JP3597042B2 - Nmrプローブ用コイル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、NMR装置において用いられるプローブ用コイル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
NMR装置では、試料を収容したプローブを一様な静磁場内に配置し、プローブ内の試料に近接して配置されたコイルから励起用高周波磁界を照射すると共に、試料からの共鳴信号をこのコイルによって受信し、受信回路を介してコンピュータへ送り、フーリエ変換処理によりNMRスペクトルを得ている。その際、コイルと試料の共鳴子との結合の良否がNMR装置の感度を大きく左右するため、コイルの形状や構造には大きな注意が払われている。超伝導磁石を用いるNMR装置の場合、例えば、図1に示すような円筒状の鞍形コイルが用いられてきた。
【0003】
図1(a)は、鞍形コイルの展開図を示したものである。図中1は、鞍形コイルを形成したときに、円筒軸に対して平行方向に延びる直線状導電性部片、2は、鞍形コイルを外部回路に接続するためのリード部、3は、鞍形コイルを形成したときに、円筒の周方向に巻回される円弧状導電性部片である。磁化率がゼロになるように制御された導体の薄板から図1(a)のようなコイルパターンを切り出した後、円弧状導電性部片3の上部に延びた直線状導電性部片1及びリード部2を成す凸部4を円弧状導電性部片3に対して直角に折り返すことによって、図1(b)のような鞍形コイルの原型を作る。NMR装置の感度を高めるためには、鞍形コイルのQ値が高いことが必要なので、特開昭61−186842に開示された技術に基づいて、図1(c)のように、上部に延びた凸部4を折り返した際に該凸部4と重なる直線状導電性部片1及びリード部2の境界部分に薄い誘電体板5を挿入してコンデンサを形成させ、鞍形コイルのQ値を高める工夫を施している。このようにして得られた鞍形コイルの原型を、図1(d)のように円筒状の石英ガラスで作られたコイル支持体6の周囲に成型することにより、2つのコイルが並列に配置された感度の高いNMRプローブ用鞍形コイルを得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような方法で成型された鞍形コイルは、円筒状のコイル支持体に固定する場合、接着剤によって接着したり、バンド状の部材で押さえたり、コイルを押さえて固定するための中空円柱状の補助体を用意する等の方法で固定がなされてきたため、固定に要する部材自身の磁化によって鞍形コイル付近の静磁場の均一度を悪化させ、NMRスペクトルの分解能を低下させるという問題があった。
【0005】
このような場合、コイル支持体を使用せず、鞍形コイル自身で形状を維持しながらNMRプローブ内に設置することができたら、支持部材を用いないので、支持部材の磁化による静磁場の均一度の悪化を防ぐことができるが、それを実現しようとすると、金属円柱をくり抜いてコイルを形成させるしかない。そして、その場合、コイルの形状を維持しようとすると、ある程度の堅さと厚さを備えることが必要になるが、現在のNMR分野の厳しい分解能要求に対しては、応えられる材料が存在しない。
【0006】
我々の試験では、コイルの材料は、均質なものを単一または複合的に組み合わせたもので、その厚さが薄いことが、NMRの高分解能を達成する上で重要であることが判っている。そして、それは同時に、電気伝導度が良好なものでなければならない。これらの要求を満たすためには、従来のNMRプローブ用コイル装置を改良する以外に方法がない。
【0007】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、鞍形コイルを支持する支持部材自身の磁化の影響によって静磁場の均一度が悪化することを抑えたNMRプローブ用コイル装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明にかかるNMRプローブ用コイル装置は、並列に接続された等価な2つのコイルから成り、円筒状のコイル支持体の周囲に左右対称に巻回されて、該円筒の軸に直交する方向に高周波磁界を発生させるNMRプローブ用コイル装置において、前記2つのコイル同士を、空気に近い磁化率を持つハンダを用いて、コイル自身に設けられた導電性部片で結合することによって、前記円筒状コイル支持体の外周面上に前記2つのコイルを円筒状に固着させることを特徴としている。
【0009】
また、前記2つのコイルは、導体の薄板から切り出したコイルパターンを所定の折り線に沿って折り返した後、円筒状に成型して成ることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図2は、本発明にかかる鞍形コイルのコイルパターンを示したものである。
【0011】
図2(a)の1は、鞍形コイルを形成したときに、円筒軸に対して平行方向に延びる直線状導電性部片、2は、鞍形コイルを外部回路に接続するためのリード部、3は、鞍形コイルを形成したときに、円筒の周方向に巻回される円弧状導電性部片である。磁化率がゼロになるように制御された導体の薄板から図2(a)のようなコイルパターンを切り出した後、円弧状導電性部片3の上部に延びた直線状導電性部片1及びリード部2を成す凸部4を円弧状導電性部片3に対して直角に折り返すことによって、図2(b)または(c)のような鞍形コイルの原型を作る。NMR装置の感度を高めるためには、鞍形コイルのQ値が高いことが必要なので、特開昭61−186842に記載された技術に基づいて、図2(d)のように、上部に延びた凸部4を折り返した際に該凸部4と重なる直線状導電性部片1及びリード部2の境界部分に薄い誘電体板5を挿入してコンデンサを形成させ、鞍形コイルのQ値を高める工夫を施している。このとき、コンデンサを形成しやすいように、直線状導電性部片1とリード部2の境界部分に、ある所定の面積の導体薄板から成るコンデンサ部を設けても良い。
【0012】
このコイルパターンには、従来のコイルパターンにはない自立固定用接続端7が設けられている。この自立固定用接続端7は、コイルパターンを円筒状の鞍形コイルに成型したとき、対向する直線状導電性部片を結合して鞍形コイル自身で円筒を形成する目的で設けられているものであり、図2では強調するために鞍形コイルの直線状導電性部片1やリード部2や円弧状導電性部片3と同等の大きさに描かれているが、鞍形コイルの形状の対称性を乱して静磁場の均一性に悪影響を及ぼさないことが必要であり、実際には極めて小さな部片である。
【0013】
自立固定用接続端7は、図3に示すように、石英ガラス等でできた均質で安定かつNMRに適した化学的、物理的、電気的特性を持ったコイル支持体6に鞍形コイルを圧接固定する際に、自立固定用接続端7を有する直線状導電性部片とそれに対向する直線状導電性部片の間を結合するための糊代としての役割を持っている。自立固定用接続端7で直線状導電性部片間を繋ぐことにより、コイル支持体6の表面に鞍形コイルを自立・固着させることができる。その結果、従来は必要であった接着剤による接着、バンド状の部材による押さえつけ、コイルを押さえて固定するための中空円柱状の補助体の用意等が不要になり、鞍形コイルの固定に用いる部材の磁化に起因する静磁場の均一性の乱れを無くすことができる。
【0014】
尚、自立固定用接続端7によって鞍形コイルの直線状導電性部片間を繋ぐ際には、空気に近い磁化率にまで磁気的性質をコントロールされたハンダが用いられる。このハンダは、特開平7−197153に開示されているもので、NMRプローブのような磁気的な乱れを極端に嫌う部材を組み立てる際に、極めて有用なものである。また、鞍形コイル部分で共振器を形成してQ値を高めるために、鞍形コイルのリード部2には、空気に近い磁化率にまで磁気的性質をコントロールされたコンデンサが付加される。
【0015】
コンデンサを固定する方法としては、例えば、導体薄板から切り出されたコイルパターンの凸部を円弧状導電性部片に対して折り返して鞍形コイルの原型を拵えた後、該コイルパターンを裏返した上でコイル支持体に固着させるのも1つの方法である。このようにすれば、図4のように、円弧状導電性部片3と自立固定用接続端7との結合によるコイル支持体6への圧接力を使って誘電体板5を固定させることができるからである。
【0016】
以上、本発明の一実施例について述べたが、図2に示した鞍形コイルのコイルパターンには、様々な変形が可能である。図5は、鞍形コイルのコイルパターンの変形例を例示したものである。図5の1段目は、鞍形コイルの直線状導電性部片に1〜2個の自立固定用接続端を設けた例である。1段目の左、及び中央の例のように、円弧状導電性部片の延長上に2つの自立固定用接続端を設け、円弧状導電性部片の端部同士を結合させると、1つの自立固定用接続端で結合させた場合よりも鞍形コイルの構造が頑丈になる。また、自立固定用接続端は、1段目の右の変形例のように、直線状導電性部片の中央に設けても良い。また、図5の2段目は、上側の円弧状導電性部片を1本の導体薄板で形成させると共に、1〜2個の自立固定用接続端を設けた例である。また、図5の3段目は、上側の円弧状導電性部片と上側の直線状導電性部片をそれぞれ1本の導体薄板で形成させると共に、1〜2個の自立固定用接続端を設けた例である。また、図5の4段目は、上下2本の円弧状導電性部片を結ぶ直線状導電性部片を円弧状導電性部片の一端に纏めて形成させると共に、2個の自立固定用接続端を設けた例である。これらの変形例が、いずれも先に図2〜図4において述べたような、鞍形コイル固定の際の直線状導電性部片間の結合を可能としていることは、言うまでもない。
【0017】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明のNMRプローブ用コイル装置を用いれば、鞍形コイル自身が自立してコイル支持体に固着するので、従来、必要であった接着剤による接着、バンド状の部材による押さえつけ、コイルを押さえて固定するための中空円柱状の補助体の用意等が不要になり、鞍形コイルの固定に用いる部材の磁化に起因する静磁場の均一性の乱れを無くすことができる。その結果、高分解能かつ高感度なNMRプローブを提供することができる。また、本発明は、構造が簡単なので、製造上の容易さを享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の鞍形コイルを示す図である。
【図2】本発明の鞍形コイルのコイルパターンを示す図である。
【図3】本発明の鞍形コイルを示す図である。
【図4】本発明の鞍形コイルの一変形例を示す図である。
【図5】本発明の鞍形コイルのコイルパターンの変形例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・直線状導電性部片、2・・・リード部、3・・・円弧状導電性部片、4・・・凸部、5・・・誘電体板、6・・・コイル支持体、7・・・自立固定用接続端。
Claims (2)
- 並列に接続された等価な2つのコイルから成り、円筒状のコイル支持体の周囲に左右対称に巻回されて、該円筒の軸に直交する方向に高周波磁界を発生させるNMRプローブ用コイル装置において、
前記2つのコイル同士を、空気に近い磁化率を持つハンダを用いて、コイル自身に設けられた導電性部片で結合することによって、前記円筒状コイル支持体の外周面上に前記2つのコイルを円筒状に固着させることを特徴とするNMRプローブ用コイル装置。 - 前記2つのコイルは、導体の薄板から切り出したコイルパターンを所定の折り線に沿って折り返した後、円筒状に成型して成ることを特徴とする請求項1記載のNMRプローブ用コイル装置。
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JP10054398A JP3597042B2 (ja) | 1998-03-27 | 1998-03-27 | Nmrプローブ用コイル装置 |
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JPH11281724A JPH11281724A (ja) | 1999-10-15 |
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