JP3601275B2 - 電界電子放出素子 - Google Patents
電界電子放出素子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3601275B2 JP3601275B2 JP32353297A JP32353297A JP3601275B2 JP 3601275 B2 JP3601275 B2 JP 3601275B2 JP 32353297 A JP32353297 A JP 32353297A JP 32353297 A JP32353297 A JP 32353297A JP 3601275 B2 JP3601275 B2 JP 3601275B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electron
- electrode
- layer
- emitter
- electrons
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Cold Cathode And The Manufacture (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電界放出によって電子を放出する電界電子放出素子の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、平板形表示装置などの電子源として電界放射型の電子放出素子が採用されてきている。平板形表示装置では面積の比較的大きい発光面に対して電子線を均一に照射することが要求されるから、この種の用途に用いる電子放出素子では、多数の電界放射型の陰極をアレイ状に配列した冷陰極アレイとして形成することが考えられている(Technical Digest of IVMC 91,Nagahama 1991,p.50、(社)日本電子工業振興協会、真空マイクロエレクトロニクス調査報告書I,1992年3月、p.37等参照)。
【0003】
電界放射型の電子放出素子の一例を図5と図6に示す。図5は電子放出素子のカソード側の構成を示す平面図であり、図6はその断面構造を示している。この電子放出素子は、図6に示すように、カソード基板6上に導電性のべース電極4、絶縁層3および電子引き出し電極2(以下ゲート電極2と称す)が積層されたものに、ゲート電極2および絶縁層3が部分的に積層されずベース電極4まで達する穴が形成されており、この穴にベース電極4と抵抗層5を介して電気的に接続されたエミッタ1を配置してある。エミッタ1は図5に示すように星形に形成されている。このエミッタ1の先端部はゲート電極2の穴の端部から約1μm以下の微小空隙を隔てた位置となるよう配置されている。前述したように、エミッタ1は一つのべース電極4上に複数個が配置され、アレイ状をなしている。
【0004】
上記構造の電界電子放出素子において、ベース電極4に対して数10V〜数100V程度の正の電圧をゲート電極2に印加すると、ベース電極4と電気的に接続されたエミッタ1とゲート電極2の間に108 V/m以上の高電界がかかり、電界電子放出によってエミッタ1の先端から電子が放出される。このとき電界電子放出素子に対向して、アノード電極7を設置し、アノード電極7にべース電極4に対して正の電圧を印加しておくことで、エミッタ1の先端から放出された電子の大部分はアノード電極7側に引き出すことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エミッタ1の先端に対してゲート電極2がほぼ同じ高さに配置しているために、エミッタ1の先端から放出された電子の軌跡8は、図6に示すようにアノード電極7に対して、水平成分をかなり含んでいる。したがって、エミッタ1から放出された電子はある程度の広がりを持ってアノード電極7に到達することになる。
【0006】
さらに図5で示したような平面的に突部を持つ構造の場合、電子の軌跡8は突部の方向に広がってしまうことになる。この放出される電子の広がりによる弊害の一例を説明する。例えば、電界電子放出型カソードをマトリックス状に配置し、対向するアノード電極のカソード側の面に蛍光面を作製して、カソードから放出される電子を蛍光面に照射して発光させるという応用を考えたとき、エミッタから放出される電子が広がっていると、希望するマトリックスの周囲の部分が発光してしまうというクロストークの問題が生じる。
【0007】
そこで、従来、図7に示すように、エミッタ1から放出する電子の軌道の広がりを抑制する目的で、ゲート電極2の上側に、絶縁層3を介して電子線収束用の制御電極9を配置する方法が提案されている(特開平7−29484号、特開平7−122179号)。これは、ゲート電極2に対して負の電圧を制御電極9に印加することによって、エミッタ1の先端から放出された電子の軌道を収束させるものである。
【0008】
しかしながらこの方法では、制御電極9がゲート電極2の上側(アノード側)に配置してあるために、電子軌道の収束のために制御電極9に印加する負の電圧を強めて行くと、制御電極9で生じる電界が強くなり、電子を下側に押し戻すように作用してしまう。結果的にアノード電極側に取り出せるエミッション電流が低下するという問題点があった。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電界放出によって電子を放出する電子放出素子において、放出される電子の軌道を制御するための制御電極に印加する電圧を強めた場合でも、制御電極で生じる電界によってエミッション電流が低下しないように改善することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にあっては、上記の課題を解決するために、電子軌道を制御するための電極9をゲート電極2よりもカソード側に配置することによって、制御電極9に印加する電圧を強めた場合でも、制御電極9で生じる電界によってエミッションされた電子がエミッタ1側もしくはゲート電極2側に押し戻されることを防ぐものである。