的には、以下の通り算出する。
ICMD=(ITW+IXREFM+ILOAD)×KIPA+IPA
上記で、ITW:機関冷却水温TWに基づいて決定される基本値、IXREFM:学習補正項、である。
【0044】
他方、S16で否定されるときはS32に進んでIAFを零とし、S34に進んでフラグF.NAのビットが0にリセットされているか否か判断する。フラグF.NAは、機関回転数NEがアイドル判別回転数NA未満に下降したとき、そのビットが零にリセットされる。
【0045】
S34で肯定されるときはS36に進んで前記フラグF.FBのビットを1にセットしてS26に進むと共に、S34で否定されるときはS38に進んで前記した補正項ISAの値が零以下か否か判断する。
【0046】
S38で否定されるときはS36に進むと共に、肯定されるときはS40に進んで前記フラグF.FBのビットを0にリセットし、S42に進んでIDECを算出する。IDECは、スロットル全閉減速時に吸気負圧が大きい(即ち、絶対圧が小さい)と油圧消費が増加するため、その防止策として設定される減速エア補正項である。
【0047】
図6はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0048】
以下説明すると、S200において検出した機関回転数NEがNIDEC(例えば1000rpm)を超えるか否か判断し、否定されて比較的低回転にあると判断されるときはS202に進んでIDECの値を零とする。他方、肯定されて比較的高回転にあると判断されるときはS204に進んでフューエルカットか否か判断する。
【0049】
S204で否定されるときはS202に進むと共に、肯定されるときはS206に進んで機関冷却水温TWが所定水温TWIDECを超えるか否か判断する。S206で否定されるときはS202に進むと共に、肯定されるときはS208に進んで検出車速Vが所定車速VIDEC(例えば5km/h)を超えるか否か判断し、S208で否定されるときはS202に進む。
【0050】
他方、肯定されるときはS210に進んでダッシュポット補正項IDPの値が零か否か判断し、否定されるときはS202に進むと共に、肯定されるときはS212に進んでスロットル全閉負荷項IBSTPの値が零か否か判断する。S212で否定されるときはS202に進むと共に、肯定されるときはS214に進む。即ち、減速エア補正項IDECは、ダッシュポット補正項IDPとスロットル全閉負荷項IBSTPとは重複しないように設定する。
【0051】
続いてS214に進んでフラグF.VTECから可変バルブタイミング機構VTで高速側の特性(HiV/T)と低速側の特性(LoV/T)のいずれが選択されているか判断し、判断結果に応じてS216あるいはS218に進んで対応するテーブルを検出した機関回転数NEで検索し、減速エア補正項IDECを算出する。図7にそのテーブルの特性を示す。機関回転数が高いほど減速度が大きいことから、IDECは図示の如く、機関回転数に比例して増加するように設定する。
【0052】
図2の説明に戻ると、次いでS44に進んで算出した補正項IDECの値が零か否か判断し、肯定されるときはS26に進むと共に、否定されるときはS46に進み、開弁指令値ICMDをDECモードの式に従って算出する。より詳しくは以下のように算出する。
ICMD=(IDEC+IXREF)×KIPA+IPA
上記で、IXREF:学習補正項である。
【0053】
次いで、上記の如くして算出された開弁指令値ICMDについてS48に進み、リミット(上限値)チェックを行う。
【0054】
図8はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0055】
以下説明すると、S300において算出した開弁指令値ICMDが零以下か否か判断し、肯定されるときはS302に進み、零未満の値はあり得ないので、開弁指令値ICMDを零に決定する。
【0056】
S300において否定されるときはS304に進み、検出した機関冷却水温TWから図9にその特性を示すテーブルを検索し、第1の上限値ICMDLMHを算出する。次いでS306に進み、検出したスロットル開度THから図10に示すテーブルを検索し、第2の上限値ICMDTHHを算出する。
【0057】
図9に示す如く、ICMDLMHは本来的な上限値であり、冷機時は完全暖機時に比較してフリクションが大きいため、上限値は低温側で大きく、機関冷却水温が上昇するにつれて減少するように設定される。具体的には、例えば各水温において無負荷で2500rpmを超えないような値に設定される。
【0058】
第2の上限値ICMDTHHは先に述べた如く、出力トルクの低下をバイパスエアによって補正することを意図することから、スロットル開度THが増加するにつれて増大するように設定される。具体的には、例えば完全暖機時においてスロットル全閉時に無負荷で2500rpmを超えないような値に設定される。
【0059】
尚、図9におけるICMDLMHの完全暖機時の値(図にaで示す)と、図10におけるICMDTHHのスロットル全閉時の最小値(図にeで示す)は同一値に設定される。
【0060】
