JP3600875B2 - Ecrイオン源およびecrイオン源におけるイオン価数の制御方法 - Google Patents

Ecrイオン源およびecrイオン源におけるイオン価数の制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ECRイオン源およびECRイオン源におけるイオン価数の制御方法に関し、さらに詳細には、多価イオンを生成するECRイオン源およびECRイオン源におけるイオン価数の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のECRイオン源として、例えば、図1に示すようなECRイオン源が知られている。
【0003】
このECRイオン源100は、略円筒形状を備えた鉄ヨーク102と、鉄ヨーク102内において略円筒形状の軸線方向に左右に一対配設されたミラー磁界を発生させるミラー磁石としての略ドーナツ形状を備えたソレノイドコイル104a、104bと、ソレノイドコイル104aとソレノイドコイル104bとの間に配設されるとともに隣接したN極とS極とが交互に配置されてカプス磁界を発生させるカプス磁石としての六極磁石106と、ソレノイドコイル104a、104bと六極磁石106とにより取り囲まれて配設された略円筒形状を備えた真空槽よりなりプラズマを発生させるプラズマチャンバー108(プラズマチャンバー108内においては、ソレノイドコイル104a、104bによるミラー磁界と六極磁石106によるカプス磁界とにより形成された合成磁場によりプラズマが閉じこめられる。なお、プラズマチャンバー108内においてプラズマは、ソレノイドコイル104a、104bにより軸線方向に閉じこめられ、六極磁石106により径方向に閉じこめられるものである。)と、プラズマチャンバー108内に、例えば、CHやHeなどの材料ガスを供給するガス導入管110と、プラズマチャンバー108の略円筒形状の略中心軸線上に配設されるとともにマイクロ波をプラズマチャンバー108内に入射する導波管112と、プラズマチャンバー108内においてプラズマチャンバー108の略円筒形状の略中心軸線上に孔部114aを位置させるように配置された略ドーナツ形状を備えていてイオンを軸線方向に引き出すプラズマ電極114と、プラズマ電極114の孔部114aと同一軸線上に孔部116aを位置させるように配置された略円筒形状を備えた引き出し電極116とを有して構成されている。
【0004】
図2には、上記した従来のECRイオン源100のプラズマチャンバー108とプラズマ電極114と引き出し電極116との構成を中心にして示す要部概略構成説明図である。
【0005】
プラズマ電極114は、略ドーナツ形状の外周部位114bをプラズマチャンバー108の内壁面108aに固定することにより、プラズマチャンバー108内に不動状態で固定的に配設されており、プラズマチャンバー108内に閉じこめられたプラズマと接している。
【0006】
一方、引き出し電極116は、略円筒形状の軸線方向に移動自在となされており、任意の位置に可動することができる。なお、引き出し電極116の移動は、モーター(図示せず。)などを用いて自動的に制御するようにしてもよいし、あるいは、ユーザーが手動で適宜に位置決めするようにしてもよい。
【0007】
プラズマチャンバー108内に閉じこめられたプラズマとプラズマ電極114と引き出し電極116との位置関係は、プラズマチャンバー108内に閉じこめられたプラズマと引き出し電極116との間にプラズマ電極114が存在することになる。
【0008】
以上の構成において、プラズマチャンバー108内における、導波管112から入射されたマイクロ波の周期とソレノイドコイル104a、104bおよび六極磁石106によって形成される磁場によって回転運動する電子の周期(サイクロトロン周期)とが一致する場所たる電子サイクロトロン共鳴領域(ECRゾーン)において電子サイクロトロン共鳴(ECR)が起こり、マイクロ波のエネルギーが電子の運動エネルギーに変換される。これは、電子サイクロトロン共鳴加熱と称される。
【0009】
上記のようにして運動エネルギーの高くなった電子が原子やイオンに衝突して、それによって電離を行ってプラズマを生成する。この際に、電離を繰り返すことで、多価イオンが生成されることになる。
【0010】
ここで、ECRイオン源100のプラズマチャンバー108内において生成されたプラズマは、ソレノイドコイル104a、104bによるミラー磁界と六極磁石106によるカプス磁界とにより形成された合成磁場によって閉じこめられて密度を高めている。
【0011】
そして、ECRイオン源100においては、上記した合成磁場によって密度を高められたプラズマから、プラズマ電極114と引き出し電極116とによって形成される電場の作用によって、プラズマ電極114の孔部114aおよび引き出し電極116の孔部116aを通してプラズマチャンバー108の外部にイオンを引き出してイオンビームを発生する。
【0012】
しかしながら、従来のECRイオン源においては、プラズマ電極114の孔部114aおよび引き出し電極116の孔部116aを通ってプラズマチャンバー108の外部に引き出されるイオンビームについては、そのイオンの価数を制御することができなかったため、イオンの価数に対するイオンビーム強度の制御などを行うことができないという問題点があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したような従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プラズマ電極から引き出されるイオンの価数を制御することを可能とし、イオンの価数に対するイオンビーム強度の制御を行うことができるようにしたECRイオン源およびECRイオン源におけるイオン価数の制御方法を提供しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、プラズマチャンバー内に形成される電子サイクロトロン共鳴領域において生成されたプラズマをミラー磁石とカプス磁石との合成磁界で該プラズマチャンバー内に閉じこめ、該プラズマを閉じこめた該プラズマチャンバーから、プラズマ電極と引き出し電極とによって形成される電場の作用によってイオンを引き出すECRイオン源において、プラズマチャンバーの略中心軸線上に位置する孔部を有する略ドーナツ形状を備えていて、上記略ドーナツ形状の外周部位の上記プラズマチャンバーの内壁面に対する配設位置を、上記プラズマチャンバーの軸線方向に移動自在なプラズマ電極と、上記プラズマ電極の孔部と同一軸線上に位置させた孔部を有する上記軸線方向に移動自在な引き出し電極とを有し、上記プラズマ電極の上記外周部位の上記プラズマチャンバーの内壁面に対する配設位置を、上記プラズマチャンバーの軸線方向に移動することにより、上記プラズマ電極と電子サイクロトロン共鳴領域との間の距離を変更するようにしたものである。
【0015】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記プラズマ電極は、上記軸線方向に延長するアーム部を有し、上記アーム部を介して、上記プラズマ電極の上記外周部位の上記プラズマチャンバーの内壁面に対する配設位置を、上記プラズマチャンバーの軸線方向に移動するようにしたものである。
【0016】
従って、本発明のうちの請求項1または請求項2に記載の発明によれば、プラズマ電極とプラズマチャンバー内に生成されて閉じこめらたプラズマの生成中心との間の距離を変化することができ、当該距離を変化させることによりプラズマ電極から引き出されるイオンの価数を可変することが可能となって、当該距離の変化に伴いイオンの価数に対するイオンビーム強度の制御を行うことができるものである。
【0017】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、プラズマチャンバーの略中心軸線上に位置する孔部を有する略ドーナツ形状を備えていて、上記略ドーナツ形状の外周部位の上記プラズマチャンバーの内壁面に対する配設位置を、上記プラズマチャンバーの軸線方向に移動自在なプラズマ電極と、上記プラズマ電極の孔部と同一軸線上に位置させた孔部を有する上記軸線方向に移動自在な引き出し電極とを有し、上記プラズマチャンバー内に形成される電子サイクロトロン共鳴領域において生成されたプラズマをミラー磁石とカプス磁石との合成磁界で上記プラズマチャンバー内に閉じこめ、該プラズマを閉じこめた上記プラズマチャンバーから、上記プラズマ電極と上記引き出し電極とによって形成される電場の作用によってイオンを引き出すECRイオン源におけるイオン価数の制御方法であって、上記プラズマ電極の上記外周部位の上記プラズマチャンバーの内壁面に対する配設位置を上記プラズマチャンバーの軸線方向に移動して、上記プラズマ電極と電子サイクロトロン共鳴領域との間の距離を変更することにより、上記プラズマ電極から引き出されるイオンの価数を制御するようにしたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面に基づいて、本発明によるECRイオン源およびECRイオン源におけるイオン価数の制御方法の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
【0019】
図3には、本発明によるECRイオン源の図2に対応する要部概略構成説明図が示されている。
【0020】
