JP3600389B2 - ポリエステル組成物、モノフィラメントおよび工業用織物 - Google Patents

ポリエステル組成物、モノフィラメントおよび工業用織物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐加水分解性と耐乾熱性に優れたポリエステル組成物、ポリエステルモノフィラメントおよび該ポリエステルモノフィラメントを用いた工業用織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは、優れた物性を有しているため、各種工業用部品、衣料用および工業用繊維材料、各種織物などに使用されてきた。例えばポリエステルモノフィラメントとして、抄紙ドライヤーキャンバス、抄紙ワイヤー、各種ブラシ、筆毛、印刷スクリーン用紗、釣り糸、ゴム補強用繊維材料などに広く用いられてきた。しかしながら、高温・多湿など加水分解されやすい条件下で使用される用途、例えば抄紙ドライヤーキャンバスの構成素材やタイヤコードとして使用した場合は、使用中にポリエステルモノフィラメントが加水分解劣化による強度低下を起こすため、長期間の使用に耐えることが困難であった。このため、このポリエステルモノフィラメントの欠点である耐加水分解性を向上するため種々の提案がなされてきた。
【0003】
例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリ−4−メチルペンテン1,ポリスチレンなどのポリオレフィンを特定量添加したポリエステルモノフィラメント(特開昭51−136923号公報)が知られているが、この技術で得られるモノフィラメント、例えばポリエチレンを添加したポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントは耐加水分解性向上効果が小さく実用的でない。また、カルボジイミド化合物を添加することによりポリエステルの耐加水分解性を向上せしめる方法が知られている。例えば、モノまたはビスカルボジイミド化合物を添加し、短時間で混練紡糸し未反応カルボジイミドを含有しないフィラメントを形成させる方法(特開昭50−95517号公報)、分子内に3個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物を添加する方法(特公昭38−15220号公報)、カルボキシル末端基がカルボジイミドとの反応でキャップされ、遊離のモノ及び/又はビスカルボジイミド化合物30〜200ppmと遊離のポリカルボジイミド又はなお反応性を有するポリカルボジイミド基を含む反応生成物を少なくとも0.02重量%含有するポリエステル繊維及びフィラメント(特開平4−289221号公報)が提案されている。また、本発明者等においても、特定のカルボジイミド化合物を未反応の状態で特定量残存させた抄紙キャンバス用ポリエステルモノフィラメント(特開昭56−121388号公報)、特定量のリンを含むポリエステルに特定のカルボジイミド化合物を添加する工業用ポリエステルモノフィラメントの製造方法(特開昭56−85704号公報)および末端カルボキシル基濃度が10当量/ポリエステル10g以下であって、カルボジイミド化合物を未反応の状態で0.005〜1.5重量%含有し、かつ弗素系重合体を0.01〜30重量%含有したポリエステルモノフィラメント(国際公開番号 WO 92/07126 号公報)、未反応のモノカルボジイミド化合物(A)を230ppm〜1.5重量%含有し、未反応のポリカルボジイミド化合物および/またはポリエステルのカルボキシル末端基と一部反応し、かつ未反応のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物(B)を0.05〜1.5重量%含有するポリエステルモノフィラメント(特開平7−216647号公報)および、ポリマ成分が、末端カルボキシル基濃度が10当量/10g以下のポリエステル(A)99.8〜60重量%と、フッ素原子を含有しない熱可塑性ポリマ(B)0.2〜40重量%からなり、該ポリマ成分が未反応の状態のカルボジイミド化合物(C)を0.005〜1.5重量%含有するポリエステルモノフィラメント(特開平7−258524号公報)を提案するなど種々の改善がなされてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した方法により耐加水分解性を改善したポリエステルモノフィラメントであっても、耐乾熱性の必要な用途、例えば抄紙ドライヤーの乾燥温度の高い工程におけるドライヤーキャンバスの構成素材として使用しようとしたり、紙の生産性を高める目的で乾燥温度を従来よりも高温化したドライパートに使用されるドライヤーキャンバスおよび湿紙の接触しない一層高温に曝される耳部の構成素材として使用しようとすると加水分解の他に、酸化分解による劣化が激しく使用が困難であるため、高価なPPSモノフィラメントの使用を余儀なくされていた。
【0005】
本発明は、上述した従来技術における問題点を解決するために検討した結果なされたものであり、従来のものより更に一層優れた耐加水分解性と耐酸化分解性(以下、耐乾熱性という)を有し、各種工業用部品および工業用繊維材料などとして有用なポリエステル組成物、ポリエステルモノフィラメントおよび該ポリエステルモノフィラメントを使用した抄紙用ドライヤーキャンバスなどの工業用織物の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した本発明の課題は、
1.ポリエステル(A)70〜99.8重量%、オレフィン系ポリマ(B)(好ましくは環状オレフィン系重合体、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン1)0.2〜30重量%を含有し、該(A)と(B)との合計100重量部に対して、未反応の状態のモノカルボジイミド化合物(C)0.01〜1.5重量部およびポリカルボジイミド化合物(D)0.05〜1.5重量部を含有するカルボキシル末端基濃度が10当量/10g以下のポリエステル組成物、該ポリエステル組成物からなるポリエステルモノフィラメント、ないしは該ポリエステルモノフィラメントを少なくとも一部に使用した抄紙ドライヤーカンバス等の工業用織物。
【0007】
〔ただし、ポリカルボジイミド化合物(D)は、該ポリカルボジイミド化合物中の未反応のカルボジイミド基(D1)と、ポリエステルのカルボキシル末端基および/またはヒドロキシル末端基とが一部反応しているカルボジイミド基(D2)との合計((D1)+(D2))で1分子中に5〜50個のカルボジイミド基を含有するアルキル置換芳香族ポリカルボジイミド化合物。〕
2.上記における環状オレフィン系ポリマ(B)が、下記の(C1)〜(C2)から選ばれた少なくとも一種の環状オレフィン系重合体である上記1項のポリエステル組成物、該ポリエステル組成物からなるポリエステルモノフィラメント、ないしは該ポリエステルモノフィラメントを少なくとも一部に使用した抄紙ドライヤーカンバス等の工業用織物。
【0008】
(C1)エチレンを主成分とする炭素数2以上のα−オレフィンと、下記一般式〔I〕または〔II〕で表される少なくとも1種の環状オレフィンとのランダム共重合体。
【0009】
【化7】
Figure 0003600389
(一般式〔I〕中の、nは0または1,mは0または正の整数、qは0または1,R〜R18およびRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表わし、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が2重結合を有していてもよく、またR15とR16またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
【化8】
Figure 0003600389
(上記一般式〔II〕中の、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1、または2であり、R〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、Rが結合している炭素原子とR13が結合している炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)
(C2)下記一般式〔III 〕または〔IV〕で表される少なくとも1種の環状オレフィンの開環重合体もしくは開環共重合体またはその水添物。
【0010】
【化9】
Figure 0003600389
[上記一般式〔III 〕中の、nは0または1,mは0または正の整数、qは0または1,R〜R18およびRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表わし、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が2重結合を有していてもよく、またR15とR16またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよく、またR16およびR17はそれぞれ独立に、下記式で示す基を表し、
【化10】
Figure 0003600389
(上記式中のR、R、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基または塩素あるいは臭素置換炭化水素基、WはSiRp D3−p (Rは炭素数1〜10の炭化水素基、Dは塩素原子、臭素原子または−OCOR(Rは炭素数1〜10の炭化水素基)p は0〜3の整数を示す。)、x は0〜10の整数を示す。)
またR16およびR17とから構成された下記式を表してもよい。
【0011】
【化11】
Figure 0003600389
(上記式中のRは炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)]
【化12】
Figure 0003600389
(上記一般式〔IV〕中の、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1、または2であり、R〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原糸、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、Rが結合している炭素原子とR13が結合している炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)
