JP3600102B2 - カラー画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やレーザプリンタなど、複数色の現像剤でカラー画像を形成するカラー画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、複写機やレーザプリンタ等のカラー画像形成装置では、電子写真方式が用いられている。電子写真方式のカラー画像形成装置では、PPC(Plane Paper Copier)用紙と呼ばれる普通紙や、OHP(Over−Head Projector)シートと呼ばれる合成樹脂製シート状の記録媒体に、トナーと呼ばれる粉末状の現像剤で各種画像を形成して印刷している。
【0003】
電子写真方式の画像形成装置では、たとえば多数の記録媒体を1枚ずつ分離して順次搬送する媒体搬送機構が、分離プレートやフィードローラやエンドレスベルトなどで構成されている。媒体搬送機構の搬送路上には、ドラムやエンドレスベルトから成る感光体の表面が臨むように配置されている。感光体の表面は、コロナチャージなどで形成される帯電器によって一様に帯電され、レーザスキャナや結像光学系で形成される露光器で帯電された感光体の表面を露光し、静電潜像を形成する。感光体の表面に形成された静電潜像は、現像器から供給されるトナーで顕像化され、現像剤であるトナーによる画像が形成される。感光体上に形成されているトナー像は、コロナチャージなどで電圧が印加される転写器で記録媒体上に転写される。これら感光体、帯電器、露光器、現像器および転写器などを含んで作像プロセス部が構成される。また、記録媒体上に転写されたトナー像は、定着装置による加熱で記録媒体上に定着される。
【0004】
電子写真方式の画像形成装置では、感光体上に静電的にトナー像が吸着されているので、転写器では、感光体に接触している記録媒体の背面側から現像剤の帯電極性と逆極性の電界を印加し、記録媒体を感光体の表面に密着させると同時に現像剤を記録媒体上に静電吸着させる方法が一般的に行われている。このような転写器の構造としては、転写ローラで直接記録媒体の裏面側に接触させて転写電位を供給する形式や、コロナ放電器を利用して転写用の電界を発生させる形式、導電性のブラシを記録媒体の裏面側に接触させて転写電位を供給する形式などが用いられている。その中で、ドラム状の感光体と同期してエンドレスベルトを回転駆動し、エンドレスベルト上に記録媒体を保持し、記録媒体の背面側からコロナ放電による電界を印加する転写器が、カラー複写装置においては頻繁に用いられている。
【0005】
図5は、従来からのカラー画像形成装置1の概略的な構成を示す。PPC用紙やOHPシートなどの記録媒体2は、媒体搬送機構3によって順次搬送される。媒体搬送機構3は、エンドレスベルト4を駆動ローラ5と従動ローラ6との間に張架して形成される。記録媒体2を媒体搬送機構3に供給する部分には、案内部材7が配置され、媒体搬送機構3上でトナーによる画像が形成された記録媒体2は、定着装置8に案内されてトナー像の定着が行われる。エンドレスベルト4上に付着したトナーや紙粉は、クリーニング装置9によって除去される。
【0006】
媒体搬送機構3上に案内部材7から案内されて供給される記録媒体2は、エンドレスベルト4の搬送経路に沿って複数並置された作像プロセス部10a,10b,10c,10dから順次トナー像の転写を受ける。各作像プロセス部10a,10b,10c,10dには、ドラム状の感光体11a,11b,11c,11dを中心として、帯電器12a,12b,12c,12d、露光器13a,13b,13c,13d、現像器14a,14b,14c,14d、転写器15a,15b,15c,15d、クリーナ16a,16b,16c,16dがそれぞれ配置される。現像器14a,14b,14c,14dから供給されるトナーによって感光体11a,11b,11c,11dの表面にトナー像がそれぞれ形成され、転写器15a,15b,15c,15dで記録媒体2上にトナー像がそれぞれ転写される。複数の作像プロセス部10a,10b,10c,10dの露光器13a,13b,13c,13dでは、カラー画像を形成する所定の色成分の画像に対応する露光をそれぞれ行い、現像器14a,14b,14c,14dからは露光器13a,13b,13c,13dが露光する色成分に対応する現像剤としてのトナーがそれぞれ供給される。カラー画像を形成する色成分は、たとえばシアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)のCMY三原色であり、さらに黒(BK)が追加されるCMYKの4色が広く用いられている。図5に示すタンデム型のカラー画像形成装置1では、作像プロセス部10a,10b,10c,10dが、媒体搬送機構3での記録媒体2の搬送経路の上流側から下流側にかけて、たとえば黒、シアン、マゼンタ、イエローの順で配置されている。搬送される記録媒体2上には、最上流側の黒のトナー像から順にトナー像が重ねて転写されてカラー画像が形成される。
【0007】
このような多重転写方式によってカラー画像を得るためには、各色毎に転写工程を行って所定回数トナー像を同一記録媒体2上に重ねて転写しなければならない。複数回の転写を順次完了していく工程の中では、2回目以降の転写において1回目もしくはそれ以前に転写されたトナーの影響によって静電的なオフセットが生じ、同一の転写条件では適切な転写を行うことができなくなる。このため、2回目以降の転写からは、その前の転写で印加した電圧や流れた電流よりも、電圧や電流を徐々に高めていく方法が採られている。すなわち、転写器15a,15b,15c,15dに印加する電流あるいは流す電流を、電源17a,17b,17c,17dから徐々に高めて供給するように設定されている。このような転写条件の変化は、記録媒体2がPPC用紙よりもOHPシートの場合に、特に不可欠となっている。OHPシートは、PPC用紙に比べて体積抵抗値が高く、転写毎に帯電電荷量が溜まりやすいからである。媒体搬送機構3の記録媒体2の搬送方向の最下流の位置と定着装置8との間には、記録媒体2を案内する定着ガイド18が設けられている。
