JP3603078B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性、耐湿性、靭性、電気特性等に優れたポリフェノール類、ポリフェノール類の縮合体を必須成分とするエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、電子産業を中心として科学技術が急速な進歩を遂げているが、なかでも半導体関連技術あるいは積層板などの進歩はめざましいものがある。
半導体はメモリーの集積度の増加に伴い、配線の微細化とチップの薄膜化が進んでいるが、集積度の向上とともに、実装方法もまたスルーホール実装から表面実装へと移行している。
表面実装の自動化ラインではリード線の半田付けの際に半導体パッケージが急激な温度変化を受け、樹脂成形部にクラックが生じたり、リード線−樹脂間の界面が劣化し、半導体パッケージの耐湿性が低下するという問題がある。
前述の問題を解決するため半導体パッケージを半田浴に浸漬した時の熱衝撃を緩和する目的で、シリコーン化合物の添加、熱可塑性オリゴマーの添加あるいはシリコーン変性などの方法が提案されているが、いずれの方法も半田浸漬後、成形物にクラックが生じてしまい、信頼性のある半導体封止用樹脂組成物が得られるには至っていない。
半導体樹脂組成物には、エポキシ樹脂と組み合わせたフェノール樹脂がしばしば用いられており、該フェノール樹脂としては一般にノボラックフェノール樹脂やノボラッククレゾール樹脂が使用されている。しかし前記フェノール樹脂を用いた場合、半導体パッケージの吸湿性が強く、その結果として前述のように半田浴浸漬時にクラックの発生が避けられないという問題がある。そこで最近では、半導体封止用樹脂の耐熱性を改善するために、例えば、耐湿性に優れたフェノール樹脂として、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂が提案されている(特開昭62−201922号公報)。しかし、前記ジシクロペンタジエン変性物は耐湿性は優れるものの、架橋密度が低いため満足できる耐熱性が得られないという問題がある。
【0003】
高速電子機器の分野においては近年、電子素子の高密度化、信号の高速化、高周波数化に伴い信号の遅延と装置の発熱が問題になっている。信号の遅延時間は比誘電率の平方根に比例して大きくなるため、高速電子機器のプリント配線板としては、誘電率の低いものが求められている。一般に広く用いられているガラス布を基材とする積層板は誘電率が4.5〜5.0とかなり大きく、高速電子機器用、高周波機器用としては不十分である。そこで誘電率を低くするために、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォンなどを用いた積層板が開発されている。しかしながら、これらは熱可塑性樹脂であるため、強度または半田耐熱性等が十分でないという問題がある。
エポキシ樹脂積層板は一般的にはノボラックエポキシ樹脂を主成分とし、難燃化を目的として臭素化エポキシ樹脂を配合して製造されている。誘電率は一般的に使用するエポキシ樹脂の構造に起因するが、組み合わせる硬化剤によっても大きく変動する。
エポキシ樹脂積層板は、通常、硬化剤としてジシアンジアミドが使用されている。しかし、この硬化剤を用いると得られる基板の誘電率が悪くなるだけでなく、耐湿性も著しく悪くなるという問題がある。そこで、近年、これをフェノール樹脂に代替し、これらの特性を改善しようという検討が行われているが、ノボラックフェノール樹脂やノボラッククレゾール樹脂のような通常のフェノール樹脂では、耐湿性、誘電特性および耐熱性の特性を全て満足するような積層板は得られていないのが現状である。この際一般的にノボラックフェノール樹脂の架橋密度を高め耐熱性を向上させる方法として、核体数を高める方法が採用されるが、吸湿性が高まり、耐湿性が低下し、また脆さが顕著になり靭性の低下が生じるという欠点がある。
したがって、高速電子機器用、高周波機器用に適したプリント基板を製造するためには、新たなフェノール樹脂を開発し、これをエポキシ樹脂と組み合わせることにより、前記各特性を満足させることが求められている。
更に電気絶縁材料、繊維強化複合材料、塗装材料、成型材料、接着材料等においても同様に耐湿性、接着性、耐熱性等を改善するため、従来品の欠点を改良したエポキシ樹脂組成物の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、硬化物が耐熱性と耐湿性とが共に優れ、さらには高い靭性をも兼備したエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、電子材料用、積層板用、封止材用として有用であり、更に繊維強化複合材料、絶縁粉体塗料、塗装材料、成形材料、接着材料等の各材料に対する厳しい要求特性を満足するエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(a)エポキシ樹脂及び(b)以下の(b−1)〜(b−4)又はこれらの混合物を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物が提供される。
ブタジエン、イソプレン、ピペリレン又はこれらの混合物と、炭素数6〜12のフェノール類とを反応させて得られる二量体のモノフェノキシ体を、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させて得たポリフェノール類(b−1)、
オクタトリエンおよび/またはジメチルオクタトリエンを、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させて得たポリフェノール類(b−2)、
前記ポリフェノール類(b−1)または前記ポリフェノール類(b−2)と、炭素数1〜12のケトン類またはアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させて得たポリフェノール類の縮合体(b−3)、
前記ポリフェノール類(b−1)または前記ポリフェノール類(b−2)5〜95重量%及び炭素数6〜12のフェノール類95〜5重量%の混合物と、炭素数1〜12のケトン類またはアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させて得たポリフェノール類の縮合体(b−4)。
また本発明によれば、(a)エポキシ樹脂、(b)上記の(b−1)〜(b−4)又はこれらの混合物及び(c)硬化促進剤を必須成分として含む電子材料用又は積層板用エポキシ樹脂組成物が提供される。
更に本発明によれば、(a)エポキシ樹脂、(b)上記の(b−1)〜(b−4)又はこれらの混合物、(c)硬化促進剤及び(d)無機充填剤を必須成分として含む封止材用エポキシ樹脂組成物が提供される。
【0006】
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明に用いるポリフェノール類(b−1)は、特定のモノフェノキシ体を、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させる方法(以下第1の製造法と称す)により得られ、本発明に用いるポリフェノール類(b−2)は、オクタトリエン及び/又はジメチルオクタトリエンを、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させる方法(以下第2の製造法と称す)により得られる。
【0007】
前記第1の製造法における特定のモノフェノキシ体は、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン又はこれらの混合物(以下適宜二量体成分と称す)と、炭素数6〜12のフェノール類とを反応させることにより得ることができる。該反応は例えば、(株)講談社編、大河原信編集、1976年発行「オリゴマー」58頁およびR,BaKer, Chemical Review,73(5),487(1973)等に記載の公知のテロメル化反応等により行なうことができる。具体的には、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、チタンまたはハフニウム等の金属触媒の存在下、ブタジエン、イソプレンまたはピペリレンと、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ジエチルフェノール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピロガロール、α,β−ナフトール、ビスフェノールA、ジヒドロキシビフェニル等の炭素数6〜12のフェノール類とを、好ましくは30〜150℃で、0.5〜5時間テロメル化反応させることにより製造できる。この際前記ブタジエン、イソプレンまたはピペリレンと炭素数6〜12のフェノール類との仕込み量は、重量比で1:1〜1:10であるのが好ましい。またブタジエン、イソプレンまたはピペリレンの二量化を選択的に行うために、配位子としてトリフェニルホスフィン等のホスフィン類、アミン類を使用することが好ましく、更に反応にあたっては反応に影響を及ぼさない溶剤、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン等を使用することもできる。
【0008】
前記反応により得られる二量体のモノフェノキシ体としては、例えば、1−フェノキシ−2,7−オクタジエン、3−フェノキシ−1,7−オクタジエン、3−フェノキシジメチルオクタジエン、フェノキシメチルオクタジエン等を挙げることができるが、次の反応に供するには、環状のものを含んでいても良いが、好ましくは得られるポリフェノール類の硬化性を向上させるために鎖状のモノフェノキシ体を用いるのが望ましい。また前記反応においては、モノフェノキシ体の他に少量の1,3,7−オクタトリエン、ジメチルオクタトリエン等が生成するが、公知の精製法により分離することができる。
【0009】
一方、前記第2の製造法に用いるオクタトリエン、ジメチルオクタトリエンを調製するには、例えばアルコール、フェノール等の活性水素溶剤が存在しない系において、前記テロメル化反応と同様の金属触媒の存在下、ブタジエン、イソプレンまたはピペリレンを二量化する方法(以下、「オリゴメル化反応」と称す)等により得ることができ、具体的には前記文献に記載の方法で製造できる。また前記オリゴメル化反応以外の方法としては、ブタジエン、イソプレンまたはピペリレンを、熱反応、ラジカル反応、カチオン重合等の公知の反応により鎖状に二量化することによって得ることもできる。次の反応に供するオクタトリエン、ジメチルオクタトリエンは、環状のものを含んでいても良いが、得られるポリフェノール類の硬化性を向上させるために鎖状のものを使用するのが好ましい。
