JP3595453B2 - 単結晶引上げワイヤの巻上げ機構 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワイヤガイドでガイドされたワイヤを巻上げドラムで巻上げる構成の単結晶引上げワイヤの巻上げ機構に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
ワイヤ巻上げ機構は、単結晶引上装置のルツボの上方に配置されるのが一般的である。単結晶を吊下げたワイヤを、ワイヤガイドを通して巻上げドラムに導き、巻上げドラムで巻上げる構成になっている。ワイヤガイドは、通例、中心軸上に貫通穴を有する筒状の部材である。
【０００３】
ワイヤは、ワイヤガイドの上方で、予めワイヤに単結晶インゴットに相当するダミーインゴット等の荷重をかけ、フレーム（２１）を所定の回転数で回転させてもダミーインゴット等が揺れない位置にセンタ出しをしておく必要がある。
【０００４】
従来のワイヤ巻上げ機構では、次の２つの方法でセンタ出しが行われている。
【０００５】
第１の方法は、巻上げドラム全体の位置を調整することにより、ワイヤのセンタ出しを行う方法である。
【０００６】
第２の方法は、巻上げドラムの上方にロードセル用ガイド車を設けて、ロードセル用ガイド車からワイヤガイドにワイヤを導き、ロードセル用ガイド車の位置を調整して、ワイヤのセンタ出しを行う方法である。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
ドラム全体を動かす第１の方法では、荒調整はワイヤに荷重をかけずに行えば良いが、微調整は荷重を受けた状態で行わねばならない。このため、微調整は難しく、熟練を必要としてきた。
【０００８】
ロードセル全体を動かす第２の方法でも、微調整は荷重を受けたロードセルを移動させて行うため、第１の方法と同様に熟練を要した。
【０００９】
ワイヤのセンタ出しが不十分な場合、単結晶インゴット作製中、インゴットに揺れと曲がりが発生し歩留まり低下となる。
【００１０】
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、ワイヤのセンタ出しの微調整を正確かつ容易に行うことができる単結晶引上げワイヤの巻上げ機構を提供することを目的としている。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決手段の一つは、ワイヤガイド（１１）でガイドされた単結晶引上げワイヤ（１３）を巻上げドラム（１４）で巻上げる構成の単結晶引上げワイヤの巻上げ機構を改良して、ワイヤ（１３）のセンタ出しを行うためのセンタ出し装置（１０）を設け、センタ出し装置（１０）が少なくとも一方向に移動可能なガイド部材（１２）を有しており、このガイド部材（１２）が所定の位置まで移動してワイヤ（１３）をガイドし、巻上げドラム（１４）とワイヤガイド（１１）の間でワイヤ（１３）の軌道を所定方向にずらしてセンタ出しを行う構成にしたことを特徴とする単結晶引上げワイヤの巻上げ機構である。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明の単結晶引上げワイヤの巻上げ機構は、ワイヤのセンタ出しを行うためのセンタ出し装置を有している。そのセンタ出し装置は、少なくとも一方向に移動可能なガイド部材を備えている。このガイド部材は、所定の位置まで移動してワイヤをガイドし、巻上げドラムとワイヤガイドの間でワイヤの軌道を横方向にずらしてセンタ出しを行う。
【００１３】
ガイド部材が、支持部材に回転自在に支持されたガイド車であって、支持部材がＸ方向とＹ方向に移動可能になっていることが好ましい。
【００１４】
支持部材をＸ方向とＹ方向に移動させるＸ方向とＹ方向用のマイクロメータヘッドを設け、これらのマイクロメータヘッドによってガイド車のＸ方向位置とＹ方向位置の微調整を行うことができる。
【００１５】
支持部材が旋回軸を有し、ガイド車がその旋回軸を中心に動作位置と待機位置の間を旋回できるようにすることが好ましい。その場合、ガイド部材を待機位置に待機させた状態でワイヤ交換を行うことができる。
