JP3601984B2 - ノックアウト補助装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノックアウト補助装置に関し、ダイの開放端が異形状で、かつ開放端まで材料が充満する閉塞鍛造等の金型において、ノックアウトを行う場合にダイの開放端を補強し、破損を防止する場合に有効である
。
【0002】
【従来の技術】
ダイの開放端が異形状、例えば、はすば歯車の閉塞鍛造金型等で、ダイの開放端まで材料が充満し、かつ上端面には材料がはみ出さないような金型から鍛造品を突き出すと、ダイと鍛造した製品との摩擦力によりダイの開放端が破損し易かった。特に、ノックアウト時に、ノックアウト方向と直角方向のスラスト力が発生するはすば歯車等は、この傾向が顕著であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ダイの開放端の破損を防止するため、ダイの開放端をダイの中心に向けて傾斜を付けたり、あるいは丸みを付けることによりダイの開放端の強度を増加させる方法はあるが、傾斜、あるいは丸みが製品の形状に転写されたり、横ばりが発生したりして製品の精度を低下させていた。
【0004】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、ダイの開放端が異形状であっても、ダイの上面が中心に直角な平面とし、かつノックアウトによる破損を防止することの出来る閉塞鍛造金型におけるノックアウト補助装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明は、成形された成形品を上下可動のダイの閉塞鍛造空間から突き出す時に使用するノックアウト補助装置において、ダイの上部で水平方向に可動なスライドプレートを設け、このスライドプレートに成形品が通過可能な穴を設け、この穴をダイの開口部に合わせるとともに、スライドプレートの下面とダイの上面とを押圧させた状態で成形品を突き出す構成とする。
【0006】
また、上述のノックアウト補助装置において、スライドプレートの下面に、ダイの開口部に係合する位置決め用の係合部材を設ける。
【0007】
さらには、上述のノックアウト補助装置において、ダイを有する下型に上下自在に設けた水平なフローティングプレートに固定され、中央に上下方向の貫通穴を有し、この貫通穴の上部にノックアウト治具の下端部を嵌入させ、かつ端面を密着させる平底の受け穴と、これに続く閉塞鍛造空間を有するダイと、ダイの下面を受けて下型に上下動自在に設けられ、クッションピンを介して受ける上向きの閉塞力をダイに伝達するとともに、上限を規制され、中央にダイの貫通穴に連通する縦穴を有する受け台と、ダイの貫通穴と受け台の縦穴にわたって昇降自在に、かつ下限を規制されて設けられ、下端面をノックアウトピンに押し上げられ、成形品を押し上げることによってダイを共に押し上げ、ダイの受け穴底をノックアウト治具に密着させた後、成形品をノックアウト治具の治具穴内に突き出して保持させるカウンタパンチとを具備する。
【0008】
【作用】
ダイの閉塞鍛造空間に鍛造した成形品を突き出す時に、ダイの受け穴底にノックアウト治具の下端面を密着させているので、閉塞鍛造空間の平面形が歯車のような異形状であっても、ダイの上面が補強された状態で成形品を突き出すので、ダイの上面が欠けて損傷する恐れがない。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1から図8に本発明におけるノックアウト補助装置の一実施例を示す。
図1から図5は、閉塞鍛造の工程を示し、図1と図2は図6のA−A断面図、図3から図5は図7のC−C断面図であり、図8は図6のB−B断面図である。
【0010】
図1から図8に示す下型1には、上部に水平に往復動自在に案内したスライドプレート2を設けている。下型1の中央にはスライドプレート2の下方に図6に示す4本の縦軸3で上下動自在に案内したフローティングプレート4を設け、フローティングプレート4の中央にダイ5を固定している。ダイ5の中心には上下に貫通した貫通穴6を設け、貫通穴6の上部には、上面に開口する同心で浅い平底の受け穴7と、これに続いて受け穴7の底に開口する異形状の閉塞鍛造空間8、例えば平歯車、はすば歯車等に対応する空間を設けている。
【0011】
