JP3601738B2 - ポジ画像形成組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版やIC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、更にその他のフォトファブリケーション工程に使用されるポジ画像形成組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポジ画像形成組成物としては、一般にアルカリ可溶性樹脂と感光物としてのナフトキノンジアジド化合物とを含む組成物が用いられている。
このような基本的にノボラック樹脂とキノンジアジド化合物から成るポジ型フォトレジストは、ノボラック樹脂がプラズマエッチングに対して高い耐性を与え、ナフトキノンジアジド化合物は溶解阻止剤として作用する。そして、ナフトキノンジアジドは光照射を受けるとカルボン酸を生じることにより溶解阻止能を失い、ノボラック樹脂のアルカリ溶解度を高めるという特性を持つ。
【0003】
これまで、かかる観点からノボラック樹脂とナフトキノンジアジド系感光物を含有する数多くのポジ型フォトレジストが開発、実用化され、0.8μm〜2μm程度までの線幅加工においては十分な成果をおさめてきた。
しかし、集積回路はその集積度を益々高めており、超LSIなどの半導体基板の製造においてはハーフミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。この必要な解像力を達成するためにフォトリソグラフィーに用いられる露光装置の使用波長は益々短波化し、今では、遠紫外光やエキシマレーザー光(XeCl、KrF、ArFなど)が検討されるまでになってきている。
従来のノボラックとナフトキノンジアジド化合物から成るレジストを遠紫外光やエキシマレーザー光を用いたリソグラフィーのパターン形成に用いると、ノボラック及びナフトキノンジアジドの遠紫外領域における吸収が強いために光がレジスト底部まで到達しにくくなり、低感度でテーパーのついたパターンしか得られない。
【0004】
このような問題を解決する手段の一つが、米国特許第4,491,628号、欧州特許第249,139号等に記載されている化学増幅系レジスト組成物である。化学増幅系ポジ型レジスト組成物は、遠紫外光などの放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させパターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
【0005】
このような例として、光分解により酸を発生する化合物と、アセタールまたはO,N−アセタール化合物との組合せ(特開昭48−89003号)、オルトエステル又はアミドアセタール化合物との組合せ(特開昭51−120714号)、主鎖にアセタール又はケタール基を有するポリマーとの組合せ(特開昭53−133429号)、エノールエーテル化合物との組合せ(特開昭55−129936号)、主鎖にオルトエステル基を有するポリマーとの組合せ(特開昭56−17345号)、第3級アルキルエステル化合物との組合せ(特開昭60−3625号)、シリルエステル化合物との組合せ(特開昭60−10247号)、及びシリルエーテル化合物との組合せ(特開昭60−37549号、特開昭60−121446号)等を挙げることができる。これらは原理的に量子収率が1を越えるため、高い感光性を示す。
【0006】
同様に、室温経時下では安定であるが、酸存在下加熱することにより分解し、アルカリ可溶化する系として、例えば、特開昭59−45439号、特開昭60−3625号、特開昭62−229242号、特開昭63−27829号、特開昭63−36240号、特開昭63−250642号、Polym. Eng. Sce., 23巻、1012頁(1983) ; ACS. Sym. 242巻、11頁(1984) ; Semiconductor World 1987年、11月号、91頁 ; Macromolecules, 21巻、1475頁(1988) ; SPIE, 920巻、42頁(1988)等に記載されている露光により酸を発生する化合物と、第3級又は2級炭素(例えばt−ブチル、2−シクロヘキシル)のエステル又は炭酸エステル化合物との組合せ系が挙げられる。これらの系も高感度を有し、且つ、ナフトキノンジアジド/ノボラック樹脂系と比べて、Deep−UV領域での吸収が小さいことから、前記の光源短波長化に有効な系となり得る。
【0007】
これらのポジ型化学増幅レジストにおいては、露光により光酸発生剤からの酸を介在させて、熱処理後現像してレジストパターンを得るものである。ここで、露光から熱処理(PEB処理)までの放置時間が長くなるに従い、この発生した酸が拡散したり、また雰囲気中の塩基性不純物によりレジスト表面部の酸が失活してしまい、感度、更に現像後のレジストパターンのプロファイルや線幅等が変化してしまうという問題があった。
【0008】
また近年平版印刷の分野においては上述の微細加工用フォトリソグラフィー分野における光源短波長化の傾向とは逆に、可視域のレーザー光線、好ましくは赤外線半導体によって画像形成可能な印刷版を提供することへの関心が高まりつつある。
欧州特許第0444786号、特開昭63−208036号公報および特開昭63−274592号公報には近赤外線に感光するフォトポリマーが開示されている。
しかしながら、いづれも印刷版として、実用に使用するには感度が十分ではなく、かつ非画像部が汚れるという欠点をもっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、露光後熱処理までの放置時間によるレジストパターンの変化の少ないフォトレジスト組成物が得られるポジ画像形成組成物を提供するものである。
また、本発明の目的はUV域から赤外域の光線に対して高い感度を有し、非画像部に汚れのないオフセット印刷版の製造に有用なポジ画像形成組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、簡単で、安価に製造することができ、かつ酸により開裂しうる化合物を含有するポジ画像形成組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するため、種々研究を重ねた結果、 スルホニルアミド構造中のN原子上をある特定の置換基で保護した場合、この保護基が発生した酸により効率的に分解して外れ、アルカリ可溶性のNH基となることを見い出した。また本発明者らはこれらの特定の置換基を有するN−スルホニルアミド化合物と酸発生剤との組み合せとを用いると、微細加工用レジストの分野における露光後の放置時間による解像力の劣化の問題が解決できることを見い出した。更に、本発明者らはこれら特定の置換基を有するN−スルホニルアミド化合物と酸発生剤とを組み合せて用いると、可視域の光源に対して実用的な感度を有し、かつ非画像部が汚れない印刷版が得られることを見い出した。また更に、本発明者らはこれら特定の置換基を有するN−スルホニルアミド化合物と酸発生剤および赤外線吸収色素とを組み合せて用いると、実用的な感度を有し、かつ非画像部が汚れない印刷版が得られることを見い出した。すなわち本発明者らは下記構成が前記の課題を解決することを見いだし本発明に到ったものである。
(1) (a)光もしくは熱の作用により酸を発生する化合物、(b)下記一般式(1)及び(2)で示されるN−スルホニルアミド化合物から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とするポジ画像形成組成物。
L1−(SO2−NR2−CO−R1)n (1)
L1−(CO−NR2−SO2−R1)n (2)
式中、nは1〜6の整数であり、R1は芳香族基、アルキル基を表わす。L1はn=1に対しては芳香族基、又はアルキル基を表わし、n=2〜6に対しては非金属原子からなる多価の連結基を表わす。R2 は三級アルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシメチル基、置換もしくは非置換のアリールメチル基又は置換もしくは非置換の脂環式アルキル基を表わす。
