JP3594306B2 - 持続放出型アルギン酸繊維及びその製造方法 - Google Patents
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Description
従来のアルギン酸繊維の製造方法は当業界の文献に多数記述されている。例えば、英国特許第567641号、第568177号、第571657号及び第624987号には、アルギン酸塩溶液をカルシウムイオン含有水溶液中に押出して、アルギン酸カルシウムフィラメントからなる糸を形成する方法が開示されている。布帛とするには通常、アルギン酸カルシウムフィラメントからなる糸条を編成し、アルギン酸カルシウムを部分的にナトリウム形態に変換して、例えばカルシウム形態のアルギン酸塩のカルボキシル基を30〜70重量%含むアルギン酸カルシウム/ナトリウムを形成することにより製造された。
米国特許第4421583号は、アルギン酸カルシウムフィラメントのトウを水流中で拡巾し、広げたフィラメントを、フィラメントが互いに交錯するように透水性支持体上に過剰供給し、これらのフィラメントを交錯し合う接触点で互いに接合するように乾燥することからなる、創傷手当用品として有用な不織アルギン酸布帛の製造方法を開示している。このようなカルシウム含量が70〜95%と高い不織アルギン酸布帛は、例えば、喉の消毒後にヘキサメタリン酸ナトリウム溶液に溶解される喉用スワブとして有用であると述べられている。不織アルギン酸布帛は、例えば水酸化ナトリウム及び酢酸ナトリウムアルコール溶液で処理してカルボキシル基の30〜70%をナトリウム形態とすることにより、カルシウムの一部をナトリウムで置換するように処理し得る。製造されるアルギン酸ナトリウムカルシウム布帛は、体液によって吸収され得る止血用創傷手当用品として有用であると述べられており、例えば深部手術で又は抜歯後に使用される。
WO−A−84/03705号には、医療分野で特に止血用手当用品として使用するのに適した、水又は生理食塩水中での溶解度が大きい布帛を形成するためのアルギン酸繊維の製造方法が開示されている。
米国特許第4562110号には、アルギン酸塩溶液を食塩水溶液浴中に紡糸することからなる乾燥アルギン酸繊維の製造方法が開示されている。この方法では、このように湿式紡糸した不溶性アルギン酸塩の連続繊維であって通常は互いに平行に分離している繊維を回収し、該繊維シートを、シート繊維の給送速度より遅い速度で移動するコンベヤベルト上に供給して、繊維が所定幅のウェブの形態で重なり合うようにする。該繊維ウェブを乾燥し、繊維間の接合を低下させるように伸長する。該ウェブは、薬入り及び外科用手当用品の成分として有用であると述べられている。
当業界では、特定の薬剤を含ませた創傷手当用品も知られている。例えば、EP−A−0279118号には、湿気蒸気透過性連続ポリマーフィルムからなる支持層と、特に30重量%のアルギン酸塩を含む粘着剤の層とで構成された、創傷に使用するのに適した接着製品が開示されている。この先行技術の接着製品は、クロルヘキシジン誘導体のような薬剤を通常は粘着剤層に含み得る。あるいは、薬剤が、感圧粘着剤層に使用されるアルギン酸塩ポリマーの一部分を構成し得る。適当な具体例としては、アルギン酸ナトリウムの銀、銅及び亜鉛誘導体が挙げられると記述されている。
また、米国特許第4753231号には、銀スルファジアジン、ポビドン−ヨウ素、クロルヘキシジン塩、例えばグルコン酸塩、酢酸塩及び塩酸塩、並びに第四級窒素物質、例えば塩化ベンザルコニウムといったような抗菌剤を創傷手当パッドに含ませる方法が開示されている。
更に、米国特許第4817594号には、ヨウ素、ホルモール、石灰、酸素、バチルス毒素等を含む治療用又は殺菌用材料の支持体としての創傷手当用品を開示している。
Smith and Nephew Ltd.,Hull,英国から市販されているBactigras、及びSeton Healthcare Group,Oldman,英国から市販されているSerotulleはどちらも、抗菌剤クロルヘキシジンを含浸したパラフィンガーゼからなる。
