JP3604565B2 - エンジンのエアポンプの故障検出装置 - Google Patents

エンジンのエアポンプの故障検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気通路に介設した触媒ユニットの上流部に2次エアを供給するエアポンプの故障検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のエアポンプの故障検出装置として、エアポンプに通電されるポンプ電流を検出する電流センサと、電流センサからの検出信号を入力する診断手段とを備え、診断手段によりポンプ電流に基づいてエアポンプの故障の有無を判別するものは知られている(特開平9−137718号公報参照)。
【0003】
ここで、エアポンプの起動時は、エアポンプの慣性マスや起動特性の影響でポンプ電流がピーク的に上昇し、ポンプ電流が定常値に安定するまでに時間がかかる。そこで、上記のものでは、誤検知防止のため、エアポンプへの通電開始後、ポンプ電流が安定するまでに要する所定の待ち時間を存してポンプ電流の検出を開始し、検出開始から所定の検出時間内に検出されたポンプ電流の積算値や平均値を求め、この値が所定の許容範囲に入っていないときに故障有りと判別している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
故障の早期検出のためには、エアポンプを作動させる度に毎回故障判別を行うことが望まれるが、エアポンプは排気中の酸素濃度が低下する運転状態で作動させるもので、その作動継続時間は一定せず、ポンプ電流の検出開始から所定の検出時間が経過する前にエアポンプの作動が停止され、エアポンプの故障判別を実行できなくなることがある。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、エアポンプの故障判別が実行不能となる頻度を可及的に減少し得るようにした故障検出装置を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、エンジンの排気通路に介設した触媒ユニットの上流部に2次エアを供給するエアポンプの故障検出装置であって、エアポンプに通電されるポンプ電流を検出する電流センサと、電流センサからの検出信号を入力する診断手段とを備え、診断手段によりポンプ電流に基づいてエアポンプの故障の有無を判別するものにおいて、電流センサの検出信号を診断手段に入力する回路、または、診断手段に、検出信号のピーク変化を均す均し手段を設けている。
【0007】
エアポンプの起動時にポンプ電流がピーク的に上昇しても、診断手段が検出信号に基づいて認識するポンプ電流は検出信号の均しによりピーク変化を生ずることなく速やかに定常値に安定し、エアポンプの実電流が定常値に安定するまでに要する時間より早くポンプ電流の検出を開始しても、エアポンプの故障の誤検知を生じない。そして、ポンプ電流の検出開始時期を早くすることにより、エアポンプの作動継続時間が短くなっても、エアポンプの作動停止までに所定の検出時間を確保できるようになり、エアポンプの故障判別が実行不能となる頻度を可及的に減少できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、1は車両用のエンジンであり、エンジン1の吸気通路2に、上流側から順に、エアクリーナ3と、スロットルバルブ4と、燃料噴射弁5とを設け、スロットル開度θを検出するセンサ6と、吸気負圧PBを検出するセンサ7と、吸気温TAを検出するセンサ8と、エンジン回転数NEを検出するセンサ9と、エンジン冷却水の水温TWを検出するセンサ10と、車速Vを検出するセンサ11とからの信号を車載コンピュータから成るコントローラ12に入力し、コントローラ12によりこれらセンサからの信号に応じて燃料噴射弁5からの燃料噴射量を制御するようにしている。
【0009】
また、エンジン1の排気通路13には、通電により発熱するヒータとしての機能を持つ電気加熱式触媒(以下、EHCと記す)14と、主としてエンジン始動直後の排気浄化を分担するスタート触媒15と、三元触媒16とから成る触媒ユニットが介設されており、更に、触媒ユニットの上流の排気通路13の部分にエアポンプ17を接続し、エアクリーナ3とスロットルバルブ4との間の吸気通路2の部分からのエアをエアポンプ17により2次エアとして排気通路13に供給し得るようにしている。
【0010】
EHC14は、コントローラ12による制御で、エンジン1の冷間始動時に一定時間通電されるようになっている。また、エアポンプ17は、スイッチ18を介して車載バッテリ19に接続されており、スイッチ18をコントローラ12で制御して、排気中の酸素濃度が低下する運転状態でエアポンプ17を通電作動させるようにしている。
【0011】
また、エアポンプ17に通電されるポンプ電流IAPを検出する電流センサ20を設けて、電流センサ20からの検出信号をコントローラ12に入力し、コントローラ12を診断手段として機能させて、ポンプ電流IAPに基づくエアポンプ17の故障検知を行っている。尚、エアポンプ17に印加されるポンプ電圧VAPがバッテリ電圧の変化等で変化するとポンプ電流IAPが変化するため、ポンプ電圧VAPを検出する電圧センサ21を設けて、電圧センサ21からの検出信号もコントローラ12に入力し、ポンプ電圧VAPの変化によるポンプ電流IAPの変化を相殺して、ポンプ電圧VAPが基準値であるときのポンプ電流IAPを求めるようにしている。
【0012】
故障検知の処理プログラムは図2に示す通りであり、先ず、S1のステップでエアポンプ17に通電されているか否かを判別し、通電されているときは、S2のステップで第1タイマtm1の計時動作を開始し、次に、S3のステップで第1タイマtm1の計時時間、即ち、エアポンプ17への通電開始からの経過時間が所定の設定時間Ytm1に達したか否かを判別する。そして、tm1≧Ytm1になったとき、S4のステップで第2タイマtm2の計時動作を開始し、次に、S5のステップで第2タイマtm2の計時時間、即ち、tm1=Ytm1になってからの経過時間が所定の設定時間Ytm2(例えば10秒)以内であるか否かを判別し、tm2≦Ytm2であれば、S6のステップでポンプ電流IAPとポンプ電圧VAPとをサンプリングし、次に、S7のステップに進み、ポンプ電圧VAPが基準値であるときの電流値となるようにポンプ電流IAPをポンプ電圧VAPに応じて補正し、これを記憶する。
【0013】
そして、tm2>Ytm2になったときS8のステップに進み、Ytm2のサンプリング時間内に記憶されたポンプ電流IAPの積算値IAPT=∫IAPdtを求め、次に、S9のステップでIAPTが所定の許容範囲に入っているか否かを判別し、入っていない場合はエアポンプ17が故障したと判断し、S10のステップでエアポンプ17の故障表示ランプを点灯する等の故障処理を行う。尚、S8のステップでYtm2のサンプリング時間内に記憶されたポンプ電流IAPの平均値を求め、S9のステップで平均値が所定の許容範囲に入っているか否かを判別するようにしても良い。
【0014】
ところで、エアポンプ17に通電すると、エアポンプ17の慣性マスや起動特性の影響で、ポンプ電流IAPが、図3に実線で示す如く、通電当初にピーク的に上昇し、ポンプ電流IAPが定常値に安定するまでに時間がかかる。ここで、ポンプ電流IAPのサンプリングは、エアポンプ17への通電開始からYtm1の待ち時間を存して開始され、Ytm1をポンプ電流IAPが安定するまでに要する時間に合わせて長目(例えば2秒)に設定すれば、誤検知を防止できるが、これではサンプリング開始からYtm2のサンプリング時間が経過する前にエアポンプ17への通電が停止されて、エアポンプ17の故障判別が実行不能となる頻度が増す。
【0015】
そこで、本実施形態では、電流センサ20からの検出信号をコントローラ12に入力する回路に、検出信号のピーク変化を均す均し手段としてのCR時定数回路22を設けている。これによれば、検出信号に基づいてコントローラ12が認識するポンプ電流IAPは、図3に点線で示す如く、ピーク変化を生ずることなく定常値に速やかに安定する。かくて、エアポンプ17への通電開始からサンプリング開始までの待ち時間Ytm1を短時間(例えば1秒)に設定しても、誤検知を生じない。
【0016】
そして、Ytm1を短く設定することにより、Ytm2のサンプリング時間が経過する前にエアポンプ17への通電が停止される頻度、即ち、エアポンプ17の故障判別が実行不能となる頻度を減少できる。
【0017】
尚、ポンプ電流IAPの通電当初のピーク変化特性はエアポンプ17の機種毎に異なり、そのため、CR時定数回路22は、使用するエアポンプ17の機種に合わせた時定数を持つものにする。
【0018】
また、CR時定数回路22を設けずに、コントローラ12で電流センサ20からの検出信号のピーク変化を均す均し処理を行うこと、即ち、コントローラ12にソフトウェアによる均し手段を設けることも可能である。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、エアポンプへの通電開始からポンプ電流の検出開始までの待ち時間を短縮して、エアポンプの故障判別が実行不能となる頻度を可及的に減少できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置を具備するエンジンの制御系を示すブロック回路図
【図2】コントローラによる故障検知の制御プログラムを示すフローチャート
【図3】エアポンプの実電流とコントローラが認識するポンプ電流の変化特性を示すグラフ
【符号の説明】
1 エンジン 12 コントローラ(診断手段)
13 排気通路 17 エアポンプ
20 電流センサ 22 CR時定数回路(均し手段)

Claims (1)

  1. エンジンの排気通路に介設した触媒ユニットの上流部に2次エアを供給するエアポンプの故障検出装置であって、
    エアポンプに通電されるポンプ電流を検出する電流センサと、電流センサからの検出信号が入力され、検出信号に基づいてポンプ電流を認識する診断手段とを備え、診断手段によりポンプ電流に基づいてエアポンプの故障の有無を判別するものにおいて、
    電流センサの検出信号を診断手段に入力する回路、または、診断手段に、エアポンプの起動時に検出信号の均しにより前記認識したポンプ電流をピーク変化を生ずることなく速やかに定常値に安定させて、エアポンプの実電流が定常値に安定するまでに要する時間より早くポンプ電流の検出を開始しても、エアポンプの故障の誤検知を生じない検出信号のピーク変化を均す均し手段を設ける、
    ことを特徴とするエンジンのエアポンプの故障検出装置。
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