JP3595753B2 - 記録用液体・シート内蔵容器、および、シート供給装置 - Google Patents

記録用液体・シート内蔵容器、および、シート供給装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートおよび記録用の液体を収容する記録用液体・シート内蔵容器、および、その記録用液体・シート内蔵容器内のシートを順次供給するシート供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙等の被記録媒体に付着させ、画像、文字等の記録を行うものであり、高速、低騒音の記録が可能である、多色化が容易である等の利点を有し、また、記録できるパターンの自由度が大きく、現像、定着が不要である等の特徴を有している。このような点から、この方式の記録装置は、各種の画像あるいは被記録媒体に対応できるものとして情報処理をはじめとする種々の分野において急速に普及している。
【0003】
また、多色インクジェット記録方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷や、カラー写真方式による印画と比較しても遜色のないものを得ることができ、特に作製部数が少ない場合には通常の多色印刷や写真印画よりも安価に作製できることから、フルカラー画像記録の分野でも広く用いられているものである。
【0004】
このようなインクジェット記録方式のさらに広い応用に対応し、また、近年の記録の高速化、高精細化、フルカラー化等の記録特性の向上を可能とするため記録装置もしくは記録方法が改良されつつある。インクジェット記録方式のより広汎な適用や記録特性の向上のため要求される特性には、例えば、記録されるインクドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が速く、インクドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり惨んだりしないこと、インクドットが適度な惨みによって拡がることなどが挙げられる。
【0005】
ところで、これらの特性は、記録装置もしくは記録方法のみならず、記録に用いられるインクや被記録媒体そのものの改良によっても実現できることは知られるところである。
【0006】
例えば、インクの吸収性もしくは定着性の観点から、被記録媒体として塗工紙を用いることが知られている。これは、例えばシリカ等の珪素顔料または、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイドーイソシアネート架橋物、カルボキシル基を有するアクリル系ポリマー等の樹脂等の吸収性ポリマー、或いはアルミナ水和物や酸化アルミニウム等のアルミナ系顔料が、水系バインダー等とともに紙やフィルム、布等に塗工されたものである。一方、インクについても、例えば含有する界面活性剤等によってそのインクの浸透性を調整することなどが行われている。
【0007】
しかしながら、記録特性の向上に対応するためにはそれぞれの特性に応じた被記録媒体またはインクを個々に選択するより、被記録媒体とインクの最適な組み合わせにおいて上記特性を実現できるものを選択することがより好ましい。インクと被記録媒体は相互の関係においてそれぞれの特性が発揮されるからである。
【0008】
この場合、被記録媒体とインクの最適な組合せを、具体的にインクジェット記録装置において実現するには、被記録媒体およびインクの組合せに応じた被記録媒体やインクの交換もしくは装着のための構成および作業を要する。また、これらの組合せに応じた記録モードの設定等、例えばホストコンピュータ上での記録条件の設定操作も必要となる。すなわち、これらの作業や設定操作を組合せの切替ごとに行うのは煩雑であり、また、ユーザーが最適な組合せを得るの容易でないという問題がある。
【0009】
この点において、例えば、特開平11−254700号公報には、被記録媒体としてのシートを積載するカセット部と、インクタンクとインクの廃インクを収容する廃インクタンクとのいずれかの組合わせを一体とした可搬式容器としてのメディアカートリッジを記録装置に着脱自在に搭載することが提案されている。そして、記録装置に対して着脱自在とするメディアカートリッジを記録装置側で認識することにより、被記録媒体とインクに応じた記録モードを自動設定して簡易な操作で被記録媒体とインクの組合せに応じた適切な記録制御を行うことを可能としている。
【0010】
このようなメディアカートリッジが装着される記録装置において、メディアカートリッジ内の用紙または布帛等の各シートは、順次、1枚ずつ記録装置本体部に設けられるシート供給装置により、記録動作を行うインクジェット記録ヘッドの下方に向けて外部に排出される。
【0011】
シート供給装置は、シートの表面に所定の圧力で接触し相互間の摩擦力により各シートを送出するローラを含んで構成されている。そのローラの外周部は、比較的摩擦係数の大であり、かつ、高耐磨耗性のある材料、例えば、天然ゴム、シリコンゴム、人工皮革等により形成されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(イ)メディアカートリッジが記録装置に対して着脱される形式の場合、利便性およびメディアカートリッジの取り扱い容易性の観点からメディアカートリッジが装着されないとき、メディアカートリッジ内に収納されるシート以外のものに対しても記録されることが望まれる。
【0013】
また、(ロ)メディアカートリッジ内に収納されるシートの変質を防止するためにメディアカートリッジ内が閉空間とされ得ることが望まれる。
【0014】
さらに、(ハ)メディアカートリッジ内に収容される多種多様なシートの剛性は、それぞれ、異なることが考慮され、シートの剛性に応じてシート供給装置においてシートを確実に1枚ずつ分離する分離手段を適宜変更することは困難なので分離手段は、単一の種類に固定されることとなる。従って、種々のシートを確実に分離して1枚ずつ給紙することにも限界がある。
【0015】
以上の点を考慮し、本発明は、シートおよび記録用の液体を収容する記録用液体・シート内蔵容器、その記録用液体・シート内蔵容器内のシートを順次供給するシート供給装置およびそれを備える記録装置であって、その利便性および取扱性容易性を高めることができ、しかも、各種のシートの剛性に応じた最適かつ安定したシートの分離を行うことができる記録用液体・シート内蔵容器、および、シート供給装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る記録用液体・シート内蔵容器は、記録用の液体によりシートの記録面に記録動作を行う記録部に対してシートを搬送する搬送機構形成部に着脱可能に配されるケース本体部と、ケース本体部に形成され前記シートを収容するシート収容部および液体を収容する液体収容部と、ケース本体部のシート収容部に形成され搬送機構形成部に設けられるシート押圧手段の押圧力をシート収容部内のシートに直接的または間接的に作用させるべく、シート押圧手段と該シート収容部内との間を連通させるシート押圧用開口部と、シート押圧用開口部に対して開閉可能に前記ケース本体部のシート収容部に配されシート押圧用開口部を覆うシート保護部材と、を備えて構成される。
【0017】
また、本発明に係るシート供給装置は、記録用の液体によりシートの記録面に記録動作を行う記録部に対してシートを搬送する搬送機構形成部に着脱可能に配され、該シートおよび液体を収容する収容部と、シートが収容部から排出されるシート排出用
開口部とを有する可搬式容器と、搬送機構形成部に配されシートをシート排出用開口部を通じて取出し排出する送出ローラと、可搬式容器が搬送機構形成部に装着される場合、送出ローラを駆動させる駆動手段と、搬送機構形成部に設けられるシート押圧手段の押圧力を収容部内のシートに直接的または間接的に作用させるべく、シート押圧手段と収容部内との間を連通させるシート押圧用開口部と、シート押圧用開口部に対して開閉可能に前記可搬式容器の収容部に配されシート押圧用開口部を覆うシート保護部材と、を備えて構成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係るシート供給装置の一例を備える記録装置の一実施形態であるインクジェットプリンタを示す概略斜視図である。また、図2は、図1に示すプリンタの主に紙送り機構をプリンタ側方から示す要部断面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタは、インク収納部と紙等の被記録媒体の収納部とを一体としたパック20(以下「インクメディアパック」ともいう)を着脱自在に装着して用いることができるものである。すなわち、インクメディアパック20は、プリンタ本体に装着された自動給紙装置(以下、単に「ASF」ともいう)1に対して着脱自在に装着されるものであり、装着された状態で、その被記録媒体収納部210は、ASF1の姿勢に沿い、これに対し、インク収納部211は、後述のように装着動作に伴って被記録媒体収納部210から離れ略水平の姿勢を保つ。インクメディアパック20に収納される被記録媒体は、上述したように、インク受容層の細孔径に関して選択される被記録媒体や捺染で用いる布帛であり、比較的特殊な用途のものである。これに応じ、インクメディアパック20に収納されるインクについても上記細孔径や布帛を構成する繊維の材料に適切に染色できるインクである。このように、インクメディアパック20は、被記録媒体およびインクの組合せを最適に組み合わせるために用いられるものであり、通常の普通紙に記録を行う場合は、ASFに装着された普通紙にプリンタ本体に収納された普通紙用インクで記録を行う。
【0022】
図2は、この際のASF1に対する普通紙4の装着を示し、インクメディアパック20は取外され、普通紙4が直接ASF1に装着される。また、インクは、図1に示されるように、プリンタ本体に予め装着され、インクメディアパック20が装着されるときにはこれと並んで配置される普通紙インク補充ユニット30に収納されており、これから普通紙用のインクが供給される。
【0023】
キャリッジ2は、プリンタ本体を略横断するように設けられるガイドシャフト3(図2参照)に沿って移動可能に設けられる。そして、キャリッジ2の下部には、インクを吐出する記録ヘッド(不図示)が、同時に供給可能なインクの種類に応じた4個が搭載され、これにより、記録ヘッドが記録領域8(図2参照)において搬送される被記録媒体の紙幅方向に移動しつつ、記録情報に応じたインク吐出を行う走査を行うことができる。
【0024】
本実施形態のキャリッジ2には、図1に示されるように、その上部にインク供給口2Aが設けられる。すなわち、インク供給口2Aは、4つの記録へッドに対応して4つのインク供給口(2ABk、2AC、2AM、2AY)からなるものであり、それぞれのインク供給口は、対応する記録ヘッドにそれぞれ隣接して形成されるサブタンク(不図示)に後述のインク・空気導入口を介して連通している。そして、キャリッジ2は、後述されるように所定のタイミングで移動し、インクメディアパック20の供給部21aまたは普通紙インク補充ユニット30の供給部30aに対応する位置に上述のインク供給口を移動させる。また、この対応する位置は、記録ヘッドのインク吐出口がキャップ41または普通紙4に対応するキャップ40に対応する位置でもある。これにより、後述されるように、各記録ヘッドのサブタンクに対するインク供給、インク交換および吐出回復動作をそれぞれ行うことが可能となる。このインク供給およびインク交換の際には、インクメディアパック20の押圧部221aまたは普通紙インク補充ユニット30の押圧部301aに係合する、プリンタ本体に設けられたカム、押し込みピン等からなる押圧機構(不図示)が所定の動作を行い、インク供給やインク交換を行うことができる。また、キャップ40およびキャップ41の略下方には、回復機構42が設けられる。この回復機構42は、上述のインク供給、インク交換および吐出回復動作の際に用いられる吸引用のポンプ等を有して構成されるものである。
