図1は、本発明の一実施形態に係る平面型表面伝導型電子放出素子を構成した電子源基板の一例を示す模式図で、図1(A)はその平面図、図1(B)は図1(A)のB−B線断面図で、図中、1は基板、2,3は素子電極、4は導電性薄膜、5は電子放出部である。本発明の表面伝導型電子放出素子の基本的な構成は平面型であり、ここでは簡略化して、1つの平面型表面伝導型電子放出素子の構成を模式的に示しているが、実際には、後述するように、このような平面型表面伝導型電子放出素子がマトリックス配置された素子群として構成される。
基板1としては、石英ガラス,Na等の不純物含有量を低減させたガラス,青板ガラス,SiO2を表面に堆積させたガラス基板およびアルミナ等のセラミックス基板等を用いることができる。素子電極2,3の材料としては、一般的な導電材料を用いることができ、例えば、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,Pd等の金属あるいは合金,Pd,As,Ag,Au,RuO2,Pd−Ag等の金属あるいは金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、In2O3−SnO2等の透明導電体、ポリシリコン等の半導体材料等から適宜選択される。
素子電極2,3間の間隔Lは、好ましくは数千Åないし数百μmの範囲であり、より好ましくは素子電極2,3間に印加する電圧等を考慮して1μmないし200μmの範囲である。素子電極2,3の長さWは、電極の抵抗値および電子放出特性を考慮して、数μmないし数百μmであり、また、素子電極2,3の膜厚dは、100Åないし1μmの範囲である。なお、本発明は図1に示した構成に限らず、基板1上に導電性薄膜4、素子電極2,3の電極を順に形成させた構成にしてもよい。
図2は、図1に示した平面型表面伝導型電子放出素子の製造方法を説明するための図で、図2(A)は基板1に素子電極2,3を形成した図、図2(B)は素子電極2,3に導電性薄膜4を形成した図、図2(C)は該導電性薄膜4に電子放出部5を形成した図を示す。導電性薄膜4としては、良好な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜が特に好ましく、その膜厚は素子電極2,3へのステップカバレージ、素子電極2,3間の抵抗値および後述する通電フォーミング条件等によって適宜設定されるが、好ましくは、数Åないし数千Åで、特に好ましくは、10Åないし500Åである。またその抵抗値は、Rsが10の2乗ないし10の7乗Ωの値である。なお、Rsは厚さがt、幅がwで長さが1の薄膜の抵抗Rを、R=Rs(1/w)とおいたときに現われる値で、薄膜材料の抵抗率をρとするとRs=ρ/tで表される。ここでは、フォーミング処理について通電処理を例に挙げて説明するが、フォーミング処理はこれに限られるものではなく、膜に亀裂を生じさせて高抵抗状態を形成する方法であればいかなる方法を用いても良い。
導電性薄膜4を構成する材料としては、Pd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、PdO,SnO2,In2O3,PbO,Sb2O3等の酸化物、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6,YB4,GdB4等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC等の炭化物、TiN,ZrN,HfN等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等の中から適宜選択される。
ここで述べる微粒子膜とは複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あるいは重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体として島状を形成している場合も含む)をとっている。微粒子の粒径は、数Åないし1μmであり、好ましくは10Åないし200Åである。
以下、本発明の一実施形態に係る表面伝導型電子放出素子を形成した電子源基板の製造装置について述べる。
図3は、本発明の一実施形態に係る電子源基板の製造装置の一例を示すための図で、図中、11は吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)、12はキャリッジ、13は基板保持台、14は平面型表面伝導型電子放出素子群を形成する基板、15は導電性薄膜の材料を含有する溶液の供給チューブ、16は信号供給ケーブル、17は噴射ヘッドコントロールボックス、18はキャリッジ12のX方向スキャンモータ、19はキャリッジ12のY方向スキャンモータ、20はコンピュータ、21はコントロールボックス、22(22X1,22Y1,22X2,22Y2)は、基板位置決め/保持手段である。
図3に示す構成は、基板保持台13に置かれた基板14の前面を噴射ヘッド11がキャリッジ走査により移動し、導電性薄膜材料を含有する溶液を噴射付与する例を示すものである。噴射ヘッド11は、任意の液滴を定量吐出できるものであれば如何なる機構でも良く、特に数10ng程度の液滴を形成できるインクジェット方式の機構が望ましい。インクジェット方式としては、圧電素子を用いたピエゾジェット方式、ヒータの熱エネルギを利用して気泡を発生させるバブルインクジェット方式、あるいは荷電制御方式(連続流方式)等いずれのものでも構わない。
図4は、本発明の電子源基板の製造装置に係る液滴付与装置の構成の一例を説明するための概略図で、図5は、図4の液滴付与装置の吐出ヘッドユニットの要部概略構成図である。図4の構成は、図3の構成と異なり、基板14側を移動させて電子放出素子群を基板に形成するものである。図4及び図5において、2,3は素子電極、14は基板、30は吐出ヘッドユニット、31はヘッドアライメント制御機構、32は検出光学系、33はインクジェットヘッド、34はヘッドアライメント微動機構、35は制御コンピュータ、36は画像識別機構、37はXY方向走査機構、38は位置検出機構、39は位置補正制御機構、40はインクジェットヘッド駆動・制御機構、41は光軸、42は液滴、43は液滴着弾位置である。
吐出ヘッドユニット30の液滴付与装置(インクジェットヘッド33)としては、図3の場合と同様に、インクジェット方式の機構が望ましく、圧電素子を用いたピエゾジェット方式、ヒータの熱エネルギを利用して気泡を発生させるバブルインクジェット方式、あるいは荷電制御方式(連続流方式)等いずれのものでも構わない。
以下に上記のごとく基板14側を移動させる装置の構成を説明する。まず図4において、XY方向走査機構37の上に基板14が載置してある。基板14上の表面伝導型電子放出素子は図1のものと同じ構成であり、単素子としては図1に示したものと同様、基板1、素子電極2,3及び導電性薄膜(微粒子膜)4よりなっている。この基板14の上方に液滴を付与する吐出ヘッドユニット30が位置している。本例では、吐出ヘッドユニット30は固定で、基板14がXY方向走査機構37により任意の位置に移動することで吐出ヘッドユニット30と基板14との相対移動が実現される。
次に図5により吐出ヘッドユニット30の構成を説明する。検出光学系32は、電子源基板10上の画像情報を取り込むもので、液滴42を吐出させるインクジェットヘッド33に近接し、検出光学系32の光軸41および焦点位置と、インクジェットヘッド33による液滴42の着弾位置43とが一致するよう配置されている。この場合、検出光学系32とインクジェットヘッド33との位置関係はヘッドアライメント微動機構34とヘッドアライメント制御機構31により精密に調整できるようになっている。また、ここでは検出光学系32としてCCDカメラとレンズとを用いている。
