JP3596985B2 - グラビア印刷機の外段取りシステム - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グラビア印刷機に関し、更に詳しくは、印刷品目切換時等において、版胴の交換、インキの交換、インキパンやインキポンプの洗浄等の作業を敏速に行うために用いるグラビア印刷機の外段取りシステムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、グラビア印刷機の印刷ユニットにおいて、品目切換時には、オペレータが印刷ユニット内でインキで汚れている版胴を洗浄し、版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等のパーツを取り外し、新たな版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等を取り付けるという作業を行っている。また、取り外したパーツはそれぞれ台車に乗せ、その台車を人手で動かして、それぞれの保管場所或いは洗浄場所に運搬していた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかる作業は、人手作業が多いため、オペレータに過大な作業負担を与えるのみならず、作業に時間がかかり、印刷機の停止時間が長くなるという問題があった。また、これらの作業は、重いパーツを取り扱うため重労働であり、且つ溶剤等を使用した悪い作業環境での汚い作業であるという問題もあった。
【０００４】
なお、従来より印刷ユニットに版胴交換装置を設け、印刷ユニットの前に位置させた台車に使用済の旧版胴を取り出し、その台車に乗せていた新版胴を印刷ユニットに取り付けるように構成した装置が知られているが、従来の版胴交換装置は、版胴の交換のみを行うものであるので、インキパン、インキポンプ、インキタンク等の交換を同時に行うことができず、やはりこれらの交換はオペレータが手作業で行わねばならず、作業時間がかかると共に作業負荷も大きいという問題があった。
【０００５】
本発明はかかる問題点を解決すべく為されたもので、印刷ユニットに対して版胴、インキパン、インキポンプ、インキタンク等の交換を短時間で且つオペレータによる手作業をあまり必要とすることなく行うことを可能とするグラビア印刷機の外段取りシステムを提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の問題点を解決するため、版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等をカセット台車に搭載しておくと共にそのカセット台車を印刷ユニットに対して出し入れ可能とし、品目切換時には、印刷ユニット内に置かれていて、使用済の版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等を搭載したカセット台車と、新たな版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等を搭載したカセット台車とを入れ替えることにより、きわめて短時間に版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等を交換可能とし、印刷ユニットから排出したカセット台車は、印刷機の運転中に、グラビア印刷機から離れた領域に形成された準備エリアに送って、そのカセット台車に搭載した各部品の交換、洗浄等の作業を行うように構成したものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】
本願請求項１の発明は、版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等を搭載し、且つ両側の側面に水平に取り付けられた被支持レールを備えたカセット台車であって、グラビア印刷機の印刷ユニットの下部領域に対して搬入、排出可能なカセット台車と、前記グラビア印刷機から離れた領域に形成され、前記カセット台車に搭載した各部品の交換、洗浄等の作業を行う準備エリアと、前記カセット台車を、前記準備エリアから前記グラビア印刷機の横のカセット台車移載位置に走行させ、且つそのカセット台車移載位置から前記準備エリアに走行させるカセット台車搬送手段と、前記カセット台車を、側面の被支持レールを利用して保持可能な構造を有し、前記カセット台車移載位置から前記印刷ユニットの前及び後ろにそれぞれ往復動するように設けられたカセット交換台車と、前記印刷ユニットとその前後に位置しているカセット交換台車との間でカセット台車を出し入れするカセット台車出入装置とを有するグラビア印刷機の外段取りシステムである。
【０００８】
