JP3597319B2 - 酸化物超電導導体の製造方法及び溶融凝固装置 - Google Patents

酸化物超電導導体の製造方法及び溶融凝固装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、極低温の冷媒中に浸漬された超電導機器に給電するための超電導電流リード線などに用いられる酸化物超電導導体を溶融凝固法により製造する酸化物超電導導体の製造方法及びこの製造方法の実施に好適に用いられる溶融凝固装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、交流超電導コイル、超電導変圧器などの超電導機器は、液体ヘリウムなどの極低温冷媒中に浸漬して用いられ、それらの機器から導出された超電導導線は、冷媒中で、外部電源から導かれた電流リード線に接続されている。ここでの電流リード線としては、常電導性のものよりも、超電導性のものの使用が望ましいとされている。
そこで、超電導電流リード線として、Y−Ba−Cu−O系超電導導体の使用が考えられている。
【0003】
この種のY−Ba−Cu−O系超電導導体の従来の製造方法としては、まず、Y−Ba−Cu−O系超電導材料粉末を成形後、焼結して原料焼結ロッドを作製し、ついで、この原料焼結ロッドを溶融凝固法により溶融凝固することにより得られる。原料焼結ロッドを溶融凝固する従来の溶融凝固装置としては、図4に示すような円環状の電気炉が用いられていた。この電気炉20は、円環状のものであり、その中央には作製した原料焼結ロッド21を通すための孔23が設けられ、さらに、この孔23の周囲にヒータ25が設けられており、前記孔23内に通した原料焼結ロッド21を部分的に加熱して溶融できるようになっているものである。
このような円環状の電気炉20を用いて原料焼結ロッドを溶融凝固するには、原料焼結ロッド21の上端部側から電気炉20内に導入し、該原料焼結ロッド21を長さ方向に沿った軸26を中心にして回転させながら徐々に上方(軸26方向に沿った方向)に引き上げることにより、原料焼結ロッド21に部分的に形成された溶融帯29を上端部側から下端部側に徐々に移動させるとともに電気炉20から導出された部分を冷やして凝固させて、溶融を経て凝固した凝固部にY−Ba−Cu−O系超電導体の結晶を成長させていた。
【0004】
また、従来の溶融凝固装置の他の例としては、図5に示すような反射炉30が用いられていた。この反射炉30は、二枚の反射鏡31,31をその凹部31a,31aが対向するように配設してなる縦断面形状が略楕円状のものであり、中央には作製した原料焼結ロッド21を通すための孔33が設けられ、さらに各反射鏡31の楕円焦点に赤外線ランプ35がそれぞれ設けられており、前記孔33内に通された原料焼結ロッド21を部分的に加熱して溶融できるようになっているものである。このような反射炉30を用いて原料焼結ロッドを溶融凝固する方法、前述の円環状の電気炉20を用いる場合と同様にして行うことができる。なお、図6にY−Ba−Cu−O系超電導体の結晶の格子面を説明するための図を示す。このようなY−Ba−Cu−O系超電導体の結晶においては、(110)面であるab面に電流が流れ易く、(113)面などの他の面には電流が流れにくくなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで酸化物超電導導体を溶融凝固法により製造する従来の酸化物超電導導体の製造方法においては、Y−Ba−Cu−O系超電導体の結晶を1〜3mm/h以下の遅い成長速度で凝固部に成長させる必要があり、例えば、Y−Ba−Cu−O系超電導体の結晶を1mm/hの成長速度で成長させる場合、長さ20cmのY−Ba−Cu−O系超電導導体を得るには200時間もの長時間が必要となり、製造効率が悪いという欠点があった。