再度図4に戻って説明する。画像識別機構36は、先の検出光学系32で取り込まれた画像情報を識別するもので、画像のコントラストを2値化し、2値化した特定コントラスト部分の重心位置を算出する機能を有したものである。具体的には(株)キーエンス製の高精度画像認識装置;VX−4210を用いることができる。これによって得られた画像情報に基板14上における位置情報を与える手段が位置検出機構38である。これには、XY方向走査機構37に設けられたリニアエンコーダ等の測長器を利用することができる。また、これらの画像情報と基板14上での位置情報をもとに、位置補正を行なうのが位置補正制御機構39であり、この機構によりXY方向走査機構37の動きに補正が加えられる。また、インクジェットヘッド駆動・制御機構40によってインクジェットヘッド33が駆動され、液滴が基板14上に塗布される。これまで述べた各制御機構は、制御コンピュータ35により集中制御される。
なお、以上の説明は、吐出ヘッドユニット30は固定で、基板14がXY方向走査機構37により任意の位置に移動することで吐出ヘッドユニット30と基板14との相対移動を実現しているが、図3に示すように、基板14を固定とし、吐出ヘッドユニット30がXY方向に走査するような構成としてもよいことはいうまでもない。特に200mm×200mm程度の中画面〜2000mm×2000mmあるいはそれ以上の大画面の画像形成装置の製造に適用する場合には、後者のように基板14を固定とし、吐出ヘッドユニット30が直交するX,Yの2方向に走査するようにし、溶液の液滴の付与をこのような直交する2方向に順次行うようにする構成としたほうがよい。
基板サイズが200mm×200mm程度以下の場合には、液滴付与のための吐出ヘッドユニットを200mmの範囲をカバーできるラージアレイマルチノズルタイプとし、吐出ヘッドユニットと基板の相対移動を直交する2方向(X方向,Y方向)に行うことなく、1方向のみ(例えばX方向のみ)に相対移動させることも可能であり、また量産性も高くすることができるが、基板サイズが200mm×200mm以上の場合には、そのような200mmの範囲をカバーできるラージアレイマルチノズルタイプの吐出ヘッドユニットを製作することは技術的/コスト的に実現困難であり、上述のごとく吐出ヘッドユニット30が直交するX,Yの2方向に走査するようにし、溶液の液滴の付与をこのような直交する2方向に順次行うようにする構成としたほうがよい。
液滴42の材料には、先に述べた導電性薄膜となる元素あるいは化合物を含有する水溶液、有機溶剤等を用いることができる。例えば、導電性薄膜となる元素あるいは化合物がパラジウム系の例を以下に示すと、酢酸パラジウム−エタノールアミン錯体(PA−ME),酢酸パラジウム−ジエタノール錯体(PA−DE),酢酸パラジウム−トリエタノールアミン錯体(PA−TE),酢酸パラジウム−ブチルエタノールアミン錯体(PA−BE),酢酸パラジウム−ジメチルエタノールアミン錯体(PA−DME)等のエタノールアミン系錯体を含んだ水溶液、また、パラジウム−グリシン錯体(Pd−Gly),パラジウム−β−アラニン錯体(Pd−β−Ala),パラジウム−DL−アラニン錯体(pd−DL−Ala)等のアミン酸系錯体を含んだ水溶液、さらには酢酸パラジウム・ビス・ジ・プロピルアミン錯体の酢酸ブチル溶液等が挙げられる。
こうした液滴42を吐出ヘッドユニット30のインクジェットヘッド33により所望の素子電極部に付与する際には、付与すべき位置を検出光学系32と画像識別機構36とで計測し、その計測データ,インクジェットヘッド33の吐出口面と基板14の距離,両者の相対移動速度に基づいて補正座標を生成し、この補正座標通りに基板14とインクジェットヘッド33とを相対移動せしめながら液滴を付与する。検出光学系32としては、CCDカメラ等とレンズを組み合わせたものを用い、画像識別機構36としては、市販のもので画像を2値化しその重心位置を求めるもの等を用いることができる。
以上の説明より明らかなように本発明の電子源基板は、導電性薄膜となる元素あるいは化合物を含有する溶液をインクジェットの原理で空中を飛翔させ、基板上に液滴として付与して製作されるものである。
前述の図5(B)では、素子電極2,3の間に液滴42を1滴付着させるようなイメージを示し、電子放出部も丸いイメージで示した(すなわち液滴着弾位置43として丸いイメージを示した。)。つまりそれほど精度を要求しないような電子放出素子を形成するのであれば、素子電極2,3の間に大きな1滴の液滴により大きな1つのドットでこの電子放出部を形成すればよい。たとえば、素子電極2,3の距離が5〜10mmであり、1滴によるドット径もΦ8〜15mm程度の場合には、1滴付着させて電子放出部を形成すればよい。この場合、それほど高精度の電子放出素子は望めないが、単に電子放出ができればよいという程度のものであればこの方が効率よく電子放出素子を形成できる(図6参照)。
しかしながら、より高精度の電子放出素子を形成するには、この電子放出部は複数滴によって形成し、その輪郭がなめらかになるように形成すればよい。
図6は、電子放出素子部を1滴の液滴で形成する例を説明するための模式的平面図、図7は、本発明により形成する平面型表面伝導型電子放出素子のドットパターンの例を示す模式的平面図である。1つの好適な例をあげると、前述の素子電極2,3の距離は140μmである。そして1滴だけ単独に付着させた場合のドット径を約Φ180μmとする(図6)。次に4滴の液滴をこの素子電極2,3の140μm間を埋めるパターンを形成するように打ち込むようにする(図7)。図7で示した例では、4滴のドットパターン44を重ねて付着させた場合の1つのドット径は約Φ45μmとなる。
つまり、生産性あるいは目的とする電子放出素子の精度によって、大きな1滴だけによってこの素子電極2,3の間を埋める、あるいは小さな複数滴(この場合4滴)の液滴により高精度なパターンを形成するかを、適宜選べばよい。なおこのような液滴およびドットを形成するための具体的な条件を以下に示す。
使用した溶液は、酢酸パラジウム−トリエタノールアミン水溶液であり、以下のようにして製造したものである。すなわち150gの酢酸パラジウムを3000ccのイソプロピルアルコールに懸濁させ、さらに610.5gのトリエタノールアミンを加え35℃で12時間攪拌した。反応終了後、イソプロピルアルコールを蒸発により除去し、固形物にエチルアルコールを加えて溶解、濾過し、濾液から酢酸パラジウム−トリエタノールアミンを再結晶させて得た。このようにして得た酢酸パラジウム−トリエタノールアミン4gを96gの純水に溶解し、溶液とした(4.0wt%)。
また使用した噴射ヘッドは、エッジシュータ型のサーマルインクジェット方式と同等の構造(ただしインクではなく、上記溶液を使用)とした。図7に示したような1つのドット径が約Φ45μmとなるようにした場合の噴射ヘッドは、ノズル径はΦ25μm、発熱体サイズは25μm×90μm(抵抗値121Ω)で、駆動電圧を22.6V、パルス幅を6μs、駆動周波数を10kHzで駆動し、1滴形成のエネルギを約25.3μJとし、その時の液滴の噴射速度は約7m/sであった。
なお、以上の溶液および噴射の条件は、素子電極2,3の距離が140μmであり、そこに4滴付着させる場合の一例であり、本発明はこの条件に限定されるものではない。例えば、図8は同様に素子電極2,3の距離が140μmであるが、6滴×2列=12滴付着させて電子放出素子を形成する場合である。この例ではドット径は約Φ22μmである。この場合、使用する噴射ヘッドはノズル径が、Φ14μmのものが使用され、またそれに対応して、発熱体サイズは14μm×60μm(抵抗値102Ω)としたものであり、駆動電圧を11.5V、パルス幅を4μs、駆動周波数を16kHzで駆動し、1滴形成のエネルギを約5.2μJとして液滴を噴射させた。そしてその時の液滴の噴射速度は約6m/sであった。
また素子電極2,3の距離も140μmに限定されるものではなく、より高精細な画像表示装置を製作するには電子源基板の電子放出素子も高密度に配列させる必要があり、例えば素子電極2,3の距離が50μmであるような場合もある。その場合も使用する噴射ヘッドは、上記のようなノズル径がΦ14μmのものおよび発熱体サイズ,駆動条件等もそれに準じて適宜選ばれる。
つまり本発明では、素子電極2,3の距離および要求される電子放出素子の精度に応じ、付着させる液滴数は、1〜30滴程度まで適宜選択し、最適な条件で電子放出素子を形成するものであり、特別な条件に限定されるものではない。なお、付着させる液滴数は使用する噴射ヘッドのノズル径にも依存するが、最大30滴程度にとどめておくことが、生産性の面から望ましい(より微小な滴をより多く付着させることも可能であるが、生産性が低下しコスト面で不利になる。)。
図9は、効率的なドット形成を行うための噴射ヘッドの一例を示す図で、図9(A)は組み立てられた噴射ヘッドを示す図、図9(B)は図9(A)の噴射ヘッドの分解図、図9(C)は図9(B)に示す蓋基板を上下反転して示す図である。本発明に使用する噴射ヘッドについて図9を用いて説明する。ここでは噴射ヘッドのノズル数を4個とした例を示している。図9中、51は発熱体基板、52は蓋基板、50は発熱体基板51と蓋基板52とを接合させることにより形成された噴射ヘッド(インクジェットヘッド)、53は発熱体基板51の作成に用いるシリコン基板、54は個別電極、55は共通電極、56は発熱体、57は溶液流入口、58はノズル、59は溝部、60は凹部領域である。発熱体基板51は、シリコン基板53上にウエハプロセスによって個別電極54と共通電極55とエネルギ作用部である発熱体56とを形成することによって構成されている。
一方、蓋基板52には、導電性薄膜となる元素あるいは化合物を含有する溶液が導入される流路を形成するための溝59と、流路に導入される前記溶液を収容する共通液室(図示せず)を形成するための凹部領域60とが形成されており、これらの発熱体基板51と蓋基板52とを図9に示すように接合させることにより、前記流路及び前記共通液室が形成される。なお、発熱体基板51と蓋基板52とを接合させた状態においては、前記流路の底面部に発熱体56が位置し、流路の端部にはこれらの流路に導入された溶液の一部を液滴として吐出させるためのノズル58が形成されている。また、蓋基板52には、供給手段(図示せず)によって前記供給液室内に溶液を供給するための溶液流入口57が形成されている。
この例では4ノズルの噴射ヘッドを示しているが、このようなマルチノズル型の噴射ヘッドを用いると大変効率的に電子放出素子を形成することができる。なおこの例では4ノズルの噴射ヘッドを示しているが、必ずしも4ノズルに限定されるものではなく、ノズル数が多ければ多いほど電子放出素子の形成が効率的になることはいうまでもない。ただし、単純に多くすればよいということではなく、多くすれば噴射ヘッドも高価になり、また噴射ノズルの目詰まりによる確率も高くなるので、それらも考慮し装置全体のバランス(装置コストと電子放出素子の製造効率のバランス)を考えて決められる。
またノズル数だけではなく、ノズル列配列長さ(噴射ヘッドの有効噴射幅)についても、同様の考えが必要である。すなわち、単純にノズル列配列長さ(噴射ヘッドの有効噴射幅)を多くすればよいということではなく、これも装置全体のバランス(装置コストと電子放出素子の製造効率のバランス)を考えて決められる。
一例をあげると本発明では、マルチノズルのノズル列配列長さ(噴射ヘッドの有効噴射幅)は、素子電極2,3間距離と同等もしくはそれより大となるようにノズルの数及びその配列密度を決めている。ただしここで、それより大となるようにするというのは、無制限に大ということではなく、素子電極2,3間距離より少し大ということである。つまり本発明の基本的な考え方は、素子電極2,3間距離と同等のノズル列配列長さ(噴射ヘッドの有効噴射幅)を確保した噴射ヘッドとすることにより、噴射ヘッドのコストを最小限におさえ、かつ素子電極2,3間距離と同等のノズル列配列長さ(噴射ヘッドの有効噴射幅)とすることにより、効率的に電子放出素子を製作しようというものである。
より具体的な数値を、上記のように4滴の液滴を素子電極2,3の140μm間を埋めるパターンを形成するように打ち込む場合で説明する。この場合、本発明では、図9に示した4ノズルのノズル列配列長さ(噴射ヘッドの有効噴射幅、言い換えるならば、両端ノズル間距離)は、約127μm(素子電極2,3の140μm間とほぼ同等の長さとみなせる)とされ、各ノズル間距離は約42.3μmとしている。つまりこの場合、噴射ヘッドとして、いわゆるインクジェットプリンタでいうところの600dpi(dot per inch)相当のノズル配列密度をもつものを使用している。
なお、以上は図9に示した4ノズルの噴射ヘッドで説明したが、各ノズル間距離が約42.3μmの6ノズルの噴射ヘッドとすることも考えられる。この場合、6ノズルのノズル列配列長さ(噴射ヘッドの有効噴射幅、言い換えるならば、両端ノズル間距離)は、約212μm(素子電極2,3の140μm間より大とみなせる)とされ、素子電極2,3間距離をノズル列配列長さが余裕をもってカバーし、効率的に電子放出素子を製造することができる。
図10ないし図12は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る電子源基板及びその製造方法を説明するための模式的平面図である。
図10に示す実施例は、表面伝導型電子放出素子群が形成される領域よりも外側に、溶液による噴射付与パターンを形成したもので、電子源基板10は、図示のように、基板10上に配置された複数対の素子電極2,3と、各対の素子電極2,3間に噴射付与され形成された導電性薄膜4とを有する表面伝導型電子放出素子群を形成した電子源基板であって、前記噴射付与される領域は、前記表面伝導型電子放出素子群が形成される領域よりも広くしている。
電子源基板10は、特に、基板10上に配置された複数対の素子電極2,3と、各対の素子電極2,3間に噴射付与され形成された導電性薄膜4とを有する表面伝導型電子放出素子群を形成した電子源基板であって、前記表面伝導型電子放出素子群が形成されている領域X,Yの外側Xa,Xb,Ya,Ybに、噴射付与された溶液の液滴による、当該電子源基板10を基板ごと若しくは複数の基板群ごとに区別可能となるパターンが形成されている。
また、その製造方法は、基板10上に複数対の素子電極2,3を配置し、各対の素子電極2,3間に導電性薄膜4の材料を含有した溶液の液滴を噴射付与して前記導電性薄膜4による表面伝導型電子放出素子群を形成する電子源基板の製造方法であって、前記表面伝導型電子放出素子群が形成されている領域X,Yの外側Xa,Xb,Ya,Ybに溶液の液滴を噴射付与することにより、当該電子源基板の製造方法により製造された電子源基板10を基板ごと若しくは複数の基板群ごとに区別可能とするパターンを形成するようにしたものである。
図10(A)は電子源基板の電子放出素子の配列及び噴射付与パターンを示す図、図10(B)は図10(A)に示す1対の電子放出素子の拡大図、図10(C)は噴射ヘッドのノズル配列を示す図で、図中、58は噴射ヘッドのノズルである。
図3,図4を用いて前述したように、本発明では、噴射ヘッドは基板14(電子源基板10)と相対移動を行いながら、液滴を付与して、電子放出素子群を形成する。図10は、電子源基板10に形成された素子電極2,3及びその素子電極2,3間に縦方向(副走査方向)に4滴の液滴付与によって形成された電子放出素子群を示すとともに、噴射ヘッドをノズル面から見た図で示している。横方向はここでは主走査方向と定義する。
説明を簡略化するために、今ここでは、噴射ヘッドと基板14(電子源基板10)の相対移動を図3の場合のように基板14の前面に置かれ、キャリッジ搭載された噴射ヘッドが主走査方向ならびに副走査方向に移動しながら液滴を付与して、電子放出素子群を形成する場合の例で説明する。
前述のように図10では、素子電極2,3間に縦方向(副走査方向)に4滴の液滴付与によって形成された電子放出素子群を示しているが、本発明ではこのような基板14(電子源基板10)に電子放出素子群を形成するだけではなく、それ以外のパターンも同様の噴射ヘッドを利用して形成しようとするものである。
そのため図10に示したように、領域X,領域Yはそれぞれ主走査方向ならびに副走査方向の電子放出素子群形成領域であるが、それら以外に領域Xa,領域Xb,領域Ya,領域Ybという具合に、電子放出素子群形成領域の外側にも少しスペースを設け、キャリッジ搭載された噴射ヘッドが主走査方向ならびに副走査方向に移動しながら液滴を付与する場合も、これら領域Xa,領域Xb,領域Ya,領域Ybまでもキャリッジ走査が可能であるようにし、さらにそれらの領域においても、電子放出素子群を形成するために噴射する溶液と同じ溶液を噴射付与できるような電子源基板製造方法及び装置としている。また使用する基板14(電子源基板10)も電子放出素子群を形成するだけではなく、電子放出素子群形成領域の外側にも少しスペースを設けたような基板としている。
上述のごとき電子源基板製造装置、該製造装置に用いる製造方法、及び基板とすることにより、噴射ヘッドは単に電子放出素子群を形成するためのパターン形成だけではなく、それ以外のパターン形成も行うことが可能となる。例えば、各基板ごとに他の基板と区別するためのパターン形成なども行うことができる。より具体的な一例として、図10では基板区別用パターンとして“123”と示したが、製造番号や製造年月日などを噴射ヘッドによって1枚1枚の基板に形成することができる。なおいうまでもないが、このような数字,文字に限らず、1枚1枚を区別する、もしくは複数枚ずつを区別するためものであれば、記号,図柄のようなものでもよい。
通常このような製造番号などは、完成した部品ユニットに銘板を貼ったり、刻印したりしているが、本発明のように非常に高精度で、清浄度が要求されるような部品ユニット(電子源放出基板)の製造においては、後で銘板を貼ったり、刻印したりといった工程がはいると、その作業時の汚染あるいは空気中の塵埃等による汚染によって、電子源放出基板の本来の性能が維持できなくなることがある。しかしながら本発明では、電子放出素子群を形成する際に同時にこのような製造番号などを付与できるので、電子放出素子群を形成する環境と同じ環境(通常、クラス100〜1000程度のクリーンルーム)を維持したままこのような工程(製造番号などの付与工程)を行うことができるので、製造される電子源基板は汚染等の問題もなく、非常に高性能な電子源基板が製造できる。また、従来のように後から別の装置で刻印したりする必要もないため、非常に効率がよく製造コストも下げることができる。
図11は、本発明に係る電子源基板及びその製造方法を説明するための模式的平面図で、本実施例は、表面伝導型電子放出素子群が形成される領域よりも外側に、性能チェックのためのパターンを形成したもので、電子源基板10は、図示のように、基板10上に配置された複数対の素子電極2,3と、各対の素子電極2,3間に噴射付与され形成された導電性薄膜4とを有する表面伝導型電子放出素子群を形成した電子源基板であって、前記表面伝導型電子放出素子群が形成されている領域X,Yの外側Xa,Xb,Ya,Ybに、1対若しくは複数対の素子電極2,3を配置するとともに、各対の素子電極2,3間に前記導電性薄膜4による他の表面伝導型の電子放出素子若しくは電子放出素子群を、前記表面伝導型電子放出素子群の性能チェックのために形成したものである。
その製造方法は、基板10上に複数対の素子電極2,3を配置し、各対の素子電極2,3間に導電性薄膜4の材料を含有した溶液の液滴を噴射付与して前記導電性薄膜4による表面伝導型電子放出素子群を形成する電子源基板の製造方法であって、前記表面伝導型電子放出素子群が形成されている領域X,Yの外側Xa,Xb,Ya,Ybに、1対若しくは複数対の素子電極2,3を配置するとともに、各対の素子電極2,3間に前記導電性薄膜4の材料を含有する溶液の液滴を噴射付与することにより、前記表面伝導型電子放出素子群の性能チェックのための他の表面伝導型の電子放出素子若しくは電子放出素子群を形成するようにしたものである。
図11は前述の図10と同様に、素子電極2,3間に縦方向(副走査方向)に4滴の液滴付与によって形成された電子放出素子群を示しているが、本発明は、電子放出素子群形成領域である領域X,領域Y以外の領域Xa,領域Xb,領域Ya,領域Yb、つまり電子放出素子群形成領域の外側にも少しスペースを設け、そこにも、同様な複数対の素子電極を形成するとともに、その素子電極間に導電性薄膜の材料を含有する溶液の液滴を噴射付与することにより、電子放出素子と同様の素子電極及び導電性薄膜のパターンを形成したもので、図示の実施例は、4ヵ所に前記素子電極及び導電性薄膜のパターンを設けたものを示している。
上述のごとく電子放出素子群形成領域の外側に電子放出素子と同様の素子電極及び導電性薄膜のパターンを形成する理由は、後述のフォーミング処理によって、電子放出部を形成した際の素子の機能等のチェックをこのパターンを使って行うためである。形成された電子放出素子を全数チェックすれば確実ではあるが、それには非常に時間がかかり、コスト的に大変高いものとなってしまう。しかしながら本発明では、このようなチェック専用のパターンを設け、素子の全数チェックを行うのではなく、このパターンを用いてチェックを行うので、短時間にチェックが終了する。チェックするものは、例えば通電フォーミング処理終了後のパターンの電極間に電圧印加した場合に流れる電流である。
なおこの例では、チェック用のパターンも電子放出素子群と同じ素子の例として説明したが、必ずしも全く同じにする必要はなく、チェック専用のパターンとして、簡略化した形状のパターンであっても良い。
またその数も必ずしも4個にする必要はない。ただし、ある1ヵ所のみにチェックパターンを形成してチェックするよりは、この例のように4隅にそのようなチェックパターンを形成しておいてチェックした方が、大面積の基板の性能チェックには有利である。特に200mm×200mm程度より小さい電子源基板の場合は1ヵ所でもよいが、それより大きいものに関しては、広範囲にわたる基板全体の一定の品質を確保するうえで、複数個のチェック用パターンを分散して配置することが望ましい。なぜなら、そもそもこのようなチェックパターンを設けるのは、広範囲に製作した複数個の素子が、場所によらず均一にできているかどうかをチェックする目的があるからである。
以上の説明より明らかなように、本発明の電子源基板は、基板上の複数対の各素子電極間に導電性薄膜の材料を含有する溶液の液滴を噴射付与され製造されるが、電子源基板は表面伝導型電子放出素子群が形成される領域よりも少し大きく構成され、その領域の外側にも、このような溶液の液滴を噴射付与し、いろいろなパターンを形成可能とした基板であり、またそれを製造する方法及び装置も、その領域の外側にも溶液の液滴噴射付与ができるようにした製造方法及び装置である。そしてこのように導電性薄膜の材料を含有する溶液の液滴を噴射付与した後、本発明では以下に説明するようなフォーミング処理によって、電子放出部5を形成する(図1,図2参照)。
電子放出部5は、導電性薄膜4の一部に形成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性薄膜4の膜厚,膜質,材料等、あるいはフォーミング処理条件等に依存したものとなる。電子放出部5の内部には、1000Å以下の粒径の導電性微粒子を含む場合もある。この導電性微粒子は、導電性薄膜4を構成する材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するものとなる。電子放出部5及びその近傍の導電性薄膜4には、炭素あるいは炭素化合物を含む場合もある。
この導電性薄膜4に施すフォーミング処理方法の一例として、通電処理による方法を説明する。素子電極2,3間に、不図示の電源を用いて通電を行うと、導電性薄膜4の部位に構造の変化した電子放出部5が形成される。すなわち、通電フォーミングによれば導電性薄膜4に局所的に破壊,変形もしくは変質等の構造変化した部位が形成され、この部位が電子放出部5となる。
図13は、本発明に適用する上記のごとくの通電フォーミング処理の電圧波形の例を示す図である。電圧波形は特にパルス波形が好ましく、パルス波高値が一定の電圧パルスを連続的に印加する場合(図13(A))と、パルス波高値を増加させながら、電圧パルスを印加する場合(図13(B))とがある。まずパルス波高値が一定電圧とした場合(図13(A))について説明する。
