JP3603257B2 - 樹脂製品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、雄型と雌型との間の成形空間に樹脂材料を注入してこれを加熱硬化させ、製品を得るようにした樹脂製品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル樹脂又はアクリル樹脂を主原料とし、これにフリット等を加えた樹脂材料(レジンコンクリート)を、雄型と雌型との間の成形空間に充填し、加熱硬化させて人造大理石浴槽等の樹脂製品を製造する場合、通常は図3に示すような方法で行っている。先ず、同図の図(A)に示すように、雌型1の成形面である凹部2に、製品の裏面の補強層を形成するためのプリプレグされたプリゲルシート3と、液状のレジンコンクリート(以下は、単にレジコンという)4を装入及び流し込み準備する。一方、雄型5の成形面である凸部6の表面に、ゲルコート層7と、透明な表面層8とを吹き付けにより形成している。そして、これらの雄型5の全体を雌型1に被せ、図3の図(C)に示すように、雌雄型1及び5の全体を反転させ、この状態で加熱硬化させている。全体を反転させるのは、成形空間9内の樹脂材料に含まれる気泡を製品(人造大理石浴槽)10の底部裏面へ集合させるためである。
【0003】
ところが、このような樹脂製品の製造方法では、硬化中の樹脂材料が膨張するために、雌雄型1及び5の全体が図4の図(A)の状態から図(B)の状態に変化し、樹脂製品10の隅角部10aの肉厚が薄くなり、該部分のみが裏面側まで透けて見えたり、色調が他の部分と異なるという欠点があった。また樹脂材料が不足すると、未充填となり、空気が残ったり、色調が均一でなくなるという欠点があった。
【0004】
そのため、従来では、樹脂材料の硬化による膨張を抑制するために、図5に示すような剛性の高い成形型11を使用するようにしていた。図5の成形型11は、雄型5をアルミ合金製の金型とし、雌型1をFRPで成形した樹脂型としたものである。樹脂材料は、雌型1の浴槽上縁面に対応する位置に注入口12を開口し、該注入口12から注入装置13を用いて加圧注入するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示す剛性の高い成形型11の場合は、金型を含むものであるため、全体の重量が重くなり、専用の型合わせ機や脱型機を必要とし、設備全体が大型化するという欠点があった。また成形型11が複数配置されている場合に、雌雄型1及び5のそれぞれの組み合わせが変わると、樹脂材料の充填不良が発生することもあるという欠点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は従来の前記課題に鑑みてこれを改良除去したものであって、成形型を簡略化でき、また樹脂材料の充填も確実に行える製造方法を提供せんとするものである。
【0007】
而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、雌型の成形面に補強層を形成するためのプリプレグされたプリゲルシートを配設し、雌型を雄型の上に被せて成形空間を形成する成形型を用いた樹脂製品の製造方法であって、雌型の上面側に開口部を設け、この開口部から前記成形空間へ樹脂材料を注入し、樹脂材料の自重により成形空間へ流動させ、樹脂材料が前記開口部の高さまで達したとき、成形面にプリプレグされたプリゲルシートを配設してなる蓋で前記開口部の露出面を覆い、雌型及び蓋の成形面の全面に補強層を設けて硬化させるようにしたことを特徴とする樹脂製品の製造方法である。
雌型の上面側に設けた開口部から樹脂材料を充填しており、内部に気泡が残ったり、樹脂材料が不足したりすることがなく、均一な充填が行える。また成形型自体は、雌雄型の全部を樹脂型とすることができ、その成形が容易である。更に、型合わせや脱型等も手作業で行うことができ、大型の設備は不要である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の構成を図面に示す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。なお、従来の場合と同一符号は同一部材である。図1は本発明の第1の実施の形態に係る成形型14を示す縦断面図である。同図に示す如く、この成形型14は人造大理石浴槽10を成形する場合のものであり、台車15上に雄型16が載置されている。これは、各作業ステーション間の移動を容易にするためである。そして、雄型16に雌型17を被せ、その周縁の数カ所を万力等のクランプ装置18でクランプしている。雌型17の上面側(人造大理石浴槽10の底壁外周面を成形するための部分)には、開口部19と、空気抜き孔20が形成されている。開口部19は、例えば、300×400mmの矩形状をなすものであり、また空気抜き孔20は、製品である浴槽10の排水口部に対応した位置に形成されている。
【0009】
次に、成形型14による人造大理石浴槽10の製造方法を説明する。先ず、台車15上の雄型16の成形面に、ゲルコート層としてのプリプレグされたプリゲルシートと、透明な表面層としてのプリプレグされたプリゲルシートとを被せると共に、雌型17の成形面に、製品の裏面の補強層を形成するためのプリプレグされたプリゲルシートを装入する。そして、雄型16に雌型15を被せ、これらをクランプ装置18でクランプする。
【0010】