(2) 一般式(1)又は(2)で示されるN−スルホニルアミド化合物において置換基R2 が、t-ブチル基、2,2-ジメチル-4,4-ジメチルブチル基である前記(1)に記載のポジ画像形成組成物。
(3) 一般式(1)又は(2)で示されるN−スルホニルアミド化合物において置換基R2 が、ベンジルオキシメチル基、メトキシメチル基、2-エトキシエチル基、メトキシエトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基又はテトラヒドロフラニル基である前記(1)に記載のポジ画像形成組成物。
(4) 一般式(1)又は(2)で示されるN−スルホニルアミド化合物において置換基R2 が、p−メトキシベンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、ピペロニル基または9−アントラニルメチル基である前記(1)に記載のポジ画像形成組成物。
(5) 一般式(1)又は(2)で示されるN−スルホニルアミド化合物において置換基R2 が、シクロヘキシル基またはジベンゾスベリル基である前記(1)に記載のポジ画像形成組成物。
(6) (a)の酸を発生する化合物が、トリハロメチル基で置換したオキサゾール化合物、トリハロメチル基で置換したS−トリアジン化合物、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、ジスルホン化合物及びイミノスルホネート化合物から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のポジ画像形成組成物。
(7) 水には不溶ではあるが、アルカリ水溶液に対して可溶性であるかまたは少なく
とも膨潤しうる高分子状有機バインダーを含むことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のポジ画像形成組成物。
(8) 赤外線吸収色素を含むことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載のポジ画像形成組成物。
本発明のポジ画像形成組成物でポジ画像を形成する機構において、N−スルホニルアミド化合物のスルホニルアミド構造中のN原子上の特定の置換基R2 は、併用する酸発生剤化合物の酸の作用により効率的に分解され、親水性のNHを生じ、膜表面の性質が新油性から親水性へと大きく変化することから非画像部の汚れを解決することができるものである。また、本発明のN−スルホニルアミド化合物は、酸で分解するため酸発生剤との併用、特に可視領域から赤外領域の光に対して感光する酸発生剤と併用することにより可視域から赤外域の光、特にレーザー光に対して高い感度を有するポジ画像を形成することを可能としたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における上記一般式(I)もしくは下記一般式(2)で示されるN−スルホニルアミド化合物について説明する。
n=1のときのL1 もしくはR1 のいずれかが芳香族基もしくは置換芳香族基を表わすとき、芳香族基としては、炭素環式芳香族基と複素環式芳香族基が含まれる。炭素環式芳香族基としては炭素数6から19のものが用いられる。好ましくは、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基などのベンゼン環が1環から4環までのものがよい。また、複素環式芳香族基としては炭素数3〜20、ヘテロ原子数1〜5を含むものが用いられる。そのうち特に、ピリジル基、フリル基、その他ベンゼン環が縮環したキノリル基、ベンゾフリル基、チオキサントン基、カルバゾール基などが特に好ましい。n=1のときのL1 もしくはR1 のいずれかがアルキル基もしくは置換アルキル基を表わすとき、当該アルキル基としては炭素数1から25までを含むものが用いられるが、特にメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基などの直鎖状もしくは分岐状の炭素数1から8までのアルキル基が特に好ましい。
【0012】
n=1のときのL1 もしくはR1 のいずれかが置換芳香族基、置換ヘテロ芳香族基、置換アルキル基であるとき、置換基としてはメトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜10までのアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基のようなハロゲン置換されたアルキル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、p−クロロフェニルオキシカルボニルなどの炭素数2から15までのアルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基;水酸基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−ジフェニルアミノベンゾイルオキシなどのアシルオキシ基;t−ブチルオキシカルボニルオキシ基などのカルボネート基;t−ブチルオキシカルボニルメチルオキシ基、2−ピラニルオキシ基などのエーテル基;アミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、モルフォリノ基、アセチルアミノ基などの置換、非置換のアミノ基;メチルチオ基、フェニルチオ基などのチオエーテル基;ビニル基、ステリル基などのアルケニル基;ニトロ基;シアノ基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基;フェニル基、ナフチル基のような芳香族基;ピリジル基のようなヘテロ芳香族基等を挙げることができる。またR1 、もしくはn=1のときのL1 のいずれかが置換芳香族基、置換ヘテロ芳香族基であるとき、置換基として前述したものの他にもメチル基、エチル基などのアルキル基を用いることができる。
【0013】
n=2〜6のときL1 は、置換基を有していても良い非金属原子からなる多価の連結基を表わす。
L1 で表される非金属原子からなる多価の連結基とは、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、および0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位が組み合わさって構成されるものを挙げることができる。
【0014】
【化1】
【0015】
多価の連結基が置換基を有する場合、置換基としてはメチル、エチルなどの炭素数1から20までのアルキル基、フェニル、ナフチルなどの炭素数6から16までの芳香族基、水酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシのような炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキシ、エトキシのような炭素数1から6までのアルコキシ基、塩素、臭素のようなハロゲン原子、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニルのような炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネートのような炭酸エステル基などを用いることができる。
一般式(I)で表される化合物の分子量の範囲は400から5000であり、より好ましくは500から3000までのものである。
【0016】
R2 が三級のアルキル基を表すときは、炭素数4から20までのものが用いられる。具体例としてはt−ブチル基、2,2−ジメチル−4,4−ジメチルブチル基などをあげることができる。