図13(A)におけるT1及びT2はそれぞれ電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1μs〜10ms、T2を10μs〜100msとし、三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)を表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適宜選択する。このような条件のもと、例えば、数秒ないし数十分間電圧を印加する。また、パルス波形は三角波に限定されるものではなく、矩形波など所望の波形を用いても良い。
図13(B)におけるT1及びT2は、図13(A)に示したものと同様にそれぞれ電圧波形のパルス幅とパルス間隔を示し、三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステップ程度ずつ増加させることができる。
通電フォーミング処理の終了は、パルス間隔T2中に、導電性薄膜4を局所的に破壊、変形しない程度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができる。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる素子電流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示した時に通電フォーミングを終了させる。
通電フォーミングを終了した素子には、活性化工程と呼ぶ処理を施すことが望ましい。活性化処理を施すことにより、素子電流If、放出電流Ieが著しく変化する。
活性化工程は、例えば有機物質のガスを含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パルスの印加を繰り返すことで行うことができる。上記の雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用いて真空容器内を廃棄した場合に雰囲気内に残留する有機ガスを利用して形成することができる他、イオンポンプなどにより一旦十分に排気した真空中に適当な有機物質のガスを導入することによっても得られる。このときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため場合に応じ適宜設定される。
上記の有機物質としては、アルカン,アルケン,アルキンの脂肪族炭化水素類,芳香族炭化水素類,アルコール類,アルデヒド類,ケトン類,アミン類,フェノール,カルボン酸,スルホン酸等の有機酸類等が好ましく、具体的には、メタン,エタン,プロパンなどCnH2n+2で表される飽和炭化水素,エチレン,プロピレンなどCnH2n等の組成式で表される不飽和炭化水素,ベンゼン,トルエン,メタノール,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,アセトン,メチルエチルケトン,メチルアミン,エチルアミン,フェノール,蟻酸,酢酸,プロピオン酸等が使用できる。この処理により雰囲気中に存在する有機物質から炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆積し、素子電流If,放出電流Ieが著しく変化する。活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと放出電流Ieを測定しながら行う。なおパルス幅,パルス間隔,パルス波高値などは適宜設定される。
炭素あるいは炭素化合物とは、グラファイト(単結晶,多結晶の両者を指す),非晶質カーボン(非晶質カーボン及び非晶質カーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を含むカーボン)であり、その膜厚は500Å以下にするのが好ましく、より好ましくは300Å以下である。
こうして作成した電子放出素子は、安定化処理を行うことが好ましい。この処理は真空容器内の有機物質の分圧が、1×10-8Torr以下、望ましくは1×10-10Torr以下で行うのが良い。真空容器内の圧力は、10-6〜10-7Torr以下が好ましく、特に1×10-8Torr以下が好ましい。真空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることができる。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全体を過熱して真空容器内壁や電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。このときの加熱した状態での真空排気条件は、80〜200℃で5時間以上が望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成などの諸条件により変化する。
なお、上記有機物質の分圧は、質量分析装置により質量数が10〜200の炭素と水素を主成分とする有機分子の分圧を測定し、それらの分圧を積算することにより求められる。安定化工程を経た後、駆動時の雰囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ましいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な特性を維持することができる。このような真空雰囲気を採用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、結果として素子電流If,放出電流Ieが安定する。
次に本発明の画像表示装置について述べる。
本発明の一実施形態における画像表示装置は、上述したいくつかの実施形態に係る電子源基板10と、該電子源基板10に対向して配置され、蛍光体を搭載したフェースプレート(後述のプレート76)とを有するようにしたものである。
画像表示装置に用いる電子源基板の電子放出素子の配列については種々のものが採用できる。まず、並列に配置した多数の電子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を多数個配置し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向(列方向と呼ぶ)で電子放出素子の上方に配置した制御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子からの電子を制御駆動する梯子状配置のものがある。これとは別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複数個配置し、同じ行に配置された複数の電子放出素子の電極の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配置された複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線に共通に接続するものが挙げられる。このようなものは、所謂、単純マトリックス配置である。まず単純マトリックス配置について以下に詳述する。
図14は、本発明の電子放出素子を複数個マトリックス状に配置して得られる電子源基板の一例を示す図で、図中、10は電子源基板、14は基板、61はX方向配線、62はY方向配線、63は表面伝導型電子放出素子、64は結線である。X方向配線61は、DX1,DX2,・・・DXmのm本の配線からなり、Y方向配線62はDY1,DY2,・・・DYnのn本の配線よりなる。また多数の表面伝導型素子63にほぼ均等な電圧が供給されるように、材料,膜厚,配線幅が適宜設定される。これらm本のX方向配線61とn本のY方向配線62間は不図示の層間絶縁層により電気的に分離されてマトリックス配線を構成する(なお、上記m,nは共に正の整数である)。
不図示の層間絶縁層は、X方向配線61を形成した基板14の全面域または一部の所望の領域に形成される。X方向配線61とY方向配線62はそれぞれ外部端子として引き出される。更に表面伝導型電子放出素子63の素子電極(不図示)がm本のX方向配線61及びn本のY方向配線62と結線64によって電気的に接続されている。X方向配線61とY方向配線62を構成する材料、結線64を構成する材料、及び一対の素子電極を構成する材料は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であっても、またそれぞれ異なっても良い。これらの材料は、例えば前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極を構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子電極に接続した配線も含めて素子電極ということもできる。