この構成によれば、準備エリアにおいてカセット台車に新たな版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等を乗せておくと、カセット台車搬送手段がそのカセット台車をグラビア印刷機の横のカセット台車移載位置に運び、カセット交換台車がそのカセット台車を保持して印刷ユニットの前に運び、カセット台車交換のために待機し、また、空のカセット交換台車がその印刷ユニットの後ろに待機する。そして、グラビア印刷機が停止した後、カセット台車出入装置が印刷ユニット内のカセット台車を印刷ユニットから排出して空のカセット交換台車に送り出し、印刷ユニットの反対側に位置するカセット交換台車に乗せていた新たなカセット台車を印刷ユニット内に送り込み、版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等の交換を行う。その後、カセット交換台車が印刷ユニットの前後から横のカセット台車移載位置に移動し、オペレータが印刷ユニットで必要な印刷準備を行い、直ちに印刷動作に入る。かくして、きわめて短時間で版胴やインキパン等の交換が行われ、グラビア印刷機の停止時間を短くできる。その後、グラビア印刷機の印刷動作中、カセット台車移載位置に移動したカセット交換台車に乗せていたカセット台車をカセット台車搬送手段が準備エリアに運び、オペレータがそのカセット台車から、版胴、インキタンク、インキポンプ等を外し、新たな版胴、インキタンク、インキポンプ等をセットし、また、インキパンの洗浄（或いはインキパンに取り付けていたカバーの更新）を行うなどの準備作業を行い、次の交換に備える。以上のようにして、グラビア印刷機の停止時間を最短として、品目切換を行うことができる。
【０００９】
ここで、前記カセット台車出入装置としては、印刷ユニット内の前記カセット台車の通過する領域の両側に昇降可能に設けられた一対のコロ支持部材と、そのコロ支持部材を昇降させる昇降駆動装置と、前記一対のコロ支持部材の互いに向かい合う面に水平に並べて取り付けられ、前記カセット台車の被支持レールを支持可能な複数のコロと、そのコロを回転駆動するコロ駆動装置とを備えたものを用いることが好ましい。この構成とすると、複数のコロでカセット台車の被支持レールを支持し、コロ駆動装置でそのコロを回転駆動することで、カセット台車を印刷ユニットに対して出し入れすることができる。
【００１０】
また、前記カセット交換台車として、前記カセット台車が通り抜け可能なように門型に形成された台車本体と、その台車本体の向い合った面にそれぞれ昇降可能に設けられた一対のコロ支持部材と、そのコロ支持部材を昇降させる昇降駆動装置と、前記一対のコロ支持部材の互いに向かい合う面に水平に並べて取り付けられ、前記カセット台車の被支持レールを支持可能な複数のコロと、そのコロを回転駆動するコロ駆動装置を備えた構成とすることが好ましい。
【００１１】
この構成とすれば、カセット交換台車をカセット台車移載位置に待機させ且つ複数のコロを下降した位置に待機させた状態で台車本体内にカセット台車を送り込み、次いで複数のコロを上昇させることで、カセット台車側面の被支持レールを持ち上げ、カセット台車を保持することができ、その状態でカセット交換台車を印刷ユニットの前又は後ろに走行させることで、カセット台車を印刷ユニットの前又は後ろの所定位置に運ぶことができ、その後、複数のコロを回転させることで、カセット台車をカセット交換台車から排出して印刷ユニット内に送り込むことができる。また、この逆の動作で印刷ユニットからカセット台車を受け取り、印刷機外のカセット台車移載位置に排出できる。
【００１２】
更に、前記カセット台車には、回転自在なキャスターと、最下端位置が前記キャスターの最下端位置よりも高くなるように取り付けられたレール用車輪とを設けておき、そのカセット台車を搬送するカセット台車搬送手段として、前記準備エリアから前記グラビア印刷機の横のカセット台車交換位置に到るように配置され、前記カセット台車のレール用車輪を支持するカセット搬送レールと、そのカセット搬送レールに支持されたカセット台車を牽引する牽引チェーンを備えたものを用いることが好ましい。
【００１３】
この構成とすると、カセット台車のレール用車輪をカセット搬送レールに乗せ、カセット台車を牽引チェーンで牽引することにより、カセット台車自体には自走用の駆動装置を設けることなく、所定の経路に沿ってカセット台車を移動させることができ、また、そのカセット台車を床面に置いた時にはキャスターを利用して自由に動かせることができる。
【００１４】
【実施例】
以下、図面に示す本発明の好適な実施例を説明する。図１は、グラビア印刷機と、本発明の一実施例による外段取りシステムを示す概略平面図、図１２、図１３、図１４はそれぞれそのグラビア印刷機の周辺を拡大して且つ外段取りシステムを異なる作動状態で示す概略平面図であり、１はグラビア印刷機、２はそのグラビア印刷機に設けられている複数の印刷ユニットである。なお、本実施例では説明を簡略化するため、１台のグラビア印刷機は４個の印刷ユニット２を備えたものとして示しているが、印刷ユニット２の個数については適宜増減可能である。
【００１５】
