JP2003274486A - フィルム状コイル及び該コイルを用いた電気音響変換器 - Google Patents

フィルム状コイル及び該コイルを用いた電気音響変換器

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JP2003274486A JP2002067583A JP2002067583A JP2003274486A JP 2003274486 A JP2003274486 A JP 2003274486A JP 2002067583 A JP2002067583 A JP 2002067583A JP 2002067583 A JP2002067583 A JP 2002067583A JP 2003274486 A JP2003274486 A JP 2003274486A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コイルを軽量化でき、磁束の利用効率が高く、
且つ製造コストが低い電気音響変換器及びこれに使用す
るフィルム状コイルを提供する。 【解決手段】 細長い平面部、及び該平面部の長手方向
に沿う両縁部から相互に対面するように曲折した側面部
を備えたフィルムと、前記対面する側面部を周回するコ
イルパターンに形成された導電層とを備えていることを
特徴とするフィルム状コイル、及び、フィルム状コイル
と、周縁部又はその近傍に前記フィルムの平面部を位置
させる振動板と、前記対面する側面部の導電層を相互に
逆向きの磁界内に置くように配置されたマグネット部と
を備えたことを特徴とする電気音響変換器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピーカ、マイク
ロフォン等の電気音響変換器及びこれに用いられるフィ
ルム状コイルに係る。
【0002】
【従来の技術】従来のスピーカとして多用されている動
電型スピーカには、軽量化を目的としてフレキシブル基
板でボビンを形成し、これに銅線を巻き付けてコイルを
形成したものが提案されている(特開平8−22369
2)。しかしながら、このスピーカは、導線の巻き付け
によってコイルを形成しているため、銅線巻き付けに手
間とコストが掛かる上、銅線径以上の磁気回路ギャップ
が必要であるため、コイルに作用する磁気エネルギの利
用効率が低いという問題があった。
【0003】これに対処するものとして、フレキシブル
基板に複数のコイルパターンの導電層を形成し、各コイ
ルに対応してマグネットを配置し、導電層に音響信号を
供給することにより、フレキシブル基板全体を振動させ
て音響を放射するスピーカが提案されている(特開20
00−201395等)。しかしながら、この主のスピ
ーカは、マグネットの漏れ磁束を利用してコイルをマグ
ネットへの接近離反方向へ駆動するので、マグネットと
の接触を生じないしないギャップをおいてコイルを配置
する必要がある。したがって、コイルを通過する磁束密
度が小さく、また、コイルの位置により磁束密度が大き
く異なり、これらの結果、磁気エネルギの利用効率が低
かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの従
来の技術の問題を解決し、コイルを軽量化でき、磁束の
利用効率が高く、且つ製造コストが低い電気音響変換器
及びこれに使用するフィルム状コイルを提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の前記目的は、細
長い平面部、及び該平面部の長手方向に沿う両縁部から
相互に対面するように曲折した側面部を備えたフィルム
と、前記対面する側面部を周回するコイルパターンに形
成された導電層とを備えていることを特徴とするフィル
ム状コイルにより達成される。
【0006】このフィルム状コイルは、フィルムとそこ
にコイルパターンで形成された導電層とを備えたものと
して形成されるので、極めて軽量である。また、コイル
が、細長いフィルムを曲折した側面部を周回するように
形成されるので、該側面部を磁極又は強磁性体による誘
導部材の間の磁束密度の高い磁場内に置くことができ、
磁束を有効に利用することができる。
【0007】このフィルム状コイルは、平らな細長いフ
ィルムの外周縁部に沿って導電層をコイルパターンに形
成し、少なくともフィルム長手方向に延びる両縁部の導
電層が相互に対面するように前記フィルムを折り曲げる
ことにより製作することができる。