X方向配線61は、X方向に配列する表面伝導型電子放出素子63の行を入力信号に応じて走査する走査信号を印加するための不図示の走査信号発生手段と電気的に接続されている。一方、Y方向配線62は、Y方向に配列する表面伝導型電子放出素子63の各列を入力信号に応じて変調する変調信号を印加するための不図示の変調信号発生手段と電気的に接続されている。更に表面伝導型電子放出素子63の各素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給されるものである。これにより、単純なマトリックス配線だけで個別の素子を選択して独立に駆動可能になる。
次に、以上のようにして作成した単純マトリックス配置の電子源を用いた画像表示装置について説明する。図15は画像表示装置の表示パネルの基本構成の一例を説明するための図で、図中、10は電子放出素子63を基板上に作製した電子源基板、71は電子源基板10を固定したリアプレート、72は支持枠、76はガラス基板73の内面に蛍光膜74とメタルバック75等が形成されたフェースプレートで、リアプレート71、支持枠72及びフェースプレート76にフリットガラス等を塗布し、大気中あるいは窒素中で400〜500度で10分以上焼成することで封着して外囲器78を構成する。また図15において、63は図1に示す構成に相当する電子放出素子、61,62はそれぞれ表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY方向配線である。
外囲器78は、上述のごとくフェースプレート76,支持枠72,リアプレート71で構成したが、リアプレート71は主に電子源基板10の強度を補強する目的で設けられるため、電子源基板10自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート71は不要であり、電子源基板10に直接支持枠71を封着し、フェースプレート76,支持枠72及び電子源基板10にて外囲器78を構成しても良い。またさらにはフェースプレート76,リアプレート71間に、スペーサとよばれる耐大気圧支持部材を設置することで大気圧に対して十分な強度をもつ外囲器78を構成することもできる。
図16は、図15の画像表示装置に用いられる蛍光膜の構成例を示す模式図で、ブラックストライプタイプの蛍光膜を図16(A)に、ブラックマトリックスタイプの蛍光膜を図16(B)に示すものである。図16において、74は蛍光膜、81は黒色導電材、82は蛍光体である。
蛍光膜74は、モノクロームの場合は蛍光体のみからなるが、カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリックスなどと呼ばれる黒色導電材81と蛍光体82とで構成される。ブラックストライプ,ブラックマトリックスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の各蛍光体82間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜74における外光反射によるコントラストの低下を抑制することである。ブラックストライプの材料としては、通常良く用いられている黒鉛を主成分とする材料だけでなく、導電性があり、光の透過及び反射が少ない材料であればこれに限るものではない。
本発明では、上記のようなマトリックス化された蛍光体82のストライプの方向、あるいはマトリックスの互いに直交する2方向と、前述の電子放出素子63の互いに直交する2方向とそれぞれが互いに平行になるようにし、かつ各電子放出素子63に蛍光体82が一致するように位置決めして積層し、画像表示装置を構成している。このような構成の画像表示装置は、互いのマトリックスの方向及びその位置が一致しているため、非常に高画質な画像表示装置を実現できる。
ガラス基板73に蛍光体を塗布する方法としては、モノクローム、カラーによらず沈澱法や印刷法が用いられる。また蛍光膜74(図15)の内面側には通常、メタルバック75が設けられる。メタルバック75は、蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート76側へ鏡面反射することにより輝度を向上すること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用すること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメージからの蛍光体の保護等の役割を有する。メタルバック75は、蛍光膜74を作製後、蛍光膜74の内面側表面の平滑化処理(通常、フィルミングと呼ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着等で堆積することで作製できる。また、フェースプレート76には、更に蛍光膜74の導電性を高めるため、蛍光膜74の外面側に透明電極(不図示)を設けてもよい。
前述の外囲器78を作成するための封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光体82と電子放出素子63とを対応させなくてはならず、十分な位置合わせを行う必要がある。この十分な位置合わせを行うために本発明では、前述のように、電子放出素子63に対向する位置に蛍光体82を配置するとともに、電子放出素子63と蛍光体82のそれぞれのマトリックスの互いに直交する2方向がそれぞれ互いに平行となるようにしている。このような構成の高精度な画像表示装置を得るためには、蛍光体基板も、本発明の電子源基板と同様な位置決め手法をとることが望ましい。
図15に示した画像表示装置は、具体的には以下のようにして製造される。外囲器78は前述の安定化工程と同様に、適宜加熱しながらイオンポンプ,ソープションポンプなどのオイルを使用しない排気装置により不図示の排気管を通じて排気し、10-7Torr程度の真空度の有機物質の十分少ない雰囲気にした後、封止される。外囲器78の封止後の真空度を維持するためにゲッター処理を行う場合もある。これは外囲器78の封止を行う直前あるいは封止後に抵抗加熱あるいは高周波加熱等の加熱法により、外囲器78内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5Torrないし1×10-7Torrの真空度を維持するものである。
次に、単純マトリックス配置型基板を有する電子源を用いて構成した表示パネルを駆動してNTSC方式のテレビ信号に基づきテレビジョン表示を行うための駆動回路の概略構成を説明する。図17はNTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行うための駆動回路の一例を示すブロック図で、その駆動回路を含む画像表示装置を表すものである。図17において、91は画像の表示パネル、92は走査回路、93は制御回路、94はシフトレジスタ、95はラインメモリ、96は同期信号分離回路、97は変調信号発生器、Vx及びVaは直流電圧源である。
以下、図17に示す各部の機能を説明する。表示パネル91は端子Dox1ないしDoxm、端子Doy1ないしDoyn、及び高圧端子Hvを介して外部の電気回路と接続している。このうち端子Dox1ないしDoxmには表示パネル91内に設けられている電子源、すなわちM行N列の行列状にマトリックス配線された表面伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆動してゆくための走査信号が印加される。一方、端子Doy1ないしDoynには前記の走査信号により選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各素子の出力電子ビームを制御するための変調信号が印加される。また高圧端子Hvには直流電圧源Vaより、例えば10kVの直流電圧が供給されるが、これは表面伝導型電子放出素子より出力される電子ビームに蛍光体を励起するのに十分なエネルギを付与するための加速電圧である。