また、従来の酸化物超電導導体の製造方法においては、得られるY−Ba−Cu−O系超電導導体の横断面にY−Ba−Cu−O系超電導体の結晶の(113)面が配向し、図7の模式図に示すように(110)面であるab面が超電導導体38の軸26方向と平行となっておらず、得られるY−Ba−Cu−O系超電導導体38の電流密度が低いという欠点があった。得られる超電導導体38の電流密度を高くするには、ab面を超電導導体38の軸26方向と平行となるように配向させればよいが、溶融凝固法により超電導導体を製造する場合において、ab面を超電導導体の軸方向と平行となるように配向させることができる製造方法は未だ実現されていなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、製造効率を向上させることができ、しかも高電流密度の酸化物超電導導体を得ることができる酸化物超電導導体の製造方法と、この製造方法の実施に好適に用いることができる溶融凝固装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、Y−Ba −Cu −O 7−x 粉末を主成分とする原料粉末を成形後、焼結して原料焼結ロッドを形成し、該原料焼結ロッドを溶融凝固法により溶融凝固して超電導部を形成するY−Ba −Cu −O 7−x 超電導導体の製造方法において、
前記原料焼結ロッドに形成する超電導部の長さ以上の高さを有する加熱部を備えた加熱手段を用いて前記原料焼結ロッドをその側面側から加熱して溶融した後、該原料焼結ロッドをこれの長さ方向に沿った軸方向およびこの軸方向に直交する直交方向に、該原料焼結ロッドの移動方向とY−Ba −Cu −O 7−x の結晶の(113)面の法線が一致するように移動させながら凝固することを特徴とするY−Ba −Cu −O 7−x 超電導導体の製造方法を前記課題の解決手段とした。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、原料焼結ロッドを移動させながら凝固させる際、原料焼結ロッドの移動方向が軸方向に対して35゜となるように原料焼結ロッドを移動させることを特徴とする請求項1記載のY−Ba −Cu −O 7−x 超電導導体の製造方法を前記課題の解決手段とした。
また、請求項3記載の発明は、原料焼結ロッドを移動させながら凝固させる際、原料焼結ロッドを移動させる軸方向と直交方向の移動速度比を変化させることを特徴とする請求項1記載のY−Ba −Cu −O 7−x 超電導導体の製造方法を前記課題の解決手段とした。
【0009】
請求項4記載の発明は、酸化物超電導材料粉末を主成分とする原料粉末を成形、焼結してなる原料焼結ロッドを溶融凝固して超電導部を形成する溶融凝固装置であって、
前記原料焼結ロッドに形成する超電導部の長さ以上の高さを有する炉本体と、前記原料焼結ロッドを保持するとともに該原料焼結ロッドをこの長さ方向に沿った軸方向およびこの軸方向に直交する直交方向に移動させるための移動機構とが少なくとも備えられ、前記炉本体の側面には原料焼結ロッドを通すための凹状溝が高さ方向に沿って形成され、かつ該凹状溝の壁面に原料焼結ロッドをその側面側から加熱して溶融するための加熱部が高さ方向に沿って設けられ、該加熱部は前記原料焼結ロッドに形成する超電導部の長さ以上の高さを有するものであることを特徴とする溶融凝固装置を前記課題の解決手段とした。
【0010】
また、請求項5記載の発明は、炉本体の側面に形成された凹状溝の開口部の近傍に溶融した原料焼結ロッドを冷却するための冷却機構が炉本体の高さ方向に沿って設けられてなることを特徴とする請求項4記載の溶融凝固装置を前記課題の解決手段とした。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の酸化物超電導導体の製造方法をY−Ba−Cu−O系超電導導体の製造方法に適用した一実施形態について説明する。