先行技術の薬入り創傷手当用品は、創傷手当用品を構成する繊維の表面に薬剤が付着されている。このような表面結合薬剤は、使用環境内で急速に放出されることが予期される。広範囲の臨床適用のためには、傷に対して同一の又は異なる薬剤を時間をかけて調節的に放出させるのが望ましいと考えられる。治療計画の全体を通して薬剤を単に局所適用するだけであると、手当用品を頻繁に除去し交換する必要があるため、不便であると共に感染の危険も伴う。
我々は、薬剤を時間をかけて持続的に放出させるための薬剤含有アルギン酸繊維を製造し得ることを発見した。
そこで本発明は、その薬剤ないし各薬剤が時間をかけて持続的に放出され得るように、繊維の芯に一種類以上の薬剤を含ませたアルギン酸繊維を提供する。
本明細書中の「繊維の芯に含ませた(incorporated into the fibre core)」という表現は、繊維の内部に含まれていることを意味し、薬剤が繊維の表面に付着している状態と対照的な状態を表す。
繊維の芯に含ませた一種類以上の薬剤が実質的に完全に放出されるまでの時間は、使用する薬剤の性質、使用する薬剤の量、及びアルギン酸繊維の透過性といったような要因に依存する。種々の臨床状態には種々の放出時間が必要とされる。典型的には、当該薬剤又は各薬剤は時間、日又は週間単位の期間にわたって使用環境に放出される。例えば、本発明の繊維を創傷手当用品で使用する場合は、アルギン酸繊維の芯に含ませた薬剤が完全に放出されるまでに、1〜7日、例えば4〜5日かかり得る。
傷の治療又は手当では、まず傷に薬剤を一挙に素早く投与し、次いで同じ又は異なる薬剤を傷に対してより遅い速度で調節的に放出させることができるようにすることがしばしば望まれる。例えば、最初に有害な微生物を迅速に殺すために、通常はクロルヘキシジンのような抗菌剤又は殺菌剤をかなりの量で迅速に傷に適用するが、その後は、細菌の再増殖を回避又は防止するために、薬剤をより少ない量で持続的にさらに適用することが望ましい。
従って本発明は、別の目的として、繊維の芯に含ませた一種類以上の薬剤と、繊維の表面に付着させた一種類以上の薬剤とを含むアルギン酸繊維であって、繊維の表面に付着させた薬剤が繊維から急速に放出される一方で、繊維の芯に含ませた薬剤が時間をかけて持続的に放出されるような繊維を提供する。
繊維の表面に付着させた薬剤の放出速度は、薬剤の性質及び使用環境の性質といった多くの要因によって決まる。典型的には、繊維の表面に付着させた薬剤は、分又は時間単位の期間、通常は5〜60分の期間で実質的に完全に放出される。
アルギン酸繊維に一種類以上の薬剤を含ませる操作は、周知のアルギン酸繊維製造方法を改変することによって達成し得る。アルギン酸繊維の製造方法は、例えば英国特許第567641号、第568177号、第571657号及び第624987号に記述されている。これらの方法は本質的に、水溶性アルギン酸塩の水溶液を、例えば塩化カルシウムのような水不溶性アルギン酸塩を形成する金属の塩を含む浴の中に押出して糸を形成することからなる。
我々は、一種類以上の薬剤を水溶性アルギン酸塩溶液中に含ませておき、「原液」と呼ぶ該溶液を、不溶性アルギン酸塩を形成するイオンの溶液中に押出すか又は紡糸すると、芯に薬剤が含浸された繊維が形成されることをここに知見した。
そこで本発明は、繊維の芯に一種類以上の薬剤を含ませたアルギン酸繊維の製造方法であって、アルギン酸塩の溶液を一種類以上の薬剤と一緒に紡糸することからなる方法を提供する。
本発明の繊維の表面には、一種類以上の薬剤を物理的又は化学的手段によって付着させ得る。物理的手段による付着の典型的具体例としては、水素結合、吸着及びファンデルワールス相互作用が挙げられる。あるいは、アルギン酸塩分子と薬剤分子との間にある種の化学的相互作用が生起して、アルギン酸塩部分と薬剤部分との間に架橋結合が生じ得る。化学的手段による付着の典型的具体例としては、塩形成のようなイオン相互作用が挙げられる。例えば、カチオンビスビグアニド誘導体のグルコン酸塩であるグルコン酸クロルヘキシジンは、かなりの潜在的正電荷を有し、負電荷を有するアルギン酸塩分子と高度に作用し合うことが判明した。