次いでS308に進んで今回算出した第1の上限値ICMDLMHnが今回算出した第2の上限値ICMDTHHnより大きいか否か判断し、肯定されるときはS310に進み、第1の上限値ICMDLMHnを上限値として選択し、算出した開弁指令値ICMDが第1の上限値ICMDLMHn以上か否か判断する。S310で否定されるときは算出したICMDに決定すると共に、肯定されるときはS312に進んで第1の上限値ICMDLMHnを開弁指令ICMDとして決定する。
【0061】
他方、S308で否定されるときはS314に進んで算出した開弁指令値ICMDが第2の上限値ICMDTHHn以上か否か判断し、否定されるときは算出したICMDに決定すると共に、肯定されるときはS316に進んで第2の上限値ICMDTHHnを開弁指令値ICMDとして決定する。
【0062】
尚、これに基づいて図示しないサブルーチンにおいて、かく決定された開弁指令値ICMDがバイパスエア制御バルブ30に供給される。また、開弁指令値ICMDから推定されるバイパスエア量に対応するように、図示しない燃料噴射量演算において燃料噴射量が決定されるが、この発明の要旨と直接の関連を有しないため、その説明は省略する。
【0063】
この実施の形態においては、検出された機関冷却水温TWに応じて第1の上限値ICMDLMHを検索(算出)すると共に、スロットル開度THに応じて第2の上限値LCMDTHHを検索(算出)し、第1の上限値と第2の上限値を比較して大きい方を選択し、その上限値以下においてICMD(通電指令値あるいは開弁指令値)を決定するようにした。
【0064】
従って、リーンバーン制御などにあって理論空燃比に制御される場合に比して同一スロットル開度でも機関の出力トルクが低下するときも、上限値が増加させられることから、出力トルクの低下をバイパスエアによって補正することができると共に、運転者の要求する出力トルク以上の出力トルクの発生も防止することができ、両者を最適に両立させることができる。
【0065】
さらに、リーンバーン制御(条件)下にあっては、目標空燃比、スロットル開度および機関回転数に応じて目標空燃比に応じたエア補正項IAFを算出するので、出力トルクの低下をバイパスエアによって一層確実に補正することができる。
【0066】
ここで、前記した特許請求の範囲の記載に対応して述べると、この実施の形態においては、内燃機関の吸気系(吸気管12)に設けられたスロットルバルブ16をバイパスするバイパスエア通路26および前記バイパスエア通路に配設されたバイパスエア制御バルブ30を備え、前記バイパスエア制御バルブ30を介して前記内燃機関に供給するバイパスエア量を制御する内燃機関のバイパスエア制御装置において、前記内燃機関の運転状態に応じて前記バイパスエア制御バルブの開弁指令値ICMDを算出する開弁指令値算出手段(図2のS10ないしS46)、前記内燃機関の冷却水温TWを検出する機関冷却水温検出手段(機関冷却水温センサ40)、前記検出された機関冷却水温TWに応じて前記開弁指令値の第1の上限値LCMDLMHを算出する第1の上限値算出手段(図8のS304)、前記内燃機関の吸気系に配置されたスロットルバルブの開度THを検出するスロットル開度検出手段(スロットル開度センサ18)、前記検出されたスロットルバルブの開度THに応じて前記開弁指令値の第2の上限値ICMDTHHを算出する第2の上限値算出手段(図8のS306)、前記第1の上限値と第2の上限値を比較して大きい方を選択する上限値選択手段(図8のS308)、および前記選択された上限値以下において前記開弁指令値ICMDを決定する開弁指令値決定手段(図8のS310ないしS316)を備える如く構成した。
【0067】
また、前記開弁指令値算出手段は、前記内燃機関の目標空燃比を理論空燃比よりリーン方向の値に制御するリーンバーン条件が成立しているか否かを判定するリーンバーン条件判定手段(図3のS100)、および前記内燃機関の回転数を検出する機関回転数検出手段(クランク角センサ42)を備え、リーンバーン条件が成立していると判定されるとき、前記目標空燃比、前記検出されたスロットル開度および機関回転数に応じて前記開弁指令値を増加する補正項IAFを算出する(図3のS102ないしS110)如く構成した。
【0068】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、リーンバーン制御の場合など、スロットル開度に対して出力トルクの低下が生じるときも出力トルクの低下をバイパスエアによって補正できると共に、併せて運転者の要求する出力トルク以上の出力トルクの発生を防止することができる。
【0069】
請求項2項にあっては、出力トルクの低下をバイパスエアによって一層確実に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る内燃機関のバイパスエア制御装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1に示す装置の動作を示すメインフロー・チャートである。
【図3】図2フロー・チャートの目標空燃比に応じたエア補正項の算出作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図4】図3の算出作業で使用されるテーブル特性を示す説明グラフである。
【図5】図3の処理を説明する説明グラフである。