【0008】
タンデム型のカラー画像形成装置で転写器への印加電圧を調整する先行技術は、たとえば特開平10−301343号公報などに開示されている。この先行技術では、導電性ベルトで記録媒体を搬送しながら、導電性ベルトに転写用の電圧を印加し、転写ベルトに記録媒体を供給する用紙ガイドからの漏洩電流を計測して、印加電圧を調整するようにしている。また、特開平7−56452号公報には、1つの作像プロセス部で複数のトナー像を順次形成して記録媒体上に転写する工程を繰返してカラー画像を形成する際に、先行する転写の際に印加する転写電圧と後続の転写の際に印加する転写電圧に対して、後続する転写の際に印加する転写電圧を、ニューラルネットワーク技術を利用して可変制御する構成が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来からのカラー画像形成装置では、高温/高湿環境下において、転写媒体にOHPシートを使用したとき、搬送方向で最下流側の位置となる作像プロセス部で形成されるトナー像の転写効率が低下するという問題がある。つまり、図5に示すようなタンデム構成のカラー画像形成装置1においては、転写搬送ベルトとしてのエンドレスベルト4を離れて定着装置8に至る記録媒体2は、搬送途中で、定着ガイド18と最下流側の第4番目の作像プロセス部10dの転写器15dとの間をまたがるように位置するときが生じる。このとき、カラー画像形成装置1の作動環境が常温/常湿であれば、OHPシートの有する高い体積抵抗値によって、転写のための電荷が記録媒体2であるOHPシートを介して定着ガイド18に漏洩するようなことは生じない。しかしながら、高温/高湿環境下となると、OHPシートの体積抵抗率が低下するので、漏洩しやすくなり、OHPシートを介して転写のための電荷が定着ガイド18にリークしてしまう。転写のための電荷がリークすると、第4番目の作像プロセス部10dで形成されるトナー像の転写効率が低下する。
【0010】
前述のように、OHPシートは、PPC用紙に比べて体積抵抗値が高く、そのため2回目以降の転写からは、その前に転写器15a,15b,15cに印加した電圧もしくは流れていた電流値よりも段階的に電圧や電流値を高くしていくことが必要不可欠である。そのため、特に最下流側の位置に配置される作像プロセス部10dの転写器15dに電源17dから印加する転写電圧は最も高く設定され、リークが起こりやすい状況となっている。
【0011】
特開平10−301343号公報の先行技術では、導電性ベルトに転写用の電圧を印加し、タンデムに配置されている複数の作像プロセス部間では転写電圧の差が生じないので、下流側の位置に配置される作像プロセス部で形成されるトナー像の転写が困難になり、転写効率が低下してしまうおそれがある。図5に示す従来のカラー画像形成装置1では、1色目と2色目、2色目と3色目、3色目と4色目との間の各印加電圧あるいは電流の増加レベルをほぼ同じに設定するので、第4番目の作像プロセス部10dと定着ガイド18との間でリークが生じると、画像全体としてはカラーの色目が変わってしまう。特開平7−56452号公報で開示されている先行技術のように、1つ前の転写による影響や温度および湿度等の環境変化の影響等をニューラルネットワークを介して反映させ、転写電圧を変更させる先行技術では、ニューラルネットワーク構築のための構成が複雑化し、かつトナー像の形成と転写とを複数回繰返す必要があるので、カラー画像形成に時間がかかってしまう。
【0012】
図5に示すようなカラー画像形成装置1の構成で、高温/高湿環境下におけるOHPシートの漏洩の問題に着目すれば、定着ガイド18を完全な電気絶縁性材料で形成することも考えられる。しかしながら、カラー画像形成装置1では、OHPシート以外にPPC用紙や再生紙やはがきなどを記録媒体2として利用し、このような記録媒体2の各々は、電気的特性や厚さや表面粗さや合成などの各種特性が相違している。このため、OHPシートにおける不具合の改善にのみ着目して定着ガイド18を完全な電気的絶縁性材料で形成すると、低温/低湿環境下でPPC紙を使用した場合に、うろこ状に斑点が発生する転写斑が生じたり、定着ガイド18と記録媒体2との摺動摩擦などによって定着ガイド18に電荷が蓄積される結果、記録媒体2の搬送不良やJAMが発生しやすくなる等の不具合を招来してしまう。このため、定着ガイド18を完全な電気的絶縁性材料で形成することは望ましくない。
【0013】
本発明の目的は、高温高湿環境下で記録媒体を介しての漏洩が増大する場合にも、全ての色のトナー像を記録媒体上に効率よく転写させることができるカラー画像形成装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シート状の記録媒体を個別に搬送する搬送機構に沿って、カラー画像の成分となる複数色の各色で現像剤の画像を形成する作像プロセス部を順次配置し、各色の現像剤の画像を順次記録媒体上に静電的に転写して、該記録媒体上にカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、
転写の際生じる電気的な漏洩に関連する物理量を計測する計測手段と、