R2 が置換もしくは非置換のアルコキシメチル基を表わすとき、アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシなど1から6個までの炭素数のものが用いられる。またその置換基としては炭素数1から6個までのアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基などの芳香族基などを用いることができる。また置換アルコキシメチル基としては2−エトキシ−エチル基、2−t−ブトキシ−エチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基などの窒素原子に連結した炭素原子が分岐したものも含まれる。
これらのアルコキシメチル基として特に好ましいものは、メトキシメチル基、2−エトキシエチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基などを挙げることができる。
また、置換もしくは非置換のアリールメチル基で用いられるアリール基としてはフェニル、ナフチル、アントラニルなど炭素数6〜14個までのアリール基を用いることができる。
また置換基としては炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数1〜4個のアルキル基を用いることができる。
これらの置換もしくは非置換のアリールメチル基としては、p−メトキシベンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、ピペロニル基、9−アントラニルメチル基などを挙げることができる。
【0017】
R2 が置換もしくは非置換の脂環式アルキル基のとき脂環式アルキル基としては炭素数5〜7個のものが用いられる。また置換基としてはメトキシ基、フェニル基、ハロゲン原子の他に脂肪族環と縮環したベンゼン環も用いることができる。
置換もしくは非置換の脂環式アルキル基の好ましい例としては、シクロヘキシル、ジベンゾスベリル(Dibenzosuberyl)基を挙げることができる。
以下本発明で用いられるN−スルホニルアミド化合物の具体例を挙げる。なお本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
以下に本発明に用いるN−スルホニルアミド化合物の製造例を示す。
<製造例1>
具体例の化合物1の合成
N−(p−トルエンスルホニル)ベンズアミド13.7gとN,N−ジメチルアセトアミド200mlとを三ツ口フラスコに取り、室温下かくはんしながらトリエチルアミン5gを添加した。トリエチルアミン添加終了後、ベンジルクロロメチルエーテル10.9gを添加した。添加後そのまま攪拌を2時間つづけた後反応液を水にあけ生じた結晶をろ取した。
得られた結晶をヘキサンとトルエンの混合溶媒で再結晶を行い16gの白色結晶を得た。融点99−101℃。
【0023】
<製造例2>
具体例化合物4の合成
N−(t−ブチル)−p−トルエンスルホニルアミド9.0gとN,N−ジメチルアセトアミド100mlとを2リットルの3口フラスコに入れ水素化ナトリュウム(60%油状)2.0gを加えた。氷冷下かくはんしながらベンゾイルクロライド6.75gを滴下した。滴下終了後更に2時間かくはんを続けた。滴下後氷浴をとり除き室温にて5時間攪拌をつづけた。次に反応液に水500mlを加え、酢酸エチル0.5リットルを用い抽出し、得られたオイルをシリカゲルのカラを用いて精製した。収量4.2g、融点73−78℃。
【0024】
これらの一般式(1)又は(2)で示される化合物の添加量は、組成物の全重量(塗布溶媒を除く)を基準として通常5〜95重量%の範囲で用いられ、好ましくは10〜70重量%、更に好ましくは15〜60重量%の範囲で使用される。
【0025】
本発明で使用される光または熱の作用により分解して酸を発生する化合物(以下、光酸発生剤ともいう)としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光により酸を発生する化合物およびそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0026】
たとえば S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同 Re 27,992号、特開平3−140,140号等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2−150,848号、特開平2−296,514号等に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693 号、米国特許第3,902,114 号、欧州特許第233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホ ニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed., 17,1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier etal,J.Rad.Curing,13(4),26(1986)、T.P.Gill etal,Inorg.Chem.,19,3007(1980)、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1896)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、E.Reichmanis etal,J.Pholymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.Zhu etal,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、B.Amit etal,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D.H.R.Barton etal,J.Chem Soc.,3571(1965)、P.M.Collins etal,J.Chem.SoC.,Perkin I,1695(1975)、M.Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、J.W.Walker etalJ.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、S.C.Busman etal,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、H.M.Houlihan etal,Macormolecules,21,2001(1988)、P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayase etal,Macromolecules,18,1799(1985)、E.Reichmanis etal,J.Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Technol.,130(6)、F.M.Houlihan etal,Macromolcules,21,2001(1988)、 欧州特許 第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、 米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載の0−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第4,618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143 号、特開平2−245756号、特願平3−140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記 載のジスルホン化合物を挙げることができる。