本発明のアルギン酸繊維が、繊維の芯に含ませた一種類以上の薬剤と、繊維の表面に付着させた一種類以上の薬剤とを含む場合には、繊維の芯に含まれた薬剤及び繊維の表面に付着した薬剤の各々が互いに同じか又は異なり得ることは明らかであろう。好ましくは、繊維の芯には一種類の薬剤を含ませる。繊維の表面にも一種類の薬剤を付着させるのが好ましい。特に好ましい具体例では、一種類の薬剤を繊維の芯に含ませると共に繊維の表面に付着させる。即ち、各部位の薬剤は同一である。
本発明のアルギン酸繊維と結合して使用し得る薬剤の種類には原則として制限はない。しかしながら、繊維の芯に含ませるべき各薬剤は、基本となるアルギン酸繊維を製造するための紡糸プロセスを妨害すべきではないという意味で、適合性でなければならないと理解されたい。また、繊維の表面に付着させるべき各薬剤は、前述の付着手段のうちのいずれかによって繊維の表面に付着できるようなものであると理解されたい。本発明のアルギン酸繊維と共に使用するのに適した薬剤としては、抗菌剤、例えば、遊離塩基形態及び酢酸塩、グルコン酸塩もしくは塩酸塩としてのクロルヘキシジンのようなビスビグアニド誘導体、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリンのようなテトラサイクリン誘導体及びテトラサイクリン自体、並びにスルファジアジンのようなスルホンアミド誘導体;抗原虫剤、例えばメトロニダゾールのようなイミダゾール誘導体;抗真菌剤、例えばクロルフェネシン;プロメタジン及びクロルプロマジンのようなフェノチアジン誘導体;ヨードウリジンのようなヌクレオシド;ノルアドレナリンのようなホルモン;並びに抗炎症剤、例えばヒドロコルチゾン及びプレドニソロンのようなステロイド誘導体が挙げられる。本発明のアルギン酸繊維と共に使用するための好ましい薬剤としては、クロルヘキシジン、クロルテトラサイクリン、プロメタジン、ノルアドレナリン及びプロドニソロンが挙げられる。特に好ましいのはクロルヘキシジン及びクロルテトラサイクリン、特に遊離塩基及び塩形態のクロルヘキシジン、より特定的には酢酸クロルヘキシジンである。
芯に含ませる薬剤の種類、そして場合によっては表面に付着させる薬剤の種類に応じて、本発明の繊維は種々の利点を有し得る。特に、前述のように、クロルヘキシジンのような抗菌剤又は殺菌剤を、有利には、繊維の芯に含ませ得ると共に繊維の表面に付着させ得る。その場合は、繊維の表面から一挙に放出された薬剤がまず迅速な殺菌を行う一方で、繊維の芯から少量ずつ放出される薬剤の持続性「補足作用(follow−up)」が細菌の再増殖に対処する。より複雑な医療条件では、繊維の芯に含ませる薬剤と繊維の表面に付着させる薬剤とを異種にするとよい。例えば、繊維の芯に含ませる薬剤は抗真菌剤であり得、繊維の表面に付着させる薬剤は抗菌剤であり得る。又は、必要に応じてその逆にしてもよい。あるいは、繊維の表面から放出された成分が最初は不活性プロドラッグの形態を有しており、その後芯の成分が放出された時点で該成分と作用し合って初めて活性になる、すなわち活性薬剤に変換されるような二成分系も考えられる。非限定的具体例として、繊維の芯に含ませる薬剤はスルファジアジンのような抗菌性スルホンアミド誘導体とし得、繊維の表面に付着させる薬剤は、それ自体かなりの抗菌活性を有するとされている銀イオンを含み得る。その場合は、銀イオンが媒質中に急速に放出された後で芯からスルファジアジンがゆっくりと放出され、これが銀イオンと作用し合い、いずれかの成分のみにより及ぼされる効果と比べて相乗的に増加した抗菌効果を示す生成物を発生させる。
繊維の芯に含ませる薬剤の量は通常、そこから基体繊維が紡糸されることになるアルギン酸塩原液中での所与の薬剤の溶解性及び安定性といったような要因に依存する。該量はまた、アルギン酸塩原液に対する所与の薬剤の反応性にも依存する。なぜなら、紡糸不可能な混合物が生成し得るからである。例えば、塩酸クロルヘキシジンはアルギン酸塩原液に貧溶性であり、そのため芯の薬剤濃度はたかだか0.2%w/wとせざるを得ない。また、ステロイドのような非極性のものもアルギン酸塩原液に貧溶性であり、そのため芯の薬剤濃度が約0.1%w/wの繊維しか得られないことが判明した。更に、前述のようにアルギン酸塩分子と高度に架橋することが判明したグルコン酸クロルヘキシジンは、1.0%w/wを明らかに下回る薬剤濃度で紡糸不可能な混合物を形成してしまう。一方、酢酸クロルヘキシジンはアルギン酸塩原液の存在下で良好に機能し、その結果1.0%w/wの範囲の芯の薬剤濃度が容易に得られることが判明した。原則として、繊維の芯の薬剤濃度は0.01%〜2.0%w/wが適当であり、好ましくは0.5%〜1.5%w/wである。