各作像プロセス部に対して、記録媒体の搬送方向の上流側から下流側に、現像剤を静電的に記録媒体上に転写するための電界が順次増大するように、転写電圧を印加する電源と、
電源から最下流側の位置に配置される作像プロセス部に印加する転写電圧と、該最下流側の位置よりも1つ前の位置に配置される作像プロセス部に印加する転写電圧との差を、物理量が予め定められる基準量に対して電気的な漏洩の増大に対応する側に移行するときに該物理量が該基準量に対して漏洩の増大に対応する側に移行しないときよりも増大させるように、該最下流側の位置に配置される作像プロセス部に印加する転写電圧を増大させる制御を行う制御手段とを含むことを特徴とするカラー画像形成装置である。
【0015】
本発明に従えば、搬送機構では、シート状の記録媒体を個別に搬送する。カラー画像の成分となる複数色の現像剤の画像は、搬送機構に沿って配置される各色毎の作像プロセス部によって形成され、順次記録媒体上に静電的に転写される。計測手段は、転写の際に生じる電気的な漏洩に関連する物理量を計測する。電源は、各作像プロセス部に対して、記録媒体の搬送方向の上流側から下流側に、現像剤を静電的に記録媒体上に転写するための電界が順次増大するように転写電圧を印加する。最下流側の位置に配置される作像プロセス部に印加する転写電圧と、最下流側の位置よりも1つ前に配置される作像プロセス部に印加する転写電圧との差は、計測手段によって計測される物理量が予め定められる基準量に対して電気的な漏洩の増大に対応する側に移行するときに、該基準量に対して電気的な漏洩の増大側に移行しないときよりも増大するように、制御手段によって最下流側の位置に配置される作像プロセス部に印加する転写電圧を増大させる制御が行われる。電気的な漏洩に関連する物理量が大きくなると、最下流の位置に配置される作像プロセス部と、最下流の位置よりも1つ前の位置に配置される作像プロセス部とに印加される転写電圧の差増大するので、最下流側の位置に配置される作像プロセス部に転写のために印加する転写電圧が記録媒体を介する漏洩によって低下しても、トナー像を転写するのに必要な充分な電界を発生させることができ、最下流側の位置に配置される作像プロセス部で形成されたトナー像の転写不良を回避して、安定した画像濃度を確保することができる。
【0016】
また本発明で前記計測手段は、前記物理量として温度および湿度を計測し、
前記制御手段では、前記基準量が予め定める高温/高湿環境に対応して設定されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、温度および湿度を計測して、予め定める高温/高湿環境になると、最下流側の位置に配置される作像プロセス部に印加する転写用の電圧を高温/高湿環境では増大させるので、湿度によって記録媒体を介する漏洩電流が増えても現像剤を充分に記録媒体上に転写することができる。
【0018】
また本発明で前記計測手段は、前記物理量として、前記記録媒体を介して前記搬送機構で漏洩する電流を計測し、
前記制御手段では、前記基準量として、予め定める電流値が設定されていることを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、記録媒体を介して搬送機構に漏洩する電流を計測して、漏洩する電流量が予め設定されている基準量としての電流量を超えると、最下流側に位置する作像プロセス部に供給する転写電圧を増大させるので、最下流側の位置の作像プロセス部で形成される現像剤の像を記録媒体上に転写させる際の転写効率の低下を防ぐことができる。
【0020】
また本発明で前記搬送機構は、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体を搬送手段に案内する案内部材とを含み、
前記計測手段は、最上流側の位置に配置される作像プロセス部から案内部材に漏洩する電流を計測することを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、搬送機構が記録媒体を搬送する搬送手段と記録媒体を搬送手段に案内する案内部材とを含み、計測手段は最上流側の位置に配置される作像プロセス部から案内部材に漏洩する電流を計測するので、環境の湿度などによる漏洩電流を評価し、漏洩電流が増大するような際に、最下流側に位置する作像プロセス部に印加する転写電圧を増大させて、転写効率の低下を避けることができる。
【0022】
また本発明で前記搬送機構は、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体を搬送手段に1枚ずつ供給するPSローラとを含み、
前記計測手段は、最上流側の位置に配置される作像プロセス部からPSローラに漏洩する電流を計測することを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、搬送機構は、記録媒体を搬送する搬送手段と記録媒体を搬送手段に1枚ずつ供給するPSローラとを含み、計測手段は最下流側の位置に配置される作像プロセス部からPSローラに漏洩する電流を計測するので、環境の湿度などが増大して最下流側に位置する作像プロセス部から漏洩する電流が増大するときにPSローラに漏洩する電流も増大し、漏洩電流の増大に対応して最下流側に位置する作像プロセス部に印加する転写電圧を増大させることによって、転写効率の低下を避けることができる。
【0024】
また本発明で前記搬送機構は、前記記録媒体を搬送する無端ベルト状の搬送手段と、搬送手段を張架して駆動する転写駆動ローラとを含み、
