JP3598840B2 - 加工芯材用メタクリル酸メチル系樹脂発泡体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、FRPの加工芯材用発泡体に係わり、詳細にはポリエステル樹脂などを用いた繊維強化樹脂( 以下FRPと称する) を加工芯材としての発泡体に貼合し複合体を構成するに適したFRPの加工芯材用メタクリル酸メチル系樹脂発泡体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
厚みと強度のバランスに優れた構造体として発泡体にFRP(強化プラスチック)を貼合した製品が使用されている。これらに使用される発泡体は、従来ポリウレタンやポリ塩化ビニルの発泡体が用いられているが、廃棄物処理時の環境問題への懸念より、これらの発泡体に変わるものの要望が高まりつつある。
またFRP材料としてポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂を使用したものはスチレンモノマーを含有するため、これら樹脂とガラス繊維等よりなるFRPの芯材となる発泡体は耐スチレン溶剤性が要求される。
メタクリル酸メチル重合体は、燃焼しても煤煙が発生しにくいために、これを発泡体として芯材に使用できれば上記の問題の対策となるが、メタクリル酸メチル重合体の発泡は一般に難しく、溶融時の伸長粘度と剪断粘度が発泡挙動に対して不適格であり、気泡の保持能力が不十分である。このため十分に発泡しないばかりでなく、発泡セルが不均一となり、得られた発泡体の表面の凸凹が多く平滑な表面となし難く、且つ若干発泡しても気泡の収縮が激しく商品価値を有する発泡体を得ることが困難であった。
特開昭50−127990号公報には、粒径制御のために熱可塑性重合体粒子を分散剤を含む水中に懸濁せしめ、これに重合開始剤のもとにメタクリル酸エステル系単量体を熱可塑性重合体に対し特定の割合となるよう滴下させ重合することにより、得られる重合体粒子の分子量分布の不均一を減少させ発泡性能を好適とする方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭50−127990号公報に記載の樹脂は、重合工程が繁雑で、また得られた樹脂粒子の発泡性能も必ずしも十分でない。
かかる事情に鑑み、本発明者はスチレンに対する薬品性(耐スチレン溶剤性という)に優れ、かつ廃棄物処理の一関である燃焼処理時に煤煙や燃焼排ガスに問題のないFRP心材用発泡体を見出すべく鋭意検討した結果、特定の分岐構造を有するメタクリル酸メチル系樹脂、或いはこれを含有してなる樹脂組成物を特定倍率で発泡してなる発泡体は、上記目的である耐スチレン溶剤性、廃棄物処理問題(燃焼処理時の有害排ガス問題)等のないことを見出し、本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、重量平均分子量が8万〜40万で、Z平均分子量を用いて規定される分岐点間分子量が3万〜50万である分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)を30〜100重量%、直鎖状メタクリル系樹脂(B)を0〜70重量%を含有するメタクリル酸メチル系樹脂組成物を発泡倍率10〜40に発泡してなるFRPの加工芯材用メタクリル酸メチル系樹脂発泡体を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)は、メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体およびこれと共重合可能な多官能単量体の重合体である。
メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体とは、メタクリル酸メチルの単独、またはメタクリル酸メチルを50重量%以上、好ましくは80重量%以上のメタクリル酸メチルと共重合可能な単官能単量体との混合物である。
メタクリル酸メチルが50重量%未満では、いわゆるメタクリル酸メチル重合体の特性である透明性、機械的強度が発現しにくい。
【0006】
共重合可能な単官能不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセロール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロール等のヒドロキシル基含有のエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドがある。ニトリル類には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有単量体;アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体が挙げられる。
【0007】
特に、メタクリル酸メチル80重量%以上、およびメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル0〜20重量%の組成の範囲のものが好ましい。
【0008】
メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルは、内部可塑化を行い発泡を容易にするが、20重量%を越えると得られる樹脂の耐熱性が低下し、発泡成形時に、収縮が生じ好ましくない。
【0009】
共重合可能な多官能単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の2価のアルコールの水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールまたはこれら多価アルコール誘導体をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;ジビニルベンゼン等のアルケニル基を2個以上有するアリール化合物等が挙げられる。
【0010】
本発明のビニルエステル樹脂またはポリエステル樹脂の加工芯材に適したメタクリル酸メチル系樹脂発泡体波、 分岐構造を有するメタクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が8万〜40万、好ましくは、15万〜30万であり、Z平均分子量(Mz)を用いて規定される分岐点間分子量(Mzb)が3万〜50万、好ましくは5万〜20万のものである。
【0011】
Mwが8万未満だと該樹脂の機械的強度が十分でなく、これを成分とするメタクリル酸メチル系樹脂組成物を発泡させた発泡体の強度も悪くなり、40万を越えて高いと押出し発泡の場合溶融粘度が高く押出し性能が悪く押し出せなくなり、発泡ビーズの場合には発泡ビーズの成形時の融着特性が悪くなる。
また、分岐点間分子量(Mzb)が50万を越えると、得られる樹脂の溶融延伸時の張力が劣りこれよりなる組成物の発泡性能が劣り、3万未満の場合は、機械的強度が劣ると共に成形品の外観にも劣る。
【0012】
ここでMw、Mzとは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)と示差屈折率計により求められた値である。
この求め方は、例えば1984年度版「高分子特性解析」(共立出版)24頁〜55頁に記載されている。
【0013】
分岐点間分子量とは、分岐構造を有するポリマーにおいて分岐点から次の分岐点までの分子量の平均値を意味する。
本発明では、この分岐点間分子量をMz値を用いて規定した。
このZ平均分子量を用いて規定する分岐点間分子量(Mzb)は、日本ゴム協会誌、第45巻、第2号、105〜118頁「キャラクタリゼーション」の記載に基づき下記の数式 数1、数2より算出される。
【0014】
【数1】
[(η1)/ (η2)]10/6 =[(1+Bz/6)0.5 +4Bz/3π]−0.5
【0015】
【数2】
Mzb=Mz/Bz
【0016】
上記の数式 数1において、η1 は、直鎖状メタクリル酸メチル重合体標準試料のGPC溶出時間に対する極限粘度と絶対分子量との積の関係を示す普遍較正曲線を用いて得られる測定対象の重合体の絶対分子量に対する極限粘度の関係を示す較正曲線において、分子量がMz値に対応する極限粘度である。
η2 は、直鎖状メタクリル酸メチル重合体標準試料の絶対分子量に対する極限粘度の関係を示す較正曲線において、測定対象の重合体と同じ分子量Mz値に対する極限粘度である。
Bzは、Z平均分子量Mzにおける分岐点の数である。
【0017】
本発明におけるメタクリル酸メチル系重合体(A)は、その重合体のうち分子量30万以上のものの割合が、その重合体のクロロホルム中25℃における還元粘度が0.7dl/g以下の時は、{[14×(還元粘度値)−6.8]〜[14×(還元粘度値)+11.2]}(重量%)であり、還元粘度が0.7dl/g以上の時は、{[40×(還元粘度値)−25]〜[40×(還元粘度値)−7]}(重量%)であることが好ましい。
なお、本発明で表す還元粘度とは、その測定する重合体の溶液濃度が1g/dlでの値である。
【0018】
メタクリル酸メチル系重合体(A)の分子量30万以上の割合が上記の範囲内の場合には、メタクリル酸メチル系重合体(A)の流動性と溶融時の引張り強度のバランスに優れ、それに伴って、これを用いて得られる樹脂組成物の流動性と溶融延伸時の強度のバランスに優れることによる良好な発泡体が得られる。
また本発明におけるメタクリル酸メチル系重合体(A)の架橋度は、ゲル分率(全重合体重量に対するアセトン不要部分の重量%)で表して、通常3%以下、好ましくは1%以下、更に好ましくはほぼ0%である。
【0019】
本発明のメタクリル酸メチル系重合体(A)は、前述の単官能単量体、多官能単量体を含む多官能性の構成単位となる成分、必要により更に連鎖移動剤および/または重合開始剤を加えて重合することによって得られる。
多官能性の構成単位となる成分としては、前述の多官能単量体、多官能連鎖移動剤、多官能開始剤、およびこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。
多官能性の構成単位となる成分の量は、および単官能単量体に対し、通常は0.02〜1重量%である。
【0020】
連鎖移動剤としては、メタクリル酸メチルの重合に用いられる周知のものでよい。この中には、連鎖移動官能基を1つ有する単官能の連鎖移動剤および連鎖移動官能基を2つ以上有する多官能連鎖移動剤とがある。
単官能連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられ、多官能連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトーロ等の多価アルコール水酸基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したものが挙げられる。
【0021】
メタクリル酸メチル系重合体(A)の重合に使用する連鎖移動剤の量は、該単官能単量体1モル当たり、通常は5×10−5モル〜5×10−3モルであり、共重合可能な多官能単量体の量は該単官能単量体1モル当たり、通常はその官能基数が1×10−5〜{該連鎖移動剤(モル)−2.5×10−4}当量となる範囲である。
【0022】
メタクリル酸メチル系重合体(A)の重量平均分子量は、一般に主として用いられる多官能単量体の濃度、連鎖移動剤の濃度及びラジカル開始剤の濃度に支配される。
重合平均分子量の調整は、多官能単量体濃度が高い程重合平均分子量は大きくなり、逆に連鎖移動剤濃度が高い程小さくなることを考慮して、多官能単量体の上記濃度範囲内及び連鎖移動剤の濃度の範囲内で適宜変更することで行う。
分岐点間分子量は、主として、多官能単量体濃度によって調整できる。多官能単量体濃度が高い程、分岐点間分子量は小さくなる。
また、連鎖移動剤では、多官能連鎖移動剤の濃度が高い程分岐点間分子量は小さくなる。
分子量30万以上の割合は、多官能単量体の濃度が高い程多くなる。
【0023】
重合開始剤には1分子中に1対のラジカルを発生させる単官能重合開始剤および2対以上のラジカルを発生させる多官能重合開始剤とがある。
単官能重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、クミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル類;ジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類の有機過酸化物等が挙げられる。
多官能重合開始剤としては、例えば、2官能の1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペートが、3官能のトリス−(t−ブチルパーキシ)トリアジン、4官能の2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等を挙げることができる。
【0024】
塊状重合法のように重合率45〜60重量%で重合を終了する場合には、3官能以上の多官能重合開始剤を使用すると多官能単量体のみによる分岐に比べ、多官能単量体による未反応ビニル基の量を低減することができる。
多官能重合開始剤を用いる場合は、前記した多官能構成単位としての一部または全部と入れ替えることができる。
重合開始剤の使用量は、重合方法に応じた周知の適量でよく、単量体または単量体混合物100重量部に対して通常、0.001〜1重量部程度、好ましくは0.01〜0.7重量部である。なお、重合開始剤の量が多い程、重量平均分子量が小さくなるのは、一般的なメタクリル酸メチル系重合体と同様である。
【0025】
本発明の直鎖状メタクリル系樹脂(B)は、メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体の重合体である。
メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体とは、メタクリル酸メチルの単独、またはメタクリル酸メチルを50重量%以上、好ましくは70重量%以上のメタクリル酸メチルと共重合可能な単官能単量体との混合物である。
メタクリル酸メチルと共重合可能な単官能単量体は、具体的には上記したものと同じである。
この直鎖状メタクリル系樹脂(B)は、重量平均分子量Mwが7〜20万、好ましくは8万〜18万である。
重量平均分子量Mwが7万未満であると得られる樹脂組成物から得られる発泡体の機械的強度が不十分となり、20万を越えると溶融流動性が低くなり発泡加工特性が悪い。
【0026】
本発明の分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)および直鎖状のメタクリル系樹脂(B)を得る重合方法としては、一般のメタクリル酸メチル系樹脂を製造する周知の重合方法が適用できる。つまり懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法である。
【0027】
メタクリル酸メチル樹脂組成物中の割合は、分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)が30〜100重量%、直鎖状メタクリル系樹脂(B)が0〜70重量%である。
【0028】
本発明のメタクリル酸メチル系樹脂組成物には、必要に応じて離型剤、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤等の一般的なアクリル樹脂に添加できる各種剤を含有させることができる。
【0029】
本発明のメタクリル酸メチル系樹脂組成物の発泡に使用する発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノール等の低級脂肪族アルコール類;メチルクロライド、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素類;二酸化炭素、窒素、水等のガス類;アゾジカルボンアミド、重曹等の化学熱発泡剤などが挙げられ、これらの少なくとも1種以上が用いられる。
さらに必要なら一般的な発泡助剤を併用して用いることができる。
【0030】
本発明のメタクリル酸メチル系樹脂組成物を発泡して発泡体とする方法としては、特に制限がないが、例えば、熱分解型発泡剤とメタクリル酸メチル系樹脂組成物を押出し機で溶融混練し、発泡させる方法、メタクリル酸メチル系樹脂組成物を押出し機で溶融させ、蒸発型発泡剤をシリンダー途中から直接圧注入し、混練、発泡させる方法、該メタクリル酸メチル系樹脂からなるペレットまたはビーズを押出し機または水系懸濁液中で蒸発型発泡剤を含浸させ、その含浸ペレットまたはビーズを水蒸気等で加熱しで発泡させる方法などが挙げられる。
【0031】
本発明に於いて適用するメタクリル酸メチル系樹脂組成物の発泡倍率は約10〜約40である。機械的強度および耐スチレン溶剤性等の点からより好適には約15〜約30の発泡倍率のものが推奨される。
【0032】
【発明の効果】
本発明のメタクリル酸メチル系樹脂発泡体は、発泡成形時のガス抜けが少なく、高発泡倍率が可能で、発泡セルが均一で外観が良好であり、スチレンなどの耐薬品性が良好な発泡体が得られるため、FRPの芯材に適している。
さらに、本発明のメタクリル酸メチル系樹脂発泡体は、ビニル芳香族炭化水素を含有しなくても発泡が可能であり、着火した際に煤煙がほとんどでなく、処理に適している。
【0033】
【実施例】
以下に実施例により本発明を説明する。
なお、測定評価法のうち、上記に記載した項目以外の項目については以下の通り実施した。
(1)MFR:
JIS K7210に準拠して行った。
なお、温度230℃、荷重3.8kgfとした。
(2)発泡倍率:
1.19/発泡体密度で表した。
【0034】
実施例1
200リットルのSUS製オートクレーブにメタクリル酸メチル94.5量部、アクリル酸メチル5.5重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.19重量部、ラウロイルパーオキサイド0.3重量部、n−ドデシルメルカプタン0.38重量部、イオン交換水150重量部、ポリメタクリル酸ナトリウム(1%水溶液が30ストークス)0.03重量部、りん酸水素2ナトリウム・7水塩3重量部を入れて混合し、加熱昇温して、80℃で重合を開始し、60分後にノニオン系水溶性高分子からなる懸濁安定剤としてポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体であるプルロニックF68(旭電化工業株式会社製)0.05重量部を添加した。その後同じ温度で20分、さらに110℃で20分重合させた。重合後、洗浄、脱水、乾燥を行い、平均粒子径600μmの重合体ビーズを得た。得られたビーズを目開き420μmの金網で分級し、420μmをカットしたビーズ(以下PMMA1と記す)を得た。得られたビーズの物性を表1に示す。
次いで5リットルの加圧オートクレーブに上記方法で得られたビーズ状のPMMA1を1500g、イオン交換水3000g、ポリメタクリル酸ナトリウム15g、発泡剤としてペンタン200gを仕込み、撹拌下で120℃で2時間保持してペンタンを含浸させた。この発泡剤含浸樹脂を(株)関製作所製の加圧予備発泡機で嵩倍率で37倍の予備発泡ビーズを作製し、2日間放置した後、笠原工業(株)製の発泡成形機を用いて厚み20mmの発泡板を成形した。
得られた発泡板は密度0.032g/cm3 で表面のセルの破れもなく外観の良好なものであった。
同様にして市販の発泡性ポリスチレンビーズを上記と同条件で予備発泡、発泡成形して発泡倍率38倍の発泡ポリスチレン成形体を得た。
これらの成形体を室温で同時にスチレンモノマーに30秒漬け、耐薬品性を目視観察により調べた。その結果、発泡ポリスチレンは浸漬と同時に激しく分解し急激に形が消失して行き、最終的にはほとんど全て消失したが、アクリル発泡体は表面の一部は溶けるものの、最終的にも構造体としての厚みは保持した状態を保った。
【0035】
【表1】
Claims (4)
- 重量平均分子量が8万〜40万で、Z平均分子量を用いて規定される分岐点間分子量が3万〜50万である分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)を30〜100重量%、直鎖状メタクリル系樹脂(B)を0〜70重量%を含有するメタクリル酸メチル系樹脂組成物を、発泡倍率10〜40に発泡してなる、FRPの加工芯材用メタクリル酸メチル系樹脂発泡体。
- FRPを構成する樹脂がビニルエステル樹脂またはポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1記載のFRPの加工芯材用メタクリル酸メチル系樹脂発泡体。
- 請求項1に記載のメタクリル酸メチル系樹脂または樹脂組成物を、高温高圧下で発泡剤と混練した後、低圧域に押出し発泡させることを特徴とする請求項1記載のFRPの加工芯材用メタクリル酸メチル系樹脂発泡体の製造方法。
- 請求項1に記載のメタクリル酸メチル系樹脂または樹脂組成物よりなるビーズまたはペレットに、発泡剤を含浸した後、発泡させることを特徴とする請求項1記載のFRPの加工芯材用メタクリル酸メチル系樹脂発泡体の製造方法。
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