まず、酸化物超電導材料粉末としてのYBaCu7−x(以下、Y123と略す)粉末に、YBaCuO(以下、Y211と略す)粉末と、銀粉末または白金粉末、好ましくは銀粉末と白金粉末の両方を添加、混合して原料粉末を用意する。 ここでのY123粉末とY211粉末との混合比率は、10モル:1〜5モル程度、好ましくは10モル:3〜5モル程度、より好ましくは10モル:4モル程度である。Y211粉末の添加量が5モルを越えると、Y123結晶の連続成長が阻害されるため好ましくなく、Y211粉末の添加量が1モル未満であると、高臨界電流密度(Jc)をもたらす磁束ピンニング量が少ないため好ましくない。
【0012】
前記原料粉末中に銀粉末と白金粉末のうち一方のみしか添加されていないと、得られる溶融凝固ロッドの表面が粗くなったり、あるいは原料焼結ロッドの溶融帯の下に異常凝固物が発生し、Y123の結晶の連続成長が阻害され、Y123の結晶配向性が低下してしまう。
前記原料粉末中の銀粉末の添加量は、3〜10重量%、好ましくは5〜10重量%である。銀粉末の添加量が3重量%未満であると異常凝固物が発生しやすく、一方、銀粉末の添加量が10重量%を越えると、凝固部中の銀粉末の分布が不均一となり、特に、銀粉末が凝固部の中央に集まり易く、これによって得られるY−Ba−Cu−O系超電導導体の電流経路が狭くなり、超電導特性が低下するため好ましくない。
【0013】
前記原料粉末中の白金粉末の含有量は、0.5〜1重量%である。白金粉末の添加量が0.5重量%未満であると、異常凝固物が発生し易いため好ましくない。一方、白金粉末の添加量が1重量%を越えると、原料焼結ロッドを溶融凝固する際に液相である溶融帯に塊状のY123の結晶が晶出し易く、凝固部に形成されるY123の結晶の結晶配向性を低下させるため好ましくない。
【0014】
ついで、混合した原料粉末を常温静水圧圧縮成形法(CIP)などにより圧縮成形してロッド状出発材を作製した後、該ロッド状出発材を酸素雰囲気中において900〜930℃の温度で、8〜24時間程度加熱して焼結して、原料焼結ロッドを作製する。
ついで、原料焼結ロッドを溶融凝固法により溶融凝固させて溶融凝固ロッドを作製するが、ここでの溶融凝固際、まず、原料焼結ロッドに超電導部を形成する超電導形成部を溶融し、ついでこの原料焼結ロッドをこれの長さ方向に沿った軸方向およびこの軸方向に直交する直交方向に移動させながら前記溶融部を凝固する。
【0015】
図1〜図2は、ここでの溶融凝固法に好適に用いられる溶融凝固装置の一例を説明するための図である。
この溶融凝固装置40は、炉本体(加熱手段)43と、移動機構(図示略)と、冷却機構45から概略構成されている。
炉本体43は、略角柱状のものであり、その横断面の形状は図2(B)に示すようにコ字状のものである。この炉本体43の高さHは、前述のようにして作製した原料焼結ロッド51に形成する超電導部51bの長さ以上の高さを有している。この炉本体43の一側面43aには、原料焼結ロッド51を通すための凹状溝43bが高さ方向に沿って形成されており、従って、凹状溝43bの開口部44は前記側面43aを高さ方向に沿って縦断するように形成されている。開口部44の幅Wは、原料焼結ロッド51を直交方向Yに移動させて後述する冷却機構45,45間に配置するためと、溶融凝固装置40の外部に導出するために原料焼結ロッド51の直径より大きくなっている。
【0016】
この凹状溝43bの壁面には、原料焼結ロッド51をその側面側から加熱して溶融するための多数のヒータ47からなる加熱部が高さ方向に沿って設けられており、この凹状溝43bに原料焼結ロッド51を入れたとき、この原料焼結ロッド51の側面周囲の四方向のうち三方向がヒータ47によって取り囲まれるようになっている。この多数のヒータ47からなる加熱部は、前述のようにして作製した原料焼結ロッド51に形成する超電導部51bの長さ以上の高さを有している。凹状溝43b内の温度は、原料焼結ロッド51の融点より高い温度、例えば原料焼結ロッド51の融点が950℃のとき1000〜1050℃となるようにヒータ47に供給される電圧量を変更することによって制御されている。
【0017】
