JP3604207B2 - ガス混合物からのオレフィンの回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガス混合物からのオレフィンの回収方法に関し、特にエチレンとプロピレンと飽和炭化水素と必要に応じ他のオレフィンとを含むガス混合物からエチレンおよびプロピレンを回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銅塩溶液におけるエチレンの選択的吸収がF.アシンガー[B.J.マツァルドによる翻訳]によりモノオレフィン、ケミストリー・アンド・テクノロジー、ペルガモンプレス社、1968、第256〜259頁に記載されている。これは、塩化銅(I)−エタノールアミン溶液におけるエチレンの溶解度と他のオレフィン(たとえばプロピレン)の溶解度とを比較している。エタンの脱水素化生成物からのエチレンの分離方法が記載されている。この方法はGB 428,106号の主題である。
【0003】
US 2,245,719号はオレフィンと飽和炭化水素とを含有するガス混合物からの低級オレフィン(エチレン、プロピレンおよびブチレン)の吸収に関するものであり、ガス混合物を第一銅塩の冷溶液およびたとえばピリジン、ピペリジン、ホルムアミドおよびアセタミド(好ましくはピリジン)のような液体有機窒素化合物と接触させる。飽和炭化水素および水素の溶解度はこの吸収溶液にて低い。実質的に純粋なエチレンガスは、圧力を部分的に解除し或いは僅かに加熱して先ず最初に少量のエチレンを含むプロピレンを発生させ、その後にエチレンリッチなガスをさらに加熱して或いは圧力を低下させて得ることにより、オレフィン飽和の吸収溶液から得られると言われる。
【0004】
EP 0038077号は、オレフィンの混合物を適する炭化水素溶剤に溶解されたスルホン酸の第一銅塩または燐酸ジアルキルから選択される錯生成剤と、モノオレフィンが錯生成剤に対し異なる強度の錯体を形成する条件下で接触させることにより、モノオレフィンを他のモノオレフィンから分離しうる方法に関するものである。適する炭化水素溶剤の使用が臨界的であると言われ、第一銅塩の水溶液は安定性を欠如すると共に一般に錯生成剤を形成するには不適当であると言われる。EP 0038077号によれば、2種のモノオレフィンが錯生成剤に対し異なる強度の錯体を形成する限り任意のモノオレフィンを他のモノオレフィンから分離することができる。特に、ブテンの異性体またはペンテンの異性体が分離可能であると言われる。ヘキセンもしくはそれより重質のオレフィンの異性体を分離するのはより困難であると言われる。EP 0038077号の第1表は、p−キシレン錯生成剤におけるオレフィンとドデシルベンゼンスルホン酸銅(I)とに関する平衡定数(K値)を示している。EP 0038077号によれば、この表はこの方法がそれぞれ7.53および2.69のK値を有するcis−ブテン−2をtrans−ブテン−2から分離するのに極めて有効であることを示している。EP 0038077号によれば、この表はこの方法がそれぞれ6.6および4.74のK値を有するブテン−1をイソブテンから分離するのに有効であることをも示している。1.72および1.31のK値をそれぞれ有するエチレンからのプロピレンの分離についてはEP 0038077号に記載されていない。EP 0038077号におけるデータによれば、エチレンとプロピレンとのK値は極めて近似し、その差はプロピレンがより強力な錯体を形成することを示唆する。
【0005】
第6回世界石油会議のプロシーディング[フランクフルト・アム・メイン、6月19〜26日、第IV部、標題「化学工業のための石油および天然ガスからの基礎材料」、第6回世界石油会議、ハンブルグの進行委員会の出版]は報文14号にて金属塩溶液を用いるモノオレフィンの回収につき記載している。報文340〜341頁によれば、銅エタノールアミン溶液はエチレンに対するよりもプロピレンに対し低い能力を有し、したがって充填溶液をエチレンでストリッピングすることにより少量のプロピレンを除去することができる。
【0006】
【発明が解決しようする課題】