次に走査回路92について説明する。同回路は内部にM個のスイッチング素子を備えるもので(図中、S1ないしSmで模式的に示している)、各スイッチング素子は直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0V(グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表示パネル91の端子Dox1ないしDoxmと電気的に接続するものである。S1ないしSmの各スイッチング素子は制御回路93が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するものであるが、実際には例えばFETのようなスイッチング素子を組み合わせることにより構成することが可能である。なお、前記直流電圧源Vxは、前記表面伝導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づき、走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力するよう設定されている。
制御回路93は、外部より入力する画像信号に基づいて適切な表示が行われるように各部の動作を整合させる働きをもつものである。この後説明する同期信号分離回路96より送られる同期信号Tsyncに基づいて、各部に対してTscan、Tsft及びTmryの各制御信号を発生する。
同期信号分離回路96は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝度信号成分とを分離するための回路であり、周波数分離(フィルタ)回路を用いれば構成できる。同期信号分離回路96により分離された同期信号は、良く知られるように垂直同期信号と水平同期信号よりなるが、ここでは説明の便宜上Tsync信号として図示した。一方、前記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成分を便宜上DATA信号と表すが、同信号はシフトレジスタ94に入力される。
シフトレジスタ94は、時系列的にシリアルに入力される前記DATA信号を画像の1ライン毎にシリアル/パラレル変換するためのものであり、制御回路93より送られる制御信号Tsftに基づいて動作する。すなわち制御信号Tsftは、シフトレジスタ94のシフトクロックであると言い換えても良い。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出素子N素子分の駆動データに相当する)のデータはId1ないしIdnのN個の並列信号としてシフトレジスタ94より出力される。
ラインメモリ95は、画像1ライン分のデータを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であり、制御回路93より送られる制御信号Tmryに従って適宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。記憶した内容は、Id′1ないしId′nとして出力され変調信号発生器97に入力する。
変調信号発生器97は、前記画像データId1ないしIdnの各々に応じて表面伝導型電子放出素子の各々を適切に駆動変調するための信号源であり、その出力信号は端子Doy1ないしDoynを通じて表示パネル91内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
前述したように本発明に関わる電子放出素子は、放出電流Ieに対して以下の基本特性を有している。すなわち前述したように電子放出には明確なしきい値電圧Vthがあり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放出が生じる。また電子放出しきい値以上の電圧に対しては素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化していく。なお、電子放出素子の材料や構成,製造方法を変えることにより電子放出しきい値電圧Vthの値や印加電圧に対する放出電流の変化の度合いが変わる場合もあるが、いずれにしても以下のようなことがいえる。
すなわち、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、例えば電子放出しきい値以下の電圧を印加しても電子放出は生じないが、電子放出しきい値以上の電圧を印加する場合には電子ビームが出力される。その際、第一にはパルスの波高値Vmを変化させることにより出力電子ビームの強度を制御することが可能であり、第二には、パルスの幅Pwを変化させることにより出力される電子ビームの電荷の総量を制御することが可能である。
従って、入力信号に応じて電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式,パルス幅変調方式等があげられ、電圧変調方式を実施するには、変調信号発生器97として、一定の長さの電圧パルスを発生するが、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いる。またパルス幅変調方式を実施するには、変調信号発生器97としては、一定の波高値の電圧パルスを発生するが、入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いる。
シフトレジスタ94やラインメモリ95は、デジタル信号式のものであってもアナログ信号式のものであっても差し支えなく、画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が所定の速度で行われればよい。
デジタル信号式のものを用いる場合には、同期信号分離回路96の出力信号DATAをデジタル信号化する必要があるが、これは同期信号分離回路96の出力部にA/D変換器を備えれば可能である。また、これと関連してラインメモリ95の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、変調信号発生器97に用いられる回路が若干異なったものとなる。
まずデジタル信号の場合について述べる。電圧変調方式において、変調信号発生器97には、例えばよく知られるD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路などを付け加えればよい。またパルス幅変調方式の場合、変調信号発生器97は、例えば高速の発振器、発振器が出力する波数を計数する計数器(カウンタ)、及び計数器の出力値とラインメモリ95の出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合せた回路を用いることにより構成できる。必要に応じて比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
次にアナログ信号の場合について述べる。電圧変調方式においては変調信号発生器97には、例えばよく知られるオペアンプなどを用いた増幅回路を用いればよく、必要に応じてレベルシフト回路などを付け加えてもよい。またパルス幅変調方式の場合には、例えばよく知られた電圧制御型発振回路(VCO)を用いればよく、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
以上のような構成を有する画像表示装置において、表示パネル91の各電子放出素子には、容器外端子Dox1ないしDoxm,Doy1ないしDoynを通じ、電圧を印加することにより、電子放出させるとともに、高圧端子Hvを通じ、メタルバック75あるいは透明電極(不図示)に高圧を印加して電子ビームを加速し、蛍光膜74に衝突させ、励起・発光させることで画像を表示することができる。
ここで述べた構成は、表示等に用いられる好適な画像表示装置を作製する上で必要な概略構成であり、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述内容に限られるものではなく、画像表示装置の用途に適するよう適宜選択する。また、入力信号例として、NTSC方式をあげたが、これに限るものでなく、PAL,SECAM方式などの諸方式でもよく、また、これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式でもよい。
次に、梯子型配置電子源基板及び画像表示装置について説明する。図18は、電子放出素子を梯子型に配置した電子源基板の構成例を示す模式図で、図中、10は電子源基板、14は基板、63は電子放出素子、98は電子放出素子63に接続したDx1〜Dx10よりなる共通配線である。電子放出素子63は、基板14上にX方向に並列に複数個配置されている(この配列を素子行と呼ぶ)。この素子行が複数個基板上に配置され、電子源基板10が構成されている。各素子行の共通配線間に駆動電圧を印加することで、各素子行を独立に駆動させることができる。すなわち、電子ビームを放出させたい素子行には、電子放出しきい値以上の電圧を印加し、電子ビームを放出させない素子行には電子放出しきい値以下の電圧を印加すればよい。また、各素子行間の共通配線Dx2〜Dx9、例えばDx2,Dx3を同一配線とするようにしても良い。
図19は、図18に示すごとくの梯子型配置電子源基板を備えた画像表示装置におけるパネル構造を説明するための図で、図中、100は各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基板、101はグリッド電極、102は電子が通過するための開口、103はDox1,Dox2,・・・Doxmよりなる容器外端子、104はグリッド電極101と接続されたG1,G2,・・・Gnからなる容器外端子で、その他、図15または図18と同様の機能を有する部分には同一符号を付してある。図19に示す画像表示装置における前述の単純マトリックス配置の画像表示装置(図15)との違いは、電子源基板100とフェースプレート76の間にグリッド電極101を備えていることである。
グリッド電極101は、表面伝導型電子放出素子から放出された電子ビームを変調するためのものであり、梯子型配置の素子行と直交して設けられたストライプ状の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応して1個ずつ円形の開口102が設けられている。なおグリッドの形状や設置位置は図18に示したものに限定されるものではない。例えば、開口としてメッシュ状に多数の通過口を設けることもでき、グリッドを表面伝導型電子放出素子の周囲や近傍に設けることもできる。また、容器外端子103及びグリッド容器外端子104は、不図示の制御回路と電気的に接続されている。
本画像表示装置では、素子行を1列ずつ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これにより、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1ラインずつ表示することができる。これによればテレビジョン放送の表示装置,テレビ会議システム,コンピュータ等の表示装置の他、感光性ドラム等で用いて構成された光プリンタとしての画像表示装置としても用いることもできる。
図12は、本発明の一実施形態に係る電子源基板の構成を示す模式的平面図であり、表面伝導型電子放出素子群が形成される領域よりも外側に、第2の表面伝導型電子放出素子群を形成した例を示す図である。本発明に使用される電子源基板は前述のように、表面伝導型電子放出素子群が形成される領域よりも広い(外側の)領域にも、導電性薄膜の材料を含有する溶液の液滴が噴射付与され、導電性薄膜による表面伝導型電子素子を形成できるようになっている。
本実施形態の画像表示装置は、基板上に配置された複数対の素子電極2,3と、各対の素子電極2,3間に導電性溶液を噴射付与することにより形成された導電性薄膜4とを有する表面伝導型電子放出素子群が形成された電子源基板10,100であって、前記表面伝導型電子放出素子群が形成されている領域の外側に、前記複数対の素子電極とは別の第2の複数対の素子電極を配置するとともに、該第2の複数対の素子電極2,3間に導電性溶液の液滴を噴射付与して導電性薄膜4による第2の表面伝導型電子放出素子群が形成された電子源基板10,100と、該電子源基板に対向して配置され、蛍光体を搭載したフェースプレート76と、を有する画像表示装置であって、前記第2の表面伝導型電子放出素子群を電子源基板10,100ごとに異なる信号情報を入力して駆動して当該画像表示装置で表示を行うことにより、当該画像表示装置を画像表示装置ごとに区別可能としたものである。
つまり、本来の画像表示に使用する表面伝導型電子素子群の他にさらにその外側の領域に第2の表面伝導型電子放出素子群が形成された電子源基板である。図12にその例を示したが、この例では領域Yaに第2の表面伝導型電子放出素子群を形成したものである。
本発明では、このように第2の表面伝導型電子放出素子群を形成するとともに、そのような電子源基板とこの電子源基板に対向して配置され、蛍光体を搭載したフェースプレートとを有する画像表示装置を構成する。そしてこの第2の表面伝導型電子放出素子群に信号情報を入力して駆動することにより、第2の表面伝導型電子放出素子群の領域においても画像表示を行うことができるようにしている。
よってこの第2の表面伝導型電子放出素子群への信号情報入力を、完成した画像表示装置ごとに異ならせ、例えば製造番号などを各画像表示装置ごとに表示させるようにしたり、あるいは製造ロットごとに表示色を変えるなどすることにより、製造後の画像表示装置が容易に区別できるようになる。特に製造番号を画像表示することにより、従来のように後から別の装置で刻印したりする必要もなく非常に効率がよい。
なお、以上の説明では、第2の表面伝導型電子放出素子群というように本来の表面伝導型電子放出素子群とはさらに別に設けた例を説明したが、それらを特に区別せず、表面伝導型電子放出素子群に、本来の表示信号と切り替えて、製造ロットごとに表示色を変える表示、製造番号などの表示を行う信号入力を行ってもよい。あるいは、その切り替えを行わず、本来の表示と同時に製造ロットごとに表示色を変える表示、製造番号などの表示を行ってもよい。
1…基板、2,3…素子電極、4…導電性薄膜、5…電子放出部、10…電子源基板、11…吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)、12…キャリッジ、13…基板保持台、14…基板、15…供給チューブ、16…信号供給ケーブル、17…噴射ヘッドコントロールボックス、18…キャリッジ12のX方向スキャンモータ、19…キャリッジ12のY方向スキャンモータ、20…コンピュータ、21…コントロールボックス、22(22X1,22Y1,22X2,22Y2)…基板位置決め/保持手段、30…吐出ヘッドユニット、31…ヘッドアライメント制御機構、32…検出光学系、33…インクジェットヘッド、34…ヘッドアライメント微動機構、35…制御コンピュータ、36…画像識別機構、37…XY方向走査機構、38…位置検出機構、39…位置補正制御機構、40…インクジェットヘッド駆動・制御機構、41…光軸、42…液滴、43…液滴着弾位置、44…噴射した液滴によるドット、50…噴射ヘッド(インクジェットヘッド)、51…発熱体基板、52…蓋基板、53…シリコン基板、54…個別電極、55…共通電極、56…発熱体、57…溶液流入口、58…ノズル、59…溝部、60…凹部領域、61…X方向配線、62…Y方向配線、63…表面伝導型電子放出素子、64…結線、71…リアプレート、72…支持枠、73…ガラス基板、74…蛍光膜、75…メタルバック、76…フェースプレート、78…外囲器、81…黒色導電材、82…蛍光体、91…画像の表示パネル、92…走査回路、93…制御回路、94…シフトレジスタ、95…ラインメモリ、96…同期信号分離回路、97…変調信号発生器、98…共通配線、100…電子源基板、101…グリッド電極、102…開口、103,104…容器外端子、VxおよびVa…直流電圧源。