なお、本発明によるECRイオン源は、従来のECRイオン源とは図3に示す構成のみ異なり、他の構成は従来のECRイオン源の構成と同様である。従って、この「発明の実施の形態」においては、「従来の技術」の項で示した従来のECRイオン源に関する詳細な説明ならびに図1を援用することとし、従来のECRイオン源の構成と同様な構成に関する詳細な説明は省略する。
【0021】
本発明によるECRイオン源においては、略ドーナツ形状を備えていてイオンを軸線方向に引き出すプラズマ電極14を備えており、このプラズマ電極14は、プラズマチャンバー108内においてプラズマチャンバー108の略円筒形状の略中心軸線上に孔部14aを位置させるようにして、プラズマチャンバー108内で軸線方向に移動自在に配設されている。
【0022】
また、引き出し電極116は、プラズマ電極14の孔部14aと同一軸線上に孔部116aを位置させるように配置されている。
【0023】
より詳細には、プラズマ電極14は、プラズマチャンバー108の内壁面108aに対して略ドーナツ形状の外周部位14bが摺動自在となるように配設されており、プラズマチャンバー108内に閉じこめられたプラズマと接している。
【0024】
ここで、プラズマ電極14には、軸方向に延長するアーム部15が形成されている。このアーム部15を介して外部の力がプラズマ電極14に作用して、プラズマ電極14はプラズマチャンバー108内の内壁面108a上を軸線方向に摺動して移動する。
【0025】
なお、アーム部15に対する外部からの力の作用は、モーター(図示せず。)などを用いて自動的に制御するようにしてもよいし、あるいは、ユーザーが手動で適宜に行うようにしてもよい。
【0026】
また、引き出し電極116は、従来のECRイオン源と同様に、略円筒形状の軸線方向に移動自在となされており、任意の位置に可動することができる。なお、引き出し電極116の移動は、モーター(図示せず。)などを用いて自動的に制御するようにしてもよいし、あるいは、ユーザーが手動で適宜に位置決めするようにしてもよい。
【0027】
プラズマチャンバー108内に閉じこめられたプラズマとプラズマ電極14と引き出し電極116との位置関係は、プラズマチャンバー108内に閉じこめられたプラズマと引き出し電極116との間にプラズマ電極14が存在することになる。
【0028】
以上の構成において、プラズマチャンバー108内における、導波管112から入射されたマイクロ波の周期とソレノイドコイル104a、104bおよび六極磁石106によって形成される磁場によって回転運動する電子のサイクロトロン周期とが一致する電子サイクロトロン共鳴領域において電子サイクロトロン共鳴が起こり、電子サイクロトロン共鳴加熱によりマイクロ波のエネルギーが電子の運動エネルギーに変換される。上記のようにして運動エネルギーの高くなった電子が原子やイオンに衝突して、それによって電離を行ってプラズマを生成し、こうした電離を繰り返すことでプラズマチャンバー108内に多価イオンが生成される。
【0029】
ここで、プラズマチャンバー108内において生成されたプラズマは、ソレノイドコイル104a、104bによるミラー磁界と六極磁石106によるカプス磁界とにより形成された合成磁場によって閉じこめられて密度を高めている。
【0030】
そして、上記した合成磁場によって密度を高められたプラズマから、プラズマ電極14と引き出し電極116とによって形成される電場の作用によって、プラズマ電極14の孔部14aおよび引き出し電極116の孔部116aを通してプラズマチャンバー108の外部にイオンを引き出してイオンビームを発生する。
【0031】
上記した本発明によるECRイオン源においては、アーム部15を介してプラズマ電極14をプラズマチャンバー108内で軸方向に移動して、プラズマ電極14と電子サイクロトロン共鳴領域との間の距離を変更することにより、プラズマ電極14から外部に引き出されるイオンの価数を制御することができるので、外部にイオンを引き出して発生するイオンビームに関して、イオンの価数に対するイオンビーム強度の制御を行うことが可能になる。
【0032】
ここで、本発明によるECRイオン源は、本願発明者による研究の成果として、当該研究の結果解明された以下の点に着目してなされたものである。
【0033】
即ち、プラズマ電極はイオンの引き出し口であり、そこでのプラズマの条件でイオンビームが決定される。
【0034】
こうした観点から、現在までにいくつかビーム引き出しに着目した実験が行われてきたが、イオンの価数ごとのプラズマ電極位置依存性や、引き出し口でのイオン飽和電流密度の変化に着目して実験を行った例は全く知られていない。
【0035】