エチレンとプロピレンと飽和炭化水素と必要に応じ他のオレフィンとを含むガス混合物からエチレンおよびプロピレンを別々に回収する方法につきニーズが存在する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によればエチレンとプロピレンと飽和炭化水素と必要に応じ他のオレフィンとを含むガス混合物からエチレンおよびプロピレンを回収する方法が提供され、この方法は:
(a)ガス混合物を垂直配向にて頂部と底部とを備える分離帯域に供給し;
(b)分離帯域の頂部にガス混合物の供給点より高い箇所にて銅(I)塩と水性溶剤とからなる錯生成水溶液を供給して、エチレンおよびプロピレンの銅(I)錯体を生成させ;
(c)分離帯域にガス混合物の供給点より低い箇所にてエチレンからなるストリッピング用ガスを供給して、プロピレンを分離帯域にてプロピレンの銅(I)錯体からストリッピングし;
(d)分離帯域の底部からストリッピング用ガスの供給点よりも低い箇所にて錯生成溶液とエチレンの銅(I)錯体とからなる第1液体流を取出し;
(e)前記第1液体流を減圧および/または高められた温度の条件にかけて前記第1液体流からエチレンを回収し;
(f)分離帯域からガス混合物の供給点と錯生成溶液の供給点との間の箇所にて錯生成溶液とプロピレンの銅(I)錯体とからなる第2液体流を取出し;
(g)前記第2液体流を減圧および/または高められた温度の条件にかけて前記第2液体流からプロピレンを回収すると共に、銅(I)塩からなる液体循環流を生成させ;
(h)工程(g)からの液体循環流を分離帯域に循環する
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の特徴はいわゆるアブソーバ/ストリッパ技術である。すなわち、本発明はエチレンとプロピレンとをガス混合物中に、これらオレフィンとの錯体を分離帯域にて生成することにより、吸収する銅(I)塩の水溶液を使用する。次いで、エチレンを含むストリッピング用ガスをガス混合物の供給点より低い分離帯域の下部に供給して、プロピレンをその銅(I)との錯体からストリッピングする。エチレンの銅(I)錯体は分離帯域を流過してストリッピング用ガスの供給点より低い箇所で第1液体流として取り出される。エチレンは、プロピレンよりも一層強力に銅(I)塩と錯生成する。
【0009】
プロピレンは分離帯域の頂部方向へ移動し、ここで銅(I)と錯生成してガス混合物の供給点より上方の箇所で第2液体流として取り出される。エチレンおよびプロピレンは第1および第2液体流から、これら流れを減圧および/または高められた温度の条件にかけて別々に回収される。第2液体流からのプロピレンの回収は銅(I)塩を含む液体流を残し、これを分離帯域に循環させる。第1液体流から回収されたエチレンの1部を好適には分離帯域にストリッピング用ガスの成分として循環する。
【0010】
【発明の実施の形態】
銅(I)塩のための水性溶媒は水とたとえばピリジン、ピペリジン、ヒドロキシプロピオニトリル、ジエチレントリアミン、アセトニトリル、ホルムアミドおよびアセタミド並びにその誘導体(好ましくはヒドロキシプロピオニトリルもしくはピリジン)のような有機窒素化合物とで構成することができる。
【0011】
本発明の方法に使用しうる銅(I)塩は酢酸銅(I)、硝酸銅(I)および硫酸銅(I)を包含する。銅(I)塩は好適には硝酸銅(I)である。
【0012】
銅(I)塩のための水溶液における銅(I)塩と窒素化合物とのモル比は好適には1:1〜1:6の範囲、好ましくは約1:2である。この範囲は、硝酸銅(I)をヒドロキシプロピオニトリルもしくはピリジンと共に使用する場合に特に効果的である。
【0013】
錯生成水溶液における銅(I)塩の濃度は好ましくは溶剤1L当り少なくとも0.5モルの塩、より好ましくは溶剤1L当り少なくとも2モルの塩である。
【0014】
本発明の方法で用いるガス混合物を、銀イオンを含有するゼオライト床を用いる吸収により或いはアセチレンの選択的水素化により処理してアセチレン系化合物を除去することが望ましい。ガス混合物におけるアセチレン系炭化水素の量は好適には錯生成溶液と接触させる前に20ppm未満、好ましくは10ppm未満、特に好ましくは1ppm未満に減少させるべきである。これは、銅(I)アセチリードを生成する不慮の危険性およびそれに伴う爆発の危険を防止する。