３は、本発明の実施例になる外段取りシステムであり、版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプを搭載した且つ両側の側面に水平に取り付けられた被支持レールを備えたカセット台車４と、グラビア印刷機１から離れた領域に形成され、前記カセット台車に搭載した各部品の交換、洗浄等の作業を行う準備エリア５と、前記カセット台車４を、前記準備エリア５から前記グラビア印刷機の横のカセット台車移載位置に走行させ、且つそのカセット台車移載位置から前記準備エリア５に走行させるカセット台車搬送手段８と、前記カセット台車を、側面の被支持レールを利用して保持可能な構造を有し、前記カセット台車移載位置から前記印刷ユニットの前及び後ろにそれぞれ往復動するように設けられたカセット交換台車７と、前記印刷ユニットとその前後に位置しているカセット交換台車との間でカセット台車を出し入れするカセット台車出入装置６等を有している。ここで説明の便宜上、図１２〜図１４において、各印刷ユニット２の上側を印刷ユニット２の前、下側を後ろとする。以下、各部分を詳細に説明する。
【００１６】
まず、カセット台車４を説明する。図２はカセット台車４の概略正面図、図３はそのカセット台車４の概略側面図であり、カセット台車４をカセット搬送レール８ａ上に乗せた状態で示している。カセット台車４は台車本体１１を備えており、その台車本体１１には自在に旋回するキャスター１２とレール用車輪１３とが取り付けられている。このキャスター１２は、その最下端がレール用車輪１３の最下端よりも少し低い位置となるように配置されており、カセット台車４を平坦な床面上に置いた時にはキャスター１２が床面に接触して荷重を支え、レール用車輪１３は床面から少し浮き上がった位置に保たれる。この構成により、平坦な床面上ではカセット台車４をキャスター１２を利用して自由に移動させることが可能となる。レール用車輪１３は、カセット台車４をカセット搬送レール８ａによって搬送させる際に使用するものであり、その中心軸線がカセット台車４の軸線方向に平行になるように取り付けられている。なお、本明細書において、カセット台車４の軸線方向とは、このカセット台車に保持させた版胴１５の軸線に平行な方向を意味するものである。このカセット台車４には自走用のモータは搭載しておらず、このため自走することはできないが、その分、構造が簡単となり、軽量となると共に、動力配線等の必要がない等の利点が得られる。
【００１７】
カセット台車４の両側の側面（軸線方向の両端）には、版胴１５の両端の軸１５ａを支持する版胴受け１７が設けられている。この版胴受け１７は、版胴１５を印刷動作のために回転可能に保持するものではなく、単に版胴１５を運搬の際に支持するものであり、このため、版胴の支持位置の精度をあまり必要とせず、且つ簡単な形状のものでよい。本実施例では、版胴受け１７が上面に平坦な支持面１７ａを備えており、その支持面１７ａで版胴１５の軸１５ａに形成している平坦面１５ｂを受けることにより、版胴１５を回転しないように且つ一定の位相で保持する構成としている。このように版胴１５を一定の位相で保持しておくと、この版胴１５を印刷ユニット２の軸受に保持させて駆動軸のカップリングを接続する際に、位相を合わせる動作が不要となる利点が得られる。版胴受け１７に保持された版胴１５の直ぐ下方には、版胴１５を収容するようにインキパン１８が取り付けられている。このインキパン１８は版胴１５を版胴受け１７から少し持ち上げた状態で、印刷を行うことができるように配置されている。更に、インキパン１８の両端面には、上方から版胴１５の軸１５ａを挿入することができるよう、切欠１９が形成されており、且つその切欠１９にはインキはねを防止するためのカバー２０が着脱可能に取り付けられている。なお、インキパン１８には、その内面全体を覆うようにプラスチックフイルムからなるカバーが取り付けられており、このカバーを取り替えることによりインキパン内面の洗浄を不要としている。
【００１８】
台車本体１１の両側の側面には、水平に且つ下向きに被支持レール２２が取り付けられている。この被支持レール２２は、カセット台車４をカセット交換台車７で保持したり、印刷ユニット２に設けているカセット台車出入装置６で保持したりする際に用いるものである。また、その被支持レール２２の上方には手押し用のハンドル２３も取り付けられている。更に、台車本体１１は、インキタンク２４やインキポンプ（図示せず）を載置するための支持面２６や、ファニッシャーロール２７を乗せるための支持棒２８Ａ、アプリケータ２９を乗せるための支持棒２８Ｂ、ドクターホルダー３０を乗せるための支持棒２８Ｃ等も備えている。また、台車本体１１の両側面には、上下方向に延びる位置決め長穴３２が設けられ、印刷ユニットやカセット交換台車に設けている位置決めピンを挿入可能としている。
【００１９】
