JP3602632B2 - 3次元計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、患者の歯と顎堤の印象を採った歯模型のようなオーバーハング部分を有する被計測物の3次元形状を非接触で計測する3次元計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、患者から採った歯と顎堤の印象石膏模型である歯模型は、患者の口腔内情報を具体的に3次元的に示すものであるので、患者の現状が容易に認識でき、歯科治療に役立つ場合が多い。
【0003】
このような歯模型の3次元形状を数値データ化すべく計測する手段として、例えば、三角測量に基づくレーザスリット光切断法により、非接触で計測する3次元計測装置が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
歯模型は上顎模型と下顎模型からなるものであり、歯科治療においては、両模型を咬み合わせた状態を確認して、良好な咬合状態での歯模型のデータを取得する必要がある。しかしながら、従来装置では、この咬合状態を再現、維持しつつデータを取得するのが困難であるという問題があった。
【0005】
また、歯模型には歯またはその顎堤に水平方向に凹んだオーバーハング部分があり、この部分がレーザ光計測での不可視領域となる。従来装置においては、こうした歯模型のように不可視領域となるオーバーハング部分を有する被計測物について、その完全な3次元形状データを精度よく取得するのが著しく困難であった。
【0006】
この発明は、上記の問題点を解決して、オーバーハング部分を有する3次元形状の被計測物を非接触で不可視領域なく計測することができる3次元計測装置を提供することを目的としている。
【0007】
上記目的を達成するために、この発明は、患者の3次元形状の上顎模型および下顎模型からなる歯模型を支持して一定の回動軸まわりの複数の回動位置に設定する支持台と、上顎模型および下顎模型に光を前記回動軸と直交する方向に照射して、その形状を計測する計測手段とを備え、前記支持台は、上顎模型および下顎模型を、上顎模型と下顎模型の咬合状態と、その咬合状態から一方の模型を取り外した状態と、他方の模型を取り外した状態とについて、それぞれ相異なる2つの姿勢で取り付ける取付部を有している。
上記構成によれば、前記上顎模型および下顎模型は相異なる2つの姿勢で取り付けられ、それぞれ回動軸まわりの複数の回動位置に支持台により設定されるので、光の不可視領域をなくして、上顎模型および下顎模型の3次元形状を正確に計測することができる。
【0008】
また、好ましくは、前記上顎模型および下顎模型は同一平面上で90度回転した相異なる2つの姿勢で取り付けられる。これにより、種々の形状のオーバーハング部分を有する上顎模型および下顎模型について、効果的に光の不可視領域をなくすことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、この発明の一実施形態に係る歯模型の3次元計測装置の斜視図を示す。この装置は、患者から採った上下顎の歯と顎堤の印象石膏模型である歯模型1の3次元形状を光照射により非接触で計測する計測手段2と、歯模型1を支持する支持台4とを備えている。支持台4は、歯模型1を支持して回動軸であるX軸まわりの複数の回動位置に設定するものであり、相異なる2方向の歯模型1の前後(XX)方向と左右(YY)方向のそれぞれを回動軸のX軸方向にほぼ合致させた2つの姿勢で歯模型1が取り付けられる取付部6を有している。
【0010】
計測手段2は、例えば、三角測量に基づくレーザスリット光切断法により、歯模型1を非接触で計測するパターン投影方式(光切断方式)計測装置である。半導体レーザのようなレーザ光源11からレーザ光を発生させ、ポリゴンミラー14を回転することにより、スリット光を歯模型1に照射する。歯模型1は、支持台4上の取付部6に固定され、例えばステッピングモータを有する駆動手段19により、所定位置に移動される。そして、例えば2台のCCDカメラ12A,12Bを有する撮像部12により、歯模型1に照射されたスリット光像が撮影される。計測手段2として、この他にマルチスリットレーザとCCDカメラとによる多重露光高速計測装置やレーザスポットによるポイント計測装置などを用いてもよい。なお、この図では、上下顎の歯模型1が表されているが、これは上下顎の咬合状態を確認するためのものであり、実際には、歯模型1を形成する上顎模型1aまたは下顎模型1bが単独で計測される(図3参照)。
【0011】