【0027】
また、これらの光により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖または側鎖に導入した化合物、たとえば、M.E.Woodhouse etal,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappas etal,J.Imaging Sci.,30(5),218(1986)、S.Kondo etal,Makromol.Chem.,Rapid Commun.,9,625(1988)、Y.Yamadaetal,Makromol.Chem.,152,153,163(1972)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed., 17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、獨国特許第3914407、特開昭63−26653号、 特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038 、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0028】
さらにV.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad etal,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許 第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0029】
上記光もしくは熱の作用により酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
(1)トリハロメチル基が置換した下記一般式(PAG1)で表されるオキサゾール化合物または一般式(PAG2)で表されるS−トリアジン化合物。
【0030】
【化6】
【0031】
式中、R1 は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、R2 は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、アルキル基、−CY3 をしめす。Yは塩素原子または臭素原子を示す。
具体的には以下の化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
(2)下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、または一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩、もしくはジアゾニウム塩。
【0035】
【化9】
【0036】
ここで式Ar1 、Ar2 は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒロドキシ基、メルカプト基およびハロゲン原子が挙げられる。
【0037】
R3 ,R4 ,R5 は各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましくは炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基およびそれらの置換誘導体である。好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒロドキシ基およびハロゲン原子であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコシキカルボニル基である。
【0038】
Z− は対アニオンを示し、例えばBF4 − 、 AsF6 − 、PF6 − 、 SbF6 − 、SiF6 2−、ClO4 − 、 CF3SO3 − 等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の縮合多核芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸 アニオン、スルホン酸基含有染料等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0039】
またR3 ,R4 ,R5 のうちの2つおよびAr1 、Ar2 はそれぞれの単結合または置換基を介して結合してもよい。
【0040】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】
一般式(PAG3)、(PAG4)で示される上記オニウム塩は公知であり、たと え ばJ.W.Knapczyk etal,J.Am.Chem.Soc.,91,145(1969)、A.L.Maycok etal, J.Org.Chem.,35,2532,(1970)、E.Goethas etal ,Bull.Soc.Chem.Belg.,73,546,(1964) 、H.M.Leicester、J.Ame.Chem.Soc.,51,3587(1929)、J.V.Crivello etal,J.Polym.Chem.Ed.,18,2677(1980) 、米国特許第2,807,648 号および同4,247,473号、特開 昭53−101,331号等に記載の方法により合成することができる。
【0044】
(3)下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン化合物または一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート化合物。
【0045】
【化12】
【0046】
式中Ar3 、Ar4 は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。R6 は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
【化13】
【0048】
【化14】
【0049】
これらの光または熱の作用により分解して酸を発生する化合物の添加量は、組成物の全重量(塗布溶媒を除く)を基準として通常0.001〜40重量%の範囲で用いられ、好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%の範囲で使用される。
【0050】
さらに、下記に挙げるような分光増感剤を添加し、使用する光酸発生剤が吸収を持たない遠紫外より長波長領域に増感させることで、本発明の組成物をiまたはg線に感度を持たせることができる。好適な分光増感剤としては、具体的にはベンゾフェノン、p,p′−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p′−テトラエチルエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェノチアジン、ベンジル、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、9,10−ジフェニルアントラセン、9−フルオレノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン1,2−ベンズアンスラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3′−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)及びコロネン等であるがこれらに限定されるものではない。
【0051】
また可視域に感度をもたせるためにはシアニン色素、メロシアニン色素、スクアリウム系色素、クマリン系色素、キサンテン系色素、ジュロシゾン系色素、ピリリウム系色素、アクリジン色素の他、ミヒラーズケトン、チオキサントン、アクリドンなど公知の分光増感剤を用いることができる。
