JP3593403B2 - 光学式エンコーダ - Google Patents
光学式エンコーダ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3593403B2 JP3593403B2 JP33274095A JP33274095A JP3593403B2 JP 3593403 B2 JP3593403 B2 JP 3593403B2 JP 33274095 A JP33274095 A JP 33274095A JP 33274095 A JP33274095 A JP 33274095A JP 3593403 B2 JP3593403 B2 JP 3593403B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- slit
- area
- moving plate
- light
- image
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Optical Transform (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は発光素子と受光素子とスリットを有する移動板とからなる光学式エンコーダに関する。より詳しくは、光学的な手段を用いてエンコーダ出力の高分解能化を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14は従来の光学式エンコーダの一例を示す模式的な斜視図である。回転変位するディスクからなる移動板101には、その周方向に沿って所定のピッチでスリット102が形成されている。移動板101の一面側には光源となる発光素子103が固定配置されている。発光素子103と移動板101の間にはレンズ104が介在しており、光源からの発散光を平行光に変換する。なお、レンズ104は必ずしも必要なものではない。移動板101の他面側には固定マスク105を介して受光素子106が配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図14に示した従来の光学式エンコーダでは、発光素子103と受光素子106が対面配置し、両者の間に移動板101と固定マスク105が介在している。発光素子103から放射した光源光は回転変位するスリット102と固定マスク105とにより断続的に透過/遮断され、受光素子106の受光量が周期的に変化する。受光素子106はこの受光量変化に応じて電気信号を出力し移動板101の変位を検出している。この構成では、スリット102と固定マスク105の間隔を小さくし、光源光を平行ビームにしないと、高分解能なエンコーダ出力は実現できない。この方式では、スリット102の配列ピッチを精々100μm程度にまで微細化するのが限界であった。
【0004】
高分解能化を図る為、コヒーレントな光(可干渉光)の回折及び干渉を利用した光学式エンコーダが知られており、例えば特開昭62−200219号公報に開示されている。このエンコーダは光源と、この光源で得られる所定の方向に偏光した可干渉光束を分割する偏光ビームスプリッタと、これにより分解された複数の光束を移動可能な回折格子に向ける第1光学系と、回折格子から出射する複数の回折光を重ね合わせる第2光学系と、この重ね合わされた光束を受光する受光素子とを有している。受光素子から出力される信号により回折格子の移動状態を検出する。この光学式エンコーダは回折格子を利用しており、そのスリットピッチは数μm程度まで高分解能化できる。しかしながら、光源としてレーザが必要であり且つ構成光学部品の点数が増える為、価格が高いという欠点がある。
【0005】
高分解能化を目的として拡大光学系を用いたエンコーダも知られており、例えば特開昭57−104815号公報に開示されている。このエンコーダは等しい角度ピッチの透明部/不透明部を円周上に配置したスリットを有する移動板と、そのスリットを照明する光源と、ラインセンサと、照明を受けたスリットを拡大投影してラインセンサの画素ピッチと略等しくなる様に結像する投影レンズと、ラインセンサの出力から移動板の回転角を算出する処理回路とを備えている。拡大光学系を利用する事によりスリットピッチを10μm程度まで微細化可能である。しかしながら、このエンコーダは拡大光学系を採用する為、光軸方向にサイズが大型化すると共に、発光素子と受光素子の間隔が離間する。光学構成が立体的となり大型化が避けられないと共に価格的にも不利である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した様に、従来の技術ではエンコーダ出力の高分解能化を図ろうとすると、部品点数が増加したりサイズが大型化したり、形状的にも無理が生じるという課題があった。