JP3604782B2 - 持続性注射剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は生理活性物質を含有し、その体内における有効濃度を長時間保つことができる注射剤に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
生理活性物質、例えば、ヒト成長ホルモン、インターフェロン、インスリン、インスリン様成長因子などは、ほとんどが注射剤としてのみ用いられている。しかも、これら生理活性物質の多くは、血中半減期が短いために、治療上頻回の投与を余儀なくされ、その結果、苦痛、通院の必要性などにより患者に大きな負担を強いているのが現状である。そこで、これらの生理活性物質を持続性注射剤とすることにより、投与回数を減少させ、注射による患者の負担を軽減し、治療効果を高めることが要望される。
【0003】
生理活性物質の多くは、その安定性、吸収性の低さから注射による投与に頼ってきたが、近年注射に替わる投与方法の検討が行われている。例えば、点眼投与<糖尿病学会抄録集237(1964)>、直腸内投与<J.Pharm.Pharmaco.,33, 334(1981)>、イオントフォレーシスによる経皮投与、鼻腔内投与<Int.J.Pharm.,57, 49−54(1989)>、経肺投与<J.Pharm.Sci.,83(6),863−867(1994)>などがあげられる。しかし、これらの投与方法は、いずれも吸収が悪い、吸収が変動しやすい、注射に比べて高投与量が必要、あるいは、安全性に問題があることなどの難点があるために、実用化は難しい状況にある。しかし、持続性注射剤には、乳酸/グリコール酸共重合体マイクロスフェアー中にLH−RHを含有させた特開平4−321622、特開平5−112468にある徐放性マイクロカプセルがすでに実用化されている。また、コラーゲン、フィブリン、キトサン、アルブミンなどの高分子中インスリン、インターフェロンなどの生理活性物質を含有させた持続性注射剤が検討されている。こういった高分子マイクロカプセル以外では、Drug Delivery System,5(2),95−99(1990)に見られる、疎水性シクロデキストリン(heptakis(2,6−di−O−ethyl)−β−cyclodextrin)と酢酸ブセレリンの複合体を植物油(落花生油)中に分散させた持続性注射剤がある。
【0004】
乳酸/グリコール酸共重合体をカプセル原料とする場合、モノマーである乳酸とグリコール酸の重合割合そしてその重合度を変えることで目的とする薬物溶出を示す共重合体を合成する。そしてその高分子を用いて乳化法により、油中水(W/O)型エマルジョンを作り、その後、油中水中油(W/O/W)型エマルジョンを形成させ、水中乾燥法によりマイクロカプセルを形成させる。できたマイクロカプセルを回収し、洗浄後に凍結乾燥を行う。このように、製品として生産する場合に、作業行程が多く、それぞれの行程での細かな条件設定が必要となり、その管理に時間と労力を要する。そしてこの様な乳化法によりマイクロカプセルを調製する場合、有機溶剤を用いることが多くなる。製造工程での有機溶剤の使用は、最終製剤中への溶剤の残留、作業環境、除去有機溶剤の回収など、多くの問題が生ずる。さらにこの製法では、水を必ず使用するために、水溶液での安定性の低い生理活性物質を主薬として用いる場合には適さない。
疎水性シクロデキストリンのように特殊な化合物を用いると、安定した品質の化合物を長期にわたり、大量に入手することが難しく、コストもかかる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するため鋭意研究を行った結果、ポリエチレングリコール(マクロゴール)微粒子またはプロピレングリコール微粒子中に、水溶性の生理活性物質を溶解または分散させ、植物油中に分散させることで、製剤からの生理活性物質の溶出を抑制することが可能であることを見いだし、この発見に基いて本発明を確立した。
【0006】
すなわち、本発明は、生理活性物質をその中に溶解または分散させたポリエチレングリコールの微粒子またはプロピレングリコールの微粒滴を薬学的に許容されうる植物油中に分散させてなる持続性注射剤に関する。
【0007】