図１及び図１２〜図１４において、カセット台車搬送手段８は、準備エリア５からグラビア印刷機１の横のカセット台車移載位置（カセット台車４をカセット交換台車７に移載する位置）に到るように配置され、カセット台車４のレール用車輪１３を支持するカセット搬送レール８ａと、そのカセット搬送レール８ａに支持されたカセット台車４を牽引する牽引チェーン８ｂと、その牽引チェーン８ｂを正逆方向に駆動するチェーン搬送モータ８ｃ等を備えており、その牽引チェーン８ｂには適当な間隔で、カセット台車４に連結可能な連結具（図示せず）が取り付けられている。従って、必要に応じこの連結具をカセット台車４に連結することでカセット台車４をカセット搬送レール８ａに沿って走行させることができる。ここで、カセット搬送レール８ａはその上面が周囲の床面にほぼ等しい高さになるように配置されており、そのカセット搬送レール８ａの外側近傍の床面は、カセット台車４のキャスター１２がぶつからないように切り欠いている（図２参照）。
【００２０】
次に、印刷ユニット２及びそれに設けているカセット台車出入装置６を説明する。図４は印刷ユニット２を、その中の所定位置にカセット台車を位置させた状態で示す概略正面図、図５は印刷ユニットの下部フレームを内側から見た概略正面図、図６は図５のＡ−Ａ矢視概略断面図、図７は印刷ユニット２を、その中のカセット台車４を出し入れする直前の状態で示す概略正面図、図８は印刷ユニット２に対してカセット台車４を出し入れする直前の状態を、印刷ユニットの前後にカセット交換台車を配置した状態で示す概略断面図であり、図７のＢ−Ｂ断面を示している。図４〜図８において、印刷ユニット２は、一対のサイドフレーム３５と、その根元に内側に張り出すように設けられた下部フレーム３６を有している。一対のサイドフレーム３５は、版胴１５の軸１５ａを含む全長よりも長い間隔を開けて配置されており、且つ下部フレーム３６の間隔もカセット台車４の長さよりも大きく設定されている。この構成により、版胴１５を水平に保持した状態でカセット台車４が印刷ユニット２内を通り抜け可能である。
【００２１】
下部フレーム３６の上部には、間隔を開けて配置された一対の回転自在なコロ３８を備えた軸受３９が設けられており、一対のコロ３８の上に版胴１５の軸１５ａを乗せることにより、版胴１５を定位置で回転自在に保持することが可能である。片側の軸受３９の側方には先端にカップリング４１ａを備えた駆動軸４１が設けられており、カップリング４１ａを版胴１５の軸１５ａに連結可能としている。更に、印刷ユニット２には、圧胴４３と、その圧胴４３を保持し版胴１５に押し付ける作動位置及び上方に離れた待機位置に昇降させる圧胴昇降機構４４と、印刷すべきウェブ４５を案内するガイドローラ４６と、ウェブ上のインキを乾燥させる乾燥フード４７と、版胴１５に対するインキ供給に使用されるファニッシャーロール２７と、そのファニッシャーロール２７を保持し版胴１５に押し付ける作動位置と上方に離れた待機位置に旋回するファニッシャーロール支持アーム４９と、版胴１５の版面のインキ量を規制するドクターを有するドクターホルダー３０と、そのドクターホルダー３０を保持するドクター取付台５０と、ドクター取付台５０をドクターが版胴１５に押し付けられる作動位置と上方に離れた待機位置に昇降させるドクター昇降機構５１等が設けられている。
【００２２】
印刷ユニット２に設けられたカセット台車出入装置６は、印刷ユニット２内のカセット台車４が通過する領域の両側に設けられ、下部フレーム３６の内側の面に垂直に取り付けられたガイドレール５５に昇降可能に保持された一対のコロ支持部材５６と、そのコロ支持部材５６を昇降させる油圧シリンダ等の昇降駆動装置５７と、一対のコロ支持部材５６の互いに向かい合う面に水平に並べて取り付けられ、カセット台車４の被支持レール２２を支持可能な複数のコロ５８と、そのコロ５８を回転駆動するコロ駆動装置等を備えている。このコロ駆動装置は、下部フレーム３６に取り付けられた駆動モータ（図示せず）と、その駆動モータで回転駆動される駆動軸６０と、その駆動軸６０の回転を一つのコロ５８に、コロ５８の昇降に関係なく伝達可能な自在継手６１と、各コロ５８に設けられたチェーンホィール６２と、アイドラ６３と、チェーンホィール６２及びアイドラ６３に掛けられたチェーン６４等を備えており、この構成により、複数のコロ５８を同一速度で回転駆動することができる。
【００２３】
ここで、一対のコロ支持部材５６の昇降ストロークは次のように設定されている。すなわち、図７、図８に示すように、コロ支持部材５６を上昇位置とした時には、そのコロ５８で支持したカセット台車４に保持している版胴１５の軸１５ａが印刷ユニット２側に設けている軸受３９のコロ３８の最上面よりも上方となり、且つそのカセット台車４のキャスター１２が印刷ユニット２内の床面から上方に離れた位置となるが、図４に示すように、コロ支持部材５６を下降位置とした時には、カセット台車４のキャスター１２が印刷ユニット２内の床面に支持された状態となり、カセット台車４の被支持レール２２よりもコロ５８が下方に少し離れた位置となる。また、この状態では、版胴１５の軸１５ａが印刷ユニットの軸受３９に保持され且つカセット台車４の版胴受け１７の支持面１７ａが版胴１５の軸１５ａよりも少し下方に離れた位置となるように、カセット台車４の寸法が定められている。