ダイ5の下にはダイ5の底面と同形の上面をダイ5に当接させ、下型1の下部中央に設けた円筒状のガイド9に上下動自在に案内された受け台10を設けている。受け台10の底には、下型1の底部を上下に貫通して設けた複数のクッションピン11が当接しており、クッションピン11の下端面は、図示していないダイクッションプレートに当接し、上向きに所要の閉塞力で付勢され、上限は下端面が下型1の下面と一致した位置となっている。上限におけるダイ5の外周部はちょうど図6に示す後退位置にあるスライドプレート2の下面に設けたダイストッパ12の下面に接している。
【0012】
受け台10の中心には、ダイ5の貫通穴6に連通する縦穴13を設け、下型1の基板1A上に設けた基台14の中心にも縦穴13と等径の穴15を設け、貫通穴6、縦穴13及び穴15に上下動自在にカウンタパンチ16を滑合している。カウンタパンチ16の下限は基板1A部で規制し、基板1A部には縦穴13よりも小径の同心の穴に上下動自在のノックアウトピン17を設けている。ノックアウトピン17は、所要の時期に所要の高さまで図示していない揺動レバーの先端等で押し上げられ、カウンタパンチ16を押し上げて閉塞鍛造空間8内に鍛造された成形品を突き出す。ノックアウトピン17が下降した時、カウンタパンチ16を速やかに押し下げるスプリング16Aを設けている。
【0013】
スライドプレート2は、図6に示す後退位置から図7に示す前進位置までの一定距離Lを図示していないエアシリンダ、モータ等で所要の時期に往ストローク、または復ストロークするように駆動される。図7に示す前進位置におけるスライドプレート2のダイ5の中心に対応する下面には、図3に示すようにノックアウト治具18を突設し、ノックアウト治具18の下端部は、ダイ5の受け穴7に滑入し、かつ受け穴7の平底に密着する形状となっている。また、ノックアウト治具18の中心には、ダイ5の閉塞鍛造空間8と同心・同形の治具穴18Aを設け、押し出された成形品19が滑入するようになっている。
【0014】
ノックアウト治具18の上端に対応して、スライドプレート2の上面にはクランパ20を設け、ノックアウト治具18の穴に突き出された成形品19の上端部をクランプピン21で挟持するようになっている。図6に示す位置に後退したスライドプレート2のノックアウト治具18の下には、図8に示すような中間搬送装置22を設けている。中間搬送装置22には、クランパ20のクランプピン21が解放してノックアウト治具18から滑落する成形品19を受け入れる通し穴23と、通し穴23の下端部を開閉するシャッタ24を設けている。
【0015】
スライドプレート2の前進方向端部には切り欠き25を設け、図6に示すように後退位置にあるスライドプレート2の切り欠き25は、ダイ25の中心上部を上方に開放するようにし、図1に示すようにローダ26が素材27をダイ5に供給したり、図2に示すように上型28のパンチ29が下降出来るようになっている
。
【0016】
図1に示すように、ダイ5の貫通穴6内のカウンタパンチ16上に、ローダ26で素材27を供給する。
図2に示すように、上型28が下降し、パンチ29の下端部をダイ5の受け穴7に嵌入し、かつ受け穴7の平底に密着させて閉塞鍛造空間8を密閉しつつ、ダイ5及び受け台10をクッションピン11の閉塞力に抗して下死点まで押し下げると、素材27はカウンタパンチ16で押圧され、閉塞鍛造空間8に流動し充満して成形品19が成形される。
【0017】
続いて、上型28とともにパンチ29が上昇すると、ダイ5及び受け台10もクッションピン11の上向きの付勢力で共に上限位置まで上昇し、ダイ5はダイストッパ12に当接しパンチ29から離脱する。その間にスライドプレート2を図6に示す後退位置から図7に示す前進位置に前進させると、図3に示すようにノックアウト治具18の下端部はダイ5の受け穴7に嵌入出来る位置で対向する。
【0018】
続いて、図4に示すように、ノックアウトピン17を上昇させ、カウンタパンチ16の先端を成形品19の下面に当接させ、さらにカウンタパンチ16で成形品19を押し上げると、ダイ5は共に押し上げられ、受け穴7がノックアウト治具18と嵌合し密着した後、成形品19はダイ5の閉塞鍛造空間8から次第に突き出される。
【0019】