本発明で用いられる生理活性物質としては、通常分子量100,000までのものが好ましい。該生理活性物質は一般にペプチド系であり、その具体例としては、たとえばヒト成長ホルモン、ソマトスタチン、ソマトスタチン誘導体(米国特許第4,087,390号、同第4,093,574号、同第4,253,998号参照)、インターフェロン(α型、β型、γ型)、インターロイキン(I、II、III 、IV、V、VI、VII )、インスリン、SOD、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー形成刺激因子、カリクレイン、リゾチームおよび各種細胞増殖・分化因子〔たとえば、インスリン様増殖因子、上皮増殖因子、繊維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、神経成長因子、肝細胞増殖因子、血管新生因子、血管新生阻害因子、フィブロネクチンなど〕などがあげられる。
【0008】
本発明で用いるポリエチレングリコール(マクロゴールとも呼ばれる)の平均分子量は、400−20000のものがよく、平均分子量4000が好ましい。ポリエチレングリコールまたはプロピレングリコールの量は、1−10%(w/v)が望ましく、多く加えると含有させた生理活性物質の溶出は早くなる。
【0009】
本発明の注射剤を調製する段階において、ポリエチレングリコール粒子またはプロピレングリコール粒滴が植物油中で凝集するのを防ぎ安定性を高めるために非イオン界面活性剤を添加するのが望ましい。非イオン界面活性剤としては、たとえば、ポリソルベート80(Tween80(商標))、ポリオキシエチレンひまし油誘導体(HCO−60(商標))、セスキオレイン酸ソルビタン(Arlacel C(商標))、リン脂質類などが用いられる。これらは単一物でも混合物でもよい。非イオン界面活性剤は植物油中に約0.5−10%(w/v)添加するのが好ましい。
【0010】
さらに、保存状態におけるポリエチレングリコール粒子またはプロピレングリコール粒滴の沈降および凝集を防ぎ、かつ注射後生体中において製剤からの生理活性物質の溶出速度を抑制するために植物油にステアリン酸アルミニウムを加えるのがよい。ステアリン酸アルミニウムはステアリン酸モノ(ジ、またはトリ)ステアリン酸アルミニウムの形で用いられる。ステアリン酸アルミニウムの添加量を増加すれば薬物の溶出速度を逆に減少させることができる。ステアリン酸アルミニウムの好ましい添加量は一般に5%(w/v)以下である。
【0011】
これらの原料と主薬である生理活性物質を攪拌容器中に秤取し高速ホモジナイザーにて、高回転数で2−4分間攪拌する。この時に発生する熱を利用し、ポリエチレングリコール(マクロゴール)を溶融させ、溶融したポリエチレングリコール中へ生理活性物質を溶解または分散させることができる。
【0012】
この時、プロピレングリコールまたは、平均分子量が400であるポリエチレングリコール400(マクロゴール400)などの常温で溶液状態のものを用いた場合には、攪拌容器を冷却しながら行うのがよい。この段階で製剤となる。平均分子量1000以上のポリエチレングリコールを用いた場合、続いて高速ホモジナイザーの回転数をおとし、容器を冷却しながら攪拌すれば、この操作でポリエチレングリコールの凝固点以下まで温度を下げることができ生理活性物質を含有するポリエチレングリコール微粒子を植物油中に形成させることができる。
したがって、短い製造工程かつ簡便な操作で本発明の注射剤を製造することができる。
【0013】
【実施例】
以下に比較例、参考例および実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0014】
比較例1
ヒト成長ホルモン16mg、Arlacel C 0.2gを容器に秤取し、モノステアリン酸アルミニウム無添加の落花生油10mlを加え、高速ホモジナイザー(ヒスコトロン、日音医理科器械製作所)にて、20,000rpmで2分間処理し注射剤を得た。この注射剤について、イン ビトロ(in vitro)での注射剤からのヒト成長ホルモンの溶出試験を行った。50mlのガラス製ビーカーに水層である0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)を10.0mlを入れ、その上に油層である注射剤を重層し、両層とも150rpmで攪拌しながら、37℃での水層中へのヒト成長ホルモンの溶出を調べた。なお水層中へ溶出したヒト成長ホルモン量は、HPLC法にて測定し結果を図1に示した。溶出試験開始8時間後において、38%しかヒト成長ホルモンが製剤中に残留していなかった。
