JP3594633B2 - 油圧駆動装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータから排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成された流量調整機構を、アクチュエータを正逆両方向に駆動制御できるように二組備えた油圧駆動装置について、これらのポペット弁を有効活用できるように改良を加えた発明であって、特に、油圧ショベルや油圧クレーンのような建設機械の油圧駆動装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータから排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成された流量調整機構を、アクチュエータを正逆両方向に駆動制御できるように二組備えた油圧駆動装置が知られている。本発明は、このような油圧駆動装置を改良したものであるので、その技術内容を図7及び図8に基づいて説明する。図7は、従来の油圧駆動装置に用いられているポペット弁単体の断面図、図8は従来の油圧駆動装置に関する油圧回路図である。
【0003】
図7において、aはポペット弁の弁本体、bはこのポペット弁本体aに形成された流入ポート、cは同じくポペット弁本体aに形成された流出ポート、dはこれら流入ポートbと流出ポートcとの連通路を開閉するように設けられ開口量を調節するように変位するシート弁としての主弁、eはこの主弁dに設けられた可変絞りを形成するためのスリット、fはこのスリットeを介して流入ポートと連通する背圧室である。gはパイロット圧により変位して開口量を調節し得るパイロット弁、hはこのパイロット弁gを内蔵するサブケーシング、iはこのサブケーシングh内に設けられパイロット弁gに閉方向の制御力を付与するバネ、jはパイロット圧を導いてパイロット弁gに開方向の制御力を付与するためのパイロット圧導入ポート、kは流入ポートaから背圧室fに導かれた圧油をパイロット弁gのポートを通じて流出ポートcに導くための補助通路である。
【0004】
図7のポペット弁は、このような構成を備えているから、後述のパイロット操作装置14等の操作手段を操作して所定の値のパイロット圧をパイロット圧導入ポートjを通じてパイロット弁gに導くと、そのパイロット圧は、バネiの力に抗してパイロット弁gに開方向の制御力を付与し,そのバネiの力がそのパイロット圧と平衡するまで同スプールgを変位させてその開口量を調節する。このような状態において、流入ポートbから圧油が供給されると、流入ポートbからスリットeを介して背圧室fに至る圧油の流れが生じ、その背圧室fの圧油は、パイロット弁gの開口量により流量が調節されて、補助通路kを介して流出ポートcへ導かれる。その場合に、そのスリットeを通過する圧油の通過流量と背圧室fから補助通路kを介して流出ポートcへ導かれる圧油の流量とのバランスにより主弁dの変位(移動量)を制御することができる。したがって、パイロット弁gをパイロット圧の値により制御することにより、主弁dの変位を制御して流入ポートbから流出ポートcに流れる圧油の流量を制御することができる。
【0005】
図8は、このような構造のポペット弁で構成された流量調整機構を有する油圧駆動装置について、従来のものに関する油圧回路の一例を示したものである。その構成を説明すると、図8において、1はアクチュエータを駆動するための圧油を発生するアクチュエータ駆動用の油圧ポンプ、2は図7のような構造のポペット弁を4個組み合わせて構成した流量調整機構ユニット、3はアクチュエータ、4は油圧ポンプ1の圧油を流量調整機構ユニット2を通じてアクチュエータ3へ供給するための主管路、5は流量調整機構ユニットへ送られた圧油をタンクへ戻すための戻り管路,6,7は流量調整機構ユニット2で流量が調節された圧油をその一方を通じてアクチュエータ3へ供給し他方を通じてアクチュエータ3から排出するための負荷管路、8,9はこの各負荷管路6,7にそれぞれ設けられパイロット圧により開放されるオペレートチェック弁、10,11はチェック弁、12はアクチュエータ3の過負荷時に油圧ポンプで発生する圧油の一部をタンクへ逃してその圧油の最高圧力を制限する圧力制御弁としてのオーバロードリリーフ弁、13はパイロット圧発生源としてのパイロットポンプ、14はこのパイロットポンプ13の圧油が導かれ操作レバー14aを矢印A又は矢印B方向に操作することによりパイロット圧を出力するパイロット操作装置、15,16はこのパイロット操作装置14が出力するパイロット圧を導くパイロット主管路である。パイロット操作装置14は、その操作レバー14を矢印A方向又は矢印B方向に操作することによりバネ14b,14cを介して減圧弁14d又は減圧弁14eを作動させ、その一方の減圧弁を通じてパイロット管路15又はパイロット管路16にパイロット圧を出力する。また、操作レバー14aの操作によりバネ14b,14cを介して各減圧弁14d,14eの制御部に作用する操作力に応じて、同弁の二次圧を設定するようにされているため、各パイロット管路15,16に出力するパイロット圧をその操作レバー14aの操作量により調節でき、所望の値のパイロット圧を出力することができるようになっている。この点を数式をもって表すと次のようになり、操作レバー14aの操作により出力されるパイロット圧Pi は、(1)式で表すことができる。
【0006】
A・Pi =Fin=kx
Pi =Fin/A ‥‥‥(1)
A;減圧弁14d,14eの制御部の受圧面積
Fin;減圧弁14b,14cの制御部に作用する操作力
k;バネ14b,14cのバネ定数
x;操作力を付与することにより生じるバネ14b,14cのたわみ
従来の装置の構成を更に説明すると、21a,21b,22a,22bは図7で説明したと同じ構造のポペット弁で、ポペット弁21a,21bは、一次側が分岐路を介してそれぞれ主管路4に接続されるとともに二次側がアクチュエータ3を正逆反対方向に駆動できるようにその給排ポートに接続され、ポペット弁22a,22bは、一次側がアクチュエータ3の給排ポートに接続されるとともに二次側が戻り管路5に接続される。したがって、流量調整機構ユニット2は、メータイン要素としてポペット弁21a,21bを備え、メータアウト要素としてポペット弁22a,22bを備えたこれら4個のポペット弁で構成される。23はパイロット主管路15のパイロット圧をポペット弁21aに導くパイロット枝管路、23aはこのパイロット枝管路23のパイロット圧をオペレートチェック弁9のパイロット圧受部に導くパイロット支管路、24はパイロット主管路15のパイロット圧をポペット弁22aのパイロット圧受部に導くパイロット枝管路、25はパイロット主管路16のパイロット圧をポペット弁21bに導くパイロット枝管路,25aはこのパイロット枝管路25のパイロット圧をオペレートチェック弁8のパイロット圧受部に導くパイロット支管路,26はパイロット主管路16のパイロット圧をポペット弁22bのパイロット圧受部に導くパイロット枝管路である。
【0007】
従来の油圧駆動装置は、このような構成を備えているので、いま、オペレータが操作レバー14aを矢印A方向に操作すると、この操作レバー14aの操作量に応じて所定の値のパイロット圧がパイロット管路15に出力され、そのパイロット圧は、各枝管路23,24を通じてそれぞれ各ポペット弁21a,22aのパイロット圧受部に導かれるとともに、支管路23aを通じてオペレートチェック弁9のパイロット圧受部に導かれる。そうすると、ポペット弁21a及びポペット弁22aは、そのパイロット圧の値に応じて、所定の開口量だけ開口して、油圧ポンプ1からアクチュエータ3へ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータ3からタンクへ排出する圧油の排出流量を調節するように開作動するとともに、オペレートチェック弁9は、アクチュエータ3からタンクへ圧油を排出できるように開作動する。その結果、油圧ポンプ1の圧油は、主管路4、ポペット弁21a,負荷管路6を通じてアクチュエータ3に供給されるとともに、アクチュエータ3内の圧油は、負荷管路7、オペレートチェック弁9、ポペット弁22a、戻り管路5を通じてタンクへ戻され、アクチュエータ3を所定の速度で正方向に駆動する。また、オペレータが操作レバー14aを矢印B方向に操作すると、そのパイロット圧は、各枝管路25,26を通じてそれぞれ各ポペット弁21b,22bのパイロット圧受部に導かれるとともに、支管路25aを通じてオペレートチェック弁8のパイロット圧受部に導かれる。そうすると、前記と同様にして、油圧ポンプ1の圧油は、主管路4、ポペット弁21b,負荷管路7を通じてアクチュエータ3に供給されるとともに、アクチュエータ3内の圧油は、負荷管路6、オペレートチェック弁8、ポペット弁22b、戻り管路5を通じてタンクへ戻され、アクチュエータ3を所定の速度で今度は逆方向に駆動する。
【0008】
以上の説明から明らかなように、従来の装置においては、ポペット弁21a,21bがメータイン要素として供給流量調節用の弁となり、ポペット弁22a,22bがメータアウト要素として排出流量調節用の弁となる。そして、これらの弁のうち、同時操作される一対の供給流量調節用のポペット弁21a及び排出流量調節用のポペット弁22aが互いに協働してアクチュエータ3を正方向に駆動する流量調整機構を構成するとともに、同時操作される一対の供給流量調節用のポペット弁21b及び排出流量調節用のポペット弁22bが互いに協働してアクチュエータ3を逆方向に駆動する流量調整機構を構成し、これら両流量調節機構の何れかを選択的に操作することにより、アクチュエータを正逆所望の方向に駆動し得るようにされている。それゆえ、このようにして構成された流量調整機構は、流量調節機能を有する方向切換弁と同等の機能を果たすことができ、しかも、同一構造の4個のポペット弁21a,22a,21b,22bを用いて構成できることから、少品種大量生産が可能となり、生産効率の点で好ましいものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような同一構造の4個のポペット弁による流量調整機構を備えた従来の油圧駆動装置にあっては、生産効率の点では好ましいものであるが、各流量調整機構が互いに役割分担して他と独立して作動するように設計されていて、その一方が操作されているときには、他方のもののポペット弁を総て作動させないようにするという設計思想のもとに構成されているため、同一構造のポペット弁を4個も使用したものでありながら、2個のポペット弁は常に遊んでいて、使用部品の有効な活用を図るという点で問題のあることを見出した。
【0010】
一方、油圧作業機においては、その油圧駆動装置をオペレータにとって操作感覚の優れたものにすること、すなわち操作性の向上を図ることが最近の重要なテーマであるが、前記の従来の油圧駆動装置においても、このような操作性の向上の観点から改善すべきことが種々考えられる。
【0011】
油圧ショベルを例にしてこの点について言及すると、油圧ショベルにおいては、アクチュエータとして、掘削装置を構成するブーム、アーム及びバケットやその掘削装置を旋回するための旋回用油圧モータ、更にはこれらの装置を搭載した自走車体を駆動するための走行用油圧モータが設けられているが、これらのアクチュエータは、何れも大きな慣性負荷を駆動するものであるため、これに起因してその始動時に一つの問題が生じる。すなわち、操作レバーを所望の量だけ操作してこのようなアクチュエータを始動した場合、その操作量に応じて流量供給用ポペット弁が所要の量の圧油をアクチュエータに供給するが、アクチュエータは、大きい慣性負荷のため、すぐには始動できず、その当然の結果として、圧油はアクチュエータへ流入できない。その結果、負荷管路内の圧力は、オーバロードリリーフ弁の設定圧を超えるまでに急激に上昇し、しかる後、アクチュエータが始動するが、このアクチュエータは、一旦始動すると、その急激な圧力上昇により急激に加速され、一瞬飛び出すような感じになる。このような始動時における現象は、操作レバーの操作量の大小に関係なく微操作時にも発生するため、特に、精度の高い作業を行う場合等微操作性の要求される作業をする場合にオペレータの操作感覚を損ない不都合である。また、油圧ショベルにおいては、一つのアクチュエータが多様な作業に関与し、例えば、旋回用油圧モータにあっては、単なる旋回の目的で駆動する場合だけではなく、押し付け掘削等それ以外の目的で駆動する場合にも微操作性が要求されるため、始動時にこのような現象が発生すると、各種の作業に支障が生じる。その押し付け掘削について述べると、押し付け掘削は、旋回用油圧モータの旋回力を利用して掘削機を地山に押しつけながら側溝掘り等の作業をするものであるから、これを実施する場合にこのような現象が生じると、その旋回力の調節が容易にできず、すでに掘削した溝や穴をつぶしてしまう結果をもたらし、その作業を円滑に行えなくなる。
【0012】
さらに、微操作性の向上を図るためには、操作レバーの操作量に対するアクチュエータの駆動速度を押さえるようにし、これにより微操作の行える操作領域を広げるようにすることも必要であるが、作業の効率を優先した標準作業中心の従来の油圧駆動装置では、このような点に対する配慮が欠けており、この点でも改善すべき余地がある。
【0013】