【0025】
以上の構成において、記録時には、まず、ASF1に設けられる給紙ローラユニット5(図2参照)によって、インクメディアパック20からまたはASF1から直接、被記録媒体が記録領域8に対して供給される。そして、図2に示すように、キャリッジ2に装着された記録ヘッドの走査ごとに、紙送りローラ7および押圧ローラ6との協働によって被記録媒体は図中矢印Aの示す方向に所定量ずつ紙送りされ、被記録媒体の記録面上に順次記録がなされ、それが図1に2点鎖線で示されるように排出される。
【0026】
図3は、ASF1の詳細な構成を示す斜視図である。
【0027】
同図に示すように、ASF1は、相対向するベース左側板102bおよびベース右側板102aを両端部に有するベース102、ベース102内に配される給紙ローラユニット5、給紙ローラユニット5に対向してベース102に形成される2個の凹部102g内にそれぞれ配される圧板103、および、ベース102の平坦部上を摺動可能に配される可動サイドガイド105等を備えている。
【0028】
ベース102は、プリンタ本体に対して30°〜60°傾斜した姿勢で設けられ、図5に示されるように、普通紙4を用いるときには直接それを支持し、一方、ベース102の収容部は、図10に示されるように、インクメディアパック20に収納された被記録媒体200を用いるときは装着されるパック自体を支持する。
【0029】
ベース102は、そのベース左側板102bおよびベース右側板102aの一方の端面にそれぞれ設けられる固定部108がプリンタ本体に支持されることにより、プリンタ本体に固定されている。固定部108は、被記録媒体200または普通紙4が通過する開口の周縁を形成することとなる。従って、そのベース左側板102bおよびベース右側板102aと固定部108とにより囲まれる空間は、前方および上方に対して開口している。
【0030】
ベース左側板102bおよびベース右側板102aの内側面には、図3および図5に示されるように、それぞれ、後述するインクメディアパック20のガイドボス218bが係合されるガイド溝102cおよび102dが形成されている。上端側が開口するガイド溝102cおよび102dは、それぞれ、そのベース左側板102bおよびベース右側板102aの上面に沿って互いに平行に所定の長さだけ固定部108側に向けて延びている。また、ベース102の平坦面部とベース左側板102bおよびベース右側板102aの内側面とが交差する部分には、それぞれ、インクメディアパック20のメディアケース212を案内する導入ガイド102eがそれぞれ設けられている。各導入ガイド102eの下端部側には、メディアケース212を所定位置に位置規制するストッパ102fが設けられている。
【0031】
このベース102の平坦面部の下方には、分離面107を有する位置規制部材LMが回動可能に設けられている。位置規制部材LMの両端部は、図11に示されるように、それぞれ、回転軸107aを介してベース左側板102bおよびベース右側板102aに回動可能に支持されている。位置規制部材LMは、図示が省略されるばねにより、図3の矢印Sの示す方向に向けて付勢されている。これにより、図5に示されるように、位置規制部材LMは、上述の普通紙4を支持するための所定の姿勢を保つことができる。
【0032】
この分離面107は、基本的な機能として、図5に示されるように、ASF1に普通紙4が直接搭載される際、給紙ローラユニット5によって送り出される普通紙4の先端に所定の抵抗を与え、これにより、普通紙4の先端を規制して一枚ずつ分離する機能を有するものである。また、分離面107は、積層して搭載される複数の普通紙4の下端部を同一面において支持する機能も兼ねるものでもある。
【0033】
一方、インクメディアパック20がASF1に装着されるとき、図12に示されるように、その装着動作に伴ってインクメディアパック20の下端部により押圧されることにより、その分離面107が上記ばねの付勢力に逆らって回転され、矢印Sの示す方向とは反対方向に待避せしめられる。
【0034】
サイドガイド105は、ベース102の平坦面部上において装着される普通紙4の紙幅方向、すなわち、図3中、矢印の示す方向にスライド可能に設けられ、これにより、普通紙4をASF1にセットしたとき、そのサイズに応じて普通紙4の紙幅方向の位置を規制することができる。すなわち、ASF1において普通紙4をセットする際の基準面としてべース右側板102aに普通紙4の一方の側端を当接させると共に、他方の側端にサイドガイド105を当接させて普通紙4の紙幅方向の位置を規制して普通紙4をセットすることができる。
【0035】
べース102の平坦面上においては、図3および図12に示めされるように、圧板103がそれぞれ設けられる2個の凹部102gが、上述の位置規制部材LMに対して上方に隣接し互いに所定距離、離隔して形成されている。
【0036】
2個の圧板103は、図4に示されるように、その一対の切欠部103aにそれぞれ、圧板解除レバー113の軸部が固定されることにより、互いに連結されている。また、圧板103における切欠部103a近傍に設けられる一対の透孔103bには、その軸部に設けられるアーム部が連結されている。その軸部の両端部には、カム面部113CAがその軸線に垂直に一体に形成されている。
【0037】
従って、カム面部113CAおよび軸部は、圧板103に対して所定の角度位置で固定されることとなる。
【0038】
その際、圧板解除レバー113の両端部のカム面部113CAは、それぞれ、圧板ばね114の付勢力により後述する給紙ローラユニット5に設けられる圧板カムR109aおよび圧板カムL109bに当接されている。また、その軸部の両端におけるカム面部113CAの内側部分は、ベース左側板102bおよびベース右側板102aにそれぞれ形成される軸受部Beにより移動可能に支持されている。
【0039】
各圧板103の内側と凹部102gの底部との間には、図4および図12に示されるように、圧板103を給紙ローラユニット5に向けて付勢する圧板ばね114が設けられている。圧板103および圧板ばね114は、圧板103の裏側で給紙ローラユニット5のローラ部104aに略対応する位置に設けられている。
【0040】
従って、圧板103は、その外周面部が凹部102gを形成する壁面に案内されつつベース102の平坦面部に対してそれに垂直な方向に全体としてスライド可能に設けられている。
【0041】
これにより、圧板カムR109aおよび圧板カムL109bの所定の回転角までの回動によって圧板解除レバー113の両端部のカム面部113CAが押圧される場合、図12に示されるように、圧板103は、圧板ばね114の付勢力に抗して押圧されて待避し凹部102gに収納される。そして、圧板カムR109aおよび圧板カムL109bがさらに所定の回転角を超えて回動されるとき、圧板103の上部は、圧板ばね114の付勢力により、凹部102gから突出され、普通紙4またはインクメディアパック20に対して当接されることとなる。なお、図3および図4は、圧板103が完全に凹部102g内に押し込まれた状態を示す。
【0042】
この圧板ばね114の付勢力によって普通紙4またはインクメディアパック20に収納された被記録媒体200が、給紙ローラユニット5に対して付勢される。なお、給紙ローラユニット5のそれぞれのローラ部104aに対向する各圧板103の上面には、人工皮革等の摩擦係数の比較的大きい材質からなる分離パッド106が設けられており、これにより、普通紙4の載置枚数が少なくなった時の重送等を防止している。
【0043】
給紙ローラユニット5は、べース102の両端において一体に設けられる右側板102aおよび左側板102bによって回転自在に支持される軸部104と、、軸部104において所定の間隔を置いて固定される2つのローラ部104aとからなるプラスチック等の一体成型品である。
【0044】
図5における矢印Fが示す給紙方向に対し略直交する方向に延びる軸部104の両端部は、それぞれ、ベース左側板102bおよびベース右側板102aに回動可能に支持されている。軸部104の一方の端部には、図4および図5に示めされるように、カム面部113CAに摺接される圧板カムL109bが設けられている。偏心カムとされる圧板カムL109bの回転中心は、後述する給紙ローラユニット5の軸部104の軸心に一致し、また、圧板カムL109bの輪郭は、その回転中心から所定距離偏心した一方の端部で最大変位となるように形成されている。また、軸部104の他方の端部には、給紙ローラギアA110と、その外側に付設される圧板カムR109aとが設けられている。圧板カムL109aの回転中心は、給紙ローラユニット5の軸部104の軸心に一致し、圧板カムL109aの輪郭は、圧板カムL109bと同期してその回転中心から所定距離偏心した一方の端部で最大変位となるように形成されている。圧板カムR109aおよび圧板カムL109bは、それぞれ、上述の圧板ばね114の付勢力により付勢されるカム面部113CAに対し常に離れることなく当接している。
【0045】
給紙ローラギアA110は、ベース右側板102aの外面部に回動可能に支持される給紙ローラギアB111に噛み合わされている。給紙ローラギアB111は、同一平面上に回動可能に支持される給紙ローラギアC112に噛み合わされている。給紙ローラギアC112は、連結軸CSを介して装置本体側に設けられる所定の駆動源に連結されている。
【0046】
これにより、図3に示されるように、時計回り方向の回動力Tが連結軸CSを介して給紙ローラギアC112に伝達されるとき、圧板カムR109aおよび圧板カムL109bがローラ部104aおよび軸部104を伴って給紙ローラギアB111を介して矢印Fの示す方向に回転せしめられる。
【0047】
その際、圧板カムR109aおよび圧板カムL109bの位相が、普通紙4のセット時またはインクメディアパック20のセット時、図3に示されるように、圧板カムR109aおよび圧板カムL109bの前期の回転により、圧板カムR109aおよび圧板カムL109bの輪郭の変位が最大となるとき、即ち、圧板103が凹部102g内に完全に押し込まれるとき、ローラ部104aの断面形状の弦となる平坦面部が圧板103に対向するように軸部104の回転角に対して設定されている。これにより、給紙ローラユニット5と圧板103との間に一定の空間が形成され(イニシャル状態)、普通紙4あるいはインクメディアパック20のセットが可能となる。
【0048】
また、それぞれのローラ部104aの円周部をなす外周面には、普通紙4を含む被記録媒体の送給に際してより大きな搬送力を生じさせるためのローラゴムが取り付けられている。ローラ部104aは、詳細にはその外周面が略D形の断面形状(あるいは半月形の断面形状)を有するものである。これにより、積層された被記録媒体が適切に一枚づつ給紙されることを可能としている。また、2つ設けられるローラ部104aは、軸部104において、例えばベース右側板102aの普通紙4の基準位置(ベース右側板102aの内面)から約40mmと約170mmの位置に夫々配置されている。
【0049】
