JP3601247B2 - 磁性一成分現像剤及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンター、デジタルおよびアナログ複写機、ファクシミリなどに利用される電子写真方式を応用した現像剤および画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真方式では、各種の光導電性物質とバインダ樹脂とを主成分とする感光層をアルミニウム等の金属等の基体上に被覆せしめた有機光導電性感光体(通常はドラム状に加工された感光体ドラム)上に、種々の手段により静電荷の電気的潜像を形成し、該静電潜像を粉体からなる現像剤で現像し、必要に応じて紙あるいはフィルム等の基材上に粉体を転写した後、加圧、加熱等の方法により定着することが行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、パーソナル化、省スペース化などの市場要求に伴い、複写機、プリンター等の電子写真装置の小型化が促進される傾向にある。これらの装置の小型化を達成するためには、感光体ドラムの小径化が望まれる。感光体ドラムとしては、有機光導電性感光体ドラム、中でも積層型有機光導電性の採用が主流となっている。
一般に、感光体ドラムは、現像工程での現像剤との摺擦およびクリーニング工程での当接するクリーニング部材(クリーニングブレード等)による押圧等により、常にその表面が激しく研磨される状態におかれるために経時での感光層の膜減りを起こしやすい。感光層の膜減りによって、感光体ドラムの表面電位等の電気特性が劣化するので、結果として得られる画像は画像濃度の低下を招くという問題があった。特に、小径の感光体ドラムを採用しようとすると、その感光体表面積は小さくなって表面あたりの摺擦頻度が増えるので、上記の感光体の膜減り現象がより顕在化しやすい傾向にあった。
【0004】
そこで、積層型有機光導電性感光体ドラムにおいて、これらの感光体の膜減り問題を回避し、感光体の耐刷性を向上させるための検討もなされている。たとえば、ドラム感光層の表面層を構成する樹脂としてポリカーボネート樹脂を採用することにより、表面の硬度や機械的強度が増すので膜減りが緩和されて、耐刷性が向上する傾向にある。従って、積層型有機光導電性感光体ドラムとしては、その表面の構成樹脂としてポリカーボネートを用いて構成した小径化ドラムを採用すれば、小型の画像形成装置での上記した問題が解消されるので有効である。
【0005】
一方、これらのパーソナルタイプの小型の画像形成装置では、他の問題として、文字の中抜け現象や葉書通紙などによる感光体上の紙粉跡の発生などの画像欠陥問題が顕在化するので、特公昭63−58354号公報や特開昭62−258472号公報等に記載されるように、マグネタイト(Fe3 O4 )に代表される磁性体微粒子をトナー粒子へ外添して改良することがよく行われる。
【0006】
しかし、表面層としてポリカーボネート樹脂を有する感光体ドラムに対して、これらのマグネタイト粒子は強固に付着しやすいので、得られる画像上にスポット状の欠陥となって現れ、画像を汚染するという問題が新たに発生することが判明した。これに関する有効な対策としては、現状ではさほど効果的な提案は見あたらず、実用上十分に満足する画質が得られない状態にあった。特に、50mm以下の小径の感光体ドラムとの組み合わせで画質を満足するような現像剤がないことは、感光体の小径化ひいては装置の小型化を行っていく上での制約となっていた。
【0007】
同様に、マグネタイトを用いた場合、感光体ドラムと対向する現像位置に配置される現像磁極と、周方向に複数の搬送磁極とを具備するマグネットローラの外側に、円筒状の回転体(以後現像スリーブと称する)を設けた磁性一成分現像法式においては現像スリーブに対してマグネタイト粒子が強固に付着するため現像スリーブ表面はマグネタイトにより汚染される。その結果、スリーブの現像剤搬送能力は低下し、現像剤の均一な層形成が困難となり、画像の均一性及び品質が劣悪になる。
【0008】