以上述べたように、多数のポペット弁で構成された流量調製装置を備えた従来の油圧駆動装置においては、使用部品の有効な活用を図るという点で問題のある一方、操作性の向上の観点から改善すべき余地があることに鑑み、本発明は、このような流量調整機構を備えた油圧駆動装置において、その流量調整機構を構成する使用部品の有効な活用を図りつつ、アクチュエータの操作性の向上に資する油圧駆動装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、「操作手段により同時操作されて油圧ポンプからアクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータからタンクへ排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成され、アクチュエータを正方向に駆動するように設けられた流量調整機構と、操作手段により同時操作されて油圧ポンプからアクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータからタンクへ排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成され、アクチュエータを逆方向に駆動するように設けられた流量調整機構とを備え、これら両流量調節機構の何れかを選択的に操作してアクチュエータを正逆所望の方向に駆動し得るようにした油圧駆動装置」において、前記の目的を達成するため、第1の油圧駆動装置については、次の1)のように構成し、第2の油圧駆動装置については、次の2)のように構成した。
1)一方の流量調整機構の操作時の操作量に応じて二次圧を低下させてこの二次圧をパイロット圧として出力する減圧弁を設けて、他方の流量調節機構のうちの排出流量調節用ポペット弁をこのパイロット圧により作動させてその開口量を制御し得るようにするとともに、一方の流量調整機構の操作時に、この流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁の二次側に、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁によりブリードオフ回路が形成されるようにし、これにより、アクチュエータへの圧油の供給流量がブリードオフ制御され得るように構成した。
2)一方の流量調整機構の操作時の操作量に応じて閉方向の制御力を設定、付与されるとともにアクチュエーターへ供給される油圧により開方向の制御力を付与されて開閉するパイロットリリーフ弁を設けて、他方の流量調節機構のうちの排出流量調節用ポペット弁の背圧室内の背圧をこのパイロットリリーフ弁の開閉により逃がしたり保持したりしてその排出流量調節用ポペット弁の開口量をオンオフ制御し得るようにするとともに、一方の流量調整機構の操作時に、この流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁の二次側に、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁によりブリードオフ回路が形成されるようにし、これにより、アクチュエータへの圧油の供給流量がブリードオフ制御され得るように構成した。
【0015】
【作用】
本発明の第1の油圧駆動装置及び第2の油圧駆動装置は、それぞれ前記1)及び2)のように構成しているので、一方の流量調整機構を操作すると、何れの油圧駆動装置も、一方の流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁がアクチュエータへの圧油の供給流量及びアクチュエータからの圧油の排出流量をそれぞれ調節し、その際、一方の流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁の二次側に、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁によりブリードオフ回路を形成する。すなわち、第1の油圧駆動装置では、減圧弁が一方の流量調整機構の操作時の操作量に応じて二次圧を低下させてこの二次圧をパイロット圧として出力し、このパイロット圧により他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁を作動させて、この排出流量調節用ポペット弁により一方の流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁の二次側にブリードオフ回路を形成する。
また、第2の油圧駆動装置では、パイロットリリーフ弁が一方の流量調整機構の操作時の操作量に応じて閉方向の制御力を設定、付与されるとともにアクチュエーターへ供給される油圧により開方向の制御力を付与されて開閉し、このパイロットリリーフ弁の開閉により、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁の背圧室内の背圧を逃がしたり保持したりしてこの排出流量調節用ポペット弁の開口量をオンオフ制御して、この排出流量調節用ポペット弁により一方の流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁の二次側にブリードオフ回路を形成する。本発明の第1の油圧駆動装置及び第2の油圧駆動装置は、こうした仕組みによりアクチュエータへの圧油の供給流量を、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁を介してそれぞれ減圧弁及びパイロットリリーフ弁によりブリードオフ制御して、アクチュエータの駆動速度を、予め設定された低い速度水準に押さえるように調整することができるので、流量調整機構を構成する使用部品の有効な活用を図りつつ、アクチュエータの操作性の向上に資することができる。
【0016】
【実施例】
まず、図1に基づいて後述する本発明の実施例の概要を説明する。図1は本発明の実施例の概要を説明するための油圧駆動装置に関する要部の油圧回路図である。図1において図8と同一の符号を付けた部分は、同図と同等の部分を表すので、説明の重複を避けるため詳述しない。
【0017】
図1の油圧駆動装置は、図8の油圧駆動装置と同様、操作レバー14aの矢印A方向の操作により同時操作される一対の供給流量調節用ポペット弁21a及び排出流量調節用ポペット弁22aで構成され、アクチュエータを正方向に駆動する流量調整弁機構と、操作レバー14aの矢印B方向の操作により同時操作される一対の供給流量調節用ポペット弁21b及び排出流量調節用ポペット弁22bで構成され、アクチュエータ3を逆方向に駆動する流量調整弁機構とを備え、これら両流量調節機構の何れかを操作レバー14aにより選択的に操作することにより、アクチュエータ3を正逆所望の方向に駆動し得るようにされている。
【0018】
従来の油圧駆動装置においては、前述のように、アクチュエータ3を正方向、逆方向に駆動するこれら両流量調整機構が互いに独立して作動するように設計されていて、その一方が操作されているときに他方のもののポペット弁を総て作動させないようにするという設計思想のもとに構成されていたが、本発明においては、このような既成の発想を転換し、一方の流量調整機構の操作時に他方の流量調節機構のうちの排出流量調節用ポペット弁を流量調整のために活用して操作性の向上に資するようにした。そのため、一方の流量調整機構の操作時、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁を作動させてその開口量を制御するための制御機構を設けるとともに、その供給流量調節用ポペット弁の二次側に、前記排出流量調節用ポペット弁によりブリードオフ回路が形成されるようにし、アクチュエータ3への圧油の供給流量がその制御機構によりブリードオフ制御され得るようにした。
【0019】
このような技術内容を具体化するため、第1の実施例では、一方の流量調整機構の操作時、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bも作動させてその開口量を制御できるように、パイロット枝管路24,26を通じて他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bのパイロット圧受部に対して減圧して調整されたパイロット圧を出力するようにしている。そのため、同実施例では、一方の流量調整機構を操作するためのパイロット圧により二次圧が設定される減圧弁を設け、その二次圧がパイロット圧としてパイロット枝管路24,26から他方の流量調整機構の排出流量調節弁22a,22bのパイロット圧受部に入力されるようすることにより、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bの開口量が操作レバー14aの操作量に対応して適切に制御されるようにしている。
【0020】
第2の実施例では、一方の流量調整機構の操作時、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bも作動させてその開口量を制御できるように、その排出流量調節用ポペット弁22a,22bの背圧室の圧油を適宜タンクへ逃がすための排出管路33a,33bを新たに設け、負荷管路7,6の油圧が一方の流量調整機構を操作するためのパイロット圧により設定されるリリーフ設定圧を超えたときに、背圧室の背圧を、この排出管路33a,33bを通じてタンクへ逃がすようにし、その結果、そのリリーフ設定圧にまで低下したときには、その背圧を保持するようにして、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bの開口量をオンオフ制御できるようにしている。そのため、同実施例では、一方の流量調整機構を操作するためのパイロット圧により前記リリーフ設定圧を設定するためのパイロットリリーフ弁をこの排出管路33a,33bに設けて、このパイロットリリーフ弁の開閉により他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bが背圧室内の背圧を逃がされたり保持されたりして開口量をオンオフ制御され得るようにし、これにより、供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側の油圧を適宜タンクへ逃がして、その二次側の油圧すなわち負荷管路7,6のアクチュエータ負荷圧が操作レバー14aの操作量に対応して適切に制御されるようにしている。
【0021】
第1の実施例、第2の実施例においては、以上述べたような、一方の流量調整機構の操作時、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bも作動させてその開口量を制御できるようにするための制御機構を設けるほか、この排出流量調節用ポペット弁22a,22bによりブリードオフ回路が形成されるように、この各ポペット弁22a,22bの一次側をそれぞれ各供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側に接続している。本発明の実施例では、このような構成により、一方の流量調整機構の操作時に他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁を活用してアクチュエータへの圧油の供給流量をブリードオフ制御することができるようにしている。
【0022】
以上概説した第1の実施例及び第2の実施例においては、その何れも、一方の流量調整機構を操作するためのパイロット圧と関連して、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁の開口量を制御するようにしているが、このような制御機構に代えて、流量調整機構の各ポペット弁の開口量を制御するためのコントローラを設け、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁の開口量を、作業内容等に応じて最適なものにするように、コントローラからの電気信号により制御することもできる。以上の説明から明らかなように、本発明の油圧駆動装置を具体化する場合、要は、一方の流量調整機構の操作時に、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁も活用してアクチュエータへの圧油の供給流量をブリードオフ制御することができるように構成されればよく、その態様は、油圧作業機の種類やその作業機で行う作業内容等に応じて適宜選択すべき、設計上の選択事項である。
【0023】
そこで、図2乃至図6に基づいて本発明の実施例を詳述する。図2は本発明の第1の実施例の油圧駆動装置に関する油圧回路図、図3は操作装置の操作により出力されるパイロット圧とブリードオフ制御用パイロット圧との関係を示した第1の実施例に関する特性線図、図4は操作装置の操作により出力されるパイロット圧とブリードオフ回路の形成に兼用されるポペット弁との関係を示した第1の実施例に関する特性線図、図5は本発明の第2の実施例の油圧駆動装置に関する油圧回路図、図6は操作装置の操作により出力されるパイロット圧とブリードオフ制御用のリリーフ弁との関係を示した第2の実施例に関する特性線図である。図2及び図5において図8と同一の符号を付けた部分は、同図と同等の部分を表すので、説明の重複を避けるため詳述しない。なお、この図2及び図5の油圧回路図は、何れも油圧駆動装置が操縦されていない状態を図示したものである。
【0024】