繊維の表面に付着する薬剤の量も種々の要因に依存する。その具体例としては、所与の薬剤が予備形成されたアルギン酸繊維の表面に吸着する能力、又はアルギン酸塩構造と化学的に架橋する能力が挙げられる。一般的には、本発明の繊維の表面に付着させる薬剤の濃度は、0.01%〜2.0%w/wが適当であり、好ましくは0.5%〜1.5%w/wである。
更に別の目的として、本発明は、繊維の芯に含ませた一種類以上の薬剤と、繊維の表面に付着させた一種類以上の薬剤とを含むアルギン酸繊維の製造方法であって、
(1)一種類以上の薬剤を芯に含む繊維を形成するために、アルギン酸塩溶液を一種類以上の薬剤と一緒に紡糸するステップと、
(2)得られた繊維を、繊維の表面に一種類以上の薬剤を付着させることによって改質するステップ
とを含む方法を提供する。
本発明の製造方法で使用するのに適したアルギン酸塩としては、水溶性アルギン酸塩及び水不溶性アルギン酸塩の両方が挙げられるが、最も好ましいのは水溶性アルギン酸塩である。紡糸プロセスで使用するための特定の水溶性アルギン酸塩はアルギン酸ナトリウムである。しかしながら、アルギン酸ナトリウムは有利には1.5重量%までのカルシウムイオンを含み得る。本発明の方法で有用な特定のアルギン酸ナトリウム製品の具体例としては、Kelco International Limitedから市販されているManucol DM、及びProtan Limitedから市販されているProtan LF 10/60が挙げられる。
紡糸操作は、使用するアルギン酸塩及び/又は薬剤の性質に応じて、適応するように改変する。例えば、水溶性の大きい薬剤を使用する場合には、後続の処理の間に薬剤が繊維から浸出するのを防止するために、いわゆる溶媒抑制(solvent suppression)が必要とされ得る。これは、アセトン又はイソプロパノールのような水混和性有機溶媒を薬剤含有アルギン酸塩原液に加えることによって実施される。
予備形成したアルギン酸繊維の表面への一種類以上の薬剤の付着は、種々の標準的方法のいずれかによって行うのが適当である。どの方法を使用するかは、例えば所与の薬剤が予備形成アルギン酸繊維に吸着する相対能力、又はアルギン酸塩構造と化学的に架橋する能力に依存する。この操作も、使用するアルギン酸塩及び/又は薬剤の性質に応じて、適応するように改変する。
例えば、前述の製造方法のステップ(1)で得た薬剤含有アルギン酸繊維は、一種類以上の所与の薬剤の水溶液を含む浴中に浸漬し得る。この操作は明らかに、かなりの水溶性を示す薬剤、例えばクロルヘキシジンに特に適している。必要であれば、アセトンのような水混和性補助溶剤を浴中で使用し得る。必要量の吸着及び/又は架橋を許容し得る速度で促進するために、繊維を浴中で走らせるとよい。薬剤溶液に繊維を浸漬する時間は、最終的に吸着し及び/又は架橋する薬剤の量に影響する。これは、最終繊維の製造過程における品質管理基準をもたらし、従って、表面に種々の濃度の薬剤が付着した一連の繊維、即ち表面から急速に放出できる薬剤を対応する範囲の量で有する繊維を製造し得ることを意味する。
あるいは、アセトンのような揮発性溶媒中の当該薬剤又は各薬剤の溶液を、前述の方法のステップ(1)で得た予備形成アルギン酸繊維に噴霧してもよい。その結果、揮発性溶媒の蒸発後に、例えば吸着及び/又は化学的架橋によって特定量の薬剤が付着した最終繊維が得られる。この方法は明らかに、メトロニダゾールのような比較的低い水溶性の薬剤に特に適している。