このような炉本体43の上方には、移動機構が設けられている。この移動機構は、原料焼結ロッド51を保持するとともに該原料焼結ロッド51をこの長さ方向に沿った中心軸Gの方向(軸方向)Xおよびこの軸方向Xに直交する直交方向Yに移動させるためのものである。
また、前記炉本体43の側面43aで、凹状溝43bの開口部44の両側に、前記ヒータ47により溶融した原料焼結ロッド51を冷却するための冷却機構45,45が炉本体43の高さ方向に沿って設けられている。冷却機構45の具体例としては、冷水が流された冷水パイプを開口部44の両側の側面43aに高さ方向にって配設したものなどが挙げられる。
【0018】
このような構成の溶融凝固凝固装置40を用いて原料焼結ロッド51を溶融凝固させるには、ヒータ47の電源をいれて凹状溝43b内の温度が原料焼結ロッド51の融点より高い温度となるように設定し、ついで原料焼結ロッド51の上部の保持部51aを前記移動機構により保持し、この原料焼結ロッド51の保持部51a以外の超電導形成部51bを炉本体43の凹状溝43b内に導入する。ついで、原料焼結ロッド51を中心軸Gを中心にして回転させながら超電導形成部51bをその側面側から加熱して溶融する。このとき原料焼結ロッド51の溶融した超電導形成部は半溶融状態であれば、原料焼結ロッド51の自重で切れてしまわない程度の軸方向Xの張力を有している。
【0019】
ついで、原料焼結ロッド51を軸方向Xおよび直交方向Yに移動させて開口部から冷却機構45,45間に配置し、これら冷却機構45,45によって溶融部を冷却して凝固させると、凝固部にY123の結晶が形成される。ここでの原料焼結ロッド51の移動距離は、このロッド51の直径程度の短い距離である。また、ここでの凝固部のY123の結晶の成長速度は、原料焼結ロッド51の移動速度により制限され、1〜3mm/程度とされる。
ついで、溶融凝固ロッドを酸素雰囲気中において450〜500℃の温度で、48〜150時間程度アニールする。
この後、溶融凝固ロッドを常温まで冷却すると、目的とするY−Ba−Cu−O系超電導導体が得られる。
【0020】
また、前記原料焼結ロッド51を移動させながら凝固する際、移動速度が1mm/hの場合、原料焼結ロッド51の移動方向Zが軸方向Xに対して35゜となるようにすなわち移動方向Zと軸方向Xとの間に作られる角θが35゜になるようにすることが好ましい。このように原料焼結ロッド51の移動方向Zが軸方向Xに対して35゜になるようにすると、原料焼結ロッド51の移動方向ZとY−Ba−Cu−O系超電導体の結晶の(113)面の法線が一致し、その結果として図3の模式図に示すように得られるY−Ba−Cu−O系超電導導体58の軸方向Xと平行にY−Ba−Cu−O系超電導体の結晶59の(110)面が配向し、すなわちab面が超電導導体58の軸方向Xと平行となるので、高電流密度特性を備えたY−Ba−Cu−O系超電導導体を得ることができる。
【0021】
また、Y−Ba−Cu−O系超電導導体は超電導体の異方性結晶を有し、結晶軸の方向が重要なパラメータになるが、原料焼結ロッド51を移動させながら凝固する際、原料焼結ロッド51を移動させる軸方向と直交方向の移動速度比を変化させることにより、超電導体の異方性結晶の結晶軸の方向を制御することができ、これによって超電導導体の電流密度特性を変更することができ、所望の電流密度特性を備えたY−Ba−Cu−O系超電導導体を得ることができる。
前述のようにして製造されたY−Ba−Cu−O系超電導導体は、極低温の冷媒中に浸漬された超電導機器に給電するための超電導電流リード線などに好適に用いることができる。
【0022】