【００２４】
図５において、下部フレーム３６の内側の面には、印刷ユニット２内の所定位置に挿入したカセット台車４の側面の位置決め長穴３２（図３参照）に対向する位置に位置決めピン６５が、エアシリンダ等の駆動機構（図示せず）によって出し入れするように設けられている。また、図６に示すように、下部フレーム３６の側面にも位置決めピン６６がエアシリンダ等の駆動機構６７によって出し入れするように設けられている。この位置決めピン６６は、印刷ユニット２の前に移動してきたカセット交換台車７を位置決めするためのものである。
【００２５】
次に、カセット交換台車７を説明する。図１及び図１２〜図１４に示すように、各印刷ユニット２の前後から、グラビア印刷機１の横のカセット台車移載位置に設けられているカセット搬送レール８ａに交差するように、５組の交換台車搬送レール９が設けられており、それぞれの交換台車搬送レール９にカセット交換台車７が支持されている。
【００２６】
図９はこのカセット交換台車７の概略正面図、図１０は概略平面図、図１１はカセット交換台車７をカセット台車４と共に示す概略断面図である。カセット交換台車７は、カセット台車４が通り抜け可能なように門型に形成した台車本体７１を有している。この台車本体７１は下面に、交換台車搬送レール９上を走行する車輪７２、７３をそれぞれ備えた台車部分７１ａ、７１ｂと、これらの台車部分７１ａ、７１ｂを連結する連結部分７１ｃを備えており、一方の台車部分７１ａには車輪７２を回転駆動するブレーキ付の自走用モータ７５が取り付けられている。かくして、このカセット交換台車７は交換台車搬送レール９上を自走し、図１２に示すようにカセット台車搬送レール８ａをまたぐ位置（即ちカセット台車移載位置）と、図１４に示すように印刷ユニット２の前又は後ろの位置に移動することができると共にその位置に動かないように固定することができる。なお、台車部分７１ｂには、走行方向に間隔をあけて二組の車輪７３が設けられているが、これは切れ目のある交換台車搬送レール９上を支障なく通過させるためである。
【００２７】
各台車部分７１ａ、７１ｂには、向かい合った面に垂直に取り付けられたガイドレール７７に昇降可能に保持された一対のコロ支持部材７８と、そのコロ支持部材７８を昇降させためのねじ軸７９及びそれを回転駆動する昇降モータ８０等を備えた昇降駆動装置８１と、一対のコロ支持部材７８の互いに向かい合う面に水平に並べて取り付けられ、カセット台車４の被支持レール２２を支持可能な複数のコロ８３と、そのコロ８３を回転駆動するコロ駆動装置等を備えている。このコロ８３及びコロ駆動装置も印刷ユニット２に設けられているコロ５８及びコロ駆動装置と同様の構成のものである。
【００２８】
ここで、一対のコロ支持部材７８の昇降ストロークは次のように設定されている。すなわち、図９、図１１に示すように、カセット交換台車７をカセット搬送レール８ａをまたぐ位置に停止させた状態で、コロ支持部材７８を下降位置とすると、カセット搬送レール８ａ上を走行してくるカセット台車４の被支持レール２２がコロ８３の少し上方に位置し、従ってカセット台車４が支障なくカセット交換台車７内の所定位置に進入することができ、その後、コロ支持部材７８を上昇位置とすると、コロ８３が被支持レール２２を持ち上げてカセット台車４を、キャスター１２がカセット搬送レール８よりも高くなる位置に保持することができ、しかもその際、図８に示すように、カセット台車４を持ち上げているコロ８３の位置が、印刷ユニット２内のコロ５８を上昇位置とした時の高さにほぼ等しくなるように定められている。このため、カセット交換台車７のコロ８３と印刷ユニット２のコロ５８を共に上昇位置とした状態で、コロ８３、５８を同一方向に同一速度で回転させることにより、カセット台車４を移し替えることができる。
【００２９】
図１において、準備エリア５には、版胴置台９０が設けられ、また、版胴をカセット台車４と版胴置台９０との間で移載したり、版胴置台９０と版胴倉庫（図示せず）と間で移載したりするためのオートクレーン（図示せず）も設けられている。また、この準備エリア５には、インキタンク置台９１も設けられており、無人搬送車９２でインキタンクを運搬するようになっている。更に、この準備エリア５には、インキパンのカバーを作成するパンカバ作成装置を設けた領域９４、ドクターの洗浄、組立を行う第一危険物取扱エリア９５、インキポンプ、ファニッシャーロール、アプリケータ等の洗浄を行う第二危険物取扱エリア９６等も設けられている。なお、準備エリア５に対してカセット台車４を出し入れするためのカセット台車搬送手段８のカセット搬送レール８ａは、準備エリア５の入口部分で終わっているが、牽引チェーン８ｂは準備エリア５の中程まで延びており、カセット台車４を準備エリア５内に搬送した時に、そのカセット台車４をキャスター１２によって床面に支持させうるようになっている。