本発明は、上に記した現状に鑑み、その問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、装置の小型化が可能であり、かつ小型化によって引き起こされる画像品質上の問題がなく、具体的には、感光体感光層の膜減りが少ないために画像濃度低下がなく、文字の中抜け現象の発生がなく、葉書通紙等による感光体上への紙粉跡発生がなく、感光体への外添剤の付着による画像汚染に問題がなく、さらには、磁性一成分現像方式において良好な画像の均一性及び品質が得られる現像剤とこれを用いた画像形成法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる目的を達成すべく、小径の感光体ドラムでも良好な画質が得られる現像剤を目指して鋭意検討した結果、直径50mm以下の小径の感光体ドラムを用いた場合でも良好な画質が得られる現像剤を見いだし本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、少なくともバインダー樹脂、磁性酸化鉄、帯電制御剤を含有するトナー粒子、下記一般式(1)で表されるフェライト微粒子、及び流動性向上剤を含有することを特徴とする磁性一成分現像剤
一般式(1) [(MnO)x (FeO)1−x ]・Fe2 O3
(式中、xは0.01〜0.3の数値を表す)、及び、
直径が50mm以下である感光体ドラム上に形成される静電潜像を現像剤で現像する画像形成方法において、該現像剤が上記の磁性一成分現像剤であることを特徴とする画像形成方法に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の画像形成方法は、小径の感光体ドラムで特に有用である。本発明を構成する感光体ドラムとしては、たとえばセレン、ヒ素−セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコン等の無機系のものやジアゾ化合物、色素等の有機系のものが挙げられる。
【0011】
装置の小型化のためには、小径の感光体ドラムが望まれており、通常は直径50mm以下が採用され、より小径化を望む場合は40mm以下のサイズが採用され、さらには30mm以下のサイズの採用も提案されている。しかし、前述のように、従来の現像剤では感光体ドラムが小径になるに従って画像品質が劣悪となり、装置自体は小型化を達成するものの画像品質面では満足すべき結果は得られない。その点、本発明の画像形成方法によれば、いずれの小径ドラムの場合も良好な画像が得られるため、良好な性能の小型装置が実現可能である。また、小径化がより進めば従来技術との差が顕著に発現する。
【0012】
前記の感光体ドラムのうち、製造のしやすさ、電気的および光学的な性能、コスト、安全性等の面から、特に有機系の感光体ドラムが好適である。有機系の感光体ドラムの中でも、電荷発生層と電荷輸送層(表面層)とを有する積層型有機光導電性感光体ドラムであるのが特に好ましい。また、この表面層を構成するバインダ樹脂がポリカーボネート樹脂であるのが好適である。
【0013】
一方、トナーはバインダ樹脂、磁性酸化鉄、帯電制御剤、その他の物質等を溶融混練し、粉砕し、分級した微粉末であり、本発明に係わる現像剤は、トナー粒子に特定構造のフェライト微粒子と流動性向上剤を添加することから構成される。
前記トナー構成成分のうち、バインダ樹脂としては、トナーに適した公知の種々のものが使用できる。例えば、ポリスチレン、クロリポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体及びスチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単独重合体または共重合体)、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、キシレン樹脂並びにポリビニルブチラール樹脂等があるが、本発明に用いるのに特に好ましい樹脂としては、スチレン系樹脂、飽和もしくは不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂を挙げることができる。また、上記樹脂は単独で使用するに限らず、2種以上を併用することもできる。さらに、特公昭50−23354号公報、特開昭50−44836号公報等に記載される架橋系バインダ樹脂、あるいは特公昭55−6895号公報、特公昭63−32180号公報等に記載される非架橋系バインダ樹脂も使用できる。
【0014】
そして、該トナー用バインダ樹脂の軟化点は、フローテスタ法で測定した値が100〜160℃であるのが好ましい。軟化点が100℃未満の場合、定着での汚れ(いわゆる「ホットオフセット」現象)が発生し易く、160℃を越える場合は、定着強度が悪化する傾向にあるので好ましくない。また、バインダ樹脂のガラス転移温度は、示差熱分析装置で測定したときの転移温度(変曲点)が50℃以上であるのが好ましい。ガラス転移温度が50℃未満の場合、長期保管時の熱安定性が悪く、トナーの凝集や固化を招き使用上問題がある。
【0015】