前記計測手段は、最上流側の位置に配置される作像プロセス部から転写駆動ローラに漏洩する電流を計測することを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、搬送機構は記録媒体を搬送する無端ベルト状の搬送手段と搬送手段を張架して駆動する転写駆動ローラとを含み、計測手段は最上流側の位置に配置される作像プロセス部から転写駆動ローラに漏洩する電流を計測する。環境の湿度などの影響で、最下流側の位置に配置される作像プロセス部から漏洩する電流が増大すると、対応して最上流側から転写駆動ローラに漏洩する電流も増大するので、増大時に最下流側に位置する作像プロセス部に印加する転写電圧を増大させることによって転写効率の低下を避けることができる。
【0026】
また本発明で前記搬送機構は、前記記録媒体を静電的に吸着して搬送する無端ベルト状の搬送手段と、記録媒体に吸着用の電荷を与える転写吸着ローラとを含み、
前記計測手段は、最上流側の位置に配置される作像プロセス部から転写吸着ローラに漏洩する電流を計測することを特徴とする。
【0027】
本発明に従えば、搬送機構は記録媒体を静電的に吸着して搬送する無端ベルト状の搬送手段と記録媒体に吸着用の電荷を与える転写吸着ローラとを含み、計測手段は最上流側の位置に配置される作像プロセス部から転写吸着ローラに漏洩する電流を計測する。最下流側の位置に配置される作像プロセス部から漏洩する電流に、転写吸着ローラに漏洩する電流が対応するので、漏洩電流の増加時に最下流側の作像プロセス部に印加する転写電圧を増大させることによって、転写効率の低下を避けることができる。
【0028】
また本発明で前記搬送機構は、前記記録媒体を静電的に吸着して搬送する無端ベルト状の搬送手段と、搬送手段を張架して駆動する転写駆動ローラと、転写駆動ローラとの間で記録媒体を挟み、記録媒体に吸着用の電荷を与える転写吸着ローラとを含み、
前記計測手段は、転写駆動ローラと転写吸着ローラとの間に漏洩する電流を計測することを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、搬送機構は記録媒体を静電的に吸着して搬送する無端ベルト状の搬送手段と、搬送手段を張架して駆動する転写駆動ローラと転写駆動ローラとの間で記録媒体を挟み、記録媒体に吸着用の電荷を与える転写吸着ローラとを含み、計測手段は転写駆動ローラと転写吸着ローラとの間に漏洩する電流を計測する。最下流側の作像プロセス部から漏洩する電流は、転写駆動ローラと転写吸着ローラとの間に漏洩する電流に対応しているので、環境の湿度などの影響で最下流側から漏洩する電流が増加するときに、転写駆動ローラと転写吸着ローラとの間に漏洩する電流も増加し、この電流の増加に対応して最下流側の位置に配置される作像プロセス部に印加する転写電圧も増大させるので、転写電圧の不足による転写効率の低下を避けることができる。
【0032】
また本発明で、前記制御手段は、前記物理量が前記基準量に対して前記漏洩増大に対応する側に移行しないとき、該物理量が漏洩の減少に対応する側に移行するに従って、前記転写電圧の差が小さくなるように、前記電源から前記最下流側の位置に配置される作像プロセス部に印加する転写電圧を低減させる制御を行うことを特徴とする。
【0033】
本発明に従えば、最下流側に位置する作像プロセス部に印加する転写電圧を電気的な漏洩に関連する物理量が基準量に対して漏洩が増大する側に移行しないときには、物理量が漏洩の減少側に移行するに従って最下流側の位置の作像プロセス部に印加する転写電圧を低減させるように電源を制御する湿度などの影響で漏洩がいときには最下流側の位置よりも前の位置に印加する転写電圧の差を大きくし、最下流側の転写プロセス部からの転写効率の低下を避け、漏洩が少ないときには転写電圧の差を小さくなるように制御して、全体的に作像プロセス部に印加する転写電圧を低くし、記録媒体のジャムなどが生じにくくすることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態としてのカラー画像形成装置21の主要部分の概略的な構成を示す。図1に示すカラー画像形成装置21は、図5に示す従来のカラー画像形成装置1と同様に、タンデム方式でトナーによるカラー画像を記録媒体22上に形成する。記録媒体22は、媒体搬送機構23で一定方向に搬送され、4色のトナーによってカラー画像を形成する。媒体搬送機構23は、無端状の転写搬送ベルトとしてエンドレスベルト24を含む。エンドレスベルト24は、駆動ローラ25と従動ローラ26との間に張架される。記録媒体22は、媒体搬送機構23に案内部材27で案内されて供給される。媒体搬送機構23で搬送されながらカラー画像用のトナー像が多層に形成される記録媒体22は、定着装置28で加熱され、トナーが記録媒体22上に定着する。エンドレスベルト24上に付着したトナーは、クリーニング装置29で除去される。
【0037】
媒体搬送機構23で搬送される記録媒体22上にトナー像を形成するために、4つの作像プロセス部30a,30b,30c,30dが無端ベルト状の搬送手段であるエンドレスベルト24の経路に沿って配置されている。各作像プロセス部30a,30b,30c,30dは、感光体31a,31b,31c,31d、帯電器32a,32b,32c,32d、露光器33a,33b,33c,33d、現像器34a,34b,34c,34d、転写器35a,35b,35c,35d、クリーナ36a,36b,36c,36dをそれぞれ備えている。記録媒体22の搬送経路で、最上流側に位置する作像プロセス部30aは、たとえば黒のトナー像を形成する。次の作像プロセス部30bは、たとえばシアンのトナー像を形成する。次の作像プロセス部、すなわち最下流側に位置する作像プロセス部30dよりも1つ前の作像プロセス部30cは、たとえばマゼンタのトナー像を形成する。最下流側の作像プロセス部30dは、たとえばイエローのトナー像を形成する。