【００１６】
例えば、本発明による単結晶引上げワイヤ巻上げ機構においては、巻上げドラムに巻かれたワイヤがワイヤガイドを通って垂れ下げられる際、ワイヤガイドの中心にワイヤを位置合わせするため、巻上げドラムから垂れ下げられるワイヤ中心をワイヤガイドの中心より所定の寸法だけ予めずらしておき、ガイド車によってワイヤガイドのすぐ上でワイヤを反らせる。このとき、ワイヤガイドの中心にワイヤを位置合わせするためにガイド車をＸ方向とＹ方向に微調整するのが、前述のマイクロメーターヘッドである。ガイド車は、ワイヤ交換時等に容易に旋回移動でき、ガイドユニット毎に取り外し可能になっており、取付けは位置決めピンにていつも同じ位置に取付けられる構造になっているのが好ましい。
【００１７】
【実施例】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【００１８】
図１は、本発明の単結晶引上げワイヤの巻上げ機構の一実施例を示す側面図である。図中、フレームのみが断面で示されている。図２は、図１の巻上げ機構の上面図である。
【００１９】
ワイヤ巻上げ機構１は、単結晶引上げ装置のルツボ（図示せず）の上方に配置され、単結晶を吊下げたワイヤ１３を巻上げドラム１４で巻上げるものである。
【００２０】
ワイヤ巻上げ機構１は、フレーム２１上に設定され、巻上げドラム１４、その駆動部（図示せず）、ワイヤガイド１１、センタ出し装置１０から構成される。
【００２１】
フレーム２１は、単結晶引上げ装置と固定関係に配置されている。
【００２２】
フレーム中央の縦方向の貫通穴には、ワイヤガイド１１が挿入されている。ワイヤガイド１１は、ワイヤ通し穴を有する円筒状の部材であり、ルツボの真上に配置される。
【００２３】
ワイヤガイド１１の上方には、巻上げドラム１４とその駆動部が配置されている。巻上げドラム１４は、図１に示すように、ワイヤガイド１１の貫通穴の延長線上から所定距離ａだけ横方向にずらして配置されている。
【００２４】
ベース２１の上には、センタ出し装置１０が配置されている。センタ出し装置１０は、巻上げドラム１４とワイヤガイド１１の間で、ワイヤ１３の軌道を横方向にずらしてセンタ出しを行うものである。
【００２５】
センタ出し装置１０はユニット化されており、そのユニットベース２２がフレーム２１上に設置されている。ユニットベース２２は、２本のピン１７により、フレーム２１の所定位置に位置決めされる。従って、センタ出し装置１０は、取付け時の位置決めを正確かつ容易に行うことができる。
【００２６】
ユニットベース２２には、Ｘテーブル２７がＸ方向に移動可能にガイドされている。Ｘテーブル２７は、アリ溝式にガイドされている。Ｘテーブル２７は、ネジ式の固定手段でユニットベース２２に固定可能である。
【００２７】
Ｘテーブル２７では、Ｙテーブル２４がＹ方向に移動可能に案内されている。Ｙテーブル２４も、同様に、アリ溝式に案内されている。そして、Ｙ方向の位置決めが済んだら、ネジ式の固定手段でＸテーブル２７に固定できるようになっている。
【００２８】
ユニットベース２２には、Ｘ方向用とＹ方向用のマイクロメータヘッド１５、１６が、それぞれ取付け部２３を介して設定されている。これらのマイクロメータヘッド１５、１６は、Ｘテーブル２７とＹテーブル２４のＸ方向位置とＹ方向位置を微調整するためのものである。
【００２９】
Ｙ方向用のマイクロメータヘッド１６は、Ｘテーブル２７の上に設定しても良い。
【００３０】
Ｙテーブル２４の上には、支持部材２５が、旋回軸１９を中心に旋回可能に配置されている。支持部材２５は、ボルトその他の固定部材２６によってＹテーブル２４に固定可能である。
【００３１】
支持部材２５の先端部には、ガイド車１２が回転自在に取付けられている。ガイド車１２の周面中央には、ワイヤ１３をガイドするための溝が形成されている。
【００３２】
巻上げドラム１４から垂らされたワイヤ１３は、例えばＸ方向に距離ａだけずれている。このズレを、センタ出し装置１０のガイド車１２によって、Ｘ方向に距離ａだけ強制的に押し出すようにして補正する。