磁性酸化鉄としては、公知のいずれのものであってもよい。例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の金属及びこれらの合金、Fe3 O4 、γ−Fe2 O3 、コバルト添加酸化鉄等の金属酸化物、MnZnフェライト、NiZnフェライト等の各種のフェライト、マグネタイト、ヘマタイト等が使用できる。そして該磁性酸化鉄の粒径は0.05〜1μm、形状は六面体、比表面積は5〜15m2 /gさらに好ましくは8〜11m2 /g、また、1kエルステッドの測定磁場における飽和磁化が85emu/g以下であるのが好ましい。磁性酸化鉄の含有量は、現像により黒色を着色するのに十分な量であればよく、例えば現像剤に対して20から70重量%とするのが好ましい。
【0016】
現像剤の帯電極性に関し、使用するバインダ樹脂の組成により帯電制御する方策も考えられるが、通常は各種公知の帯電制御剤を現像剤構成成分として添加することが行われる。
正帯電性トナーを得るための帯電制御剤としては、例えば、各種ニグロシン化合物、特公平1−54694号公報、特公平1−54695号公報、特公平1−54696号公報等に記載される4級アンモニウム塩化合物、特開昭51−455号公報、特公昭63−57787号公報、特公平2−501506号公報等に記載されるトリフェニルメタン化合物、特開平3−119364号公報、特開平3−202856号公報、特開平3−217851号公報等に記載されるイミダゾール誘導体やイミダゾール類の金属錯体等が挙げられる。この中でも、ニグロシン化合物、4級アンモニウム塩化合物及びトリフェニルメタン化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含有する正帯電性トナーであるのが好ましい。上記した帯電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法とがある。内添する場合、これら化合物の使用量は、前記バインダ樹脂100重量部に対して、通常0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部の範囲で用いられる。また、外添する場合は、樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましい。上記添加範囲内で、帯電制御剤の内添と外添を組み合わせて行ってもよい。
【0017】
この他、熱特性や物理特性を改良する目的でトナー中に内添しうる助剤としては、公知のものが使用可能であるが、例えば、ポリアルキレンワックス、パラフィンワックス、高級脂肪酸、脂肪酸アミド、金属石鹸等が挙げられる。その添加量は、バインダ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。
トナーの製造方法としては、上記の各成分を混合した後、ニーダー等で混練し、冷却後、粉砕し、分級すればよい。
【0018】
本発明に係わる現像剤は、トナー粒子とは独立に(いわゆる通常の外添剤として)、下記一般式(1)で表されるフェライト微粒子と流動性向上剤を含有することを特徴とする。
【0019】
一般式(1) [(MnO)x (FeO)1−x ]・Fe2 O3
(式中、xは0.01〜0.3の数値を表す)
xは好ましくは0.05〜0.3である。
【0020】
一般式(1)で表されるMn系フェライトの形状は、八面体状のものであるのが好ましい。その場合、八面体形状を損なわない範囲において公知の方法で粒子の角取り処理が施されてもよい。粒子径が八面体状でない場合、例えば、球状の場合は葉書通紙等による感光体上の紙粉跡を掻き取る研磨効果が少なく、針状の場合は、感光体及び現像スリーブに吸着し易い問題があり、いずれも画像の汚染が発生するので好ましくない。
【0021】
また、その平均粒子径は0.1〜1.0μmが好ましく、特には0.3〜0.7がより好ましい。粒子径が前記範囲より小さい場合は感光体に吸着しやすく、大きい場合には感光体に筋状の傷が発生し、いずれも画像汚染の原因となるので好ましくない。なお、平均粒子径の測定は、走査型電子顕微鏡観察により300個以上の粒子の粒度分布を計測して累積50%径として求めた。
【0022】
さらに、本発明に係わるフェライト微粒子は2kエルステッドの測定磁場における飽和磁化が85emu/g以下であるのが好ましい。飽和磁化が前記範囲より大きい場合には、連続実写等において、現像剤中で磁気吸引による微粒子同士の凝集を生じやすく、これらの凝集体は感光体上に現像された場合、感光体表面及び磁性一成分現像法式における現像スリーブに強固に吸着して致命的な画像汚染を引き起こす原因となるので好ましくない。一般に、本発明に係わるフェライト微粒子は同形状、同粒子径のマグネタイト(Fe3 O4 )微粒子に比較して低い飽和磁化の値を有し、これによって本質的に粒子同士の凝集が発生しにくくなるので、感光体表面および非磁性一成分現像方式における現像ローラへの吸着も相対的に緩和され画像汚染も抑制される傾向にある。なお、前記した飽和磁化の測定には市販のB−Hトレーサーを用いた。
