JP3597778B2 - 内視鏡洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、使用済みの内視鏡を洗浄するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−118003,特開平11−19025,特開平11−70069号等の公報には、食塩水の電気分解によって得られる酸性水を内視鏡に噴射したり、酸性水に内視鏡を浸漬したりすることによって、使用済みの内視鏡を消毒する内視鏡洗浄装置が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記公知の装置に使用される酸性水は塩素を含み、この酸性水が前記装置の洗浄槽で内視鏡消毒のために使用されている間に、酸性水からは塩素ガスが発生する。この塩素ガスは、内視鏡洗浄装置における金属部品の腐食原因となる他に、高濃度になれば人体に対して悪影響を及ぼすこともある。
【0004】
この発明は、消毒用の水から発生した塩素ガスがもたらすこのような問題を解消できる内視鏡洗浄装置の提供を課題にしている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題解決のために、この発明が対象とするのは、内視鏡を収納した洗浄槽に塩素を含む消毒用の水を供給して前記内視鏡と前記水とを接触させて前記内視鏡を消毒することができる内視鏡洗浄装置である。
【0006】
かかる内視鏡洗浄装置において、この発明が特徴とするところは、前記洗浄槽に、その外側ヘ延びる排気管と前記排気管につながる真空吸引手段とが設けられ、前記排気管における前記洗浄槽と真空吸引手段との間には塩素ガス吸収手段が介在していることにある。
【0007】
この発明の好ましい実施態様の一つにおいて、前記洗浄槽と塩素ガス吸収手段との間には前記洗浄槽から流れて来る水分を捕捉可能なトラップが介在している。
【0008】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照して、この発明に係る内視鏡洗浄装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0009】
図1の斜視図によって外形が示された内視鏡洗浄装置1は、蓋4を開閉することができる洗浄槽3を有し、その洗浄槽3には洗浄すべき使用後の内視鏡2が収納されている。洗浄槽3は、第1〜4ノズル41〜44を有し、これら第1〜4ノズル41〜44からは、アルカリ水や酸性水が内視鏡2に向かって噴射されるかまたはアルカリ水や酸性水が洗浄槽3に注入される。アルカリ水や酸性水は、どのような経路から供給されるものでもよいが、例えば内視鏡洗浄装置1とは別体の食塩水電気分解装置から食塩水を電気分解するとことによって供給される。装置1において、好ましいアルカリ水のpHは11.0以上、酸化還元電位(ORP)は−800mV以上であり、好ましい酸性水のpHは2.7以下、酸化還元電位は+1100mV以上である。このようなアルカリ水は、使用後の内視鏡2に付着している血液その他のタンパク質の汚れを溶解することができる。また、酸性水は、内視鏡2に付着している細菌等を死滅させ、内視鏡2を消毒することができる。図示例の場合の内視鏡洗浄装置1は、その頂面部分にパネル50を有し、パネル50での操作によって消毒時間を設定したり、内視鏡洗浄装置1の運転状況を確認したりすることができる。ただし、図1では、そうしたパネル50についての詳細な図示が省略されている。
【0010】
図2は、内視鏡洗浄装置1における排気系統のブロック図である。装置1の洗浄槽3からは、第1排気管11と排水管20とが外へ向かって延びており、第1排気管11には、トラップ12、塩素ガス吸収缶13、真空ポンプ14および三方弁16が図示の順序で取り付けられている。三方弁16からは、先端が大気に開放された第2排気管18と、先端が洗浄槽3につながる送気管17とが延びている。真空ポンプ14は、手動操作によって随時始動、停止させることができるものであるが、それとは別に、洗浄槽3の蓋4を閉じるか、蓋4を閉じてアルカリ水が洗浄槽3に供給されるか、または酸性水が洗浄槽3に供給されるときに自動的に始動し、酸性水の供給が終わってから所要時間経過した後に自動的に停止するように条件設定することができる。かような真空ポンプ14の作用によって、洗浄槽3内部の空気や水蒸気が第1排気管11と第2排気管18とを経て大気中へ放出される。排水管20には自動開閉弁(図示せず)が設けられ、洗浄装置1の運転条件に応じて適宜開閉される。排水管20には、手動操作バルブ25を設けておくことができる。
【0011】
洗浄槽3では、食塩水を電気分解して得られる酸性水が供給されたときに、塩素を含有するその酸性水からは塩素ガスが発生し易く、特に酸性水が洗浄槽3内部で噴射されるときには多くの塩素ガスが発生し易い。このような塩素ガスは、空気や水蒸気とともに真空ポンプ14に吸引されて洗浄槽3から第1排気管11へと流れ、トラップ12では、塩素ガスや空気とともに吸引された水分が捕捉され、吸収缶13では塩素ガスが捕捉される。塩素ガスが除去された空気は三方弁16を経て第2排気管18から大気中へ放出される。また、もし必要ならば、この空気は、三方弁16を切り替えることによって洗浄槽3へ還流することができる。還流された空気によって、使用後の洗浄槽3内部に滞留している水蒸気等を排出し、洗浄槽3内部を換気することができる。さらには、送気管17の先端を内視鏡2の吸引口や送気・送水口、かん子挿入口等に接続しておくことによって、内視鏡2の水抜き、即ち洗浄後の内視鏡2の管路内に滞留している水をその空気で管路外に排出することもできる。送気管17は、それに第2の三方弁(図示せず)を設けておき、送気管17からの空気を洗浄槽3の換気と内視鏡2の水抜きとに使い分けることができるようにしてもよいし、そのような三方弁を設けることなく洗浄槽3および内視鏡2のいずれかにのみ使用できるようにしてもよい。
【0012】
図3は、図2の部分分解図であって、トラップ12と吸収缶13とが第1排気管11に配置される実例の一つを示す。トラップ12と吸収缶13とは、一体のユニット21として形成され、ユニット21の上部にはトラップ12が位置し、中間部には吸収缶13が位置している。トラップ12では、図の上下方向ヘ延びる第1排気管11が上方部分22と下方部分23とに二分されており、洗浄槽3からの空気や塩素ガスがこれら上方部分22から下方部分23へと流れるときに、空気や塩素ガスとともに流れる水分がトラップ12に捕捉される。トラップ12では、その底部のゴム栓24を外すことによって、溜まった水分を抜き取ることができる。
【0013】
吸収缶13は、公知ないし周知のもので、頂面と底面とに多数の通気孔26,27を有し、内部には脱塩素剤28が充填されている。かかる吸収缶13は、パッキング部材29を介してユニット21の内面に密着しており、第1排気管11を流れる塩素ガスは、矢印65の方向へ流れてすべて吸収缶13に進入し、ここで捕捉される。このようにして塩素ガスが除去された空気や水蒸気は、矢印30で示されるように、ユニット21の空洞になった下部を経て再び第1排気管11に入り、真空ポンプ14へ向かう。ユニット21は、その中間部に形成されたねじ部31を緩めることによって上下に二分することができ、二分したときには吸収缶13を交換することができる。吸収缶13は、水分を含んだ塩素ガスを特に吸収し易いから、この装置1において洗浄槽3から塩素ガスを水蒸気とともに吸引して吸収缶13を通過させることは、塩素ガスの捕捉を目的とする上において非常に好ましい。ただし、吸収缶13の吸収能力は使用時間の経過とともに低下するから、吸収缶13を通過した空気の塩素ガス濃度が1ppmを超えるときを吸収缶13の破過時間と定め、破過時間に達したときには吸収缶13を速やかに交換することが好ましい。洗浄装置1では、塩素ガスと接触する可能性のある部位、例えば洗浄槽3や蓋4の内面、第1、2排気管11,18、三方弁16、ユニット21等に耐蝕性の材料、例えばステンレススチールや塩化ビニル樹脂等を使用することが好ましい。図2の配管系統において、塩素ガス吸収缶13よりも後方に位置する配管、例えば真空ポンプ14の出口側の配管に検知紙をセットしておいて、吸収缶13が破過時間に達しているか否かを容易に判断できるようにしてもよい。
【0014】
図4は、この発明の実施態様の一例を示す内視鏡洗浄装置1の配管系統図である。この内視鏡洗浄装置1は、洗浄槽3と、洗浄槽3から外ヘ延びる第1排気管11および排水管20との他に、酸性水用の第1貯水槽46とアルカリ水用の第2貯水槽47と水道水用の第3貯水槽48とを有する。第1貯水槽46と第2貯水槽47とには、例えば食塩水電気分解装置(図示せず)を運転することによって得られる酸性水とアルカリ水とが給水管51,52から供給され、第3貯水槽48には給水管53から水道水が供給される。これら酸性水、アルカリ水および水道水は、図1のパネル50で設定される洗浄装置1の洗浄サイクルに基づいて、それぞれの貯水槽46〜48から延びる給水管41,42,43に組み込まれたマグネットポンプ(図示せず)等の送水手段を作動させて洗浄槽3へ供給される。第1〜3貯水槽46〜48の頂部からは第3〜5排気管36〜38が延び、これらが途中で一本の第6排気管39となってトラップ12にまで延びている。トラップ12にはバルブ34が取り付けられている。なお、洗浄装置1において、水道水が洗浄槽3に直接供給される場合には、第3貯水槽48を省くことができる。また、アルカリ水用の第2貯水槽47から延びる第4排気管37は、それから塩素ガスが出ることがないので大気に開放することもできる。ただし、図示例の配管系統であれば、第1貯水槽46にアルカリ水を入れ、第2貯水槽47に酸性水を入れるように、必要に応じて第1、2貯水槽46,47の使い方を切り替えることができる。この発明は、第3〜5排気管36〜38に代えて第1〜3貯水槽46〜48を直列につなぐ排気管を設け、この排気管の一端をトラップ12に接続する態様で実施することもできる。いずれの態様でも、塩素ガスがアルカリ水貯水槽や水道水の貯水槽に流入することがないように、これらの貯水槽にはその流入を防止するための手段を設けておくことが好ましい。
【0015】
かかる図4の洗浄装置1では、洗浄槽3から流れて来る水分の他に、第1〜3貯水槽46〜48から流れて来る水分をトラップ12で捕捉することができる。また、洗浄装置1の構造上洗浄槽3や第1〜3貯水槽46〜48から酸性水やアルカリ水等が溢れる可能性があれば、その水は第1排気管11や第3〜5排気管36〜38へ流入するようにしておくと、トラップ12で捕捉することができる。そのようなときに備えるためのトラップ12は、大き目のものであることが好ましい。トラップ12には、液面計61を取り付けておき、トラップ12の水位が異常上昇したときに洗浄装置1の運転を自動的に停止させたり、パネル50にその異常状態を表示させたりすることができる。
【0016】
【発明の効果】
この発明に係る内視鏡洗浄装置は、塩素ガスを吸収するための手段を有するから、内視鏡の消毒に塩素を含有する水、例えば食塩水を電気分解して得られる酸性水を使用しても、それから発生する塩素ガスを捕捉して、塩素ガスによる有害な作用を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内視鏡洗浄装置の斜視図。
【図2】内視鏡洗浄装置における脱塩素ガス工程のブロック図。
【図3】図2の部分分解図。
【図4】実施態様の一例を示す脱塩素ガス工程のブロック図。
【符号の説明】
1 内視鏡洗浄装置
2 内視鏡
3 洗浄槽
11 排気管
12 トラップ
13 吸収手段(吸収缶)
14 真空吸引手段(ポンプ)
36 排気管
37 排気管
38 排気管
46 貯水槽
47 貯水槽
Claims (5)
- 内視鏡を収納した洗浄槽に塩素を含む消毒用の水を供給して前記内視鏡と前記水とを接触させて前記内視鏡を消毒することができる内視鏡洗浄装置において、
前記洗浄槽には、その外側ヘ延びる排気管と前記排気管につながる真空吸引手段とが設けられ、前記排気管における前記洗浄槽と真空吸引手段との間には塩素ガス吸収手段が介在していることを特徴とする前記内視鏡洗浄装置。 - 前記排気管における前記洗浄槽と前記塩素ガス吸収手段との間には前記洗浄槽から流れて来る水分を捕捉可能なトラップが介在している請求項1記載の内視鏡洗浄装置。
- 前記内視鏡洗浄装置が前記消毒用の水を貯えておくための貯水槽を有し、前記貯水槽から延びる排気管が前記トラップに接続している請求項2記載の内視鏡洗浄装置。
- 前記排気管が前記塩素ガス吸収手段の後方において分岐し、分岐した排気管の一つが前記洗浄槽ヘ戻って前記洗浄槽の換気と前記洗浄槽内の内視鏡の水抜きとの少なくとも一方に使用可能な状態にある請求項1〜3のいずれかに記載の内視鏡洗浄装置。
- 前記塩素ガス吸収手段が前記排気管に対して着脱可能な塩素ガス用吸収缶である請求項1〜4のいずれかに記載の内視鏡洗浄装置。
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