【0015】
同様に、分離帯域に供給されるガス混合物に存在する硫化水素は、好適には銅(I)塩を被毒する危険性を回避すべく任意公知の方法で除去すべきである。
【0016】
本発明の方法に使用するガス混合物は、好ましくはC5およびそれ以上の炭化水素の大部分が除去された熱分解ガスである。何故なら、これは分離帯域から取出される第1液体流を汚染するからである。したがって、ガス混合物はエチレンとプロピレンとブテンとメタンとエタンとプロパンとブタンと水素とを含むことができる。少量のペンタンおよびペンテンもガス混合物中に許容することができる。
【0017】
本発明の方法に使用するガス混合物はさらに一酸化炭素をも含むことができる。一酸化炭素はオレフィンよりも強力に銅(I)塩と錯生成するので、一酸化炭素の銅(I)錯体はエチレンの銅(I)錯体と一緒に第1液体流にて分離帯域から除去される。一酸化炭素は本発明のアブソーバ/ストリッパ法と同様に錯生成水溶液によりエチレンから分離することができる。
【0018】
本発明の方法に使用するガス混合物はさらにブテンをも含むことができる。n−ブテンはプロピレンに対すると同様な錯生成強度を有するので、ブテンの銅(I)錯体はプロピレンの銅(I)錯体を含む第2液体流にて分離帯域から除去される。n−ブテンおよびプロピレンは慣用の非低温法を用いて分離することができる。
【0019】
本発明の方法で使用するガス混合物はさらに水をも含むことができ、必要に応じ水で飽和することもできる。
【0020】
分離帯域は処理すべきガス混合物の組成、エチレンおよびプロピレン生成物につき要求される純度、並びに用いる錯生成溶液の性質に応じ任意適する理論段数を有することができる。
【0021】
分離帯域は任意適する圧力、たとえば約500KPa(5bara)に維持することができる。
【0022】
分離帯域はできるだけ低温度に好ましくは冷凍の必要なしに、たとえば約30〜35℃に維持すべきである。
【0023】
分離帯域に供給する錯生成溶液は、エチレンが第2液体流と一緒に分離帯域から流出するのを防止すると共にプロピレンが分離帯域の頂部にて残留ガスと共に流出するのを防止するよう制御することができる。同様に、分離帯域に供給されるエチレンを含むストリッピング用ガスは、プロピレンが第1液体流と一緒に分離帯域から流出するのを防止するよう制御することができる。
【0024】
工程(e)にて、分離帯域から取出されかつエチレンの銅(I)錯体を含む第1液体流は好ましくは銅(I)と錯生成したエチレンの少なくとも1部を回収する温度および/または圧力の条件にかけられる。このエチレンは分離帯域にストリッピング用ガスとして或いはその成分として供給することができる。
【0025】
第1液体流は好適には分離帯域と同じ圧力に維持され、好適には高められた温度に加熱してストリッピング用ガスに充分なエチレンガスを発生させ、たとえば約500KPa(5bara)にて約72℃まで加熱する。このような高められた温度におけるエチレンの供給は分離帯域におけるレボイラの機能を果たす。
【0026】
或いは、ストリッピング用ガスのためのエチレンは、圧力を低下させると共に第1液体流からエチレンをフラッシュさせることにより第1液体流から誘導することもできる。第1液体流から誘導されたエチレンは、再圧縮してストリッピング用ガスを発生させることができる。
【0027】
必要に応じエチレンの1部が回収されてストリッピング用ガスを生成した第1液体流は次いで熱を加えて或いは加えずに第1フラッシュ蒸留帯域に導入されて、エチレン生成物を含むガスフラクションと銅(I)錯生成溶液を含む液体フラクションとを形成する。フラッシュ帯域からの液体フラクションを分離帯域へ循環させる。
【0028】
第1フラッシュ蒸留帯域は分離帯域よりも低い圧力にて操作することができる。第1フラッシュ蒸留帯域は、その底部にて実質的にエチレンを含まない銅(I)錯生成溶液を生成させるよう操作される。回収された銅(I)錯生成溶液は、使用した初期ガス混合物が一酸化炭素を含有すれば一酸化炭素の銅(I)錯体を含有することができる。一酸化炭素は同様に、この第1液体流を第1フラッシュ蒸留帯域におけるよりも苛酷な減圧および/または高められた温度の条件にかけて前記第1液体流から回収することができる。その結果、一酸化炭素を含むガスフラクションと銅(I)錯生成溶液を含む液体フラクションとが得られ、液体フラクションを分離帯域へ循環させる。