【0023】
本発明においては流動性向上剤を併用して添加することが必須である。トナー粒子としての流動性が不足する場合はトナー粒子同士の凝集が激しくなるので、結果として磁性微粒子同士の凝集を招きやすく、これら凝集体の感光体への吸着を悪化させる。この現象は、特に、表面摺擦頻度の高い小径ドラムでは致命的な画像汚染を引き起こす原因となる。
【0024】
流動性向上剤としては、公知のいずれのものであってもよいが、特には酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物微粒子であるのが好ましい。これらの金属酸化物は平均一次粒子径が5〜100nmであるのがよく、各種の疎水化処理剤で疎水化処理されているのがよい。特には、ジメチルジクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーン化合物などで疎水化処理された酸化ケイ素微粒子であるのがより好ましい。
【0025】
これらの添加物微粒子の使用量は、トナー粒子100重量部に対し、一般式(1)で表されるフェライト微粒子が0.1〜5重量部および流動性向上剤が0.01〜2.0重量部含有されるのが好ましい。
トナーの平均粒径は5〜20μmが好適であり、本トナーを用いた画像形成方法は、感光体ドラムとトナーの荷電極性が異極性の場合の正規現像方法および同極性の反転現像方法のいずれにも適用可能である。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
なお、下記実施例および比較例中、単に「部」とあるのは、いずれも「重量部」を意味するものとする。
【0027】
実施例1
スチレン系樹脂 100部
(モノマー重量比:スチレン/n−ブチルアクリレート=82/18)
ニグロシン染料帯電制御剤 1部
(ボントロンN−04、オリエント化学社製)
磁性酸化鉄 90部
(EPT1000、戸田工業社製)
ポリプロピレン 4部
(NP505、三井石油化学工業社製)
【0028】
上記の各成分を混合、混練、粉砕し、分級して平均11μmの正帯電性の黒色トナーを得た。
このトナー100部に対して、[(MnO)0.1 (FeO)0.9 ]・Fe2 O3 で表されるフェライト微粒子(八面体形状、平均粒子径約0.5μm、飽和磁化81emu/g)を0.5部と疎水化処理二酸化ケイ素(商品名アエロジルR972、日本アエロジル社製、平均一次粒子径約16nm)0.3部とをヘンシェルミキサにて外添処理した。
【0029】
次に、この現像剤を用い、感光体ドラムとして表面層の樹脂がポリカーボネート樹脂である直径30mmの積層型有機光導電体を用いた市販の複写機の評価装置で実写テストを行った。実写テストに使用した補給用のトナーは、上記現像剤用に用いられたトナーと同一組成物のものである。実写環境は25℃、50%RHにて行った。
なお、実写方法としては、まず、官製葉書を200枚連続コピーして転写性の確認を行った後、通常のコピー用紙で9800枚の連続実写を行って耐久性を確認した(現像剤通算で10000枚)。
【0030】
その結果、画像中抜けやムラのない良好な画質を有するものであった。また、感光体上への葉書通紙による紙粉跡の発生も一切認められなかった。また、10000枚後の画像濃度も十分高くほとんど初期の状態と遜色がなかった。また、その他の画質も全く問題がなく、良好な耐久性を有することがわかった。さらに、トナー添加剤の付着による画像汚染も全く発生しなかった。なお、10000枚実写後の感光体ドラムの膜減りの状況ははなはだ軽微であり、実用上問題のないことがわかった。
【0031】
比較例1
実施例1で使用したフェライト微粒子の代わりにマグネタイト微粒子(形状、平均粒子径は実施例1のフェライト粉と同じ、飽和磁化が91emu/g)に変更した以外は、実施例1と全く同様にして現像剤を作製し、実写評価を行った。その結果、葉書通紙での画像中抜けや紙粉跡発生は見られなかったものの、連続実写の3000〜4000枚後に画像上にスポット状の画像欠陥が見られるようになり、実写枚数とともに欠陥の増加傾向が認められ、実用上問題のあることがわかった。その時の感光体上にはマグネタイト微粒子の付着が観察された。