まず、図2乃至図4に基づいて本発明の第1の実施例について説明すると、図2において、50は一方の流量調整機構の操作時に他方の流量調節機構のうちの排出流量調節用ポペット弁を作動させてその開口量を制御し得るようにするための制御機構で、この制御機構によりアクチュエータ3への圧油の供給流量がブリードオフ制御され得るようにする。51a,51bは一次側からパイロットポンプ13で発生した油圧が導かれこの油圧を減圧して調整したパイロット圧を二次側へ出力する減圧弁、52a,52bは排出流量調節用ポペット弁22b,22aのパイロット受部にパイロット圧を導くパイロット管路を切り換えるためのパイロット管路切換用の切換弁であり、制御機構50は、これら減圧弁51a,51b、切換弁52a,52bと、これらの弁に付随する以下に述べる構成要素とからなる。53はパイロット主管路15のパイロット圧を減圧弁51aのパイロット圧受部に導き同弁51aに対して閉方向の制御力を付与するパイロット枝管路、54は減圧弁51aの二次圧をそのパイロット圧受部に導き同様の制御力を付与するパイロット二次圧管路、55は減圧弁51aの初期設定圧を設定するためそのパイロット受部に初期付勢力を付与して開方向の制御力を付与するバネ、56は減圧弁51aで減圧されたパイロットポンプ13からの圧油すなわち減圧弁51aの二次側の圧油を切換弁52aに導くパイロット副管路、57はパイロット主管路16のパイロット圧を切換弁52aに導くパイロット枝管路、58はパイロット主管路15のパイロット圧を切換弁52aのパイロット圧受部に導くパイロット枝管路である。減圧弁51aは、操作レバー14aを矢印A方向へ操作したとき、パイロット枝管路53とパイロット二次圧管路54の双方のパイロット圧がバネ55の付勢力に対抗してパイロットポンプ13から導かれた油圧を減圧するようにパイロット圧受部に作用し、パイロット枝管路53のパイロット圧がパイロット圧受部に作用していないとき、パイロットポンプ13からの圧油をタンクへ逃がす。また、切換弁52aは、操作レバー14aを矢印A方向へ操作したとき、パイロット主管路15のパイロット圧がパイロット枝管路58を通じてパイロット圧受部に入力されて、パイロット副管路56の圧油をパイロット枝管路26に導くように油路が切り換えられ、そのパイロット圧が入力されないときにパイロット枝管路57のパイロット圧をパイロット枝管路26に導くように油路が切り換えられる。
【0025】
59は各パイロット主管路16のパイロット圧を減圧弁51bのパイロット圧受部に導き減圧弁51aと同様の制御力を付与するパイロット枝管路、60は減圧弁51bの二次圧をそのパイロット圧受部に導く、パイロット二次圧管路54と同様のパイロット二次圧管路、61は減圧弁51bのパイロット受部に初期付勢力を付与する、バネ55と同様のバネ、62は減圧弁51bの二次側の圧油を切換弁52bに導く、パイロット副管路56と同様のパイロット副管路、63はパイロット主管路15のパイロット圧を切換弁52bに導く、パイロット枝管路57と同様のパイロット枝管路、64はパイロット主管路16のパイロット圧を切換弁52bのパイロット圧受部に導く、パイロット枝管路58と同様のパイロット枝管路である。減圧弁51bは、操作レバー14aを矢印B方向へ操作したとき、パイロット枝管路59とパイロット二次圧管路60の双方のパイロット圧がバネ61の付勢力に対抗してパイロットポンプ13から導かれた油圧を減圧するようにパイロット圧受部に作用し、減圧弁51aと同様の作動をする。また、切換弁52bは、切換弁52aと同様、操作レバー14aを矢印B方向へ操作したとき、パイロット主管路16のパイロット圧がパイロット枝管路64を通じてパイロット圧受部に入力されて、パイロット副管路62の圧油をパイロット枝管路24に導くように油路が切り換えられ、そのパイロット圧が入力されないときにパイロット枝管路63のパイロット圧をパイロット枝管路24に導くように油路が切り換えられる。これらの説明から明らかなように、パイロット枝管路24,26は、図2の従来の装置では操作レバー14aの操作によりパイロット操作装置14の減圧弁14d,14eから出力するパイロット圧をパイロット主管路15,16から排出流量調節用ポペット弁22a,22bのパイロット圧受部に導くだけの役割をしていたが、本実施例では、このように、切換弁52b,52aを設けてパイロット枝管路64,58からのパイロット圧によりその油路を切り換えられるようにしたため、減圧弁51b,51aで発生する二次圧をパイロット圧としてパイロット副管路62,56から排出流量調節用ポペット弁22a,22bのパイロット圧受部に導く役割もする。
【0026】
そこで、この減圧弁51a,51bで発生する二次圧Poと操作レバー14aの操作により出力されるパイロット圧Pi との関係を数式をもって表すと次のようになり、減圧弁51a,51bで発生する二次圧Poは、(2)式で表すことができる。
【0027】
A(Pi +Po)=k(x+x0)≒f0
∴ Po=f0 /A−Pi ‥‥‥‥‥‥(2)
A;減圧弁51a,51bのパイロット受部の受圧面積
k;ばね55,61のバネ定数
x;制御力を付与することにより生じるバネ55,61のたわみ
x0;初期設定時のバネ55,61のたわみ
f0;バネ55,61の初期付勢力
ここで、例えば、前(2)式におけるf0 /Aが操作レバー14aの操作により出力され得るパイロット圧Pi の最大値Pimaxと等しくなるようにバネ55,61の初期付勢力f0を初期設定したとすると、減圧弁51a,51bで発生する二次圧Poは、(3)式で表すことができる。
【0028】
Po=Pimax−Pi ‥‥‥(3)
この(3)式から明らかなように、バネ55,61の初期付勢力f0をPimaxと等しくなるように初期設定したとすると、減圧弁51a,51bで発生する二次圧Poは、操作レバー14aの操作量に応じて0〜Pimaxの範囲の値に制御され、操作レバー14aの操作により出力されるパイロット圧Pi が大きくなると、その分減少することとなる。なお、減圧弁51a,51bの初期設定圧は、バネ55,61の初期付勢力f0を調節することにより任意に設定できるから、操作レバー14aの操作量に応じて発生する二次圧Poの値は、バネ55,61の初期付勢力f0を調節することにより任意に選択することができる。
【0029】
本発明の第1実施例の油圧駆動装置は、以上のような構成を備えているので、いま、操作レバー14aを矢印A方向に操作したとすると、その操作レバー14aの操作量に応じた所定値のパイロット圧がパイロット主管路15に出力され、このパイロット圧は、パイロット枝管路23を通じて供給流量調節用ポペット弁21aのパイロット受部へ、また、パイロット枝管路23及びパイロット支管路23aを通じてオペレートチェック弁9のパイロット受部へそれぞれ導かれるとともに、パイロット枝管路63、切換弁52b、パイロット枝管路24を通じて排出流量調節用ポペット弁22aのパイロット受部に導かれる。同時に、パイロット主管路15に出力された所定値のパイロット圧は、パイロット枝管路53を通じて減圧弁51aのパイロット受部に導かれるとともに、パイロット枝管路58を通じて切換弁52aのパイロット受部に導かれ、減圧弁51aは、パイロット受部に導かれたパイロット圧により調整されたパイロット圧をパイロット副管路56に出力するとともに、このパイロット圧をパイロット枝管路26を通じて排出流量調節用ポペット弁22bに導くことのできるように切換弁52aを切り換える。本実施例の装置は、操作レバー14aを矢印A方向に操作したときにこのような作動をする結果、供給流量調節用ポペット弁21a及び排出流量調節用ポペット弁22aは、操作装置14から出力するパイロット圧の値に応じて所定の開口量だけ開口してアクチュエータ3への圧油の供給流量及びアクチュエータ3からの排出流量をそれぞれ調節し、その際、排出流量調節用ポペット弁22bは、減圧弁51aから出力するパイロット圧により開作動し、このパイロット圧の値に応じて所定の開口量だけ開口するため、供給流量調節用ポペット弁21aの二次側にブリードオフ回路が形成され、その二次側の圧油をその減圧弁51aのパイロット圧の値に応じて所定の流量だけ戻り管路5を通じてタンクへ逃がす。すなわち、供給流量調節用ポペット弁21aで調節されるアクチュエータ3への圧油の供給流量が排出流量調節用ポペット弁22bを介して減圧弁51aによりブリードオフ制御されることになる。以上、操作レバー14aを矢印A方向に操作した場合のことを述べたが、操作レバー14aを矢印B方向に操作した場合にも、前記したと同様の過程を経て、今度は、供給流量調節用ポペット弁21b及び排出流量調節用ポペット弁22bがアクチュエータ3への圧油の供給流量及びアクチュエータ3からの排出流量をそれぞれ調節する役割をし、その際、供給流量調節用ポペット弁21bの二次側にブリードオフ回路が形成される。すなわち、供給流量調節用ポペット弁21bで調節されるアクチュエータ3への圧油の供給流量が排出流量調節用ポペット弁22aを介して減圧弁51bによりブリードオフ制御されることになる。
【0030】
図3には、このようなブリードオフ制御の際、ブリードオフ回路を形成する排出流量調節用ポペット弁へ入力されるパイロット圧すなわちブリード用パイロット圧PoB が操作レバーの操作により出力されるパイロット圧Pi によりどのように変化するかの例を示している。また、図4には、このブリードオフ回路を形成する排出流量調節用ポペット弁の開度すなわちブリード弁開度aoB や供給流量調節用ポペット弁開度すなわちメータイン弁開度ai が操作レバーの操作により出力されるパイロット圧Pi によりどのように変化するかの例を示している。
【0031】
そこで、操作レバー14aを矢印A方向又は矢印B方向に操作した場合にそれぞれ作動する供給流量調節用ポペット弁21a又は供給流量調節用ポペット弁21bをメータイン弁、その場合にブリードオフ回路を形成する排出流量調節用ポペット弁22b又は排出流量調節用ポペット弁22aをブリード弁と略称し、この第1の実施例の油圧駆動装置が前述したような大きな慣性負荷を駆動した状態において、アクチュエータ3へ圧油を供給している側の負荷管路6又は負荷管路7内にどのような負荷圧が生じるかの点を定量的に考察する。このような状態において、アクチュエータ3は、その始動時、大きい慣性負荷のためにすぐには始動できず、圧油がアクチュエータ3へ流入できない点は、従来の油圧駆動回路と同じである。このとき、可変絞り部としてのメータイン弁を通過する圧油の流量Qi と可変絞りとしてのブリード弁を通過する圧油の流量QB とは等しくなるので、前記の負荷管路の負荷圧Paは次のようにして求めることができる。
【0032】
Qi =K・ai √(Ps−Pa) ‥‥‥(4)
QB =K・aoB √(Pa−PT) ‥‥‥(5)
いま述べたようにQi =QB であり、かつ、PT ≒0であるとみるこができるから、これら(4)式及び(5)式より、負荷圧Paは(6)式のとおりになる。
【0033】
ai ;メータイン弁の開度
aoB ;ブリード弁の開度
PT;タンク内の圧力
Ps;アクチュエータ駆動用油圧ポンプの吐出圧
χ;ブリード弁開度aoB に対するメータイン弁開度ai の比率
前(6)式と図4とを併せ考えれば明らかなように、アクチュエータ3を始動する場合において、第1の実施例では、操作装置14から出力されるパイロット圧が小さいとき、すなわち、メータイン弁の開度が小さい微操作時には、小さな負荷圧Paしか生じないため、小さな駆動圧力(加速圧力)を得ることが可能となり,パイロット圧が大きいときには、逆に、大きな駆動圧力を得ることができる。したがって、本実施例によれば、アクチュエータ3が始動時に急激な圧力上昇により急激に加速され、微操作性の要求される作業をする際にオペレータの操作感覚を損なうというというような前述した従来技術にみられる問題は生じない。また、一方の流量調整機構の作動時、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁でブリードオフ回路が形成され、アクチュエータ3への圧油の供給流量がブリードオフ制御されるようにしているので、操作レバー14aの操作量に対するアクチュエータ3の駆動速度が押さえられ、その結果、微操作の行える操作レバー14aの操作領域は必然的に広げるられるため、この点でも微操作性の向上を図ることができる。このように、第1の実施例によれば、一方の流量調整機構の操作時、従来の装置においては遊んでいた他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁を活用してアクチュエータへの圧油の供給流量をブリードオフ制御することができ、使用部品の有効な活用を図りつつ、操作性の良好な油圧駆動装置を得ることができる。
【0034】
次に、図5及び図6に基づいて本発明の第2の実施例について説明すると、図5において、31a,31bは各パイロット支管路25a,23aのパイロット圧によりそれぞれ操作され油路を開閉する連通弁、32a,32bは各パイロット支管路25a,23aのパイロット圧で付勢されるバネの付勢力により閉方向の制御力を設定、付与され、負荷管路7,6の圧力により開方向の制御力を付与されるパイロットリリーフ弁で、開方向の制御力が閉方向の制御力よりも大きくなったとき、すなわち負荷管路7,6の油圧がパイロット支管路25a,23aのパイロット圧で付勢されるバネの付勢力を超えたときに開放されて、各排出流量調節用ポペット弁22a,22bの背圧室の圧油を後記排出管路33a,33bを通じてリリーフする。したがって、パイロットリリーフ弁32a,32bは、各パイロット支管路25a,23aと圧負荷管路7,6とのパイロット圧で操作される一種の開閉弁で、その開閉により排出流量調節用ポペット弁22a,22bの背圧室内の背圧を逃がしたり保持したりするため、同ポペット弁22a,22bを開閉させることができる。この排出流量調節用ポペット弁22a,22bは、開作動時、供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側の圧油を戻り管路5を通じてタンクへ逃がすこととなるため、排出流量調節用ポペット弁22a,22bは、パイロットリリーフ弁32a,32bと相俟って、供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側にブリードオフ回路を形成させるための可変リリーフ弁としての機能を兼備することになる。33a,33bはそれぞれ連通弁31a,31b、パイロットリリーフ弁32a,32bが順次設けられ各排出流量調節用ポペット弁22a,22bの背圧室の圧油を各パイロットリリーフ弁32a,32bを通じてタンクへ逃がすための排出管路で、一端が各排出流量調節用ポペット弁22a,22bの背圧室に接続され他端が戻り管路5とつながるように配管されている。連通弁31aは、操作レバー14aを矢印B方向へ操作したとき、パイロット主管路16に出力されるパイロット圧がパイロット枝管路25、パイロット支管路25aを通じてパイロット圧受部に入力されて、排出管路33aの圧油をパイロットリリーフ弁32aの一次側に導くように油路を開き、そのパイロット圧が入力されないときに油路を閉じる。同様にして、連通弁31bは、操作レバー14aを矢印A方向へ操作したとき、パイロット主管路15に出力されるパイロット圧がパイロット枝管路23、パイロット支管路23aを通じてパイロット圧受部に入力されて、排出管路33bの圧油をパイロットリリーフ弁32bの一次側に導くように油路を開き、そのパイロット圧が入力されないときに油路を閉じる。また、パイロットリリーフ弁32a,32bは、操作レバー14aを矢印B方向、A方向へ操作したとき、各パイロット主管路16,15にそれぞれ出力されるパイロット圧が連通弁31a,31bと同様の過程を経てパイロット受部に入力され、これによりバネの付勢力が設定されるため、その閉方向の制御力が主パイロット管路16,15のパイロット圧すなわち操作レバー14aの操作量に応じて設定される。排出流量調節用ポペット弁22a,22bは、このようなパイロットリリーフ弁32a,32bを付設したことにより、負荷管路7,6の油圧がパイロット圧により設定されたバネの付勢力を超えたときに、背圧室の背圧をリリーフして全開し、供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側の圧油を戻り管路5を通じてタンクへ逃がし、その結果、負荷管路7,6の圧力がそのバネの付勢力に相当する値にまで低下すると、もとどおり閉じ、このような開閉動作を繰り返しながら、負荷管路7,6の圧力をパイロット圧により設定されたバネの付勢力に相当する値に常に押さえる。すなわち、排出流量調節用ポペット弁22a,22bは、その開口量を、パイロットリリーフ弁32a,32bを通じてパイロット主管路16,15のパイロット圧によりオンオフ制御され、供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側の油圧をタンクへ逃がし得るようにされていることから、パイロット主管路16,15のパイロット圧によりリリーフ圧が可変に設定され、供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側の圧油をタンクへ逃がす可変リリーフ弁としての機能を兼備することになる。
【0035】
本発明の第2の実施例の油圧駆動装置は、以上のような構成を備えているので、いま、操作レバー14aを矢印A方向に操作したとすると、その操作レバー14aの操作量に応じた所定値のパイロット圧がパイロット主管路15に出力され、第1の実施例と同様の過程を経て供給流量調節用ポペット弁21a及び排出流量調節用ポペット弁22aのパイロット受部にそれぞれ導かれる。同時に、パイロット主管路15に出力された所定値のパイロット圧は、パイロット枝管路23、パイロット支管路23aを通じて連通弁31bのパイロット圧受部に入力されて、排出管路33bの圧油をパイロットリリーフ弁32bの一次側に導くように油路を開くとともに、同様にしてパイロットリリーフ弁32bのパイロット受部にも入力され、このパイロット受部に導かれたパイロット圧によりパイロットリリーフ弁32bのバネの付勢力が設定される。以上の結果、供給流量調節用ポペット弁21a及び排出流量調節用ポペット弁22aは、第1の実施例と同様、パイロット操作装置14から出力するパイロット圧の値に応じて所定の開口量だけ開口してアクチュエータ3への圧油の供給流量及びアクチュエータ3からの排出流量をそれぞれ調節し、その場合に、負荷管路6の油圧がパイロット操作装置14のパイロット圧により設定されたパイロットリリーフ弁32bのバネの付勢力を超えると、排出流量調節用ポペット弁22bは、背圧室内の背圧を逃がされて全開し、供給流量調節用ポペット弁21aの二次側にブリードオフ回路を形成し、その結果、その二次側の油圧が戻り管路5を通じてタンクに逃がされてリリーフ設定圧まで低下すると、排出流量調節用ポペット弁22bは、背圧室内の背圧を保持されて再び閉じ、このような動作を繰り返しながら、負荷管路6のアクチュエータ負荷圧を所定のリリーフ設定圧に保持する。すなわち、供給流量調節用ポペット弁21aで調節されるアクチュエータ3への圧油の供給流量は、制御機構をなすパイロットリリーフ弁32bにより、排出流量調節用ポペット弁22bの開口量がオンオフ制御されて、負荷管路6のアクチュエータ負荷圧を所定の設定圧に保持するようにブリードオフ制御されることになる。以上、操作レバー14aを矢印A方向に操作した場合のことを述べたが、操作レバー14aを矢印B方向に操作した場合にも、前記したと同様の過程を経て、供給流量調節用ポペット弁21b及び排出流量調節用ポペット弁22bがアクチュエータ3への圧油の供給流量及びアクチュエータ3からの排出流量をそれぞれ調節し、その際、供給流量調節用ポペット弁21bで調節されるアクチュエータ3への圧油の供給流量が排出流量調節用ポペット弁22aを介してパイロットリリーフ弁32aによりブリードオフ制御されることになる。
【0036】
図6には、このようなブリードオフ制御の際、ブリードオフ回路を形成する排出流量調節用ポペット弁のリリーフ設定圧を、操作装置14から出力されるパイロット圧によりパイロットリリーフ弁を通じて設定する場合の圧力特性の一例を示している。なお、同図において、「従来」と表示した一点鎖線は、このような修正の行われない従来の油圧駆動装置における供給流量調節用ポペット弁の二次側のの圧力特性を、参考のために示したものである。この図6から明らかなように、第2の実施例によれば、操作装置14から出力されるパイロット圧が小さいときには、ブリードオフ回路を形成する排出流量調節用ポペット弁のリリーフ設定圧を相対的に小さく、そのパイロット圧が大きいときには、そのリリーフ設定圧を相対的に大きく設定することができることから、この排出流量調節用ポペット弁をして、その設定されたリリーフ設定圧に基づいて開閉動作を繰り返させながら、供給流量調節用ポペット弁の二次側の油圧を適宜リリーフさせることにより、その二次側の油圧すなわち負荷管路のアクチュエータ負荷圧を、所望の値に保持するように直接的に圧力制御することができる。その結果、操作レバー14aの操作量が小さいときには、アクチュエータ3を駆動するための加速圧を低く押さえることができ、その操作量が大きいときには大きくすることが可能であり、微操作時、大操作時の何れにおいても良好な操作性を確保することができる。したがって、本実施例によっても、第1の実施例と同様、従来の装置においては遊んでいた排出流量調節用ポペット弁を活用してアクチュエータへの圧油の供給流量をブリードオフ制御し、使用部品の有効な活用を図りつつ、操作性の向上に資する油圧駆動装置を得ることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、「操作手段により同時操作されて油圧ポンプからアクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータからタンクへ排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成され、アクチュエータを正方向に駆動するように設けられた流量調整機構と、操作手段により同時操作されて油圧ポンプからアクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータからタンクへ排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成され、アクチュエータを逆方向に駆動するように設けられた流量調整機構とを備え、これら両流量調節機構の何れかを選択的に操作してアクチュエータを正逆所望の方向に駆動し得るようにした油圧駆動装置」において、第1の油圧駆動装置については、「課題を解決するための手段」の項で1)に示したように構成し、第2の油圧駆動装置については、「課題を解決するための手段」の項で2)に示したように構成しているので、第1の油圧駆動装置及び第2の油圧駆動装置は、一方の流量調整機構の操作時に、従来の装置においては遊んでいた他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁を活用して、アクチュエータへの圧油の供給流量を、この排出流量調節用ポペット弁を介してそれぞれ減圧弁及びパイロットリリーフ弁によりブリードオフ制御することができる。その結果、流量調整機構を構成する使用部品の有効な活用を図りつつ、アクチュエータの操作性の向上に資することができる。
【0039】
本発明は、ポペット弁による一対の流量調整機構をアクチュエータの正、逆各方向の駆動のために互いに独立して作動させるようにするという従来技術の発想を転換し、一方の流量調整機構の操作時に他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁も流量調整のために積極的に活用して操作性の向上に資するようにしたものであり、その発想は斬新的なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の概要を説明するための油圧駆動装置に関する要部の油圧回路図である。
【図2】本発明の第1の実施例の油圧駆動装置に関する油圧回路図である。
【図3】操作装置の操作により出力されるパイロット圧とブリードオフ制御用パイロット圧との関係を示した第1の実施例に関する特性線図である。
【図4】操作装置の操作により出力されるパイロット圧とブリードオフ回路の形成に兼用されるポペット弁との関係を示した第1の実施例に関する特性線図である。
【図5】本発明の第2の実施例の油圧駆動装置に関する油圧回路図である。
【図6】操作装置の操作により出力されるパイロット圧とブリードオフ制御用のリリーフ弁との関係を示した第2の実施例に関する特性線図である。
【図7】従来の油圧駆動装置に用いられているポペット弁単体の断面図である。
【図8】従来の油圧駆動装置に関する油圧回路図である。
【符号の説明】
1 アクチュエータ駆動用の油圧ポンプ
2 流量調整機構ユニット
3 アクチュエータ
4 主管路
5 戻り管路
6,7 負荷管路
8,9 オペレートチェック弁
13 パイロットポンプ
14 パイロット操作装置
15,16 パイロット主管路
21a,21b 供給流量調節用ポペット弁
22a,22b 排出流量調節用ポペット弁
31a、31b ブリードオフ制御用リリーフ弁
32a32b 切換弁
51a,51b ブリードオフ制御用減圧弁
52a,52b 切換弁
a ポペット弁の弁本体
b 流入ポート
c 流出ポート
d 主弁
e スリット
f 背圧室
g パイロット弁
j パイロット圧導入ポート
【産業上の利用分野】
本発明は、アクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータから排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成された流量調整機構を、アクチュエータを正逆両方向に駆動制御できるように二組備えた油圧駆動装置について、これらのポペット弁を有効活用できるように改良を加えた発明であって、特に、油圧ショベルや油圧クレーンのような建設機械の油圧駆動装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータから排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成された流量調整機構を、アクチュエータを正逆両方向に駆動制御できるように二組備えた油圧駆動装置が知られている。本発明は、このような油圧駆動装置を改良したものであるので、その技術内容を図7及び図8に基づいて説明する。図7は、従来の油圧駆動装置に用いられているポペット弁単体の断面図、図8は従来の油圧駆動装置に関する油圧回路図である。
【0003】
図7において、aはポペット弁の弁本体、bはこのポペット弁本体aに形成された流入ポート、cは同じくポペット弁本体aに形成された流出ポート、dはこれら流入ポートbと流出ポートcとの連通路を開閉するように設けられ開口量を調節するように変位するシート弁としての主弁、eはこの主弁dに設けられた可変絞りを形成するためのスリット、fはこのスリットeを介して流入ポートと連通する背圧室である。gはパイロット圧により変位して開口量を調節し得るパイロット弁、hはこのパイロット弁gを内蔵するサブケーシング、iはこのサブケーシングh内に設けられパイロット弁gに閉方向の制御力を付与するバネ、jはパイロット圧を導いてパイロット弁gに開方向の制御力を付与するためのパイロット圧導入ポート、kは流入ポートaから背圧室fに導かれた圧油をパイロット弁gのポートを通じて流出ポートcに導くための補助通路である。
【0004】
図7のポペット弁は、このような構成を備えているから、後述のパイロット操作装置14等の操作手段を操作して所定の値のパイロット圧をパイロット圧導入ポートjを通じてパイロット弁gに導くと、そのパイロット圧は、バネiの力に抗してパイロット弁gに開方向の制御力を付与し,そのバネiの力がそのパイロット圧と平衡するまで同スプールgを変位させてその開口量を調節する。このような状態において、流入ポートbから圧油が供給されると、流入ポートbからスリットeを介して背圧室fに至る圧油の流れが生じ、その背圧室fの圧油は、パイロット弁gの開口量により流量が調節されて、補助通路kを介して流出ポートcへ導かれる。その場合に、そのスリットeを通過する圧油の通過流量と背圧室fから補助通路kを介して流出ポートcへ導かれる圧油の流量とのバランスにより主弁dの変位(移動量)を制御することができる。したがって、パイロット弁gをパイロット圧の値により制御することにより、主弁dの変位を制御して流入ポートbから流出ポートcに流れる圧油の流量を制御することができる。
【0005】
図8は、このような構造のポペット弁で構成された流量調整機構を有する油圧駆動装置について、従来のものに関する油圧回路の一例を示したものである。その構成を説明すると、図8において、1はアクチュエータを駆動するための圧油を発生するアクチュエータ駆動用の油圧ポンプ、2は図7のような構造のポペット弁を4個組み合わせて構成した流量調整機構ユニット、3はアクチュエータ、4は油圧ポンプ1の圧油を流量調整機構ユニット2を通じてアクチュエータ3へ供給するための主管路、5は流量調整機構ユニットへ送られた圧油をタンクへ戻すための戻り管路,6,7は流量調整機構ユニット2で流量が調節された圧油をその一方を通じてアクチュエータ3へ供給し他方を通じてアクチュエータ3から排出するための負荷管路、8,9はこの各負荷管路6,7にそれぞれ設けられパイロット圧により開放されるオペレートチェック弁、10,11はチェック弁、12はアクチュエータ3の過負荷時に油圧ポンプで発生する圧油の一部をタンクへ逃してその圧油の最高圧力を制限する圧力制御弁としてのオーバロードリリーフ弁、13はパイロット圧発生源としてのパイロットポンプ、14はこのパイロットポンプ13の圧油が導かれ操作レバー14aを矢印A又は矢印B方向に操作することによりパイロット圧を出力するパイロット操作装置、15,16はこのパイロット操作装置14が出力するパイロット圧を導くパイロット主管路である。パイロット操作装置14は、その操作レバー14を矢印A方向又は矢印B方向に操作することによりバネ14b,14cを介して減圧弁14d又は減圧弁14eを作動させ、その一方の減圧弁を通じてパイロット管路15又はパイロット管路16にパイロット圧を出力する。また、操作レバー14aの操作によりバネ14b,14cを介して各減圧弁14d,14eの制御部に作用する操作力に応じて、同弁の二次圧を設定するようにされているため、各パイロット管路15,16に出力するパイロット圧をその操作レバー14aの操作量により調節でき、所望の値のパイロット圧を出力することができるようになっている。この点を数式をもって表すと次のようになり、操作レバー14aの操作により出力されるパイロット圧Pi は、(1)式で表すことができる。
【0006】
A・Pi =Fin=kx
Pi =Fin/A ‥‥‥(1)
A;減圧弁14d,14eの制御部の受圧面積
Fin;減圧弁14b,14cの制御部に作用する操作力
k;バネ14b,14cのバネ定数
x;操作力を付与することにより生じるバネ14b,14cのたわみ
従来の装置の構成を更に説明すると、21a,21b,22a,22bは図7で説明したと同じ構造のポペット弁で、ポペット弁21a,21bは、一次側が分岐路を介してそれぞれ主管路4に接続されるとともに二次側がアクチュエータ3を正逆反対方向に駆動できるようにその給排ポートに接続され、ポペット弁22a,22bは、一次側がアクチュエータ3の給排ポートに接続されるとともに二次側が戻り管路5に接続される。したがって、流量調整機構ユニット2は、メータイン要素としてポペット弁21a,21bを備え、メータアウト要素としてポペット弁22a,22bを備えたこれら4個のポペット弁で構成される。23はパイロット主管路15のパイロット圧をポペット弁21aに導くパイロット枝管路、23aはこのパイロット枝管路23のパイロット圧をオペレートチェック弁9のパイロット圧受部に導くパイロット支管路、24はパイロット主管路15のパイロット圧をポペット弁22aのパイロット圧受部に導くパイロット枝管路、25はパイロット主管路16のパイロット圧をポペット弁21bに導くパイロット枝管路,25aはこのパイロット枝管路25のパイロット圧をオペレートチェック弁8のパイロット圧受部に導くパイロット支管路,26はパイロット主管路16のパイロット圧をポペット弁22bのパイロット圧受部に導くパイロット枝管路である。
【0007】
従来の油圧駆動装置は、このような構成を備えているので、いま、オペレータが操作レバー14aを矢印A方向に操作すると、この操作レバー14aの操作量に応じて所定の値のパイロット圧がパイロット管路15に出力され、そのパイロット圧は、各枝管路23,24を通じてそれぞれ各ポペット弁21a,22aのパイロット圧受部に導かれるとともに、支管路23aを通じてオペレートチェック弁9のパイロット圧受部に導かれる。そうすると、ポペット弁21a及びポペット弁22aは、そのパイロット圧の値に応じて、所定の開口量だけ開口して、油圧ポンプ1からアクチュエータ3へ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータ3からタンクへ排出する圧油の排出流量を調節するように開作動するとともに、オペレートチェック弁9は、アクチュエータ3からタンクへ圧油を排出できるように開作動する。その結果、油圧ポンプ1の圧油は、主管路4、ポペット弁21a,負荷管路6を通じてアクチュエータ3に供給されるとともに、アクチュエータ3内の圧油は、負荷管路7、オペレートチェック弁9、ポペット弁22a、戻り管路5を通じてタンクへ戻され、アクチュエータ3を所定の速度で正方向に駆動する。また、オペレータが操作レバー14aを矢印B方向に操作すると、そのパイロット圧は、各枝管路25,26を通じてそれぞれ各ポペット弁21b,22bのパイロット圧受部に導かれるとともに、支管路25aを通じてオペレートチェック弁8のパイロット圧受部に導かれる。そうすると、前記と同様にして、油圧ポンプ1の圧油は、主管路4、ポペット弁21b,負荷管路7を通じてアクチュエータ3に供給されるとともに、アクチュエータ3内の圧油は、負荷管路6、オペレートチェック弁8、ポペット弁22b、戻り管路5を通じてタンクへ戻され、アクチュエータ3を所定の速度で今度は逆方向に駆動する。
【0008】
以上の説明から明らかなように、従来の装置においては、ポペット弁21a,21bがメータイン要素として供給流量調節用の弁となり、ポペット弁22a,22bがメータアウト要素として排出流量調節用の弁となる。そして、これらの弁のうち、同時操作される一対の供給流量調節用のポペット弁21a及び排出流量調節用のポペット弁22aが互いに協働してアクチュエータ3を正方向に駆動する流量調整機構を構成するとともに、同時操作される一対の供給流量調節用のポペット弁21b及び排出流量調節用のポペット弁22bが互いに協働してアクチュエータ3を逆方向に駆動する流量調整機構を構成し、これら両流量調節機構の何れかを選択的に操作することにより、アクチュエータを正逆所望の方向に駆動し得るようにされている。それゆえ、このようにして構成された流量調整機構は、流量調節機能を有する方向切換弁と同等の機能を果たすことができ、しかも、同一構造の4個のポペット弁21a,22a,21b,22bを用いて構成できることから、少品種大量生産が可能となり、生産効率の点で好ましいものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような同一構造の4個のポペット弁による流量調整機構を備えた従来の油圧駆動装置にあっては、生産効率の点では好ましいものであるが、各流量調整機構が互いに役割分担して他と独立して作動するように設計されていて、その一方が操作されているときには、他方のもののポペット弁を総て作動させないようにするという設計思想のもとに構成されているため、同一構造のポペット弁を4個も使用したものでありながら、2個のポペット弁は常に遊んでいて、使用部品の有効な活用を図るという点で問題のあることを見出した。
【0010】
一方、油圧作業機においては、その油圧駆動装置をオペレータにとって操作感覚の優れたものにすること、すなわち操作性の向上を図ることが最近の重要なテーマであるが、前記の従来の油圧駆動装置においても、このような操作性の向上の観点から改善すべきことが種々考えられる。
【0011】
油圧ショベルを例にしてこの点について言及すると、油圧ショベルにおいては、アクチュエータとして、掘削装置を構成するブーム、アーム及びバケットやその掘削装置を旋回するための旋回用油圧モータ、更にはこれらの装置を搭載した自走車体を駆動するための走行用油圧モータが設けられているが、これらのアクチュエータは、何れも大きな慣性負荷を駆動するものであるため、これに起因してその始動時に一つの問題が生じる。すなわち、操作レバーを所望の量だけ操作してこのようなアクチュエータを始動した場合、その操作量に応じて流量供給用ポペット弁が所要の量の圧油をアクチュエータに供給するが、アクチュエータは、大きい慣性負荷のため、すぐには始動できず、その当然の結果として、圧油はアクチュエータへ流入できない。その結果、負荷管路内の圧力は、オーバロードリリーフ弁の設定圧を超えるまでに急激に上昇し、しかる後、アクチュエータが始動するが、このアクチュエータは、一旦始動すると、その急激な圧力上昇により急激に加速され、一瞬飛び出すような感じになる。このような始動時における現象は、操作レバーの操作量の大小に関係なく微操作時にも発生するため、特に、精度の高い作業を行う場合等微操作性の要求される作業をする場合にオペレータの操作感覚を損ない不都合である。また、油圧ショベルにおいては、一つのアクチュエータが多様な作業に関与し、例えば、旋回用油圧モータにあっては、単なる旋回の目的で駆動する場合だけではなく、押し付け掘削等それ以外の目的で駆動する場合にも微操作性が要求されるため、始動時にこのような現象が発生すると、各種の作業に支障が生じる。その押し付け掘削について述べると、押し付け掘削は、旋回用油圧モータの旋回力を利用して掘削機を地山に押しつけながら側溝掘り等の作業をするものであるから、これを実施する場合にこのような現象が生じると、その旋回力の調節が容易にできず、すでに掘削した溝や穴をつぶしてしまう結果をもたらし、その作業を円滑に行えなくなる。
【0012】
さらに、微操作性の向上を図るためには、操作レバーの操作量に対するアクチュエータの駆動速度を押さえるようにし、これにより微操作の行える操作領域を広げるようにすることも必要であるが、作業の効率を優先した標準作業中心の従来の油圧駆動装置では、このような点に対する配慮が欠けており、この点でも改善すべき余地がある。
【0013】
以上述べたように、多数のポペット弁で構成された流量調製装置を備えた従来の油圧駆動装置においては、使用部品の有効な活用を図るという点で問題のある一方、操作性の向上の観点から改善すべき余地があることに鑑み、本発明は、このような流量調整機構を備えた油圧駆動装置において、その流量調整機構を構成する使用部品の有効な活用を図りつつ、アクチュエータの操作性の向上に資する油圧駆動装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、「操作手段により同時操作されて油圧ポンプからアクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータからタンクへ排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成され、アクチュエータを正方向に駆動するように設けられた流量調整機構と、操作手段により同時操作されて油圧ポンプからアクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータからタンクへ排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成され、アクチュエータを逆方向に駆動するように設けられた流量調整機構とを備え、これら両流量調節機構の何れかを選択的に操作してアクチュエータを正逆所望の方向に駆動し得るようにした油圧駆動装置」において、前記の目的を達成するため、第1の油圧駆動装置については、次の1)のように構成し、第2の油圧駆動装置については、次の2)のように構成した。