ECRイオン源においては、電子サイクロトロン共鳴領域で電子にエネルギーが供給されてプラズマが生成されるので、イオン密度nと電子温度Tとが位置によって異なることが推測される。従って、プラズマ電極の位置を移動させると、引き出し口付近でのプラズマ状態が変化し、引き出されるイオンビーム強度が変化する可能性がある。さらに、プラズマ電極自体もプラズマに接しているため、プラズマの境界をつくっている。よって、プラズマ電極位置がプラズマ全体に影響を与えている可能性がある。
【0036】
本発明は、こうした点に着目したものであり、プラズマ電極14の位置を変えてイオンの価数に対するイオンビーム強度の違いを測定したところ、以下の実験結果に示すように、イオンの価数に対するイオンビーム強度の制御を行うことが可能であった。
【0037】
実験は図4に示すように、引き出し口径10mmφのプラズマ電極14の位置を変化させ(具体的には、配置位置Aと配置位置Bと配置位置Cとに変化させた。)、引き出されるイオンビーム強度を測定した。なお、実験は、Arビームについて行った。
【0038】
図5は、上記した実験の結果を示すグラフであり、プラズマ電極14の位置に対するイオンビームの強度の依存性を、7価、8価、9価および11価のイオンについてそれぞれ示している(図5(a)は7価イオンについて示し、図5(b)は8価イオンについて示し、図5(c)は9価イオンについて示し、図5(d)は11価イオンについて示している。)。
【0039】
なお、図5に示す実験結果の測定値は、イオンビーム強度が最大になるように各価数について個別に最適化を図ったものである。ただし、引き出し電圧は13.5kVで統一した。
【0040】
この図5に示す実験結果より、イオンの価数により最適なプラズマ電極14の位置があることがわかる。即ち、Arの9価に対しては配設位置Bの位置が最適であり、それよりも高い価数のものは電子サイクロトロン共鳴領域よりも遠い位置に最適な位置が存在し、それよりも低い価数のものは電子サイクロトロン共鳴領域よりも近い位置に最適な位置が存在する。
【0041】
つまり、プラズマ電極14が電子サイクロトロン共鳴領域に近いほど、低い価数のイオンを引き出すのに適している。
【0042】
なお、配設位置Cにおける8価のイオンビーム強度1.3emAは、従来から用いられている配設位置Aの1.5倍の値である。
【0043】
即ち、上記したように、イオンの価数に応じて最適なプラズマ電極14の位置が存在するものであり、プラズマ電極14の位置、即ち、プラズマ電極14と電子サイクロトロン共鳴領域との間の距離に応じてプラズマ電極から引き出されるイオンの価数が制御されるものと認められ、プラズマ電極14の位置が電子サイクロトロン共鳴領域に近づくほど、低いイオン価数のイオンビーム強度を増強するのに有利になり、高いイオン価数に対してはその逆となる。
【0044】
なお、上記した本発明のECRイオン源によるイオンビーム強度の増大に伴う実用上のメリットは、以下の通りである。
【0045】
(1)ビーム強度が増大すれば、イオンビームの照射時間を短くすることができる。即ち、イオンプランテーションなどのような、工業的に製品を生産するために必要な時間を短縮することができる。また、照射時間を短縮することにより、ECRイオン源を作動する際のコストを低減することができる。
【0046】
一方、実験などに用いる際においては、ビーム強度を増大することにより、同じ収量を得るための時間を短縮することができる。このため、単位時間当たりのの実験数を増加することができるようになる。
【0047】
(2)イオンを同じエネルギーに加速する場合には、イオンの価数が高いほど装置規模を小型化することができ、ひいてはコスト低減を図ることができる。
【0048】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(3)に示すように変形してもよい。
【0049】
(1)上記した実施の形態においては、プラズマチャンバー108の内壁面108aに対してプラズマ電極14の外周部位14bが摺動自在となるように配設することにより、プラズマ電極14と電子サイクロトロン共鳴領域との間の距離を変更可能としたが、これに限られるものではないことは勿論である。例えば、プラズマチャンバー108の内壁面108aに軸方向に延長する溝部を形成するとともに、プラズマ電極14の外周部位14bに当該溝部と嵌合する突出部を形成し、プラズマ電極14の当該突出部がプラズマチャンバー108の内壁面108aの当該溝部に沿って移動することにより、プラズマ電極14と電子サイクロトロン共鳴領域との間の距離を変更可能とするようにしてもよい。また、その逆に、プラズマチャンバー108の内壁面108aに軸方向に延長する突出部を形成するとともに、プラズマ電極14の外周部位14bに当該突出部と嵌合する切り欠き部を形成し、プラズマ電極14の当該切り欠き部がプラズマチャンバー108の内壁面108aの当該突出部に沿って移動することにより、プラズマ電極14と電子サイクロトロン共鳴領域との間の距離を変更可能とするようにしてもよい。