これらの分光増感剤の他に、特に赤外域に吸収を示す色素と前述した光酸発生剤とを組み合わせると赤外線の作用により酸を発生させることができるため、赤外線に感光する平版印刷版用感光性組成物を製造する際には特に有利である。
この目的のために使用される赤外線吸収色素としては、波長760nmから1200nmの赤外線を有効に吸収する染料または顔料である。好ましくは、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
【0052】
染料としては、市販の染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、金属チオレート錯体などの染料が挙げられる。
好ましい染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0053】
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0054】
好適な染料としては油性染料及び塩基性染料がある。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。
【0055】
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0056】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMD出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0057】
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の感光層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像記録層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0058】
これらの染料もしくは顔料は、組成物全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10重量%、顔料の場合特に好ましくは3.1〜10重量%の割合で組成物中に添加することができる。顔料もしくは染料の添加量が0.01重量%未満であると感度で低くなり、また50重量%を越えると印刷時非画像部に汚れが発生する。
これらの染料もしくは顔料は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
【0059】
本発明において、水には不溶であるが、アルカリ水溶液に対して可溶であるかまたは少なくとも膨潤しうる高分子状有機バインダー(アルカリ可溶性樹脂ともいう))としては、例えばノボラック樹脂、水素化ノボラック樹脂、アセトン−ピロガロール樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、ポリヒドロキシスチレンの一部O−アルキル化物もしくはO−アシル化物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、カルボキシル基含有メタクリル系樹脂及びその誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
特に好ましいアルカリ可溶性樹脂はノボラック樹脂及びポリヒドロキシスチレンである。該ノボラック樹脂は所定のモノマーを主成分として、酸性触媒の存在下、アルデヒド類と付加縮合させることにより得られる。
所定のモノマーとしては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等のクレゾール類、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール、2,3−キシレノール等のキシレノール類、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−エチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール等のアルキルフェノール類、p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、3,5−ジメトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、m−エトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−プロポキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−ブトキシフェノール、p−ブトキシフェノール等のアルコキシフェノール類、2−メチル−4−イソプロピルフェノール等のピスアルキルフェノール類、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、フェニルフェノール、レゾルシノール、ナフトール等のヒドロキシ芳香化合物を単独もしくは2種類以上混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、フルフラール、クロロアセトアルデヒド及びこれらのアセタール体、例えばクロロアセトアルデヒドジエチルアセタール等を使用することができるが、これらの中で、ホルムアルデヒドを使用するのが好ましい。
これらのアルデヒド類は、単独でもしくは2種類以上組み合わせて用いられる。酸性触媒としては塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸等を使用することができる。
【0061】
こうして得られたノボラック樹脂の重量平均分子量は、1,000〜30,000の範囲であることが好ましい。1,000未満では未露光部の現像後の膜減りが大きく、30,000を越えると現像速度が小さくなってしまう。特に好適なのは2,000〜20,000の範囲である。
ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもっと定義される。
【0062】
本発明に於けるこれらのアルカリ可溶性樹脂は2種類以上混合して使用しても良い。アルカリ可溶性樹脂の使用量は、感光性組成物の全重量(溶媒を除く)を基準として、0〜97重量%、好ましくは60〜90重量%である。
【0063】
本発明においては、溶解阻止剤として作用する本発明によるN− スルホニルアミド化合物以外にも、従来公知の溶解阻止剤を併用して用いることができる。
即ち、本発明において用いられる酸により開裂しうるスルホンアミド化合物以外に必要によっては酸によって開裂し得る他のC−O−CまたはC−O−Si−結合を有する化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0064】
酸により開裂しうるC−O−CまたはC−O−Si−結合を有する化合物としては、特に下記の種類の化合物が効果的であることが分かっている。
a)少なくとも1つのオルトカルボン酸エステルおよび/またはカルボン酸アミドアセタール群を含み、その化合物が重合性を有することができ、上記の群が主鎖中の架橋要素として、または側方置換基として生じ得る様な化合物、
b)主鎖中に反復アセタールおよび/またはケタール群を含むオリゴマー性または重合体化合物、
c)少なくとも一種のエノールエーテルまたはN−アシルアミノカーボネート群を含む化合物、
d)β−ケトエステルまたはβ−ケトアミドの環状アセタールまたはケタール、
e)シリルエーテル群を含む化合物、
f)シリルエノールエーテル群を含む化合物、
g)アルデヒドまたはケトン成分が、現像剤に対して、0.1〜100g/リットルの溶解性を有するモノアセタールまたはモノケタール、
h)第三級アルコール系のエーテル、および
i)第三級アリル位またはベンジル位アルコールのカルボン酸エステルおよび炭酸エステル。
照射感応性混合物の成分として酸により開裂し得る種類(a)の化合物は、ドイツ特許公開第2,610,842号および同第2,928,636号に記載されている。種類(b)の化合物を含む混合物は、ドイツ特許第2,306,248号および同第2,718,254号に記載されている。種類(c)の化合物は、ヨーロッパ特許公開第0,006,626号および同第0,006,627号に記載されている。種類(d)の化合物は、ヨーロッパ特許公開第0,202,196号に記載されており、種類(e)として使用する化合物は、ドイツ特許公開第3,544,165号および同第3,601,264号に記載されている。種類(f)の化合物は、ドイツ特許公開第3,730,785号および同第3,730,783号に記載されており、種類(g)の化合物は、ドイツ特許公開第3,730,783号に記載されている。種類(h)の化合物は、例えば米国特許第4,603,101号に記載されており、種類(i)の化合物は、例えば米国特許第4,491,628号およびJ. M. Frechetらの論文(J. Imaging Sci.30, 59−64(1986))にも記載されている。
【0065】
また、上記の酸で開裂し得る物質の混合物を使用することもできる。上述した(a)〜(i)までの化合物のうち、特に好ましいのは種類(a)、(b)、(g)および(i)に属する物質である。種類(b)の中では、重合性アセタールに特に注目しなければならず、酸により開裂し得る種類(g)の物質の中では、特に、アルデヒドまたはケトン成分が、150℃を超える、好ましくは200℃を超える沸点を有する様な化合物に注目しなければならない。その他の好ましい酸で開裂しうる物質としてはC−O−C又はC−O−Si−結合を有する有機高分子を挙げることができる。この例としては、酸分解性のエーテル、エステル、カーボネート、アセタール、ケタール、シリルエーテル基を含む有機高分子を挙げることができる。これらの有機高分子の具体的な例は欧州特許第0520265A号、米国特許第4985332号、西独特許2718254号、同3601264号、米国特許第4931379号の各明細書に記述されている。
酸で解裂しうるC−O−C又はC−O−Si−結合を有する化合物の量は感光性組成物の全重量(溶媒を除く)を基準として0〜50重量%好ましくは0〜20重量%である。酸で解裂しうるC−O−C又はC−O−Si−結合を有する化合物が重合体である場合は、前記したアルカリ可溶性樹脂の一部をあるいは全てを置き換えて使用することができる。
【0066】
本発明の組成物には必要に応じて、更に他の染料、顔料、可塑剤、界面活性剤、光増感剤及び現象液に対する溶解性を促進させるフェノール性OH基を2個以上有する化合物などを含有させることができる。
【0067】
本発明による組成物が塗布されて用いられるとき、その支持体としては、寸度的に安定な板状物が用いられる。該寸度的に安定な板状物としては、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、また、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む。)、亜鉛、銅などのような金属の板、さらに、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸−酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピロン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのようなプラスチックのフィルム、上記の如き金属がラミネートもしくは蒸着された紙、またはプラスチックフィルムなどがあげられる。これらの支持体のうち、感光性平版印刷版の作成には、アルミニウム板が寸度的に著しく安定で、しかも安価なので、特に好ましい。更に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
【0068】
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、砂目立て処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。その他の好ましい支持体としては、キャパシター、半導体、多層プリント回路または集積回路を構成または製造するあらゆる材料を使用できる。特に、熱的に酸化したケイ素材料および/または所望によりドーピングしてあってもよいアルミニウム被覆したケイ素材料、その他、例えば窒化ケイ素、ガリウムヒ素、およびリン化インジウムなどの半導体技術で一般的な基材を挙げることができる。さらに、液晶表示装置製造で公知の基材、例えばガラスおよび酸化インジウムスズ、さらに金属板および金属ホイル(例えばアルミニウム、銅または亜鉛)、二重および三重金属ホイル、あるいは金属蒸着した非導電性シート、所望によりアルミニウム被覆したSiO2材料、および紙などが好適である。これらの基材は、熱的前処理、表面粗粒化、初期エッチング、または試薬で処理して、望ましい特性の改良、例えば親水性の強化などを行なってもよい。
【0069】
本発明の組成物は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶媒として例を挙げると、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。そして上記成分中の濃度(添加物を含む全固形分)を2〜50重量%とするのが好ましい。
【0070】
また、上記溶媒に界面活性剤を加えることもできる。界面活性剤の具体的な例を挙げると、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル酸、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171,F173,F177(大日本インキ(株)製)、フロラードFC430,FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)やアクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No95(共栄社油脂化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分100重量部当たり、通常、2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0071】
本発明の組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ性水溶液にベンジルアルコールのようなアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使うこともできる。
【0072】
本発明の感光性組成物の露光に用いられる活性光線の光源としては例えば、超高圧、中圧、低圧の各水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、可視、紫外の各種レーザー、蛍光灯、タングステン光、及び太陽光などがある。放射線としては電子線、X線、イオンビーム、遠紫外線などがある。好ましくはフォトレジスト用の光源として、g線、i線、Deep−UV光が使用される。また高密度エネルギービーム(レーザービーム又は電子線)による走査又はパルス露光も本発明の感光性組成物の露光に使用することができる。このようなレーザービームとしては、ヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンイオンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、KrFエキシマレーザーなどが挙げられる。また赤外線に、特に波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーを用いることができる。
【0073】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例におけるパーセントは、他に指定のない限り、すべて重量%である。
(実施例1〜6及び比較例1〜4)
厚さ0.30mmのアルミニウム板をナイロンブラシと400メッシュのパミストンの水懸濁液を用いその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウム溶液に70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後、20%HNO3 で中和洗浄、水洗した。これをVA =12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で160クローン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.6μ(Ra表示)であった。ひきつづいて30%のH2 SO4 水溶液中に浸漬し55℃で2分間デスマットした後、20%H2 SO4 水溶液中で電流密度2A/dm2において厚さが2.7g/m2になるように陽極酸化した。このようにして得られたアルミニウム支持体上に次の各感光液をホワイラーを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥させた。
乾燥後の塗布量は2.0g/m2であった。これらの感光性平版印刷版をそれぞれメタルハライドランプを用い、富士ステップガイド(富士写真フイルム(株)製、初段の透過光学濃度が0.05で、順次0.15増えていき、15段あるステップタブレット)を通し1分間露光した。次に露光した感光性平版印刷版を4%メタケイ酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬して現像することによって、露光部分の感光層が溶出して画像が得られるかどうかを目視で評価した(画像形成性)。また生じたステップ段数より感度を見積った。ステップ段数の数字が大きいほど感度が高いことを示す。結果を表1に示す。表1の結果から、本発明の酸分解性化合物はノボラック樹脂との組み合わせによって、優れたポジ画像形成性を与えかつ感度が高いことが理解できる。
【0074】
【表1】
【0075】
【化15】
【0076】
(実施例7〜10)
厚さ0.03mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄した脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用いその表面を砂目立てし、よく水で洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い水洗後、更に2%HNO3 に20秒間浸漬して水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。次にこの板を7%H2 SO4 を電解液として電流密度15A/dm2で3g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥した。次にこのアルミニウム板に下記下塗り液を塗布し、80℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は10mg/m2であった。
(下塗り液)
β−アラニン 0.1g
メタノール 40g
純水 60g
【0077】
次に、下記溶液〔A〕において、本発明の一般式(I)で表される化合物の種類を変えて、4種類の溶液〔A−1〕〜〔A−4〕を調整した。この溶液をそれぞれ、上記の下塗り済みのアルミニウム板に塗布し、100℃で2分間乾燥してポジ型平版印刷用版材〔A−1〕〜〔A−4〕を得た。乾燥後の重量は1.7g/m2であった。
【0078】
溶液〔A〕
本発明の一般式(I)で表される化合物(下記表2に記載) 1.0g
2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(4−メトキシ−1−ナフチル)−
S−トリアジン(PAG2−4で表される化合物) 0.2g
赤外線吸収剤NK−3508 0.15g
(日本感光色素研究所(株)製)
クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂 2.5g
(メタ:パラ比=8:2、重量平均分子量5800)
ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを1−ナフタレン 0.05g
−スルホン酸にした染料
メガファックF−177 0.06g
(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系界面活性剤)
メチルエチルケトン 20g
2−メトキシエタノール 7g
溶液〔A−1〕〜〔A−4〕に用いた化合物を表2に示す。
【0079】
表2
実施例番号 平版印刷用版材 使用した化合物
実施例7 〔A−1〕 5
実施例8 〔A−2〕 8
実施例9 〔A−3〕 11
実施例10 〔A−4〕 7
【0080】
得られたポジ型平版印刷用版材〔A−1〕〜〔A−4〕を、温度35℃湿度75%の高温高湿条件下で5日間保存した後、波長1064nmの赤外線を発するYAGレーザーで露光した。露光後、110℃で1分間加熱処理した後、富士写真フイルム(株)製現像液、DP−4(1:8)、リンス液FR−3(1:7)を仕込んだ自動現像機を通して処理した。次いで富士写真フイルム(株)製ガムGU−7(1:1)で版面を処理し、ハイデルKOR−D機で印刷した。この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。結果を表3に示す。いずれも非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0081】
表3
実施例番号 平版印刷用版材 印刷時の非画像部汚れ
実施例7 〔A−1〕 無 し
実施例8 〔A−2〕 無 し
実施例9 〔A−3〕 無 し
実施例10 〔A−4〕 無 し
【0082】
(実施例11〜18及び比較例5〜8)
合成例−1
[酸で分解し得る基を有する樹脂の合成:化合物〔B−1〕]
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(重量平均分子量9,600)9gをジメトキシエタン100mlに溶解させ、次いで、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン12.6gと硫酸0.5mlを加え30〜40℃で15時間撹拌した。反応後、反応液を減圧濃縮し、残渣を炭酸ナトリウムで中和し、水中に注入、晶析させ、析出晶を濾取、水洗、減圧乾燥してポリ(p−テトラヒドロピラニルオキシスチレン−p−ヒドロキシスチレン)の白色粉末11.0gを得た。得られた重合体のp−テトラヒドロピラニルオキシスチレン単位とp−ヒドロキシスチレン単位の比は1HNMR測定により3:7であった。
【0083】
合成例−2
[酸で分解し得る基を有する樹脂の合成:化合物〔B−2〕]
米国特許4491628号に記載の方法により得られたp−t−ブトキシカルボニルオキシスチレン22gを用いて2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルワレロニトリル)触媒の存在下、トルエン中、窒素雰囲気下で90℃、5時間重合反応させた。反応液を冷却後、メタノール中に注入して晶析させ、析出晶を濾取し、メタノール洗浄、減圧乾燥してポリ(p−tert−ブトキシカルボニルオキシスチレン)の白色粉末15gを得た。この粉末7gを1,4−ジオキサンに溶解させ、濃塩酸10mlを加えて撹拌還流を2.5時間行い、冷却後、反応液を水中に注入して晶析させ、析出晶を濾取、水洗、減圧乾燥して、ポリ(p−tert−ブトキシカルボニルオキシスチレン−p−ヒドロキシスチレン)の白色粉末4gを得た。得られた重合体のp−tert−ブトキシカルボニルオキシスチレン単位とp−ヒドロキシスチレン単位の比は 1HNMR測定により1:9であった。