従って、被記録媒体のうち、A4サイズ等の比較的紙幅の大きいものを用いる場合、2つのローラ部104aによって給紙が行われ、例えば、葉書等のサイズの紙幅のものを用いる場合、べース右側板102aに近い側の一個のローラ部104aによって給紙動作が行われる。
【0050】
また、給紙ローラユニット5には、ローラセンサ(不図示)が設けられており、そのローラセンサによって、給紙ローラユニット5におけるローラ部104aの回転位相および給紙ローラユニット5に位相を合わせ連動する圧板103のスライド位置を検出することができ、普通紙4またはインクメディアパック20内の被記録媒体200の給紙シーケンスにおける制御タイミングを知ることができる。
【0051】
例えば、図5に示されるように、普通紙4の給紙時、上述の圧板カムR109aおよび圧板カムL109bの所定の後期の回転により、圧板ばね114の付勢力によって圧板103が給紙ローラユニット5に対して近接する動作を行う。
【0052】
これにより、給紙ローラユニット5のローラ部104aの円弧部と最上位の普通紙4の上面とが接触する。
【0053】
そして、ローラ部104aの円弧部のさらなる回転に伴い、普通紙4には給紙方向(図中、矢印Fの示す方向)ヘの摩擦力が作用する。このとき、最上位から2枚目以降の普通紙4には、普通紙4相互間で発生する比較的弱い摩擦力しか作用しないため、これらの普通紙4は、ベース102の下方に設けられた分離面107による抵抗によって給紙方向への移動は阻止される。これにより、最上位の普通紙4一枚だけが分離面107を乗り上げて分離され、2点鎖線で示されるように、分離面107を越えて給紙される。
【0054】
続いて、分離、給紙された普通紙4は、被記録媒体送り部ヘ給紙される。給紙ローラユニット5は、普通紙4全体を被記録媒体送り部へ送り込むまで回転され、圧板103は、給紙ローラユニット5に対して上述のイニシャル状態となる。その際、普通紙4に対する給紙ローラユニット5のローラ部104aの回転駆動力が遮断され、この状態が保持される。
【0055】
このようにして、ASF1の圧板103上に載置された紙や合成樹脂等で構成される普通紙4が、給紙ローラユニット5により給紙された後、紙送りローラ7(図2参照)によって記録ヘッドに対向する記録位置における記録のための搬送が行われる。
【0056】
次に、以上説明したASF1に着脱自在に装着されて用いられるインクメディアパック20の構成について説明する。
【0057】
図6〜図9は、インクメディアパック20の構成を示す図であり、図6は、このインクメディアパック20を前面側から見た斜視図、図7は、裏面側から見た斜視図、図8はそのインク収納部の内部を示す斜視図、図9は、その前面側のインク収納部を本体側に対して離隔させ開いた状態を示す斜視図である。
【0058】
インクメディアパック20は、前述したように、種々の記録特性に対応してその記録特性に最適な被記録媒体とインクとの組合せを収納するとともに、そのパックの装着によって自動的な記録モードの設定を可能とするものである。すなわち、本実施形態では、基本的に、ユーザーにとって一見して同じ被記録媒体であってもその材料もしくは組成が異なれば記録特性の上で最適なインクの種類も異なる場合にその被記録媒体とインクとの組合せを誤ることがないようにし、しかも、ユーザーがその選択したインクメディアパックをプリンタに装着して用いるとき装着された被記録媒体とインクとの組合せに適した記録モードが自動的に実行されるものである。
【0059】
例えば、記録特性として、濃度の高い画像を記録するという特性の場合、被記録媒体がインクの浸透性について異なれば最適なインクの種類も異なり、この点において、一般的にはユーザーは被記録媒体に対する最適なインクの組み合わせを選ぶことが困難である。また、被記録媒体として、布帛を用いる場合、一見同じ布帛であってもそれを構成する繊維の種類に応じ、染色性に関して最適なインクは異なる。例えば、インクメディアパックにおいて組み合わされる被記録媒体とインクの組み合わせとしては、反応染料を含有したインクに対してはこの反応染料と共有結合によって染色される布帛が組み合わされる。また、酸性染料または直接染料を含有したインクに対して水素結合またはイオン結合によって染色される布帛が組み合わされる。
【0060】
図6、図7および図8において、インクメディアパック20は、概略、被記録媒体収納部210とインク収納部211とによって構成され、これらの被記録媒体収納部210およびインク収納部211には上述したような最適な組合せに係る被記録媒体とインクとがそれぞれ収納される。そして、このようなインクメディアパック20が、種々の組み合わせごとに複数用意され、ユーザーの選択に応じてプリンタのASF1に装着されて用いられる。
【0061】
インク収納部211は、その全体がインクケース218によって密閉された構造を有する。その内部は、図8にて後述されるように、収納する複数のインクごとのインク室218aが形成され、それらの各室にインクを貯留したインクチューブが収納されている。また、蓋部材としてのインク収納部211は、被記録媒体収納部210に対して開閉できるように設けられている(図9参照)。すなわち、蓋部材としてのインクケース218は、被記録媒体収納部210の両側部にそれぞれ設けられた回動軸212eによって回動自在に軸支され、これにより、インクメディアパック20がプリンタに装着される際、その装着動作に伴って回動し所定の位置(図1参照)を占めることができる。
【0062】
インクケース218には、その矩形状の上面におけるコーナー部に押圧部221a(図6参照)が設けられ、これに対向する下面側にはジョイント部220(図9参照)が設けられる。これらは、後述のようにインク交換およびインク供給の際に用いられる。
【0063】
一方、被記録媒体収納部210は、図6および図7に示されるように、その前面側を形成するメディアケース212と裏面側の背面カバー213とにより、その収納される被記録媒体200の大部分が覆われている。また、被記録媒体収納部210には、その下方の一部に開口部が設けられている。すなわち、被記録媒体収納部210には、図9に示すようにその前面側の下方に前面開口部215が設けられている。これは、主に、インクメディアパック20がASF1に装着されたとき、その給紙ローラユニット5のローラ部104a(図3参照)が、収納される被記録媒体200の表面に前面開口部215を介して接触されることにより、図12に2点鎖線で示されるように、その給紙を可能とするためである。
【0064】
一方、被記録媒体収納部210の裏面側には、図7に示されるように、後述する保護シート214により覆われる背面開口部216が背面カバー213に隣接して設けられている。この背面開口部216は、主に、インクメディアパック20がASF1に装着されたとき、保護シート214を介してASF1の圧板103と被記録媒体200との係合を可能とするためのものである。
【0065】
被記録媒体収納部210に積載収納される複数枚の被記録媒体200は、上記背面側において保護シート214を介して収納されている。その保護シート214の少なくとも1辺(好ましくは長辺)は、被記録媒体収納部210の内部に固定され、保護シート214における背面開口部216に対応する部分は、インク収納部211の内側に向けて背面開口部216を閉状態から略開状態となるように移動可能とされる。
【0066】
これにより、収納される被記録媒体200が順次、排出される場合であっても残留する被記録媒体200における最上端の被記録媒体200は、保護シート214を介して圧板103により選択的にインク収納部211側(給紙ローラユニット5側)に押圧されることとなる。
【0067】
保護シート214は、収納される被記録媒体と同じ材料で形成するなどその摩擦係数を被記録媒体200との関係で適切なものとし、これにより、積層されて収納される最下部の被記録媒体200が、すなわち、保護シート104と直接接する被記録媒体200が良好に送れない現象、あるいはその上に積層される被記録媒体200の給紙につられて給紙される現象(重送)の発生を抑えることができる。
【0068】
このようなローラ部104aの外周部の摩擦係数RF、保護シート214の表面(接触面)の摩擦係数PFおよび被記録媒体200の表面における摩擦係数SFの値は、それぞれ、例えば、各部材の相互関係において設定されている。これらの部材間において、ローラ部104aの外周部の摩擦係数RFが最も大に設定され、被記録媒体200の表面の摩擦係数SFが最も小に設定され、保護シート214の表面(接触面)の摩擦係数PFがローラ部104aの外周部の摩擦係数RFと被記録媒体200の表面の摩擦係数SFとの間に設定されている(SF≦PF<RF)。
【0069】
なお、本例の場合、例えば、保護シート214の摩擦係数PFと被記録媒体200の表面の摩擦係数SFとは同一の値とされる。
【0070】
また、背面開口部214の周縁の略中央部には、抜け止め212bが一体に設けられている。これらの保護シート214および抜け止め212bとによって収納される被記録媒体200が裏面側ヘ抜け出すことを防止できるとともに収納部内にこの背面開口部216を介して埃などが入り込むことを防止できる。
【0071】
さらに、被記録媒体収納部210の下端面の一部には、図9に示されるように、ASF1における導入用開口端部に設けられたコネクタ310(図3および図10参照)と電気的に接続するためのコネクタ400が設けられ、これによって、後述されるように、プリンタ本体側からインクメディアパック20の所定のメモリに記憶されている種々の情報の読出しが可能となる。コネクタ400は、プリント基板401(図7参照)上に実装されている。また、メディアケース212の上面には、後述するロック孔210aが形成されている。
【0072】
また、図12に示されるように、被記録媒体収納部210の前面開口部215を区画する一つの辺に、パック分離面212aが形成されている。パック分離面212aは、図5にて前述した普通紙4の場合と同様、インクメディアパック20に収納される被記録媒体200を給紙する際、1枚づつ被記録媒体200を分離して給紙するためのものである。具体的には、パック分離面212aは、被記録媒体収納部210においてそれに積載収納される最上端近傍の被記録媒体200の下端がその給紙動作によって突き当たる面として形成され、分離するのに最適の突当て角度(当接角度α)を有している。
【0073】
被記録媒体200の下端が当接される前面開口部215の周縁部の内面と分離面212aとがなす角とされる当接角度αは、図13の(A)および(B)に示されるように、例えば、被記録媒体200の剛性に応じて設定されている。
【0074】
例えば、比較的剛性の大なる被記録媒体200Aの場合、図13の(A)に示されるように、当接角度αが比較的大となるように設定されている。また、比較的剛性の小なる被記録媒体200Bの場合、図13の(B)に示されるように、当接角度αが比較的小となるように設定されている。
【0075】
なお、本実施形態では、図3に示した分離面107および上述の分離面212aを分離手段としているが、分離爪等を分離手段とするASF1においては、パックの装着時にASFの分離爪が待避する方法が必要であり、その際、被記録媒体収納部側に別の分離爪が設けられていても良く、また、全く別の分離手段が設けられていても良い。ASF1、インク被記録媒体パック双方とも分離手段は上述の分離面に限定されず、最適な分離手段の組み合わせとすることができる。
【0076】
さらに、図9に示されるように、前面開口部215の周縁における両側壁部にそれぞれ連なる部分には、インクメディアパック20が装着されるとき、ストッパ102fにそれぞれ当接される円弧状の突当てリブ212dが形成されている。
【0077】
