JP3603829B2 - レーザ溶接の品質検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ溶接時に発生するプラズマ光のうち特にプラズマプルームによる発光を測定し、ワークの溶融状態の良否を判定するためのレーザ溶接の品質検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ溶接の品質検査方法としては、たとえば、特開平9−136175号公報に示されるように、キーホール内部の発光を検出し、検出した光を周波数解析して得られた信号のうち1.5〜10kHzの周波数帯の信号強度に基づいてレーザ溶接時のワークの溶融状態を判定する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、レーザ溶接自体は、アシストガスとしてアルゴンガスを流しながら、CO2レーザ発振器から出力されたレーザ光をモノスポットタイプのパラボリックミラーによりワークの表面の一点に集光して、ワークを溶融して行われる方法(以下、第1工法という)と、アシストガスとしてヘリウムガスを流しながら、CO2レーザ発振器から出力されたレーザ光をツインスポットタイプのパラボリックミラーによりワークの表面の二点に集光して、ワークを溶融して行われる方法(以下、第2工法という)とがある。
【0004】
しかし、前述した公報記載の品質検査方法は、第1工法にはよく対応して検査できるものの、近年開発された第2工法には対応できず、レーザ溶接ビードが裏面まで貫通していない溶け込み不良を検出できないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、第1工法だけではなく、第2工法にも対応して溶け込み不良を検出することができるレーザ溶接の品質検査方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0007】
(1)本発明のレーザ溶接の品質検査方法は、CO 2 レーザ発振器から出力されたレーザ光をワークの表面の二点に集光し、ワークを溶融して、レーザ溶接を行い、前記ワークの溶接部位から溶接の進行方向後方に所定距離離れた地点からの仰角が45°以上となる位置に設けられたセンサにより、前記レーザ溶接の際にワークの表面に発生するプラズマプルームの発光を検出し、検出された光の振動の周波数分布を算出し、算出された周波数分布のうちの0.6〜1.5kHzの周波数帯における信号強度に基づいて前記ワークの溶融状態の良否を判定する。
【0008】
(2)前記センサは、前記ワークの溶接部位から溶接の進行方向後方に所定距離離れた地点からの仰角が45°以上となる位置に設けられる。
【0010】
(2)前記レーザ溶接されるワークは、厚さが0.7〜2.5mmの板材であることを特徴とする。
【0011】
【発明の効果】
本発明のレーザ溶接の品質検査方法は、プラズマプルームの固有周波数である0.6〜1.5kHzの周波数帯に限定した信号強度に基づいてワークの溶融状態の良否を判断するので、プラズマプルームによる発光の信号強度に基づいてワークの溶接の不良を確実に判定することができる。
【0012】
また、センサを、溶接の進行方向後方に所定距離離れた地点からの仰角が45°以上となる位置に設けたので、仰角が低くてワークの溶接の不良が判定できないということがなく、強い信号強度で適当にワークの溶接の不良を判定できる。
【0013】
さらに、CO2レーザ溶接において、CO2レーザ発振器から出力されたレーザ光をワークの表面の二点に集光するレーザ溶接は高い溶接能力が得られ、プラズマプルームによる発光がより大きくなり、ワークの溶接の不良を精度良く判定することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
なお、本実施の形態では、本発明を第2工法に適用する場合について説明するが、本発明は第1工法にも適用することができる。第1工法に適用する場合、レーザ溶接装置には、後述するツインスポットタイプのパラボリックミラー30に代えて、レーザ光を一点の焦点に集光するモノスポットタイプのパラボリックミラーが使用される。また、本実施の形態では、たとえば、車両等のワークに使用する厚さ0.7mm〜2.5mmの一般的な鋼板を用いて実験を行っている。
【0016】
図1は、本発明のレーザ溶接の品質検査方法が適用されるレーザ溶接装置1の構成を示すブロック図である。
【0017】
レーザ溶接装置1は、CO2レーザ発振器10と、ベンドミラー20、21と、パラボリックミラー30と、センサ40と、計測装置50と、ガス供給用ノズル60とを備える。
【0018】
CO2レーザ発振器10はベンドミラー20に向かってレーザ光を出力できる位置に配置され、ベンドミラー20、21、パラボリックミラー30は、それぞれ、出力されたレーザ光をワーク70の溶接部位に照射できるように反射角を計算して配置されている。
【0019】
センサ40は、ワーク70の溶接部位から所定の距離、たとえば、1.5mmだけ溶接の進行方向後方の地点から仰角θ=45°となる斜め上方に配置され、計測装置50に接続されている。ガス供給用ノズル60は、溶接部位についてセンサ40の反対側に配置される。
【0020】
次に、レーザ溶接装置1の各構成要素の作用について説明する。
【0021】
CO2レーザ発振器10は、レーザ光を生成し、ベンドミラー20に向かって出力する。出力されたレーザ光は、ベンドミラー20および21によって反射され、パラボリックミラー30に伝送される。
【0022】
パラボリックミラー30は、ツインスポットタイプのミラーであり、ベンドミラー21からのレーザ光を、ワーク70の溶接部位を挟むように二点の焦点に集光することができる。ここで、レーザ光が集光する二点の焦点間の距離をスポット間距離といい、図中にdで示す。また、二点の焦点は、ワーク70の溶接部位の溶接方向においても前後に多少ずらされている。このように、焦点を二点にすることによって、ワーク70に吸収されずに通り抜けるレーザ光を少なくし、レーザ光の吸収率を上げることができる。
【0023】
ワーク70の溶接中には、ガス供給用ノズル60は、アシストガスとしてヘリウムガスを使用し、溶接部位に向かって所定の流量で流している。
【0024】
パラボリックミラー30からワーク70の溶接部位にレーザ光が照射されることにより、ワーク70が溶融されて溶接される。ワーク70が溶融してできる部分をプラズマキーホール80といい、プラズマキーホール80の上部に噴出した高温の金属蒸気をプラズマプルーム90という。
【0025】
センサ40は、プラズマキーホール80およびプラズマプルーム90による発光(以下、プラズマ光という)を検出し、計測装置50に送信する。本発明では、溶接時のプラズマプルーム90による発光(以下、プラズマプルーム光という)が一般的に安定していることを前提として、プラズマ光の中でも特にプラズマプルーム光の振動、すなわちその固有周波数に注目し、該固有周波数における信号の特徴に基づいて溶接の良否を判断する。
【0026】
なお、図1においては、各構成の説明の容易ために、センサ40が紙面に対して垂直な溶接方向の側方から溶接部位を監視するように示しているが、実際には、センサ40は、溶接部位の後方1.5mmの位置を後方の上方、すなわち斜め後ろから監視することが望ましい。斜め後ろから監視すると、プラズマプルームの発光を最も強く検出することができる。
【0027】
また、レーザ溶接の具合は、スポット間距離や、アシストガスの流量や、プラズマプルーム光を検出するセンサ40の仰角θなどによって変化する。
【0028】
図2はセンサ40内部の構成を示すブロック図である。
【0029】
センサ40は、フィルタ41と、たとえばフォトダイオードなどの受光素子42とから構成されている。
【0030】
センサ40においては、図中左側から入射したプラズマ光は、フィルタ41によって一定の波長の光が遮断されて減光され、フォトダイオード42に導かれて電気信号に変換され、計測装置50に入力される。
【0031】
図3は計測装置50の内部構成を示すブロック図である。
【0032】
計測装置50は、フォトダイオード42からの電気信号を一定のレベルまで増幅する増幅器51と、増幅器51から出力された電気信号のうち特定の周波数帯のみを通過させるバンドパスフィルター52と、バンドパスフィルター52からのアナログの電気信号をデジタルの電気信号に変換するADコンバータ53と、変換された電気信号の周波数分布を算出する機能、特定の周波数帯における信号強度を算出する機能、および溶接の状況を判断する機能を備えたコンピュータ54とから構成される。
【0033】
本発明では、コンピュータ54によって、0.6〜1.5kHzの周波数帯に注目し、当該周波数帯における信号強度に基づいて溶接の状況、すなわち、溶接が正常に行われ良品ができているか、溶接が正常に行われず不良品ができているかを判定している。具体的には、0.6〜1.5kHzの周波数帯における信号を高速フーリエ解析し、この周波数帯の信号強度を求め、求めた信号強度が、所定の値より大きい場合、溶接が正常に行われず、不良品ができていると判断する。
【0034】
次に、0.6〜1.5kHzの周波数帯に注目することによって、なぜ溶接品質が判定できるのかについて説明する。
【0035】
図4は第1工法による正常な溶接時のプラズマ光から得られた周波数成分ごとの信号強度を示す波形図、図5は第2工法による正常な溶接時のプラズマ光から得られた周波数成分ごとの信号強度を示す波形図、図6は第2工法による正常でない溶接時のプラズマ光から得られた周波数成分ごとの信号強度を示す波形図である。なお、図4〜6では、説明の便宜のため、バンドパスフィルターを用いずに測定できる全周波数帯を示した。また、図4〜図6で示す結果は、いずれも厚さ0.8mmの一般的な鋼板をつき合わせ溶接して得られたものである。
【0036】
図4〜図6では、縦軸が電気信号レベル、横軸が周波数を表している。図中上側に示す(H)はワーク70の溶接部位から溶接の進行方向後方1.5mmの位置において仰角θ=60°となるように高く上方に配置されたセンサ40によってとらえられたプラズマ光の信号変動状況を示しており、下側に示す(L)は仰角θ=10°となるように低く配置されたセンサ40によってとらえられたプラズマ光の信号変動状況を示している。なお、図4の第1工法では、アシストガスとしてアルゴンを20l/分で流しており、図5および図6の第2工法では、アシストガスとしてヘリウムを20l/分で流している。
【0037】
図4および図5を比較参照してみると、第1工法を用いた図4の(H)では4.0kHz周辺の周波数領域において信号の強度が大きくなっており、一方、第2工法を用いた図5の(H)では0.6〜1.5kHzの周波数領域において信号レベルが大きくなっている。なお、図4の第1工法においては、溶接する鋼板の板厚が0.8mmなので、4kHz弱に信号強度のピークが現れていたが、一般的に板厚が厚くなるほどピークが低周波数側に移っていくことがわかっており、板厚を0.7mm〜2.5mmとすれば、信号のピークは、2〜4kHzに現れる。
【0038】
上記のように、第1工法と第2工法とでは、正常な溶接が行われて「良品」ができたときにプラズマ光から得られる電気信号について、信号レベルに特徴がでる周波数領域がそれぞれ異なるので、2〜4kHzの周波数領域に注目し、「良品」ができたときのプラズマ光の電気信号に基づいて「良品」ができたことを判断する特開平9−136175号公報に記載の技術では第1工法には対応できるものの第2工法には対応できない。また、図4の(L)と図5の(L)とを参照してみたら、いずれも図4の(H)および図5の(H)のように一部の周波数領域において信号レベル高くなるといった特徴はない。
【0039】
次に、図5および図6を比較参照してみると、0.6〜1.5kHzの周波数領域において、図5の(H)では信号レベルが最大0.06程度になっているのに対し、図6の(H)では信号レベルが最大1.75程度になっている。このことにより、正常な溶接が行われ「良品」ができる場合に比べて、正常な溶接が行われず「不良品」ができる場合は、0.6〜1.5kHzの周波数領域における信号レベルが格段に大きくなることが分かる。
【0040】
また、図5の(L)と図6の(L)とを参照してみても、0.6〜1.5kHzの周波数領域において、図5の(L)では信号レベルが最大0.016程度になっているのに対し、図6の(L)では信号レベルが最大0.75程度になっている。したがって、下側のセンサ40で検出した場合においても、正常な溶接が行われ「良品」ができる場合に比べて、正常な溶接が行われず「不良品」ができる場合は、0.6〜1.5kHzの周波数領域における信号レベルが格段に大きくなることが分かる。
【0041】
以上から、「良品」の信号レベルに基づいて「良品」ができたことを判断するのではなく、「不良品」の信号レベルに基づいて「不良品」ができたことを判断することができ、特に、0.6〜1.5kHzの周波数領域における信号レベルに注目すれば、信号が所定の値より大きくなることにより、「不良品」ができたことを判断できることが分かる。
【0042】
以上をまとめると、第2工法による溶接において「不良品」を発見するには、センサによってプラズマ光を検出して、電気信号に変換し、0.6〜1.5kHzの周波数領域を抽出して、信号レベルの高低を判断すればよい。この0.6〜1.5kHzの周波数領域における信号レベルの高低の特徴は、プラズマ光の中でもプラズマプルーム光の振動により現れるものであり、プラズマプルーム90の固有周波数は厳密には1.0〜1.5kHzといわれるので、1.0〜1.5kHzの周波数領域における信号レベルを判断することがより望ましい。
【0043】
なお、図示していないが、第1工法による溶接についても、0.6〜1.5kHzの周波数領域に注目すれば、「良品」の場合の信号レベルに比べて、「不良品」の場合の信号レベルが格段に高くなるので、本発明で抽出する周波数領域の信号レベルを参照すれば第1工法についても「不良品」の発生を発見することができる。
【0044】
以下では、第2工法によって溶接を行った場合に、0.6〜1.5kHzの周波数帯に注目して不良品を発見できるかどうかについて、実際に行った実験に基づいて説明する。なお、以下の実施例1〜実施例3では、信号の強さを信号強度として表しているが、これは、上述の信号レベルとスケールが異なるだけで性質は異ならない。すなわち、信号レベルおよび信号強度、ともに数値が大きいほど信号が強いことを示している。
【0045】
<実施例1>
実施例1は、図1に示したレーザ溶接装置1を用いて、CO2レーザ発振器10のレーザ出力を3.5kW、スポット間距離dを0.2mm、センサ40の配置位置をワーク70の溶接部位から仰角θ=50°となる位置として、アシストガスにヘリウムを用い、その流量を変化させながら、センサ40でプラズマ光を検出し、アシストガスの流量に対する異なる周波数帯、0.6〜1.5kHz、1.5〜3.0kHz、3.0〜4.0kHz、または4.0〜5.0kHzの周波数帯での信号強度を求めた実験例である。
【0046】
図7は、第2工法による溶接時のヘリウムの流量に対する信号強度について示す図であり、縦軸に信号強度、横軸に1分間に流すヘリウムの量を表す。
【0047】
実施例1の前提条件として、第2工法による溶接時のヘリウムの流量がおよそ6.5l/分以下の場合には溶接が成功せず不良品になることがすでに確認されているものとし、6.5l/分以下を欠陥エリアとしている。また、不良品が発生するときには信号強度が2000を大幅に上回ることも確認されており、信号強度2000を基準として溶接の良否を判定することとする。
【0048】
0.6〜1.5kHzの周波数帯を「○(白丸)」、1.5〜3.0kHzの周波数帯を「△(白三角)」、3.0〜4.0kHzの周波数帯を「□(白四角)」、4.0〜5.0kHzの周波数帯を「◇(白菱形)」で表し、それらを比較する。その結果、「○(白丸)」のみ、すなわち0.6〜1.5kHzの周波数帯を抽出したときにのみ、ヘリウムガス流量が欠陥エリアに入って溶接が正常に行われずに不良品ができたことを、信号強度の強まり(信号強度約6000)により発見できる。逆に、他の周波数帯を抽出した場合には、欠陥エリアに入っても信号強度に変化がなく、不良品の発生を発見することができない。
【0049】
以上、図7に示す実験結果により、プラズマプルーム光の固有周波数、すなわち0.6〜1.5kHzの周波数帯に注目すれば、アシストガスの流量の不良による不良品の発生を発見できることが裏付けられる。
【0050】
<実施例2>
実施例2は、図1に示したレーザ溶接装置1を用いて、CO2レーザ発振器10のレーザ出力を3.5kW、ガス供給用ノズル60からのヘリウムガスの流量を20l/分、センサ40の配置位置をワーク70の溶接部位から仰角θ=50°となる位置として、スポット間距離dを変化させながら、センサ40でプラズマ光を検出し、スポット間距離dに対する異なる周波数帯、0.6〜1.5kHz、1.5〜3.0kHz、3.0〜4.0kHz、または4.0〜5.0kHzの周波数帯での信号強度を求めた実験例である。
【0051】
図8は、溶接部位に照射されるツインスポットのレーザ光のスポット間距離に対する電気信号の信号強度について示す図であり、縦軸に信号強度、横軸にスポット間距離を表す。
【0052】
実施例2の前提条件として、第2工法による溶接時のスポット間距離dがおよそ0.45mm以上の場合には溶接が成功せず不良品になることがすでに確認されているものとし、0.45mm以上を欠陥エリアとしている。また、不良品が発生するときには信号強度が2000を大幅に上回ることも確認されており、信号強度2000を基準として溶接の良否を判定することとする。
【0053】
0.6〜1.5kHzの周波数帯を「○(白丸)」、1.5〜3.0kHzの周波数帯を「△(白三角)」、3.0〜4.0kHzの周波数帯を「□(白四角)」、4.0〜5.0kHzの周波数帯を「◇(白菱形)」で表し、それらを比較すると、「○(白丸)」のみ、すなわち0.6〜1.5kHzの周波数帯を抽出したときのみ、スポット間距離dが欠陥エリアに入って溶接が正常に行われずに不良品ができたことを、信号強度の強まり(信号強度約3000〜6000)により発見できる。他の周波数帯を抽出した場合には、欠陥エリアに入っても信号強度に変化がなく、不良品の発生を発見することができない。
【0054】
以上、図8に示す実験結果により、プラズマプルーム光の固有周波数である0.6〜1.5kHzの周波数帯に注目すれば、スポット間距離dの不良による不良品の発生を発見できることが裏付けられる。
【0055】
<実施例3>
実施例3は、図1に示すレーザ溶接装置1を用いて、CO2レーザ発振器10のレーザ出力を3.5kW、スポット間距離dを0.2mm、注目する周波数帯を0.6〜1.5kHzとして、アシストガスの流量を変化させながら、センサ40でプラズマ光を検出し、アシストガスの流量に対する信号強度を求めた実験例である。なお、実施例3では、仰角θ=10°、30°、45°、60°または75°と、センサ40の配置位置を変更して、それぞれの場合について、ヘリウムガスの流量に対する信号強度を求めている。
【0056】
図9は、第2工法による溶接時のアシストガスの流量に対する信号強度について示す図であり、縦軸に信号強度、横軸に1分間に流すアシストガス(ヘリウム)の量を表す。
【0057】
実施例3の前提条件として、第2工法による溶接時のヘリウムの流量がおよそ6.5l/分以下の場合には溶接が成功せず不良品になることがすでに確認されているものとし、6.5l/分以下を欠陥エリアとしている。また、不良品が発生するときには信号強度が2000を大幅に上回ることも確認されており、信号強度2000を基準として溶接の良否を判定する。
【0058】
仰角θ=10°を「◇(白菱形)」、θ=30°を「□(白四角)」、θ=45°を「△(白三角)」、θ=60°を「●(黒丸)」、θ=75°を「◆(黒菱形)」で表し、それらを比較する。その結果、「△(白三角)」、「●(黒丸)」および「◆(黒菱形)」、すなわち仰角θ=45°、60°および75°の場合に、ヘリウムガス流量が欠陥エリアに入って溶接が正常に行われずに不良品ができたことを、信号強度の強まり(信号強度2000以上)により発見できる。逆に、仰角θ=10°および30°の場合には、欠陥エリアに入っても信号強度に変化がなく、不良品の発生を発見することができない。
【0059】
なお、図を見てもわかるように、仰角θ=60°の場合において、ガス流量が欠陥エリアに入ったときの信号強度が最も強くなるので、仰角θ=60°とすれば最も顕著に不良品の発生を発見できる。
【0060】
以上、図9に示す実験結果により、仰角θ=45°以上の位置にセンサ40を配置すれば、アシストガスの流量の不良による不良品の発生を発見できることが裏付けられ、より好ましくは仰角θ=60°にしたときに不良品の発生を顕著に発見できることが分かる。
【0061】
以上説明してきた各実施例の結果をまとめると、実施例1〜2の実験結果に基づいて、アシストガスの流量、およびスポット間距離dが適当でない場合などでも、0.6〜1.5kHzの周波数帯の信号強度を参照すれば、ワークの溶接の不良、すなわち溶け込み不良を判定できることが分かる。また、実施例3の実験結果に基づいて、センサ40の位置をワーク70からの仰角θ=45°以上とすれば、溶接の不良を判定でき、より好ましくは、仰角θ=60°付近にすればより確実に溶接の不良を判定できることが分かる。
【0062】
また、本発明では、0.6〜1.5kHzの周波数帯に限定して「不良品」発生時の信号強度に基づいてワークの溶融状態の不良を判断するので、ツインスポットタイプの第2工法にも対応して、ワークの溶接の不良を判定することができる。
【0063】
なお、上記実施の形態および各実施例では、アシストガスとして、第1工法ではアルゴンを使用し、第2工法ではヘリウムを使用していたが、これらは例示的に用いたものであって、使用するガスが入れ替わっても良いし、他のガスが使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ溶接の品質検査方法が適用されるレーザ溶接装置の構成を示すブロック図である。
【図2】センサ内部の構成を示すブロック図である。
【図3】計測装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】第1工法による正常な溶接時のプラズマ光から得られた周波数成分ごとの信号強度を示す波形図である。
【図5】第2工法による正常な溶接時のプラズマ光から得られた周波数成分ごとの信号強度を示す波形図である。
【図6】第2工法による正常でない溶接時のプラズマ光から得られた周波数成分ごとの信号強度を示す波形図である。
【図7】第2工法による溶接時のヘリウムの流量に対する信号強度について示す図である。
【図8】溶接部位に照射されるツインスポットのレーザ光のスポット間距離に対する電気信号の信号強度について示す図である。
【図9】第2工法による溶接時のアシストガスの流量に対する信号強度について示す図である。
【符号の説明】
1…レーザ溶接装置、
10…レーザ発振器、
20、21…ベンドミラー、
30…パラボリックミラー、
40…センサ、
42…フォトダイオード、
50…計測装置、
54…コンピュータ、
60…ガス供給用ノズル、
70…ワーク、
80…プラズマキーホール、
90…プラズマプルーム。
Claims (2)
- CO 2 レーザ発振器から出力されたレーザ光をワークの表面の二点に集光し、ワークを溶融して、レーザ溶接を行い、
前記ワークの溶接部位から溶接の進行方向後方に所定距離離れた地点からの仰角が45°以上となる位置に設けられたセンサにより、前記レーザ溶接の際にワークの表面に発生するプラズマプルームの発光を検出し、
検出された光の振動の周波数分布を算出し、
算出された周波数分布のうちの0.6〜1.5kHzの周波数帯における信号強度に基づいて前記ワークの溶融状態の良否を判定するレーザ溶接の品質検査方法。 - 前記レーザ溶接されるワークは、厚さが0.7〜2.5mmの板材であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接の品質検査方法。
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