1)一方の流量調整機構の操作時の操作量に応じて二次圧を低下させてこの二次圧をパイロット圧として出力する減圧弁を設けて、他方の流量調節機構のうちの排出流量調節用ポペット弁をこのパイロット圧により作動させてその開口量を制御し得るようにするとともに、一方の流量調整機構の操作時に、この流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁の二次側に、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁によりブリードオフ回路が形成されるようにし、これにより、アクチュエータへの圧油の供給流量がブリードオフ制御され得るように構成した。
2)一方の流量調整機構の操作時の操作量に応じて閉方向の制御力を設定、付与されるとともにアクチュエーターへ供給される油圧により開方向の制御力を付与されて開閉するパイロットリリーフ弁を設けて、他方の流量調節機構のうちの排出流量調節用ポペット弁の背圧室内の背圧をこのパイロットリリーフ弁の開閉により逃がしたり保持したりしてその排出流量調節用ポペット弁の開口量をオンオフ制御し得るようにするとともに、一方の流量調整機構の操作時に、この流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁の二次側に、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁によりブリードオフ回路が形成されるようにし、これにより、アクチュエータへの圧油の供給流量がブリードオフ制御され得るように構成した。
【0015】
【作用】
本発明の第1の油圧駆動装置及び第2の油圧駆動装置は、それぞれ前記1)及び2)のように構成しているので、一方の流量調整機構を操作すると、何れの油圧駆動装置も、一方の流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁がアクチュエータへの圧油の供給流量及びアクチュエータからの圧油の排出流量をそれぞれ調節し、その際、一方の流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁の二次側に、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁によりブリードオフ回路を形成する。すなわち、第1の油圧駆動装置では、減圧弁が一方の流量調整機構の操作時の操作量に応じて二次圧を低下させてこの二次圧をパイロット圧として出力し、このパイロット圧により他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁を作動させて、この排出流量調節用ポペット弁により一方の流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁の二次側にブリードオフ回路を形成する。
また、第2の油圧駆動装置では、パイロットリリーフ弁が一方の流量調整機構の操作時の操作量に応じて閉方向の制御力を設定、付与されるとともにアクチュエーターへ供給される油圧により開方向の制御力を付与されて開閉し、このパイロットリリーフ弁の開閉により、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁の背圧室内の背圧を逃がしたり保持したりしてこの排出流量調節用ポペット弁の開口量をオンオフ制御して、この排出流量調節用ポペット弁により一方の流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁の二次側にブリードオフ回路を形成する。本発明の第1の油圧駆動装置及び第2の油圧駆動装置は、こうした仕組みによりアクチュエータへの圧油の供給流量を、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁を介してそれぞれ減圧弁及びパイロットリリーフ弁によりブリードオフ制御して、アクチュエータの駆動速度を、予め設定された低い速度水準に押さえるように調整することができるので、流量調整機構を構成する使用部品の有効な活用を図りつつ、アクチュエータの操作性の向上に資することができる。
【0016】
【実施例】
まず、図1に基づいて後述する本発明の実施例の概要を説明する。図1は本発明の実施例の概要を説明するための油圧駆動装置に関する要部の油圧回路図である。図1において図8と同一の符号を付けた部分は、同図と同等の部分を表すので、説明の重複を避けるため詳述しない。
【0017】
図1の油圧駆動装置は、図8の油圧駆動装置と同様、操作レバー14aの矢印A方向の操作により同時操作される一対の供給流量調節用ポペット弁21a及び排出流量調節用ポペット弁22aで構成され、アクチュエータを正方向に駆動する流量調整弁機構と、操作レバー14aの矢印B方向の操作により同時操作される一対の供給流量調節用ポペット弁21b及び排出流量調節用ポペット弁22bで構成され、アクチュエータ3を逆方向に駆動する流量調整弁機構とを備え、これら両流量調節機構の何れかを操作レバー14aにより選択的に操作することにより、アクチュエータ3を正逆所望の方向に駆動し得るようにされている。
【0018】
従来の油圧駆動装置においては、前述のように、アクチュエータ3を正方向、逆方向に駆動するこれら両流量調整機構が互いに独立して作動するように設計されていて、その一方が操作されているときに他方のもののポペット弁を総て作動させないようにするという設計思想のもとに構成されていたが、本発明においては、このような既成の発想を転換し、一方の流量調整機構の操作時に他方の流量調節機構のうちの排出流量調節用ポペット弁を流量調整のために活用して操作性の向上に資するようにした。そのため、一方の流量調整機構の操作時、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁を作動させてその開口量を制御するための制御機構を設けるとともに、その供給流量調節用ポペット弁の二次側に、前記排出流量調節用ポペット弁によりブリードオフ回路が形成されるようにし、アクチュエータ3への圧油の供給流量がその制御機構によりブリードオフ制御され得るようにした。
【0019】
このような技術内容を具体化するため、第1の実施例では、一方の流量調整機構の操作時、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bも作動させてその開口量を制御できるように、パイロット枝管路24,26を通じて他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bのパイロット圧受部に対して減圧して調整されたパイロット圧を出力するようにしている。そのため、同実施例では、一方の流量調整機構を操作するためのパイロット圧により二次圧が設定される減圧弁を設け、その二次圧がパイロット圧としてパイロット枝管路24,26から他方の流量調整機構の排出流量調節弁22a,22bのパイロット圧受部に入力されるようすることにより、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bの開口量が操作レバー14aの操作量に対応して適切に制御されるようにしている。
【0020】
第2の実施例では、一方の流量調整機構の操作時、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bも作動させてその開口量を制御できるように、その排出流量調節用ポペット弁22a,22bの背圧室の圧油を適宜タンクへ逃がすための排出管路33a,33bを新たに設け、負荷管路7,6の油圧が一方の流量調整機構を操作するためのパイロット圧により設定されるリリーフ設定圧を超えたときに、背圧室の背圧を、この排出管路33a,33bを通じてタンクへ逃がすようにし、その結果、そのリリーフ設定圧にまで低下したときには、その背圧を保持するようにして、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bの開口量をオンオフ制御できるようにしている。そのため、同実施例では、一方の流量調整機構を操作するためのパイロット圧により前記リリーフ設定圧を設定するためのパイロットリリーフ弁をこの排出管路33a,33bに設けて、このパイロットリリーフ弁の開閉により他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bが背圧室内の背圧を逃がされたり保持されたりして開口量をオンオフ制御され得るようにし、これにより、供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側の油圧を適宜タンクへ逃がして、その二次側の油圧すなわち負荷管路7,6のアクチュエータ負荷圧が操作レバー14aの操作量に対応して適切に制御されるようにしている。
【0021】
第1の実施例、第2の実施例においては、以上述べたような、一方の流量調整機構の操作時、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁22a,22bも作動させてその開口量を制御できるようにするための制御機構を設けるほか、この排出流量調節用ポペット弁22a,22bによりブリードオフ回路が形成されるように、この各ポペット弁22a,22bの一次側をそれぞれ各供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側に接続している。本発明の実施例では、このような構成により、一方の流量調整機構の操作時に他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁を活用してアクチュエータへの圧油の供給流量をブリードオフ制御することができるようにしている。
【0022】
以上概説した第1の実施例及び第2の実施例においては、その何れも、一方の流量調整機構を操作するためのパイロット圧と関連して、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁の開口量を制御するようにしているが、このような制御機構に代えて、流量調整機構の各ポペット弁の開口量を制御するためのコントローラを設け、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁の開口量を、作業内容等に応じて最適なものにするように、コントローラからの電気信号により制御することもできる。以上の説明から明らかなように、本発明の油圧駆動装置を具体化する場合、要は、一方の流量調整機構の操作時に、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁も活用してアクチュエータへの圧油の供給流量をブリードオフ制御することができるように構成されればよく、その態様は、油圧作業機の種類やその作業機で行う作業内容等に応じて適宜選択すべき、設計上の選択事項である。
【0023】
そこで、図2乃至図6に基づいて本発明の実施例を詳述する。図2は本発明の第1の実施例の油圧駆動装置に関する油圧回路図、図3は操作装置の操作により出力されるパイロット圧とブリードオフ制御用パイロット圧との関係を示した第1の実施例に関する特性線図、図4は操作装置の操作により出力されるパイロット圧とブリードオフ回路の形成に兼用されるポペット弁との関係を示した第1の実施例に関する特性線図、図5は本発明の第2の実施例の油圧駆動装置に関する油圧回路図、図6は操作装置の操作により出力されるパイロット圧とブリードオフ制御用のリリーフ弁との関係を示した第2の実施例に関する特性線図である。図2及び図5において図8と同一の符号を付けた部分は、同図と同等の部分を表すので、説明の重複を避けるため詳述しない。なお、この図2及び図5の油圧回路図は、何れも油圧駆動装置が操縦されていない状態を図示したものである。
【0024】
まず、図2乃至図4に基づいて本発明の第1の実施例について説明すると、図2において、50は一方の流量調整機構の操作時に他方の流量調節機構のうちの排出流量調節用ポペット弁を作動させてその開口量を制御し得るようにするための制御機構で、この制御機構によりアクチュエータ3への圧油の供給流量がブリードオフ制御され得るようにする。51a,51bは一次側からパイロットポンプ13で発生した油圧が導かれこの油圧を減圧して調整したパイロット圧を二次側へ出力する減圧弁、52a,52bは排出流量調節用ポペット弁22b,22aのパイロット受部にパイロット圧を導くパイロット管路を切り換えるためのパイロット管路切換用の切換弁であり、制御機構50は、これら減圧弁51a,51b、切換弁52a,52bと、これらの弁に付随する以下に述べる構成要素とからなる。53はパイロット主管路15のパイロット圧を減圧弁51aのパイロット圧受部に導き同弁51aに対して閉方向の制御力を付与するパイロット枝管路、54は減圧弁51aの二次圧をそのパイロット圧受部に導き同様の制御力を付与するパイロット二次圧管路、55は減圧弁51aの初期設定圧を設定するためそのパイロット受部に初期付勢力を付与して開方向の制御力を付与するバネ、56は減圧弁51aで減圧されたパイロットポンプ13からの圧油すなわち減圧弁51aの二次側の圧油を切換弁52aに導くパイロット副管路、57はパイロット主管路16のパイロット圧を切換弁52aに導くパイロット枝管路、58はパイロット主管路15のパイロット圧を切換弁52aのパイロット圧受部に導くパイロット枝管路である。減圧弁51aは、操作レバー14aを矢印A方向へ操作したとき、パイロット枝管路53とパイロット二次圧管路54の双方のパイロット圧がバネ55の付勢力に対抗してパイロットポンプ13から導かれた油圧を減圧するようにパイロット圧受部に作用し、パイロット枝管路53のパイロット圧がパイロット圧受部に作用していないとき、パイロットポンプ13からの圧油をタンクへ逃がす。また、切換弁52aは、操作レバー14aを矢印A方向へ操作したとき、パイロット主管路15のパイロット圧がパイロット枝管路58を通じてパイロット圧受部に入力されて、パイロット副管路56の圧油をパイロット枝管路26に導くように油路が切り換えられ、そのパイロット圧が入力されないときにパイロット枝管路57のパイロット圧をパイロット枝管路26に導くように油路が切り換えられる。
【0025】
59は各パイロット主管路16のパイロット圧を減圧弁51bのパイロット圧受部に導き減圧弁51aと同様の制御力を付与するパイロット枝管路、60は減圧弁51bの二次圧をそのパイロット圧受部に導く、パイロット二次圧管路54と同様のパイロット二次圧管路、61は減圧弁51bのパイロット受部に初期付勢力を付与する、バネ55と同様のバネ、62は減圧弁51bの二次側の圧油を切換弁52bに導く、パイロット副管路56と同様のパイロット副管路、63はパイロット主管路15のパイロット圧を切換弁52bに導く、パイロット枝管路57と同様のパイロット枝管路、64はパイロット主管路16のパイロット圧を切換弁52bのパイロット圧受部に導く、パイロット枝管路58と同様のパイロット枝管路である。減圧弁51bは、操作レバー14aを矢印B方向へ操作したとき、パイロット枝管路59とパイロット二次圧管路60の双方のパイロット圧がバネ61の付勢力に対抗してパイロットポンプ13から導かれた油圧を減圧するようにパイロット圧受部に作用し、減圧弁51aと同様の作動をする。また、切換弁52bは、切換弁52aと同様、操作レバー14aを矢印B方向へ操作したとき、パイロット主管路16のパイロット圧がパイロット枝管路64を通じてパイロット圧受部に入力されて、パイロット副管路62の圧油をパイロット枝管路24に導くように油路が切り換えられ、そのパイロット圧が入力されないときにパイロット枝管路63のパイロット圧をパイロット枝管路24に導くように油路が切り換えられる。これらの説明から明らかなように、パイロット枝管路24,26は、図2の従来の装置では操作レバー14aの操作によりパイロット操作装置14の減圧弁14d,14eから出力するパイロット圧をパイロット主管路15,16から排出流量調節用ポペット弁22a,22bのパイロット圧受部に導くだけの役割をしていたが、本実施例では、このように、切換弁52b,52aを設けてパイロット枝管路64,58からのパイロット圧によりその油路を切り換えられるようにしたため、減圧弁51b,51aで発生する二次圧をパイロット圧としてパイロット副管路62,56から排出流量調節用ポペット弁22a,22bのパイロット圧受部に導く役割もする。
【0026】
そこで、この減圧弁51a,51bで発生する二次圧Poと操作レバー14aの操作により出力されるパイロット圧Pi との関係を数式をもって表すと次のようになり、減圧弁51a,51bで発生する二次圧Poは、(2)式で表すことができる。
【0027】
A(Pi +Po)=k(x+x0)≒f0
∴ Po=f0 /A−Pi ‥‥‥‥‥‥(2)
A;減圧弁51a,51bのパイロット受部の受圧面積
k;ばね55,61のバネ定数
x;制御力を付与することにより生じるバネ55,61のたわみ
x0;初期設定時のバネ55,61のたわみ
f0;バネ55,61の初期付勢力
ここで、例えば、前(2)式におけるf0 /Aが操作レバー14aの操作により出力され得るパイロット圧Pi の最大値Pimaxと等しくなるようにバネ55,61の初期付勢力f0を初期設定したとすると、減圧弁51a,51bで発生する二次圧Poは、(3)式で表すことができる。
【0028】
Po=Pimax−Pi ‥‥‥(3)
この(3)式から明らかなように、バネ55,61の初期付勢力f0をPimaxと等しくなるように初期設定したとすると、減圧弁51a,51bで発生する二次圧Poは、操作レバー14aの操作量に応じて0〜Pimaxの範囲の値に制御され、操作レバー14aの操作により出力されるパイロット圧Pi が大きくなると、その分減少することとなる。なお、減圧弁51a,51bの初期設定圧は、バネ55,61の初期付勢力f0を調節することにより任意に設定できるから、操作レバー14aの操作量に応じて発生する二次圧Poの値は、バネ55,61の初期付勢力f0を調節することにより任意に選択することができる。
【0029】
本発明の第1実施例の油圧駆動装置は、以上のような構成を備えているので、いま、操作レバー14aを矢印A方向に操作したとすると、その操作レバー14aの操作量に応じた所定値のパイロット圧がパイロット主管路15に出力され、このパイロット圧は、パイロット枝管路23を通じて供給流量調節用ポペット弁21aのパイロット受部へ、また、パイロット枝管路23及びパイロット支管路23aを通じてオペレートチェック弁9のパイロット受部へそれぞれ導かれるとともに、パイロット枝管路63、切換弁52b、パイロット枝管路24を通じて排出流量調節用ポペット弁22aのパイロット受部に導かれる。同時に、パイロット主管路15に出力された所定値のパイロット圧は、パイロット枝管路53を通じて減圧弁51aのパイロット受部に導かれるとともに、パイロット枝管路58を通じて切換弁52aのパイロット受部に導かれ、減圧弁51aは、パイロット受部に導かれたパイロット圧により調整されたパイロット圧をパイロット副管路56に出力するとともに、このパイロット圧をパイロット枝管路26を通じて排出流量調節用ポペット弁22bに導くことのできるように切換弁52aを切り換える。本実施例の装置は、操作レバー14aを矢印A方向に操作したときにこのような作動をする結果、供給流量調節用ポペット弁21a及び排出流量調節用ポペット弁22aは、操作装置14から出力するパイロット圧の値に応じて所定の開口量だけ開口してアクチュエータ3への圧油の供給流量及びアクチュエータ3からの排出流量をそれぞれ調節し、その際、排出流量調節用ポペット弁22bは、減圧弁51aから出力するパイロット圧により開作動し、このパイロット圧の値に応じて所定の開口量だけ開口するため、供給流量調節用ポペット弁21aの二次側にブリードオフ回路が形成され、その二次側の圧油をその減圧弁51aのパイロット圧の値に応じて所定の流量だけ戻り管路5を通じてタンクへ逃がす。すなわち、供給流量調節用ポペット弁21aで調節されるアクチュエータ3への圧油の供給流量が排出流量調節用ポペット弁22bを介して減圧弁51aによりブリードオフ制御されることになる。以上、操作レバー14aを矢印A方向に操作した場合のことを述べたが、操作レバー14aを矢印B方向に操作した場合にも、前記したと同様の過程を経て、今度は、供給流量調節用ポペット弁21b及び排出流量調節用ポペット弁22bがアクチュエータ3への圧油の供給流量及びアクチュエータ3からの排出流量をそれぞれ調節する役割をし、その際、供給流量調節用ポペット弁21bの二次側にブリードオフ回路が形成される。すなわち、供給流量調節用ポペット弁21bで調節されるアクチュエータ3への圧油の供給流量が排出流量調節用ポペット弁22aを介して減圧弁51bによりブリードオフ制御されることになる。
【0030】
図3には、このようなブリードオフ制御の際、ブリードオフ回路を形成する排出流量調節用ポペット弁へ入力されるパイロット圧すなわちブリード用パイロット圧PoB が操作レバーの操作により出力されるパイロット圧Pi によりどのように変化するかの例を示している。また、図4には、このブリードオフ回路を形成する排出流量調節用ポペット弁の開度すなわちブリード弁開度aoB や供給流量調節用ポペット弁開度すなわちメータイン弁開度ai が操作レバーの操作により出力されるパイロット圧Pi によりどのように変化するかの例を示している。
【0031】
そこで、操作レバー14aを矢印A方向又は矢印B方向に操作した場合にそれぞれ作動する供給流量調節用ポペット弁21a又は供給流量調節用ポペット弁21bをメータイン弁、その場合にブリードオフ回路を形成する排出流量調節用ポペット弁22b又は排出流量調節用ポペット弁22aをブリード弁と略称し、この第1の実施例の油圧駆動装置が前述したような大きな慣性負荷を駆動した状態において、アクチュエータ3へ圧油を供給している側の負荷管路6又は負荷管路7内にどのような負荷圧が生じるかの点を定量的に考察する。このような状態において、アクチュエータ3は、その始動時、大きい慣性負荷のためにすぐには始動できず、圧油がアクチュエータ3へ流入できない点は、従来の油圧駆動回路と同じである。このとき、可変絞り部としてのメータイン弁を通過する圧油の流量Qi と可変絞りとしてのブリード弁を通過する圧油の流量QB とは等しくなるので、前記の負荷管路の負荷圧Paは次のようにして求めることができる。
【0032】
Qi =K・ai √(Ps−Pa) ‥‥‥(4)
QB =K・aoB √(Pa−PT) ‥‥‥(5)
いま述べたようにQi =QB であり、かつ、PT ≒0であるとみるこができるから、これら(4)式及び(5)式より、負荷圧Paは(6)式のとおりになる。
【0033】
ai ;メータイン弁の開度
aoB ;ブリード弁の開度
PT;タンク内の圧力
Ps;アクチュエータ駆動用油圧ポンプの吐出圧
χ;ブリード弁開度aoB に対するメータイン弁開度ai の比率
前(6)式と図4とを併せ考えれば明らかなように、アクチュエータ3を始動する場合において、第1の実施例では、操作装置14から出力されるパイロット圧が小さいとき、すなわち、メータイン弁の開度が小さい微操作時には、小さな負荷圧Paしか生じないため、小さな駆動圧力(加速圧力)を得ることが可能となり,パイロット圧が大きいときには、逆に、大きな駆動圧力を得ることができる。したがって、本実施例によれば、アクチュエータ3が始動時に急激な圧力上昇により急激に加速され、微操作性の要求される作業をする際にオペレータの操作感覚を損なうというというような前述した従来技術にみられる問題は生じない。また、一方の流量調整機構の作動時、他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁でブリードオフ回路が形成され、アクチュエータ3への圧油の供給流量がブリードオフ制御されるようにしているので、操作レバー14aの操作量に対するアクチュエータ3の駆動速度が押さえられ、その結果、微操作の行える操作レバー14aの操作領域は必然的に広げるられるため、この点でも微操作性の向上を図ることができる。このように、第1の実施例によれば、一方の流量調整機構の操作時、従来の装置においては遊んでいた他方の流量調整機構の排出流量調節用ポペット弁を活用してアクチュエータへの圧油の供給流量をブリードオフ制御することができ、使用部品の有効な活用を図りつつ、操作性の良好な油圧駆動装置を得ることができる。
【0034】
次に、図5及び図6に基づいて本発明の第2の実施例について説明すると、図5において、31a,31bは各パイロット支管路25a,23aのパイロット圧によりそれぞれ操作され油路を開閉する連通弁、32a,32bは各パイロット支管路25a,23aのパイロット圧で付勢されるバネの付勢力により閉方向の制御力を設定、付与され、負荷管路7,6の圧力により開方向の制御力を付与されるパイロットリリーフ弁で、開方向の制御力が閉方向の制御力よりも大きくなったとき、すなわち負荷管路7,6の油圧がパイロット支管路25a,23aのパイロット圧で付勢されるバネの付勢力を超えたときに開放されて、各排出流量調節用ポペット弁22a,22bの背圧室の圧油を後記排出管路33a,33bを通じてリリーフする。したがって、パイロットリリーフ弁32a,32bは、各パイロット支管路25a,23aと圧負荷管路7,6とのパイロット圧で操作される一種の開閉弁で、その開閉により排出流量調節用ポペット弁22a,22bの背圧室内の背圧を逃がしたり保持したりするため、同ポペット弁22a,22bを開閉させることができる。この排出流量調節用ポペット弁22a,22bは、開作動時、供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側の圧油を戻り管路5を通じてタンクへ逃がすこととなるため、排出流量調節用ポペット弁22a,22bは、パイロットリリーフ弁32a,32bと相俟って、供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側にブリードオフ回路を形成させるための可変リリーフ弁としての機能を兼備することになる。33a,33bはそれぞれ連通弁31a,31b、パイロットリリーフ弁32a,32bが順次設けられ各排出流量調節用ポペット弁22a,22bの背圧室の圧油を各パイロットリリーフ弁32a,32bを通じてタンクへ逃がすための排出管路で、一端が各排出流量調節用ポペット弁22a,22bの背圧室に接続され他端が戻り管路5とつながるように配管されている。連通弁31aは、操作レバー14aを矢印B方向へ操作したとき、パイロット主管路16に出力されるパイロット圧がパイロット枝管路25、パイロット支管路25aを通じてパイロット圧受部に入力されて、排出管路33aの圧油をパイロットリリーフ弁32aの一次側に導くように油路を開き、そのパイロット圧が入力されないときに油路を閉じる。同様にして、連通弁31bは、操作レバー14aを矢印A方向へ操作したとき、パイロット主管路15に出力されるパイロット圧がパイロット枝管路23、パイロット支管路23aを通じてパイロット圧受部に入力されて、排出管路33bの圧油をパイロットリリーフ弁32bの一次側に導くように油路を開き、そのパイロット圧が入力されないときに油路を閉じる。また、パイロットリリーフ弁32a,32bは、操作レバー14aを矢印B方向、A方向へ操作したとき、各パイロット主管路16,15にそれぞれ出力されるパイロット圧が連通弁31a,31bと同様の過程を経てパイロット受部に入力され、これによりバネの付勢力が設定されるため、その閉方向の制御力が主パイロット管路16,15のパイロット圧すなわち操作レバー14aの操作量に応じて設定される。排出流量調節用ポペット弁22a,22bは、このようなパイロットリリーフ弁32a,32bを付設したことにより、負荷管路7,6の油圧がパイロット圧により設定されたバネの付勢力を超えたときに、背圧室の背圧をリリーフして全開し、供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側の圧油を戻り管路5を通じてタンクへ逃がし、その結果、負荷管路7,6の圧力がそのバネの付勢力に相当する値にまで低下すると、もとどおり閉じ、このような開閉動作を繰り返しながら、負荷管路7,6の圧力をパイロット圧により設定されたバネの付勢力に相当する値に常に押さえる。すなわち、排出流量調節用ポペット弁22a,22bは、その開口量を、パイロットリリーフ弁32a,32bを通じてパイロット主管路16,15のパイロット圧によりオンオフ制御され、供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側の油圧をタンクへ逃がし得るようにされていることから、パイロット主管路16,15のパイロット圧によりリリーフ圧が可変に設定され、供給流量調節用ポペット弁21b,21aの二次側の圧油をタンクへ逃がす可変リリーフ弁としての機能を兼備することになる。
【0035】
本発明の第2の実施例の油圧駆動装置は、以上のような構成を備えているので、いま、操作レバー14aを矢印A方向に操作したとすると、その操作レバー14aの操作量に応じた所定値のパイロット圧がパイロット主管路15に出力され、第1の実施例と同様の過程を経て供給流量調節用ポペット弁21a及び排出流量調節用ポペット弁22aのパイロット受部にそれぞれ導かれる。同時に、パイロット主管路15に出力された所定値のパイロット圧は、パイロット枝管路23、パイロット支管路23aを通じて連通弁31bのパイロット圧受部に入力されて、排出管路33bの圧油をパイロットリリーフ弁32bの一次側に導くように油路を開くとともに、同様にしてパイロットリリーフ弁32bのパイロット受部にも入力され、このパイロット受部に導かれたパイロット圧によりパイロットリリーフ弁32bのバネの付勢力が設定される。以上の結果、供給流量調節用ポペット弁21a及び排出流量調節用ポペット弁22aは、第1の実施例と同様、パイロット操作装置14から出力するパイロット圧の値に応じて所定の開口量だけ開口してアクチュエータ3への圧油の供給流量及びアクチュエータ3からの排出流量をそれぞれ調節し、その場合に、負荷管路6の油圧がパイロット操作装置14のパイロット圧により設定されたパイロットリリーフ弁32bのバネの付勢力を超えると、排出流量調節用ポペット弁22bは、背圧室内の背圧を逃がされて全開し、供給流量調節用ポペット弁21aの二次側にブリードオフ回路を形成し、その結果、その二次側の油圧が戻り管路5を通じてタンクに逃がされてリリーフ設定圧まで低下すると、排出流量調節用ポペット弁22bは、背圧室内の背圧を保持されて再び閉じ、このような動作を繰り返しながら、負荷管路6のアクチュエータ負荷圧を所定のリリーフ設定圧に保持する。すなわち、供給流量調節用ポペット弁21aで調節されるアクチュエータ3への圧油の供給流量は、制御機構をなすパイロットリリーフ弁32bにより、排出流量調節用ポペット弁22bの開口量がオンオフ制御されて、負荷管路6のアクチュエータ負荷圧を所定の設定圧に保持するようにブリードオフ制御されることになる。以上、操作レバー14aを矢印A方向に操作した場合のことを述べたが、操作レバー14aを矢印B方向に操作した場合にも、前記したと同様の過程を経て、供給流量調節用ポペット弁21b及び排出流量調節用ポペット弁22bがアクチュエータ3への圧油の供給流量及びアクチュエータ3からの排出流量をそれぞれ調節し、その際、供給流量調節用ポペット弁21bで調節されるアクチュエータ3への圧油の供給流量が排出流量調節用ポペット弁22aを介してパイロットリリーフ弁32aによりブリードオフ制御されることになる。
【0036】
図6には、このようなブリードオフ制御の際、ブリードオフ回路を形成する排出流量調節用ポペット弁のリリーフ設定圧を、操作装置14から出力されるパイロット圧によりパイロットリリーフ弁を通じて設定する場合の圧力特性の一例を示している。なお、同図において、「従来」と表示した一点鎖線は、このような修正の行われない従来の油圧駆動装置における供給流量調節用ポペット弁の二次側のの圧力特性を、参考のために示したものである。この図6から明らかなように、第2の実施例によれば、操作装置14から出力されるパイロット圧が小さいときには、ブリードオフ回路を形成する排出流量調節用ポペット弁のリリーフ設定圧を相対的に小さく、そのパイロット圧が大きいときには、そのリリーフ設定圧を相対的に大きく設定することができることから、この排出流量調節用ポペット弁をして、その設定されたリリーフ設定圧に基づいて開閉動作を繰り返させながら、供給流量調節用ポペット弁の二次側の油圧を適宜リリーフさせることにより、その二次側の油圧すなわち負荷管路のアクチュエータ負荷圧を、所望の値に保持するように直接的に圧力制御することができる。その結果、操作レバー14aの操作量が小さいときには、アクチュエータ3を駆動するための加速圧を低く押さえることができ、その操作量が大きいときには大きくすることが可能であり、微操作時、大操作時の何れにおいても良好な操作性を確保することができる。したがって、本実施例によっても、第1の実施例と同様、従来の装置においては遊んでいた排出流量調節用ポペット弁を活用してアクチュエータへの圧油の供給流量をブリードオフ制御し、使用部品の有効な活用を図りつつ、操作性の向上に資する油圧駆動装置を得ることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、「操作手段により同時操作されて油圧ポンプからアクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータからタンクへ排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成され、アクチュエータを正方向に駆動するように設けられた流量調整機構と、操作手段により同時操作されて油圧ポンプからアクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータからタンクへ排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成され、アクチュエータを逆方向に駆動するように設けられた流量調整機構とを備え、これら両流量調節機構の何れかを選択的に操作してアクチュエータを正逆所望の方向に駆動し得るようにした油圧駆動装置」において、第1の油圧駆動装置については、「課題を解決するための手段」の項で1)に示したように構成し、第2の油圧駆動装置については、「課題を解決するための手段」の項で2)に示したように構成しているので、第1の油圧駆動装置及び第2の油圧駆動装置は、一方の流量調整機構の操作時に、従来の装置においては遊んでいた他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁を活用して、アクチュエータへの圧油の供給流量を、この排出流量調節用ポペット弁を介してそれぞれ減圧弁及びパイロットリリーフ弁によりブリードオフ制御することができる。その結果、流量調整機構を構成する使用部品の有効な活用を図りつつ、アクチュエータの操作性の向上に資することができる。
【0039】
本発明は、ポペット弁による一対の流量調整機構をアクチュエータの正、逆各方向の駆動のために互いに独立して作動させるようにするという従来技術の発想を転換し、一方の流量調整機構の操作時に他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁も流量調整のために積極的に活用して操作性の向上に資するようにしたものであり、その発想は斬新的なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の概要を説明するための油圧駆動装置に関する要部の油圧回路図である。
【図2】本発明の第1の実施例の油圧駆動装置に関する油圧回路図である。
【図3】操作装置の操作により出力されるパイロット圧とブリードオフ制御用パイロット圧との関係を示した第1の実施例に関する特性線図である。
【図4】操作装置の操作により出力されるパイロット圧とブリードオフ回路の形成に兼用されるポペット弁との関係を示した第1の実施例に関する特性線図である。
【図5】本発明の第2の実施例の油圧駆動装置に関する油圧回路図である。
【図6】操作装置の操作により出力されるパイロット圧とブリードオフ制御用のリリーフ弁との関係を示した第2の実施例に関する特性線図である。
【図7】従来の油圧駆動装置に用いられているポペット弁単体の断面図である。
【図8】従来の油圧駆動装置に関する油圧回路図である。
【符号の説明】
1 アクチュエータ駆動用の油圧ポンプ
2 流量調整機構ユニット
3 アクチュエータ
4 主管路
5 戻り管路
6,7 負荷管路
8,9 オペレートチェック弁
13 パイロットポンプ
14 パイロット操作装置
15,16 パイロット主管路
21a,21b 供給流量調節用ポペット弁
22a,22b 排出流量調節用ポペット弁
31a、31b ブリードオフ制御用リリーフ弁
32a32b 切換弁
51a,51b ブリードオフ制御用減圧弁
52a,52b 切換弁
a ポペット弁の弁本体
b 流入ポート
c 流出ポート
d 主弁
e スリット
f 背圧室
g パイロット弁
j パイロット圧導入ポート
Claims (2)
- 操作手段により同時操作されて油圧ポンプからアクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータからタンクへ排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成され、アクチュエータを正方向に駆動するように設けられた流量調整機構と、操作手段により同時操作されて油圧ポンプからアクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータからタンクへ排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成され、アクチュエータを逆方向に駆動するように設けられた流量調整機構とを備え、これら両流量調節機構の何れかを選択的に操作してアクチュエータを正逆所望の方向に駆動し得るようにした油圧駆動装置において、一方の流量調整機構の操作時の操作量に応じて二次圧を低下させてこの二次圧をパイロット圧として出力する減圧弁を設けて、他方の流量調節機構のうちの排出流量調節用ポペット弁をこのパイロット圧により作動させてその開口量を制御し得るようにするとともに、一方の流量調整機構の操作時に、この流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁の二次側に、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁によりブリードオフ回路が形成されるようにし、これにより、アクチュエータへの圧油の供給流量がブリードオフ制御され得るように構成したことを特徴とする油圧駆動装置。
- 操作手段により同時操作されて油圧ポンプからアクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータからタンクへ排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成され、アクチュエータを正方向に駆動するように設けられた流量調整機構と、操作手段により同時操作されて油圧ポンプからアクチュエータへ供給する圧油の供給流量及びアクチュエータからタンクへ排出する圧油の排出流量をそれぞれ調節する供給流量調節用ポペット弁及び排出流量調節用ポペット弁で構成され、アクチュエータを逆方向に駆動するように設けられた流量調整機構とを備え、これら両流量調節機構の何れかを選択的に操作してアクチュエータを正逆所望の方向に駆動し得るようにした油圧駆動装置において、一方の流量調整機構の操作時の操作量に応じて閉方向の制御力を設定、付与されるとともにアクチュエーターへ供給される油圧により開方向の制御力を付与されて開閉するパイロットリリーフ弁を設けて、他方の流量調節機構のうちの排出流量調節用ポペット弁の背圧室内の背圧をこのパイロットリリーフ弁の開閉により逃がしたり保持したりしてその排出流量調節用ポペット弁の開口量をオンオフ制御し得るようにするとともに、一方の流量調整機構の操作時に、この流量調整機構の供給流量調節用ポペット弁の二次側に、他方の流量調節機構の排出流量調節用ポペット弁によりブリードオフ回路が形成されるようにし、これにより、アクチュエータへの圧油の供給流量がブリードオフ制御され得るように構成したことを特徴とする油圧駆動装置。
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