二つの突当てリブ212dのうちの一方側に隣接して後述する複数のゴムキャップ222が一列に設けられている。各突当てリブ212dよりもさらに外側には、それぞれ、後述するガイドリブ212cが側壁部に沿って形成されている。
【0078】
図8は、インク収納部211の内部構造を示す図であり、同図は、インク収納部211を構成するインクケース218のインクケースカバー219(図9参照)を取外した状態で示す図である。
【0079】
インクケース218の内部には、記録に用いるインクの色等に応じて4つのインク室218aが形成されている。4つのインク室218aには、例えば、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのインクが貯留されている。もちろん、記録の事情に応じて適切なインクが貯留されればよく、上記のインクに限られるものではない。そして、各インク室218aにはインク袋218dが配置されている。インク袋は可撓性の材料で形成されるものであり、その一部がインク室の底面に接着されることによりインク室に固定されている。なお、各インク袋218dからのインク供給は、インク袋218dの一端に取り付けられたインク供給管218cがそれぞれ対応する各ジョイントバルブ221に接続されることによって可能となる。そして、このジョイントバルブ221は、それぞれ図9に示したジョイント部220に連通するものであり、これにより、図1にて前述したように、キャリッジの移動によってそのインク供給口がこのジョイント部に対向する位置に配されることにより、記録ヘッドへのインク供給が可能な状態となる。
【0080】
以上、図6〜図9に示した構成のインクメディアパック20において、そのプリンタに対する非装着状態では、インクメディアパック20のインク収納部211は被記録媒体収納部210に対して閉じており、これにより、インク収納部211は被記録媒体収納部210に対して蓋として機能する。すなわち、そのインク収納部211は、被記録媒体収納部210の前面開口部215を介して収納される被記録媒体200が外気にさらされることを防止している。
【0081】
さらに、被記録媒体収納部210の上記前面開口部215に隣接し、インク収納部211のジョイント部220に対応する位置には、複数のゴムキャップ222が設けられている。これにより、インク収納部211が被記録媒体収納部210に対して閉じた状態にあるとき、ゴムキャップ222は上記ジョイント部220を密閉して各インク室218aのインク袋からのインクの漏れ防止している。
【0082】
一方、インクメディアパック20がプリンタのASF1に装着された状態では、インク収納部211は被記録媒体収納部210に対して開いた状態となる(図10参照)。すなわち、インク収納部211は回動軸212eによって回動可能に支持されることにより、インク収納部211はその装着動作に伴って被記録媒体収納部210に対して自動的に開き、これにより、上述の記録ヘッドに対するインク供給が可能となる。
【0083】
従って、作業者がインク収納部211を強制的に開く操作を要することなく、所定位置にインクメディアパック20を装着できるのでその装着の際のインクメディアパック20の取り扱いが容易となる。
【0084】
なお、本実施形態では、インク収納部に被記録媒体に最適な組合せのインクを収納するものとしたが、これ以外にもインクを交換する際に記録ヘッドおよび記録へッドに対するインク供給路内を洗浄するための洗浄インクを収納しても良い。また、記録ヘッドの吐出エネルギー発生素子が電気熱変換体である場合において、被記録媒体に最適なインクが電気熱変換体上にコゲを発生することがあるインクを用いる場合には、電気熱変換体上のコゲを除去するコゲ取り用液体を収納しても良い。
【0085】
次に、図10〜図12を主に参照して、インクメディアパック20をASF1に装着する動作について説明する。
【0086】
インクメディアパック20は、インクジェットプリンタのASF1に対して着脱可能に構成されており、この着脱の際に必要な構成がASF1とインクメディアパック20とに設けられている。
【0087】
図3に示すASF1において、導入ガイド102eは、インクメディアパック20が装着される際、インクメディアパック20における被記録媒体収納部の両側部に設けられたガイドリブ212cと係合し、これにより、インクメディアパック20の装着動作をガイドすることができる。すなわち、インクメディアパック20のガイドリブ212cは、主に被記録媒体収納部210のASF1への挿入をガイドするものである。そのガイドリブ212cが導入ガイド102eと係合しこれに沿って摺動することにより、被記録媒体収納部210の装着をガイドすることができる。そして、このガイドリブ212cの摺動は、被記録媒体収納部210両側部に形成された突き当てリブ212d(図10および12参照)が、ベース右側板102aおよびベース左側板102bにそれぞれ設けられたストッパ102f(図10および12参照)に突当たるまで行われる。これによって、被記録媒体収納部210のベース102に対する相対的な挿入配置位置が定められる。
【0088】
以上の被記録媒体収納部210の装着の際、ASF1に設けられたプリンタ側のコネクタ310(図10参照)と被記録媒体収納部210の下部端面に設けられたコネクタ400とが相互に接続し、これによってインクメディアパック20が装着されたことをプリンタ側が認識することができる。また、この装着の後、図10に示すように、ASF1の左側板102bに設けられレバー軸150aによって回動自在に支持されるロックレバー150が矢印の示す方向に回転されて、レバー150の突起部150bがインクメディアパック210に形成されたロック穴210aに挿入されることにより、インクメディアパック20のASF1に対する固定を行うことができる。そして、この固定により、上述のコネクタ同士の接続を確実なものとすることができる。
【0089】
なお、この導入ガイド102eは、普通紙4を直接ASF1に搭載して用いる際、その積載、給紙する動作を阻害しないよう、普通紙4の最大積載時に最上位の普通紙4と隙間が空く構成となっている。また、サイドガイド105を図5において最も左側に移動したとき、このサイドガイド105は、ベース左側板102bに設けられたサイドガイド収納部(図示せず)に収納される。
【0090】
一方、インクメディアパック20におけるインク収納部211の装着動作は、ASF1のベース両側板102a、102bそれぞれに設けられたガイド溝102dと、インク収納部のインクケース218の両側部に設けられたガイドボス218bとの係合によってガイドされる。すなわち、上述した被記録媒体収納部210の挿入動作の際、図12に示されるように、併せてインク収納部211の2つのガイドボス218bを、ASF1の対応する2つのガイド溝102dの開口端部に係合させたのち摺動させる。これにより、上述の被記録媒体収納部210の挿入動作に従い、インク収納部211は、ガイドボス218bが案内されることにより開き始めるとともに、その回転軸212eを中心に自動的に回転し、上記挿入動作の終了時には図1、図11および図12にて示した略水平な所定位置となる、装着が完了する。
【0091】
図12は、上述の装着動作によってインクメディアパック20がASF1に装着された状態を示す図である。
【0092】
同図に示すように、装着状態では、インク収納部211は被記録媒体収納部210に対し開いた状態となり、被記録媒体収納部210の前面開口部215が給紙ローラユニット5のローラ部104aに対向する。また、このとき、背面開口部216は圧板103に対向する。すなわち、背面開口部216の開口面積は圧板103のそれよりも大きいので、圧板103が押圧状態になるとき、圧板103が収納される被記録媒体200の背面を保護シート214を介して押圧し、これにより、インクメディアパック20が変位することなく、その収納される被記録媒体200の表面をローラ部104aに圧接させることができる。
【0093】
インク収納部211は、前述のようにガイドされて、略水平に保持され、そのジョイント部220および押圧部221aを含むインク収納部211の先端部は、インクジェットプリンタ本体内に入り込む位置をとることができる。すなわち、この先端部は、キャリッジ2の移動範囲の上部に位置することができる。さらに、後述されるように、プリンタ本体に設けられた不図示のカム機構によって押圧部221aが押圧されることにより、ジョイント部220が作動し、キャリッジ2上のインク供給口2Aを介したインク供給などを行うことが可能となる。
【0094】
なお、インクメディアパック20をASF1から外す場合には、上記の動作が逆の順序で行われる。
【0095】
図14は、本発明に係るシート供給装置の一例を備えるインクジェット記録装置およびインクメディアパックから構成されるシステムの主に制御構成を示すブロック図である。
【0096】
インクジェットプリンタにおいて、マイクロプロセッサ(MPU301)は、ROM302に格納された制御プログラムに従って、インクジェットプリンタ全体の制御を行う。RAM303は、ホスト装置300から転送される記録データを保存する受信バッファなどを含み、また上記MPU301の処理実行におけるワークエリアとして使用される。
【0097】
MPU301は、ROM302に記憶されているプログラムの手順に従って、ホストコンピュータ(ホスト装置)300から、公知のセントロニクスインターフェース等で構成された送受信手段304を介して転送されてくる指令データおよび記録データに基づき、入出力ポート305およびモータ駆動回路306を介してキャリッジモータ、および、給紙ローラギアC112にも回動力を供給する搬送モータの回転を制御するとともに、ヘッド制御部307およびヘッド駆動部308を介して記録ヘッド501に記録データを出力してその記録動作を制御する。また、上記記録ヘッドの駆動パルス幅の作成及び各モータの回転数制御のために、タイマ309が設けられている。
【0098】
一方、上述のインクジェットプリンタに接続して機能する、インクメディアパック20のシステムにおいて、プリント基板401(図5参照)上に実装されている上には、電気的に読み書き可能で、電圧を印可していないときでもデータの保持が可能なEEPROM402が実装されている。本実施形態のEEPROM402は、一般的なシリアル式のもので、CS信号311が“H”のとき動作可能となる。すなわち、CS信号が“H”の時にCLK信号312が立ち上がり、DI入力信号313上のコマンド(書き込み、読み出し、消去等)または書き込みデータがEEPROM402に書き込まれ、またDO出力信号314上に読み出しデータが出力され、読みとり可能となる。各信号線311〜314は、本体側のコネクタ310を介して本体側の入出力ポート305に接続され、MPU301の制御によって読み書きが可能となる。シリアル式のEEPROM402の容量は、数Kビット程度、そのEEPROM402の書き換え可能回数は、10の5乗から7乗程度とされ、本実施形態のプリンタに関する情報を記憶する書き換え可能な記憶素子として適したものである。
【0099】
さらに、インクジェットプリンタ側には、インクメディアパック20の装着検出用スイッチ315が設けられており、インクメディアパック20が装着されるとスイッチ315がONとなる構成になっている。スイッチ315の出力信号316は、入出力ポート305に入力される。MPU301は、この信号をリードすることにより、インクメディアパック20の脱着を検出することができる。
【0100】