【0008】本発明の前記目的はまた、前記フィルム状
コイルと、周縁部又はその近傍に前記フィルムの平面部
を位置させる振動板と、前記対面する側面部の導電層を
相互に逆向きの磁界内に置くように配置されたマグネッ
ト部とを備えたことを特徴とする電気音響変換器により
達成される。
【0009】この電気音響変換器は、マグネット部が、
対面する側面部の導電層を相互に逆向きの磁界内に置く
ように配置されるので、導電層によるコイルに電流が流
れると、フレミングの左手の法則により、コイルに一定
方向の電磁力が発生し、振動板の駆動が可能となる。ま
た、振動板の周縁部又はその近傍に前記フィルム状コイ
ルを位置させるので、振動板の周辺部駆動により振動板
全体にわたる均一性の高い振動が得られる。また、振動
板の中央部に駆動部材等を配置する必要がないので、該
中央部を有効に利用することができる。特に、振動板を
透明性のものとすれば、振動板を通して向こう側の画像
等を見ることができる。
【0010】本発明の前記目的はまた、振動板に近い外
形寸法を有した平面部、及び該平面部の外周部から相互
に対面するように曲折した側面部を有したフィルムと、
前記対面する側面部を周回するコイルパターンに形成さ
れた導電層とを備えていることを特徴とするフィルム状
コイルにより達成される。
【0011】前記フィルム状コイルは、振動板に近い外
形寸法を有したフィルムを用い、平らな該フィルムの外
周縁部に沿って周回するコイルパターンをなすように導
電層を形成し、導電層形成部分が相互に対面するように
前記フィルムを折り曲げることにより製作することがで
きる。
【0012】このフィルム状コイルも、フィルムとそこ
にコイルパターンで形成された導電層とを備えたものと
して形成されるので、極めて軽量である。また、コイル
が、振動板に近い外形寸法の平面部から曲折した側面部
を周回するように形成されるので、該側面部を磁極又は
強磁性体による誘導部材の間の磁束密度の高い磁場内に
置くことができ、磁束を有効に利用することができる。
【0013】本発明の前記目的はまた、前記振動板に近
い外形寸法を有したフィルム状コイルと、前記フィルム
の平面部を備えた振動板と、前記周回する導電層を周回
の中心部から放射方向にみて同じ向きの磁界内に置くよ
うに配置されたマグネット部とを備えたことを特徴とす
る電気音響変換器により達成される。
【0014】この電気音響変換器は、マグネット部が、
周回する導電層を周回の中心部から放射方向にみて同じ
向きの磁界内に置くように配置されるので、導電層によ
るコイルに電流が流れると、フレミングの左手の法則に
より、周回するコイルに一定方向の電磁力が発生し、振
動板の駆動が可能となる。また、振動板の周縁部又はそ
の近傍に前記フィルム状コイルを位置させることができ
る。この場合は、振動板の周辺部駆動により振動板全体
にわたる均一性の高い振動が得られる。また、振動板の
中央部に駆動部材等を配置する必要がないので、該中央
部を有効にりようすることができる。特に、振動板を透
明性のものとすれば、振動板を通して向こう側の画像等
を見ることができる。
【0015】前記電気音響変換器はまた、前記フィルム
が前記側面部及び平面部に沿って延びるボビンに支持さ
れ、該ボビンにおける前記平面部と反対側の縁部は、電
気音響変換器の躯体への取り付け用板ばね片に結合され
たものとすることができる。
【0016】このフィルム状コイルは、ボビンの縁部に
結合された板ばね片により電気音響変換器の躯体に取り
付けられ支持されるので、板ばねによる極めて低い一次
共振周波数が得られる。したがって、このフィルム状コ
イルを用いれば、均質な周波数特性の電気音響変換器が
実現される。
【0017】
【実施の形態】以下、本発明の実施形態について添付図
面を参照しつつ説明する。図面では、同一又は同種の部
分に同じ番号を付し、その説明を省略することがある。 (第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態に係る
スピーカ用フィルム状コイル1を示している。このフィ
ルム状コイル1は、細長い平面部11、及び該平面部の
長手方向に沿う両縁部から相互に対面するように曲折し
た側面部12を備えたフィルム10と、対面する側面部
12を周回するコイルパターンに形成された導電層20
とを備えている。この例では、平面部11の長手方向に
沿って複数の空気孔13が形成されている。この空気孔
13は、振動の際の空気バネの影響を排除乃至緩和する
役割をなす。