【0038】
各作像プロセス部30a,30b,30c,30dで、感光体31a,31b,31c,31dは、アルミニウムなどの金属素管の表面に光導電性材料による感光層が形成されている。コロナ放電器等から成る帯電器32a,32b,32c,32dによって、感光体31a,31b,31c,31dの表面は、一様に帯電される。露光器33a,33b,33c,33dは、LED(Light Emitting Diode)やLSU(Laser Scanning Unit)等から成り、光を照射して帯電された感光体31a,31b,31c,31dの表面に静電潜像を形成するように露光させる。現像器34a,34b,34c,34dは、感光体31a,31b,31c,31dの表面の静電潜像に対して、トナーを供給して顕像化させる。ここで用いられるトナーは、磁性を有する磁性トナーであっても、非磁性のトナーであってもよい。また、トナーにキャリアが混合されている2成分現像剤であっても、キャリアが混合されていない1成分現像剤であってもよい。現像方式も、接触法、非接触法等を用いることができる。
【0039】
転写器35a,35b,35c,35dでは、感光体31a,31b,31c,31dと対向する部位に、エンドレスベルト24が通過するように配置される。転写器35a,35b,35c,35dは、エンドレスベルト24に吸着された状態で搬送されるシート状の記録媒体22に、エンドレスベルト24の裏面側からトナーと逆極性の転写バイアスを印加してコロナ放電を生じさせ、感光体31a,31b,31c,31dに対して記録媒体22を密着させるとともに、トナー像を記録媒体22上に静電吸着させて転写させる。転写器35a,35b,35c,35dとしては、ローラ型、放電器型、ブラシ型等を使用することができる。
【0040】
転写搬送ベルトであるエンドレスベルト24は、表面に記録媒体22を静電吸着して搬送する。エンドレスベルト24の搬送速度は、各作像プロセス部30a,30b,30c,30dの感光体31a,31b,31c,31dの周速度と同一の速度となるように駆動ローラ25によって駆動される。エンドレスベルト24上に残留するトナーや記録媒体22から発生する紙粉等は、クリーニング装置29によって除去される。各転写器35a,35b,35c,35dへは、電源37から転写電圧が印加される。媒体搬送機構23と定着装置28との間には、記録媒体22を案内する定着ガイド38が設けられる。電源37と各転写器35a,35b,35c,35dとの間には、電圧調整手段39a,39b,39c,39dがそれぞれ設けられる。
【0041】
本実施形態のカラー画像形成装置21は、記録媒体22の搬送経路に沿って配置される複数の作像プロセス部30a,30b,30c,30dの転写器35a,35b,35c,35dに印加する転写電圧を、上流側から下流側にいくに従って、順次増大させる制御を行う。記録媒体22がPPC用紙などの紙の場合と、OHPシートなどの場合とでは、転写電圧の作像プロセス部30a,30b,30c,30d間での差を変え、OHPシートのときには紙の場合よりも差を大きくする。最下流側に位置する作像プロセス部30dでは、転写器35dに印加される転写電圧が最も高くなる。このため、環境の湿度が高いようなときには、転写器35dから定着ガイド38に記録媒体22を介して漏洩する電流が増大し、転写器35dでの転写電位が低下し、記録媒体22へのトナー像の転写効率が低下する。本実施形態では、定着ガイド38に漏洩する電流を、電流計41によって計測し、計測結果を制御部40に入力する。また、カラー画像形成装置21が設置されている環境の温度および湿度を温度・湿度センサ42によって計測し、制御部40に計測結果を入力する。
【0042】
カラー画像形成装置21の筺体内には、記録媒体22が複数枚積層されている状態で保持される用紙カセット43が備えられる。用紙カセット43に保持されている複数の記録媒体22のうち、最上段の記録媒体22はピックアップローラ44によって1枚ずつ分離され、用紙カセット43の外部に供給される。ピックアップローラ44によって1枚ずつ取出される記録媒体22は、案内部材27によって案内され、媒体搬送機構23に導かれる。案内部材27の終端には、記録媒体22を1枚ずつタイミングをとって媒体搬送機構23に供給するためにPS(Paper Stop)ローラ45が設けられる。なお、PSローラは、レジストローラとも称される。PSローラ45から媒体搬送機構23に供給される記録媒体22は、吸着ローラ46と従動ローラ26との間に供給される。吸着ローラ46は、エンドレスベルト24に記録媒体22を吸着させるための電荷を付与する。案内部材27は、電気的にフロート状態となることが好ましく、電気絶縁性材料で形成するか、あるいは記録媒体22の摺動による摩擦帯電を防止するために、導電性の材料から形成して接地させることが好ましい。
【0043】
エンドレスベルト24による用紙搬送方向の下流側には、エンドレスベルト24から剥離された記録媒体22が搬送される定着装置28が配置される。定着装置28は、トナー像を熱と圧力とによって記録媒体22上に固着させる。定着装置28は、通常加熱ローラと加圧ローラとを有する。定着装置28を経て記録媒体22は、カラー画像形成装置21の筺体外部へ排出される。エンドレスベルト24と定着装置28との間に設けられる定着ガイド38は、たとえば冷間圧延鋼板や亜鉛メッキ処理鋼板などから形成されている。電流計41は、定着ガイド38の表面抵抗値を計測することもできる。
【0044】
