JP6897410B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
これに対して、モノクロモード時には、複数の感光体ドラムのうち黒色用の感光体ドラムに形成されたトナー像のみが、中間転写ベルトの表面に1次転写されてモノクロのトナー像が形成される。そして、中間転写ベルトに担持されたモノクロのトナー像は、2次転写ニップの位置に搬送されるシートに2次転写される。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2(A)はそのカラー用の作像部6Y、6M、6Cの一部を示す拡大図であり、図2(B)はその黒用の作像部6Kの一部を示す拡大図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、中間転写体として中間転写ベルト8が設置されている。また、中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、黒色)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
ただし、図2(B)に示すように、黒色用の作像部6Kにはプレ転写チャージャ14が設置されている点が、図2(A)に示すように、プレ転写チャージャ14が設置されていないカラー用の3つの作像部6Y、6M、6Cと異なる。
以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの共通する構成部材の説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での幅方向(図1、図2の紙面垂直方向であって、主走査方向である。)の露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト8の表面に1次転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
ここで、クリーニング部2Yの内部には、潤滑剤供給ローラ3a、固形潤滑剤3b、圧縮スプリング3cなどからなる潤滑剤供給装置3(感光体用潤滑剤供給装置)が内設されている。そして、図2の時計方向に回転する潤滑剤供給ローラ3aによって、固形潤滑剤3bから潤滑剤が少量ずつ削られて、潤滑剤供給ローラ3aによって感光体ドラム1Yの表面に潤滑剤が供給されることになる。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
その後、各現像部5M、5C、5Kによる現像工程を経て各感光体ドラム1M、1C、1K上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
なお、図2(B)に示すように、黒色用の作像部6Kにはプレ転写チャージャ14が設置されていて、黒色用の感光体ドラム1Kの表面に形成されたトナー像(現像工程後であって1次転写工程前のトナー像である。)を帯電可能に構成されているが、これについては後で詳しく説明する。
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の極性の転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8の表面に重ねて1次転写される(1次転写工程である。)。
さらに、中間転写ベルト8は、中間転写潤滑剤供給装置としての潤滑剤供給装置30の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の表面に潤滑剤が供給される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPが第1搬送経路K1を経由してレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
その後、シートPは、第2搬送経路K2を経由して、排紙ローラ対によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成動作(プリント動作)が完了する。
現像部5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51と、現像ローラ51に対向するドクターブレード52と、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55と、現像剤中のトナー濃度を検知するトナー濃度センサ56と、等で構成される。現像ローラ51は、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。
現像ローラ51のスリーブは、図2(A)の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51上を移動する。ここで、現像部5Y内の現像剤Gは、現像剤G中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。具体的に、現像部5Yに設置されたトナー濃度センサ56によってトナー濃度が低い状態が検知されたときには、トナー濃度が所定の範囲内になるように、トナー容器58から現像部5Y内に新品トナーが補給される。
その後、トナー容器58から現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55によって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51上に担持される。
なお、トナー容器58は、現像部5Y(画像形成装置100)に対して着脱可能(交換可能)に設置されている。そして、トナー容器58は、その内部に収容された新品のトナーが空になると、現像部5Y(画像形成装置100)から取り外されて新品のものに交換されることになる。
図3を参照して、中間転写ベルト装置は、中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K(1次転写部材) 、駆動ローラ16、従動ローラ17、転写前ローラ18、テンションローラ19、クリーニング対向ローラ20、潤滑剤対向ローラ21、バックアップローラ22、中間転写クリーニング部10、中間転写潤滑剤供給装置としての潤滑剤供給装置30、2次転写部材としての2次転写対向ローラ80、2次転写装置69、等で構成される。
中間転写ベルト8は、各色のトナー像をそれぞれ担持する4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに当接して1次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8は、主として8つのローラ部材(駆動ローラ16、従動ローラ17、転写前ローラ18、テンションローラ19、クリーニング対向ローラ20、潤滑剤対向ローラ21、バックアップローラ22、2次転写対向ローラ80、である。)によって張架され支持されている。
中間転写ベルト8の基層は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)などに、金属酸化物、カーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などの電気抵抗調整材を分散させたものである。中間転写ベルト8の基層は、層厚が30〜150μm、体積抵抗率が106〜1012Ωcm、表面抵抗が108〜1010Ω/□の範囲となるように調整されている。
中間転写ベルト8の弾性層は、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系などのエラストマー材料や、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴムなどのゴム材料や、ポリウレタン系、シリコーン系、エポキシ系などの樹脂で形成されている。中間転写ベルト8の弾性層は、層厚が200μm〜2mm程度に設定されている。
また、本実施の形態では、中間転写ベルト8の弾性層に、平均粒径が100μm以下の複数の粒子が分散されていて、その外周面に複数の凹凸が形成されている。このように弾性層に分散させる粒子としては、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂などからなる真球状の樹脂粒子を用いることができる。
マイクロゴム硬度は、「マイクロゴム硬度計MD−1」(高分子計器株式会社製)を用いて、所定圧での押針の押し付けによって中間転写ベルト8を変形させながら、押針の押し込み深さを測定して、その結果に基づいて求めたものである。押針としては、直径が0.16mmのタイプAを用いた。測定環境は、温湿度23℃50%に設定した。
このように低硬度の中間転写ベルト8を用いることで、和紙などのように表面の凹凸が大きなシートPが通紙された場合であっても、シートPの凹凸に沿うように中間転写ベルト8の弾性層が変形して密着するため、中間転写ベルト8上に担持されたトナー像をシートP上に良好に2次転写することができる。
2次転写対向ローラ80と潤滑剤対向ローラ21との間には、中間転写ベルト8を介してクリーニング対向ローラ20に当接するように中間転写クリーニング部10(クリーニングブレード)が設置されている。
クリーニング対向ローラ20とテンションローラ19との間には、中間転写ベルト8を介して潤滑剤対向ローラ21に当接するように潤滑剤供給装置30(中間転写潤滑剤供給装置)が設置されている。潤滑剤供給装置30は、感光体ドラム用の潤滑剤供給装置3と同様に、潤滑剤供給ローラ、固形潤滑剤、圧縮スプリングなどからなる。そして、図3の反時計方向に回転する潤滑剤供給ローラによって、固形潤滑剤から潤滑剤が少量ずつ削られて、潤滑剤供給ローラによって中間転写ベルト8の表面に潤滑剤が供給されることになる。
駆動ローラ16を除くローラ部材17〜22、80は、いずれも、中間転写ベルト8の走行にともない図3の時計方向に従動回転する。
図3を参照して、2次転写装置69は、2次転写ベルト72、2次転写ローラ70、分離ローラ71、2次転写ブレード73、等で構成される。
2次転写ベルト72は、複数のローラ部材(2次転写ローラ70と分離ローラ71とである。)に張架・支持された無端ベルトであって、中間転写ベルト8とほぼ同じ材料で形成されている。2次転写ベルト72は、中間転写ベルト8に当接して2次転写ニップを形成するとともに、2次転写ニップから送出されたシートPを搬送するものである。
また、2次転写ローラ70は、制御部90によって制御されるモータMt2(駆動手段)によって図3の反時計方向に回転駆動されて、2次転写ベルト72を図3の反時計方向に回転(走行)させるとともに、分離ローラ71を図3の反時計方向に従動回転させる。すなわち、モータMt2は、ベルト部材としての2次転写ベルト72を所定方向に走行させる駆動手段として機能することになる。
ここで、本実施の形態では、2次転写ローラ70と分離ローラ71との2つのローラ部材によって2次転写ベルト72を張架するように構成したが、3つ以上のローラ部材によって2次転写ベルト72を張架・支持するように構成することもできる。
先に、図3等を用いて説明したように、画像形成装置100には、所定方向(図3の時計方向)に走行する中間転写体としての中間転写ベルト8や、複数の感光体としての感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kや、複数の1次転写部材としての1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kや、2次転写部材としての2次転写対向ローラ80、などが設置されている。
複数の1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K(1次転写部材)は、複数の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの表面にそれぞれ形成されたトナー像を中間転写ベルト8の表面にそれぞれ1次転写するためのものである。
なお、本実施の形態では、制御部90による電源部91の制御によって、所定のタイミングで2次転写バイアスの絶対値の大きさが可変されるように構成しているが、これについては後で詳しく説明する。
また、画像形成装置100には、プレ転写チャージャ14に電圧(トナーの極性と同極性の電圧である。)を印加する電源93が設置されている。なお、本実施の形態では、制御部90による電源93の制御によって、所定のタイミングでプレ転写チャージャ14に電圧を印加したり印加しなかったり(1次転写工程前のトナー像を帯電したり帯電しなかったり)切り替えられるように構成されている。
プレ転写チャージャ14によって帯電されたトナー像(現像工程後であって1次転写工程前のトナー像である。)は、帯電しないトナー像に比べて、帯電量(Q/M)の絶対値が高い状態で2次転写工程がおこなわれることになるため、2次転写工程における転写率が低下してしまうようなときに、転写率の低下を防ぐことができる。
すなわち、図5に示すように、フルカラーモード時にはプレ転写チャージャ14がオンされて黒色用の感光体ドラム1K上において1次転写工程前のトナー像の帯電量の絶対値が高められて、モノクロモード時にはプレ転写チャージャ14がオフされて黒色用の感光体ドラム1K上において1次転写工程前のトナー像の帯電量の大きさは他色(YMC)とほぼ同等のものとなる。
これは、フルカラーモード時には4色のトナー像をシートPに2次転写しなければならないため、1色のトナー像をシートPに2次転写するモノクロモード時に比べて、転写性を上げる必要があるためである。
これに対して、モノクロモード時には、図4に示すように、カラー用の3つの1次転写ローラ9Y、9M、9Cが移動機構(例えば、カム機構などである。)によって黒矢印方向に移動されて、中間転写ベルト8が、カラーの感光体ドラム1Y、1M、1Cに対して離間して、黒色用の感光体ドラム1Kにのみ接触して1次転写ニップが形成されることになる。このような状態で画像形成動作をおこなうことで、モノクロモード時に不要となるカラー用の作像部6Y、6M、6Cの消耗を軽減することができる。
なお、モノクロモードとフルカラーモードとの切り替えは、ユーザーの操作表示パネル92(図1、図3参照)の操作でおこなわれることになる。
具体的に、本実施の形態では、モノクロモード時にはプレ転写チャージャ14をオフしていても、2次転写工程におけるトナー像の転写率が低下してシートP上に形成されるモノクロ画像の画像濃度が薄くなってしまうようなことはないが、フルカラーモード時にもプレ転写チャージャ14をオフしてしまうと、2次転写工程における黒色のトナー像の転写率のみが低下してシートP上に形成されるカラー画像における黒色のみ画像濃度が薄くなってしまう。
なお、フルカラーモード時に他のカラーのトナー像もプレ転写により帯電してしまったり、モノクロモード時にも黒色のトナー像をプレ転写により帯電してしまったりすると、いずれも、それらのトナー帯電量が過多になりチリ状のトナーの飛び散り(トナーチリ)が生じてしまうため、そのようなプレ転写はおこなわないようにしている。
プレ転写チャージャ14を用いてプレ転写すると、感光体ドラム1K上のトナー像の帯電量が増して、1次転写工程後の中間転写ベルト8上のトナー像の帯電量も増すことになる。そして、中間転写ベルト8上のトナー像の帯電量が増すことで、画像(特に、ハーフトーン画像である。)を2次転写するときに過充電による転写率低下を防止することができて、転写性を向上させることができる。
しかし、感光体ドラム1K上のトナー像の帯電量が増加し過ぎると、トナー像におけるトナーの飛び散りが発生して、画像品質が低下してしまう。そのため、画像(特に、ハーフトーン画像である。)の転写性が問題となるフルカラーモードでのみ、プレ転写チャージャ14によるプレ転写をおこなっている。
上述したように、黒色用の作像部6Kは、中間転写ベルト8の最下流側に配置されている。そのため、フルカラーモード時に、中間転写ベルト8上に1次転写された黒色トナー像は、他の1次転写ニップを通過することがなく、他のカラートナー像に比べて、低帯電のまま2次転写工程がおこなわれてしまうことになり、2次転写工程において黒色トナー像のみ過転写となり画像(特に、コート紙におけるハーフトーン画像である。)上で薄くなってしまいやすい。特に、本実施の形態では、先に説明したように、フルカラーモード時の2次転写バイアスがモノクロモード時のものよりも高く設定されているため、そのような現象が、フルカラーモード時に顕著になり、モノクロモード時には生じにくくなる。
トナーは、その色によって体積抵抗が異なっている。特に、黒色トナーはカーボンにより着色されているため、カラートナーに比べて体積抵抗が低くなる。そして、黒色トナーは、体積抵抗が低いため、帯電保持しにくいという性質がある。これは、体積抵抗が下がることにより、見かけ上の静電容量が減少するためである。そのため、黒色トナーは、帯電量が低下しやすく、ハーフトーン画像などの転写性が他の色に比べて低下しやすい。そのため、黒色トナーのみプレ転写することが有用になる。
このようなことからも、本実施の形態では、黒色の作像部6Kにのみプレ転写チャージャ14を設置している。
図7は、2次転写対向ローラ80に印加される2次転写電流(2次転写バイアス)と、2次転写工程における転写率と、の関係を示すグラフである。
図7(A)において、グラフS1は、プレ転写チャージャを設置しないでモノクロモードで黒色ハーフトーン画像を形成したときのもので、グラフS2は、プレ転写チャージャを設置しないでフルカラーモードで青色ベタ画像を形成したときのもので、グラフS3は、中間転写ベルト8の最下流に4色用のプレ転写チャージャを設置してモノクロモードで黒色ハーフトーン画像を形成したときのもので、グラフS4は、中間転写ベルト8の最下流に4色用のプレ転写チャージャを設置してフルカラーモードで青色ベタ画像を形成したときのものである。
図7(B)において、グラフS1は、プレ転写チャージャを設置しないでモノクロモードで黒色ハーフトーン画像を形成したときのもので、グラフS5は、黒色用感光体ドラム1Kに対向する位置にプレ転写チャージャ14を設置してモノクロモードで黒色ハーフトーン画像を形成したときのもので、グラフS6は、黒色用感光体ドラム1Kに対向する位置にプレ転写チャージャ14を設置してフルカラーモードで青色ベタ画像を形成したときのものである。
図7(A)に示すように、中間転写ベルト8の最下流に4色用のプレ転写チャージャを設置すると、黒色のハーフトーン画像を転写する最適な転写バイアスを上げる(過転写を防止する)ことができるが、黒色のハーフトーン以外の画像(図7(A)の例では青色ベタ画像である。)を転写する最適な転写バイアスも上がるため、黒色ハーフトーン画像と青色ベタ画像とが両立する範囲は変わらない。具体的に、青色ベタ画像の転写性を優先して、青色ベタ画像の転写性を85%に設定すると、黒色ハーフトーン画像の転写性が50%になる。
これに対して、図7(B)に示すように、本実施の形態のもののように黒色用感光体ドラム1Kに対向する位置にプレ転写チャージャ14を設置すると、青色ベタ画像の転写性は変わらずに、黒色ハーフトーン画像の転写性が上がるため、黒色ハーフトーン画像と青色ベタ画像とが両立する範囲が広がる。具体的に、青色ベタ画像の転写性を優先して、青色ベタ画像の転写性を85%に設定すると、黒色ハーフトーン画像の転写性が70%にまで上がることになる。
すなわち、フルカラーモード時であってコート紙が通紙される場合には黒色用の作像部6Kにおけるプレ転写チャージャ14がオンされて、フルカラーモード時であってコート紙以外のシートPが通紙される場合やモノクロモード時にはプレ転写チャージャ14がオフされるように制御することができる。
これは、先に説明したフルカラーモード時における黒色トナー像の画像濃度低下は、コート紙を通紙したときに顕著になるためである。
本実施の形態において、低硬度の中間転写ベルト8を用いて、平滑性の高いシートP(コート紙)が通紙されるときにプレ転写チャージャ14によるプレ転写をおこなうことで、凹凸の大きなシートPに対する転写性も、平滑性の高いシートPに対する転写性も、向上させることができる。
そして、そのような場合に、低硬度の中間転写ベルト8を用いて、コート紙以外のシートP(例えば、エンボス紙、上質紙などの普通紙、などである。)が通紙されるときにもプレ転写チャージャ14によるプレ転写をおこなってしまうと、トナーの飛び散り(トナーチリ)が顕在化して、かえって画質が低下してしまう可能性がある。したがって、そのような場合には、フルカラーモード時であっても、コート紙以外のシートPが通紙される場合には、モノクロモード時と同様に、プレ転写チャージャ14がオフされるように制御することが好ましい。
詳しくは、紙種センサ99(紙種検知手段)は、給紙部26の近傍の搬送ガイド板に対向するように配置された光学センサである。そして、紙種センサ99は、給紙部26から給送されて搬送ガイド板に密着しながら搬送されるシートPに光を照射して、シートPの表面で反射する光量からシートPの平滑性(紙種)を検知する。すなわち、紙種センサ99によって通紙されるシートPがコート紙であるか否かが検知されることになる。そして、その検知結果に基づいて、上述したプレ転写チャージャ14のオン・オフ制御がおこなわれることになる。なお、紙種センサ99の設置位置は、給紙部26の近傍に限定されることなく、給紙部26であっても、給紙部26から離れた搬送経路中であっても良い。
また、通紙されるシートPの紙種の検知は、装置本体100の外装部に設置された操作表示パネル92(図1、図3参照)を用いることもできる。具体的に、ユーザーによる操作表示パネル92(例えば、紙種を選択するようなタッチボタンが表示されている。)の操作によって、給紙部26にセットされたシートPに関する情報が入力されることにより、制御部90で用紙Pの紙種が検知されることになる。
すなわち、フルカラーモード時であってコート紙が通紙される場合には黒色用の作像部6Kにおけるプレ転写チャージャ14が高電圧でオンされて、フルカラーモード時であってコート紙以外のシートPが通紙される場合には黒色用の作像部6Kにおけるプレ転写チャージャ14が低電圧でオンされて、モノクロモード時にはプレ転写チャージャ14がオフされるように制御することができる。
これも、フルカラーモード時における黒色トナー像の画像濃度低下が、コート紙を通紙したときに顕著になるためである。
図8において、縦軸の画像ランクは、トナーチリ(トナー飛散)の発生状況と、ハーフトーン転写性(画像濃度の低下)の状況と、をそれぞれ5段階に分けて評価したランクであって、ランク1が最も悪いレベルで、ランク3が許容できるレベルで、ランク5が最も良く未発生のレベルである。また、図8において、○グラフはトナーチリに関するグラフであり、■グラフは2次転写するシートPとしてコート紙「PODグロスコート(128gsm)」を用いたときのハーフトーン転写性に関するグラフであり、●グラフは2次転写するシートPとしてコート紙以外の普通紙「リコー タイプ6000(80gsm)」を用いたときのハーフトーン転写性に関するグラフである。ハーフトーン転写性については、単色のハーフトーン画像(2×2のドット)にて判定した。 また、トナーチリについては、トナー量400%(各色トナー像がそれぞれ100%のベタ画像)、20mm四方のパッチ画像をシートPに転写して判定した。
図8の実験結果から、コート紙において、プレ転写チャージャ14に印加する電圧がトナーと同極性(マイナス極性)で絶対値が4.0kVを超えると、ハーフトーン転写性に関するランクが許容できるレベルまで上昇して、コート紙に対する画像のハーフトーン転写性が改善することがわかる。これに対して、普通紙においては、1.0kV以上でランク5となることがわかる。その反面、プレ転写チャージャ14に印加する電圧がトナーと同極性(負極性)で絶対値が4.0kVを超えると、トナーチリ(トナー飛散)が認められて、印加電圧が高まる程、トナーチリによる画質低下が顕著になった。このようなことから、コート紙のハーフトーン転写性を防止するという観点からは、プレ転写チャージャ14への印加電圧がトナーと同極性(負極性)で絶対値が4.0kVを超えることが好ましいが、トナーチリによる画質低下を避けるのであれば、プレ転写チャージャ14に対しての印加電圧の絶対値をある程度以下に抑えることが必要になることがわかる。
具体的に、シートPとしてコート紙が通紙される場合には、プレ転写チャージャ14に印可する電圧を−4.0〜−5.5kVの範囲に設定して、シートPとしてコート紙以外のものが通紙される場合には、プレ転写チャージャ14に印可する電圧を−1.0〜−4.0kVの範囲に設定することが好ましい。
これにより、フルカラーモード時にも、モノクロモード時と同様に、2次転写工程におけるトナー像の転写率を良好に維持することができる。
また、本実施の形態では、2次転写装置として2次転写ベルト72を用いた画像形成装置100に対して、本発明を適用した。これに対して、2次転写装置として2次転写ローラを用いた画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、中間転写体としてベルト状の中間転写ベルト8を用いたが、中間転写体としてドラム状の中間転写ドラムを用いることもできる。また、感光体としてドラム状の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kを用いたが、感光体としてベルト状の感光体ベルトを用いることもできる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
8 中間転写ベルト(中間転写体)、
9Y、9M、9C、9K 1次転写ローラ(1次転写部材)、
14 プレ転写チャージャ(プレ転写装置)、
69 2次転写装置、
70 2次転写ローラ、
71 分離ローラ、
72 2次転写ベルト、
80 2次転写対向ローラ(2次転写部材)、
90 制御部、
91 電源部(2次転写電源)、
93 電源(プレ転写電源)、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)。
Claims (8)
- 所定の走行方向に走行する中間転写体と、
前記中間転写体の走行方向に沿って並設された複数の感光体と、
前記複数の感光体の表面にそれぞれ形成されたトナー像を前記中間転写体の表面にそれぞれ1次転写する複数の1次転写部材と、
前記複数の感光体のうち、少なくとも1つの感光体の表面に形成されたトナー像が前記中間転写体の表面に1次転写される前に、当該トナー像を帯電するプレ転写チャージャと、
前記プレ転写チャージャに電圧を印加する電源と、
前記複数の感光体の表面にそれぞれ形成したトナー像を1次転写して前記中間転写体の表面にフルカラーのトナー像を形成するフルカラーモードが実行される場合には、前記プレ転写チャージャに電圧が印加されるように前記電源を制御して、前記複数の感光体のうち黒色用の感光体の表面に形成したトナー像のみを1次転写して前記中間転写体の表面にモノクロのトナー像を形成するモノクロモードが実行される場合には、前記プレ転写チャージャに電圧が印加されないように前記電源を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記少なくとも1つの感光体は、前記黒色用の感光体であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記中間転写体の表面に1次転写されたトナー像を2次転写ニップの位置でシート上に2次転写するための2次転写部材を備え、
前記黒色用の感光体は、前記複数の感光体のなかで、前記2次転写ニップの位置を基準にして前記中間転写体の走行方向最下流側に設置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。 - 前記中間転写体の表面に1次転写されたトナー像を2次転写ニップの位置でシート上に2次転写するための2次転写部材と、
前記2次転写部材に対して直流電圧と交流電圧とが重畳された2次転写バイアスを印加する電源部と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、前記フルカラーモード時には、前記モノクロモード時に比べて、前記2次転写部材に印可する2次転写バイアスの絶対値が高くなるように前記電源部を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、シートとしてコート紙が通紙される場合には前記プレ転写チャージャに電圧が印加されるように前記電源を制御して、シートとしてコート紙以外のものが通紙される場合には前記プレ転写チャージャに電圧が印加されないように前記電源を制御することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、シートとしてコート紙が通紙される場合に、シートとしてコート紙以外のものが通紙される場合に比べて、前記プレ転写チャージャに印可する電圧の絶対値が高くなるように前記電源を制御することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記中間転写体は、マイクロゴム硬度が100未満になるように形成された中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
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