支持台4は、XYテーブル14と、その上部に設けられて歯模型1を固定する取付部6を支持するR(回転)テーブル16とを備えており、それぞれ駆動手段19により駆動される。XYテーブル14は、例えばリニアガイドとボールねじからなり、基台K上をXX方向およびYY方向に移動する。Rテーブル16は、取付部6をX軸まわりの複数の回動位置に設定する。なお、XYテーブル14と同様にリニアガイドとボールねじからなるZテーブル15も設けられているが、光測定座標の空間を設定するキャリブレーション用であり計測には直接用いられない。
【0012】
図2に、取付部6の斜視図を示す。Rテーブル16に支持される取付部6は、上側取付部6aと下側取付部6bからなる。両取付部6a,6bは、それぞれ左右スライド部22、突出部24、上下スライド部26および上下顎の歯模型1を固定する模型取付台28を備えている。左右スライド部22は、クランプ35を回して緩めて突出部24を左右に移動させ、適切な左右位置で停止させてクランプ35を締めて固定する。
【0013】
上下スライド部26は、図3の取付部6の側面図に示すように、クランプ37を緩めた状態でノブ36を回して、このノブ36に固定されたねじ棒に螺合させた模型取付台28を上下に移動させ、適切な上下位置で停止させてクランプ37を締めて固定する。上下顎の歯模型1を咬合させた状態で両取付部6a,6bに取り付ける場合には、両取付部の模型取付台28,28間で挟み込み、両取付部のクランプ37を緩めノブ36を回して、咬合状態の上下顎の歯模型1の中心を、Rテーブル16のほぼ中心軸に位置させてクランプ37を締めて固定する。なお、計測の際には、歯模型1を形成する上顎模型1aと下顎模型1bの一方とその取付部6が左右スライド部22から取り外され、他方のみが取付部6に取り付けられて単独で計測される。また、歯模型1はRテーブル16によりX軸まわりに回動されるので、模型取付台28上で位置ずれを生じないように、両面テープのような固定手段で固定される。
【0014】
ここで、この取付部6は、模型取付台28上に、歯模型1の前後(XX)方向と左右(YY)方向のそれぞれを回動軸のX軸方向にほぼ合致させた2つの姿勢で歯模型1が取り付けられるようにしている。すなわち、図2および図3のように、模型取付台28に、そのほぼ中心位置Oに円孔32と、その外周に径方向のX軸方向とY軸方向に延びる2つの長孔34とからなる係止キー溝30が設けられており、また、歯模型1と取付台28間に固定用のプレートPLが設けられて、この固定用のプレートPLに、その底面方向に突出した円柱ピン31と、その外周にXX方向に延びるノブ33からなる係止キー38が設けられている。歯模型1の底面とプレートPの上面とは、両面テープのような接着手段により接着される。この歯模型1の係止キー38を模型取付台28のX軸方向またはY軸方向の長孔34の係止キー溝30に挿入することにより、歯模型1は、歯模型1のXX方向を回動軸のX軸方向にほぼ合致させた図4(a)の第1の取付位置と、その位置から同一平面上で90度回転させて歯模型1のYY方向を回動軸のX軸方向にほぼ合致させた図4(b)の第2の取付位置とにそれぞれ設定される。これは、歯模型1の前歯部および臼歯部それぞれが特有の形状を有しており、歯模型1を1つの取付位置だけで計測したのでは、各部のスリット光像が明確に現れないからである。
【0015】
なお、この実施形態では、この装置の原点位置O(0,0,0)を、歯模型1および模型取付台28の中心位置ではなく、歯模型1のエリア外の任意の所定位置に設けている。これは、回動軸のX軸に歯模型1の中心位置を目視で合致させるのは困難であり煩雑なためである。このようにしても、同一原点の下でエリア全体が回転移動されると考えることにより、後述する座標変換を、回転角度やXYZオフセット量等のパラメータを用いて自動的に行うことができる。
【0016】
さらに、この装置は、図5に示すように、第1の取付位置または第2の取付位置にある歯模型1を、Rテーブル16を回転させることにより、それぞれの位置で水平方向からX軸まわりに複数(例えば、反時計回りの45度,90度,135度、時計回りの−45度,−90度,−135度の6回動角度)の回動位置に回転させるようにしている。図5(a)は上顎模型1aの回動位置を、図5(b)は下顎模型1bの回動位置を示す。これは、歯模型1の前歯の裏側の凹部や顎堤上のへこみ部分のような水平に凹入したオーバーハング部分は、各模型1a,1bを水平に設定した状態では、レーザ光線が当たらず不可視領域となるので、回動させることによって該部分にレーザ光線が当たるようにするためである。
【0017】