このため、準備エリア５内にカセット台車４を送り込んだ後、牽引チェーン８ｂの連結具をカセット台車４から外すことにより、そのカセット台車４を準備エリア５内で自在に移動させることができる。また、その牽引チェーン８ｂの延長上には第二の牽引チェーン９７及びその駆動装置（図示せず）が設けられている。この第二の牽引チェーン９７には、カセット台車４に連結するための連結具が小ピッチで取り付けられている。かくして、第二の牽引チェーン９７の上に印刷機に向かって送り出す所定数のカセット台車４を並べ、牽引チェーン９７に連結した後、その牽引チェーン９７を走行させることにより、所定数の台車を牽引チェーン８ｂに受け渡すことができ、また、その際カセット台車４は小ピッチで並べればよいので、必要スペースを小さくできる利点が得られる。
【００３０】
次に、上記構成の外段取りシステムについてその動作を説明する。通常の印刷動作時には、図１２に示すように各印刷ユニット２内にカセット台車４がセットされており、且つ各印刷ユニット２では、図４に示すように、コロ支持部材５６が下降位置にあり、カセット台車４は自身のキャスター１２で支持されている。また、版胴１５は印刷ユニット２に設けている軸受３９のコロ３８によって回転自在に保持されている。この状態で印刷動作が行われる。
【００３１】
印刷動作中、並行してカセット台車交換の準備が行われる。すなわち、準備エリア５において、新たな版胴１５、インキタンク２４、インキポンプ２５、ファニッシャーロール２７、アプリケータ２９、ドクターホルダー３０等を搭載した新たなカセット台車４（図２、図３参照）を準備し、これをカセット搬送レール８ａに乗せ、牽引チェーン８ｂに連結し、送り出す。このようにして新たなカセット台車４が４台、次々とカセット搬送レール８ａ上を牽引チェーン８ｂによって搬送され、図１２に示すようにグラビア印刷機１の横のカセット台車移載位置に送られて来る。この時、カセット交換台車７はカセット搬送レール８ａをまたぐ位置に停止しており、且つコロ８３は図１０、図１１に示すように下降位置となっている。
【００３２】
送られてきたカセット台車４はそれぞれが対応するカセット交換台車７に到達するまで、その前に位置するカセット交換台車７内を通り抜けて行き、対応するカセット交換台車７内の所定位置に到達した時点で停止し、牽引チェーン８ｂから分離される。その後、各カセット交換台車７のコロ８３が上昇してカセット台車４を、被支持レール２２を介して持ち上げて保持する。この時の状態が図１３に示す状態であり、１台を除いた残り４台のカセット交換台車７にそれぞれ、カセット台車４が保持される。なお、以下の説明では、印刷ユニット２内に位置していたカセット台車４を旧カセット台車、新たなカセット台車４を新カセット台車という。
【００３３】
所定の印刷動作が終了すると、版胴１５のみならず、ファニッシャーロール２７、アプリケータ２９、ドクターホルダー３０等の交換が必要な場合には、ファニッシャーロール２７、アプリケータ２９、ドクターホルダー３０等を取り外して、旧カセット台車４に乗せ、また、圧胴４３、カセット取付台５０、ファニッシャーロール支持アーム４９等を、カセット台車交換に支障のない上方の待機位置に移動させ、カセット交換準備を行う。なお、ファニッシャーロール２７やドクターホルダー３０等の交換の必要がない場合には、これらを取り外すことなく、上方の待機位置に移動させる。この準備が終了した時点で、カセット交換台車７が交換台車搬送レール９上を自走して、図１４に示すように、各印刷ユニット２の前及び後ろに移動し停止する。一方、印刷ユニット２側では、図７に示すようにコロ支持部材５６が上昇してコロ５８を上昇させ、コロ５８で旧カセット台車４を持ち上げて保持する。この時、旧カセット台車４の版胴受け１７が版胴１５の軸１５ａを、軸受３９のコロ３８の最上部よりも高い位置に持ち上げて保持する。
【００３４】
次に、図８に示すように、前に新カセット台車４を保持したカセット交換台車７が、後ろに空のカセット交換台車７が位置した印刷ユニット２（図１４で印刷機最後部に位置する印刷ユニット２）において、新旧カセット台車４の排出及び搬入が行われる。すなわち、印刷ユニット２及びカセット交換台車７のコロ５８、８３を同じ高さとした状態で、まず、印刷ユニット２のコロ５８と空のカセット交換台車７のコロ８３が回転して旧カセット台車４を印刷ユニット２から右側に排出し、空のカセット交換台車７に移載する。次いで、新カセット台車４を保持したカセット交換台車７のコロ８３と印刷ユニット２のコロ５８が回転し、新カセット台車４がカセット交換台車７から印刷ユニット２内に搬入される。
【００３５】