制御部40は、電流計41による定着ガイド38の表面抵抗値や定着ガイド38への漏洩電流が入力され、また温度・湿度センサ42によるカラー画像形成装置21が設置されている環境の温度および湿度を環境条件として入力する。制御部40は、各作像プロセス部30a,30b,30c,30dの転写器35a,35b,35c,35dに転写電圧を印加する経路に設けられる電圧調整手段39a,39b,39c,39dとしての可変抵抗器などを制御し、各転写器35a,35b,35c,35dに印加する転写電圧を個別に制御することが可能な構成を有している。
【0045】
制御部40は、通常、すなわち常温/常湿環境下では1層目のトナー像を転写する作像プロセス部30aの転写器35aに印加する転写電圧を最も低くし、2層目の転写器35b、3層目の転写器35c、4層目の転写器35dの順に所定の割合で高くなるように、電圧調整手段39a,39b,39c,39dをそれぞれ制御する。なお、1層目の転写器35aに印加する転写電圧、および層毎に高める割合は、使用する記録媒体22の種類によってそれぞれ調整する。特に、記録媒体22がOHPシートであるときには、温度・湿度センサ42の計測結果から、1層目の転写器35aと2層目の転写器35bとに印加する転写電圧の電位差、および2層目の転写器35bと3層目の転写器35cとに印加する転写電圧の差に比べ、3層目の転写器35cと4層目の転写器35dとに印加する転写電圧の電位差が大きくなるように、4層目の転写器35dに接続される電圧調整手段39dとしての可変抵抗器などの制御を行う。これによって、4層目の転写器35dへの転写電圧がOHPシートを介して定着ガイド38へリークしてしまって、このリークによる漏洩電流によって4層目の転写器35dでのトナー像の転写のための電位が不足し、転写が不良となる不具合を、リークによって減少する電圧を補って回避することができる。
【0046】
ここで制御部40は、高温/高湿環境であると判断するとき、すなわち温度・湿度センサ42の計測結果である温度と相対湿度との組合わせから絶対湿度を得て、その絶対湿度が予め定めた値を超えると、4層目の転写器35dに印加する転写電圧を高くする制御を行う。絶対湿度の予め定められる値は、OHPシートの表面抵抗値がリークを起こす程度まで低下する値であり、ここでは1×109Ω/□となる絶対湿度とする。ちなみに、常温/常湿環境におけるOHPシートの表面抵抗値は、1×1011Ω/□である。
【0047】
さらに制御部40では、定着ガイド38の表面抵抗値を電流計41によって計測した結果を元に、3層目の転写器35cと4層目の転写器35dとに印加する転写電圧間の差を、その他の層の転写器に印加する転写電圧との差よりも大きくする程度を可変するようにしている。すなわち、定着ガイド38の表面抵抗値が低い場合は、4層目の転写器35dでの転写工程実行時にリークによる電圧低下が発生しやすいので、3層目の転写器35cでの転写実行時の転写電圧と、4層目の転写実行時の転写電圧との電位差が大きくなるように設定し、転写不良を防止するようにしている。これに対して、定着ガイド38の表面抵抗値が充分に大きい場合は、4層目の転写器35dによる転写工程の実行時の転写電圧との電位差を比較的小さく設定することができる。4層目の転写器35dでの転写電圧の大きさを変える基準となる定着ガイド38の表面抵抗値の基準値は、たとえば1×102Ω/□とする。このように、定着ガイド38の表面抵抗値が高い値を有してリークのおそれが少ない場合は、4層目の転写器35dに印加する転写電圧を必要以上に高くしないようにすることができ、感光体31dでのピンホール発生を低減し、また電源37に用いる高圧トランスの負荷の低減およびエネルギの浪費を抑えることができる。
【0048】
図2は、最下流側の位置の転写器35dから定着装置28までの付近の部分的な構成を示す。記録媒体は、経路22aに沿って搬送され、定着ガイド38で支持されて、転写器35dから定着装置28にかけて位置する状態が生じる。このとき、漏洩電流が多いと、感光体31dに担持されているトナーの転写効率が低下してしまう。これを防ぐため、転写転圧を上昇させる。
【0049】
図3は、各作像プロセス部30a,30b,30c,30dに印加する転写電圧の差と定着ガイド38の表面抵抗値との対応関係の一例を示す。制御部40には、図3に示すような対応関係がデータとして予め設定され、電流計41によって計測される定着ガイド38の表面抵抗値に基づいて、転写電圧差が設定され、各電圧調整手段39a,39b,39c,39dが調整されて、各転写器35a,35b,35c,35dに転写電圧が印加される。
【0050】
次の表1は、1層目〜4層目の作像プロセス部30a〜30dの転写器35a〜35dに印加する転写電圧の一例を、図5に示す従来のカラー画像形成装置21と比較して示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003600102
【0052】
なお、4層目における本発明の転写電圧は、定着ガイド38の表面抵抗値が前述の基準値よりも高い場合には従来の転写電圧と同様の3.5kVとなり、表面抵抗値が基準値よりも低い場合には5.0kVとなる。本願発明者が鋭意検討を行った結果、第3層目と第4層目との転写電圧差は、第1層目と第2層目、第2層目と第3層目との転写電圧差の3.5〜4.5倍程度が好ましいことが判明している。3.5倍以下とすると、第4層目の転写不良を効率よく改善することができず、転写不良が発生する。また4.5倍以上とすることは、もちろん可能ではあるけれども、その場合電源37の容量をアップする必要が生じるため、コストが上昇するので好ましい上限を4.5倍とする。
【0053】
表2は、1層目〜4層目の作像プロセス部30a〜30dの転写器35a〜35dに印加する転写電圧の他の例を示す。