【００３３】
ガイド車１２のＸ方向の微調整は、Ｘ方向用のマイクロメータヘッド１５で行う。また、ガイド車１２のＹ方向の微調整は、Ｙ方向用のマイクロメータヘッド１６で行う。
【００３４】
このように簡単な操作で、巻上げドラム１４から垂らされたワイヤ１３は、ワイヤガイド１１の貫通穴に厳密に整列させることができる。
【００３５】
一方、ワイヤ交換時には、固定部材２６による固定を解除し、支持部材２５を待機位置（図１の一点鎖線）まで旋回させて、邪魔にならないようにする。
【００３６】
なお、本発明は前述の実施例に限定されない。例えば、前記実施例におけるセンタ出し装置は、ガイド車でワイヤを押すタイプであったが、引き戻すタイプにすることもできる。また、ガイド部材は、２個のローラを組合わせたものでも良い。
【００３７】
さらに、マイクロメータヘッドの代わりに、デジタル変位計を取付けて、ワイヤのＸ方向と、Ｙ方向の座標を読み取るようしても良い。
【００３８】
また、Ｘ方向と、Ｙ方向の微調整をアクチュエータの遠隔操作で行い、ワイヤーに単結晶インゴットに相当するダミーインゴットを吊し、フレーム２１を回転させることによってダミーインゴットを実際の引上げと同じ回転数で回転させながらダミーインゴットが揺れなくなる位置にガイド部材を移動させることによって、自動的にワイヤのセンタ出しを行うことも可能である。
【００３９】
【発明の効果】
本発明の単結晶引上げワイヤの巻上げ機構によれば、センタ出し装置のガイド部材により、巻上げドラムとワイヤガイドの間でワイヤの軌道を所定方向にずらしてセンタ出しを行うため、ワイヤのセンタ出しを比較的小さな力で容易に行うことができる。それゆえ、正確なセンタ出しが可能である。
【００４０】
また、マイクロメータヘッドを設けてＸ方向及びＹ方向の微調整を行うようにすれば、ワイヤのセンタ出しを、さらに容易にかつ正確に行うことができる。
【００４１】
このように、センタ出しを正確に行うことによって、単結晶インゴットの揺れと曲がりを解消でき、その結果、歩留まりを大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の単結晶引上げワイヤの巻上げ機構の一実施例を示す側面図であり、図中、フレームのみが断面で示されている。
【図２】図１の巻上げ機構を示す上面図。
【符号の説明】
１ ワイヤ巻上げ機構
１０ センタ出し装置
１１ ワイヤガイド
１２ ガイド部材
１３ ワイヤ
１４ 巻上げドラム
１５、１６ マイクロメータヘッド
２５ 支持部材

Claims (4)

1. ワイヤガイド（１１）でガイドされた単結晶引上げワイヤ（１３）を巻上げドラム（１４）で巻上げる構成の単結晶引上げワイヤの巻上げ機構において、ワイヤ（１３）のセンタ出しを行うためのセンタ出し装置（１０）を設け、センタ出し装置（１０）が少なくとも一方向に移動可能なガイド部材（１２）を有しており、このガイド部材（１２）が所定の位置まで移動してワイヤ（１３）をガイドし、巻上げドラム（１４）とワイヤガイド（１１）の間でワイヤ（１３）の軌道を所定方向にずらしてセンタ出しを行う構成にしたことを特徴とする単結晶引上げワイヤの巻上げ機構。
2. ガイド部材（１２）が、支持部材（２５）に回転自在に支持されたガイド車（１２）として構成されていて、支持部材（２５）がＸ方向とＹ方向に移動可能になっていることを特徴とする請求項１に記載の単結晶引上げワイヤの巻上げ機構。
3. 支持部材（２５）をＸ方向とＹ方向に移動させるＸ方向とＹ方向用のマイクロメータヘッド（１５、１６）を設け、これらのマイクロメータヘッド（１５、１６）によってガイド車のＸ方向位置の微調整とＹ方向位置の微調整を行う構成にしたことを特徴とする請求項２に記載の単結晶引上げワイヤの巻上げ機構。
4. 支持部材（２５）が旋回軸（１９）を有し、ガイド車（１２）がその旋回軸（１９）を中心に動作位置と待機位置の間を旋回可能になっていることを特徴とする請求項２又は３に記載の単結晶引上げワイヤの巻上げ機構。

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