このようにして、最後部の印刷ユニット２について、旧カセット台車４の排出と新カセット台車４の搬入が終了すると、先に新カセット台車４を乗せていたカセット交換台車７が空となるので、その空のカセット交換台車７を利用して、隣接した印刷ユニット２において、上記と同様な手順により、新旧カセット台車４の排出及び搬入が行われる。以下、同様な動作が他の印刷ユニット２についても行われ、全ての印刷ユニット２について新旧カセット台車４の排出及び搬入が行われる。なお、以上の説明では、印刷ユニット２からの旧カセット台車４の排出を終わった後に、新カセット台車４の搬入が行われているが、この代わりに新旧のカセット台車４の排出、搬入を同時に行ってもよい。カセット台車４の排出、搬入を同時に行う場合には、全ての印刷ユニット２における排出、搬入を同時に行うこともでき、一層短時間でカセット台車４の排出、搬入を行うことができる。
【００３６】
各印刷ユニット２からカセット交換台車７への旧カセット台車４の排出及び各印刷ユニット２への新カセット台車４の搬入が終わると、各カセット交換台車７が印刷機外のカセット搬送レール８をまたぐ位置（図１２に示す位置）に移動して停止し、次いで、旧カセット台車４を保持していたコロ８３が下降する。これにより、旧カセット台車４はカセット搬送レール８ａ上に降ろされる。その後、旧カセット台車４は牽引チェーン８ｂに連結され、牽引チェーン８ｂによって、カセット台車４に搭載している各部品の洗浄、交換等を行うための準備エリア５に送られる。
【００３７】
一方、各印刷ユニット２においては、図４に示すように、コロ５８が下降して、新カセット台車４を床面上に降ろし、且つ版胴１５の軸１５ａを軸受３９のコロ３８で保持させる。その後、オペレータが新カセット台車４に搭載していたファニッシャーロール２７、アプリケータ２９、ドクターホルダー３０等を印刷ユニット２の所定位置に取り付けるなどの印刷準備作業を行い、その後、印刷動作を開始する。
【００３８】
以上のようにして、版胴１５、インキタンク２４、インキポンプ２５等の交換作業が行われる。ここで、版胴１５、インキタンク２４、インキポンプ２５等の入れ替えは、版胴１５、インキタンク２４、インキポンプ２５等を搭載した新旧のカセット台車４を全体として、印刷ユニット２に対して入れ替えることにより、行っているため、きわめて敏速に行うことができ、作業時間を大幅に短縮できる。更に、そのカセット台車４をカセット交換台車７で印刷ユニット２の前に搬送し、印刷ユニット２に設けているカセット台車出入装置６で印刷ユニット２に対するカセット台車４の出し入れを行い、また、印刷ユニット２から排出したカセット台車４をカセット交換台車７で印刷機外に排出しているので、カセット台車４の搬送が自動化されており、オペレータの作業負担を極めて小さくできるという利点が得られる。
【００３９】
一方、印刷動作中それに並行して、準備エリア５では、送られてきた旧カセット台車４から、版胴やインキタンクを取り外して版胴置台９０及びインキタンク置台９１に戻し、インキパンカバーを新たなものと更新し、またファニッシャーロール２７、アプリケータ２９、ドクターホルダー３０等のパーツも外して洗浄位置に送る。そして、次の品目切換の情報に応じて、カセット台車４に新たな版胴１５、インキタンク２４、インキポンプ２５、ファニッシャーロール２７、アプリケータ２９、ドクターホルダー３０等を搭載し、次の切換動作に備えておく。以下同様の動作を繰り返すことにより、敏速の品目切換を行うことができる。
【００４０】
なお、上記実施例では、印刷ユニット２に対して、カセット台車４を前から搬入し、後ろに排出する構成としたが、この代わりに、後ろから搬入し、前に排出する構成としても差支えないことは言うまでもない。
【００４１】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の外段取りシステムは、版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等を乗せたカセット台車を、印刷ユニットに対して出し入れ可能としたことにより、グラビア印刷機の品目切換時には、印刷ユニット内に位置している版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等を乗せたカセット台車を印刷ユニットから排出し、新たな版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等を乗せたカセット台車を印刷ユニットに送り込むことにより、きわめて短時間で版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等の交換を行うことができ、しかも、新たな版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等を乗せたカセット台車を準備する作業は印刷中に行うことができるので、品目切換のためのグラビア印刷機の停止時間を最短とすることができるという効果を有している。
【００４２】