MPU301は、パック20の装着を検出するとき、入出力ポート305の出力信号317により、パック20内のEEPROM402に電力を供給し、EEPROM402をリード・ライト可能状態とする。
【0101】
インクメディアパック20内のEEPROM402に記憶する情報としては、パック製造時に工場で書き込み、以後、インクジェットプリンタ側からは読み出すだけの情報と、インクジェットプリンタに装着した状態で、インクジェットプリンタ側から書き換える情報に大別される。前者の情報としては、パック内にセットされている被記録媒体の種類、インクの種類を記憶しておくものが代表的にあげられる。
【0102】
図15および図16は、上述したインクメディアパック20の装着等に伴うプリンタの処理を示すフローチャートであり、図15はプリンタの電源オンの間にインクメディアパックが装着等されるときの処理を示し、図16(A)および(B)は、電源オフの間にインクメディアパック20が装着等されるときの処理手順を示すものである。この処理は、インクメディアパック20に設けられたコネクタ400がプリンタ側のコネクタ310に電気的に接続されることによって可能となる。
【0103】
図15に示すように、電源がオンの状態でインクメディアパック20が装着等される場合は、プリンタの記録待機処理(ステップS101)の一環として行われる。すなわち、本処理は、記録待機時に所定の時間間隔で起動され、まず、プリンタにインクメディアパック20が装着されているか否かの判断を行う(S102)。この判断処理は、プリンタの所定のメモリにインクメディアパック20のID、インクおよび被記録媒体の種類等のデータとともに書きこまれる装着/未装着に関するデータによって行う。このデータについて前回のものと異なると判断した場合、現在の状態を装着されているインクメディアパック20(装着されている場合)のIDも含めて、上記のメモリに書き込む(S103)。そして、現在、インクメディアパック20が装着されているか否かを、上述のメモリを参照して判断する(S104)。なお、インクメディアパック20の装着/未装着の判断については、装着検出用のスイッチ315の状態によって判断するようにしてもよい。

【0104】
ここで、インクメディアパック20が装着されている判断した場合は、インクメディアパック20が装着されていない状態から装着された状態になったと判断し、以下で説明する処理(a)を実行し、ステップS101の待機処理を続ける。
【0105】
一方、ステップS104でインクメディアパック20が外された状態であると判断した場合には、▲1▼普通紙4が装着された、▲2▼他の種類のインクメディアパック20ヘの交換操作の途中、の2つのケースが考えられるので、ステップS106以降の処理を行う。
【0106】
すなわち、上記▲1▼または▲2▼のケースを区別するために、まず、インクメディアパック20の有、無および記録データの有、無を監視する(S106、S109)。ステップS106のインクメディアパック20の有無検知でその状態が前回と同じ、つまりインクメディアパック20が外された状態であると判断し、さらにホストから記録データが送られてきたと判断した場合は(S109)、普通紙4が装着されていると判断し、以下で説明する処理(b)を実行する。
【0107】
また、ステップS106で、記録データが送られてくる前にインクメディアパック20の有ることが検知された場合には、インクメディアパック20が装着されたと判断し、ステップS107で、そのインクメディアパック20内のインクの種類が前に装着されていたインクメディアパック20のインクの種類と同じか否かについて判断する。そして、インクの種類が異なる場合のみ、処理(a)を実行する。インクの種類が変わっていない場合は、記録ヘッド内のインクを置換する必要はないので、待機処理を続ける。
【0108】
次に、図16(A)および(B)を参照して、プリンタの電源がオフときにインクメディアパック20の着脱等が行われる場合の処理について説明する。
【0109】
図16(A)に示すように、電源のオフ操作が行われると、インクメディアパック20のそのときの装着状態を、上述のメモリに書き込み(S111)、その後電源が遮断される。そして、この電源オフの間に、インクメディアパック20の着脱が行われる場合がある。
【0110】
次に、電源オンの操作が行われると、図16(B)に示す処理が起動され、まず、ステップS112で、現在のインクメディアパック20の装着状態を上記ステップS111で書き込んだものと比較する。ここでインクメディアパック20の装着状態が同じ場合には、ヘッド内のインクの置換は不要であり、そのまま図15に示した待機処理に移って本処理を終了する。
【0111】
一方、インクメディアパック20の装着状態が異なっている場合には、インクメディアパック20の有無を判断する(S113)。ここで、インクメディアパック20の無しが検知された場合には、▲1▼普通紙4が装着された、▲2▼他の種類のパックヘの交換操作の途中、の2つのケースが考えられるため、図15にて説明したのと同様、図15に示すステップS106の処理へ移行する。
【0112】
インクメディアパック20が有ることが検知された場合は、そのインクメディアパック20内のインクの種類をステップS111で書き込んだインクの種類情報と比較を行う(S114)。ここで、インクの種類が同じである場合には、記録ヘッド内のインクの置換は不要であり、待機処理へ移行して本処理を終了する。
【0113】
一方、インクの種類が異なっている場合は、記録ヘッド内のインクの置換を行うため、以下に説明する処理(a)を実行した後、待機処理ヘ移行する。
【0114】
次に、上記処理(a)および(b)について、主に図1を参照してそれぞれ説明する。
【0115】
処理(a)
この処理は、インクメディアパックが異なるものに交換された場合に行われるものである。まず、キャリッジ2は、メディアパック用のキャップ41および回復系42の位置へ移動し、後述されるように、キャリッジ2はインクの色ごとに移動を行いながら、記録ヘッド側からインクを吸引することによって記録ヘッドとサブタンク内を空にした後、その同じインク供給ポジションで、各色毎にインク供給を行う。各色のインク供給が終了すると、キャリッジ2はホームポジションへ移動し、上述の記録命令の待機処理を行う。
【0116】
なお、上記ステップS101の待機処理では、記録命令が出されると、インクメディアパック20から被記録媒体200を給紙して記録を行い、記録終了後に排紙を行う。この記録の間に、サブタンクに対しインク供給が必要な場合には上述と同様にキャリッジがインク供給ポジションに移動し、各色毎にインク供給を行う。
【0117】
処理(b)
この処理は、普通紙4がASF1に直接装着され、これに対して記録を行う場合に実行されるものである。まず、キャリッジ2は、普通紙用のキャップ40および回復系42の位置へ移動し、後述されるように、キャリッジ2はインクの色ごとに移動を行いながら、記録ヘッド側からインクを吸引することによって記録ヘッドとサブタンク内を空にした後、その同じインク供給ポジションで、各色毎にインク供給を行う。各色のインク供給が終了すると、キャリッジ2はホームポジションへ移動し、上述の記録命令の待機処理を行う。
【0118】
図17は、本実施形態のインクジェットプリンタにおける記録処理の概略であり、MPU301によって実行される制御手順を示すフロチャートである。同図に示す処理は、主に記録前の記録モードの設定などに関するもので有り、図15および図16にて上述した記録待機時の処理と略並行して実行されるものである。
【0119】
インクジェットプリンタの電源投入後、MPU301は、ステップS301で装置の初期設定を行う。次に、ステップS302で、インクメディアパック20の装着検出用スイッチ315の状態を、入出力ポート305を介して読みとる。スイッチ315がオンの時は、インクメディアパック20が装着されていると判断し、ステップS303で、EEPROM402に電源を供給し、EEPROM402に工場出荷時に記録しておいた被記録媒体の種類、インクの種類のIDを読みとる(ステップS304)。このリードデータは、ステップS305で、上記セントロニクスインターフェース等の送受信手段304を介して、ホスト機器300に転送される。ホスト機器のプリンタドライバは、この情報を元に、ユーザの選択無しに自動的に、装着されているインクメディアパック20内の被記録媒体とインクの組合せに最適な画像処理、インク打ち込み量、プリントパス数を考慮した記録データを作成してプリンタに転送する。ステップS306で、その記録データを受信すると、ステップS307で記録動作を行う。1ページの記録が終了すると、ステップS308で、EEPROM402の電源をオフとした後、ステップS302へ移行し、再びインクメディアパック20の装着検出用スイッチ315の状態を、入出力ポート305を介して読取る。ステップS302で、インクメディアパック20の装着検知用スイッチ315がオフのときは、インクメディアパック20が被装着と判断し、ユーザがプリンタドライバで指示したプリント品位、プリント速度で作成された記録データを受信して、インクジェットプリンタ側のインク、およびASF1にセットされた被記録媒体を用いて記録動作を行う(ステップS309)。
【0120】
以上の制御を行うことにより,ユーザの指示無しに,インクジェットプリンタは、インクメディアパック20にセットされているインクと被記録媒体の組み合わせに最適化された記録データによって記録可能となるため、高品位の画質で記録を行うことが可能となる。また、ステップS310で、MPU301が読み取った被記録媒体の種類、インクの種類のデータを元に、ROM302に記憶されたインクジェットプリンタ側の記録に関するパラメータ、つまり記録ヘッドの駆動パルス幅、ヘッドのインク不吐出を防止するために予備吐出するドット数(予備吐出ドット数)、予備吐出時間間隔、記録ヘッドの吐出状態を正常に保つための回復および吸引時間間隔等もセットすることが可能であり、プリンタドライバでの最適化と合わせて、さらに最適制御が可能である。
【0121】
なお、以上の実施形態では、インクメディアパック20に記憶される被記録媒体およびインクの種類(ID)を読み取り、そのIDからROM302に記憶してある記録制御に関するパラメータを読み取ってセットするものとしたが、インクメディアパック20のEEPROM402に上記パラメータを予め記憶しておき、EEPROMから直接パラメータを読み取り、インクジェットプリンタの記録制御回路にセットしてもよい。この方法により、例えば、インクジェットプリンタ発売前に想定されていなかった被記録媒体とインクの組み合わせのパックを追加発売しても、その被記録媒体およびインクの組み合わせに最適な記録制御により記録が可能となる。
【0122】
上述した以外にも他の実施例として、インクメディアパック20をインクジェットプリンタに装着した状態でインクジェットプリンタ側から書き換える情報としては、パック内の被記録媒体の枚数、パック内のインク残量がある。
【0123】
図18は、MPU301によるの他の制御例を示すフローチャートである。
【0124】
図18において、インクジェットプリンタの電源投入後、MPU301は、ステップS401で装置の初期設定を行う。次に、ステップS402で、インクメディアパック20の装着検出用スイッチ315の状態を入力出力ポート305を介して読み取る。スイッチ315がオンの時は、インクメディアパック20が装着されていると判断し、ステップS403でEEPROM402に電源を供給し、EEPROM402に記憶してある被記録媒体の残り枚数を読み取る(ステップS404)。このリードデータは、ステップS405で、上述のセントロニクスインターフェース等の送受信手段304を介して、ホスト機器300に転送される。