【0084】
合成例−3
[酸で分解し得る基を有する樹脂の合成:化合物〔B−3〕]
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(重量平均分子量9,600)12gをN,N−ジメチルアセトアミド120mlに溶解し、炭酸カリウム7g、更にブロモ酢酸t−ブチル9gを添加し、120℃、7時間撹拌した。反応液を〔B−2〕と同様に処理することで、下記構造の樹脂を得た。酸で分解し得る基を有する単位と、p−ヒドロキシスチレンの単位の比は 1HNMR測定により1:6であった。
【0085】
【化16】
【0086】
合成例−4
[溶解阻止剤化合物の合成例:〔IN−1〕]
1−[α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン42.4g(0.10モル)をN,N−ジメチルアセトアミド300mlに溶解し、これに炭酸カリウム49.5g(0.35モル)、及びプロモ酢酸クミルエステル84.8g(0.33モル)を添加した。その後、120℃にて7時間撹拌した。反応混合物をイオン交換水2lに投入し、酢酸にて中和した後、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル抽出液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、展開溶媒:酢酸−エチル/n−ヘキサン=3/7(体積比))にて精製し、下記化合物(Rは総て−CH2COOC(CH3)2C6H5基)70gを得た。
【0087】
【化17】
【0088】
合成例−5[溶解阻止剤化合物の合成例:〔IN−2〕]
α,α,α′,α′,α″,α″−ヘキサキス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリエチルベンゼン14.3g(0.020モル)のN,N−ジメチルアセトアミド120ml溶液に、炭酸カリウム21.2g(0.15モル)、更にブロモ酢酸t−ブチル27.1g(0.14モル)を添加し、120℃にて7時間撹拌した。その後、反応混合物を水1.5lに投入し、酢酸エチルにて抽出した。硫酸マグネシウムにて乾燥後、抽出液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=2/8(体積比))にて精製した結果、淡黄色粉体24gを得た。NMRにより、これが下記化合物(Rは総て−CH2−COO−C4H9 t基)であることを確認した。
【0089】
【化18】
【0090】
[感光性組成物の調製と評価]
表4に示す各素材をジグライム6gに溶解し、0.2μmのフィルターで濾過してレジスト溶液を作成した。このレジスト溶液を、3000rpmの回転数のスピンコーターを利用して、シリコンウエハー上に塗布し、90℃60秒間真空吸着型のホットプレートで乾燥して、膜厚1.0μmのレジスト膜を得た。
このレジスト膜に、248nmKrFエキシマレーザーステッパー(NA=0.45)を用いて露光を行った。露光後110℃の真空吸着型ホットプレートで60秒間加熱を行い、ただちに、トラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液(下記に示す各濃度)で60秒間浸漬し、30秒間水でリンスして乾燥した。このようにして得られたシリコンウエハー上のパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、レジストのプロファイルを評価した。その結果を表5に示す。
【0091】
感度は0.50μmのマスクパターンを再現する露光量の逆数をもって定義し、比較例1の感度の相対値で示した。
膜収縮は露光部の露光、ベーク前後の膜厚の比の百分率で表した。
解像力は0.50μmのマスクパターンを再現する露光量における限界解像力を表す。
レジスト形状は、0.50μmのマスクパターン断面におけるレジスト壁面とシリコンウエハーの平面とがなす角(θ)で表した。
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
表5の結果から本発明のレジストは、露光後のベークによる膜収縮が少なく、良好なプロファイルと高い感度と解像力を有しており、更に露光後、熱処理までの放置時間による解像力の劣化がほとんど起こらず、優れた安定性を有する。
【0095】
【発明の効果】
本発明のポジ画像形成組成物により、高感度で露光後のベークによる膜収縮が少なく、良好なプロファイルと高解像力を有し、更に露光後、熱処理までの放置時間による解像力の劣化がほとんど起こらず、優れた安定性を有するレジスト組成物が得られる。また、本発明により、UV域から赤外域の光線に対して高い感度を有し、非画像部の汚れのないオフセット印刷版が得られる。
Claims (7)
- (a)光もしくは熱の作用により酸を発生する化合物、及び(b)下記一般式(1)及び(2)で示されるN−スルホニルアミド化合物から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とするポジ画像形成組成物。
L1−(SO2−NR2−CO−R1)n (1)
L1−(CO−NR2−SO2−R1)n (2)
(式中、nは1〜6の整数であり、R1 は、芳香族基又はアルキル基を表わす。n=1のとき、L1 は芳香族基又はアルキル基を表わし、n=2〜6のとき、L1 は非金属原子からなる多価の連結基を表わす。R2 は三級アルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシメチル基、置換もしくは非置換のアリールメチル基又は置換もしくは非置換の脂環式アルキル基を表わす。) - 一般式(1)又は(2)で示されるN−スルホニルアミド化合物において、R2 が、t-ブチル基、2,2-ジメチル-4,4-ジメチルブチル基である請求項1に記載のポジ画像形成組成物。
- 一般式(1)又は(2)で示されるN−スルホニルアミド化合物において、R2 が、ベンジルオキシメチル基、メトキシメチル基、2-エトキシエチル基、メトキシエトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基又はテトラヒドロフラニル基である請求項1に記載のポジ画像形成組成物。
- 一般式(1)又は(2)で示されるN−スルホニルアミド化合物において、R2 が、p−メトキシベンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、ピペロニル基又は9−アントラニルメチル基である請求項1に記載のポジ画像形成組成物。
- 一般式(1)又は(2)で示されるN−スルホニルアミド化合物において、R2 が、シクロヘキシル基又はジベンゾスベリル基である請求項1に記載のポジ画像形成組成物。
- (a)の酸を発生する化合物が、トリハロメチル基で置換したオキサゾール化合物、トリハロメチル基で置換したS−トリアジン化合物、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、ジスルホン化合物及びイミノスルホネート化合物から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポジ画像形成組成物。
- 水には不溶ではあるが、アルカリ水溶液に対して可溶性であるかまたは少なくとも膨潤しうる高分子状有機バインダーを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポジ画像形成組成物。
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