【0054】
【表2】
Figure 0003600102
【0055】
本発明では、転写電圧の電圧差を従来と同様に0.5kVとしているけれども、全体的に転写電圧を0.5kVだけ低くしている。定着ガイド38の表面抵抗値が前述の基準値よりも低い場合は、4層目の転写電圧を4.5kVに増大させている。すなわち、第1層目から第3層目にかけての転写電圧を従来の転写電圧に比較して相対的に低めの設定とし、各層間の転写電圧差を確保しながら、第3層目と第4層目との間の転写電圧差も充分に確保することができるようにしている。このように、上流側に位置する転写工程での転写電圧の設定を低めにすることにより、層数が増すにつれて転写電圧を増大させても結果的に第4層目の転写電圧を小さくすることができる。これによって、第4層目の作像プロセス部30dの感光体31dに発生するピンホールを低減し、また電源37の高圧トランスの負荷を低減することができる。さらに、第4層目の作像プロセス部30dの転写器35dに印加する転写電圧は変えずに、第3層目以前に印加する転写電圧を、漏洩増大時に低下させるようにしても、同様な結果を得ることができる。
【0056】
図4は、本発明の実施の他の形態としてのカラー画像形成装置51の主要部の構成を示す。本実施形態で、図1に示す実施形態に対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明を省略する。本実施形態では、無端ベルト状の転写搬送ベルトであるエンドレスベルト24へ記録媒体22を導くための案内部材としての案内部材27の後半部分に、導電性の用紙ガイド52を設け、用紙ガイド52と接地との間に流れる電流を電流計53によって検出する。制御部54には、電流計53によって検出される用紙ガイド52への漏洩電流が入力される。漏洩電流は、高温/高湿の環境下で記録媒体22の表面抵抗値が低下し、記録媒体22を介して最上流側の作像プロセス部30aの転写器35aと用紙ガイド52との間に流れる漏洩電流が増大すると大きくなる。すなわち、電流計53が計測する漏洩電流によって、高温/高湿環境の検出を行うことができる。ここで制御部54は、計測した漏洩電流値によって、記録媒体22の表面抵抗値が1×109Ω/□以下であると判断すると、高温/高湿環境であると判断し、4層目の転写器35dに印加する転写電圧を高くする制御を行う。
【0057】
本実施形態では、使用される記録媒体22で実際に生じる電流漏洩量を計測するので、図1に示す実施形態の構成に比べ、リークが起こるか否かの判断をより正確に行い、適切な制御が可能となる。また、記録媒体22の搬送経路のできるだけ上流側で漏洩電流を計測することができるので、転写工程でトナーが転写される前の記録媒体22単独の表面抵抗値を計測することができ、より正確に転写器35dへ印加する転写電圧の制御が可能となり、安定した画像を得ることができる。
【0058】
本実施形態では、用紙ガイド52に漏洩する電流を検出しているけれども、同様に、PSローラ45と1層目の転写器35aとの間に漏洩する電流を計測することもできる。また、転写駆動ローラとしての従動ローラ26と1層目の転写器35aとの間に漏洩する電流を検出しても同様に制御を行うことができる。また、吸着ローラ46と1層目の転写器35aとの間に漏洩する電流値を計測しても、同様の制御を行うことができる。さらに、吸着ローラ46と従動ローラ26との間に漏洩する電流を計測しても、同様の制御を行うことができる。
【0059】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、湿度のなどの環境の変化で電気的な漏洩が大きくなっても、複数配列される作像プロセス部のうち転写電圧が最も高くなる最下流側に位置する作像プロセス部に印加する転写電圧を増大するように制御するので、電気的な漏洩が大きくなっても、最も高い転写電圧を印加する最下流側に位置する作像プロセス部での転写効率の低下を避けて、安定したカラー画像を形成することができる。
【0060】
また本発明によれば、電気的漏洩の増大を、温度および湿度の計測に基づいて判断するので、湿度の増加による電気的漏洩の増加を確実に計測して転写効率の低下を避けることができる。
【0061】
また本発明によれば、搬送機構に漏洩する電流を計測して電気的漏洩による転写効率の低下を回避することができる。
【0062】
また本発明によれば、記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送手段に記録媒体を案内する案内部材との間に漏洩する電流を計測して、電気的漏洩の増大による転写効率の低下を避ける制御を行うことができる。
【0063】
また本発明によれば、記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送手段に記録媒体を1枚ずつ供給するPSローラとの間に漏洩する電流を計測して、電気的漏洩の増大による転写効率の低下を避ける制御を行うことができる。
【0064】
また本発明によれば、搬送機構の転写吸着ローラに最上流側の作像プロセス部から漏洩する電流を計測して、電気的な漏洩の増大による転写効率の低下を避けるような制御を行うことができる。
【0065】
また本発明によれば、搬送機構の転写駆動ローラと転写吸着ローラとの間に漏洩する電流を計測して、電気的な漏洩の増大で転写効率が低下するのを回避する制御を行うことができる。
【0067】