カウンタパンチ16が上限まで押し上げられると、図5に示すように成形品19は、ダイ5の閉塞鍛造空間18を抜け出し、ノックアウト治具18の治具穴18Aに滑入し、上端部がノックアウト治具18の上に所要の高さ突き出す。クランパ20が作動し、クランプピン21,21で成形品19を挟持すると、以後ノックアウトピン17が下降し、カウンタパンチ16はスプリング16Aで押し下げられる。成形品19が閉塞鍛造空間8から突き出される時、ダイ5の受け穴7の上面にノックアウト治具18の下面が密着しているので、ダイ5の上面部は補強され、欠けることがない。
【0020】
カウンタパンチ16の先端がノックアウト治具18の治具穴18Aより下がると、スライドプレート2は図6に示す後退位置に後退する。ここで、クランパ20が再び作動し、クランプピン21が成形品19を解放すると、図8に示すようにちょうど下方で待機していた中間搬送装置22の通し穴23内に落下し、閉じているシャッタ24で保持され、下型1の外に排出される。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、往復動するスライドプレートの下面にノックアウト治具を突設し、ダイを昇降可能として成形品を押し出す時に共に上昇させ、ダイの異形状の閉塞鍛造空間の上面とノックアウト治具の下面を密着させた後、成形品をダイから突き出すので、ダイの異形状部の上面の縁が欠ける恐れがなく、ダイの寿命を大幅に向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】閉塞鍛造工程を説明する図6のA−A断面における下型要部正面図
【図2】閉塞鍛造工程を説明する図6のA−A断面における下型要部正面図
【図3】閉塞鍛造工程を説明する図7のC−C断面における下型要部正面図
【図4】閉塞鍛造工程を説明する図7のC−C断面における下型要部正面図
【図5】閉塞鍛造工程を説明する図7のC−C断面における下型要部正面図
【図6】スライドプレートを後退位置とした下型平面図
【図7】スライドプレートを前進位置とした下型平面図
【図8】図6のB−B断面における下型要部正面図
【符号の説明】
1は下型、1Aは基板、2はスライドプレート、3は縦軸、4はフローティングプレート、5はダイ、6は貫通穴、7は受け穴、8は閉塞鍛造空間、9はガイド、10は受け台、11はクッションピン、12はダイストッパ、13は縦穴、14は基台、15は穴、16はカウンタパンチ、16Aはスプリング、17はノックアウトピン、18はノックアウト治具、19は成形品、20はクランパ、21はクランプピン、22は中間搬送装置、23は通し穴、24はシャッタ、25は切り欠き、26はローダ、27は素材、28は上型、29はパンチ、である。
Claims (3)
- 成形された成形品(19)を上下可動のダイ(5)の閉塞鍛造空間(8)から突き出す時に使用するノックアウト補助装置において、
前記ダイ(5)の上部で水平方向に可動なスライドプレート(2)を設け、該スライドプレート(2)に前記成形品(19)が通過可能な穴を設け、該穴を前記ダイ(5)の開口部に合わせるとともに、前記スライドプレート(2)の下面と前記ダイ(5)の上面とを押圧させた状態で前記成形品(19)を突き出す構成としたことを特徴とするノックアウト補助装置。 - 請求項1に記載のノックアウト補助装置において、
前記スライドプレート(2)の下面に、前記ダイ(5)の開口部に係合する位置決め用の係合部材を設けたことを特徴とするノックアウト補助装置。 - 請求項1に記載のノックアウト補助装置において、
前記ダイ(5)を有する下型に上下自在に設けた水平なフローティングプレートに固定され、中央に上下方向の貫通穴を有し、この貫通穴の上部に前記ノックアウト治具の下端部を嵌入させ、かつ端面を密着させる平底の受け穴と、これに続く閉塞鍛造空間を有するダイと、前記ダイの下面を受けて前記下型に上下動自在に設けられ、クッションピンを介して受ける上向きの閉塞力を前記ダイに伝達するとともに、上限を規制され、中央に前記ダイの前記貫通穴に連通する縦穴を有する受け台と、前記ダイの貫通穴と前記受け台の縦穴にわたって昇降自在に、かつ下限を規制されて設けられ、下端面をノックアウトピンに押し上げられ、前記成形品を押し上げることによって前記ダイを共に押し上げ、前記ダイの受け穴底を前記ノックアウト治具に密着させた後、前記成形品を前記ノックアウト治具の治具穴内に突き出して保持させるカウンタパンチとを具備することを特徴とするノックアウト補助装置。
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