次に、開口部19から樹脂材料のレジコンを注入する。注入されたレジコンは、雌雄型15及び16の間の成形空間21内を隅々まで流動し、気泡を上方へ押し上げながら下方から順に充満され、やがて開口部19に至るようになる。成形空間21内の気泡は、開口部19及び空気抜き孔20から外部へ排出される。レジコンの注入は、開口部19の底面の高さまで行う。これにより、人造大理石浴槽10の底壁の肉厚を均一にすることが可能である。然る後は、補強層としてのプリプレグされたプリゲルシート3を下面側に配設したFRP製の蓋22を準備し、前記開口部19を閉塞する。そして、そのままの状態でレジコンを加熱硬化させればよい。
【0011】
図2は、本発明の他の実施の形態を検討した成形型23を示す縦断面図であって、本発明外のものである。この本発明外の場合は、雌型24の上面(人造大理石浴槽10の底壁の全面に対応する部分)の全体を開口部25としている。その他の構成は、前記図1に示す第1の実施の形態の場合と同じである。この成形型23では、台車15上の雄型16の成形面に、ゲルコート層としてのプリプレグされたプリゲルシートと、透明な表面層としてのプリプレグされたプリゲルシートとを被せる。一方、雌型26の開口部25を除く成形面に、製品の裏面の補強層を形成するためのプリプレグされたプリゲルシートを装入する。そして、雄型16に雌型15を被せ、これらをクランプ装置18でクランプする。
【0012】
次に、上面の大きな開口部25から樹脂材料のレジコンを注入する。注入されたレジコンは、成形空間21内を隅々まで流動し、気泡を上方へ押し上げながら下方から順に充満され、開口部25の材料面レベルを押し上げるようになる。レジコンの注入は、注入された材料の上面が雄型16の成形面から所定寸法(例えば、10mm)の高さになるまで行う。そして、レジコンの上面に、製品裏面の補強層を形成するためのプリプレグされたプリゲルシート3を被覆し、この状態でレジコンを加熱硬化させればよい。なお、この本発明外のものでは、レジコン自体の流動性を利用して開口部25の材料上面の平滑性を確保し、均一な肉厚の浴槽底壁を得るようにしている。
【0013】
ところで、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜の変更が可能である。例えば、製品は人造大理石浴槽以外にも洗面カウンターや浴室カウンター等のカウンター類やその他の樹脂製品であってもよい。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にあっては、雄型の上に雌型を被せて成形空間を形成し、雌型の上面側に開口部を設け、この開口部から前記成形空間へ樹脂材料を注入し、樹脂材料の自重により成形空間へ流動させ、樹脂材料が前記開口部の高さまで達したとき、成形面にプリプレグされたプリゲルシートを配設してなる蓋で前記開口部の露出面を覆い、雌型及び蓋の成形面の全面に補強層を設けて硬化させるようにしたから、内部に気泡が残ったり、樹脂材料が不足したりすることがなく、均一な充填が行える。また成形型自体は、雌雄型の全部を樹脂型とすることができ、その成形が容易である。更に、型合わせや脱型等も手作業で行うことができ、大型の設備は不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る成形型の縦断面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態を検討した場合の成形型の縦断面図であって、本発明外のものである。
【図3】従来技術に関するものであり、図(A)は雌型の縦断面図、図(B)は雄型の縦断面図、図(C)は型合わせ後の成形型の縦断面図である。
【図4】従来技術の問題点を説明するためのものであり、図(A)は硬化前の状態を成形型の横断面図、図(B)は硬化後の状態を示す成形型の横断面図である。
【図5】従来の別の成形型を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10…樹脂製品(人造大理石浴槽) 14…成形型
16…雄型 16…雌型
19…開口部 21…成形空間
22…蓋 23…成形型
25…開口部
Claims (1)
- 雌型の成形面に補強層を形成するためのプリプレグされたプリゲルシートを配設し、雌型を雄型の上に被せて成形空間を形成する成形型を用いた樹脂製品の製造方法であって、雌型の上面側に開口部を設け、この開口部から前記成形空間へ樹脂材料を注入し、樹脂材料の自重により成形空間へ流動させ、樹脂材料が前記開口部の高さまで達したとき、成形面にプリプレグされたプリゲルシートを配設してなる蓋で前記開口部の露出面を覆い、雌型及び蓋の成形面の全面に補強層を設けて硬化させるようにしたことを特徴とする樹脂製品の製造方法。
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JP16038299A JP3603257B2 (ja) | 1999-06-08 | 1999-06-08 | 樹脂製品の製造方法 |
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JP16038299A JP3603257B2 (ja) | 1999-06-08 | 1999-06-08 | 樹脂製品の製造方法 |
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1999
- 1999-06-08 JP JP16038299A patent/JP3603257B2/ja not_active Expired - Fee Related
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