【0010】
次に前記第1の方法では前記モノフェノキシ体を、前記第2の製造法では前記オクタトリエン及び/又はジメチルオクタトリエンを、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応(以下、「アルキル化反応」という)させることにより目的のポリフェノール類を製造することができる。
前記第1及び第2の方法に用いる酸触媒としては、硫酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の炭素数1〜10のアルカンスルホン酸;トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、陰イオン交換樹脂、AlCl3、三フッ化ホウ素等を挙げることができ、特に活性および後処理の容易さから、三フッ化ホウ素系触媒、具体的には三フッ化ホウ素フェノール錯体、三フッ化ホウ素エーテル錯体、三フッ化ホウ素アミン錯体等が好ましい。前記酸触媒の使用量は、触媒の種類、目的により異なるが、例えば、三フッ化ホウ素フェノール錯体の場合、原料の二量体成分100重量部に対し、通常0.1〜15重量部、好ましくは1〜8重量部である。
前記炭素数6〜12のフェノール類としては、前記テロメル化反応において列挙した化合物と同様な化合物等を列挙することができる。
前記モノフェノキシ体、若しくはオクタトリエンおよび/またはジメチルオクタトリエンと、炭素数6〜12のフェノール類との仕込みモル比は、1:2〜1:20が好ましく、目的に応じ適宜選択することが望ましい。
【0011】
前記アルキル化反応は、触媒の種類により反応条件が異なるが、反応温度は通常10〜170℃、好ましくは50〜150℃、反応時間は1〜5時間の範囲で行なうのが望ましい。更に反応に当たっては、反応に影響を及ぼさない範囲で、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の溶媒を使用することもできる。
前記アルキル化反応の酸触媒の除去は、公知慣用の方法で実施できる。具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液による失活と水洗により触媒を除去できる。また、水酸化カルシウム、酸化マグネシウムで失活後、濾過する方法も好ましい。
本発明に用いるポリフェノール類(b−1)及び(b−2)の数平均分子量は296〜1500、軟化点は70〜120℃、水酸基当量は130〜185g/eqであるのが好ましい。
【0012】
本発明に用いるポリフェノール類の縮合体(b−3)は、前記第1の製造法又は第2の製造法により得られるポリフェノール類(b−1)又は(b−2)と、炭素数1〜12のアルデヒド類またはケトン類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させる方法(以下第3の製造法と称す)により得られ、本発明に用いるポリフェノール類の縮合体(b−4)は、前記第1の製造法又は第2の製造法により得られるポリフェノール類(b−1)又は(b−2)5〜95重量%及び炭素数6〜12のフェノール類95〜5重量%の混合物と、炭素数1〜12のアルデヒド類またはケトン類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させる方法(以下第4の製造法と称す)により得られる。
【0013】
前記第3及び第4の製造法において用いる炭素数1〜12のアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド等を挙げることができ、また炭素数1〜12のケトン類としては、例えばアセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等を挙げることができる。
【0014】
前記第3の製造法において、ポリフェノール類(b−1)又は(b−2)と、炭素数1〜12のアルデヒド類またはケトン類との仕込み当量比は、目的に応じて異なるが、通常は1:1〜20:1であるのが望ましい。
前記第4の製造法における炭素数6〜12のフェノール類としては、前記第1及び第2の製造法において列挙したものと同様な化合物等を好ましく挙げることができる。この際ポリフェノール類及び炭素数6〜12のフェノール類の混合物と、炭素数1〜12のアルデヒド類またはケトン類との仕込み当量比は、目的に応じて異なるが、通常は1:1〜20:1であるのが望ましい。前記第4の製造法における縮合反応では、ポリフェノール類(b−1)又は(b−2)とともに炭素数6〜12のフェノール類が、ケトン類またはアルデヒド類と反応するため、フェノール性水酸基の含量は大きく変化する。したがって、製造に際しては目的に応じて、フェノール性水酸基の含量を考慮して実施するのが好ましい。また第4の製造法においては、前記第1及び第2の製造法によりポリフェノール類(b−1)又は(b−2)を製造した後、酸触媒、未反応の炭素数6〜12のフェノール類、溶剤等を除去することなく、前記炭素数1〜12のアルデヒド類またはケトン類を添加して縮合反応させることもできる。
【0015】
前記第3及び第4の製造法における酸触媒としては、前記第1及び第2の製造法において列挙したものと同様な化合物、更には蓚酸等の有機酸、塩酸等の無機酸等を使用することができる。酸触媒の使用量は、ポリフェノール類100重量部に対して、0.1〜15重量部、特に1〜8重量部であるのが好ましい。
前記第3及び第4の製造法における反応条件は、触媒の種類により異なるが、好ましくは反応温度40〜170℃、特に好ましくは50〜150℃で、1〜5時間反応させるのが望ましい。また反応に当たっては必要に応じて溶媒を使用することもでき、該溶剤としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチルセロソルブ等のエステル類等を挙げることができる。更に反応を円滑に行なうために、反応時に生成する水を除去するのが好ましい。
前記縮合反応の酸触媒の除去は、前記アルキル化反応における酸触媒の除去と同様に行なうことができる。
【0016】
前記第3及び第4の製造法で得られる縮合体(b−3)又は(b−4)の数平均分子量は、402〜2500、軟化点78〜150℃、水酸基当量124〜250g/eqであるのが好ましい。
本発明に用いるポリフェノール類(b−1)又は(b−2)、ポリフェノール類の縮合体(b−3)又は(b−4)は、例えばエピクロヒドリン等でエポキシ化したエポキシ樹脂として積層板、封止材等の主樹脂として利用することもできる他、ナフトキノンジアジドスルフォニルクロリド等で変性し、ポジ型レジストとして使用することもできる。
【0017】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))を必須成分として含有する。
本発明のエポキシ樹脂組成物において用いるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、3官能エポキシ樹脂、4官能エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの分子量及びエポキシ当量等は、用途に応じて適宜選択することができる。
【0018】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、必須成分として含有する前記エポキシ樹脂と、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))との配合割合は、その用途及び使用する各成分に応じて種々選択することができるが、エポキシ樹脂1分子中に含まれるエポキシ基の数と、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))中のフェノール性水酸基の数が当量付近となるのが最も好ましく、エポキシ樹脂30〜70重量%、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))70〜30重量%となるように配合するのが望ましい。
【0019】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、前記必須成分の他に、さらに公知のフェノール樹脂、硬化促進剤、各種充填剤、添加剤等を用途に応じて併用することもできる。
前記フェノール樹脂としては、例えばビスフェノールA、臭素化ビスフェノールA、ノボラックフェノール樹脂、ノボラックオルソクレゾール樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールFノボラック型フェノール樹脂、臭素化ノボラックフェノール樹脂、ナフトールノボラック型フェノール樹脂又はこれらの混合物等を挙げることができる。前記フェノール樹脂の配合割合は、ポリフェノール類及び/又はポリフェノール類の縮合体100重量部に対して、100重量部以下が好ましい。
【0020】
また前記硬化促進剤としては公知のものがいずれも使用できるが、例えば、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩、リン系化合物又はこれらの混合物等を挙げることができる。前記硬化促進剤の配合割合は、前記必須成分100重量部に対して8重量部以下が好ましい。
更に前記充填剤、添加剤としては、着色剤、難燃剤、離型剤、カップリング剤、結晶性シリカ粉、溶融シリカ粉、アルミナ粉、タルク、石英ガラス粉、炭酸カルシウム粉、ガラス繊維、ピッチ、アミノ樹脂、アルキッド樹脂等を挙げることができ、その配合割合は、用途に応じて適宜選択することができる。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、後述する電子材料用、積層板用、封止材用とする他に、絶縁粉体塗料組成物等の用途に使用することもできる。
本発明の電子材料用エポキシ樹脂組成物及び積層板用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))と、硬化促進剤とを必須成分として含有する。
【0022】