また本製剤をラット(雄性、Wistar)をエーテル麻酔下、腹側部皮下に、ラット体重1kgあたり1.25ml投与した。投与0.5、1、2、4、6、10、24時間後に頸静脈より採血し、血清を得た。血清中のヒト成長ホルモン濃度をELISA法により測定し結果を図2に示す。平均滞留時間(MRT)は、3.29±1.72時間、最高血中濃度は、495.31±71.66μg/ml、血中濃度曲線下面積は、2510.98±920.55ng・h/mlであった。
【0015】
比較例2
ヒト成長ホルモン16mg、Arlacel C 0.2gを容器に秤取し、2%(W/W)モノステアリン酸アルミニウム含有落花生油10mlを加え、高速ホモジナイザー(ヒスコトロン、日音医理科器械製作所)にて、20,000rpmで2分間処理し注射剤を得た。この注射剤について、比較例1と同様の溶出試験を行い、結果を図1に示した。溶出試験開始8時間後において、71%のヒト成長ホルモンが製剤中に残留していた。
【0016】
実施例1
ヒト成長ホルモン16mg、ポリエチレングリコール4000(マクロゴール4000)0.5g、Arlacel C 0.2g、2%(W/W)モノステアリン酸アルミニウム含有落花生油10ml、高速ホモジナイザー(ヒスコトロン、日音医理科器械製作所)にて、20,000rpmで3分間処理し、続いて容器を氷冷しながら15,000rpmで4分間処理することにより注射剤を得た。この注射剤について、比較例1と同様の溶出試験を行い、結果を図1に示した。溶出試験開始8時間後においても、88%のヒト成長ホルモンが製剤中に残留していた。
また本製剤を比較例1と同様にラットに皮下投与した結果を図3に示す。最高血中濃度は、41.84±13.16μg/mlであった。
【0017】
実施例2
ヒト成長ホルモン16mg、プロピレングリコール0.5g、ArlacelC 0.1gを容器に秤取し、0.5%(W/W)モノステアリン酸アルミニウム含有落花生油10mlを加え、高速ホモジナイザー(ヒスコトロン、日音医理科器械製作所)にて、20,000rpmで2分間処理することにより注射剤を得た。この注射剤について、比較例1と同様の試験を行い、結果を図1に示した。溶出試験開始8時間後においても、94%のヒト成長ホルモンが製剤中に残留していた。
【0018】
また本製剤を比較例1と同様にラットに皮下投与した結果を図3に示す。最高血中濃度は、91.98±7.16μg/mlであった。
【0019】
【図1】
【0020】
比較例3
ヒト成長ホルモン16mgを0.9%塩化ナトリウム溶液10.0mlに溶解させ、ヒト成長ホルモン溶液を得た。これをラット(雄性、Wistar)にエーテル麻酔下、腹側部皮下に、ラット体重1kgあたり1.25ml投与した。投与0.5、1、2、4、6、10、24時間後に頸静脈より採血し、血清を得た。血清中のヒト成長ホルモン濃度をELISA法により測定し結果を図2、3に示す。平均滞留時間(MRT)は、1.75±0.98時間、最高血中濃度は、552.28±42.37μg/ml、血中濃度曲線下面積は、1711.38±245.23ng・h/mlであった。
【0021】
実施例3
ヒト成長ホルモン16mg、ポリエチレングリコール4000(マクロゴール4000)0.5g、Arlacel C 0.2gを容器に秤取し、モノステアリン酸アルミニウムを含有しない落花生油10mlを加え、高速ホモジナイザー(ヒスコトロン、日音医理科器械製作所)にて、20,000rpmで3分間処理し、続いて容器を氷冷しながら15,000rpmで4分間処理することにより注射剤を得た。これを比較例3と同様にラット皮下に投与した結果を図2に示す。平均滞留時間(MRT)は、4.27±1.63時間、最高血中濃度は、350.12±111.35μg/ml、血中濃度曲線下面積は、2054.29±641.94ng・h/mlであった。