【0125】
ホスト機器のステータスモニタは、現在のインクメディアパック20に収納される被記録媒体の残り枚数をモニタ上に表示する。次に、ステップS406で記録データをホスト機器から受信したと判断すると、ステップS407で、インクメディアパック20内の被記録媒体を給紙する。このとき、ステップS408で、現在の被記録媒体の残り枚数から−1した値を、EEPROM402に書き込むとともに、ホスト機器300に転送し、モニタに表示している被記録媒体残枚数を変更し(S409)、ステップS410で記録動作を行う。1枚分の記録が終了すると、ステップS411で、EEPROM402から、各色毎のインク残量値を読みとり、その値から、1枚の記録で吐出したインク量及び予備吐出量、また、吸引動作を行ったときはその吸引量を引きEEPROM402に書き込む。この後、ステップS412で、インクメディアパック20が取り外されることを想定し、処理をステップS402に移行して上記処理を繰り返す。なお、インク収納部内のインク残量は、厳密にはインク収納部からキャリッジ内のサブタンクに供給された量に基づいて計算されるものであるが、サブタンクのインク収納量が小さく、そのため比較的高い頻度でインク収納部からサブタンクに対しインク供給が行われることから、上記記録で吐出したインク量や予備吐出量等をそのままインク収納部内のインク残量の計算に用いるものである。

【0126】
以上の処理を行うことにより、現在のインクメディアパック20内の被記録媒体の枚数を知ることができ、このデータをホスト機器300に送信することにより、ホスト機器300のCRT上に、それを表示することが可能であり、ユーザインターフェースが向上する効果がある。また、常に最新のインクメディアパック20内の状態を知ることができ、この情報を読み出すことにより、リサイクル時のインク注入量の定める処理等に利用することも可能である。
【0127】
次に、本実施形態に具備されるインク交換システム及びインク供給方法を説明する。
【0128】
本実施形態におけるインク交換システムは、インク供給源である前述のインクメディアパックの各インクタンク収納部からプリンタ装置本体のキャリッジに搭載されるサブタンクへとインクを供給するものであり、主としてサブタンク、記録ヘッド、インク空気導入機構等を備える。
【0129】
図19ないし図24は、上記インク交換システムのサブタンク、記録ヘッド及びインク空気供給機構を示す説明縦断側面図であり、図19は記録動作中の状態を、図20はサブタンクを減圧させた状態を、図21は空気導入時の状態を、図22はインク空気排出動作時の状態を、図23は再度サブタンクを減圧させた状態を、図24はインク導入時の状態をそれぞれ示している。
【0130】
各図において、501はインク吐出圧発生源としての電気熱変換体あるいは電歪素子(不図示)とインクを吐出させる吐出口502を有するノズル部とを多数配列した記録ヘッドであり、各ノズル部内の各インク吐出圧発生源には、図示されない記録信号及び電気を供給するためのヘッド駆動回路が接続されている。
【0131】
520は前記インクメディアパックに形成されるインク供給源としてのインク収納部211から供給されるインクを貯留するサブタンクであり、その底部には、前記記録ヘッド501が一体的に固定されている。
【0132】
このサブタンク520において、521はサブタンク520の外殻をなすサブタンク本体であり、このサブタンク本体521には、適用するインクの種類数(ここでは、4種類)と同数の減圧室505が設けられている。各減圧室505は前記サブタンク本体521の底部に形成された減圧調整口506に連通する吸気通路505cに接続されている。
【0133】
また、前記各サブタンク本体521の上面には図20に示すように各減圧室505に対応してそれぞれ4個の開口Hが前記導入口508aを含めて縦方向(主走査方向と直交する方向)に沿って一列に形成されており、サブタンク全体としては16個の開口Hがマトリクス状に形成されている。このうち、各減圧室505に形成される4個の導入口508aは、キャリッジの移動方向である主走査方向と交叉する直線上に配置されている。これに対し、導入口508a以外の開口Hは、後述の導入針553を挿通させる凹部508cの開口となっており、その凹部508cの底面上には弾性を有する不図示のインク漏れ防止部材が固定されている。
【0134】
また、前記導入路508内には、その上端部に形成される導入口508aを開閉可能に封止する封止機構509が設けられている。この封止機構509は、導入路508の上流部に形成されたバルブ収納室508b内に収納したボールバルブ509aと、これを付勢するばね509bとにより構成され、前記ばね509bの付勢力によって常には前記導入口508aをボールバルブ509aによって封止するようになっている。なお、510はインク漏れ防止部材で、弾性部材からなり、導入口508aの外側に固定されている。また、505bは前記導入路508の導出口505aに設けた導出弁であり、導入路508へのインク及び空気の導出を可能とする一方、導入路508からのインク及び空気の逆流を阻止し得るようになっている。
【0135】
507は前記吸気通路505c内に挿入された減圧調整機構である。この減圧調整機構507は前記吸気通路505c内に形成された弁収納室507aと、この弁収納室507a内に挿入された減圧調整弁507bと、この減圧調整弁507bを付勢するばね507cとにより構成される。
【0136】
減圧調整弁507bは、前記ばね507cの付勢力によって常には吸気通路505cと減圧調整口506との連通を遮断状態に保つが、サブタンク本体521の側面に形成された挿通孔521aから所定の押圧部材(図示せず)を挿入し、前記ばね507cに抗して前記減圧調整弁507bを移動させると、減圧調整弁507bに形成された不図示の通気路を介して前記減圧調整口506と吸気通路505cとが連通し、減圧室505内を減圧させるようになっている。
【0137】
従って、この減圧調整弁507bは、減圧度を調整するとき以外は減圧調整口506が閉じた状態となり、外気と遮断されて減圧状態が維持されるようになっている。このように、この減圧状態を形成することにより、サブタンク505内のインクは減圧状態となって吐出口502からのインクのぼた落ち及び吐出口502からの空気の引き込みを防止できるため、吐出口502では適正なインクメニスカスが形成され、インク吐出の安定化を図ることができる。なお、減圧度の調整は上記の吸気通路505c内に減圧測定手段としての圧力センサを設けることで管理することができる。
【0138】
503は前記減圧室505内に収納されているインク貯留部としてのインク液室である。このインク液室503は、前記減圧室505の底面部に下端部が固定された柔軟性部材によって袋状に形成されており、その内外の圧力差によって容積変化するものとなっている。本実施形態においては、前記柔軟性部材は、その下半部503bが厚肉に、上半部503aが薄肉にそれぞれ形成されており、下半部503bは比較的剛性が高く一定形状を維持するが、上半部503aは剛性が低く減圧室によって生じる内外の圧力変化に応じて容積変化するようになっている。これは、インク排出動作において内容積を小さくし、インクの残量を少なくするためである。但し、こうしたインク液室の厚さを変化させることは、本発明において必須の要件ではない。
【0139】
また、前記インク液室503は、減圧室505の底部に形成されたインク供給路504を介して記録ヘッド501に連通しており、このインク供給路504を介してインク液室503からのインクが記録ヘッド501へと供給される。
【0140】
また、530は前記回復機構42に設けられた減圧付与機構(減圧手段)である。この減圧機構530は、前記一対のキャップ40,41と、各キャップ40,41に対応して設けた減圧発生源としての不図示の吸引ポンプと、この吸引ポンプとキャップとを接続する2組の減圧経路531,532と、前記記録ヘッド501の吐出口502及び減圧調整口506に対し減圧付与状態を切換える切換機構530とを備える。このうち、前記両キャップ40,41は、図1及び図20に示すように、いずれも前記吐出口532を密封した状態で覆う吐出口側密封部541と、減圧調整口506を密封した状態で覆う減圧口側密封部542とを備え、各密封部541,542には、吸引孔541a,542aがそれぞれ形成されている。
【0141】
また、前記2本の減圧経路531,532は、前記両密封部541,542の吸引孔541a,542aに連結された2本のチューブ531,532により構成されており、一方のチューブ531は、可撓性部材によって形成されている。また、減圧切換機構530は、所定の駆動源によって前記各チューブ531と532との間に配置され、所定の駆動源によって回動する回動アーム535と、この回動アーム535の一端部に軸着された圧接ローラ536とからなり、回動アーム535によって圧接ローラ536の位置を選択することによりチューブ531の連通、遮断を切換え得るようになっている。
【0142】
すなわち、図20,図22,図24に示すように圧接ローラ536をチューブ531に圧接させることにより、チューブ531が潰れてその連通状態が遮断され、吐出口側密封部541は吸引ポンプから遮断される。また、図21及び図22に示すように圧接ローラ536をチューブ531から離間させることにより、チューブ531は元の形状に復帰し、密接部541は吸引ポンプに連通する。
【0143】
一方、570はインク空気導入機構である。このインク空気導入機構570は、インクと外気とを選択的にサブタンク521のインク液室503へと導入させるものであり、インク導入機構及び気体導入機構として機能する。また、このインク空気導入機構は、前記普通紙インク補充ユニット30からのインク及び空気を導入させる普通紙側のインク空気導入機構と、前記インクメディアパック20内のインク及び空気を導入させるインクメディアパック側のインク空気導入機構の2種類が設けられており、両インク空気導入機構は、同一構造を有し、いずれも、押圧機構560と導入切換機構550とを備えるものとなっている。
【0144】
前記普通紙側のインク空気導入機構における押圧機構560は、前記普通紙インク補充用のキャップ40の配設位置を基準として設置され、パック側のインク空気導入機構における押圧機構560は、インクメディアパック20に収納されている特殊紙インク補充用のキャップ41の配設位置を基準として設置されている。また、各押圧機構560の押圧ピン561は、キャリッジ2の移動方向(主走査方向)と直交する方向(副走査方向)に沿って一列に配列されている。
【0145】
また、導入切換機構550は、その一方が普通紙インク補充ユニット30の供給部30aに設けられ、他方がインクメディアパック20の供給部21aに設けられている。
【0146】
また、前記押圧機構560は、プリンタ本体側の所定の支持体P1に昇降自在に貫挿される複数本(ここでは4本)の押圧ピン561と、各押圧ピン561の頭部562と前記支持体P1との間に弾装され、常には各押圧ピン561の下端部が支持体P1内へと没入するよう付勢するばね563と、所定の駆動源によって回動中心Coを中心に回動する単一の偏心カム564とを備える。この偏心カム564は、前記各押圧ピン561の頭部562と常時圧接する位置に設けられ、回動中心Coを中心に回動することによって全ての押圧ピン561を上下に移動させ得るようになっている。
【0147】
すなわち、偏心カム564の周面上の点a(回動中心C0からの距離間隔が最も小となる点)が前記押圧ピン561の頭部562に接するとき押圧ピン561の下端部は支持体P1内に没入する初期位置に設定され、偏心カム564の周面上の点c(回動中心C0からの距離間隔が最も大となる点)が前記頭部562に接するとき押圧ピン561の下端部は支持体P1の下面から最も突出する最大突出位置に設定され、さらに、偏心カム564の周面上の点bが頭部562と接するとき押圧ピン561の下端部は前記初期位置と最大突出位置との間の所定の中間位置に設定されるようになっている。
【0148】
一方、前記導入切換機構550は、前記押圧ピン561に対応して区轄形成された複数(本実施形態では4本)の収納室556Rを有する筐体556と、この筐体556の各収納室556R内に昇降可能に収容された切換ブロック551と、各切換ブロック551の下端に固定されると共に中心部に導入路553aを形成してなる導入針553と、前記切換ブロック551と筐体556の底部との間に弾装されたばね554とからなる。
【0149】
このうち、前記筐体556の上面には、前記押圧機構の押圧ピン561を挿脱可能とする挿通孔556aが各押圧ピンに対応して複数個(本実施形態では4個)形成されると共に、底面には前記導入針553を挿脱可能とする挿通孔556bが各導入針553に対応して複数個(本実施形態では4個)形成されている。さらに、筐体556における各収納室556Rの側面には、外気に連通する空気導入口558及びインク導入口559が形成されており、各空気導入口558は外気に連通し、インク導入口559はインク供給源である普通紙インク補充ユニット30、あるいはインクメディアパック20のインク収納部211に所定の連通路を介して接続されている。
【0150】
また、前記各切換ブロック551は、その周面に固定されたOリング552によって、筐体556の各収納室556R内をその内面と気密状態を保ちつつ昇降し得るものとなっている。この切換ブロック551には、一側面に形成した側部開口から底部中央に形成された底部開口に至るL字状に屈曲した導入路551aが形成されており、これが前記導入針553の導入路553aに連通している。
【0151】
さらに、前記各導入針553は、前記各押圧機構560の押圧ピン561と同様に副走査方向に沿って配置されている。従って各導入針553の配列方向に対し、前記導入口508aは、図25に示すように、筐体556内の導入針553の配列方向と交叉する方向に沿って配列されることとなる。但し、各導入口508aの副走査方向における配設ピッチは、前記各導入針553の配設ピッチと同一に設定されており、図25に示すように、キャリッジ2を主走査方向へと移動させることにより、4本の導入針553を順次1本ずつ対応する導入口508aへと合致させ得るようになっている。なお、この導入切換え機構によってインク導入切換え手段及び気体導入切換え手段が構成されている。
【0152】
次に、本実施形態におけるインク交換動作及びインク供給動作を説明する。
【0153】
先にも述べたように、本実施形態においては、インクメディアパック20等の特殊用紙を用いた記録動作と普通紙を用いた記録動作との切換え、及び使用するメディアパック20の種類の変更などが行われるため、その記録媒体の変更に伴って、適用すべきインクの種類も種々変更する必要があり、それまで貯留されていたインクと次の記録動作に使用すべきインクとの交換が必要となる。
【0154】
このインク交換は、図19ないし図24に示すようにして行われる。なお、ここではインクメディアパック20の種類の変更に伴うインク交換時の動作を例にとり説明する。
【0155】
インクメディアパックの交換に際して交換指令を入力すると、まず、サブタンク520を搭載したキャリッジ2が、インクメディアパック20との干渉を避け得る側方の退避位置へと移動し(図1参照)、その状態で使用されていたインクメディアパック20の取り外しを行う。
【0156】
この後、新たなインクメディアパック20を装着し、押圧機構560を退避位置から側方の装着位置へと移動させると、導入切換機構550における筐体556の底部がサブタンク本体521の上面に近接すると共に、筐体556の上面に形成された挿通孔556aに押圧機構560の押圧ピン561が対向する。
【0157】
ここで、新たに装着されたインクメディアパック20のメモリ400から各インク液室503に格納されているインクに関する情報が読み出され、インク交換指令を入力すると、その現在のインク情報と、直前に使用されていたインクの情報とに基づき、MPU301が交換を要するインクを判断する。
【0158】
この判断に基づきキャリッジ2が移動し、交換を要するインクを収納した減圧室505の底面に形成された減圧調整口506と記録ヘッド501の吐出口502とを、前記キャップ40または41に設けられた密接部541と542とにそれぞれ対向させる。その後、キャップ40または41が上昇し吐出口502及び減圧調整口506の周囲に密接部541及び542が密接する(図20参照)。
【0159】
この後、減圧切換機構530の回動アーム535が回転し、圧接ローラ536がチューブ531に圧接して吐出口502と吸引ポンプとの連通を遮断する一方、減圧切換弁507bが不図示の押込み部材によりばね507cの付勢力に抗して押し込まれ、減圧室505が減圧調整弁507b等を介して吸引ポンプに連通する。このとき減圧室505に連通可能な導入路508は、封止機構509によって外気から遮断されているため、前記減圧室505内は、吸引ポンプの空気吸引動作によって減圧されて行く。また、この減圧室505内に収納されていたインク液室503はその上半部503aが柔軟性部材によって形成されているため、減圧室505が大気より減圧されると、それに伴ってインク液室503は容積変化を生じ、減圧状態となる。
【0160】
ここで、減圧室505が一定の減圧度に達すると、不図示の押込み部材が減圧調整弁507bに対する押圧を解除し、減圧調整弁507bがばね507cの付勢力に従って初期位置に復帰し、吸気通路505cと吸引ポンプとの連通を遮断して減圧室505及びインク液室503の減圧状態を維持する(図20参照)。
【0161】
次いで、不図示の駆動手段によって偏心カム564は回動中心Coを中心に回転し、周面の点bが頭部562に接する位置で停止する。これにより押圧ピン561は支持体P1の下面から突出し、挿通孔556aから筐体556内に侵入して切換ブロック551を下方へと押し下げ、空気導入口(気体導入口)558と導入路551aとを連通させる(図21参照)。その結果、減圧状態にあるインク液室503には、前記空気導入口558から導入路551a、553a、508及び導入弁505bを経て外気が導入される。この減圧及び空気導入によってインク液室503内では、インクの揺動、撹拌が生じるため、インクの流動性を高めることができる。
【0162】
次に、吸気源としての吸引ポンプを作動させることにより、インク液室503内に残留している前回の記録動作に使用したインクを記録ヘッド501の吐出口502からチューブ531を介して排出させる(図22参照)。この排出工程により、インク液室503内のインクを完全に排出させることができるが、より確実にインクの排出を行おうとする場合には、上述の減圧、空気導入及び排出の各工程を繰り返し実行したり、あるいはまたキャリッジ2を所定距離往復移動させて、内部のインクを揺動させたりすることも有効である。
【0163】
インクの排出完了後は、図23に示すように、偏心カム564を回転させ、その周面の点aを頭部562に当接させる。これにより、押圧ピン561はばね563の付勢力に従って上方の初期位置へと復帰し、導入切換機構550の筐体556から抜脱する。その結果、切換ブロック551と共に導入針553が、ばね554の付勢力によって上昇し、導入口508aから抜脱する。これにより、ボールバルブ509aはばね509bの付勢力によって導入路508の導入口508aを閉塞し、外気との連通を遮断する。
【0164】
またこれと同時に、減圧調整機構507の減圧調整弁507bをばね507cに抗して押圧し、吸気通路505cとチューブ532とを連通させて減圧室505を吸引ポンプに連通させる一方、減圧切換機構530の圧接ローラ536によって吐出口502と吸引ポンプとの連通を遮断し、その状態で吸引ポンプを駆動する。その結果、インク液室503は再び減圧状態となる。
【0165】
次に、前記押圧機構560を駆動し、偏心カム564を回転させて周面の点cを頭部562に圧接させる(図24参照)。これにより、押圧ピン561は下方へと突出して切換ブロック551を最大突出位置へと移動させ、インク導入口559と導入路551aとを連通させる。その結果、インク供給源であるインクメディアパック20からインク液室503に至る経路、すなわち、インクメディアパック20からインク供給管218c、インク導入口559、導入路551a、553a、508、及びインク液室503に至る経路が連通状態となる。
【0166】
このとき、インク液室503は図23に示す減圧工程において、減圧室505と共に減圧状態にあるため、インクメディアパック20に貯留されているインクは、上記経路を経てインク液室503に導入され、その後インク液室503内にインク間が充填されたところで、偏心カム564を回転して押圧ピン561を筐体556から抜脱させ、導入針553を導入口508aから抜脱させることによりインク導入工程は完了し、これによって1つのインク収容室に対するインク交換工程が完了する。なお、このインク導入工程における動作は、記録動作や回復動作によって消費したインクを補充する場合に実行する動作と同一である。
【0167】
また、図23のようにインク充填後に導入針553を抜脱させた後、サブタンク520内の気圧を記録動作に適した減圧度にするため、さらに減圧度を調整しても良い。
【0168】
上記のようにサブタンク520の中の1つの減圧室505におけるインク液室503にインクを供給した後、さらに他のインク液室503に対してインクを供給する必要がある場合には、まず、キャップ40または41が下降してサブタンク505の下面から離間し、次に前述の昇降機構によってキャリッジ2がサブタンクと共に下降して前記筐体556から離間する。この後、キャリッジ2が主走査方向へと移動し、インク交換あるいはインク補充を必要とする他の減圧室505の減圧調整口506及び吐出口502を、キャップ40または41に対向させる。そして再びキャップ40、41が上昇し、減圧調整口506及び吐出口502を密封し、その後は前述と同様に、減圧、空気導入、排出、減圧、インク導入等の工程を順次実行する。以上の動作はインク交換を必要とする各減圧室505に対して繰り返し行なわれる。
【0169】
ところで、本実施形態において設けられている4個の押圧機構560は、単一の偏心カム564が全ての押圧ピン561を同時に同量昇降させる構造となっている。このため、押圧ピン561の押圧動作に伴って導入切換機構550の切換ブロック551及び導入針553にあっても、全てが同時に押圧されることとなる。
【0170】
しかしながら、前述のように各導入針553のうち導入口508aに挿入される導入針553は一本のみであり、その他の導入針553はサブタンク本体521aの上面に形成された12個の導入針挿入用の凹部508cの中の同一列に属する3個に挿入される。この凹部508cの底面上には、適度な弾性を有するインク漏れ防止部材が設けられており、凹部508cに挿入された導入針553の下端はこのインク漏れ防止部材に圧接する。このため、導入針553の先端を破損させることなく不要なインクの漏出を防止することができる。また、導入針553が挿入されていない導入路508の導入口508aはボールバルブ509によって閉塞状態に保たれるため、導入路508内に塵埃などが混入する虞もない。
【0171】
なお、本実施形態における導入路551a,553a及び508は、インクと空気の双方が流動する共通の流路となっているが、インクと空気の導入路をそれぞれ独立した流路とすることも可能である。
【0172】
また、本実施形態では、インク液室内のインクの排出を記録ヘッド501の吐出口からインクを吐出させることによって行うようにしたが、比較的流動面積の大きなインク吐出用の流路を記録ヘッド501の吐出口とは別個に設け、ここからインクを排出させるようにすることも可能であり、これによれば、インクの排出をより迅速に行うことが可能となると共に、インク排出による吐出口の寿命低下等も防止できる。
【0173】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る記録用液体・シート内蔵容器、および、シート供給装置によれば、シート保護部材がシート押圧用開口部に対して開閉可能にケース本体部のシート収容部に配され、シート押圧用開口部を覆うのでシート収納部に収納される最下部に位置するシートも円滑かつ確実に給紙できる。
【0174】
さらに、シート分離手段が、シート収容部におけるシート排出部の端部に設けられ、シート収容部から排出されるシートを1枚ずつ分離して順次排出させ、しかも、シート分離手段としての分離面が、シート収容部に収容されるシートの剛性に応じて設定されるので各種のシートの剛性に応じた最適かつ安定したシートの分離を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシート供給装置およびそれを備える記録装置の一例が適用されたインクジェットプリンタの全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示されるプリンタの紙搬送部の要部を示す断面図である。
【図3】図1に示される例における自動給紙装置(ASF)の斜視図である。
【図4】図3に示される自動給紙装置に備えられる駆動機構の要部を示す斜視図である。
【図5】図3に示される自動給紙装置に、普通紙が装填された状態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るシート供給装置およびそれを備える記録装置の一例に用いられるインクメディアパックの外観を示す斜視図である。
【図7】図6に示されるインクメディアパックの背面側を示す斜視図である。
【図8】図6に示されるインクメディアパックのインク収納部の内部構成を示す斜視図である。
【図9】図6に示されるインクメディアパックのインク収納部が被記録媒体収納部に対し開かれた状態を示す斜視図である。
【図10】図6に示されるインクメディアパックが図3に示される自動給紙装置に装着された状態を示す斜視図である。
【図11】図10に示される状態における側面図である。
【図12】図10に示される状態において側面側から見た部分断面図である。
【図13】(A)および、(B)は、それぞれ、図6に示されるインクメディアパックにおける分離面についての動作説明に供される図である。
【図14】図1に示されるインクジェットプリンタに備えられる記録システムの全体構成を概略的に示すブロック図である。
【図15】図14に示される制御部が例えば、マイクロコンピュータにより構成された場合、実行するプログラムの説明に供されるフローチャートである。
【図16】図14に示される制御部が例えば、マイクロコンピュータにより構成された場合、実行するプログラムの説明に供されるフローチャートである。
【図17】図14に示される制御部が例えば、マイクロコンピュータにより構成された場合、実行するプログラムの説明に供されるフローチャートである。
【図18】図14に示される制御部が例えば、マイクロコンピュータにより構成された場合、実行するプログラムの説明に供されるフローチャートである。
【図19】上記プリンタのインク交換システムにおけるサブタンク、記録ヘッド及びインク空気供給機構を示す説明縦断側面図であり、記録動作中の状態を示している。
【図20】上記プリンタのインク交換システムのサブタンク、記録ヘッド及びインク空気供給機構を示す説明縦断側面図であり、サブタンクを減圧させた状態を示す図である。
【図21】上記プリンタのインク交換システムのサブタンク、記録ヘッド及びインク空気供給機構を示す説明縦断側面図であり、空気導入時の状態を示す図である。
【図22】上記プリンタのインク交換システムのサブタンク、記録ヘッド及びインク空気供給機構を示す説明縦断側面図であり、インク空気排出動作時の状態を示す図である。
【図23】上記プリンタのインク交換システムのサブタンク、記録ヘッド及びインク空気供給機構を示す説明縦断側面図であり、再度サブタンクを減圧させた状態を示している。
【図24】上記プリンタのインク交換システムのサブタンク、記録ヘッド及びインク空気供給機構を示す説明縦断側面図であり、インク導入時の状態を示している。
【図25】上記サブタンクのインク導入孔等を示す説明平面図である。
【符号の説明】
A 記録紙排出方向
1 自動給紙装置(ASF)
2 キャリッジ
2A インク導入部
4 普通紙
5 給紙ローラユニット
6 押圧ローラ
7 紙送りローラ
8 記録領域
20 インクメディアパック
21a、30a 供給部
30 普通紙インク補充ユニット
40 普通紙インク吸引キャップ
41 特殊紙インク吸引キャップ
42 回復系
102 ベース
102a ベース右側板
102b ベース左側板
102d ガイド溝
102e 導入ガイド
102f ストッパ
103 圧板
104 ローラ部
105 サイドガイド
106 分離パッド
107 分離面
150 ロックレバー
150b 突起部
210 被記録媒体収納部
210a ロック穴
211 インク収納部
212 被記録媒体ケース
212b 抜け止め部材
212c ガイドリブ
213 背面カバー
214 保護シート
215 前面開口部
217 被記録媒体
218 インクケース
218a インク室
218b ガイドボス
218d インク袋
219 インクケースカバー
220 ジョイント部
221 ジョイントバルブ
221a 押圧部
300 ホスト機器
301 MPU
302 ROM
304 送受信手段
305 入出力ポート
306 モータ駆動回路
310 コネクタ(プリンタ側)
315 スイッチ
400 コネクタ(インクメディアパック側)
401 プリント基板
501 記録ヘッド
502 吐出口
503 インク液室(インク貯留部)
503a 上半部
503b 下半部
504 インク供給路
505 減圧室
505a 導出口
505b 導出弁
505c 吸気通路
506 減圧調整口
507 減圧調整機構
507a 弁収納室
507b 減圧調整弁
507c ばね
508 導入路
508a 導入口
508b バルブ収納室
508c 凹部
509 封止機構
509a ボールバルブ
509b ばね
510 インク漏れ防止部材
520 サブタンク
521 サブタンク本体
521a 挿通孔
530 減圧切換機構
531 チューブ
532 チューブ
535 回動アーム
537 減圧切換機構
536 圧接ローラ
541 減圧口側密接部
541a 吸引孔
542 吐出口側密接部
542a 吸引孔
550 導入切換機構
551 切換ブロック
551a 導入路
552 Oリング
553 導入針
553a 導入路
554 ばね
556 筐体
556a 挿通孔
556b 挿通孔
556R 収納室
558 空気導入口
559 インク導入口
560 押圧機構
561 押圧ピン
562 頭部
563 ばね
564 偏心カム
570 インク空気導入機

Claims (8)

  1. 記録用の液体によりシートの記録面に記録動作を行う記録部に対して該シートを搬送する搬送機構形成部に着脱可能に配されるケース本体部と、
    前記ケース本体部に形成され前記シートを収容するシート収容部および前記液体を収容する液体収容部と、
    前記ケース本体部のシート収容部に形成され前記搬送機構形成部に設けられるシート押圧手段の押圧力を該シート収容部内のシートに直接的または間接的に作用させるべく、該シート押圧手段と該シート収容部内との間を連通させるシート押圧用開口部と、
    前記シート押圧用開口部に対して開閉可能に前記ケース本体部のシート収容部に配され該シート押圧用開口部を覆うシート保護部材と、を具備して構成される記録用液体・シート内蔵容器。
  2. 前記シート保護部材は、前記シート押圧用開口部に対して開閉可能に前記ケース本体部のシート収容部に支持され、該ケース本体部の装着動作に応じて自動的に閉状態から略開状態とされることを特徴とする請求項1記載の記録用液体・シート内蔵容器。
  3. 前記シート保護部材は、前記シート押圧用開口部に対して開閉可能に前記ケース本体部のシート収容部に支持され、該ケース本体部の離脱動作に応じて自動的に略開状態から閉状態とされることを特徴とする請求項1記載の記録用液体・シート内蔵容器。
  4. 記録用の液体によりシートの記録面に記録動作を行う記録部に対して該シートを搬送する搬送機構形成部に着脱可能に配され、該シートおよび該液体を収容する収容部と、該シートが該収容部から排出されるシート排出用開口部とを有する可搬式容器と、
    前記搬送機構形成部に配され前記シートを前記シート排出用開口部を通じて取出し排出する送出ローラと、
    前記可搬式容器が搬送機構形成部に装着される場合、前記送出ローラを駆動させる駆動手段と、
    前記搬送機構形成部に設けられるシート押圧手段の押圧力を該収容部内のシートに直接的または間接的に作用させるべく、該シート押圧手段と該収容部内との間を連通させるシート押圧用開口部と、
    前記シート押圧用開口部に対して開閉可能に前記可搬式容器の収容部に配され該シート押圧用開口部を覆うシート保護部材と、
    を具備して構成されるシート供給装置。
  5. 前記シート保護部材は、前記可搬式容器の収容部に対して開閉可能に支持され、該可搬式容器の装着動作に応じて自動的に閉状態から略開状態とされることを特徴とする請求項4記載のシート供給装置。
  6. 前記シート保護部材は、前記可搬式容器の収容部に前記シート押圧用開口部に対して開閉可能に支持され、該可搬式容器の離脱動作に応じて自動的に略開状態から閉状態とされることを特徴とする請求項4記載のシート供給装置。
  7. 記録用の液体によりシートの記録面に記録動作を行う記録部に対して該シートを搬送する搬送機構形成部に着脱可能に配され、該シートおよび該液体を収容する収容部と、該シートが該収容部から排出されるシート排出開口部とを有する可搬式容器と、
    前記搬送機構形成部に配され前記シートを前記シート排出用開口部を通じて取出し排出する送出ローラと、
    前記可搬式容器が搬送機構形成部に装着される場合、前記送出ローラを駆動させる駆動手段と、を備え、
    前記搬送機構形成部は、該搬送機構形成部に設けられるシート収納部内のシートを1枚ずつ分離して順次排出させるシート分離手段を有することを特徴とするシート供給装置。
  8. 前記可搬式容器が前記搬送機構形成部に装着される場合、該可搬式容器の収容部に設けられるシート分離手段によりシートが1枚ずつ分離して順次排出され、搬送機構形成部に設けられるシート収納部内にシートが装填される場合、該搬送機構形成部に設けられるシート分離手段によりシートが1枚ずつ分離して順次排出されることを特徴とする請求項7記載のシート供給装置。
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