図6に、この歯模型の3次元計測装置の計測手段2の構成図を示す。まず、患者の上下顎の印象が公知の印象材により採られて作成された歯模型1が、模型取付台28上に固定される。駆動手段16は、この模型取付台28を、図1のXYテーブル14によりX軸方向に移動することにより、スリット光を歯模型1に対しスキャン(走査)するように駆動する。この状態で、光源検出部17は、撮像部12から送られてくるビデオ信号の各走査線上における、スリット光像の画面座標(ラスタ座標)と輝度データをA/D変換して検出する。こうして、歯模型1の3次元形状を計測する。データ生成部18は、この計測データに基づいて、歯模型1の3次元形状を示すディジタルデータを生成する。
【0018】
この装置の計測動作を図8および図9のフローチャートに基づいて説明する。この実施形態では、上顎模型1aと下顎模型1bとを第1の取付位置で計測し、次いで上顎模型1aと下顎模型1bとを第2の取付位置で計測するものとする。まず、上顎模型1aと下顎模型1bとを第1の取付位置で計測する。この場合、歯模型1の臼歯部と前歯部のそれぞれ特有の形状および配列から、第1の取付位置での計測によって、臼歯部の形状が明確に現れるので臼歯部主体のデータが得られ、第2の取付位置での計測によって、前歯部の形状が明確に現れるので前歯部主体のデータが得られる。
【0019】
図8のフローチャートにおいて、まず、図3の上顎模型1aを第1の取付位置で下側取付部6bに置き、下顎模型1bを咬合させて咬合状態を確認した後に、両取付部6の模型取付台28間で上下顎の歯模型1を挟み込み、両取付部6のクランプ37を緩めノブ36を回して、咬合状態の上下顎の歯模型1の中心が、Rテーブル16のほぼ中心軸上にくるように調整される(ステップS1)。そして、下顎模型1bおよび上側取付部6aが取り外される(ステップS2)。
【0020】
次に、上顎模型1aの底面が模型取付台28面に両面接着テープのような固定手段で固定される(ステップS3)。そして、上顎模型1aのX,Y軸方向における測定範囲やX軸方向の計測ピッチなどの測定条件が設定される(ステップS4)。次に、歯模型1の先端部が検出された(ステップS5)後で、上顎模型1aの計測が計測手段2により自動的に開始され、光源検出部17により第1の取付位置でのスリット光像が検出される(ステップS6)。
【0021】
次に、上顎模型1aが、第1の取付位置でRテーブル16によりそれぞれX軸まわりに回動されて、図5(a)の45度,90度,135度,−45度,−90度,−135度の回動位置で、同様にステップS1〜S6により、それぞれのスリット光像が検出される。こうして、上顎の臼歯部主体データが、各方向からの周分割された計測データとして計測される。
【0022】
次に、下顎模型1bを第1の取付位置で計測する。
まず、図9のフローチャートにおいて、図3の水平状態の下側取付部6bに固定された上顎模型1aの上に下顎模型1bを置き、咬合状態が確認される(ステップS11)。そして、上側取付部6aをそのノブ36を回して下げて、模型取付台28の下面に下顎模型1bの底面が固定手段によって固定される(ステップS12)。その後、上顎模型1aおよび下側取付部6bが取り外される(ステップS13)。次に、下顎模型1bのX,Y軸方向における測定範囲やX軸方向の計測ピッチなどの測定条件が設定されて(ステップS14)、計測手段2により計測される(ステップS15)。
【0023】
そして、下顎模型1bが、第1の取付位置でRテーブル16によりそれぞれX軸まわりに回動されて、図5(b)の45度,90度,135度,−45度,−90度,−135度の回動位置で、同様にステップS11〜S15により、それぞれのスリット光像が検出される。こうして、上下顎の臼歯部主体データが、X軸回りの各方向からの周分割された計測データとして取得される。
【0024】
次に、上顎模型1aと下顎模型1bとをそれぞれ第2の取付位置で計測する。上記と同様に、上顎模型1aに次いで下顎模型1bが計測される。この場合、上下顎模型は、図4(b)のように、図4(a)の第1の取付位置から同一平面上で90度回転された第2の取付位置で模型取付台28面に固定されて、第1の取付位置の場合と同様に計測され、図8および図9のフローチャートにしたがって計測動作が行われる。こうして、上下顎の前歯部主体データが、各方向からの周分割された計測データとして計測される。
【0025】
こうして、上顎模型1aおよび下顎模型1bのそれぞれについて、第1および第2の取付位置とそれらのX軸回りの回動位置でのレーザスリット光切断による計測が行われ、X軸回りで周分割された計測データとして臼歯部主体データおよび前歯部主体データが取得される。これにより、例えば、図10(a)に示す第1の取付位置の計測だけでは光の不可視領域となっていた前歯の顎堤上のへこみ部分のようなオーバーハング部分(図示70)が、図10(b)に示す第2の取付位置の計測により、光の可視領域となって正確なデータが得られることになる。
【0026】
次に、この装置のデータ生成の動作を図11のフローチャートに基づいて説明する。
まず、上記の第1の取付位置において、X軸回りで周分割された計測データとして取得された上顎(下顎)の臼歯部主体データが(ステップS21)、各データ間でオーバーラップする部分についてオーバーラップ処理がされて、3次元形状が明確に表れるように全周合成される(ステップS22)。これにより、臼歯部主体データが1本ずつのループ(輪郭)データの集合としてループデータ化される。なお、全周合成上、それぞれのX軸回りの回動位置の座標変換は、三角関数演算により容易に変換される。
【0027】
一方、第2の取付位置において、周分割された計測データとして取得された上顎(下顎)の前歯部主体データが(ステップS23)、同様に、各データ間でオーバーラップする部分のオーバーラップ処理がされて全周合成される(ステップS24)。これにより、前歯部主体データが、ループデータ化される。
【0028】
次に、ループデータ化された前歯部主体データと臼歯部主体データについて、座標変換処理(フィッティング)される(ステップS25)。第1の取付位置と第2の取付位置との座標変換は、例えば、図4において、90度の回転角度やXYZオフセット量等のパラメータを用いて,第2の取付位置における位置Q(x2 ,y2 ,z2 )が第1の取付位置における位置P(x1 ,y1 ,z1 )に容易に変換される。なお、第1の取付位置と第2の取付位置でスリット光切断方向が異なるので両データのループデータ方向は異なっている。
【0029】
そして、両データについて、合成(マージ)するための採用データの選択が行われて、データ合成位置が決定される(ステップS26)。すなわち、前述の座標変換処理(フィッティング)されたそれぞれの主体データを基に歯模型1の臼歯部と前歯部の所定のX座標上の位置が決定されて、その位置のX軸に垂直な平面で切り分けられて、臼歯部主体データと前歯部主体データとが合成される。なお、所定のX座標は歯模型1の特徴形状に応じて変更される。
【0030】
次に、前歯部主体データの補間演算が行われる(ステップS27)。すなわち、臼歯部主体データと前歯部主体データのループデータ方向が異なっているので、前歯部主体データのループデータ方向を臼歯部主体データのループデータ方向に合わせる必要があるからである。図7(c)のように、臼歯部については、X軸に垂直な平面をピッチP(例えば、0.25mm)の間隔で、各平面ごとに点列からなるループ直線で形状を表現できるが、前歯部については垂直面に近いアーチ状なので、臼歯部と同じピッチでは形状を表現することができない。従って、座標変換処理した前歯部主体データを用いて、上記ピッチP間を例えば5等分にピッチを細かくして、この細分化した仮想平面と前歯部ループデータの交点を補間演算することで形状を求める。
【0031】
次に、データ編集が行われる(ステップS28)。このデータ編集において、ループデータのクロスチェックおよびデータの順序方向の逆転チェックを行う。本来、スリット光の投射であるので表面でクロスすることはあり得ず、ステップS22,24の全周合成時に接続ミスで発生する。例えば、図12(a)のような場合にはデータの並び方向が明確で編集の必要はないが、図12(b)のように、点がクロスしている場合には、データの並び方向が不明となって編集を行う必要がある。修正方法として点列間の接続線を分断してクロスしない点に接続方向を変更する。垂直面の形状を表現するために補間演算をした場合にデータの格納される順序が一定に制限できないので、点列の順序が逆転する場合があり、変更はデータの逆転している始点と終点を指示して、その間のデータの順序を入れ替える。こうして、歯模型1の3次元形状を示すディジタルデータが生成される。
【0032】
なお、この実施形態では、3次元計測データをループデータ化して持っているが、ステップS26のデータマ−ジ位置決定の後に、それぞれ、以下に示すような三角形面素による演算方法により取得された3次元形状データを持つようにしてもよい。この場合、ステップS27の前歯部主体データの補間演算が不要になる。
【0033】
すなわち、三角形面素による演算方法においては、歯模型1は、図7(a)のように、レーザスリット光で照射されて、図7(c)のように指定ピッチP間隔で計測される。そのスリット光像は、図7(b)の拡大図に示すように、各スリット光像の切断面のループ直線Sが線分列P0 P1 ,P1 P2 ,…、Q0 Q1 ,Q1 Q2 ,…で与えられている。最初にS上の任意の箇所において、前後の交点のペアで最も近い距離にあるものを1つ求める(P0 ,Q0 )。このペアの一方、例えばP0 から前後の輪郭線を一定の方向、例えば右方向に交互に検出して、三角形でデータをつないで、三角形面素をつくっていく。この操作をすべての断面間について行えば、表面が三角形面素の集合の形でつくられる。
【0034】
第2実施形態の説明に移る。
この第2実施形態の装置は、図13に示すように、歯模型1の取付部6に代えて取付部46を用いている。その他の構成は、第1実施形態と同一であるので、その詳しい説明を省略する。図13は、取付部46に上顎模型1aが取り付けられた状態を示す側面図である。下顎模型1bも同様に、取付部46の台座57の上部に取り付けられるが、この図では省略されている。この装置の取付部46は、模型取付台28面に横断面形状がU字形のガイド溝を有するガイド部51とストッパ52とを備えている。一方、上顎模型1aは、図13(a)において、歯模型1を保持する保持部49と、保持部49の底面側に設けられた第1レール部47と、側面側に設けられた第2レール部48とを有している。2つのレール部47,48は、それぞれ対角が90度に設定され、スライド方向がX軸方向にほぼ合致して同一面上に位置するように調整されている。図13(a)のように、取付部46のガイド部51に上顎模型1aの第1レール部47を差し込んでストッパ52に当て付け、ネジ53を挿入して固定することにより、上顎模型1aは、上顎模型1aの前後XX方向をX軸方向にほぼ合致させる第1の取付位置に設定される。また、図13(b)のように、取付部46のガイド部51に歯模型1の第2レール部48を差し込んでストッパ52に当て付け、ネジ53を挿入して固定することにより、上顎模型1aは、その前後XX方向をX軸方向にほぼ合致させ、かつ、垂直方向に立てた第2の取付位置に設定される。
【0035】
上顎模型1aおよび下顎模型1bは、上記の両取付位置でそれぞれ、第1実施形態と同様に、X軸まわりに回動され、歯模型1の3次元形状を示すディジタルデータが生成される。この場合、図13(b)に示した第2の取付位置でX軸まわりに回動させることにより、前歯部における唇側の顎堤上のへこみ部分55の計測が容易になる。
【0036】
なお、この発明では、歯模型1の相異なる2方向のXX方向およびYY方向のそれぞれを、回動軸のX軸方向にほぼ合致させているが、X軸方向と多少ずれていてもよい。
【0037】
また、この発明では、歯模型1の2つの姿勢を同一平面上で90度回転させているが、90度でなくともよい。
【0039】
【効果】
この発明によれば、上顎模型および下顎模型は相異なる2つの姿勢で取り付けられ、それぞれ回動軸まわりの複数の回動位置に支持台により設定されるので、光の不可視領域をなくして、上顎模型および下顎模型の3次元形状を正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る歯模型の3次元計測装置を示す斜視図である。
【図2】上記装置の取付部を示す斜視図である。
【図3】上記装置の取付部を示す側面図である。
【図4】第1および第2の取付位置を示す図である。
【図5】歯模型の回動位置を示す図である。
【図6】計測手段の一例を示す構成図である。
【図7】歯模型およびスリット光を示す図である。
【図8】上記装置の計測動作を示すフローチャート図である。
【図9】上記装置の計測動作を示すフローチャート図である。
【図10】合成された前歯部を示す側面図である。
【図11】上記装置のデータ生成動作を示すフローチャート図である。
【図12】ループデータを示す図である。
【図13】第2実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
1…被計測物、2…計測手段、4…支持台、6…取付部、X軸…回動軸。

Claims (2)

  1. 患者の3次元形状の上顎模型および下顎模型からなる歯模型を支持して一定の回動軸まわりの複数の回動位置に設定する支持台と、
    上顎模型および下顎模型に光を前記回動軸と直交する方向に照射して、その形状を計測する計測手段とを備え、
    前記支持台は、上顎模型および下顎模型を、上顎模型と下顎模型の咬合状態と、その咬合状態から一方の模型を取り外した状態と、他方の模型を取り外した状態とについて、それぞれ相異なる2つの姿勢で取り付ける取付部を有している歯模型の3次元計測装置。
  2. 請求項1において、
    前記上顎模型および下顎模型は同一平面上で90度回転した相異なる2つの姿勢で取り付けられる歯模型の3次元計測装置。
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