3.上記(A)〜(D)成分に加え、酸化防止剤(E)を0.01〜1重量部含有するポリエステル組成物、該ポリエステル組成物からなるポリエステルモノフィラメント、ないしは該ポリエステルモノフィラメントを少なくとも一部に使用した抄紙ドライヤーカンバス等の工業用織物によって達成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントのポリエステル(A)におけるポリエステル(以下、該ポリエステルという)は、ジカルボン酸と、グリコールからなるポリエステルである。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのジカルボン酸成分とグリコール成分とを適宜組み合わせて使用することができる。また、上記のジカルボン酸成分の一部を、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、スルホン酸金属塩置換イソフタル酸などで置き換えてもよく、また、上記のグリコール成分の一部をジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリアルキレングリコールなどで置き換えてもよい。更に、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、トリメシン酸、硼酸などの鎖分岐剤を少量併用することもできる。
【0013】
これらの内でも、ジカルボン酸成分の90モル%以上がテレフタル酸からなり、グリコール成分の90モル%がエチレングリコールからなる、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)が好適である。
【0014】
本発明の効果を効率よく発現させるために、ポリエステル中にリン化合物を、リン原子として50ppm 以下で、かつ下記の一般式の範囲内の量含有させることができる。
5×10−3≦P≦M+8×10−3
(式中のPはポリエステルを構成する二塩基酸に対するリン原子のモル%であり、Mはポリエステル樹脂中の金属で、周期律表II族、VII 族、VIII族でかつ第3,4周期の内より選択された1種もしくは2種以上の金属原子のポリエステルを構成する二塩基酸に対するモル%である。また、M=0であってもよい)。
【0015】
該ポリエステルには、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸、カーボンブラックなどの各種無機粒子や架橋高分子粒子、各種金属粒子などの粒子類のほか、従来公知の抗酸化剤、金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐光剤、包接化合物、帯電防止剤、各種着色剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤、各種強化繊維類などが添加されていてもよい。
【0016】
また、本発明で用いるポリエステルには、上記のポリエステルの2種類以上のブレンドポリマーが含まれるものであり、更には上記のポリエステル以外の樹脂、例えばポリアミド、ポリエステルアミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン樹脂、ポリアクリレート、およびフッ素樹脂などを必要に応じてブレンドしたものでもよい。
【0017】
該ポリエステルの極限粘度は、通常は0.6以上であればよいが、0.7以上であると、強度に優れるため好ましい。ここで極限粘度はオルソクロロフェノール溶液中25℃で測定した粘度より求めた極限粘度であり、〔η〕で表わされる。 本発明のポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントにおけるオレフィン系ポリマ(B)は、公知のオレフィン系モノマから重合したポリマであり具体的には、環状オレフィン系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン1、ポリブテン−1、ポリペンテン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等を挙げることができ、これらのポリマの少なくとも1種を単独または組み合わせて使用することができる。
【0018】
上記したオレフィン系ポリマの中でも、環状オレフィン系重合体、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン1が一層好ましく、とりわけ環状オレフィン系重合体を用いるのが好適である。
【0019】
環状オレフィン系重合体としては、下記(C1)〜(C2)のから選ばれた少なくとも1種の重合体を用いることができる。
【0020】
(C1)
エチレンを主成分とする炭素数2以上のα−オレフィンと、下記一般式〔I〕または〔II〕で表される少なくとも1種の環状オレフィンとのランダム共重合体
(以下、エチレン・環状オレフィンランダム共重合体という)。
【0021】
【化13】
Figure 0003600389
(一般式〔I〕中の、nは0または1,mは0または正の整数、qは0または1,R〜R18およびRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表わし、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が2重結合を有していてもよく、またR15とR16またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
【化14】
Figure 0003600389
(上記一般式〔II〕中の、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1、または2であり、R〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、Rが結合している炭素原子とR13が結合している炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)
該エチレン・環状オレフィンランダム共重合体を構成するところの、炭素数が2以上のα−オレフィンとしては、エチレン単独あるいは主成分であるエチレンの他に、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1− ブテン、3−メチル−1− ペンテン、3−エチル−1− ペンテン、4−メチル−1− ペンテン、4−メチル−1− ヘキセン、4,4−ジメチル−1− ヘキセン、4,4−ジメチル−1− ペンテン、4−エチル−1− ヘキセン、3−エチル−1− ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等を単独あるいは組み合わせてエチレンに少量混合して使用することができる。
【0022】
また、該エチレン・環状オレフィンランダム共重合体を構成するところの、上記一般式 〔I〕または〔II〕で表される環状オレフィンは次の化合物を挙げることができる。
【0023】
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6 .02,7 .09,14]−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペンタデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,15 .02,7 .011,16 ]−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,17 .02,7 .011,16 ]−5−エイコセン誘導体、 ヘプタシクロ[8.8.0.11,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ヘンエイコセン誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .03,8 .012,17 ]−5−ヘンエイコセン誘導体、 オクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7 .113,20 .115,18 .03,8 .02,10.012,21 .014,19 ]−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8 .114,21 .116,19 .02,11.04,9 .013,22 .015,20 ]−5−ヘキサコセン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物。
【0024】
更に、これらの具体的な化合物としては次のようなものを挙げることができる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5、6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどのビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体、および
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンおよび8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−イソブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ステアリルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、2、10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8、9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エチル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、2,7,9−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、9−エチル−2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、9−イソブチル−2、7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、9,11,12−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、9−エチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、9−イソブチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、5,8,9,10−テトラメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ブロモテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジクロロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンなどのテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン誘導体、および
ヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、および12−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン、1,6,10−トリメチル−12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセンなどのヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン誘導体、および
オクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、および15−メチルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン、15−エチルオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセンなどのオクタシクロ[8.8.0.12,9 .14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ドコセン誘導体、およびペンタシクロ[6.6.1.13,6 .02,7 .09,14]−4−ヘキサデセン、および1,3−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6 .02,7 .09,14]−4−ヘキサデセン、1,6−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6 .02,7 .09,14]−4−ヘキサデセン、15,16−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6 .02,7 .09,14]−4−ヘキサデセンなどのペンタシクロ[6.6.1.13,6 .02,7 .09,14]−4−ヘキサデセン誘導体、および
ヘプタシクロ[8.7.0.12,9 .14,7 .111,17 .03,8 .012,16 ]−5−エイコセン誘導体あるいはヘプタシクロ[8.7.0.12,9 .14,7 .111,17 .03,8 .012,16 ]−5−ヘンエイコセン誘導体、および
トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセンおよび2−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセン、5−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセンなどのトリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセンおよび2−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセン誘導体、および
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセンおよび10−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン誘導体、および
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセンおよび1,3−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、1,6−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、14,15−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセンなどのペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン誘導体、および
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]4,10−ペンタデカジエンなどのジエン化合物、および
ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペンタデセンおよびメチル置換ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペンタデセンなどの誘導体、および
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,15 .02,7 .011,16 ]−4−エイコセン、およびジメチル置換ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,15 .02,7 .011,16 ]−4−エイコセンなどの誘導体、および ノナシクロ[10.9.1.14,7 .113,20 .115,18 .03,8 .02,10.012,21 .014,19 ]−5−ペンタコセン、およびトリメチルノナシクロ[10.9.1.14,7 .113,20 .115,18 .03,8 .02,10.012,21 .014,19 ]−5−ペンタコセンなどの誘導体、および
ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、および11−メチルペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセンなどの誘導体、および
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ヘンエイコセン、および15−メチルヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ヘンエイコセンなどの誘導体、および
ノナシクロ[10.10.1.15,8 .114,21 .116,19 .02,11.04,9 .013,22 .015,20 ]−6−ヘキサコセンおよびその誘導体、および
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンおよび5−メチル−5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ビフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどの5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体、および
5−ベンジル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(β−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(α−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物のシクロペンタジエン付加物、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,14]−4−ヘキサデセン、11−フェニル−ヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−ヘプタデセン等を挙げることができる。
【0025】
さらに上記一般式〔I〕または〔II〕で表される環状オレフィンとして、上記の化合物の他に、例えば、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレン、2−メチル− 1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレン、2−エチル− 1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレン、2−プロピル− 1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル− 1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル− 1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレン、2−メチル−3− エチル− 1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレン、2−クロロ− 1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレン、2−ブロム− 1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ− 1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレン、2−シクロヘキシル− 1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレン、2−n−ブチル− 1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル− 1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a− オクタヒドロナフタレンなどのオクタヒドロナフタレン類および、ペンタシクロペンタデカジエン(以下、PCDEという)、ジシクロペンタジエン(以下、DCPという)などを挙げることができる。
【0026】
一般式〔I〕または〔II〕で表される環状オレフィンは、シクロペンタジエン類と対応するオレフィン類または環状オレフィン類とを、ディールス・アルダー反応により縮合させることにより得ることができる。
エチレン・環状オレフィンランダム共重合体の、エチレンを主成分とするα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合比率は特に制限はないが、通常は、エチレンを主成分とするα−オレフィン成分40〜80モル%、環状オレフィン成分20〜60モル%の範囲である。
【0027】
エチレン・環状オレフィンランダム共重合体は、通常は反応溶媒に対して可溶性のバナジウム化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて、溶媒中で反応させて得られる非晶性の重合体である。
【0028】
(C2)
下記一般式〔III 〕または〔IV〕で表される少なくとも1種の環状オレフィンの開環重合体もしくは開環共重合体またはその水添物(以下、環状オレフィンの開環重合体もしくは開環共重合体またはその水素添加物という)。
【0029】
【化15】
Figure 0003600389
[上記一般式〔III 〕中の、nは0または1,mは0または正の整数、qは0または1,R〜R18およびRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表わし、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が2重結合を有していてもよく、またR15とR16またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよく、またR16およびR17はそれぞれ独立に、下記式で示す基を表し、
【化16】
Figure 0003600389
(上記式中のR、R、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基または塩素あるいは臭素置換炭化水素基、WはSiRp D3−p (Rは炭素数1〜10の炭化水素基、Dは塩素原子、臭素原糸、−OCOR(Rは炭素数1〜10の炭化水素基)p は0〜3の整数を示す。)、x は0〜10の整数を示す。)またR16およびR17とから構成された下記式を表してもよい。
【0030】
【化17】
Figure 0003600389
(上記式中のRは炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)]
【化18】
Figure 0003600389
(上記一般式〔IV〕中の、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1、または2であり、R〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原糸、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、Rが結合している炭素原子とR13が結合している炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)
環状オレフィンの開環重合体もしくは開環共重合体またはその水添物を構成する上記一般式〔III 〕または〔IV〕で示される環状オレフィンとしては、上記したα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体を構成する環状オレフィン類に加えて、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−プロポキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソプロポキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−メチルプロポキシ)カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1,2−ジメチルエトキシ)カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(4´−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−プロポキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−イソプロポキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(2−メチルプロポキシ)カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(1,2−ジメチルエトキシ)カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(4´−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−(2−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−(1−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−(2,2−ジメチルエトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−(4´−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−(2−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−(1−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−(2.2−ジメチルエトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−シクロヘキシルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−(4´−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−シアノテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−シアノテトラシクロ[4.4.02,5 .17,10]ドデカ−3−エン等を挙げることができる。これらの環状オレフィンは単独あるいは組み合わせて用いることができる。
【0031】
環状オレフィンの開環重合体もしくは開環共重合体またはその水素添加物は、上記した環状オレフィン類を、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、インジウム、白金、タングステンなどの金属のハロゲン化物、これらの金属の硝酸塩、またはこれらの金属のアセチルアセトナートと、還元剤とからなる触媒および、チタン、パラジウム、ジルコニウム、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはこれらの金属のアセチルアセトナートと、有機アルミニウムとからなる触媒の存在下に重合させたものである。
【0032】
上記のエチレン・環状オレフィンランダム共重合体、環状オレフィン開環(共)重合体、環状オレフィン開環(共)重合体の水素添加物の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕は通常は0.01〜20dl/gであり、特に0.05〜10dl/g、さらには0.08〜8dl/gであることが好ましい。上記のエチレン・環状オレフィンランダム共重合体、環状オレフィン開環(共)重合体、環状オレフィン開環(共)重合体の水素添加物は市販品として、アペルTM(三井石油化学工業社製品)、ゼオネックスTM(日本ゼオン社製品)、アートンTM(日本合成ゴム社製品)などとして知られている。
【0033】
ポリエステル(A)とオレフィン系ポリマ(B)との合計100重量部中における該オレフィン系ポリマ(B)の配合量は、0.2〜30重量%である。
【0034】
オレフィン系ポリマ(B)が0.2重量%より少ないと十分な耐加水分解性と耐乾熱性を有するポリエステル組成物を得ることができない。また、同様に30重量部より多いとポリエステル組成物の強度が不足する。ポリエステル(A)とオレフィン系ポリマ(B)との合計100重量部中におけるオレフィン系ポリマ(B)が0.5〜20重量%以下であると更に好ましい。従って本発明のポリエステル組成物を構成するポリエステル(A)の配合量は、ポリエステル(A)とオレフィン系ポリマ(B)との合計の99.8重量%〜70重量%である。
【0035】
本発明のポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントは、末端カルボキシル基濃度が10当量/10g以下である。上記末端カルボキシル基濃度が5当量/10g以下であると更に好ましい。ここで本発明のポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントの末端カルボキシル基濃度の測定は、PohlによりANALYTICAL CHEMISTRY 第26巻、1614頁に記載された方法で測定したものであり、本発明のポリエステル組成物もしくはモノフィラメントからポリエステルだけを分析前に分離することなく、本発明のポリエステル組成物もしくはモノフィラメントそのものを分析に供して測定することができる。
【0036】
ポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントの末端カルボキシル基濃度が10当量/10gを越えると、ポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントの耐加水分解性が不十分となる。
【0037】
末端カルボキシル基濃度が10当量/10g以下のポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントを得るには、末端カルボキシル基濃度が10当量/10gより多いポリエステルを固相重合することで末端カルボキシル基濃度を10当量/10g以下にしてもよく、また、溶融状態のポリエステルにモノまたはジエポキシ化合物あるいはモノまたはビスオキサゾリン化合物あるいはカルボジイミド化合物を適量反応させてもよいが、本発明のポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントは未反応のモノカルボジイミド化合物(C)を0.01重量%以上含有するものであることから、カルボジイミド化合物を使用するのが有利である。
【0038】
本発明のポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントは未反応のモノカルボジイミド化合物(C)を0.01〜1.5重量部含有する。未反応のモノカルボジイミド化合物(C)が0.05〜1.2重量部であると更に好ましい。
【0039】
モノカルボジイミド化合物(C)の含有量が0.01重量部より少ないと耐加水分解性が低下するため好ましくない。また1.5重量部より多いとポリエステル組成物の物性、例えばポリエステルモノフィラメントの強度が低いものとなり好ましくない。
【0040】
ここで本発明にいうポリエステル組成物あるいはポリエステルモノフィラメント中の未反応の状態のカルボジイミド化合物の含有量は次の方法で測定したものである。
【0041】
(1)100mlメスフラスコに試料約200mgを秤取する。
(2)ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム(容量比1/1)2mlを加えて試料を溶解させる。
(3)試料が溶解したら、クロロホルム8mlを加える。
(4)アセトニトリル/クロロホルム(容量比9/1)を徐々に加えポリマを析出させながら100mlとする。
(5)試料溶液を目開き0.45μmのディスクフィルターで濾過し、HPLCで定量分析する。HPLC分析条件は次の通り。
カラム:Inertsil ODS−2 4.6mm×250mm
移動相:アセトニトリル/水(容量比94/6)
流 量:1.5ml/min.
試料量:20μl
検出器:UV(280nm)
本発明のポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントが含有する未反応のモノカルボジイミド化合物(C)としては、1分子中に1個のカルボジイミド基を有する化合物であればいかなるものでもよく、例えば、N,N´−ジ−o−トリイルカルボジイミド、N,N´−ジフェニルカルボジイミド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert. −ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−フェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−トリイルカルボジイミド等が挙げられる。これらのモノカルボジイミド化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択しポリエステルに含有させればよいが、ポリエステルに添加後の安定性から、芳香族骨格を有する化合物が有利な傾向にあり、中でもN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert. −ブチルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−o−トリイルカルボジイミドなどが有利な傾向にあり、特にN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(以下、TICという)が好適である。
【0042】
本発明のポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントはポリカルボジイミド化合物(D)を0.05〜1.5重量部含有する。
【0043】
ここで、ポリカルボジイミド化合物(D)は、該ポリカルボジイミド化合物中の未反応のカルボジイミド基(D1)とポリエステルのカルボキシル末端基および/またはヒドロキシル末端基と一部反応しているカルボジイミド基(D2)との合計((D1)+(D2))で1分子中に5〜50個のカルボジイミド基を含有するアルキル置換芳香族ポリカルボジイミド化合物である。
【0044】
該ポリカルボジイミド化合物(D)の含有量が0.05重量部より少ないと長期間高温高湿に曝された場合に必要な十分な耐乾熱性を得ることができない。一方1.5重量部より多い場合には、ポリエステルと溶融混練する際に、ポリエステルと架橋反応することで著しい粘度増加を起こし、成形性が低下したりポリエステルモノフィラメントの物性が低下したりするため好ましくない。該ポリカルボジイミド化合物(D)の含有量が0.1〜1.2重量部であると更に好ましい。 該ポリカルボジイミド化合物としては、アルキル置換フェニルカルボジイミドを繰り返し単位とするポリカルボジイミド化合物であり、カルボジイミド基に対して、フェニル基のオルトの位置がメチル基、エチル基、イソプロピル基またはt−ブチル基等のアルキル基、特に好ましくはイソプロピル基で置換されたもの、すなわち2,6−および/または2,4,6−位および/または2,3−位および/または2,5−位がイソプロピル基で置換されたフェニルカルボジイミドを繰り返し単位の主体とするポリカルボジイミド化合物が挙げられる。
【0045】
該ポリカルボジミド化合物1分子は、本発明のポリエステル組成物中もしくはモノフィラメント中で、該ポリカルボジイミド化合物中の未反応のカルボジイミド基(D1)とポリエステルのカルボキシル末端基および/またはヒドロキシル末端基と一部反応しているカルボジイミド基(D2)との合計((D1)+(D2))で5〜50個のカルボジイミド基を有するものである。
【0046】
該ポリカルボジミド化合物の平均分子量は2,000 〜16,000であり、好ましくは2,500 〜12,000の平均分子量を有するもが挙げられる。
【0047】
該ポリカルボジミド化合物(以下、PCDという)は市販品として、平均分子量3,000 のStabaxolTMP(バイエル社製品)、平均分子量10,000のStabaxolTMP100(バイエル社製品)を入手することができる。
【0048】
PCDは、ポリエステルまたはオレフィン系ポリマに予め高濃度に含有させたマスターバッチとして用いることができる。該マスタバッチはポリエチレンを1〜8重量%含有したものも、得られるポリエステル製品の耐加水分解性が一層良好となる傾向にあるため好ましく用いることができる。
【0049】
PCDを含有するPETマスターバッチは市販品として、平均分子量10,000のStabaxolTMP100を15重量%含有するStabaxolTMKE7646(バイエル社製品)、およびStabaxolTMP100を15重量%とポリエチレン4重量%とを含有するStabaxolTMKE9291(バイエル社製品)および平均分子量3,000 のStabaxolTMPを8重量%と平均分子量10,000のStabaxolTMP100を7重量%含有するStabaxolTMKE8059等を入手することができる。
【0050】
本発明のポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントは耐加水分解性および耐乾熱性以外の機能として防汚性(撥水・撥油性)を発現させる目的で公知の各種フッ素樹脂を含有することができる。
【0051】
また、本発明のポリエステル組成物およびポリエステルモノフィラメントが酸化防止剤を0.01〜1重量部含有すると耐乾熱性が一層優れたものとなる。
【0052】
配合することのできる酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール・ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール・ビス〔3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチレンビス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘシサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロキシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6 −トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン置換フェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−フェニルフェニル)−エチル〕−4,6−ジ−t−フェニルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート等を挙げることができる。
【0053】
本発明のポリエステル組成物の製造は、ポリエステル、オレフィン系ポリマ、モノカルボジイミド化合物およびPCDとの必要量を溶融混練し、任意の形状に成形することで得ることができる。
【0054】
モノカルボジイミド化合物はオレフィン系ポリマに予め高濃度に含有させたマスターバッチとして用いることができる。
【0055】
PCDとモノカルボジイミド化合物とはお互いに溶解させて使用することができる。
【0056】
本発明のポリエステル組成物の具体的な製造例としては、例えば、1軸もしくは2軸エクストルダに必要量のポリエステルペレットとオレフィン系ポリマ(B)ペレットおよび所定量のPCDを高濃度に含有したポリエステルマスタバッチとを計量供給し、エクストルダの入り口または、エクストルダのバレルの途中から液体状のモノカルボジイミド化合物を計量添加して溶融混練した後押し出し、必要に応じて冷却するなどして任意の形状に成形する方法(以下、製造方法1という)、または、1軸もしくは2軸エクストルダに必要量のポリエステルペレットおよびポリカルボジイミド化合物を高濃度に含有したオレフィン系ポリママスターペレットとを計量供給し、エクストルダの入り口または、エクストルダのバレルの途中から液体状のモノカルボジイミド化合物を計量添加して溶融混練した後押し出し、必要に応じて冷却するなどして任意の形状に成形する方法(以下、製造方法2という)、または、1軸もしくは2軸エクストルダに必要量のポリエステルペレットおよびオレフィン系ポリマペレットとを計量供給し、エクストルダの入り口または、エクストルダのバレルの途中から予め所定の濃度に溶融混合した液体状のモノカルボジイミド化合物とPCDとの混合物を計量供給して溶融混練した後押し出し、必要に応じて冷却するなどして任意の形状に成形する方法(以下、製造方法3という)、または、1軸もしくは2軸エクストルダに必要量のポリエステルペレット、オレフィン系ポリマペレット、粉末状PCDとを計量供給し、エクストルダの入り口または、エクストルダのバレルの途中から液体状のモノカルボジイミド化合物を計量添加して溶融混練した後押し出し、必要に応じて冷却するなどして任意の形状に成形する方法などを挙げることができる(以下、製造方法4という)。これらの方法のうちでは、前記製造方法1〜3が工業的に有利である。
【0057】
これらの一連の製造方法において、ポリエステル、オレフィン系ポリマ、モノカルボジイミド化合物およびPCDとを溶融混練する時の温度は、ポリエステルおよびオレフィン系ポリマの融点以上、290℃以下に調節することが有利であり、275℃〜285℃の範囲に調節するのが更に有利である。また、溶融してから吐出するまでの滞留時間は7分以下が有利であり、5分以下が更に有利である。溶融混練温度と溶融してから吐出するまでの滞留時間とを上記の範囲に調節することにより、耐乾熱性と耐加水分解性に優れた本発明のポリエステル組成物を好ましく製造することができる。
【0058】
かくして得られる本発明のポリエステル組成物は、耐加水分解性が従来より優れたものであり、高温高湿雰囲気下で使用される電気コネクター類、歯車あるいは軸受などの機械部品、各種構造部材などの樹脂成形品類またはモノフィラメントなどに好適に使用できる。
【0059】
本発明のポリエステルモノフィラメントの製造は、前記した、製造方法1〜4におけるエクストルダの先端部に設置したポリマ流線入替器、濾過層、などを経て紡糸口金より押し出し、冷却・延伸・熱セットを行うなどの方法で製造することができる。
【0060】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、1本の単糸からなる連続糸である。 該ポリエステル繊維およびモノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の形状(以下、断面形状もしくは断面という)は、円、扁平、正方形、半月状、三角形、5角以上の多角形、多葉状、ドッグボーン状、繭型などいかなる断面形状を有するものでもよい。本発明のモノフィラメントを工業用織物の構成素材として用いる場合には、該モノフィラメントの断面形状が円もしくは扁平の形状が好ましい。特に、該モノフィラメントが抄紙用ドライヤーキャンバスの経糸である場合には、防汚性を有効に発現させることと、キャンバスの平坦性という観点から該モノフィラメントの断面形状が扁平なものが好ましく用いられる。本発明における扁平とは、楕円、正方形もしくは長方形のことであるが、数学的に定義される正確な楕円、正方形もしくは長方形以外に、概ね楕円、正方形もしくは長方形に類似した形状、例えば正方形および長方形の4角を丸くした形状を含むものである。また、楕円の場合は、該楕円の中心で直角に交わる長軸の長さ(LD)と短軸の長さ(SD)とが次式を満足する関係にあり、正方形もしくは長方形の場合は、長方形の長辺の長さ(LD)と短辺の長さ(SD)とが次式を満足する関係にあることが好ましい。
【0061】
1.0≦LD/SD≦10
該モノフィラメント断面の重心を通る線分の長さは、用途によって適宜選択できるが、0.05〜2.5mmの範囲が好ましい。また、糸の必要強度は用途により異なるが、概ね3.0g/デニール以上であることが好ましい。
【0062】
本発明のポリエステル組成物はモノフィラメントの他に、マルチフィラメント、不織布、ステープルファイバーおよび綿状などの繊維状、コネクター、自動車ワイパーなどの成形物、ボトル、フィルム、シート等いかなる形状の物でもよく、各種工業用織物、電子部品、自動車部品、ボトル、フィルム、シート等に好ましく用いることができる。
【0063】
本発明の工業用織物とは、本発明のポリエステルモノフィラメントを織物の緯糸および/または経糸の少なくとも一部に使用した抄紙ドライヤーキャンバス、抄紙ワイヤー(紙漉き用の網)、サーマルボンド法不織布熱接着工程用ネットコンベア、乾燥機および熱処理機内搬送用ベルトもしくは各種フィルターのことであり、本発明のポリエステルモノフィラメントを工業用織物の少なくとも一部の構成素材として用いた工業用織物は、高温・高湿に曝された場合の耐久性が優れた有用なものである。
【0064】
ここで抄紙ワイヤーとは、平織、二重織および三重織など様々な織物として、紙の漉き上げ工程で使用される織物のことで長網あるいは丸網などとして用いられるものである。また、抄紙ドライヤーキャンバスとは、平織り、二重織および三重織など様々な織物(相前後する緯糸と緯糸とがスパイラル状の経糸用モノフィラメントによって織継がれたスパイラル状織物を含む)として、抄紙機のドライヤー内で紙を乾燥させるために使用される織物のことである。また、不織布の熱接着工程用ベルト布とは、不織布を構成する低融点のポリエチレンのような熱接着性繊維を融着させるために不織布を炉中に通過させるための織物であり、平織り、二重織、などの織物である。また、乾燥機および熱処理機内搬送用ベルトとは、各種半製品の乾燥、熱硬化、殺菌、加熱調理のなどのために高温ゾーン内において半製品を搬送する織物のことである。また、各種フィルターとは、高温の液体、気体、粉体等をろ過する織物のことである。
【0065】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例においては、本発明のポリエステル組成物の好ましい一形態例であるモノフィラメントおよび工業用織物の好ましい一形態例である抄紙ドライヤーキャンバスについて具体的に説明する。
【0066】
なお、以下の実施例における特性値は各実施例の中で特に記さない限り、次に示す方法によって測定したものである。
【0067】
1.モノフィラメントの引張試験
JIS L1013−1992に準拠して行なった。
(1)サンプルつかみ間隔 25cm
(2)引張速度 30cm/min.
(3)試験温度 20℃
2.モノフィラメントの耐加水分解性
モノフィラメントを100リットルのオートクレーブに入れ、121℃飽和水蒸気中で12日間、15日間、18日間、20日間処理した後、該処理後のモノフィラメントの強力を上記のモノフィラメントの引張試験により求め、処理前のモノフィラメントの強力と比較した強力保持率を耐加水分解性の尺度とした(以下、加水分解後の強力保持率という)。加水分解後の強力保持率が高いほど耐加水分解性が優れることを表す。
【0068】
3.モノフィラメントの耐乾熱性試験
モノフィラメントを熱風循環式耐熱性試験機に入れ、180℃加熱空気中で12日間、15日間、18日間処理した後、該処理後のモノフィラメントの強力を上記のモノフィラメントの引張試験により求め、処理前のモノフィラメントの強力と比較した強力保持率を耐乾熱性の尺度とした(以下、乾熱処理後の強力保持率という)。乾熱処理後の強力保持率が高いほど耐乾熱性が優れるこ
とを表す。
【0069】
実施例1
極限粘度0.94、末端カルボキシル基濃度15当量/10gのポリエチレンテレフタレート乾燥チップ(以下、 PETチップという)を用意した。
【0070】
オレフィン系ポリマ(B)として、エチレン・環状オレフィンランダム共重合体であるアペルTM6015(三井石油化学工業社製品。以下、APL6015 という)を用意した。
【0071】
モノカルボジイミド化合物として80℃で加熱溶融したTIC(以下、液体TICという)を用意した。
【0072】
PCDである、平均分子量10,000のStabaxolTMP100(1分子中に29個のカルボジイミド基を有する平均分子量10,000のPCD 。以下、P100という)を15重量%含有するPETマスターバッチStabaxolTMKE9291(以下、KE7646という)の乾燥チップを用意した。
【0073】
91.76重量部の PETチップ、5.0重量部のAPL6015 および4.0重量部(PET 3.4 重量部含有)のKE9291とを計量しながら、1軸エクストルダーのホッパーおよびホッパー下部のポリマ配管を経由して1軸エクストルダーに連続供給した。同時にホッパー下部のポリマ配管中の上記チップに1.3重量部の液体TICを計量しながら連続供給した。 PETチップ、APL6015 、KE9291および液体TICとを1軸エクストルダー内で約282℃で3分間混練した溶融ポリマをギアポンプを経て紡糸パック内の濾過層および流線入替器(米国ケミックス社の「スターティックミキサー」)を通して円形断面糸用紡糸口金より紡出した。紡出モノフィラメントを80℃の湯浴で冷却後、常法に従い合計5.0倍に延伸および熱セットを行ない、直径0.45mmの断面形状が円形のモノフィラメントを得た。
【0074】
該モノフィラメントの内容、該モノフィラメントから検出された該モノフィラメント中のポリエステル(A)10g当たりに換算したカルボキシル末端基濃度、該モノフィラメントから検出された未反応TIC濃度、該モノフィラメントの強度、耐加水分解性試験結果および耐乾熱性試験結果を表1、表2に示す。
【0075】
なお、表1におけるポリエステル(A)の量は、PETチップとPCDマスターバッチのPET成分との合計量である。従って表1におけるPCD量は、添加したマスターバッチ中のPCD量である。
【0076】
参考例
PETチップ以外は何も添加せずに実施例1と同様にして得たモノフィラメントの結果を参考例として表1、2に併示する。
【0077】
実施例2〜5、比較実施例1〜2
実施例1におけるポリエステル(A)、オレフィン系ポリマ(B)、未反応カルボジイミド(C)およびPCD(D)の量比を表1に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様に行なって得たモノフィラメントの内容と結果を表1、2に併示する。
表1,表2の結果から実施例1〜5の本発明のモノフィラメントは十分な強度と耐加水分解性および耐乾熱性を有する優れたものであることがわかる。
【0078】
実施例6〜9、比較実施例3〜4
実施例1におけるTICの添加量を表1に記載のとおり変更することにより未反応TICの含有量を表1に示すとうり変更した以外は実施例1と同様に行なって得たモノフィラメントの内容と結果を表1、2に併示する。
【0079】
表1,表2の結果から実施例6〜9の本発明のモノフィラメントは十分な強度と耐加水分解性および耐乾熱性を有する優れたものであることがわかる。
【0080】
実施例10〜13、比較実施例5〜6
実施例1におけるKE9291の添加量とPETチップの添加量を変更することでモノフィラメント中のPCD含有量を表1のとおり変更した以外は実施例1と同様に行なって得たモノフィラメントの内容と結果を表1、2に併示する。
【0081】
なお、比較実施例6の実験は、紡出ポリマが増粘し激しい太細斑状の糸になったためモノフィラメントのサンプリングを行なうことができなかった。
【0082】
表1,表2の結果から実施例10〜13の本発明のモノフィラメントは十分な強度と耐加水分解性および耐乾熱性を有する優れたものであることがわかる。
【0083】
実施例14
実施例1におけるAPL6015 を環状オレフィン開環(共)重合体の水素添加物であるゼオネックスTM(日本ゼオン社製品。以下、ZEONEXという)に変更した以外は実施例1と同様に行なって得たモノフィラメントの内容と結果を表1、2に併示する。
【0084】
表1,表2の結果から実施例14の本発明のモノフィラメントは十分な強度と耐加水分解性および耐乾熱性を有する優れたものであることがわかる。
【0085】
実施例15
実施例1におけるKE9291をKE7646に変更し、 PETチップの量を91.6重量部に変更した以外は実施例1と同様に行なって得たモノフィラメントの内容と結果を表1、2に併示する。
【0086】
表1,表2の結果から実施例15の本発明のモノフィラメントは十分な強度と耐加水分解性および耐乾熱性を有する優れたものであることがわかる。
【0087】
実施例16
実施例1における紡糸口金を長方形断面糸用の口金に変更した以外は実施例1と同様に行なって得た断面形状が長辺 0.56mm ×短辺 0.28mm の長方形断面(以下、扁平断面という)モノフィラメントの内容と結果を表1、2に併示する。
【0088】
表1,表2の結果から実施例15の本発明のモノフィラメントは十分な強度と耐加水分解性および耐乾熱性を有する優れたものであることがわかる。
【0089】
実施例17
実施例1におけるAPL6015 を、ポリプロピレン(以下、PPという)に変更した以外は実施例1と同様に行なって得たモノフィラメントの内容と結果を表1、2に併示する。
【0090】
表1,表2の結果から実施例15の本発明のモノフィラメントは十分な強度と耐加水分解性および耐乾熱性を有する優れたものであることがわかる。
【0091】
実施例18
実施例15におけるKE7646を平均分子量3,000 のStabaxolTMP(以下、S−P という)を8重量%と平均分子量10,000のStabaxolTMP100を7重量%含有するStabaxolTMKE8059(以下、KE8059という)に変更した以外は実施例1と同様に行なって得たモノフィラメントの内容と結果を表1、2に併示する。
【0092】
表1,表2の結果から実施例15の本発明のモノフィラメントは十分な強度と耐加水分解性および耐乾熱性を有する優れたものであることがわかる。
【0093】
実施例19、比較実施例7
実施例7における PETチップを極限粘度0.70、末端カルボキシル基濃度25当量/10gの PETチップに変更した(実施例19)、実施例7における PETチップを極限粘度0.71、末端カルボキシル基濃度29当量/10gの PETチップに変更した(比較実施例7)、以外は実施例7と同様に行なって得たモノフィラメントの内容と結果を表1、2に併示する。
【0094】
表1,表2の結果から実施例19の本発明のモノフィラメントは十分な強度と耐加水分解性および耐乾熱性を有する優れたものであることがわかる。
【0095】
実施例20
実施例1における原料に酸化防止剤であるペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(日本チバガイギー社製品、IRGANOXTM1010(以下、IR−1010 という))を0.1重量部添加した以外は実施例1と同様に行なって得たモノフィラメントの内容と結果を表1、2に併示する。
【0096】
表1,表2の結果から酸化防止剤含有することで実施例1のモノフィラメントよりも一層耐乾熱性が優れたものとなることがわかる。
【0097】
実施例21
実施例1におけるAPL6015 を、ポリ−4−メチルペンテン1(以下、PMPTという)に変更した以外は実施例1と同様に行なって得たモノフィラメントの内容と結果を表1、2に併示する。
【0098】
表1,表2の結果から実施例21の本発明のモノフィラメントは十分な強度と耐加水分解性および耐乾熱性を有する優れたものであることがわかる。
【0099】
実施例22
工業用織物の例として、実施例1で得た円形断面モノフィラメントを緯糸に使用し、実施例16で得た扁平断面糸を経糸に使用した平織物を作成した。該平織物を抄紙機のドライヤーでの使用時耐久性の促進試験条件である、121℃の飽和水蒸気中20日間処理を施した後、該平織物から緯糸と経糸を取り出して強力保持率を測定したところ、緯糸の強力保持率は57.2%であり、経糸の緯糸の強力保持率は56.7%であった。
【0100】
また、同様に作成した平織物を、180℃にコントロールした熱風循環式耐熱性試験機内で20日間処理した後、該平織物から緯糸と経糸を取り出して強力保持率を測定したところ、緯糸の強力保持率は53.6%であり、経糸の緯糸の強力保持率は52.9%であった。
【0101】
比較実施例8
比較のために比較実施例1で得た円形断面モノフィラメントを経糸および緯糸に使用した平織物を作成して、実施例20と同様に121℃の飽和水蒸気中20日間処理耐久性試験を行なったところ、緯糸の強力保持率は14.0%であり、経糸の緯糸の強力保持率は14.2%であった。
【0102】
また、同様に作成した平織物を、実施例20と同様に180℃熱風循環式耐熱性試験機内で20日間処理した後、該平織物から緯糸と経糸を取り出して強力保持率を測定したところ、緯糸の強力保持率は20.0%であり、経糸の緯糸の強力保持率は21.1%であった。
【0103】
実施例22および比較実施例8の結果から、本発明のモノフィラメントを使用した工業用檻物は耐加水分解性と耐乾熱性に優れているため、抄紙ドライヤーキャンバス、抄紙ワイヤー(紙漉き用の網)、サーマルボンド法不織布熱接着工程用ネットコンベア、乾燥機および熱処理機内搬送用ベルトもしくは各種フィルター等の構成素材として好適なものであることがわかる。
【0104】
【表1】
Figure 0003600389
【表2】
Figure 0003600389
【0105】
【発明の効果】
本発明のポリエステル組成物、およびモノフィラメントは、ポリエステル、オレフィン系ポリマ、未反応のものカルボジイミド化合物およびポリカルボジイミド化合物からなるため、優れた耐加水分解性と耐乾熱性を有し、本発明のポリエステル組成物からなるモノフィラメントを使用した抄紙ドライヤーキャンバス等の工業用織物は産業上利用価値の高い有用なものである。

Claims (11)

  1. ポリエステル(A)70〜99.8重量%、オレフィン系ポリマ(B) 0.2〜30重量%を含有し、該(A)と(B)との合計100重量部に対して、未反応の状態のモノカルボジイミド化合物(C)0.01〜1.5重量部およびポリカルボジイミド化合物(D)0.05〜1.5重量部を含有するカルボキシル末端基濃度が10当量/10 g以下のポリエステル組成物。
    [ただし、ポリカルボジイミド化合物(D)は、該ポリカルボジイミド化合物中の未反応のカルボジイミド基(D1)、ポリエステルのカルボキシル末端基および/またはヒドロキシル末端基とが一部反応しているカルボジイミド基(D2)との合計((D1)+(D2))で1分子中に5〜50個のカルボジイミド基を含有するアルキル置換芳香族ポリカルボジイミド化合物。]
  2. オレフィン系ポリマ(B)が、環状オレフィン系重合体、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン1から選ばれた少なくとも一種である請求項1記載のポリエステル組成物。
  3. 環状オレフィン系重合体が、下記の(C1)〜(C2)から選ばれた少なくとも一種の環状オレフィン系重合体である請求項2記載のポリエステル組成物。
    (C1)エチレンを主成分とする炭素数2以上のα−オレフィンと、下記一般式〔I〕または〔II〕で表される少なくとも1種の環状オレフィンとのランダム共重合体。
    Figure 0003600389
    (一般式〔I〕中の、nは0または1,mは0または正の整数、qは0または1,R1 〜R18およびRa およびRb は、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表わし、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が2重結合を有していてもよく、またR15とR16またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
    Figure 0003600389
    (上記一般式〔II〕中の、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1、または2であり、R1 〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、R9 が結合している炭素原子とR13が結合している炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)
    (C2)下記一般式〔III 〕または〔IV〕で表される少なくとも1種の環状オレフィンの開環重合体もしくは開環共重合体またはその水添物。
    Figure 0003600389
    [上記一般式〔III 〕中の、nは0または1,mは0または正の整数、qは0または1,R1 〜R18およびRa およびRb は、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または基を表わし、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が2重結合を有していてもよく、またR15とR16またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよく、またR16およびR17はそれぞれ独立に、下記式で示す基を表し、
    Figure 0003600389
    (上記式中のRc 、Rd 、Re は炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基または塩素あるいは臭素置換炭化水素基、WはSiRg p D3−p (Rg は炭素数1〜10の炭化水素基、Dは塩素原子、臭素原子または−OCORh (Rh は炭素数1〜10の炭化水素基)p は0〜3の整数を示す。)、x は0〜10の整数を示す。)
    またR16およびR17とから構成された下記式を表してもよい。
    Figure 0003600389
    (上記式中のRf は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)]
    Figure 0003600389
    (上記一般式〔IV〕中の、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1、または2であり、R1 〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子、臭素原糸、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびアルコキシ基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、R9 が結合している炭素原子とR13が結合している炭素原子またはR10が結合している炭素原子とR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)
  4. ポリエステル(A)がポリエチレンテレフタレートである請求項1〜3項のいずれか1項記載のポリエステル組成物。
  5. モノカルボジイミド化合物(C)がN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドである請求項1〜4項のいずれか1項記載のポリエステル組成物。
  6. ポリカルボジイミド化合物(D)が、カルボジイミド基に対して、フェニル基のオルトの位置がイソプロピル基で置換された芳香族ポリカルボジイミド化合物である請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエステル組成物。
  7. 酸化防止剤(E)を0.01〜1重量部含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のポリエステル組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載のポリエステル組成物からなるポリエステルモノフィラメント。
  9. モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の形状が円もしくは扁平である請求項8記載のポリエステルモノフィラメント。
  10. 織物を構成する緯糸または経糸の少なくとも一部に、請求項8もしくは請求項9のいずれか1項記載のポリエステルモノフィラメントを使用した工業用織物。
  11. 工業用織物が、抄紙ドライヤーキャンバス、抄紙ワイヤー、サーマルボンド法不織布熱接着工程用ネットコンベア、乾燥機および熱処理機内搬送用ベルトもしくはフィルターである請求項10記載の工業用織物。
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