この実施形態のY−Ba−Cu−O系超電導導体の製造方法にあっては、酸化物超電導材料粉末を主成分とする原料粉末を成形後、焼結して原料焼結ロッド51を形成し、該原料焼結ロッド51を溶融凝固法により溶融凝固して超電導部51bを形成する酸化物超電導導体の製造方法において、前記原料焼結ロッド51に形成する超電導部51bの長さ以上の高さを有する加熱部を備えた炉本体(加熱手段)43を用いて前記原料焼結ロッド51の略全体(少なくとも超電導形成部51b)をその側面側から加熱して溶融した後、該原料焼結ロッド51を軸方向Xおよび直交方向Yに移動させながら凝固することにより、溶融した原料焼結ロッド51をこれの直径程度の僅かな距離を移動させるだけで原料焼結ロッド51の略全長(少なくとも超電導形成部51b)に亘って凝固させることができるので、原料焼結ロッド51を短時間で溶融凝固させることができ、従ってY−Ba−Cu−O系超電導導体の製造効率が向上する。
また、溶融凝固装置40にあっては、前述の構成としたことにより、前述の実施形態のY−Ba−Cu−O系超電導導体の製造方法において原料焼結ロッド51を溶融凝固させて超電導部51bを形成するときに好適に用いることができる。
【0023】
なお、前述の酸化物超電導導体の製造方法の例においては、Y−Ba−Cu−O系超電導導体を製造する場合について説明したが、A−B−Cu−O系(ただし、AはLa,Ce,Y,Sc,Ybなどの周期律表IIIa族元素の1種以上を示し、BはSr,Baなどの周期律表IIa族元素の1種以上を示す)系超電導導体を製造する場合にも同様になし得る。
【0024】
【実施例】
(実施例)
YBaCu7−x(Y123)粉末とYBaCuO(Y211)粉末と比率が10モル:3モルの粉末に、Ag粉末3〜10重量%と、Pt粉末0.5〜1重量%とを混合した原料粉末を用意した。
ついで、混合した原料粉末を常温静水圧圧縮成形法により成形圧力2000kg/cmで圧縮成形し、ロッド状出発材を作製した。これらのロッド状出発材を、酸素雰囲気中で900℃、8時間で焼結し原料焼結ロッドを作製した。
ついで、図1と同様の溶融凝固装置を用意し、ヒータの電源をいれて凹状溝内の温度が1035℃となるように設定し、ついで作製した原料焼結ロッドの上部の保持部を溶融凝固装置の移動機構により保持した。この後、この原料焼結ロッドの超電導形成部を炉本体の凹状溝内に導入し、原料焼結ロッドを中心軸を中心にして回転させながら超電導形成部をその側面側から加熱して溶融した。
【0025】
ついで、原料焼結ロッドを軸方向および直交方向に移動させて炉本体の開口部から冷却機構の間に配置し、これら冷却機構によって超電導形成部を冷却して凝固させ、凝固部にY123の結晶を形成することにより、 径2.5mm、長さ200mmの溶融凝固ロッドを作製した。ここで原料焼結ロッドを移動させながら凝固する際、原料焼結ロッドの直交方向への移動速度を軸方向への移動速度と同じ速度1mm/hにし、原料焼結ロッドの移動方向と軸方向との間に作られる角が35゜になるようにした。このときの原料焼結ロッドの移動距離は、10mmであった。また、ここでの原料焼結ロッドの溶融凝固に要した時間は、10時間であった。
ついで、作製した溶融凝固ロッドを酸素雰囲気中において500℃の温度で、48時間程度アニールした後、冷却した。
この後、溶融凝固ロッドを常温まで冷却し、径2.5mm、長さ20cmY−Ba−Cu−O系超電導導体を得た。
【0026】
次に、この実施例で得られたY−Ba−Cu−O系超電導導体の電流密度(臨界電流密度)特性について調べた。ここでの電流密度特性は、直流四端子法により77K、0テスラにおける臨界電流(Ic)と臨界電流密度(Jc)を測定することにより調べた。その結果、実施例で得られたY−Ba−Cu−O系超電導導体は、Icが1500(A)、Jcが3.0(10A/cm)であり、後述する比較例で得られたY−Ba−Cu−O系超電導導体に比べてIcおよびJcが大きく、電流密度特性が高いことが分った。
【0027】
(比較例)
