JP3598806B2 - 空気圧工具の排気音の減音機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は圧縮空気の排気口の内側にフィルタを配置することによって空気圧工具の排気音を減音させる空気圧工具の排気音の減音機構に関する。
【0002】
【従来技術】
圧縮空気の空気圧を動力源とした空気圧工具として、釘打機やネジ打ち込み機、エアドライバ、エアタッカーなどが知られている。これらは、いずれも圧縮空気によって打撃シリンダ内の打撃ピストンを駆動することで工具本体のドライバやドライバビットを作動させてワークに釘、打ち込みネジ、ネジなどを打ち込むものである。圧縮空気は打撃ピストンを駆動した後に環状の排気室を経て大気に排出される。排気室の側壁に形成された排気口から排出される時に圧縮空気は減圧されて急激に膨張するので大きなノイズが発生するので、排気室の内部にフィルタを充填したり、排気室の側壁の内周に沿って環状のフィルタを回したりすることによって排気音を減音させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、排気室の内部にフィルタを充填する構成では、圧縮空気の流れを抑えすぎるので、減音効果はよいが、打撃ピストンのリターン性能が低下する。つまり、打撃ピストンは駆動された後、元の上死点位置に復帰するときに排気が不完全であると、排気圧が残留しているので、打撃ピストンが確実にリターンすることができないという現象が発生することがある。
【0004】
また、排気室の内周に沿ってフィルタを回す構成では、圧縮空気の流れを過度に抑えることはないので打撃ピストンのリターン性能を損なうことはないが、その反面、減音効果はそれほどよくない。特に大型の空気圧工具の場合は効果は低い。
【0005】
本発明は上記問題点を解消し、打撃ピストンのリターン性能を損なわず、減音効果に優れ、コストも低い空気圧工具の減音機構を提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係る空気圧工具の減音機構は、打撃ピストンを摺動自在に収容した打撃シリンダ内に圧縮空気を供給して上記打撃ピストンを駆動して作動させた後の圧縮空気の排気音を減音させる空気圧工具の排気音の減音機構において、圧縮空気を外部に排出させる排気室の側壁に形成した排気口の内周側に環状のフィルタを押し 潰して二重の円弧状に形成して配置するとともに、上記排気口の内側の両端近傍に2個のピンを設け、これらのピンに対し、上記フィルタの両端を係合させ、両端の折り曲げ部に二重になった上記フィルタの内側部分と外側部分との間に空気層を形成させて排気口の内側を塞いだことを特徴とする。
【0007】
なお、前記排気室には、上記2個のピンの間の前記排気口に面する位置に別のピンを配置し、前記フィルタを上記別のピンの排気口側に押し込むのが好ましい。
0008
【発明の実施の形態】
図1は空気圧工具(釘打機)の工具本体の上部の縦断面図で、同図において符号1は打撃シリンダ、2は打撃ピストンを示す。打撃ピストン2は打撃シリンダ1内に摺動自在に収容されている。打撃シリンダ1の周囲にはエアチャンバ3が形成され、このエアチャンバ3にはエア供給源(図示せず)から圧縮空気が供給され、貯留されている。エアチャンバ3と打撃シリンダ1との間にはメインバルブ4が配置されている。メインバルブ4の上室5には図示しないトリガ機構により圧縮空気が供給され、この圧縮空気とバネのバネ力によりエアチャンバ3と打撃シリンダ1との間を閉じている。
0009
そして、トリガレバー(図示せず)を引き操作してトリガ機構を作動させることにより、上記圧縮空気が排気され、図2のようにメインバルブ4が上方に開き作動するので、メインバルブ4の内周縁部が打撃シリンダ上壁6の周縁部の下面に当接するので、排気通路は遮断される。これにより、エアチャンバ3内の圧縮空気が打撃シリンダ1に供給されるので、上死点にあった打撃ピストン2は下方に駆動される。
0010
駆動ピストン2の作動終了後、トリガレバー対する力を解除すると、トリガ機構から再び圧縮空気がメインバルブ4上室5に供給されるので、図1のようにメインバルブ4は下方に移動して打撃シリンダ1はエアチャンバ3に対して閉じる。同時に、メインバルブ4は打撃シリンダ上壁6から離れるので排気通路が開き、打撃シリンダ1内に供給された圧縮空気は排気通路からシリンダヘッド部11の通気口7を経て排気室8に流れ、さらに排気室8の側壁9に形成された排気口10から大気に排出される。
0011
排気室8はシリンダヘッド部11の上部にネジ12によって固定された断面凹状のゴム製のキャップ13の内側に形成されている。このキャップ13は環状に形成され、上部の中央部には固定用のネジ12を挿通するネジ孔14が形成されている。また、下部は開放され、この開放端縁に形成された係合部15に金属製の空気絞り板16が係合配置されている。空気絞り板16は円板形で、一部に通気孔17が形成され、通気孔17にはL形の邪魔板18が切起こし形成されている。
0012
次に、図3、図4に示されるように、キャップ13の側壁9の一部には排気口10が形成されている。この排気口10の内側には、キャップ13の上壁19から4本のピン21、21、22、22が下方に突出形成されている。これらのピンは排気口10の内周に沿って並べ配置され、そのうち両側の2本のピン21は排気口10の両端近傍に、中央の2個のピン22は排気口10の中央に面するように配置されている。
0013
上記両端のピン21にはフィルタ23が巻き付けられている。フィルタ23はステンレス製の細線を網状に織り込んで環状に形成したもので、従来の減音用フィルタ23と同じものである。もちろん、アルミニウムなどの別素材からなるワイヤから構成したものでもよい。上記フィルタ23は両側から半分に押し潰して二重に重なるようにして排気室8の側壁9の内周面に沿うように配置されている。そして、図3に示されるように、その両端の折り曲げ部の内側を排気室8の両端の2本のピン21に係合している。さらに、フィルタ23の内側部分23aは中央の2本のピン22の外側に(排気口10側に)押し込まれている。これにより、フィルタ23の内側部分23aと外側部分23bとは重なり合って排気口10の内周に沿って排気口10を密に塞ぐように配置されるとともに、正確に位置決めされる。また、二重になったフィルタ23の内側部分23aと外側部分23bとの間には空気層24が形成されている。
0014
上記構成において、打撃終了後に排気通路から排気室8に送られた圧縮空気は、フィルタ23を通って排気口10から排出されることになるが、上記フィルタ23は二重になっているので、圧縮空気が通過するフィルタ23の断面積は従来のフィルタ23の2倍となる。したがって、大型の空気圧工具の場合でも減音効果は非常に高い。
0015
しかも、フィルタ23は排気室8内に充填されるものではなく、従来のものでよいから、排気流が過度に阻害されることがなく、空気圧工具の打撃ピストン2のリターン性能を損なうことがない。
0016
また、環状のフィルタ23を二重にすると、内側部分23aと外側部分23bとの間に空気層24が形成されるので、圧縮空気の空気流は内側部分23aを通過するときに絞られ、空気層24で少し膨張して減圧され、さらに内側部分23aを通過するときに再び絞られるので、減音はより一層向上する。
0017
さらに、フィルタ23はピン21に係合しているので、排気圧が高くても、排気口10から押し出されてしまうことがなく、二重構造ではあっても2個のフィルタを使用するのでなく、従来からあるフィルタを二重にして利用すればよいので、コストも低くて済む。
0018
なお、中央のピンは2本でなく、1本でも3本でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空気圧工具の要部の断面図
【図2】上記空気圧工具の排気機構部分の作動態様説明図
【図3】排気室の横断面図
【図4】排気室を構成するキャップとフィルタの分解斜視図
【符号の説明】
1 打撃シリンダ
2 打撃ピストン
8 排気室
9 側壁
10 排気口
21 ピン
23 フィルタ

Claims (2)

  1. 打撃ピストンを摺動自在に収容した打撃シリンダ内に圧縮空気を供給して上記打撃ピストンを駆動して作動させた後の圧縮空気の排気音を減音させる空気圧工具の排気音の減音機構において、
    圧縮空気を外部に排出させる排気室の側壁に形成した排気口の内周側に環状のフィルタを押し潰して二重の円弧状に形成して配置するとともに、
    上記排気口の内側の両端近傍に2個のピンを設け、これらのピンに対し、上記フィルタの両端を係合させ、両端の折り曲げ部に二重になった上記フィルタの内側部分と外側部分との間に空気層を形成させて排気口の内側を塞いだことを特徴とする空気圧工具の排気音の減音機構。
  2. 前記排気室には、上記2個のピンの間の前記排気口に面する位置に別のピンを配置し、前記フィルタを上記別のピンの排気口側に押し込んだ前記請求項1記載の空気圧工具の排気音の減音機構。
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