具体的には、図3および図4に示すように、絶縁性基板上に形成したベース層上に絶縁層を介して電子引き出し層を積層し、該電子引き出し層と絶縁層に、前記ベース層まで至る複数の凹所を設けるとともに、該凹所内のそれぞれにエミッタ部を突設し、該エミッタ部を微小空隙を介して前記電子引き出し層に近接配置させ、前記ベース層と前記電子引き出し層との間に電圧を印加することにより電子引き出し層とエミッタ部との間に形成される強電界によりそれぞれのエミッタ部から電子を放出させるようにした電子放出素子において、前記ベース層と同じ層に、放出される電子の軌道を制御するための制御電極を設けたことを特徴とするものである。また、制御電極9も単に収束を目的とした円形孔の形状には限定せず、制御電極9自体を複数部分に分割し、それぞれの制御電極9に独立して電圧を印加できる構造とすることで、電子軌道の収束だけでなく、任意の方向への電子軌道制御を可能としてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の前提となる構成例を図1及び図2をもとに説明する。この前提となる構成例では、電子線制御用の電極9をベース電極4よりも下側(カソード側)に配置し、ベース電極4は電子線制御用の電極9が作り出す制御電界を遮らないように、できるかぎり細いラインで構成した。また、同じ理由によりゲート電極2もエミッタ1の周辺部を取り囲むのみとした。すなわち、星形のエミッタ1の周辺部に、その輪郭線を僅かに拡大したような細いゲート電極2を形成しており、ベース電極4と反対方向にゲート電極2の引き出し線を設けてある。
【0012】
この例で用いた平面星形エミッタ1の場合、電子はエミッタ1の平面突部(星の先端)から主として放出され、放出された電子の軌道も平面突部の延長方向(図1の星の十字方向)が主である。従って、電子線制御用の電極9は電子軌道の主たる方向に4つに分割して配置した。
【0013】
対向するアノード電極(図示せず)に蛍光面を設け、この構造のカソードをエミッションさせているときに、4つの電子線制御用電極9のすべてにべース電極4に対して負の電圧を印加してみた。制御電極9に印加する電圧を変化させたときのアノード電極の蛍光面の発光形状の変化を観察した結果、負の電圧を強くして行くと、発光部分が徐々に収束して行き、制御電極9による収束の効果を確認することができた。また、収束をさせた場合もアノード電極に到達するエミッション電流の低下は認められず、制御電極9の電界によってエミッションされた電子がエミッタ1やゲート電極2に押し戻されるという現象は生じなかった。
【0014】
また、4つに分割して配置した制御電極9の個々にベース電極4に対して負の電圧を印加した場合、電圧を印加した制御電極9とは反対側の発光の広がりが強くなる現象が観察され、制御電極9が電子線の収束以外にも制御効果があることが確認できた。
【0015】
本発明の実施例1を図3及び図4をもとに説明する。本実施例では、電子線制御用電極9をベース電極4と同層に配置したものである。ベース電極4とゲート電極2の形状は図1と同様である。本実施例においては制御用電極9は分割せず、ベース電極4の部分のみ切り欠いた円形の形状とした。この構造においても、電子線の収束効果を確認することができた。ベース電極4による切り欠き部分で制御用の電界形状が同心円ではなくなるが、本形状のエミッタ1の場合では、主としてエミッションされる方向(図3の星の十字方向)を避けて切り欠き部が形成されているために、大きな影響はない。
【0016】
本構造のように、制御電極9をベース電極4と同層に配置した構造の場合、制御電極9を形成する工程は、ベース電極4のパターニングと同時に行えるため、簡便であるという利点がある。なお、上記2つの実施例では示さなかったが、制御電極9をベース電極4とゲート電極2の間の位置に配置する構造も、同様の電子線制御効果を期待できる。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、電子線制御用の電極をゲート電極よりもカソード側に配置することによって、たとえば電子線の軌道を収束する制御を行う場合に、制御用電極の電界によってアノード電極に引き出される電子を減少させることなく、電子軌道の制御が可能となる。また、ベース層と同じ層に、放出される電子の軌道を制御するための制御電極を設けたことで、制御電極を形成する工程が簡便となる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の前提となる構成例の平面図である。
【図2】本発明の前提となる構成例の断面図である。
【図3】本発明の実施例1の平面図である。
【図4】本発明の実施例1の断面図である。
【図5】従来例1の平面図である。
【図6】従来例1の断面図である。
【図7】従来例2の断面図である。
【符号の説明】
1 エミッタ
2 ゲート電極
3 絶縁層
4 ベース電極
5 抵抗層
6 基板
7 アノード電極
8 エミッションされた電子の軌跡
9 制御電極
Claims (2)
- 絶縁性基板上に形成したベース層上に絶縁層を介して電子引き出し層を積層し、該電子引き出し層と絶縁層に、前記ベース層まで至る複数の凹所を設けるとともに、該凹所内のそれぞれにエミッタ部を突設し、該エミッタ部を微小空隙を介して前記電子引き出し層に近接配置させ、前記ベース層と前記電子引き出し層との間に電圧を印加することにより電子引き出し層とエミッタ部との間に形成される強電界によりそれぞれのエミッタ部から電子を放出させるようにした電子放出素子において、前記ベース層と同じ層に、放出される電子の軌道を制御するための制御電極を設けたことを特徴とする電界電子放出素子。
- 電子の軌道を制御するための制御電極は、電子引き出し層を囲むように複数個分割して設けたことを特徴とする請求項1記載の電界電子放出素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32353297A JP3601275B2 (ja) | 1997-11-25 | 1997-11-25 | 電界電子放出素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32353297A JP3601275B2 (ja) | 1997-11-25 | 1997-11-25 | 電界電子放出素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11162325A JPH11162325A (ja) | 1999-06-18 |