図4と同様の円環状の電気炉を用意し、この電気炉内の温度が1035℃になるようにセットし、前記実施例と同様にして作製した原料焼結ロッドの上端部側から前記電気炉内に導入し、該原料焼結ロッドの長さ方向に沿った軸を中心にして回転させながら徐々に上方(長さ方向の軸の方向に沿った方向)に引き上げることにより、原料焼結ロッドに部分的に形成された溶融帯を上端部側から下端部側に徐々に移動させるとともに電気炉から導出された部分を冷やして凝固させて、溶融を経て凝固した凝固部にY−Ba−Cu−O系超電導体の結晶を成長させ、径2.5mm、長さ200mmの溶融凝固ロッドを作製した。ここでのYBaCu7−x(Y123)の結晶の成長速度は1mm/hであった。また、ここでの原料焼結ロッドの溶融凝固に要した時間は、200時間であった。
ついで、作製した溶融凝固ロッドを酸素雰囲気中において500℃の温度で、48時間程度アニールした後、冷却した。
この後、溶融凝固ロッドを常温まで冷却し、径2.5mm、長さ20cmY−Ba−Cu−O系超電導導体を得た。
【0028】
次に、この比較例で得られたY−Ba−Cu−O系超電導導体の電流密度(臨界電流密度)特性について調べた。ここでの電流密度特性は、直流四端子法により77K、0テスラにおける臨界電流(Ic)と臨界電流密度(Jc)を測定することにより調べた。その結果、Icが1000(A)、Jcが2.0(10A/cm)であった。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の酸化物超電導導体の製造方法にあっては、特に、原料焼結ロッドに形成する超電導部の長さ以上の高さを有する加熱部を備えた加熱手段を用いて原料焼結ロッドをその側面側から加熱して溶融した後、該原料焼結ロッドをこれの長さ方向に沿った軸方向およびこの軸方向に直交する直交方向に移動させながら凝固することにより、溶融した原料焼結ロッドをこれの直径程度の僅かな距離を移動させるだけで原料焼結ロッドの略全長(少なくとも超電導形成部)に亘って凝固させることができるので、原料焼結ロッドを短時間で溶融凝固させることができ、従って酸化物超電導導体の製造効率を向上させることができるという利点がある。
また、原料焼結ロッドを移動させながら凝固する際、原料焼結ロッドを移動させる軸方向と直交方向の移動速度比を変化させることにより、原料焼結ロッドの移動方向と酸化物超電導体の結晶の(113)面の法線が一致し、その結果として得られるY−Ba−Cu−O系超電導導体の軸方向と平行に酸化物超電導体の結晶の(110)面が配向し、すなわちab面が酸化物超電導導体の軸方向と平行となるので、高電流密度特性を備えた酸化物超電導導体を得ることができるという利点がある。
【0030】
また、原料焼結ロッドを移動させながら凝固する際、原料焼結ロッドの移動方向が軸方向に対して35゜となるように原料焼結ロッドを移動させることにより、酸化物超電導体の異方性結晶の結晶軸の方向を制御することができ、これによって酸化物超電導導体の電流密度特性を変更することができ、所望の電流密度特性を備えた酸化物超電導導体を得ることができるという利点がある。
【0031】
本発明の溶融凝固装置にあっては、原料焼結ロッドに形成する超電導部の長さ以上の高さを有する炉本体と、原料焼結ロッドを保持するとともに該原料焼結ロッドをこの長さ方向に沿った軸方向およびこの軸方向に直交する直交方向に移動させるための移動機構とが少なくとも備えられ、前記炉本体の側面には原料焼結ロッドを通すための凹状溝が高さ方向に沿って形成され、かつ該凹状溝の壁面に原料焼結ロッドをその側面側から加熱して溶融するための加熱部が高さ方向に沿って設けられ、該加熱部は前記原料焼結ロッドに形成する超電導部の長さ以上の高さを有するものであるので、前述の本発明の酸化物超電導導体の製造方法において原料焼結ロッドを溶融凝固して超電導部を形成するときに好適に用いることができる。
【0032】
また、前記溶融凝固装置において、炉本体の側面に形成された凹状溝の開口部の近傍に溶融した原料焼結ロッドを冷却するための冷却機構が炉本体の高さ方向に沿って設けられたものにあっては、原料焼結ロッドを直交方向に移動させることによって、凹状溝の開口部から炉本体の外側に原料焼結ロッドを導出すると同時に冷却機構の間に配置して、超電導形成部を冷却して凝固させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化物超電導導体の製造方法において、原料焼結ロッドを溶融凝固する際に用いる溶融凝固装置の一例を説明するための概略構成図である。