前記必須成分としては、前記エポキシ樹脂組成物で具体的に列挙したものを好ましく挙げることができるが、電子材料用とする場合には、前記ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))として、ポリフェノール類(b−1)又は(b−2)の製造に際し、モノフェノキシ体、若しくはオクタトリエン及び/又はジメチルオクタトリエンと、炭素数6〜12のフェノール類との仕込みモル比を、1:5〜1:20として製造した軟化点が低く硬化性に優れたポリフェノール類((b−1)又は(b−2))を、またポリフェノール類の縮合体((b−3)又は(b−4))の製造に際し、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))、若しくはポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び炭素数6〜12のフェノール類の混合物と、炭素数1〜12のアルデヒド類又はケトン類との仕込みモル比を10:1〜2:1として製造した軟化点が低く硬化性に優れたポリフェノール類の縮合体((b−3)又は(b−4))を用いるのが好ましい。一方、積層板用として用いる場合には、前記ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))として、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))の製造に際し、モノフェノキシ体、若しくはオクタトリエン及び/又はジメチルオクタトリエンと、炭素数6〜12のフェノール類との仕込みモル比を、1:3〜1:5として製造した比較的高分子量のポリフェノール類((b−1)又は(b−2))、またポリフェノール類の縮合体((b−3)又は(b−4))の製造に際し、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))、若しくはポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び炭素数6〜12のフェノール類の混合物と、炭素数1〜12のアルデヒド類又はケトン類との仕込みモル比を1:1〜6:1として製造した高分子量のポリフェノール類の縮合体((b−3)又は(b−4))を用いるのが好ましい。また電子材料用エポキシ樹脂組成物には、通常フェノール樹脂の硬化剤として常用されるホルマリン、ヘキサメチレンテトラミン、メラミン、メチル化メラミン、ブチル化メラミン等の硬化剤を含有させることもできる。これらの硬化剤の使用量は、該組成物を硬化せしめる量であれば特に限定されない。更に積層板用エポキシ樹脂組成物には、前記ポリフェノール類、縮合体に、更にハロゲン化フェノール樹脂等を配合したり、ハロゲン化多価エポキシ化合物等を付加反応させた変性フェノール樹脂化あるいはエポキシ樹脂化した樹脂成分等を配合することもできる。
【0023】
前記電子材料用又は積層板用エポキシ樹脂組成物において、必須成分の配合割合は、エポキシ樹脂と、前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類及び/又はポリフェノール類の縮合体との配合については、前記エポキシ樹脂組成物と同様であり、硬化促進剤の配合割合は、エポキシ樹脂及び前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))100重量部に対して、0.1〜8重量部とするのが好ましい。
【0024】
前記電子材用エポキシ樹脂組成物を使用するには、例えば前記各成分を混合後、注型材として使用したり、無機充填剤を添加して絶縁粉体塗料とする等の方法を用いることができ、一方積層板用エポキシ樹脂組成物を使用するには、ガラス布等に該組成物の溶液を含浸させ、乾燥したプリプレグを積層成形する等の方法を用いることができる。
【0025】
本発明の封止材用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))と、硬化促進剤と、無機充填剤とを必須成分として含有する。
【0026】
前記必須成分としては、前記エポキシ樹脂組成物で具体的に列挙したものを好ましく挙げることができ、特に無機充填剤として、結晶性シリカ粉、アルミナ粉、タルク、石英ガラス粉、炭酸カルシウム粉、ガラス繊維等を挙げることができる。また前記ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))として、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))の製造に際し、モノフェノキシ体、若しくはオクタトリエン及び/又はジメチルオクタトリエンと、炭素数6〜12のフェノール類との仕込みモル比を、1:7〜1:20として製造した低分子量のポリフェノール類((b−1)又は(b−2))、またポリフェノール類の縮合体((b−3)又は(b−4))の製造に際し、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))、若しくはポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び炭素数6〜12のフェノール類の混合物と、炭素数1〜12のアルデヒド類又はケトン類との仕込みモル比を10:1〜20:1として製造した低分子量のポリフェノール類の縮合体((b−3)又は(b−4))を用いるのが好ましい。
【0027】
前記封止材用エポキシ樹脂組成物において、必須成分の配合割合は、エポキシ樹脂4〜30重量%、前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))4〜30重量%、無機充填剤50〜90重量%とするのが好ましく、硬化促進剤の配合割合は、エポキシ樹脂及び前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))100重量部に対して、0.1〜5重量部とするのが好ましい。この際無機充填剤の配合割合が50重量%未満の場合には、熱変化に伴う体積変化が大きいのでクラックが生じやすく、また90重量%を超えると、耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0028】
本発明の封止材用エポキシ樹脂組成物を使用するには、例えば前記各必須成分及び必要に応じて添加する充填剤、添加剤を、ミキサー等によって十分均一に混合した後、更に熱ロール又はニーダー等で溶融混練し、冷却後粉砕する等の方法によって用いることができる。この際、トランスファー成形機等で通常120〜220℃、好ましくは150〜200℃で、通常10〜300秒成型し、更に通常160〜220℃、好ましくは170〜200℃で、通常0.5〜5時間硬化させるのが望ましい。
【0029】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、反応性等に優れた前記ポリフェノール類及びその縮合体を有するので、電子材料用エポキシ樹脂組成物、積層板用エポキシ樹脂組成物、封止材用エポキシ樹脂組成物に利用することができ、これらの組成物は、硬化速度が速く、電気絶縁材料、即ち半導体封止材、電気積層板、絶縁粉体塗料や複合材料、高機能接着剤等にも極めて有用である。
【0030】
【実施例】
次に本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。
製造例 1
窒素置換した撹拌機付きの容量10リットルのオートクレーブにパラジウム(II)アセチルアセトナート5.0g、トリフェニルホスフィン15.5g、フェノール3500gを仕込み、90℃に昇温後、イソプレン1000gを3時間かけて逐次添加した。イソプレンの添加とともに発熱したが、除熱により反応温度を90℃に保持し、添加後さらに3時間撹拌を続けてテロメル化反応を行なった。反応終了後、反応液に2%希塩酸水2000gを添加して触媒を失活させた後、トルエン3000gを添加した。その後、トルエン層を分離、水洗、減圧蒸留したところ、1−フェノキシジメチルオクタジエン985g、3−フェノキシジメチルオクタジエン112g、ジメチルオクタトリエン100gからなるイソプレンの二量体成分が得られた。この二量体成分のうち、1−フェノキシジメチルオクタジエン及び3−フェノキシジメチルオクタジエンを用い、次のアルキル化反応を行った。
撹拌機、温度計付きの5リットルの4つ口フラスコに水分を60ppmまで脱水したフェノール1880gと三フッ化ホウ素・フェノール錯体36gを添加し充分混合した後、系内温度を90〜100℃に保ちながら前記二量体成分400gを1時間かけて添加した。その後、系内温度を130℃に昇温し、3時間加熱撹拌した。反応後、反応液に3重量%水酸化ナトリウム水溶液700gを加え、2時間撹拌させて触媒を失活させた後、トルエン1500gを添加し、水洗操作を3回繰り返して、トルエン層を回収した。次いで蒸留によりトルエン層を濃縮し、軟化点85℃、OH当量175g/eq、数平均分子量450のポリフェノール類(1)650gを得た。
【0031】
製造例 2
窒素置換した撹拌機付きの10リットルのオートクレーブにパラジウム(II)アセチルアセトナート5.0g、トリフェニルホスフィン15.5g、ベンゼン3000gを仕込み、90℃に昇温後、イソプレン1000gを3時間かけて逐次添加した。イソプレンの添加とともに発熱したが、除熱により反応温度を90℃に保持し、添加後さらに3時間撹拌を続けて、オリゴメル化反応を行なった。反応終了後、反応液に2%希塩酸水2000gを添加して触媒を失活させた後、ベンゼン3000gを添加した。その後、ベンゼン層を分離、水洗し、減圧蒸留したところ、ジメチルオクタトリエン720gおよび環状のイソプレンの二量体50gからなる留分が得られた。この二量体成分を用い、下記の反応を行った。
撹拌機、温度計付きの5リットル4つ口フラスコに水分を60ppmまで脱水したフェノール3000gと三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体36gを添加し充分混合した。系内温度を90〜100℃に保ちながら前記二量体成分400gを1時間要して添加した。その後、系内温度を100℃に保ち、3時間加熱撹拌し、得られた反応生成物溶液に3重量%水酸化ナトリウム水溶液700g及びトルエン1500gを加え、2時間撹拌させて触媒を失活させた。次いで2時間放置した後、水洗操作を3回繰り返し、有機層を回収した。次いで未反応のフェノールとトルエンとを蒸留により除去し、軟化点82℃、OH当量165g/eq、数平均分子量400のポリフェノール類(2)550gを得た。