【0050】
(2)上記した実施の形態においては、アーム部15を介してプラズマ電極14をプラズマチャンバー108内で軸方向に移動するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。例えば、アーム部15を用いることなしに、ギアやリンクなどの伝達機構を介してプラズマ電極14をプラズマチャンバー108内で軸方向に移動するようにしもよい。
【0051】
(3)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(2)に示す変形例は、適宜に組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、プラズマ電極から引き出されるイオンの価数を制御することが可能となり、イオンの価数に対するイオンビーム強度の制御を行うことができるようになるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のECRイオン源を部分的に破断して示した概略断面構成説明図である。
【図2】従来のECRイオン源のプラズマチャンバーとプラズマ電極と引き出し電極との構成を中心にして示す要部概略構成説明図である。
【図3】本発明によるECRイオン源の図2に対応する要部概略構成説明図である。
【図4】本願発明者による実験の実験条件を示す説明図である。
【図5】本願発明者による実験の実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
14 プラズマ電極
14a 孔部
14b 外周部位
15 アーム部
100 ECRイオン源
102 鉄ヨーク
104a、104b ソレノイドコイル
106 六極磁石
108 プラズマチャンバー
108a 内壁面
110 ガス導入管
112 導波管
114 プラズマ電極
114a 孔部
114b 外周部位
116 引き出し電極
116a 孔部

Claims (3)

  1. プラズマチャンバー内に形成される電子サイクロトロン共鳴領域において生成されたプラズマをミラー磁石とカプス磁石との合成磁界で該プラズマチャンバー内に閉じこめ、該プラズマを閉じこめた該プラズマチャンバーから、プラズマ電極と引き出し電極とによって形成される電場の作用によってイオンを引き出すECRイオン源において、
    プラズマチャンバーの略中心軸線上に位置する孔部を有する略ドーナツ形状を備えていて、前記略ドーナツ形状の外周部位の前記プラズマチャンバーの内壁面に対する配設位置を、前記プラズマチャンバーの軸線方向に移動自在なプラズマ電極と、
    前記プラズマ電極の孔部と同一軸線上に位置させた孔部を有する前記軸線方向に移動自在な引き出し電極と
    を有し、
    前記プラズマ電極の前記外周部位の前記プラズマチャンバーの内壁面に対する配設位置を、前記プラズマチャンバーの軸線方向に移動することにより、前記プラズマ電極と電子サイクロトロン共鳴領域との間の距離を変更する
    ことを特徴とするECRイオン源。
  2. 請求項1に記載のECRイオン源において、
    前記プラズマ電極は、前記軸線方向に延長するアーム部を有し、
    前記アーム部を介して、前記プラズマ電極の前記外周部位の前記プラズマチャンバーの内壁面に対する配設位置を、前記プラズマチャンバーの軸線方向に移動する
    ことを特徴とするECRイオン源。
  3. プラズマチャンバーの略中心軸線上に位置する孔部を有する略ドーナツ形状を備えていて、前記略ドーナツ形状の外周部位の前記プラズマチャンバーの内壁面に対する配設位置を、前記プラズマチャンバーの軸線方向に移動自在なプラズマ電極と、前記プラズマ電極の孔部と同一軸線上に位置させた孔部を有する前記軸線方向に移動自在な引き出し電極とを有し、前記プラズマチャンバー内に形成される電子サイクロトロン共鳴領域において生成されたプラズマをミラー磁石とカプス磁石との合成磁界で前記プラズマチャンバー内に閉じこめ、該プラズマを閉じこめた前記プラズマチャンバーから、前記プラズマ電極と前記引き出し電極とによって形成される電場の作用によってイオンを引き出すECRイオン源におけるイオン価数の制御方法であって、
    前記プラズマ電極の前記外周部位の前記プラズマチャンバーの内壁面に対する配設位置を前記プラズマチャンバーの軸線方向に移動して、前記プラズマ電極と電子サイクロトロン共鳴領域との間の距離を変更することにより、前記プラズマ電極から引き出されるイオンの価数を制御する
    ことを特徴とするECRイオン源におけるイオン価数の制御方法。
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