【0032】
比較例2
実施例1で使用した疎水化処理二酸化ケイ素微粒子を添加しない以外は、実施例1と全く同様にして現像剤を作製し、実写評価を行った。
その結果、約5000枚前後に感光体、現像スリーブに対する磁性粉の付着による画像汚染、画質低下が見られるようになった。
【0033】
実施例2
実施例1において、実写評価用の装置として、感光体ドラムの表面層の樹脂がポリカーボネート樹脂である直径24mmの積層型有機光導電体を用いた市販複写機の改造機を用いる以外は、実施例1と全く同様にして評価を行った。
その結果、画像中抜けやムラがなく、感光体上への葉書通紙による紙粉跡の発生も見られなかった。また、10000枚後の画像濃度も十分高く、良好な耐久性を有することがわかった。さらに、感光体ドラム、現像スリーブに対するトナー添加剤の付着による画像汚染、画質低下も全く発生しなかった。
【0034】
実施例3
実施例1のトナー組成において、ニグロシン染料帯電制御剤を4級アンモニウム塩化合物(商品名ボントロンP51、オリエント化学社)に変更する以外は、以下実施例1と全く同様にして、トナーを作製し、実写評価を行った。
その結果、いずれの複写機でも、画像中抜けやムラがなく、感光体上への葉書通紙による紙粉跡の発生も見られなかった。また、10000枚後の画像濃度も十分高く、良好な耐久性を有することがわかった。さらに、感光体ドラム、現像スリーブに対するトナー添加剤の付着による画像汚染、画質低下も全く発生しなかった。
【0035】
実施例4
実施例1のトナー組成において、ニグロシン染料帯電制御剤をトリフェニルメタン化合物(COPY BLUE、ヘキスト社製)に変更する以外は、以下実施例1と全く同様にして、トナーを作製し、実写評価を行った。
その結果、いずれの複写機でも、画像中抜けやムラがなく、感光体上への葉書通紙による紙粉跡の発生も見られなかった。また、10000枚後の画像濃度も十分高く、良好な耐久性を有することがわかった。さらに、感光体ドラム、現像スリーブに対するトナー添加剤の付着による画像汚染、画質低下も全く発生しなかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明により、画質に起因する制約なしに装置の小型化、省スペース化が可能である。特に感光体ドラムを小径化した場合に発生しやすい問題を容易に改良でき、具体的には以下の効果を有するのでその工業的利用価値は大きい。
1.画像濃度の低下がない
2.画像中抜けの発生がない
3.葉書通紙等による紙粉跡の発生がない
4.感光体への外添剤付着による画像汚染がない
5.現像スリーブへの外添剤付着による画像の不均一性および品質低下がない
Claims (8)
- 少なくともバインダー樹脂、磁性酸化鉄、帯電制御剤を含有するトナー粒子、下記一般式(1)で表されるフェライト微粒子、及び流動性向上剤を含有することを特徴とする磁性一成分現像剤。
一般式(1) [(MnO)x (FeO)1−x ]・Fe2 O3
(式中、xは0.01〜0.3の数値を表す) - フェライト微粒子の粒子形状が八面体状であることを特徴とする特許請求項1に記載の磁性一成分現像剤。
- フェライト微粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μmであることを特徴とする特許請求項1又は2に記載の磁性一成分現像剤。
- フェライト微粒子の2kエルステッドの測定磁場における飽和磁化が85emu/g以下であることを特徴とする特許請求項1ないし3のいずれかに記載の磁性一成分現像剤。
- 帯電制御剤として4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン化合物及びトリフェニルメタン化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする特許請求項1ないし4のいずれかに記載の磁性一成分現像剤。
- 磁性酸化鉄を20から70重量%含有することを特徴とする特許請求項1ないし5のいずれかに記載の磁性一成分現像剤。
- 直径が50mm以下である感光体ドラム上に形成される静電潜像を現像剤で現像する画像形成方法において、該現像剤が特許請求項1ないし6のいずれかに記載の磁性一成分現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
- 感光体ドラムの直径が40mm以下であることを特徴とする特許請求項7に記載の画像形成方法。
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