かかる従来の技術の課題を解決する為以下の手段を講じた。即ち、本発明にかかる光学式エンコーダは基本的な構成として、第1領域及び第2領域を通過する移動板と、該移動板の一面側で第1領域に対面配置した光源と、該移動板の一面側で第2領域に対面配置した受光素子と、該移動板の他面側で第1領域と第2領域の間に介在する投影手段とを備えている。前記移動板は第1領域及び第2領域を結ぶ移動方向に沿って一定のピッチで配列したスリットを有する。前記光源は第1領域を通過するスリットを照明してスリット物像を形成する。前記投影手段は第1領域に照し出された該スリット物像を反転したスリット実像に等倍変換して第2領域に投影する等倍反転光学系からなる。この光学系は第1領域に対面するコリメータレンズと、第2領域に対面する結像レンズと、両レンズ間の光路を折り曲げて像回転を行なう少なくとも4枚のミラーとを含む。前記受光素子は第2領域を通過するスリットをマスクとして反対方向に移動する該スリット実像を受光し該移動板の変位を検出する。具体的には、前記投影手段は、少なくとも4枚のミラーを構成する全反射面と、該コリメータレンズが配された入射面と、該結像レンズが配された出射面とを備えた一体化プリズムである。
【0007】
本発明の一態様によれば、前記移動板は一定のピッチで配列したスリットの列に沿って一対の平行トラックを有している。一方のトラックに属するスリットの部分は他方のトラックに属するスリットの部分に対し1/8ピッチだけ空間位相が実効的にずれている。これに応じて、前記受光素子は一対の平行トラックに対応して一対の受光領域を備えており、該移動板の変位量に加え変位方向の検出を可能にしている。他の態様によれば、前記移動板は一定のピッチで配列したスリットの列からなる主トラックに加え、第1領域と第2領域の距離に対応した間隔で配置した一対の基準スリットパタンからなる副トラックを有している。これに応じて、前記受光素子は主トラックと副トラックに夫々割り当てられた受光領域を有し、該移動板の変位に加えその基準位置を検出可能にしている。
【0008】
本発明によれば、受光素子と光源を構成する発光素子とは移動板に対して同一面側に配置されている。受光素子と発光素子を光学的に接続する投影手段は移動板の反対面側に配置されている。従って、極めてコンパクトな光学式エンコーダの実装構造が可能になる。投影手段は等倍反転光学系からなり、発光素子によって照明されたスリット物像を反転したスリット実像に等倍変換して受光素子側に投影する。受光素子はスリットをマスクとして反対方向に移動するスリット実像を受光する事により、移動板の変位を検出する。移動板に形成されたスリット自体をマスクとして用いる為、固定マスク等を別部品として設ける必要がない。スリットそのものとスリット実像は互いに反対方向に移動する為、実効的なスリットピッチが1/2となり、従来に比し2倍の分解能が達成できる。特に、等倍反転光学系は第1領域に対面するコリメータレンズと第2領域に対面する結像レンズと両レンズ間の光路を折り曲げて像回転を行なう少なくとも4枚のミラーとを含んでいる。本光学系は倍率が1であると共に、例えばプリズムの4枚の全反射面を組み合わせて光路を折り曲げ像反転を実現している。コリメータレンズとミラーを組み合わせた構成である為、光源光の利用効率が高く高出力化が図れると共に、収差が少ない為高精度化が可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の最良な実施形態を詳細に説明する。図1は本発明にかかる光学式エンコーダの第1実施形態を示す模式的な斜視図である。図示する様に、光学式エンコーダは移動板1とLED等の発光素子からなる光源2とフォトトランジスタアレイ等からなる受光素子3と投影手段4とを備えている。本例では移動板1は回転変位するディスクからなり、第1領域A及び第2領域Bを通過する様に組み込まれている。光源2は移動板1の下面側で第1領域Aに対面配置している。受光素子3も移動板1の下面側で第2領域Bに対面配置している。投影手段4は移動板1の上面側で第1領域Aと第2領域Bの間に介在している。
【0010】
移動板1は第1領域A及び第2領域Bを結ぶ移動方向(本例ではディスクの周方向)に沿って一定のピッチPで配列したスリット5を有する。光源2は第1領域Aを通過するスリット5を照明してスリット物像を形成する。投影手段4は第1領域Aに写し出された該スリット物像を反転したスリット実像に等倍変換して第2領域Bに投影する。受光素子3は第2領域Bを通過するスリット5をマスクとして、反対方向に移動する該スリット実像を受光し、移動板1の回転変位を検出する。上述した投影手段4は等倍反転光学系であり、第1領域Aに対面するコリメータレンズ6と、第2領域Bに対面する結像レンズ7と、両レンズ6,7の光路を折り曲げて像回転を行なう少なくとも4枚のミラーMとを含んでいる。具体的には、投影手段4は一体化プリズム8からなり、少なくとも4枚のミラーMを構成する全反射面と、コリメータレンズ6が配された入射面と、結像レンズ7が配された出射面とを備えている。
【0011】
図2は、図1に示した光学式エンコーダの側面形状を表わしている。図示する様に、光源2と受光素子3は移動板1の同一面側に配され、投影手段4は移動板1の反対側に配されている。これにより、光学式エンコーダの実装構造をコンパクト化できる。前述した様に、投影手段4は第1領域Aに対面するコリメータレンズ6と第2領域Bに対面する結像レンズ7とを含み、倍率1の等倍反転光学系である。この投影手段4は一体化プリズム8からなり、コリメータレンズ6及び結像レンズ7と共に光学プラスチック等で一体成形される。コリメータレンズ6は一体化プリズム8の入射面10に配され、結像レンズ7は同じく一体化プリズム8の出射面12に配されている。
【0012】
引き続き図2を参照して、本光学式エンコーダの動作を詳細に説明する。LED等の発光素子からなる光源2は移動板1に形成されたスリット5を照射し、第1領域Aにスリット物像9を写し出す。このスリット物像9はコリメータレンズ6を介して一体化プリズム8の全反射面からなる4枚のミラーMにより像回転を受ける。この後結像レンズ7を介して第2領域B上にスリット実像13が投影される。換言すると、コリメータレンズ6と結像レンズ7は一体化プリズム8を介して光学的には同一の光軸14上にあり、両レンズ間に像回転用のミラーが介在している。
【0013】
光源2で第1領域A上に写し出されたスリット物像9は、投影手段4を介して第2領域B上にスリット実像13として投影される。受光素子3は、移動板1に形成されたスリット5そのものをマスクとしてこのスリット実像13を受光する。この時、スリット実像13はスリット物像9に対して等倍反転されている。従って、スリット実像13は第2領域Bにおいてスリット5そのものと裏向きに重なる。又、スリット実像13の移動方向はスリット5そのものの移動方向に対し反対方向となる。従って、受光素子3に入射する光量はスリット実像13に対しスリット5自身がマスクとなる為、移動板1の回転変位に伴なって周期的に増減する。しかも、スリット5のピッチPの半分でスリット5自身とスリット実像13が相対的に反対方向に動く為、結局スリットピッチの2倍の分解能のエンコーダ出力が得られる。
【0014】
図3は一体化プリズム8の光学的な等倍反転機能を模式的に表わしたものである。前述した様に、コリメータレンズ6と結像レンズ7は一体化プリズム8により連結されている。この一体化プリズム8は全反射面からなる4枚のミラーM1〜M4を備えており、両レンズ6,7の光路を折り曲げて像回転を行なう。この結果、例えば、移動板1上に写し出された仮想の物像91は反転された実像95として移動板1上に写し出される。なお、本例ではコリメータレンズ6と結像レンズ7は移動板1の周方向に沿って90°だけ隔てられている。コリメータレンズ6直下の第1領域に写し出された物像91は90°回転すると共に裏向きになって結像レンズ7直下の第2領域に投影され、物像91を移動方向に沿ってひっくり返した実像95が得られる。ここでは、理解を容易にする為光学系に対しxyz座標を定義している。図から明らかな様に、物像91と実像95はy−z面に関し互いに対称となる。この点につき、以下説明する。先ず、図3に示した光学系の光軸14は、コリメータレンズ6の中心を通り、第1ミラーM1上の点m1で折り曲げられ、第2ミラーM2及び第3ミラーM3の境界上の点m23で折り曲げられ、さらに第4ミラーM4上の点m4で折り曲げられ、結像レンズ7の中心を通る。今、仮にレンズの結像を無視すると、物像91は光軸14に沿って順次、像92,像93の様に回転せられた後像94の様に投影される。実際には像94はレンズ6,7で結像される為、最終的に得られる実像95は像94と光軸に関して点対称になる。この結果、物像91と実像95はy−z面に関し対称となる。
【0015】
図4は一体化プリズム8内の光路図であり、y軸方向から見た場合を表わしている。即ち、移動板1の径方向外側から内側に向って一体化プリズム8を観察した場合である。ここでは理解を容易にする為光軸14上の一点から発した4本の光線L1〜L4の光路を示している。L1はコリメータレンズ6を通過した後第1ミラーM1のポイント▲1▼で反射され、第3ミラーM3のポイント▲1▼で反射され、第4ミラーM4のポイント▲1▼で反射され、結像レンズ7側に到る。以下同様に、光線L2,L3,L4についても各ミラーM1,M3,M4の反射ポイントを▲2▼,▲3▼,▲4▼で示してその光路を表わしている。図から明らかな様に、各光線L1〜L4は4枚のミラーM1〜M4で折り曲げられた後、結像レンズ7により光軸14上の一点に収束している。即ち、本一体化プリズム8は投影手段としての結像光学系を構成している。
【0016】
図5は、図3に示した一体化プリズム8の別の光路図であり、z軸から見た場合を表わしている。換言すると、移動板1の回転軸に沿って底から一体化プリズム8を観察した場合である。図4と対応させて、各光線L1〜L4の各ミラーMに対する反射ポイントを▲1▼〜▲4▼で表わしている。
【0017】
ところで図3に示した異形のプリズム8に代えて台形プリズムを利用した等倍反転光学系の構造が先に出願人から提案されており、特願平6−340273号に開示されている。この構造を参考例として図6に示す。この参考例では対物レンズ6aと結像レンズ7bは台形プリズム80により連結されている。第1全反射面M1及び第2全反射面M2は45°の傾斜角を有している。この光学構成では対物レンズ6aの光軸14aが2回の全反射で結像レンズ7bの光軸14bと重なる。この光学系は中間の焦平面11を対称面とする対称構造を有している。この結果、第1領域Aに写し出された物像Rは2回の結像を繰り返した後裏向きになって第2領域Bに投影され、物像Rを移動方向に沿ってひっくり返した実像が得られる。
【0018】
図7は、図6に示した参考例の模式的な幾何光学図である。前述した様にこの参考例では、全光路長の間に2回結像を行なう為、対物レンズ6aや結像レンズ7bのパワーを大きくしなければならない。その結果レンズの曲率半径を小さくしなければならず、収差が大きくなり有効径も小さくなるので実像が暗くなってしまう。又、全反射面への光線が集束しているので入射角の小さい部分が発生し、全反射させるには台形プリズム80の光学材料を高屈折率にしなければならない。例えば、特殊で高価なガラス材料を用いる必要が生じる。これらの欠点を回避する為には、移動板1と対物レンズ6aとの距離を大きくしてパワーを弱めれば良い。しかしながらこうすると対物レンズ6aに入射する光束の立体角が小さくなり、やはり実像が暗くなってしまうという悪循環が発生する。
【0019】
図8は対物レンズ6aに代えてパワーを弱めたコリメータレンズ6を用いた場合の幾何光学図である。入射側にコリメータレンズ6を用いると、台形プリズム80内では略平行光になっている為、図7に比べて入射角の小さい部分が発生しにくい。しかしながら、このままでは像反転が行なわれない。そこで本発明によれば、プリズム内に全反射面を追加して光路を折り曲げ像反転を行なっている。この様にすれば明るい実像が得られる為高出力なエンコーダが実現可能である。又、比較的低屈折率の光学材料を用いる事ができる為、プリズムをガラスより安価な樹脂成形品とする事ができる。
【0020】
図9は本発明にかかる光学式エンコーダの第2実施形態を示す模式図である。基本的な構成は図3に示した第1実施形態と同様であり、対応する部分には対応する参照番号を付して理解を容易にしている。異なる点は、移動板1が回転変位ではなく直線変位を行なう事である。図示する様に、移動板1は第1領域A及び第2領域Bを直線的に通過する。光源2は移動板1の一面側で第1領域Aに対面配置している。受光素子3は同じく移動板1の一面側で第2領域Bに対面配置している。一体化プリズム8は移動板1の他面側で第1領域Aと第2領域Bの間に介在する。移動板1は第1領域A及び第2領域Bを結ぶ直線移動方向に沿って、一定のピッチで配列したスリット5を有している。本例でも一体化プリズム8は4枚のミラーM1〜M4を構成する全反射面と、コリメータレンズ6が配された入射面と、結像レンズ7が配された出射面とを備えている。この一体化プリズム8はスリット物像をy−z面に関し対称な関係でスリット実像に変換している。この目的で、第1ミラーM1と第4ミラーM4の間に一対の第2ミラーM2及び第3ミラーM3を備えている。この第2ミラーM2及び第3ミラーM3は山形に配列されて側方に突出している。
【0021】
図10は図9に示した一体化プリズム8の光路図であり、y軸方向から見た場合である。即ち、第2ミラーM2及び第3ミラーM3側から観察した場合の光路を表わしている。図から理解される様に、4本の光線L1〜L4のうち、L3及びL4が一対のミラーM2,M3で反射を受け光路が変換された後結像レンズ7側に到る。この結果、コリメータレンズ6側の物像はy−z面に対称に結像レンズ7側の実像になる。なお、図11は同じく図9に示した一体化プリズム8の光路図であり、z軸方向から観察した場合を表わしている。図から理解される様に、光線L3,L4がミラーM2,M3で反射を受けている。
【0022】
光学式エンコーダでは、移動板の変位量に加えて変位方向を検出したい場合が多い。この時には、互いに位相が90°ずれた一対のエンコーダ出力が必要になる。両出力の相対的な位相関係に従って変位方向が検出できる。図12は変位方向の検出を可能にしたスリット構造及び受光素子構造の例を二通り示している。(A)の例では、移動板1は一定のピッチPで配列したスリット5の列に沿って一対の平行トラック21,22を有している。径方向外側のトラック21に属するスリット5の部分は、内側のトラック22に属するスリット5の部分に対し1/8ピッチだけ空間位相がずれている。従って、外側のトラック21でスリット5自身とスリット実像13が重なった状態にある時、内側のトラック22ではスリット5自身とスリット実像13が1/4ピッチ分だけシフトしている。これに対応して、受光素子3は外側の受光領域23と内側の受光領域24とを備えている。これにより、受光素子3は位相が互いに90°ずれた一対の電気信号を出力する事になり、移動板1の変位方向が検出できる。
【0023】
(B)の例では、移動板1の径方向に対し、スリット5が若干傾斜した状態で形成されており、内側のトラックに属するスリット5の部分が、外側のトラックに属するスリット5の部分に対し、1/8ピッチだけ空間位相が実効的にずれる様にしている。この結果、外側のトラックでスリット5自身とスリット実像13が一致した状態にある時、内側のトラックではスリット5自身とスリット実像13とが実効的に1/4ピッチだけシフトする事になる。
【0024】
光学式エンコーダでは、移動板の変位量及び変位方向に加えて、その基準位置を検出したい場合が多い。図13は基準位置検出を可能にしたスリット構成を表わしている。図示する様に、移動板1は一定のピッチで配列したスリット5の列からなる主トラックに加え、第1領域Aと第2領域Bの距離に対応した間隔で配置した一対の基準スリットパタン25a,25bからなる副トラックを有している。これに対応して、受光素子は主トラックと副トラックに夫々割り当てられた受光領域を有し、移動板1の変位に加えその基準位置を検出する。具体的には、一対の基準スリットパタン25a,25bは各々単スリットからなり、主トラック側のスリット5の列に対し内側に配置されている。両スリットパタン25a,25bの角度間隔θは、第1領域A及び第2領域B間の角度間隔と等しい。今移動板1が時計方向に回転変位していると、一方の基準スリットパタン25aが第2領域Bに到達した時、他方のスリットパタン25bが第1領域Aに達し、その実像が第2領域Bに投影される。従って、受光素子は基準スリットパタン25bの実像が基準スリットパタン25a自身に重なった時、移動板1の基準位置を表わす検出信号を出力する事になる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、受光素子と光源が移動板の一面側に配置し、両者を光学的に連結する投影手段が移動板の他面側に配置されている。投影手段は光源によって写し出されたスリット物像を反転したスリット実像に等倍変換して受光素子に投影する。受光素子はスリット自身をマスクとして反対方向に移動するスリット実像を受光し移動板の変位を検出している。かかる構成によれば、光源を構成する発光素子や受光素子を移動板に対し同一面上に配置できる為、これらの素子を搭載する回路基板が1枚で済む。又、スリット自身がそのままマスクとなる為、追加の固定マスクは不必要である。さらに、スリット1ピッチ分の移動で2個のエンコーダパルス出力が得られる為、従来に比し分解能が2倍になる。又、照明光として可干渉なコヒーレント光を使う必要がなくコンパクトで部品点数も少なく、価格的に有利な高分解能光学式エンコーダが実現できる。特に、投影手段は等倍反転光学系からなり、コリメータレンズと結像レンズと両レンズ間の光路を折り曲げて像回転を行なう少なくとも4枚のミラーとで構成されている。例えば、この投影手段は一体化プリズムからなり、少なくとも4枚のミラーを構成する全反射面とコリメータレンズが配された入射面と結像レンズが配された出射面とを備えている。この構成はコリメータレンズを用いている為、光源光の利用効率が改善でき高出力のエンコーダが得られる。又、この等倍反転光学系は収差が少ない為高精度なエンコーダが得られる。さらに、プリズムの光学材料は低屈折率でも十分であり、ガラスより安価な樹脂成形品を一体化プリズムに用いる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる光学式エンコーダの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態の側面図である。
【図3】第1実施形態に組み込まれる投影手段の機能説明図である。
【図4】図3に示した投影手段を構成する一体化プリズムの光路図である。
【図5】同じく一体化プリズムの光路図である。
【図6】光学式エンコーダの参考例を示す模式的な斜視図である。
【図7】図6に示した参考例の光路図である。
【図8】同じく参考例の光路図である。
【図9】本発明にかかる光学式エンコーダの第2実施形態を示す斜視図である。
【図10】図9に示した第2実施形態に組み込まれる一体化プリズムの光路図である。
【図11】同じく一体化プリズムの光路図である。
【図12】変位方向検出を可能とするスリットパタンの例を示す模式的な平面図である。
【図13】基準位置検出を可能とするスリットパタンの例を示す模式的な平面図である。
【図14】従来の光学式エンコーダの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 移動板
2 光源
3 受光素子
4 投影手段
5 スリット
6 コリメータレンズ
7 結像レンズ
8 一体化プリズム
9 スリット物像
13 スリット実像
M ミラー
Claims (4)
- 第1領域及び第2領域を通過する移動板と、該移動板の一面側で第1領域に対面配置した光源と、該移動板の一面側で第2領域に対面配置した受光素子と、該移動板の他面側で第1領域と第2領域の間に介在する投影手段とを備えた光学式エンコーダであって、
前記移動板は第1領域及び第2領域を結ぶ移動方向に沿って一定のピッチで配列したスリットを有し、
前記光源は第1領域を通過するスリットを照明してスリット物像を形成し、
前記投影手段は第1領域に照し出された該スリット物像を反転したスリット実像に等倍変換して第2領域に投影する等倍反転光学系からなり、第1領域に対面するコリメータレンズと、第2領域に対面する結像レンズと、両レンズ間の光路を折り曲げて像回転を行なう少なくとも4枚のミラーとを含み、
前記受光素子は第2領域を通過するスリットをマスクとして反対方向に移動する該スリット実像を受光し該移動板の変位を検出する事を特徴とする光学式エンコーダ。 - 前記投影手段は、少なくとも4枚のミラーを構成する全反射面と、該コリメータレンズが配された入射面と、該結像レンズが配された出射面とを備えた一体化プリズムである事を特徴とする請求項1記載の光学式エンコーダ。
- 前記移動板は一定のピッチで配列したスリットの列に沿って一対の平行トラックを有し一方のトラックに属するスリットの部分は他方のトラックに属するスリットの部分に対し1/8ピッチだけ空間位相が実効的にずれていると共に、前記受光素子は一対の平行トラックに対応して一対の受光領域を備えており該移動板の変位量に加え変位方向の検出を行なう事を特徴とする請求項1記載の光学式エンコーダ。
- 前記移動板は一定のピッチで配列したスリットの列からなる主トラックに加え第1領域と第2領域の距離に対応した間隔で配置した一対の基準スリットパタンからなる副トラックを有し、前記受光素子は主トラックと副トラックに夫々割り当てられた受光領域を有し該移動板の変位に加えその基準位置を検出する事を特徴とする請求項1記載の光学式エンコーダ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33274095A JP3593403B2 (ja) | 1995-11-27 | 1995-11-27 | 光学式エンコーダ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33274095A JP3593403B2 (ja) | 1995-11-27 | 1995-11-27 | 光学式エンコーダ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09145409A JPH09145409A (ja) | 1997-06-06 |
JP3593403B2 true JP3593403B2 (ja) | 2004-11-24 |
Family
ID=18258333
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33274095A Expired - Fee Related JP3593403B2 (ja) | 1995-11-27 | 1995-11-27 | 光学式エンコーダ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3593403B2 (ja) |
-
1995
- 1995-11-27 JP JP33274095A patent/JP3593403B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09145409A (ja) | 1997-06-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100205208B1 (ko) | 변위정보 검출장치 | |
US7265336B2 (en) | Encoder utilizing a reflective cylindrical surface | |
JP2862417B2 (ja) | 変位測定装置及び方法 | |
JP2013504068A (ja) | 回転角センサで目盛トラック偏心を光学式に補正する装置および方法 | |
US5026985A (en) | Method and apparatus for detecting a reference position of a rotating scale with two sensors | |
JP5804899B2 (ja) | 光学式角度測定装置 | |
KR100274131B1 (ko) | 변위정보검출장치 | |
KR100509322B1 (ko) | 변위정보검출장치 | |
US20080316492A1 (en) | Optical motion identification device utilizing partial total internal reflection light source and/or partial non-total internal reflection light source | |
JP3593403B2 (ja) | 光学式エンコーダ | |
JP3500214B2 (ja) | 光学式エンコーダ | |
JPH08233608A (ja) | 光学式エンコーダ | |
JPH05256666A (ja) | ロータリーエンコーダー | |
EP0486050B1 (en) | Method and apparatus for measuring displacement | |
JPS6381212A (ja) | ロ−タリ−エンコ−ダ− | |
JP3684281B2 (ja) | 光学式エンコーダ | |
JP2541947B2 (ja) | 絶対位置検出装置 | |
JPH09113315A (ja) | 光学式エンコーダ | |
JP3679604B2 (ja) | 変位情報検出装置 | |
JP4323579B2 (ja) | 変位情報検出装置 | |
JPH03115920A (ja) | 零点位置検出装置 | |
JP2726296B2 (ja) | 結像素子及び画像読み取り装置 | |
JP2688988B2 (ja) | 光学式測定装置 | |
JPH10103917A (ja) | 位置計測装置 | |
JP4136059B2 (ja) | 変位情報検出装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040226 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040309 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040810 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040830 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100903 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110903 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120903 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130903 Year of fee payment: 9 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |