JP3604563B2 - 多段プレスシステムの誤作動検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被プレス材料を搭載した送り板が該被プレス材料の加熱・加圧時の樹脂流れの為に多段プレス装置の熱板に接着され、該送り板の搬出が不可能となり、搬出ミスに基づく重ね搬入によるローダ・アンローダ装置および該多段プレス装置の損傷を防止する為の誤作動検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の多段プレスシステムでは、送り板搭載ステーションとローダ・アンローダ装置間の送り板の受け渡しや、該ローダ・アンローダ装置と多段プレス装置間の該送り板の受け渡しによる、搬入および搬出作動が正確に行われているかの確認を作業者が目視により毎サイクル行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の目視による確認方法は、作業者が送り板の受け渡しによる、搬入および搬出作動が正確に行われているかの確認を見落とすことがある。多段プレス装置内では、まれに被プレス材料を搭載した該送り板が、該被プレス材料の加熱・加圧時の樹脂流れの為に熱板に接着され、ローダ・アンローダ装置による該送り板の搬出が不可能となる搬出ミスを起こし、気が付かず次サイクルの搬入工程で該送り板が熱板上にある状態のまま、さらに送り板が搬入される重ね搬入の作動となり、該送り板を押し出すことにより該多段プレス装置の真空ケース内にある媒体供給口と熱板後部とを接続している加熱および冷却媒体を供給するフレキシブルホースの破損や、該ローダ・アンローダ装置の支持アームにある該送り板の押し戻しにより、支持アーム昇降用ボールネジを破損することがある。本発明は上記の問題を未然に防止するための誤作動検出方法を提供するのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る多段プレスシステムの誤作動検出方法は、送り板に搭載され加熱・加圧時に樹脂流れをおこす場合のある被プレス材料を真空ケース内部において熱板により加熱・加圧する多段プレス装置と、該多段プレス装置の熱板間に送り板を搬入および搬出させるためのローダ・アンローダ装置と、該ローダ・アンローダ装置へ該送り板を搬入および搬出させる送り板搭載ステーションからなる多段プレスシステムの誤作動検出方法において、該ローダ・アンローダ装置は、アーム支持枠体と、アーム支持枠体に配設され送り板を支持する複数の支持アームと、アーム支持枠体を水平方向に移動させる枠体水平移動手段とを少なくとも含んで構成され、支持アームに第1の検出器を取り付け、熱板が配設間隔に開いた状態で、ローダ・アンローダ装置が送り板を多段プレス装置内部より搬出する時に第1の検出器により該送り板の有無を確認し、該ローダ・アンローダ装置の該送り板搬出ミスを検出することを特徴とする多段プレスシステムの誤作動検出方法。
【0005】
また、請求項2の発明に係る多段プレスシステムの誤作動検出方法は、送り板に搭載され加熱・加圧時に樹脂流れをおこす場合のある被プレス材料を上側の固定盤と下側の可動盤の間に配設された複数の熱板により加熱・加圧する多段プレス装置と、該多段プレス装置の熱板間に前記送り板を搬入および搬出させるためのローダ・アンローダ装置と、該ローダ・アンローダ装置へ該送り板を搬入および搬出させる送り板搭載ステーションからなる多段プレスシステムの誤作動検出方法において、ローダ・アンローダ装置により送り板が搬入される反対側の熱板後部側における多段プレス装置の上方より垂下した棒材と棒材を検出する第2の検出器を取り付け、搬入工程で該ローダ・アンローダ装置から該多段プレス装置の熱板間に該送り板を水平方向に一定距離移動させて搬入する際に、該ローダ・アンローダ装置の該送り板搬出ミスによる送り板がある状態のままさらに送り板を重ね搬入した場合、押し出された送り板が前記棒材を押し、異常を検出することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。
図1は、多段プレスシステムの平面図を表し、多段プレス装置1,1とローダ・アンローダ装置2と送り板搭載ステーション3,3により構成される。また、油圧装置,真空装置,制御盤等は本図から省略されている。該ローダ・アンローダ装置2は、レール4,4上を複数の多段プレス装置1(図では2台の真空ケース付き多段プレス装置を示す)とレール4,4を挟んで対面に位置する送り板搭載ステーション3(矢印は搬入用左側と搬出用右側を示すが前後で搬出入する場合もある)との所定の位置に移動し、旋回ならびに水平・垂直方向に作動し送り板5を搬入および搬出させる。また、上記実施例の他にローダ・アンローダ装置2がレール4,4上を移動し、複数の多段プレス装置1と送り板搭載ステーション3がレール4,4に対して片側方向に並列に一列で並ぶ場合がある。このような状態でのローダ・アンローダ装置は旋回装置を備えてなくてもよい。(図は省略)
【0007】
図2は、多段プレスシステムの側面図を表し、多段プレス装置1は固定盤と該固定盤に対して型閉め、型開き可能に設けられた可動盤との間に、被プレス材料を搭載した送り板を加熱および加圧圧縮するための複数の熱板を配設し、前記可動盤の移動空間を被包して気密室を形成する真空ケースを設ける。該真空ケースには送り板の搬入および搬出させる開口部を設けるとともに、該多段プレス装置前面に該開口部を開閉するシャッタ式の扉を設けた。
【0008】
多段プレス装置1の熱板および可動盤が下降して開いた状態で、前面の扉を開き、被プレス材料10を搭載した送り板5を該多段プレス装置1の熱板間に搬入および搬出させるためのローダ・アンローダ装置2(実施例は旋回式ローダ・アンローダ装置)は、一般に、アーム支持枠体6と、そのアーム支持枠体6を該多段プレス装置1の熱板間に水平方向に一定距離移動させるための電動機21による枠体水平移動手段と、上下方向において該多段プレス装置1の熱板の配設間隔に対応して支持アーム7を移動させるための電動機22による昇降移動手段と、間隔を相互に隔ててアーム支持枠体6からその移動方向に平行に伸び出させられた、送り板5を搭載、支持するための複数組の該支持アーム7とを含んで構成されている。
【0009】
そして、多段プレス装置1のレール4,4を挟んで対面に位置する送り板搭載ステーション3へアーム支持枠体6を旋回させるための電動機23による枠体旋回手段と、該アーム支持枠体6の水平移動作動に基づいて、各段の支持アーム7に搭載、支持した送り板5を該送り板搭載ステーション3の各段に、搬入および搬出させ得るようになっている。ローダ・アンローダ装置2は、特公平7−115239号公報により公知となっている。
【0010】
送り板搭載ステーション3へ移動した送り板5は上下方向において昇降移動させるための電動機24と下部に設置されているローラ25により該送り板5を搬入および搬出させる。
【0011】
次に、ローダ・アンローダ装置2の支持アーム7に第1の検出器8を取り付け、送り板5の有無を確認する方法について説明する。
図3は、多段プレス装置1内部に該ローダ・アンローダ装置2のアーム支持枠体6に配設した支持アーム7が水平方向に一定距離移動した状態で熱板9より被プレス材料10を搭載した送り板5を浮上させ、該送り板5を搬入および搬出させる図である。該支持アーム7において被プレス材料10を搭載した該送り板5を検出するための該第1の検出器8を本実施例では、光電検知式の検出器を使用するが、機械式リミットスイッチを使用しても良い。
【0012】
光電検知式の検出器は、送り板5を搬入および搬出させるローダ・アンローダ装置2の支持アーム7底面に投光器8a,受光器8bを取り付け(矢印により投光器用と受光器用に区別する)、光軸を一致させ、被プレス材料10を搭載した送り板5を多段プレス装置内部より搬出する時に該送り板5の有無を確認し検出する。被プレス材料10の加熱・加圧時に起きる樹脂流れのために熱板9の上面と送り板5とが接着された場合には、該支持アーム7に該送り板5が載らず検出されないので、図示しない制御装置から異常信号が出力される。なお、該光電検知式検出器の誤作動を無くすため該支持アーム7底面に取り付ける投光器8a,受光器8bは各段左右交互に配設する。
【0013】
光電検知式検出器の取り付け方法について、他の実施例を図4に示す。
該光電検知式検出器は、送り板5を搬入および搬出させるローダ・アンローダ装置2の支持アーム7の上部に投光器8a,受光器8bを取り付け、該支持アーム7の各段上下方向で光軸を一致させ、該送り板5の有無を確認し検出する。
【0014】
このように構成することにより、多段プレスシステムの全て(多段プレス装置1、ローダ・アンローダ装置2、送り板搭載ステーション3)に搬入および搬出する送り板5の有無を確認する検出器を取り付けず、該ローダ・アンローダ装置2にのみ第1の検出器8を取り付けるだけで正確に該送り板5が搬入および搬出されたかを確認可能であるとともにコストも下がる。
また、該第1の検出器8が該送り板5を検出しない異常時には、警報を鳴らし、該ローダ・アンローダ装置2の作動を停止させ、誤作動による事故の防止をするとともに、作業者の省人化が可能となった。
【0015】
次に他の実施例について説明する。
図5は、真空ケース13を有する多段プレス装置1の内部を断面図で示したものである。ローダ・アンローダ装置2より送り板5が搬入される反対側の熱板後部側にある該真空ケース13の上方より垂下したリンク機構を持った棒材11とその下部に案内機構を備えた第2の検出器12を熱板9ならびに該送り板5の幅方向の略中心位置に取り付け、該第2の検出器12が該真空ケース13の上方より垂下した棒材11を検出することにより、該送り板5が異常な位置にないことを確認する。
【0016】
また、真空ケース13を有しない多段プレス装置1には、上側の固定盤と下側の可動盤ならびに熱板を昇降するラムが挿入される型締シリンダの側面を利用してリンク機構を持った棒材11と案内機構を備えた第2の検出器12を配設し取り付ける。(図は省略)
【0017】
被プレス材料10を搭載した送り板5が、該被プレス材料10の加熱・加圧時の樹脂流れの為に多段プレス装置1の熱板9に接着され、ローダ・アンローダ装置2による該送り板5の搬出が不可能となる搬出ミスを起こし、気が付かず次サイクルの搬入工程で、送り板5が熱板上にある状態のまま、さらに送り板5を搬入する重ね搬入をした場合は、該送り板5がリンク機構の棒材11を押し上げ図面上の二点鎖線で示すように該リンク機構の棒材11が第2の検出器12より外れ異常信号を出し、警報を鳴らし、該ローダ・アンローダ装置2の作動を停止させることで事故防止をする。
【0018】
図6は、多段プレス装置の真空ケース内部の上方より垂下したリンク機構を持った棒材11と真空ケースの床面より案内機構を備えた第2の検出器12を示す斜視図である。
【0019】
【発明の効果】
本発明による多段プレスシステムの送り板受け渡し工程において、搬入および搬出による該送り板の有無を確認する第1の検出器をローダ・アンローダ装置の支持アームに配設することや、多段プレス装置の熱板後部側にリンク機構を持った棒材と第2の検出器を配設することで、該ローダ・アンローダ装置の該送り板の搬出ミスによる重ね搬入を検出することにより、異常時には警報を鳴らし、該ローダ・アンローダ装置の作動を停止させることで事故防止をするとともに、作業者の省人化が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】多段プレスシステムの一例を示す平面図である。
【図2】多段プレスシステムの一例を示す側面図である。
【図3】請求項1の発明における第1の検出器取り付けを示す詳細図である。
【図4】図3とは異なる第1の検出器取り付けを示す詳細図である。
【図5】請求項2の発明における第2の検出器取り付けを示す詳細図である。
【図6】図5に示す第2の検出器の斜視図である。
【符号の説明】
1 ‥‥‥ 多段プレス装置
2 ‥‥‥ ローダ・アンローダ装置
3 ‥‥‥ 送り板搭載ステーション
4 ‥‥‥ レール
5 ‥‥‥ 送り板
6 ‥‥‥ アーム支持枠体
7 ‥‥‥ 支持アーム
8 ‥‥‥ 第1の検出器
8a‥‥‥ 投光器
8b‥‥‥ 受光器
9 ‥‥‥ 熱板
10 ‥‥‥ 被プレス材料
11 ‥‥‥ リンク機構を持った棒材
12 ‥‥‥ 第2の検出器
13 ‥‥‥ 真空ケース
21,22,23,24,‥‥‥ 電動機
25 ‥‥‥ ローラ
Claims (2)
- 送り板に搭載され加熱・加圧時に樹脂流れをおこす場合のある被プレス材料を真空ケース内部において熱板により加熱・加圧する多段プレス装置と、該多段プレス装置の前記熱板間に前記送り板を搬入および搬出させるためのローダ・アンローダ装置と、該ローダ・アンローダ装置へ該送り板を搬入および搬出させる送り板搭載ステーションからなる多段プレスシステムの誤作動検出方法において、
該ローダ・アンローダ装置は、アーム支持枠体と、アーム支持枠体に配設され送り板を支持する複数の支持アームと、前記アーム支持枠体を水平方向に移動させる枠体水平移動手段とを少なくとも含んで構成され、前記支持アームに第1の検出器を取り付け、前記熱板が配設間隔に開いた状態で、ローダ・アンローダ装置が前記送り板を前記多段プレス装置内部より搬出する時に前記第1の検出器により該送り板の有無を確認し、該ローダ・アンローダ装置の該送り板搬出ミスを検出することを特徴とする多段プレスシステムの誤作動検出方法。 - 送り板に搭載され加熱・加圧時に樹脂流れをおこす場合のある被プレス材料を上側の固定盤と下側の可動盤の間に配設された複数の熱板により加熱・加圧する多段プレス装置と、該多段プレス装置の前記熱板間に前記送り板を搬入および搬出させるためのローダ・アンローダ装置と、該ローダ・アンローダ装置へ該送り板を搬入および搬出させる送り板搭載ステーションからなる多段プレスシステムの誤作動検出方法において、
前記ローダ・アンローダ装置により送り板が搬入される反対側の熱板後部側における多段プレス装置の上方より垂下した棒材と該棒材を検出する第2の検出器を取り付け、搬入工程で該ローダ・アンローダ装置から該多段プレス装置の熱板間に該送り板を水平方向に一定距離移動させて搬入する際に、該ローダ・アンローダ装置の該送り板搬出ミスによる送り板がある状態のままさらに送り板を重ね搬入した場合、押し出された送り板が前記棒材を押し、異常を検出することを特徴とする多段プレスシステムの誤作動検出方法。
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