また本発明によれば、電気的漏洩に関連する物理量が基準量に対して漏洩が増大する側に移行しないときには、物理量が漏洩が減少する側に移行するに従って最下流側に位置する作像プロセス部に印加する転写電圧が低減するように制御するので、記録媒体の搬送中のジャムなどを防いで安定してカラー画像の転写を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のカラー画像形成装置21の主要部の構成を示す簡略化した断面図である。
【図2】図1の媒体搬送機構23と定着装置28との近傍の部分的な構成を示す断面図である。
【図3】定着ガイド38の表面抵抗値と作像プロセス部30a〜30d間の転写電圧差との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の他の形態のカラー画像形成装置51の主要部の構成を示す簡略化した断面図である。
【図5】従来からのカラー画像形成装置1の主要部の構成を示す簡略化した断面図である。
【符号の説明】
21,51 カラー画像形成装置
22 記録媒体
23 媒体搬送機構
24 エンドレスベルト
25 駆動ローラ
26 従動ローラ
27 案内部材
28 定着装置
30a,30b,30c,30d 作像プロセス部
31a,31b,31c,31d 感光体
35a,35b,35c,35d 転写器
37 電源
38 定着ガイド
39a,39b,39c,39d 電圧調整手段
40,54 制御部
41,53 電流計
42 温度・湿度センサ
45 PSローラ
46 吸着ローラ
52 用紙ガイド

Claims (9)

  1. シート状の記録媒体を個別に搬送する搬送機構に沿って、カラー画像の成分となる複数色の各色で現像剤の画像を形成する作像プロセス部を順次配置し、各色の現像剤の画像を順次記録媒体上に静電的に転写して、該記録媒体上にカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、
    転写の際生じる電気的な漏洩に関連する物理量を計測する計測手段と、
    各作像プロセス部に対して、記録媒体の搬送方向の上流側から下流側に、現像剤を静電的に記録媒体上に転写するための電界が順次増大するように、転写電圧を印加する電源と、
    電源から最下流側の位置に配置される作像プロセス部に印加する転写電圧と、該最下流側の位置よりも1つ前の位置に配置される作像プロセス部に印加する転写電圧との差を、物理量が予め定められる基準量に対して電気的な漏洩の増大に対応する側に移行するときに該物理量が該基準量に対して漏洩の増大に対応する側に移行しないときよりも増大させるように、該最下流側の位置に配置される作像プロセス部に印加する転写電圧を増大させる制御を行う制御手段とを含むことを特徴とするカラー画像形成装置。
  2. 前記計測手段は、前記物理量として温度および湿度を計測し、
    前記制御手段では、前記基準量が予め定める高温/高湿環境に対応して設定されていることを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
  3. 前記計測手段は、前記物理量として、前記記録媒体を介して前記搬送機構で漏洩する電流を計測し、
    前記制御手段では、前記基準量として、予め定める電流値が設定されていることを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
  4. 前記搬送機構は、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体を搬送手段に案内する案内部材とを含み、
    前記計測手段は、最上流側の位置に配置される作像プロセス部から案内部材に漏洩する電流を計測することを特徴とする請求項3記載のカラー画像形成装置。
  5. 前記搬送機構は、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体を搬送手段に1枚ずつ供給するPSローラとを含み、
    前記計測手段は、最上流側の位置に配置される作像プロセス部からPSローラに漏洩する電流を計測することを特徴とする請求項3記載のカラー画像形成装置。
  6. 前記搬送機構は、前記記録媒体を搬送する無端ベルト状の搬送手段と、搬送手段を張架して駆動する転写駆動ローラとを含み、
    前記計測手段は、最上流側の位置に配置される作像プロセス部から転写駆動ローラに漏洩する電流を計測することを特徴とする請求項3記載のカラー画像形成装置。
  7. 前記搬送機構は、前記記録媒体を静電的に吸着して搬送する無端ベルト状の搬送手段と、記録媒体に吸着用の電荷を与える転写吸着ローラとを含み、
    前記計測手段は、最上流側の位置に配置される作像プロセス部から転写吸着ローラに漏洩する電流を計測することを特徴とする請求項3記載のカラー画像形成装置。
  8. 前記搬送機構は、前記記録媒体を静電的に吸着して搬送する無端ベルト状の搬送手段と、搬送手段を張架して駆動する転写駆動ローラと、転写駆動ローラとの間で記録媒体を挟み、記録媒体に吸着用の電荷を与える転写吸着ローラとを含み、
    前記計測手段は、転写駆動ローラと転写吸着ローラとの間に漏洩する電流を計測することを特徴とする請求項3記載のカラー画像形成装置。
  9. 前記制御手段は、前記物理量が前記基準量に対して前記漏洩増大に対応する側に移行しないとき、該物理量が漏洩の減少に対応する側に移行するに従って、前記転写電圧の差が小さくなるように、前記電源から前記最下流側の位置に配置される作像プロセス部に印加する転写電圧を低減させる制御を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のカラー画像形成装置。
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