【0018】このフィルム状コイル1は、図2に示すよ
うな細長いフィルム10aを用いて製作することができ
る。フィルム10aを構成する材料としては、ポリエス
テルフィルム、ポイリイミドフィルム等、或いはこれら
のフィルムをラミネートしたものを用いることができ
る。フィルム10aには、空気孔13を打ち抜き加工等
により形成する。
【0019】このフィルム10aの外周縁部付近に沿っ
て導電層20をコイルパターンに形成する。この導電層
は、例えば、以下の方法で形成することができる。フィ
ルム10aの外周縁部付近に沿って、真空蒸着、スパッ
タリング、CVD、箔の接着等により、導電性金属層を
形成する。この上にレジストを塗布し、コイルパターン
以外の部分をマスキングして露光し、現像してレジスト
層を形成する。その後、エッチングにより、レジスト層
で覆われていない金属層を除去するとコイルパターンの
導電層20が得られる。なお、上記工程は、フィルム1
0aを切り出す前の大寸法のフィルム材に対して、複数
のフィルム10a分を同時に行なってもよい。この場
合、導電性金属層の形成は、切り出すべきフィルム10
aの外周縁部付近に相当する部分に行なってもよいし、
フィルム材のほぼ全面に対して行なってもよい。
【0020】導電層20は、フィルム10aの表裏一方
に設けてもよいが、強い駆動力を得るために表裏両面に
設けるのが望ましい。図3における実線部分がフィルム
10aの表面、破線部分が裏面に設けられた導電層20
を示す。コイルパターンの最内部の接続点Tにおいて表
面と裏面の導電層が接続されている。この接続は、バイ
アホール、スルーホール等により行なうことができる。
コイルパターンの終端からは、接続端子となる引出線2
0a,20bがフィルム10a外へ延ばされる。図4
は、フィルム10の両面に形成されたコイルパターンを
拡大して示している。図示のように、フィルム10の両
面に導電層20が間隔21をおいて形成されている。
【0021】次に、フィルム10aの縁部付近を折り曲
げる。この折り曲げは、図2に破線で示すように、導電
層形成部分を含むフィルム10aの外縁部付近を折り目
とし、導電層が相互に対面するように行なわれる。図示
の例では、フィルム10aの四周を折り曲げるようにし
ているが、電気音響変換器として機能するためには、少
なくともフィルム長手方向に延びる側を折り曲げればよ
い。以上の工程により、所望のフィルム状コイルが得ら
れる。図示のフィルム状コイルは、フィルム10の厚さ
が25μmであり、コイルパターンの一本の厚さが70
μm、幅が250μm、パターンの線間距離が100μm
である。これらの寸法は、目的とする電気音響変換器の
用途や寸法によって適宜決定される。
【0022】次に、上記第1実施形態に係るフィルム状
コイルを使用したスピーカについて説明する。図5及び
図6は、前述のフィルム状コイル1を振動板30に取り
付けてスピーカを構成した状態の断面図及び一部を切欠
いた斜視図である。このスピーカにおいては、フィルム
状コイル1にボビン40が結合されている。
【0023】ボビン40は、図7に示すようにフィルム
状コイル1の内側にほぼ密に納まる寸法の上壁41、長
手方向に延びる側壁42及び両端部の端壁43を有し、
端壁下端から長手方向へ延びた板ばね片44を備えてい
る。板ばね片44は、フィルム状コイル1をスピーカの
躯体へ取り付けるためのものであり、フィルム状コイル
をその取付け面から離反させるために先端部は下方へ曲
げられて、スペーサの役割をなしている。このスペーサ
は別部材で形成してもよい。ボビン40の上面41には
空気孔45が形成され、側面42には軽量化のための多
数の窓46が形成されている。ボビン40は、アルミニ
ウム等の金属、或いは樹脂等で製造することができる。
【0024】図5及び図6に示すように、フィルム状コ
イル1は、上面11を振動板30の周縁部に結合され
る。フィルム状コイル1は、少なくとも振動板30の相
対向する1対の縁部に取り付けられるのが望ましい。振
動板が矩形の場合は、1対の対辺付近に設け、或いは四
周に沿って設けることができる。振動板30は、例え
ば、紙、樹脂、金属等のシート、フィルム等で形成され
る。振動板30にも、図示のように、フィルム状コイル
の空気孔13に対応した位置に空気孔51を設けるのが
望ましい。
【0025】フィルム状コイル1の側面部12付近に
は、マグネット部60が配置される。マグネット部60
は、相互に対面する側面部12の導電層を相互に逆向き
の磁界内に置くように配置される。この例では、対面す