【図6】図2フロー・チャートの減速エア補正項の算出作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図7】図6フロー・チャートの算出作業で使用されるテーブル特性を示す説明グラフである。
【図8】図2フロー・チャートの開弁指令値のリミット(上限値)チェック作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図9】図8のリミットチェック作業で使用されるテーブル特性を示す説明グラフである。
【図10】同様に図8のリミットチェック作業で使用されるテーブル特性を示す説明グラフである。
【符号の説明】
10 機関本体
12 吸気管
16 スロットルバルブ
18 スロットル開度センサ(スロットル開度検出手段)
20 ECU
26 バイパスエア通路
30 バイパスエア制御バルブ
40 機関冷却水温センサ(機関冷却水温検出手段)
42 クランク角センサ(機関回転数検出手段)
Claims (2)
- 内燃機関の吸気系に設けられたスロットルバルブをバイパスするバイパスエア通路および前記バイパスエア通路に配設されたバイパスエア制御バルブを備え、前記バイパスエア制御バルブを介して前記内燃機関に供給するバイパスエア量を制御する内燃機関のバイパスエア制御装置において、
a.前記内燃機関の運転状態に応じて前記バイパスエア制御バルブの開弁指令値を算出する開弁指令値算出手段、
b.前記内燃機関の冷却水温を検出する機関冷却水温検出手段、
c.前記検出された機関冷却水温に応じて前記開弁指令値の第1の上限値を算出する第1の上限値算出手段、
d.前記内燃機関の吸気系に配置されたスロットルバルブの開度を検出するスロットル開度検出手段、
e.前記検出されたスロットルバルブの開度に応じて前記開弁指令値の第2の上限値を算出する第2の上限値算出手段、
f.前記第1の上限値と第2の上限値を比較して大きい方を選択する上限値選択手段、
および
g.前記選択された上限値以下において前記開弁指令値を決定する開弁指令値決定手段、
を備えると共に、前記第2の上限値は、前記スロットルバルブの開度が増加するにつれて増大するように設定されることを特徴とする内燃機関のバイパスエア制御装置。 - 前記開弁指令値算出手段は、
h.前記内燃機関の目標空燃比を理論空燃比よりリーン方向の値に制御するリーンバーン条件が成立しているか否かを判定するリーンバーン条件判定手段、
および
i.前記内燃機関の回転数を検出する機関回転数検出手段、
を備え、リーンバーン条件が成立していると判定されるとき、前記目標空燃比、前記検出されたスロットル開度および機関回転数に応じて前記開弁指令値を増加する補正項を算出することを特徴とする請求項1項記載の内燃機関のバイパスエア制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24609897A JP3605267B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | 内燃機関のバイパスエア制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP24609897A JP3605267B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | 内燃機関のバイパスエア制御装置 |
Publications (2)
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JPH1162660A JPH1162660A (ja) | 1999-03-05 |
JP3605267B2 true JP3605267B2 (ja) | 2004-12-22 |
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ID=17143469
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP24609897A Expired - Fee Related JP3605267B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | 内燃機関のバイパスエア制御装置 |
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JP (1) | JP3605267B2 (ja) |
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EP1331385A1 (en) * | 2000-10-30 | 2003-07-30 | Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha | Sailing control device |
-
1997
- 1997-08-27 JP JP24609897A patent/JP3605267B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH1162660A (ja) | 1999-03-05 |
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