【0022】
実施例4
ヒト成長ホルモン16mg、ポリエチレングリコール4000(マクロゴール4000)0.5g、Arlacel C 0.2gを容器に秤取し、0.1%(W/W)モノステアリン酸アルミニウム含有落花生油10mlを加え、高速ホモジナイザー(ヒスコトロン、日音医理科器械製作所)にて、20,000rpmで3分間処理し、続いて容器を氷冷しながら15,000rpmで4分間処理することにより注射剤を得た。これを比較例3と同様にラット皮下に投与した結果を図2に示す。平均滞留時間(MRT)は、7.47±5.12時間、最高血中濃度は、260.19±58.36μg/ml、血中濃度曲線下面積は、2174.92±736.03ng・h/mlであった。
【0023】
実施例5
ヒト成長ホルモン16mg、ポリエチレングリコール4000(マクロゴール4000)0.5g、Arlacel C 0.2gを容器に秤取し、0.2%(W/W)モノステアリン酸アルミニウム含有落花生油10mlを加え、高速ホモジナイザー(ヒスコトロン、日音医理科器械製作所)にて、20,000rpmで3分間処理し、続いて容器を氷冷しながら15,000rpmで4分間処理することにより注射剤を得た。これを比較例3と同様にラット皮下に投与した結果を図2に示す。平均滞留時間(MRT)は、5.17±1.10時間、最高血中濃度は、228.51±20.65μg/ml、血中濃度曲線下面積は、2054.95±576.51ng・h/mlであった。
【0024】
実施例6
ヒト成長ホルモン16mg、ポリエチレングリコール4000(マクロゴール4000)0.5g、Arlacel C 0.2gを容器に秤取し、0.5%(W/W)モノステアリン酸アルミニウム含有落花生油10mlを加え、高速ホモジナイザー(ヒスコトロン、日音医理科器械製作所)にて、20,000rpmで3分間処理し、続いて容器を氷冷しながら15,000rpmで4分間処理することにより注射剤を得た。これを比較例3と同様にラット皮下に投与した結果を図2に示す。平均滞留時間(MRT)は、6.22±2.81時間、最高血中濃度は、97.87±33.17μg/ml、血中濃度曲線下面積は、770.38±382.65ng・h/mlであった。
【0025】
【図2】
【0026】
実施例7
ヒト成長ホルモン16mg、プロピレングリコール0.5g、ArlacelC 0.1gを容器に秤取し、1%(W/W)モノステアリン酸アルミニウム含有落花生油10mlを加え、高速ホモジナイザー(ヒスコトロン、日音医理科器械製作所)にて、20,000rpmで2分間処理することにより注射剤を得た。これを比較例3と同様にラット皮下に投与した結果を図3に示す。最高血中濃度は、13.73±1.12μg/mlであった。
【0027】
【図3】
【0028】
参考例1(正常ラット群)
無処置ラットで、試験期間中は、餌、水を自由に摂取させた。頸骨骨端軟骨の幅は、233.7±17.4μmであった。結果のまとめを表1に示す。
【0029】
比較例4(連続投与群)
3週令のラット(雄性、Wistar)の下垂体を摘出し、術後12日での体重増加が15g以下の健康なラットを用いた。ヒト成長ホルモン5.1mgを7%炭酸水素ナトリウム溶液に溶かし、20mlの溶液とし、それをさらに、7%炭酸水素ナトリウム溶液で60倍希釈して10mIU/ml溶液を得た。これを0.5ml(hGH:5mIU)を1日1回6日間連続投与した。その結果、頸骨骨端軟骨の幅は、228.4±16.2μmであった。結果のまとめを表1に示す。
【0030】
参考例2(連続投与コントロール群)
3週令のラット(雄性、Wistar)の下垂体を摘出し、術後12日での体重増加が15g以下の健康なラットを用いた。7%炭酸水素ナトリウム溶液0.5mlを1日1回6日間連続投与した。その結果、頸骨骨端軟骨の幅は、184.7±15.9μmであった。結果のまとめを表1に示す。
【0031】
実施例8(週2回投与群)