る側面部12の間に、上下方向に磁極を有するマグネッ
ト61が配置され、磁極には鉄等の強磁性体でできたポ
ールピース62及びヨーク63が各々取り付けられ、コ
イルを通る磁束密度を高めている。マグネット61の上
面に接するポールピース62は、直方体形状をなしボビ
ン40の2つの内側面に面しており、マグネット61の
下面に接するヨーク63は、ほぼC字形状をなしフィル
ム状コイル1の2つの外側面に面している。これによ
り、マグネット部60の2つの側面部12は、図5に矢
印Hで示すように、相互に逆向きの磁界内に置かれる。
【0026】なお、図5に示すように、ボビン40の内
側面とポールピース62との間及びフィルム状コイル1
の外側面とヨーク63との間の間隙に、磁性流体Cを介
在させてもよい。磁性流体は、その磁性により磁場形成
部に吸着され、また間隙が十分小さい場合には表面張力
が作用し、間隙内に保持される。これにより、磁場形成
部から発せられる磁束を導体束へより集中させることが
でき、より強い加振力を得ることができる。また、磁性
流体は、熱伝導体としても作用し、電磁誘導で発生する
熱の排出に寄与するので、高い磁束密度を維持するのに
有利である。さらに、ボビンを省略した場合にも、磁性
流体によりフィルム状コイルを両側から保持する作用が
得られるので、安定的な動作を得やすい。このようにし
て使用される磁性流体としては、ハイドロカーボン系溶
媒に金属粒子を分散させたものを挙げることができる。
【0027】ヨーク63の側壁には、前記間隙に磁性流
体を供給する際に器具を通す孔64が設けられている。
図6に示すように、ボビン40の板ばね片44は、振動
板30の端縁から突出し、その先端部がスピーカの躯体
側に取り付けられる。
【0028】図6には、矩形振動板30の1辺に取り付
けられたフィルム状コイル1を示しているが、振動板か
らの音響放射のためには、少なくとも対向する2辺にフ
ィルム状コイルを設けるのが望ましい。複数のフィルム
状コイルを振動板に設け、多重音声等の封数種の駆動信
号を入力する場合は、全てのコイルに共通の駆動信号を
入力してもよいし、1つのコイルに1種又は複数種の駆
動信号を分散して入力してもよい。
【0029】この実施形態に係るスピーカは、次のよう
に作動する。図5に示すようにポールピース62からヨ
ーク63へ向かう磁界が形成されている状態で、コイル
1に駆動電流Iを流す。例えば、図5に示すように左側
の導電層に紙面の向こう側に向かう電流、右側の導電層
に紙面の手前側に向かう電流が流れているときは、フレ
ミングの左手の法則に従い、上向きの力Fがコイルに生
じる。これにより、振動板30は、図の上方へと駆動さ
れる。そして、駆動電流Iの向きが変わる毎にコイル1
に生じる電磁力Fの向きが変わり、振動板が加振される
ことになる。 (第2実施形態)図8は、本件発明の第2の実施形態に
係るフィルム状コイル1Aを、振動板30A及びボビン
40Aと共に、分解した状態で示している。図示のよう
に、振動板30Aは矩形であり、フィルム状コイル1A
の上面に接着されている。フィルム状コイル1Aは、振
動板30Aよりやや小さい外形寸法の平面部11A及び
該平面部から下方へ曲折した側面部12Aを有して直方
体状をなすフィルム10Aと、側面部12Aを周回する
コイルパターンに形成された導電層20Aとを備えてい
る。
【0030】このフィルム状コイル1Aは、図1のフィ
ルム状コイル1について説明したのと同様にして、平ら
なフィルムの外周縁部付近に沿って導電層をコイルパタ
ーンに形成し、その外周縁部に沿って折り曲げることに
より製作することができる。図示の例では、フィルムの
四周を折り曲げるようにしているが、電気音響変換器と
して機能するためには、少なくともフィルム長手方向に
延びる側を折り曲げればよい。導電層は、フィルムの表
裏一方に設けてもよいが、強い駆動力を得るために表裏
両面に設けるのが望ましい。フィルムの平面部12A
は、図示のように周縁部から中央部まで連続したものと
することができ、或いは、図8に一点鎖線で示す箇所を
内周縁とする枠状とすることもできる。
【0031】次に、上記第2実施形態に係るフィルム状
コイルを使用したスピーカについて説明する。図12
は、フィルム状コイル1Aを振動板30Aに取り付けて
スピーカを構成した状態の一部を切欠いた斜視図であ
る。このスピーカにおいては、フィルム状コイル1にボ
ビン40Aが結合されている。
【0032】図8に示すように、ボビン40Aは、フィ