JP3601275B2 true JP3601275B2 (ja) | 2004-12-15 |
Family
ID=18155759
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32353297A Expired - Fee Related JP3601275B2 (ja) | 1997-11-25 | 1997-11-25 | 電界電子放出素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3601275B2 (ja) |
-
1997
- 1997-11-25 JP JP32353297A patent/JP3601275B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11162325A (ja) | 1999-06-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100312694B1 (ko) | 카본 나노튜브 필름을 전자 방출원으로 사용하는 전계 방출 표시 장치 | |
JP2964638B2 (ja) | 電界放出デバイスを形成する方法 | |
KR100284830B1 (ko) | 평면의 필드 방사 음극을 사용하는 3극 진공관 구조 평판 디스플레이 | |
US5965971A (en) | Edge emitter display device | |
JP2809129B2 (ja) | 電界放射冷陰極とこれを用いた表示装置 | |
US5552659A (en) | Structure and fabrication of gated electron-emitting device having electron optics to reduce electron-beam divergence | |
JP3999276B2 (ja) | 電荷散逸型電界放射デバイス | |
JP2003263951A (ja) | 電界放出型電子源およびその駆動方法 | |
US6794814B2 (en) | Field emission display device having carbon nanotube emitter | |
JPH0693164B2 (ja) | 表示装置 | |
JP4266994B2 (ja) | 電子放出デバイス,電子放出表示デバイス | |
JP4129400B2 (ja) | 電界放出表示装置 | |
JP2000251783A (ja) | 電界放出形表示素子 | |
JP2001229805A (ja) | 電界放出カソードならびに電界放出型表示装置 | |
JPH0335775B2 (ja) | ||
JPS61203547A (ja) | 半導体本体を具える装置及び半導体装置 | |
JP3601275B2 (ja) | 電界電子放出素子 | |
JP2004193105A (ja) | 三極型電界放出素子及びそれを用いた電界放出ディスプレイ | |
KR100911011B1 (ko) | 전자 방출 소자 및 이를 구비한 발광 장치 | |
JP2961426B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP2577361Y2 (ja) | 電子放出素子およびその電子放出素子を用いた画像表示装置 | |
JP2961421B2 (ja) | 画像形成装置及びその駆動方法 | |
EP1783808A2 (en) | Electron emission device and electron emission display using the same | |
JP2826549B2 (ja) | 電子放出素子及び画像形成装置 | |
JP2835962B2 (ja) | 画像形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040514 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040525 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040723 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040831 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040913 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071001 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081001 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081001 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091001 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091001 Year of fee payment: 5 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091001 Year of fee payment: 5 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101001 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101001 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111001 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111001 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121001 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |