JP3593793B2 - 吸入器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は人体の呼吸器系に炎症などが生じた場合の治療に用いられる吸入器、殊に加圧空気や蒸気を利用して薬液(吸入液)の噴霧を行う吸入器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
吸入器による薬液の吸入を行う場合、炎症が生じた場所に応じて口からの吸入と鼻からの吸入とを切り換えて行うことができるようにしておくのが好ましい。このような吸入器としては、特開昭61−240966号公報に示されたものがある。これは口からの吸入に適したノズル部に鼻用のアタッチメントを装着すれば鼻からの吸入が容易となるようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、吸入を口から行うか鼻から行うかによってアタッチメントの着脱を必要とする上記のものでは、その切り換えやアタッチメントの保管が面倒である上にアタッチメントの紛失の虞れを多分に有している。
本発明はこのような点に鑑み為されたものであり、その目的とするところは口からの吸入と鼻からの吸入とを簡単に切り換えることができる吸入器を提供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、ノズルから噴出させる蒸気や加圧空気にて薬液の噴霧を行う吸入器において、上記ノズルが内部に配されているとともに顔にあてがわれて口と鼻とを覆うマスクと、このマスク内にあってその移動でノズルからの噴霧の流れを口側と鼻側とに切り換えるガイドフラップとを備えるとともに、上記ノズルは口側に向けて噴霧するものであり、上記ガイドフラップは上記噴霧の流れを偏向して鼻側に切り換えるものであることに特徴を有している。マスク内に配されたガイドフラップを動かすだけで口からの吸入と鼻からの吸入とを切り換えることができる。またガイドフラップで噴霧の流れを変更する状態と、ガイドフラップが噴霧の流れを妨げない状態とにおいて、霧化された薬液の粒子径を異ならせることができるが、ノズルは口側に向けて噴霧するものとし、ガイドフラップは上記噴霧の流れを偏向して鼻側に切り換えるものとしているために、粒子径の小さい薬液を鼻から吸入することができ、粒子径の大きい薬液を口から吸入することができる。
【0005】
そしてガイドフラップは連動する第2フラップを備えたものであってもよい。また、ノズルの周囲に外部空気をノズル付近に導くノズルガイドを備えていたり、マスクの顔にあてがわれる先端開口部付近の側壁に排出口を備えているものも好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例について説明すると、この吸入器は机上に置いて使用されるとともに蒸気を利用して薬液の噴霧を行うもので、蒸気発生器1を内蔵するハウジング2には薬液タンク20と排水タンク21とが着脱自在に取り付けられている。
【0007】
蒸気発生器1は給水タンク10とヒータ19とからなるもので、中央にオーバーフロー管11を備えた給水タンク10の上面開口は中蓋12と蓋13とで閉じられており、下端開口が上記排水タンク21の上方に位置するオーバーフロー管11の上端開口は、中蓋12が装着された時、中蓋12の下面中央に配されたリリーフ弁14によって閉じられるようになっている。また給水タンク10の内部はヒータ19が装着された側壁に設けられた蒸気発生室16と給水部15とに区画されており、給水部15と蒸気発生室16との下端同士が通路17によって連通し、給水部15の上方空間と蒸気発生室16の上部とが孔18によって連通している。そして蒸気発生室1の上部には斜め上方を向いたノズル3が設けられている。
【0008】
ハウジング2における薬液タンク20の装着部には吸い上げ管22が設けられており、上記ノズル3の先端付近に位置する吸い上げ管23の上端には第2ノズル23が設けられている。ノズル3から蒸気が噴出する時の第2ノズル23付近の圧力低下で薬液タンク20内の薬液が吸い上げられて第2ノズル23から出るとともに、この時に薬液が霧化され、ノズル3から噴出する蒸気流に乗って霧化された薬液も放出される。
【0009】
ハウジング2の上端にはカバー4が着脱自在に配設されている。ここにおけるカバー4は、図6及び図7にも示すようにノズル3側に斜め上方に立ち上がる筒状のマスク5と、ノズル3の上部を覆うノズルガイド50とを一体に備えたもので、マスク5はその先端を顔に当てた時、図8に示すように口Mと鼻Nとを同時に覆うことができる大きさのものとされている。またマスク5の先端部の周面には排出口52が設けられ、マスク5の根元部には空気導入口51が設けられている。該空気導入口51は図6及び図7に示すように、ノズルガイド50で囲まれるノズル3周辺部に通路53によって連通している。
【0010】
そしてマスク5内にはガイドフラップ6が配設されている。マスク5の両側壁によって支持される軸61を有しているガイドフラップ6は、ノズル3付近を軸線が通る上記軸61を中心として回動自在となっているもので、軸61の一端に連結されるとともにマスク5の外面に位置するレバー60の操作により、ガイドフラップ6はノズルガイド50の上方に覆い被さってノズル3の前方を解放する状態と、ノズル3の前方において立ち上がる状態との間で回動する。
【0011】
しかしてこの吸入器においては、その使用に際し、カバー4と蓋13と中蓋12とを外して給水タンク10内に水を充填する。この時、規定容量以上の水を入れた時にはオーバーフロー管11から余分な水が排水タンク21へと排出される。次いで中蓋12、蓋13、カバー4を装着して図2に示す電源スイッチ25を入れたならば、ヒータ19に通電されて給水タンク15におけるヒータ19に面した蒸気発生室16内の水が加熱されて蒸気となり、該蒸気は孔18と給水タンク10の上部空間とを経てノズル3へと送られてノズル3から噴出する。前記中蓋12は前述のように給水タンク10に装着された時にオーバーフロー管11の上端開口を閉じるリリーフ弁14を備えており、該リリーフ弁14はノズル3が詰まるなどの理由で給水タンク10内の圧力が異常に高くなった時に開いてオーバーフロー管11を通じて蒸気を外部に逃がす。従って給水タンク10内が異常高圧となることはない。
【0012】
ノズル3から噴出する蒸気は、第2ノズル23付近の圧力を下げるベンチュリー効果で薬液を吸い出し、第2ノズル23からの吐出時に霧化された薬液は蒸気流に乗ってマスク5内に放出される。マスク5に設けたノズルガイド50は、空気導入口51や通路53を通じて外部空気を導入することで、蒸気による薬液の噴霧を行っている時のマスク5内の温度を下げるためのものであり、マスク5に設けた排出口52はマスク5に顔をあてがった状態で呼吸を止めた時や息を吐いた時のマスク5内の蒸気の排出と温度上昇防止のためである。
【0013】
そしてノズル3からの蒸気の噴出で薬液をマスク3内に噴霧させた時、ガイドフラップ6を倒して図4に示すようにノズル3の前方を解放していたならば、霧化された薬液及び蒸気はノズル3からの吐出方向にそのまま直進する流れとなり、マスク5内の下方側に沿って進むために、マスク5にあてがわれた鼻と口とのうち、口の方に薬液及び蒸気が多く流れる。これに対してガイドフラップ6を起こして図5に示すようにノズル3の前方にガイドフラップ6を位置させた時には、霧化された薬液及び蒸気はガイドフラップ6によって直進が妨げられて上方へと流れ、マスク5内の上方側に沿って進むために、マスク5にあてがわれた鼻と口とのうち、鼻の方に薬液及び蒸気が多く流れる。
【0014】
ここにおいて、霧化された薬液を含むことになる蒸気流の方向の切り換えをノズル3そのものの向きの変更で行わずにガイドフラップ6で行っているのは、向きの変更時に霧化された薬液の粒子径も変えることができるようにするためである。すなわち、霧化された薬液がガイドフラップ6によって流れの向きが変えられる時、粒子径の大きいものはガイドフラップ6に当たって落とされるために、粒子径の小さいものだけがマスク5の先端側へ至ることになる。
【0015】
また比較的太い気管である上気道には粒子径が大きい薬液の方が沈着しやすく、気管支等の比較的細い末梢気管には粒子径が小さい薬液の方が沈着しやすいのであるが、上気道への薬液の沈着は口からの吸入が好ましいために、口からの吸入時にはガイドフラップ6による流れの変更を行わずに粒子径の大きい薬液を口腔内に送り込み、粒子径の大きい薬液を必要としない鼻からの吸入時にはガイドフラップ6による流れの変更を行って、粒子径の細かい薬液のみを吸入することができるようにしているものである。
【0016】
図9及び図10に他例を示す。これは蒸気及び霧化された薬液の流れの変更をより確実に行うことができるように、ガイドフラップ6の他に第2フラップ65を設けたもので、やはり回動自在となっている第2フラップ65はガイドフラップ6との係合部を備えており、ガイドフラップ6を起こしてノズル3の前方に位置させる時、第2フラップ65も同時に起こされ、ガイドフラップ6を倒してノズル3の前方から退去させる時、第2フラップ65がガイドノズル50上に畳まれるようにしている。
【0017】
蒸気発生器1から発生させた蒸気流によって薬液の霧化を行うものを示したが、ポンプによって送り出す加圧空気流によって薬液の霧化を行うものであってもよいのはもちろんである。またマスク5はカバー4と別体であってもよい。さらにガイドフラップ6が軸61を中心とする回転を行うものを示したが、その移動で噴霧の流れの方向を変えられるのであれば、どのような構造のものであってもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、顔にあてがうマスクを口と鼻とを覆うものとし、このマスク内にあってその移動でノズルからの噴霧の流れを口側と鼻側とに切り換えるガイドフラップとを備えて、ガイドフラップの移動で噴霧の流れを口側と鼻側とに切り換えるために、ガイドフラップを動かすだけで口からの吸入と鼻からの吸入とを切り換えることができるものであり、アタッチメントの着脱で切り換えを行うものに比して切り換えが簡単である上にアタッチメントの保管や紛失の虞れといった問題を無くすことができる。しかもノズル前方に位置させたガイドフラップで噴霧の流れを変更する状態と、ノズル前方位置からガイドフラップを退去させて噴霧の流れを妨げない状態とにおいて、霧化された薬液の粒子径を異ならせることができるものであり、ノズルは口側に向けて噴霧するも、ガイドフラップは上記噴霧の流れを偏向して鼻側に切り換えるものとしていることから、粒子径の小さい薬液を鼻から吸入することができ、粒子径の大きい薬液を口から吸入することができるものであって、口からの吸入と鼻からの吸入とをいずれも効果的に行うことができる。
【0019】
またガイドフラップが連動する第2フラップを備えたものであると、噴霧の流れの切換をより確実に行うことができる。
【0020】
さらにノズルの周囲に外部空気をノズル付近に導くノズルガイドを備えているならば、蒸気で噴霧を行うものにおいて、マスク内の温度を適温にすることができ、マスクがその顔にあてがわれる先端開口部付近の側壁に排出口を備えているならば、マスク内の温度上昇を確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す縦断面図である。
【図2】同上の斜視図である。
【図3】同上のガイドフラップを示しており、(a)(b)は共に斜視図である。
【図4】同上の口からの吸入の場合の状態を示す部分縦断面図である。
【図5】同上の鼻からの吸入の場合の状態を示す部分縦断面図である。
【図6】同上のマスク及びカバーの縦断面図である。
【図7】同上のマスク及びカバーの底面図である。
【図8】同上のマスクの顔への装着状態を示す説明図である
【図9】他例の縦断面図である。
【図10】同上の切換時の縦断面図である。
【符号の説明】
1 蒸気発生器
3 ノズル
5 マスク
6 ガイドフラップ
Claims (4)
- ノズルから噴出させる蒸気や加圧空気にて薬液の噴霧を行う吸入器において、上記ノズルが内部に配されているとともに顔にあてがわれて口と鼻とを覆うマスクと、このマスク内にあってその移動でノズルからの噴霧の流れを口側と鼻側とに切り換えるガイドフラップとを備えるとともに、上記ノズルは口側に向けて噴霧するものであり、上記ガイドフラップは上記噴霧の流れを偏向して鼻側に切り換えるものであることを特徴とする吸入器。
- ガイドフラップは連動する第2フラップを備えていることを特徴とする請求項1記載の吸入器。
- ノズルの周囲に外部空気をノズル付近に導くノズルガイドを備えていることを特徴とする請求項1または2記載の吸入器。
- マスクは顔にあてがわれる先端開口部付近の側壁に排出口を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の吸入器。
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-
1996
- 1996-06-10 JP JP14722896A patent/JP3593793B2/ja not_active Expired - Fee Related
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