ルム状コイル1Aの内側にほぼ密に納まる寸法の上壁4
1A、長手方向に延びる側壁42A及び両端部の端壁4
3Aを有し、端壁下端から長手方向へ延びた板ばね片4
4Aを備えている。板ばね片44Aは、フィルム状コイ
ル1Aをスピーカの躯体へ取り付けるためのものであ
り、フィルム状コイルをその取付け面から離反させるた
めに先端部は下方へ曲げられて、スペーサの役割をなし
ている。図9は、ボビン40Aを平板から製作する場合
の、折り曲げ前の材料を示している。この平板の材料
は、アルミニウム等の金属、或いは樹脂等とすることが
できる。この平板は、破線部分で折り曲げることによ
り、ボビン40Aが形成される。
【0033】なお、ボビンの板ばね片は、種々の形態で
設けることができ、例えば、図10に示すものとするこ
とができる。このボビン40Bは、前述のボビン40A
と同様に、フィルム状コイル1Bの内側にほぼ密に納ま
る寸法の上壁41B、長手方向に延びる側壁42B及び
両端部の端壁43Bを有している。但しボビン40Bで
は、板ばね片44Bは、端壁43Bの下端からボビンの
内側へ折り込まれ、ほぼ中央で再び折り返されて端壁4
3B下方まで延びている。この形態によれば、板ばね片
44Bがボビン本体の平面寸法内に納まるので、コンパ
クトである。また、板ばね片44Bを長くとれるので、
ばね特性の適性化を行ないやすい。図11は、ボビン4
0Bを平板から製作する場合の、折り曲げ前の材料を示
している。この平板は、破線部分で折り曲げることによ
り、ボビン40Bが形成される。
【0034】図12及び図13は、フィルム状コイル1
Aにマグネット部60Aが配置された状態を示してい
る。マグネット部60Aは、フィルム状コイル1Aにお
いて周回する導電層20Aを、周回の中心部から放射方
向にみて同じ向きの磁界内に置くように配置される。こ
の例では、側面部12Aの両側にマグネット61Aが、
磁極が上下方向となるように配置され、マグネットの上
端にポールピース62A、下端にヨーク63Aが各々取
り付けられている。2つのポールピース62Aは、フィ
ルム状コイル1Aの外面及びボビン40Aの内面に面す
るように配置されている。マグネット61Aは、フィル
ム状コイル外側のものが上、内側のものが下をN極とし
て配置されている。その結果、図示のように、フィルム
状コイルを外側から内側へ横切る磁界が形成される。こ
の例においても、ポールピース62Aとフィルム状コイ
ル1A及びボビン40Aとの間に磁性流体を介在させて
もよい。
【0035】この実施形態に係るスピーカは、次のよう
に作動する。図13に示すようにフィルム状コイル1A
を外側から内側へ横切る磁界が形成されている状態で、
コイル1Aに駆動電流Iを流す。例えば、図13に示す
ように導電層に紙面の手前側に向かう電流が流れている
ときは、フレミングの左手の法則に従い、上向きの力F
がコイルに生じる。これにより、振動板30Aは、図の
上方へと駆動される。この場合、導電層20Aは、周回
するコイル全体において外側から内側へ横切る磁界にお
かれているので、コイル全体に上向きの力が生じる。そ
して、駆動電流Iの向きが変わる毎にコイル1Aに生じ
る電磁力Fの向きが変わり、振動板が加振されることに
なる。
【0036】なお、この例では、振動板30Aをフィル
ム状コイル1Aの平面部と別個に設けたが、フィルム状
コイルの平面部を振動板とすることもできる。 (他の実施形態)以上の実施形態においては、種々の変
形が可能である。例えば、振動板は、上記実施形態に示
した矩形の他、矩形以外の多角形、円形、楕円形等、種
々の平面形状とすることができる。また、平坦な平板状
のものの他、湾曲面状としてもよい。さらに、複数の音
響放射体を振動板が重なるように配置し、或いは振動板
に双方向に並べて配置することもできる。
【0037】振動板1の材質は、透明なガラス、プラス
チック等とすることによりスピーカを通して背後のCR
Tや液晶などの画像を見ることができるという利点を得
ることができるが、不透明な木材、金属、プラスチック
等の板体とすることもできる。
【0038】スピーカを構成する場合は、前述のように
ボビンに結合された板ばね片で振動板を支持するのに代
えて、振動板の周縁部をバネ、ソフトエッジ、吊り下げ
用線条等で支持することもできる。また、フィルム状コ
イルの寸法や材質によっては、ボビンを所略することも
可能である。
【0039】以上の説明においては、本発明をスピーカ
に適用した例を示したが、フレミングの右手の法則に従
って振動板(振動膜を含む)の振動に基づきコイルに流
れる誘導電流をピックアップすれば、マイクロフォンに
適用することもできる。
【0040】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、フィルム
状コイルは、フィルムとそこにコイルパターンで形成さ
れた導電層とを備えたものとして形成されるので、極め
て軽量であり、製造コストが低い。また、コイルが、細
長いフィルムを曲折した側面部を周回するように、或い
は、振動板に近い外形寸法の平面部から曲折した側面部
を周回するように形成されるので、該側面部を磁極又は
強磁性体による誘導部材の間の磁束密度の高い磁場内に
置くことができ、磁束を有効に利用することができる。
【0041】また、本発明に係る電気音響変換器は、マ
グネット部の磁界内に上記フィルム状コイルの側面部を
置き、該フィルム状コイルでを振動板を駆動するので、
該フィルム状コイルの特性を生かした軽量化、低コスト
化、及び高い磁束利用効率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るフィルム状コイル
の斜視図である。
【図2】 図1に示すフィルム状コイルの製造途中の状
態を示す平面図である。
【図3】 図1に示すフィルム状コイルの要部を拡大し
て示す平面図である。
【図4】 図1に示すフィルム状コイルの導電層を中心
に拡大して示す縦断面図である。
【図5】 図1に示すフィルム状コイルを用いたスピー
カの一例を一部を拡大して示す縦断面図である。
【図6】 図5に示すスピーカの一部の斜視図である。
【図7】 図1のフィルム状コイルと組み合わせられる
ボビンの斜視図である。
【図8】 本発明の他の実施形態に係るフィルム状コイ
ルを振動板及びボビンと共に示す分解斜視図である。
【図9】 図8に示すボビンの製作途中の状態の平面図
である。
【図10】 図8のフィルム状コイルと組み合わせられ
るボビンの他の例の斜視図である。
【図11】 図10に示すボビンの製作途中の状態の平
面図である。
【図12】 図8に示すフィルム状コイルを用いたスピ
ーカの一例を一部切欠いて示す斜視図である。
【図13】 図12に示すスピーカの要部を拡大して示
す斜視図である。
【符号の説明】
1,1A…フィルム状コイル、 10…フィルム、 1
1,11A…平面部、12,12A…側面部、 20,
20A…導電層、 30,30A…振動板、40,4
0A…ボビン、 44,44A…板状ばね片、 6
0,60A…マグネット部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細長い平面部、及び該平面部の長手方向
    に沿う両縁部から相互に対面するように曲折した側面部
    を備えたフィルムと、前記対面する側面部を周回するコ
    イルパターンに形成された導電層とを備えていることを
    特徴とするフィルム状コイル。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のフィルム状コイルと、
    周縁部又はその近傍に前記フィルムの平面部を位置させ
    る振動板と、前記対面する側面部の導電層を相互に逆向
    きの磁界内に置くように配置されたマグネット部とを備
    えたことを特徴とする電気音響変換器。
  3. 【請求項3】 振動板に近い外形寸法を有した平面部、
    及び該平面部の外周部から相互に対面するように曲折し
    た側面部を有したフィルムと、前記対面する側面部を周
    回するコイルパターンに形成された導電層とを備えてい
    ることを特徴とするフィルム状コイル。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のフィルム状コイルと、
    前記フィルムの平面部を備えた振動板と、前記周回する
    導電層を周回の中心部から放射方向にみて同じ向きの磁
    界内に置くように配置されたマグネット部とを備えたこ
    とを特徴とする電気音響変換器。
  5. 【請求項5】 前記フィルムが前記側面部及び平面部に
    沿って延びるボビンに支持され、該ボビンにおける前記
    平面部と反対側の縁部は、電気音響変換器の躯体への取
    り付け用板ばね片に結合されていることを特徴とする請
    求項1又は3に記載のフィルム状コイル。
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