最終繊維の透過性は、使用した特定のアルギン酸塩の分子構造に作用される。アルギン酸塩は、グルクロン酸塩及びマンヌロン酸塩、即ち糖誘導残基からなるブロックコポリマーである。透過性の決定に影響する一つの要因は、実際に使用するポリマーの特定ブロック構造、即ちグルクロン酸塩及びマンヌロン酸塩残基ブロックの分子内での正確な分布である。グルクロン酸塩ブロックの割合が高いと、カルシウムイオンのキレート化の傾向が促進されることが知られている。これは、マンヌロン酸塩ブロックに対してグルクロン酸塩ブロックの割合が高いと透過性の低い繊維が得られ、マンヌロン酸塩ブロックに対してグルクロン酸塩ブロックの割合が低いと透過性のより高い繊維が得られることを意味する。
グルクロン酸塩残基の割合が高いアルギン酸塩は、高Gアルギン酸塩として知られており、グルクロン酸塩残基の割合が低いアルギン酸塩は低Gアルギン酸塩として知られている。高Gアルギン酸塩及び低Gアルギン酸塩はどちらも本発明で使用するのに適している。
繊維の芯に含まれる薬剤の量の制御、従って繊維の芯からの薬剤放出速度の制御は、繊維の紡糸の源である浴の溶液の濃度を変えることによって実施し得る。
繊維の芯に含まれる薬剤の量に影響する別の要因は、紡糸浴中での薬剤の溶解性である。ある種の薬剤はpH依存性が極めて高く、従って紡糸浴中の溶液を一定の最適pHに維持することが望まれる。例えばクロルヘキシジンの場合には、紡糸浴溶液を6.0以下のpHに維持するのが理想的である。
従来の繊維紡糸プロセスは通常、製造過程の最後の近く又は最後に乾燥段階を含む。乾燥はアセトン浴で実施するか、又は加熱によるのが適当である。後者の場合は、アセトン乾燥を用いた場合よりも密度が低い繊維が得られる。この差も、繊維の芯の透過性、従って繊維の芯からの薬剤放出速度を制御する貴重な手段を提供し得る。アセトン乾燥では、その間に、繊維の芯から薬剤が損失されることがある。この現象は、アセトン乾燥浴のpHを要求通りに変えることによって制御し得る。
別の目的として、本発明は、本発明のアルギン酸繊維で全面的又は部分的に形成したアルギン酸布帛を提供する。
本発明のアルギン酸布帛は、例えば不織布、織布又は編物であり得る。該布帛は不織布が好ましい。不織布は製造が容易であるというだけでなく、例えば編物ほど簡単には伸びないと認められていて、一般に寸法安定性がよいからである。
不織布の製造では、綿カードを使用してウェブを形成し、該ウェブを例えばGarnet Bywaterクロスラッパーでクロスラップし、次いでGarnet Bywaterニードル機でニードルパンチし得る。織布の製造では、前駆体アルギン酸繊維をカードにかけ、次いで糸条に紡績し、これを通常の織機で織ればよい。あるいは、英国特許第568177号に記載の方法に従って紡糸用ポット内に繊維を回収したものを織ってもよい。編物の製造では、やはり英国特許第568177号に記載の方法で繊維を連続フィラメント糸状に製造し、これを通常の編機で編む方法を使用し得る。
本発明は、本発明のアルギン酸布帛からなる創傷手当用品も提供する。
本明細書中の「創傷手当用品(wound dressing)」という用語は、外科用手当用品を包含する。「創傷」という用語は、火傷、瘢痕、切り傷、糜爛、潰瘍、疱疹、皮疹又は他の任意の外傷もしくは病変皮膚部分を包含する。
火傷又は瘢痕の治療に使用する場合の本発明の創傷手当用品は、有利には、手当用品を構成する繊維の芯に含ませるかもしくは繊維の表面に付着させて、又はその両方で、火傷又は瘢痕部位の感染を防止する上で特に効果的であることが知られている一種類以上の抗菌剤を含み得る。この種の適当な抗菌剤としては、メトロニダゾール及びスルホンアミド誘導体が挙げられる。
アルギン酸繊維構成成分の生物学的劣化を防止又は遅延させるために、本発明の創傷手当用品には、一般的な防腐剤、例えばMetasol D3T(Merck)、Parasept(メチルパラベン)(Kaloma Chemical)又はBromopol(2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール)(Boots Ltd.)を含ませると有利である。
本発明の創傷手当用品は、当業者に公知の創傷手当用品成分を一種類以上含み得る。例えば、該創傷手当用品は一つ以上の接着層を含み得る。接着層はそれぞれ独立して、典型的には熱可塑性樹脂からなる連続的又は非連続的層を含み得る。各層は湿気又は蒸気に対して不浸透性であってよい。あるいは、各層が半透性であってもよい。適当な材料は70〜120℃の軟化点を有し、ポリカプロラクタムもしくは他の「ナイロン」のようなポリアミド、並びにポリカーボネート又はポリウレタンであり得る。この種の材料は20μm以下の孔径を有し得る。これらの材料は、100%の標準相対湿度及び37℃の標準温度で水蒸気透過性(200〜2000g/m2/24時間)であり得る。効果的な孔径は2μm以下であり得る。
本発明の創傷手当用品は一つ以上の吸収層も含み得る。吸収層はそれぞれ独立して、本発明のアルギン酸繊維の他に、カラヤゴム、イナゴマメゴム、グアルゴム、アクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ペクチン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、高分子量カーボワックス、カルボキシポリメチルコラーゲン、綿及び炭素を含み得る。
該創傷手当用品は更に、創傷と向かい合う分離された別個の層を含み得る。この創傷と向かい合う層は任意に、前述の群の中から選択した非接着性半透性熱可塑性樹脂であってよい。
該創傷手当用品の大きさ及び形状は随意に決定し得る。典型的には、該創傷手当用品はほぼ円形又は矩形であり、1〜200cmの長さ、幅又は直径を有し得る。
本発明のアルギン酸布帛で形成した創傷手当用品の形態は、有利には、当業者によく知られている一般的な手当用品と同様である。適当な手当用品の具体例としては、包帯、接着性ストリップ状手当用品、アイランドドレッシング(island dressing)、種々のパッド、外科用スポンジ及びパック、登録商標“Steripad"で市販されているタイプの保護ドレッシング(ward dresssing)、及び、例えば膣カンジダ症を治療するためのミコナゾールのような抗真菌剤を含浸し得るタンポンのような用品が挙げられる。この種の手当用品は当業者に公知の標準的方法で適当に製造し得る。
本発明の手当用品は、密封袋内に包装して、例えば酸化エチレン又はγ照射により殺菌するのが適当である。
更に別の目的として、本発明は、本発明の創傷手当用品を傷に適用することからなる創傷治療方法も提供する。
以下、添付図面を参照しながら実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
第1図は、繊維の芯に薬剤を含ませたアルギン酸繊維を製造するのに適した装置を簡単に示す説明図である。
第2図は、繊維の芯にクロルヘキシジンを含ませたアルギン酸繊維について、クロルヘキシジンの放出率をインキュベーション時間の関数としてプロットしたグラフである。
第3図は、アルギン酸繊維の表面に付着したクロルヘキシジンの濃度(繊維1g当たりmg)を、クロルヘキシジン浴中に未含浸繊維を浸漬する時間の関数としてプロットしたグラフである。
方法A
クロルヘキシジン含有アルギン酸繊維の基本的製造方法
適量の二酢酸クロルヘキシジン(0.05g)を含む脱イオン水(95ml)にアルギン酸ナトリウム(5g)を溶解して、クロルヘキシジンを含むアルギン酸塩原液を調製した。該混合物を、可視粒状物質が分散されるまで、Silversonミキサーで撹拌した。次いで該混合物を24時間静置した。第1図に簡単に示す装置を用いて、ポンプ1により400孔口金2を介して、塩化カルシウム及び塩化ナトリウム溶液が入っている浴3内に前記混合物を押出した。押出し速度は、圧力計5に連結されたポンプ速度制御器4により制御し得る。得られた繊維を二つのゴデット6及び7の間で延伸した。これらゴデットの操作はそれぞれゴデット制御器8及び9で制御した。次いで繊維を、制御器11で制御される巻き上げスプール10上に集めた。製糸中の繊維が装置を通過する進路は、繊維ガイド12、13及び14で制御した。集めた繊維をアセトンで乾燥し、該アセトンを温風流で除去した。繊維の収量は4.5g、二酢酸クロルヘキシジン含量は0.5%W/Wであった。
方法B
繊維中の二酢酸クロルヘキシジン含量を測定するための 分析方法
3.0mgの二酢酸クロルヘキシジンを20mlの2N塩酸に溶解し、下記のように処理した。希釈によって、二酢酸クロルヘキシジンを各々2.4mg、1.8mg、1.2mg及び0.6mg含む溶液を調製し、類似の方法で処理した。吸収を475nmで測定し、検量線を作成した。
前述の方法Aで製造した繊維を400mg秤量し、小ビーカー内に配置した。クロルヘキシジンの抽出が完全に行われるように、該繊維を小片に切断した。20mlの2N塩酸を加え、該混合物を撹拌した。次いで真空下で濾過した。濾液を100mlメスフラスコに入れた。容量を脱イオン水で約80mlに調整した。5.0mlのセトリミド溶液(20gのセトリミドB.P.を80mlの暖かい脱イオン水に溶解し、冷却し、100mlに希釈して調製)を加え、次いで後述のように調製したアルカリ性次亜臭素酸ナトリウムを2.0ml加えた。必要であれば、溶液がアルカリ性になるまで少量の水酸化ナトリウムを加えた。アルカリ性になったことは、黄色から橙色への溶液の色変化によって検出された。次いで、脱イオン水を用いて、該溶液の量を100mlにした。次いで吸収を475ナノメートルで測定し、繊維の二酢酸クロルヘキシジン含量を、前述のように作成した検量線を基準にして計算した。
前述の方法で使用したアルカリ性次亜臭素酸ナトリウムは下記のように製造し得る:
5mlの臭素をメスシリンダー内に配置する。これを、三角フラスコ内の400mlの脱イオン水に10gの水酸化ナトリウムを加えて調製した水酸化ナトリウム溶液400mlに加える。臭素が完全に溶解するまで撹拌する。該溶液の量を脱イオン水で500mlに調整する。得られた溶液100mlを脱イオン水で150mlに希釈することにより、作業用試薬を調製する。132mlをメスシリンダーに入れ、66mlの3N水酸化ナトリウムを加える。これは約1カ月間安定である。
方法C
繊維からのクロルヘキシジンの放出
前述の方法Aで製造した繊維を、下記のように24の100mg試料に切断した。
繊維の本体、即ちある特定の部分から、適当な長さの繊維を切り取った。これを3つの同じ長さの100mg試料に切断し(それぞれa、b及びcとマークした)、更に別の100mg断片を各バッチの対照試料(対照とマークした)として使用すべく保持した。各100mg試料を、対応するマークの付いた個別の小さい試料バイアル内に配置した。試料a、b及びcには、2mlのPseudomonas aeru ginosa純粋培養物を、繊維が完全に被覆されるように加えた。各バッチの対照試料はそのままにした。全試料を37℃で75分間インキュベートした。対応する試料について、別の特定時間−150分、225分、300分、375分及び450分にわたり前述の操作を繰り返した。これには全部で24の試料が必要とされる。
次いで試料を、前述の方法Bで説明したように、クロルヘキシジン含量について分析した。各インキュベーション時間毎に、個々のa、b及びcの読取り値の平均を計算した。得られた結果を下記の表1及び第2図に示す。第2図は、クロルヘキシジンの放出率(%)を時間に対してプロットしている(本明細書で使用するCXという記号はクロルヘキシジンの略号である)。
表1及び第2図から明らかなように、繊維の芯からのクロルヘキシジンの放出は、経時的に安定して持続的に行われる。
方法D
繊維表面に二酢酸クロルヘキシジンを含むアルギン酸繊 維の製造
脱イオン水中の二酢酸クロルヘキシジン飽和溶液を3l調製した。長さ約8cmのアルギン酸カルシウム繊維トウを所定の時間にわたり前記溶液に浸漬した。次いで試料をアセトンに短時間浸けることによって乾燥し、その後アセトンを温風流で流すことによって除去した。繊維試料を前述の方法Bに記載のように分析した。得られた結果を下記の表2及び第3図に示す。第3図は、繊維表面に付着した二酢酸クロルヘキシジンの濃度を浸漬時間の関数としてプロットしている。
第3図から明らかなように、繊維表面に付着したクロルヘキシジンの濃度は本質的に、二酢酸クロルヘキシジン溶液浴への繊維の浸漬時間に比例する。
方法E
アルギン酸繊維へ付着したクロルヘキシジンの有効性を 調べるための実験
前述の方法Dで説明したように表面をクロルヘキシジンで処理した繊維の非照射試料を用いて、細菌感染度を測定した。検査には下記の細菌株を使用した:
Candida albicans NCPF 3255
Pseudomonas aeruginosa NCTC 10322
Escherischia coli NCTC 9001
Proteus vulgaris NCTC 4175
トリプトンダイズブイヨンの4つの10ml試料に各株を接種し、各々についてプレート計数を行った。次いで、繊維の100mg試料を半分のブイヨンに加え、残りを対照として使用した。栄養寒天上にプレーティングした0.1mlアリコートを除去することにより、繊維を加えた方のブイヨンを再びサンプリングし、次いで1時間間隔でサンプリングした。対照ブイヨンは、実験の最初と最後にだけサンプリングした。得られた結果を下記の表3に示す。
前掲の表3の結果から明らかなように、検査した細菌株がいずれも繊維表面から放出されたクロルヘキシジンに対して高度の感受性を示したことからして、クロルヘキシジンはアルギン酸繊維への付着によって不活性化されることはない。該化合物は、接種後の最初の1時間以内に明白な活性を示し、6時間の検査を通して活性を維持した。これらの結果は明らかに、クロルヘキシジンがアルギン酸塩との接触によって失活することを示唆する種々の文献の報告を否認するものである。
Claims (18)
- 繊維の芯に含ませた一種類以上の薬剤と、繊維の表面に付着させた一種類以上の薬剤とを含み、繊維の表面に付着した薬剤の濃度が0.01%〜2.0%w/wであり、繊維の表面に付着した当該薬剤又は各薬剤が繊維の表面から急速に放出され得、繊維の芯に含まれた当該薬剤又は各薬剤が時間をかけて持続的に放出され得るアルギン酸繊維。
- 繊維の表面に付着した薬剤の濃度が0.5%〜1.5%w/wである請求項1に記載のアルギン酸繊維。
- 当該薬剤又は各薬剤が、抗菌剤、抗原虫剤、抗真菌剤、フェノチアジン誘導体、ヌクレオシド、ホルモン及び抗炎症剤の中から選択したものである請求項1又は2に記載のアルギン酸繊維。
- 当該薬剤又は各薬剤が、クロルヘキシジン、クロルテトラサイクリン、プロメタジン、ノルアドレナリン及びプレドニソロンの中から選択したものである請求項3に記載のアルギン酸繊維。
- 繊維の芯に単一の薬剤を含ませた請求項1から4のいずれか一項に記載のアルギン酸繊維。
- 繊維の表面に単一の薬剤を付着させた請求項1から5のいずれか一項に記載のアルギン酸繊維。
- 薬剤がクロルヘキシジン又はその塩である請求5又は6項に記載のアルギン酸繊維。
- 薬剤が酢酸クロルヘキシジンである請求項7に記載のアルギン酸繊維。
- 繊維の芯に単一の薬剤を含ませてあり、繊維の表面に単一の薬剤を付着させてあり、各部位の薬剤が同一のものである請求項1から8のいずれか一項に記載のアルギン酸繊維。
- 薬剤が酢酸クロルヘキシジンである請求項9に記載のアルギン酸繊維。
- 繊維の芯の薬剤濃度が0.01%〜2.0%w/wである請求項1から10のいずれか一項に記載のアルギン酸繊維。
- 請求項1から11のいずれか一項に記載のアルギン酸繊維の製造方法であって、
(1)アルギン酸塩溶液を一種類以上の薬剤と一緒に紡糸するステップと、
(2)得られた繊維を、その表面への一種類以上の薬剤の付着によって改質するステップ
とを含み、繊維の表面に付着した薬剤の濃度が0.01%〜2.0%w/wである前記方法。 - ステップ(1)が、アルギン酸ナトリウム水溶液と一種類以上の薬剤とをカルシウムイオン含有溶液中に押出すことからなる請求項12に記載の方法。
- ステップ(2)が、ステップ(1)で製造した繊維を一種類以上の薬剤の溶液中に浸漬することからなる請求項12又は13に記載の方法。
- ステップ(2)が、ステップ(1)で製造した繊維に一種類以上の薬剤を噴霧することからなる請求項12又は13に記載の方法。
- 請求項12から15のいずれか一項に記載の方法で製造したアルギン酸繊維。
- 請求項1から11及び16のいずれか一項に記載のアルギン酸繊維で全面的又は部分的に形成したアルギン酸布帛。
- 請求項17に記載のアルギン酸布帛からなる創傷手当用品。
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