【図2】(A)図1の溶融凝固装置のI−I線に沿った縦断面図、(B)図1の溶融凝固装置のII−II線に沿った横断面図である。
【図3】本発明の酸化物超電導導体の製造方法により製造されたY−Ba−Cu−O系超電導導体と、これを構成するY−Ba−Cu−O系超電導体の結晶の配向状態を説明するための模式図である。
【図4】従来の溶融凝固装置の例を説明するための概略構成図である。
【図5】従来の溶融凝固装置のその他の例を説明するための概略構成図である。
【図6】Y−Ba−Cu−O系超電導体の結晶の格子面を説明するための図である。
【図7】従来の酸化物超電導導体の製造方法により製造されたY−Ba−Cu−O系超電導導体と、これを構成するY−Ba−Cu−O系超電導体の結晶の配向状態を説明するための模式図である。
【符号の説明】
40・・・溶融凝固装置、43・・・炉本体(加熱手段)、43a・・・側面、43b・・・凹状溝、 44・・・開口部、45・・・冷却機構、47・・・ヒータ、
51・・・原料焼結ロッド、51a・・・保持部、51b・・・超電導部(超電導形成部)、58・・・超電導導体、59・・・超電導体の結晶、H・・・高さ、G・・・中心軸、
X・・・軸方向、Y・・・直交方向、Z・・・移動方向、θ・・・角度。

Claims (5)

  1. Y−Ba −Cu −O 7−x 粉末を主成分とする原料粉末を成形後、焼結して原料焼結ロッドを形成し、該原料焼結ロッドを溶融凝固法により溶融凝固して超電導部を形成するY−Ba −Cu −O 7−x 超電導導体の製造方法において、
    前記原料焼結ロッドに形成する超電導部の長さ以上の高さを有する加熱部を備えた加熱手段を用いて前記原料焼結ロッドをその側面側から加熱して溶融した後、該原料焼結ロッドをこれの長さ方向に沿った軸方向およびこの軸方向に直交する直交方向に、該原料焼結ロッドの移動方向とY−Ba −Cu −O 7−x の結晶の(113)面の法線が一致するように移動させながら凝固することを特徴とするY−Ba −Cu −O 7−x 超電導導体の製造方法。
  2. 原料焼結ロッドを移動させながら凝固させる際、原料焼結ロッドの移動方向が軸方向に対して35゜となるように原料焼結ロッドを移動させることを特徴とする請求項1記載のY−Ba −Cu −O 7−x 超電導導体の製造方法。
  3. 原料焼結ロッドを移動させながら凝固させる際、原料焼結ロッドを移動させる軸方向と直交方向の移動速度比を変化させることを特徴とする請求項1記載のY−Ba −Cu −O 7−x 超電導導体の製造方法。
  4. 酸化物超電導材料粉末を主成分とする原料粉末を成形、焼結してなる原料焼結ロッドを溶融凝固して超電導部を形成する溶融凝固装置であって、
    前記原料焼結ロッドに形成する超電導部の長さ以上の高さを有する炉本体と、前記原料焼結ロッドを保持するとともに該原料焼結ロッドをこの長さ方向に沿った軸方向およびこの軸方向に直交する直交方向に移動させるための移動機構とが少なくとも備えられ、前記炉本体の側面には原料焼結ロッドを通すための凹状溝が高さ方向に沿って形成され、かつ該凹状溝の壁面に原料焼結ロッドをその側面側から加熱して溶融するための加熱部が高さ方向に沿って設けられ、該加熱部は前記原料焼結ロッドに形成する超電導部の長さ以上の高さを有するものであることを特徴とする溶融凝固装置。
  5. 炉本体の側面に形成された凹状溝の開口部の近傍に溶融した原料焼結ロッドを冷却するための冷却機構が炉本体の高さ方向に沿って設けられてなることを特徴とする請求項4記載の溶融凝固装置。
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