【0029】
プロピレンの銅(I)錯体を含む分離帯域から抜取られた第2液体流は溶解した炭化水素をも含有する。これら溶解した炭化水素は銅(I)塩に化学的に結合せず、したがって錯生成したプロピレンよりも容易に液体流から排除される。
【0030】
工程(g)にてプロピレンは第1液体流からのエチレンの回収と同様に第2液体流から回収することができ、すなわち液体流を加熱したり或いは第2液体流を熱を加えて或いは加えずに第2フラッシュ蒸留帯域で処理してプロピレンを含むガスフラクションと銅(I)錯生成溶液を含む液体循環流とを生成させて回収することができる。
【0031】
第2フラッシュ帯域からの循環液体流は好適には、分離帯域の頂部とガス混合物の供給点との間の1つもしくはそれ以上の箇所にて分離帯域に供給される。
【0032】
【実施例】
以下、添付図面を参照して本発明をさらに説明する。
【0033】
ガス供給混合物(1)を分離帯域(2)に供給する。銅(I)塩および水性溶剤からなる錯生成水溶液(3)をガス混合物(1)の供給点より高い箇所にて分離帯域(2)の頂部に供給して、エチレンおよびプロピレンの銅(I)錯体を生成させる。エチレンを含むストリッピング用ガス(4)をガス供給混合物(1)の供給点より低い箇所にて分離帯域(2)に供給する。ストリッピング用ガス(4)は分離帯域にて銅(I)−プロピレン錯体からプロピレンをガス混合物(1)の供給点より低い箇所でストリッピングする。錯生成溶液および銅(I)−エチレン錯体を含む第1液体流(5)を分離帯域(2)の底部から取出す。34℃の温度における第1液体流(5)を72℃の温度におけるヒーター(6)に供給し、このヒーター(6)を分離帯域と同じ圧力(500KPa)に維持する。蒸気相および液相がヒーター(6)内で生成し、主としてエチレンからなる蒸気を72℃の温度でヒーターから抜取って分離帯域(2)のためのストリッピング用ガス(4)を生成させる。ヒーター(6)からの液相をさらにヒーター(16)で加熱して、95℃の温度および500KPaの圧力でヒーターから流れ(7)として抜取る。この液体流(7)を100KPa(1bara)で操作されるフラッシュ蒸留帯域(8)に供給して、エチレン生成物を含むガスフラクション(9)と銅(I)錯生成溶液を含む液体フラクションとを生成させる。次いで液体フラクション(10)をヒーター(12)に供給し、ここで液体フラクションの1部を気化させると共に99.4℃の温度におけるフラッシュ蒸留帯域(8)の底部にレボイル(11)として供給する。次いで液体フラクションの残部を冷却器(13)に供給し、銅液体循環物(3a)を冷却器から30℃の温度にて抜取ると共に、分離帯域へ錯生成溶液(3)および生成ガス流の損失を補充すべく添加された水と一緒に循環させる。錯生成溶液と銅(I)−プロピレン錯体とを含む第2液体流を分離帯域(2)からガス供給混合物の供給点と錯生成水溶液の供給点との間の箇所で抜取る。プロピレンを第2液体流からこの第2液体流を減圧および/または高められた温度の条件にかけて回収することにより、銅(I)塩を含む液体循環流(15)を生成させ、これを分離帯域(2)に循環させる。残留ガス(17)を分離帯域の頭部から抜取る。
【0034】
熱分解ガスからエチレンおよびプロピレンを回収すべく銅(I)錯生成水溶液と共に選択的吸収を用いる可能性については、分離帯域の性能を数量化すべくXLコンピュータモデルを用いて検討されている。
【0035】