更に、本発明では、カセット台車搬送手段によって、カセット台車を準備エリアからグラビア印刷機の横のカセット台車移載位置に、或いはその逆に移動させ、カセット交換台車によって、カセット台車をカセット台車移載位置から印刷ユニットの前後に、或いはその逆に移動させ、更に、カセット台車出入装置によってカセット台車を印刷ユニットの内外に移動させる構成としたことにより、印刷ユニットから準備エリアに、或いはその逆にカセット台車を移動させる作業が自動化されており、このためカセット台車運搬に人手を要することがなく、オペレータの作業負荷を大幅に削減できるという効果も有している。
【図面の簡単な説明】
【図１】グラビア印刷機と、本発明の一実施例による外段取りシステムを示す概略平面図
【図２】カセット台車の概略正面図
【図３】そのカセット台車の概略側面図
【図４】印刷ユニットを、その中の所定位置にカセット台車を位置させた状態で示す概略正面図
【図５】図４に示す印刷ユニットの下部フレームを内側から見た概略正面図
【図６】図５のＡ−Ａ矢視概略断面図
【図７】上記印刷ユニットを、その中のカセット台車４を出し入れする直前の状態で示す概略正面図
【図８】上記印刷ユニットに対してカセット台車を出し入れする直前の状態を、印刷ユニットの前後にカセット交換台車を配置した状態で示す概略断面図
【図９】カセット交換台車の概略正面図
【図１０】そのカセット交換台車の概略平面図
【図１１】そのカセット交換台車をカセット台車と共に示す概略断面図
【図１２】グラビア印刷機及びその近傍の外段取りシステムを示す概略平面図
【図１３】図１２に示す部分を図１２とは異なる作動状態で示す概略平面図
【図１４】図１２に示す部分を図１２、図１３とは異なる作動状態で示す概略平面図
【符号の説明】
１ グラビア印刷機
２ 印刷ユニット
３ 外段取りシステム
４ カセット台車
５ 準備エリア
６ カセット台車出入装置
８ カセット台車搬送手段
８ａ カセット搬送レール
８ｂ 牽引チェーン
９ 交換台車搬送レール
１１ 台車本体
１２ キャスター
１３ レール用車輪
１５ 版胴
１５ａ 軸
１７ 版胴受け
１８ インキパン
２２ 被支持レール
２７ ファニッシャーロール
３０ ドクターホルダー
３５ サイドフレーム
３６ 下部フレーム
３８ コロ
３９ 軸受
４３ 圧胴
４５ ウェブ
５５ ガイドレール
５６ コロ支持部材
５７ 昇降駆動装置
５８ コロ
７１ 台車本体
７２、７３ 車輪
７５ 自走用モータ
７７ ガイドレール
７８ コロ支持部材
８３ コロ

Claims (4)

1. 版胴、インキパン、インキタンク、インキポンプ等を搭載し、且つ両側の側面に水平に取り付けられた被支持レールを備えたカセット台車であって、グラビア印刷機の印刷ユニットの下部領域に対して搬入、排出可能なカセット台車と、前記グラビア印刷機から離れた領域に形成され、前記カセット台車に搭載した各部品の交換、洗浄等の作業を行う準備エリアと、前記カセット台車を、前記準備エリアから前記グラビア印刷機の横のカセット台車移載位置に走行させ、且つそのカセット台車移載位置から前記準備エリアに走行させるカセット台車搬送手段と、前記カセット台車を、側面の被支持レールを利用して保持可能な構造を有し、前記カセット台車移載位置から前記印刷ユニットの前及び後ろにそれぞれ往復動するように設けられたカセット交換台車と、前記印刷ユニットとその前後に位置しているカセット交換台車との間でカセット台車を出し入れするカセット台車出入装置とを有するグラビア印刷機の外段取りシステム。
2. 前記カセット台車出入装置が、印刷ユニット内の前記カセット台車の通過する領域の両側に昇降可能に設けられた一対のコロ支持部材と、そのコロ支持部材を昇降させる昇降駆動装置と、前記一対のコロ支持部材の互いに向かい合う面に水平に並べて取り付けられ、前記カセット台車の被支持レールを支持可能な複数のコロと、そのコロを回転駆動するコロ駆動装置とを備えていることを特徴とする請求項１記載のグラビア印刷機の外段取りシステム。
3. 前記カセット交換台車が、前記カセット台車が通り抜け可能なように門型に形成された台車本体と、その台車本体の向い合った面にそれぞれ昇降可能に設けられた一対のコロ支持部材と、そのコロ支持部材を昇降させる昇降駆動装置と、前記一対のコロ支持部材の互いに向かい合う面に水平に並べて取り付けられ、前記カセット台車の被支持レールを支持可能な複数のコロと、そのコロを回転駆動するコロ駆動装置を備えていることを特徴とする請求項１又は２記載のグラビア印刷機の外段取りシステム。
4. 前記カセット台車が、回転自在なキャスターと、最下端位置が前記キャスターの最下端位置よりも高くなるように取り付けられたレール用車輪とを備えており、前記カセット台車搬送手段が、前記準備エリアから前記グラビア印刷機の横のカセット台車交換位置に到るように配置され、前記カセット台車のレール用車輪を支持するカセット搬送レールと、そのカセット搬送レールに支持されたカセット台車を牽引する牽引チェーンを備えていることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載のグラビア印刷機の外段取りシステム。

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