3週令のラット(雄性、Wistar)の下垂体を摘出し、術後12日での体重増加が15g以下の健康なラットを用いた。ヒト成長ホルモン1.275mg、ポリエチレングリコール4000(マクロゴール4000)5.0g、Arlacel C 2.0gを容器に秤取し、0.5%モノステアリン酸アルミニウム含有落花生油100mlを加え、高速ホモジナイザー(ヒスコトロン、日音医理科器械製作所)にて、20,000rpmで3分間処理し、続いて容器を氷冷しながら15,000rpmで4分間処理することにより注射剤を得た。この製剤0.5ml(hGH:15mIU)を、試験開始第1日目と4日目に投与した。その結果、頸骨骨端軟骨の幅は、216.3±20.2μmであった。結果のまとめを表1に示す。
【0032】
実施例9(週2回投与群)
ヒト成長ホルモン1.275mg、ポリエチレングリコール4000(マクロゴール4000)5.0g、Arlacel C 2.0gを容器に秤取し、0.2%モノステアリン酸アルミニウム含有落花生油100mlを加え、高速ホモジナイザー(ヒスコトロン、日音医理科器械製作所)にて、20,000rpmで3分間処理し、続いて容器を氷冷しながら15,000rpmで4分間処理することにより注射剤を得た。この製剤0.5ml(hGH:15mIU)を、試験開始第1日目と4日目に投与した。その結果、頸骨骨端軟骨の幅は、212.7±13.5μmであった。結果のまとめを表1に示す。
【0033】
比較例5(週2回投与コントロール群)
3週令のラット(雄性、Wistar)の下垂体を摘出し、術後12日での体重増加が15g以下の健康なラットを用いた。ヒト成長ホルモン5.1mgを7%炭酸水素ナトリウム溶液に溶かし、20mlの溶液とし、それをさらに、7%炭酸水素ナトリウム溶液で20倍希釈して30mIU/ml溶液を得た。この製剤0.5ml(hGH:15mIU)を、試験開始第1日目と4日目に投与した。その結果、頸骨骨端軟骨の幅は、176.3±13.4μmであった。結果のまとめを表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明の注射液は皮下または筋肉内に投与することにより、含有する生理活性物質を体内で持続的に溶出させる機能を持つ。そして短い工程と簡便な操作で、短時間に製造でき品質も安定している。また製造に有機溶媒を必要としないので有機溶剤が最終製品に残留する問題を避けることができ、かつ水を用いずに製造できるから水を含有しない最終製剤が得られるので、水溶液の状態で不安定な生理活性物質を含有する場合には特に適している。さらに本発明の注射剤の主薬以外の製剤原料は医薬添加剤として汎用されているので、品質の保証された物を容易に入手することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例1、2および実施例1、2における注射剤からのヒト成長ホルモンの溶出試験の結果を示すグラフである。
【図2】比較例1、3および実施例1、3、4において注射剤を皮下投与した後のヒト成長ホルモンの血中濃度の推移を示すグラフである。
【図3】比較例3および実施例2、5において注射剤を皮下投与した後のヒト成長ホルモンの血中濃度の推移を示すグラフである。
Claims (7)
- 分子量100,000以下のペプチド系生理活性物質をその中に溶解または分散させたポリエチレングリコールの微粒子またはプロピレングリコールの微粒滴を、非イオン界面活性剤及びステアリン酸アルミニウムが添加された、薬学的に許容されうる植物油中に、分散させてなる持続性注射剤。
- 分子量100,000以下のペプチド系生理活性物質がヒト成長ホルモンである請求項1記載の注射剤。
- ポリエチレングリコールの平均分子量が400−20,000である請求項1記載の注射剤。
- ポリエチレングリコールまたはプロピレングリコールの使用量が植物油に対して1−10(w/v)%である請求項1記載の注射剤。
- ステアリン酸アルミニウムが植物油に対して5(w/v)%以下添加された請求項1記載の注射剤。
- 非イオン界面活性剤が植物油に対して0.5−10(w/v)%添加された請求項1記載の注射剤。
- 分子量100,000以下のペプチド系生理活性物質、非イオン界面活性剤、分子量400−20,000のポリエチレングリコール又はプロピレングリコール、及びステアリン酸アルミニウム含有植物油を高速ホモジナイザーで撹拌処理することを特徴とする持続性注射剤の製造方法。
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