本方法は、銅(I)との銅錯体を生成するよう互いに競合するオレフィン数の平衡反応である。これはASPEN(登録商標)に対するよりもXLにて示すのが一層容易であると思われるが、これは物理的性質およびVLE(蒸気−液体の平衡)を示すのが大して厳密でない。大凡の反応熱、潜熱および比熱が用いられた。この方法は、銅錯体を溶解させるのに相当量の水(銅1モル当たり500g)を必要とするので、ほぼ等温的である。銅に対するエチレンおよびプロピレンの反応平衡データを、異なる温度における2つの実験から外挿した。非反応性成分のVLEデータは、アントイン平衡を用い温度につき回帰させた純粋成分の蒸気圧に基づいた。次いで準不混和性液体系を用いて成分蒸気圧を計算し、2つの相からの蒸気圧を加算した。水蒸気圧を銅(I)塩および錯体によりモル分立基準で希釈して減少させた。非オレフィン系炭化水素を互いにおよび1/1000部の水により希釈した。次いで理想的VLE規則をこの組成に適用した。
【0036】
コンピュータモデルは分離帯域の各トレーにおける条件を算出し、蒸気および液体成分の流動を反復調整して各トレーに対しVLEおよび成分の質量バランスを適合させた。トレー温度をトレー熱バランスに適合するよう調整した。殆どの再計算された数値のヘビー・ダンピングだけでなく「ボイルアップおよびレフラックス」に関するコントローラ型機能(比例、積分および誘導)を含め計算を収束させるには相当な努力が必要であり、各トレーにて液体および蒸気の流動までループを進行させた。
【0037】
モデルは、頂部にて水における硝酸銅/有機窒素化合物(2モルCu/1L)を供給すると共に中間にて予備処理(硫化水素とアセチレンと大部分のC5との全部を除去するため)された熱分解ガスを供給した分離帯域をシュミレートした。ガス混合物の組成はエチレン(1.2825モル)、プロピレン(0.3362モル)、水素+メタン+エタン(2.4021モル)(水につき調整しながらエタンとして処理したVLE)、プロパン(0.2261モル)、ブタン(0.059モル)およびペンタン(0.0803モル)とした。
【0038】
このモデルは分離帯域の低部から取出されたエチレンリッチなプロピレンフリーの第1液体流および第1液体流で取出されたエチレンの約81%であるストリッピング用ガスとしてのエチレンの供給物をシミュレートした。回収されたエチレン流は乾燥基準で0.1%未満のプロピレンを含有した。
【0039】
供給点より上方で分離帯域から取出した第2液体流をフラッシュさせて、乾燥基準で僅か0.6%のエチレンを含有するプロピレン生成物を得た。残留ガスにおけるオレフィン損失量は0.2%であって、供給プロピレンの2%を示す。シミュレーションの結果を下表に示し、ここには20理論段数(トレー)の分離帯域につき蒸気流および液体流の結果を頂部から15番目のトレーに対する供給物と共に示す。ストリッピング用エチレンガスは、71.8℃および500KPa(5bar)にて分離帯域の底部に導入して示される。錯生成溶液は30℃にて分離帯域の頂部に導入されて示される。
【0040】
極めて少量のプロピレンを含有する底部(トレー20)からの液体流を気化器へ供給し、ここでエチレンを分離帯域へのストリッピング用ガスとして供給すべく回収する。残余の液体をモデル化された第1フラッシュ蒸留帯域へ導入し、これらの結果をも表中に3理論段数(トレー)フラッシュ蒸留として示し、エチレンフリーの錯生成水溶液を底部からの液体流とした。
【0041】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による方法の工程流れ図である。
【符号の説明】
1 ガス供給混合物
2 分離帯域
3 錯生成水溶液
4 ストリッピング用ガス
5 第1液体流
6 ヒーター
8 フラッシュ蒸留帯域
12 第2液体流
Claims (15)
- エチレンとプロピレンと飽和炭化水素と必要に応じ他のオレフィンとを含むガス混合物からエチレンおよびプロピレンを回収するに際し:
(a)ガス混合物を、頂部と底部とを垂直配向にて備える分離帯域に供給し;
(b)分離帯域の頂部にガス混合物の供給点より高い箇所にて銅(I)塩と水性溶剤とからなる錯生成水溶液を供給して、エチレンおよびプロピレンの銅(I)錯体を生成させ;
(c)分離帯域にガス混合物の供給点より低い箇所にてエチレンからなるストリッピング用ガスを供給して、分離帯域内のプロピレンの銅(I)錯体からプロピレンをストリッピングし;
(d)分離帯域の底部からストリッピング用ガスの供給点より低い箇所にて錯生成溶液とエチレンの銅(I)錯体とからなる第1液体流を取出し;
(e)前記第1液体流を減圧および/または高められた温度の条件にかけて前記第1液体流からエチレンを回収し;
(f)分離帯域からガス混合物の供給点と錯生成溶液の供給点との間の箇所にて錯生成溶液とプロピレンの銅(I)錯体とからなる第2液体流を取出し;
(g)前記第2液体流を減圧および/または高められた温度の条件にかけて前記第2液体流からプロピレンを回収すると共に、銅(I)塩からなる液体循環流を生成させ;
(h)工程(g)からの液体循環流を分離帯域に循環する
ことを特徴とするガス混合物からのエチレンおよびプロピレンの回収方法。 - 第1液体流から回収されたエチレンの少なくとも1部を、分離帯域に供給されるストリッピング用ガスに循環する請求項1に記載の方法。
- 銅(I)塩のための水性溶剤が水とピリジン、ピペリジン、ヒドロキシプロピオニトリル、ジエチレントリアミン、アセトニトリル、ホルムアミド、アセタミドおよびその誘導体よりなる群から選択される有機窒素化合物とからなる請求項1または2に記載の方法。
- 錯生成水溶液中に使用する銅(I)塩を酢酸銅(I)、硝酸銅(I)および硫酸銅(I)よりなる群から選択する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 錯生成水溶液が硝酸銅(I)とヒドロキシプロピオニトリルもしくはピリジンとを1:1〜1:6の範囲における銅(I)塩と窒素化合物とのモル比にて含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 錯生成水溶液における銅(I)塩の濃度が溶剤1L当り少なくとも0.5モルの塩である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- ガス混合物を錯生成水溶液との接触前に処理して、そこに存在するアセチレン系炭化水素の量を20ppm未満まで減少させる請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- ガス混合物におけるアセチレン系炭化水素の量を錯生成溶液との接触前に、銀イオンを含有するゼオライト床を用いる吸収によりまたはアセチレン系炭化水素の選択的水素化により20ppm未満まで減少させる請求項7に記載の方法。
- ガス混合物中に存在する硫化水素を錯生成溶液との接触前に除去する請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
- 用いるガス混合物が、C5およびそれ以上の炭化水素の大部分を除去した熱分解ガスからなる請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- ガス混合物がエチレン、プロピレン、ブテン、メタン、エタン、プロパン、ブタン及び水素を包含する請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
- ガス混合物が更に一酸化炭素及び水を包含する請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
- 分離帯域へのエチレンを含むストリッピング用ガスの供給を、分離帯域から除去された第1液体流からプロピレンが遮断されるよう制御する請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
- 分離帯域への錯生成溶液の供給を、分離帯域から除去された第2液体流からエチレンが遮断されるよう制御する請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
- 工程(e)にて分離帯域から除去されたエチレンの銅(I)錯体を含む第1液体流を、銅(I)と錯生成したエチレンの少なくとも1部を回収する温度もしくは圧力の条件にかけると共に、回収されたエチレンをストリッピング用ガスの全部もしくは1部として分離帯域に循環する請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
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