【0032】
製造例 3
イソプレンをブタジエンに代えた以外は製造例1と同様な条件でテロメル化反応を行った後、失活、抽出および減圧蒸留を行い、1−フェノキシオクタジエン950g、3−フェノキシジメチルオクタジエン90g、オクタトリエン110gからなるブタジエンの二量体成分を得た。オクタトリエンを除く前記二量体成分を用いて製造例1と同様にアルキル化反応を行ったところ、軟化点77℃、OH当量168g/eq、数平均分子量430のポリフェノール類(3)が480g得られた。
【0033】
製造例 4
イソプレンをブタジエンに代えた以外は製造例2と同様な条件でオリゴメル化反応を行った後、失活、抽出および減圧蒸留を行い、オクタトリエン900gを得た。このオクタトリエンを用いて製造例1と同様にアルキル化反応を行ったところ、軟化点75℃、OH当量160g/eq、数平均分子量395のポリフェノール類(4)が490g得られた。
【0034】
製造例 5
イソプレンをピペリレンに代えた以外は製造例2と同様な条件でオリゴメル化反応を行った後、失活、抽出、蒸留を行い、ジメチルオクタトリエン800gを得た。このジメチルオクタトリエンを用いて製造例1と同様にアルキル化反応を行ったところ、軟化点82℃、OH当量166g/eq、数平均分子量420のポリフェノール類(5)が505g得られた。
【0035】
製造例 6
製造例1で得られた1−フェノキシジメチルオクタジエン180g、3−フェノキシジメチルオクタジエン20gと、α−ナフトール1200gと、クロロベンゼン1200gとを用いて、製造例1と同様にアルキル化反応を行い、軟化点105℃、OH当量220g/eq、数平均分子量520のポリフェノール類(6)450gを得た。
【0036】
製造例 7
還流冷却器、リービッヒコンデンサーを備えた5リットル反応器に、フェノール1600gとトルエン300gとを仕込み、170℃に加熱して、トルエン250gを留出し、系内の水分が60ppmになるまで脱水した。次いで系内を70℃まで冷却し、三フッ化ホウ素・フェノール錯体16gを添加し均一混合した後、反応温度70℃にて、製造例1で合成したポリフェノール類(1)360gを1.0時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後70℃で30分反応を続けた後140℃に昇温し、さらに2.5時間、加熱撹拌した。系内を70℃に降温後、パラホルムアルデヒド30gを添加し、70℃でさらに1時間反応を続けた。反応終了後マグネシウム化合物「KW−1000」(商品名;協和化学工業株式会社製)40gを添加し30分撹拌して触媒を失活させた後、反応液を濾過した。得られた透明な反応液を200℃で減圧蒸留し、軟化点93℃、OH当量156、平均分子量640の縮合体(1)400gを得た。
【0037】
製造例 8
還流冷却器、リービッヒコンデンサーを備えた5リットル反応器に、メチルイソブチルケトン2000リットル、p−トルエンスルホン酸10g、および製造例1で合成したポリフェノール類(1)400gを添加した後、70℃で40%ホルマリン水溶液40gを添加し、70℃でさらに1時間反応を続けた。反応終了後、マグネシウム化合物「KW−1000」(商品名;協和化学工業株式会社製)40gを添加し30分撹拌して触媒を失活させた後、反応液を濾過した。得られた透明な反応液を200℃で減圧蒸留し、軟化点110℃、OH当量178、平均分子量720の縮合体(2)390gを得た。
【0038】
実施例 1 〜 8
樹脂単独の硬化物の試験片を作成するため、硬化剤として、製造例1〜8で合成したポリフェノール樹脂(1)〜(6)または縮合体(1)、(2)に、主剤としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「エポクロンN−660」、大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量214g/eq)、さらに硬化促進剤としてベンジルジメチルアミンをそれぞれ用い、表1に示す組成で配合して、各エポキシ樹脂組成物を得た。
これらのエポキシ樹脂組成物を100℃で2時間、次いで160℃で2時間、さらに180℃で2時間の条件で硬化せしめて試験片とし、JIS K−6911に準拠して、常温での曲げ強度、引張り強度、引張り伸び率および85℃・85%RH条件下での吸水率を測定した。さらにDMA(Dynamic Mechanical Analysis、動的粘弾性試験)によってガラス転移温度および動的粘弾性率を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
比較例 1 〜 3
硬化剤としてノボラックフェノール樹脂(商品名「タマノール758」、(荒川化学工業(株)製、OH当量104g/eq)、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂(OH当量173g/eq)、リモネン変性フェノール樹脂(OH当量172g/eq)を用いた以外は、実施例1〜8と同様に行なった。各測定結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例 9 〜 16
硬化剤として製造例1〜8で合成したポリフェノール類(1)〜(6)または縮合体(1)、(2)を用い、主剤としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「エポクロンN−660」、大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量214g/eq)を用いて、表2に示す他の添加剤とともに表2の配合で配合した後、加熱ロールを使用して混練温度70〜120℃で約8分間の条件で混練りした。その後、約5mmφに粉砕し、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を作製した。次いで得られた組成物を以下の方法により、銅箔接着強度、半田クラック性試験、半田耐湿性試験の各測定を行なった。結果を表2に示す。
【0042】
(1)銅箔接着強度
半導体封止材用エポキシ樹脂組成物を加熱混合し、35μm電解銅箔を敷いた金型に流し込み175℃で6時間硬化させてサンプルを調製した。得られたサンプルをJIS C6481に準拠し銅箔接着力を求めた。
(2)半田クラック性試験
半導体封止材用エポキシ樹脂組成物を、トランスファー成形機(成形条件;金型温度175℃、硬化時間2分間)を用いて成形し、175℃、8時間で後硬化させた。
硬化終了後、得られたテスト用素子(チップサイズ36mm×36mm、パッケージ圧2.0mm)16個について、85℃、85%RHの水蒸気下、48時間および72時間処理後、250℃の半田浴に10秒間浸漬させ、顕微鏡で外部クラックの発生を観察した。
(3)半田耐湿性試験
(2)で封止したテスト用素子を85℃、85%RHで72時間吸湿した後、250℃の半田浴に10秒間浸漬後、プレッシャークッカー試験(125℃、100%RH)を行い回路のオーブン不良を測定した。
【0043】
比較例 4 〜 6
硬化剤としてノボラックフェノール樹脂(商品名「タマノール758」、(荒川化学工業(株)製、OH当量104g/eq)、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂(OH当量173g/eq)、リモネン変性フェノール樹脂(OH当量172g/eq)を用いた以外は、実施例9〜16と同様に行なって半導体封止材用エポキシ樹脂組成物を作製し、各測定を行なった。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性、耐湿性、靭性、電気特性等に優れたポリフェノール類、ポリフェノール類の縮合体を必須成分とするエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、電子産業を中心として科学技術が急速な進歩を遂げているが、なかでも半導体関連技術あるいは積層板などの進歩はめざましいものがある。
半導体はメモリーの集積度の増加に伴い、配線の微細化とチップの薄膜化が進んでいるが、集積度の向上とともに、実装方法もまたスルーホール実装から表面実装へと移行している。
表面実装の自動化ラインではリード線の半田付けの際に半導体パッケージが急激な温度変化を受け、樹脂成形部にクラックが生じたり、リード線−樹脂間の界面が劣化し、半導体パッケージの耐湿性が低下するという問題がある。
前述の問題を解決するため半導体パッケージを半田浴に浸漬した時の熱衝撃を緩和する目的で、シリコーン化合物の添加、熱可塑性オリゴマーの添加あるいはシリコーン変性などの方法が提案されているが、いずれの方法も半田浸漬後、成形物にクラックが生じてしまい、信頼性のある半導体封止用樹脂組成物が得られるには至っていない。
半導体樹脂組成物には、エポキシ樹脂と組み合わせたフェノール樹脂がしばしば用いられており、該フェノール樹脂としては一般にノボラックフェノール樹脂やノボラッククレゾール樹脂が使用されている。しかし前記フェノール樹脂を用いた場合、半導体パッケージの吸湿性が強く、その結果として前述のように半田浴浸漬時にクラックの発生が避けられないという問題がある。そこで最近では、半導体封止用樹脂の耐熱性を改善するために、例えば、耐湿性に優れたフェノール樹脂として、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂が提案されている(特開昭62−201922号公報)。しかし、前記ジシクロペンタジエン変性物は耐湿性は優れるものの、架橋密度が低いため満足できる耐熱性が得られないという問題がある。
【0003】
高速電子機器の分野においては近年、電子素子の高密度化、信号の高速化、高周波数化に伴い信号の遅延と装置の発熱が問題になっている。信号の遅延時間は比誘電率の平方根に比例して大きくなるため、高速電子機器のプリント配線板としては、誘電率の低いものが求められている。一般に広く用いられているガラス布を基材とする積層板は誘電率が4.5〜5.0とかなり大きく、高速電子機器用、高周波機器用としては不十分である。そこで誘電率を低くするために、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォンなどを用いた積層板が開発されている。しかしながら、これらは熱可塑性樹脂であるため、強度または半田耐熱性等が十分でないという問題がある。
エポキシ樹脂積層板は一般的にはノボラックエポキシ樹脂を主成分とし、難燃化を目的として臭素化エポキシ樹脂を配合して製造されている。誘電率は一般的に使用するエポキシ樹脂の構造に起因するが、組み合わせる硬化剤によっても大きく変動する。
エポキシ樹脂積層板は、通常、硬化剤としてジシアンジアミドが使用されている。しかし、この硬化剤を用いると得られる基板の誘電率が悪くなるだけでなく、耐湿性も著しく悪くなるという問題がある。そこで、近年、これをフェノール樹脂に代替し、これらの特性を改善しようという検討が行われているが、ノボラックフェノール樹脂やノボラッククレゾール樹脂のような通常のフェノール樹脂では、耐湿性、誘電特性および耐熱性の特性を全て満足するような積層板は得られていないのが現状である。この際一般的にノボラックフェノール樹脂の架橋密度を高め耐熱性を向上させる方法として、核体数を高める方法が採用されるが、吸湿性が高まり、耐湿性が低下し、また脆さが顕著になり靭性の低下が生じるという欠点がある。
したがって、高速電子機器用、高周波機器用に適したプリント基板を製造するためには、新たなフェノール樹脂を開発し、これをエポキシ樹脂と組み合わせることにより、前記各特性を満足させることが求められている。
更に電気絶縁材料、繊維強化複合材料、塗装材料、成型材料、接着材料等においても同様に耐湿性、接着性、耐熱性等を改善するため、従来品の欠点を改良したエポキシ樹脂組成物の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、硬化物が耐熱性と耐湿性とが共に優れ、さらには高い靭性をも兼備したエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、電子材料用、積層板用、封止材用として有用であり、更に繊維強化複合材料、絶縁粉体塗料、塗装材料、成形材料、接着材料等の各材料に対する厳しい要求特性を満足するエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(a)エポキシ樹脂及び(b)以下の(b−1)〜(b−4)又はこれらの混合物を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物が提供される。
ブタジエン、イソプレン、ピペリレン又はこれらの混合物と、炭素数6〜12のフェノール類とを反応させて得られる二量体のモノフェノキシ体を、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させて得たポリフェノール類(b−1)、
オクタトリエンおよび/またはジメチルオクタトリエンを、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させて得たポリフェノール類(b−2)、
前記ポリフェノール類(b−1)または前記ポリフェノール類(b−2)と、炭素数1〜12のケトン類またはアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させて得たポリフェノール類の縮合体(b−3)、
前記ポリフェノール類(b−1)または前記ポリフェノール類(b−2)5〜95重量%及び炭素数6〜12のフェノール類95〜5重量%の混合物と、炭素数1〜12のケトン類またはアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させて得たポリフェノール類の縮合体(b−4)。
また本発明によれば、(a)エポキシ樹脂、(b)上記の(b−1)〜(b−4)又はこれらの混合物及び(c)硬化促進剤を必須成分として含む電子材料用又は積層板用エポキシ樹脂組成物が提供される。
更に本発明によれば、(a)エポキシ樹脂、(b)上記の(b−1)〜(b−4)又はこれらの混合物、(c)硬化促進剤及び(d)無機充填剤を必須成分として含む封止材用エポキシ樹脂組成物が提供される。
【0006】
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明に用いるポリフェノール類(b−1)は、特定のモノフェノキシ体を、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させる方法(以下第1の製造法と称す)により得られ、本発明に用いるポリフェノール類(b−2)は、オクタトリエン及び/又はジメチルオクタトリエンを、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させる方法(以下第2の製造法と称す)により得られる。
【0007】
前記第1の製造法における特定のモノフェノキシ体は、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン又はこれらの混合物(以下適宜二量体成分と称す)と、炭素数6〜12のフェノール類とを反応させることにより得ることができる。該反応は例えば、(株)講談社編、大河原信編集、1976年発行「オリゴマー」58頁およびR,BaKer, Chemical Review,73(5),487(1973)等に記載の公知のテロメル化反応等により行なうことができる。具体的には、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、チタンまたはハフニウム等の金属触媒の存在下、ブタジエン、イソプレンまたはピペリレンと、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ジエチルフェノール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピロガロール、α,β−ナフトール、ビスフェノールA、ジヒドロキシビフェニル等の炭素数6〜12のフェノール類とを、好ましくは30〜150℃で、0.5〜5時間テロメル化反応させることにより製造できる。この際前記ブタジエン、イソプレンまたはピペリレンと炭素数6〜12のフェノール類との仕込み量は、重量比で1:1〜1:10であるのが好ましい。またブタジエン、イソプレンまたはピペリレンの二量化を選択的に行うために、配位子としてトリフェニルホスフィン等のホスフィン類、アミン類を使用することが好ましく、更に反応にあたっては反応に影響を及ぼさない溶剤、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン等を使用することもできる。
【0008】
前記反応により得られる二量体のモノフェノキシ体としては、例えば、1−フェノキシ−2,7−オクタジエン、3−フェノキシ−1,7−オクタジエン、3−フェノキシジメチルオクタジエン、フェノキシメチルオクタジエン等を挙げることができるが、次の反応に供するには、環状のものを含んでいても良いが、好ましくは得られるポリフェノール類の硬化性を向上させるために鎖状のモノフェノキシ体を用いるのが望ましい。また前記反応においては、モノフェノキシ体の他に少量の1,3,7−オクタトリエン、ジメチルオクタトリエン等が生成するが、公知の精製法により分離することができる。
【0009】
一方、前記第2の製造法に用いるオクタトリエン、ジメチルオクタトリエンを調製するには、例えばアルコール、フェノール等の活性水素溶剤が存在しない系において、前記テロメル化反応と同様の金属触媒の存在下、ブタジエン、イソプレンまたはピペリレンを二量化する方法(以下、「オリゴメル化反応」と称す)等により得ることができ、具体的には前記文献に記載の方法で製造できる。また前記オリゴメル化反応以外の方法としては、ブタジエン、イソプレンまたはピペリレンを、熱反応、ラジカル反応、カチオン重合等の公知の反応により鎖状に二量化することによって得ることもできる。次の反応に供するオクタトリエン、ジメチルオクタトリエンは、環状のものを含んでいても良いが、得られるポリフェノール類の硬化性を向上させるために鎖状のものを使用するのが好ましい。
【0010】
次に前記第1の方法では前記モノフェノキシ体を、前記第2の製造法では前記オクタトリエン及び/又はジメチルオクタトリエンを、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応(以下、「アルキル化反応」という)させることにより目的のポリフェノール類を製造することができる。
前記第1及び第2の方法に用いる酸触媒としては、硫酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の炭素数1〜10のアルカンスルホン酸;トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、陰イオン交換樹脂、AlCl3、三フッ化ホウ素等を挙げることができ、特に活性および後処理の容易さから、三フッ化ホウ素系触媒、具体的には三フッ化ホウ素フェノール錯体、三フッ化ホウ素エーテル錯体、三フッ化ホウ素アミン錯体等が好ましい。前記酸触媒の使用量は、触媒の種類、目的により異なるが、例えば、三フッ化ホウ素フェノール錯体の場合、原料の二量体成分100重量部に対し、通常0.1〜15重量部、好ましくは1〜8重量部である。
前記炭素数6〜12のフェノール類としては、前記テロメル化反応において列挙した化合物と同様な化合物等を列挙することができる。
前記モノフェノキシ体、若しくはオクタトリエンおよび/またはジメチルオクタトリエンと、炭素数6〜12のフェノール類との仕込みモル比は、1:2〜1:20が好ましく、目的に応じ適宜選択することが望ましい。
【0011】
前記アルキル化反応は、触媒の種類により反応条件が異なるが、反応温度は通常10〜170℃、好ましくは50〜150℃、反応時間は1〜5時間の範囲で行なうのが望ましい。更に反応に当たっては、反応に影響を及ぼさない範囲で、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の溶媒を使用することもできる。
前記アルキル化反応の酸触媒の除去は、公知慣用の方法で実施できる。具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液による失活と水洗により触媒を除去できる。また、水酸化カルシウム、酸化マグネシウムで失活後、濾過する方法も好ましい。
本発明に用いるポリフェノール類(b−1)及び(b−2)の数平均分子量は296〜1500、軟化点は70〜120℃、水酸基当量は130〜185g/eqであるのが好ましい。
【0012】
本発明に用いるポリフェノール類の縮合体(b−3)は、前記第1の製造法又は第2の製造法により得られるポリフェノール類(b−1)又は(b−2)と、炭素数1〜12のアルデヒド類またはケトン類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させる方法(以下第3の製造法と称す)により得られ、本発明に用いるポリフェノール類の縮合体(b−4)は、前記第1の製造法又は第2の製造法により得られるポリフェノール類(b−1)又は(b−2)5〜95重量%及び炭素数6〜12のフェノール類95〜5重量%の混合物と、炭素数1〜12のアルデヒド類またはケトン類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させる方法(以下第4の製造法と称す)により得られる。
【0013】
前記第3及び第4の製造法において用いる炭素数1〜12のアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド等を挙げることができ、また炭素数1〜12のケトン類としては、例えばアセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等を挙げることができる。
【0014】
前記第3の製造法において、ポリフェノール類(b−1)又は(b−2)と、炭素数1〜12のアルデヒド類またはケトン類との仕込み当量比は、目的に応じて異なるが、通常は1:1〜20:1であるのが望ましい。
前記第4の製造法における炭素数6〜12のフェノール類としては、前記第1及び第2の製造法において列挙したものと同様な化合物等を好ましく挙げることができる。この際ポリフェノール類及び炭素数6〜12のフェノール類の混合物と、炭素数1〜12のアルデヒド類またはケトン類との仕込み当量比は、目的に応じて異なるが、通常は1:1〜20:1であるのが望ましい。前記第4の製造法における縮合反応では、ポリフェノール類(b−1)又は(b−2)とともに炭素数6〜12のフェノール類が、ケトン類またはアルデヒド類と反応するため、フェノール性水酸基の含量は大きく変化する。したがって、製造に際しては目的に応じて、フェノール性水酸基の含量を考慮して実施するのが好ましい。また第4の製造法においては、前記第1及び第2の製造法によりポリフェノール類(b−1)又は(b−2)を製造した後、酸触媒、未反応の炭素数6〜12のフェノール類、溶剤等を除去することなく、前記炭素数1〜12のアルデヒド類またはケトン類を添加して縮合反応させることもできる。
【0015】
前記第3及び第4の製造法における酸触媒としては、前記第1及び第2の製造法において列挙したものと同様な化合物、更には蓚酸等の有機酸、塩酸等の無機酸等を使用することができる。酸触媒の使用量は、ポリフェノール類100重量部に対して、0.1〜15重量部、特に1〜8重量部であるのが好ましい。
前記第3及び第4の製造法における反応条件は、触媒の種類により異なるが、好ましくは反応温度40〜170℃、特に好ましくは50〜150℃で、1〜5時間反応させるのが望ましい。また反応に当たっては必要に応じて溶媒を使用することもでき、該溶剤としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチルセロソルブ等のエステル類等を挙げることができる。更に反応を円滑に行なうために、反応時に生成する水を除去するのが好ましい。
前記縮合反応の酸触媒の除去は、前記アルキル化反応における酸触媒の除去と同様に行なうことができる。
【0016】
前記第3及び第4の製造法で得られる縮合体(b−3)又は(b−4)の数平均分子量は、402〜2500、軟化点78〜150℃、水酸基当量124〜250g/eqであるのが好ましい。
本発明に用いるポリフェノール類(b−1)又は(b−2)、ポリフェノール類の縮合体(b−3)又は(b−4)は、例えばエピクロヒドリン等でエポキシ化したエポキシ樹脂として積層板、封止材等の主樹脂として利用することもできる他、ナフトキノンジアジドスルフォニルクロリド等で変性し、ポジ型レジストとして使用することもできる。
【0017】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))を必須成分として含有する。
本発明のエポキシ樹脂組成物において用いるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、3官能エポキシ樹脂、4官能エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの分子量及びエポキシ当量等は、用途に応じて適宜選択することができる。
【0018】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、必須成分として含有する前記エポキシ樹脂と、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))との配合割合は、その用途及び使用する各成分に応じて種々選択することができるが、エポキシ樹脂1分子中に含まれるエポキシ基の数と、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))中のフェノール性水酸基の数が当量付近となるのが最も好ましく、エポキシ樹脂30〜70重量%、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))70〜30重量%となるように配合するのが望ましい。
【0019】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、前記必須成分の他に、さらに公知のフェノール樹脂、硬化促進剤、各種充填剤、添加剤等を用途に応じて併用することもできる。
前記フェノール樹脂としては、例えばビスフェノールA、臭素化ビスフェノールA、ノボラックフェノール樹脂、ノボラックオルソクレゾール樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールFノボラック型フェノール樹脂、臭素化ノボラックフェノール樹脂、ナフトールノボラック型フェノール樹脂又はこれらの混合物等を挙げることができる。前記フェノール樹脂の配合割合は、ポリフェノール類及び/又はポリフェノール類の縮合体100重量部に対して、100重量部以下が好ましい。
【0020】
また前記硬化促進剤としては公知のものがいずれも使用できるが、例えば、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩、リン系化合物又はこれらの混合物等を挙げることができる。前記硬化促進剤の配合割合は、前記必須成分100重量部に対して8重量部以下が好ましい。
更に前記充填剤、添加剤としては、着色剤、難燃剤、離型剤、カップリング剤、結晶性シリカ粉、溶融シリカ粉、アルミナ粉、タルク、石英ガラス粉、炭酸カルシウム粉、ガラス繊維、ピッチ、アミノ樹脂、アルキッド樹脂等を挙げることができ、その配合割合は、用途に応じて適宜選択することができる。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、後述する電子材料用、積層板用、封止材用とする他に、絶縁粉体塗料組成物等の用途に使用することもできる。
本発明の電子材料用エポキシ樹脂組成物及び積層板用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))と、硬化促進剤とを必須成分として含有する。
【0022】
前記必須成分としては、前記エポキシ樹脂組成物で具体的に列挙したものを好ましく挙げることができるが、電子材料用とする場合には、前記ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))として、ポリフェノール類(b−1)又は(b−2)の製造に際し、モノフェノキシ体、若しくはオクタトリエン及び/又はジメチルオクタトリエンと、炭素数6〜12のフェノール類との仕込みモル比を、1:5〜1:20として製造した軟化点が低く硬化性に優れたポリフェノール類((b−1)又は(b−2))を、またポリフェノール類の縮合体((b−3)又は(b−4))の製造に際し、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))、若しくはポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び炭素数6〜12のフェノール類の混合物と、炭素数1〜12のアルデヒド類又はケトン類との仕込みモル比を10:1〜2:1として製造した軟化点が低く硬化性に優れたポリフェノール類の縮合体((b−3)又は(b−4))を用いるのが好ましい。一方、積層板用として用いる場合には、前記ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))として、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))の製造に際し、モノフェノキシ体、若しくはオクタトリエン及び/又はジメチルオクタトリエンと、炭素数6〜12のフェノール類との仕込みモル比を、1:3〜1:5として製造した比較的高分子量のポリフェノール類((b−1)又は(b−2))、またポリフェノール類の縮合体((b−3)又は(b−4))の製造に際し、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))、若しくはポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び炭素数6〜12のフェノール類の混合物と、炭素数1〜12のアルデヒド類又はケトン類との仕込みモル比を1:1〜6:1として製造した高分子量のポリフェノール類の縮合体((b−3)又は(b−4))を用いるのが好ましい。また電子材料用エポキシ樹脂組成物には、通常フェノール樹脂の硬化剤として常用されるホルマリン、ヘキサメチレンテトラミン、メラミン、メチル化メラミン、ブチル化メラミン等の硬化剤を含有させることもできる。これらの硬化剤の使用量は、該組成物を硬化せしめる量であれば特に限定されない。更に積層板用エポキシ樹脂組成物には、前記ポリフェノール類、縮合体に、更にハロゲン化フェノール樹脂等を配合したり、ハロゲン化多価エポキシ化合物等を付加反応させた変性フェノール樹脂化あるいはエポキシ樹脂化した樹脂成分等を配合することもできる。
【0023】
前記電子材料用又は積層板用エポキシ樹脂組成物において、必須成分の配合割合は、エポキシ樹脂と、前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類及び/又はポリフェノール類の縮合体との配合については、前記エポキシ樹脂組成物と同様であり、硬化促進剤の配合割合は、エポキシ樹脂及び前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))100重量部に対して、0.1〜8重量部とするのが好ましい。
【0024】
前記電子材用エポキシ樹脂組成物を使用するには、例えば前記各成分を混合後、注型材として使用したり、無機充填剤を添加して絶縁粉体塗料とする等の方法を用いることができ、一方積層板用エポキシ樹脂組成物を使用するには、ガラス布等に該組成物の溶液を含浸させ、乾燥したプリプレグを積層成形する等の方法を用いることができる。
【0025】
本発明の封止材用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))と、硬化促進剤と、無機充填剤とを必須成分として含有する。
【0026】
前記必須成分としては、前記エポキシ樹脂組成物で具体的に列挙したものを好ましく挙げることができ、特に無機充填剤として、結晶性シリカ粉、アルミナ粉、タルク、石英ガラス粉、炭酸カルシウム粉、ガラス繊維等を挙げることができる。また前記ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))として、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))の製造に際し、モノフェノキシ体、若しくはオクタトリエン及び/又はジメチルオクタトリエンと、炭素数6〜12のフェノール類との仕込みモル比を、1:7〜1:20として製造した低分子量のポリフェノール類((b−1)又は(b−2))、またポリフェノール類の縮合体((b−3)又は(b−4))の製造に際し、ポリフェノール類((b−1)又は(b−2))、若しくはポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び炭素数6〜12のフェノール類の混合物と、炭素数1〜12のアルデヒド類又はケトン類との仕込みモル比を10:1〜20:1として製造した低分子量のポリフェノール類の縮合体((b−3)又は(b−4))を用いるのが好ましい。
【0027】
前記封止材用エポキシ樹脂組成物において、必須成分の配合割合は、エポキシ樹脂4〜30重量%、前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))4〜30重量%、無機充填剤50〜90重量%とするのが好ましく、硬化促進剤の配合割合は、エポキシ樹脂及び前記第1〜4の製造法で得られるポリフェノール類((b−1)又は(b−2))及び/又はポリフェノールの縮合体((b−3)又は(b−4))100重量部に対して、0.1〜5重量部とするのが好ましい。この際無機充填剤の配合割合が50重量%未満の場合には、熱変化に伴う体積変化が大きいのでクラックが生じやすく、また90重量%を超えると、耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0028】
本発明の封止材用エポキシ樹脂組成物を使用するには、例えば前記各必須成分及び必要に応じて添加する充填剤、添加剤を、ミキサー等によって十分均一に混合した後、更に熱ロール又はニーダー等で溶融混練し、冷却後粉砕する等の方法によって用いることができる。この際、トランスファー成形機等で通常120〜220℃、好ましくは150〜200℃で、通常10〜300秒成型し、更に通常160〜220℃、好ましくは170〜200℃で、通常0.5〜5時間硬化させるのが望ましい。
【0029】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、反応性等に優れた前記ポリフェノール類及びその縮合体を有するので、電子材料用エポキシ樹脂組成物、積層板用エポキシ樹脂組成物、封止材用エポキシ樹脂組成物に利用することができ、これらの組成物は、硬化速度が速く、電気絶縁材料、即ち半導体封止材、電気積層板、絶縁粉体塗料や複合材料、高機能接着剤等にも極めて有用である。
【0030】
【実施例】
次に本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。
製造例 1
窒素置換した撹拌機付きの容量10リットルのオートクレーブにパラジウム(II)アセチルアセトナート5.0g、トリフェニルホスフィン15.5g、フェノール3500gを仕込み、90℃に昇温後、イソプレン1000gを3時間かけて逐次添加した。イソプレンの添加とともに発熱したが、除熱により反応温度を90℃に保持し、添加後さらに3時間撹拌を続けてテロメル化反応を行なった。反応終了後、反応液に2%希塩酸水2000gを添加して触媒を失活させた後、トルエン3000gを添加した。その後、トルエン層を分離、水洗、減圧蒸留したところ、1−フェノキシジメチルオクタジエン985g、3−フェノキシジメチルオクタジエン112g、ジメチルオクタトリエン100gからなるイソプレンの二量体成分が得られた。この二量体成分のうち、1−フェノキシジメチルオクタジエン及び3−フェノキシジメチルオクタジエンを用い、次のアルキル化反応を行った。
撹拌機、温度計付きの5リットルの4つ口フラスコに水分を60ppmまで脱水したフェノール1880gと三フッ化ホウ素・フェノール錯体36gを添加し充分混合した後、系内温度を90〜100℃に保ちながら前記二量体成分400gを1時間かけて添加した。その後、系内温度を130℃に昇温し、3時間加熱撹拌した。反応後、反応液に3重量%水酸化ナトリウム水溶液700gを加え、2時間撹拌させて触媒を失活させた後、トルエン1500gを添加し、水洗操作を3回繰り返して、トルエン層を回収した。次いで蒸留によりトルエン層を濃縮し、軟化点85℃、OH当量175g/eq、数平均分子量450のポリフェノール類(1)650gを得た。
【0031】
製造例 2
窒素置換した撹拌機付きの10リットルのオートクレーブにパラジウム(II)アセチルアセトナート5.0g、トリフェニルホスフィン15.5g、ベンゼン3000gを仕込み、90℃に昇温後、イソプレン1000gを3時間かけて逐次添加した。イソプレンの添加とともに発熱したが、除熱により反応温度を90℃に保持し、添加後さらに3時間撹拌を続けて、オリゴメル化反応を行なった。反応終了後、反応液に2%希塩酸水2000gを添加して触媒を失活させた後、ベンゼン3000gを添加した。その後、ベンゼン層を分離、水洗し、減圧蒸留したところ、ジメチルオクタトリエン720gおよび環状のイソプレンの二量体50gからなる留分が得られた。この二量体成分を用い、下記の反応を行った。
撹拌機、温度計付きの5リットル4つ口フラスコに水分を60ppmまで脱水したフェノール3000gと三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体36gを添加し充分混合した。系内温度を90〜100℃に保ちながら前記二量体成分400gを1時間要して添加した。その後、系内温度を100℃に保ち、3時間加熱撹拌し、得られた反応生成物溶液に3重量%水酸化ナトリウム水溶液700g及びトルエン1500gを加え、2時間撹拌させて触媒を失活させた。次いで2時間放置した後、水洗操作を3回繰り返し、有機層を回収した。次いで未反応のフェノールとトルエンとを蒸留により除去し、軟化点82℃、OH当量165g/eq、数平均分子量400のポリフェノール類(2)550gを得た。
【0032】
製造例 3
イソプレンをブタジエンに代えた以外は製造例1と同様な条件でテロメル化反応を行った後、失活、抽出および減圧蒸留を行い、1−フェノキシオクタジエン950g、3−フェノキシジメチルオクタジエン90g、オクタトリエン110gからなるブタジエンの二量体成分を得た。オクタトリエンを除く前記二量体成分を用いて製造例1と同様にアルキル化反応を行ったところ、軟化点77℃、OH当量168g/eq、数平均分子量430のポリフェノール類(3)が480g得られた。
【0033】
製造例 4
イソプレンをブタジエンに代えた以外は製造例2と同様な条件でオリゴメル化反応を行った後、失活、抽出および減圧蒸留を行い、オクタトリエン900gを得た。このオクタトリエンを用いて製造例1と同様にアルキル化反応を行ったところ、軟化点75℃、OH当量160g/eq、数平均分子量395のポリフェノール類(4)が490g得られた。
【0034】
製造例 5
イソプレンをピペリレンに代えた以外は製造例2と同様な条件でオリゴメル化反応を行った後、失活、抽出、蒸留を行い、ジメチルオクタトリエン800gを得た。このジメチルオクタトリエンを用いて製造例1と同様にアルキル化反応を行ったところ、軟化点82℃、OH当量166g/eq、数平均分子量420のポリフェノール類(5)が505g得られた。
【0035】
製造例 6
製造例1で得られた1−フェノキシジメチルオクタジエン180g、3−フェノキシジメチルオクタジエン20gと、α−ナフトール1200gと、クロロベンゼン1200gとを用いて、製造例1と同様にアルキル化反応を行い、軟化点105℃、OH当量220g/eq、数平均分子量520のポリフェノール類(6)450gを得た。
【0036】
製造例 7
還流冷却器、リービッヒコンデンサーを備えた5リットル反応器に、フェノール1600gとトルエン300gとを仕込み、170℃に加熱して、トルエン250gを留出し、系内の水分が60ppmになるまで脱水した。次いで系内を70℃まで冷却し、三フッ化ホウ素・フェノール錯体16gを添加し均一混合した後、反応温度70℃にて、製造例1で合成したポリフェノール類(1)360gを1.0時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後70℃で30分反応を続けた後140℃に昇温し、さらに2.5時間、加熱撹拌した。系内を70℃に降温後、パラホルムアルデヒド30gを添加し、70℃でさらに1時間反応を続けた。反応終了後マグネシウム化合物「KW−1000」(商品名;協和化学工業株式会社製)40gを添加し30分撹拌して触媒を失活させた後、反応液を濾過した。得られた透明な反応液を200℃で減圧蒸留し、軟化点93℃、OH当量156、平均分子量640の縮合体(1)400gを得た。
【0037】
製造例 8
還流冷却器、リービッヒコンデンサーを備えた5リットル反応器に、メチルイソブチルケトン2000リットル、p−トルエンスルホン酸10g、および製造例1で合成したポリフェノール類(1)400gを添加した後、70℃で40%ホルマリン水溶液40gを添加し、70℃でさらに1時間反応を続けた。反応終了後、マグネシウム化合物「KW−1000」(商品名;協和化学工業株式会社製)40gを添加し30分撹拌して触媒を失活させた後、反応液を濾過した。得られた透明な反応液を200℃で減圧蒸留し、軟化点110℃、OH当量178、平均分子量720の縮合体(2)390gを得た。
【0038】
実施例 1 〜 8
樹脂単独の硬化物の試験片を作成するため、硬化剤として、製造例1〜8で合成したポリフェノール樹脂(1)〜(6)または縮合体(1)、(2)に、主剤としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「エポクロンN−660」、大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量214g/eq)、さらに硬化促進剤としてベンジルジメチルアミンをそれぞれ用い、表1に示す組成で配合して、各エポキシ樹脂組成物を得た。
これらのエポキシ樹脂組成物を100℃で2時間、次いで160℃で2時間、さらに180℃で2時間の条件で硬化せしめて試験片とし、JIS K−6911に準拠して、常温での曲げ強度、引張り強度、引張り伸び率および85℃・85%RH条件下での吸水率を測定した。さらにDMA(Dynamic Mechanical Analysis、動的粘弾性試験)によってガラス転移温度および動的粘弾性率を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
比較例 1 〜 3
硬化剤としてノボラックフェノール樹脂(商品名「タマノール758」、(荒川化学工業(株)製、OH当量104g/eq)、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂(OH当量173g/eq)、リモネン変性フェノール樹脂(OH当量172g/eq)を用いた以外は、実施例1〜8と同様に行なった。各測定結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例 9 〜 16
硬化剤として製造例1〜8で合成したポリフェノール類(1)〜(6)または縮合体(1)、(2)を用い、主剤としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名「エポクロンN−660」、大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量214g/eq)を用いて、表2に示す他の添加剤とともに表2の配合で配合した後、加熱ロールを使用して混練温度70〜120℃で約8分間の条件で混練りした。その後、約5mmφに粉砕し、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を作製した。次いで得られた組成物を以下の方法により、銅箔接着強度、半田クラック性試験、半田耐湿性試験の各測定を行なった。結果を表2に示す。
【0042】
(1)銅箔接着強度
半導体封止材用エポキシ樹脂組成物を加熱混合し、35μm電解銅箔を敷いた金型に流し込み175℃で6時間硬化させてサンプルを調製した。得られたサンプルをJIS C6481に準拠し銅箔接着力を求めた。
(2)半田クラック性試験
半導体封止材用エポキシ樹脂組成物を、トランスファー成形機(成形条件;金型温度175℃、硬化時間2分間)を用いて成形し、175℃、8時間で後硬化させた。
硬化終了後、得られたテスト用素子(チップサイズ36mm×36mm、パッケージ圧2.0mm)16個について、85℃、85%RHの水蒸気下、48時間および72時間処理後、250℃の半田浴に10秒間浸漬させ、顕微鏡で外部クラックの発生を観察した。
(3)半田耐湿性試験
(2)で封止したテスト用素子を85℃、85%RHで72時間吸湿した後、250℃の半田浴に10秒間浸漬後、プレッシャークッカー試験(125℃、100%RH)を行い回路のオーブン不良を測定した。
【0043】
比較例 4 〜 6
硬化剤としてノボラックフェノール樹脂(商品名「タマノール758」、(荒川化学工業(株)製、OH当量104g/eq)、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂(OH当量173g/eq)、リモネン変性フェノール樹脂(OH当量172g/eq)を用いた以外は、実施例9〜16と同様に行なって半導体封止材用エポキシ樹脂組成物を作製し、各測定を行なった。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
Claims (4)
- (a)エポキシ樹脂及び
(b)以下の(b−1)〜(b−4)又はこれらの混合物を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物。
ブタジエン、イソプレン、ピペリレン又はこれらの混合物と、炭素数6〜12のフェノール類とを反応させて得られる二量体のモノフェノキシ体を、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させて得たポリフェノール類(b−1)、
オクタトリエンおよび/またはジメチルオクタトリエンを、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させて得たポリフェノール類(b−2)、
前記ポリフェノール類(b−1)または前記ポリフェノール類(b−2)と、炭素数1〜12のケトン類またはアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させて得たポリフェノール類の縮合体(b−3)、
前記ポリフェノール類(b−1)または前記ポリフェノール類(b−2)5〜95重量%及び炭素数6〜12のフェノール類95〜5重量%の混合物と、炭素数1〜12のケトン類またはアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させて得たポリフェノール類の縮合体(b−4)。 - (a)エポキシ樹脂、
(b)以下の(b−1)〜(b−4)又はこれらの混合物及び
(c)硬化促進剤を必須成分として含む電子材料用エポキシ樹脂組成物。
ブタジエン、イソプレン、ピペリレン又はこれらの混合物と、炭素数6〜12のフェノール類とを反応させて得られる二量体のモノフェノキシ体を、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させて得たポリフェノール類(b−1)、
オクタトリエンおよび/またはジメチルオクタトリエンを、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させて得たポリフェノール類(b−2)、
前記ポリフェノール類(b−1)または前記ポリフェノール類(b−2)と、炭素数1〜12のケトン類またはアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させて得たポリフェノール類の縮合体(b−3)、
前記ポリフェノール類(b−1)または前記ポリフェノール類(b−2)5〜95重量%及び炭素数6〜12のフェノール類95〜5重量%の混合物と、炭素数1〜12のケトン類またはアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させて得たポリフェノール類の縮合体(b−4)。 - (a)エポキシ樹脂、
(b)以下の(b−1)〜(b−4)又はこれらの混合物及び
(c)硬化促進剤を必須成分として含む積層板用エポキシ樹脂組成物。
ブタジエン、イソプレン、ピペリレン又はこれらの混合物と、炭素数6〜12のフェノール類とを反応させて得られる二量体のモノフェノキシ体を、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させて得たポリフェノール類(b−1)、
オクタトリエンおよび/またはジメチルオクタトリエンを、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させて得たポリフェノール類(b−2)、
前記ポリフェノール類(b−1)または前記ポリフェノール類(b−2)と、炭素数1〜12のケトン類またはアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させて得たポリフェノール類の縮合体(b−3)、
前記ポリフェノール類(b−1)または前記ポリフェノール類(b−2)5〜95重量%及び炭素数6〜12のフェノール類95〜5重量%の混合物と、炭素数1〜12のケトン類またはアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させて得たポリフェノール類の縮合体(b−4)。 - (a)エポキシ樹脂、
(b)以下の(b−1)〜(b−4)又はこれらの混合物、
(c)硬化促進剤及び
(d)無機充填剤を必須成分として含む封止材用エポキシ樹脂組成物。
ブタジエン、イソプレン、ピペリレン又はこれらの混合物と、炭素数6〜12のフェノール類とを反応させて得られる二量体のモノフェノキシ体を、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させて得たポリフェノール類(b−1)、
オクタトリエンおよび/またはジメチルオクタトリエンを、酸触媒の存在下、炭素数6〜12のフェノール類と反応させて得たポリフェノール類(b−2)、
前記ポリフェノール類(b−1)または前記ポリフェノール類(b−2)と、炭素数1〜12のケトン類またはアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させて得たポリフェノール類の縮合体(b−3)、
前記ポリフェノール類(b−1)または前記ポリフェノール類(b−2)5〜95重量%及び炭素数6〜12のフェノール類95〜5重量%の混合物と、炭素数1〜12のケトン類またはアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合反応させて得たポリフェノール類の縮合体(b−4)。
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