JP3593307B2 - 直交周波数分割多重信号受信装置、直交周波数分割多重信号補正器及び信号補正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、直交周波数分割多重化が施された信号を受信して伝送データを復元するための直交周波数分割多重信号受信装置及び、これに適用される直交周波数分割多重信号補正器に係り、特に、急速に変化する伝送路の特性に対応して受信信号を適切に補正することができる直交周波数分割多重信号受信装置と、直交周波数分割多重信号補正器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル信号の伝送方式の1つとして、直交周波数分割多重(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式が知られている。この直交周波数分割多重方式には、既定の振幅、位相及びタイミングで発生したパイロット信号を、所定のサブキャリアに挿入してデータを伝送するものがある。
例えば、直交周波数分割多重化方式を用いたISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial)における同期変調用のシステムでは、SP(Scattered Pilot;分散パイロット)信号と呼ばれるパイロット信号が使用される。
【0003】
このISDB−Tのシステムに適用されて直交周波数分割多重信号を受信し、等化器を用いた構成により伝送データを復元する受信装置は、まず、受信信号データに基づいて、SP信号を伝送したサブキャリアに対する伝送路特性を求める。次に、受信装置は、シンボルフィルタ及びサブキャリアフィルタ等により、伝送路特性を示すデータを、それぞれシンボル方向(時間方向)及びサブキャリア方向(周波数方向)にフィルタリングする。これにより、SP信号を伝送したサブキャリアに対してのみ特定された伝送路特性を内挿して補間し、全サブキャリアに対する伝送路特性を示す伝送路特性データを求める。
【0004】
受信装置は、このようにして求めた伝送路特性データを用いて、受信信号データを複素除算することなどにより、伝送路の影響に対応して等化した受信信号データを得て、デマッピング等により、伝送データを復元することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、通常、SP信号が伝送されたサブキャリアに対して特定した伝送特性は、LPF(Low Pass Filter)から構成されるシンボルフィルタ及びサブキャリアフィルタを用いてそれぞれシンボル方向(時間方向)とサブキャリア方向(周波数方向)に内挿して、補間される。
このため、例えばレイリーフェージングといった、急速に変化する伝送路の特性はフィルタリング処理により除去されてしまい、受信信号データを適切に等化できず、伝送データを正しく復元できなくなることがあった。
【0006】
この点、フィルタリング処理を実行するLPFの通過帯域を広くすれば、急速に変化する伝送路の特性にも対応した伝送路特性データを生成することができる。
しかし、LPFの通過帯域を広げると、伝送路特性データに多くのノイズ成分が含まれることになり、好ましくない。
【0007】
この発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、急速に変化する伝送路の特性に対応して、受信信号を適切に補正することができる直交周波数分割多重信号受信装置及び、これに適用される直交周波数分割多重信号補正器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の第1の観点に係る直交周波数分割多重信号受信装置は、
分散パイロット信号がシンボル方向とサブキャリア方向に所定周期で挿入された直交周波数分割多重信号を示す受信信号データを入力し、伝送データを復元するものであって、
入力された受信信号データをフーリエ変換するフーリエ変換手段と、
前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換された受信信号データから分散パイロット信号を伝送したサブキャリアに対する伝送路特性を特定し、当該伝送路特性をシンボル方向とサブキャリア方向に補間して得られた全サブキャリアに対する伝送路特性に基づいて、前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換された受信信号データを等化する等化処理手段と、
前記等化処理手段により等化された受信信号データに含まれる誤差を除去するための補正を行う補正処理手段と、
前記補正処理手段により補正された受信信号データから伝送データを復元するデマッピング手段とを備え、
前記補正処理手段は、
前記等化処理手段により等化された受信信号データから、分散パイロット信号を伝送したサブキャリアを抽出するキャリア抽出手段と、
受信側において既知の振幅、位相及びタイミングを有する基準パイロット信号を発生するパイロット発生手段と、
前記パイロット発生手段にて発生した基準パイロット信号を用いて、前記キャリア抽出手段により抽出されたサブキャリアを複素除算することにより、前記等化処理手段により等化された受信信号データに含まれる誤差成分を特定する誤差特定手段と、
前記等化処理手段により等化された受信信号データの複素演算を実行することにより、前記誤差特定手段により特定された誤差成分を除去する信号調整手段とを備える、
ことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、等化処理手段により等化された受信信号データを、さらに補正処理手段により補正して受信信号データに含まれる誤差を除去することができる。
これにより、例えばレイリーフェージングといった急速に変化する伝送路の特性に対応して、受信信号を適切に補正することができ、正しい伝送データが復元可能となる。
【0010】
この発明の第2の観点に係る直交周波数分割多重信号補正器は、
パイロット信号を所定のサブキャリアに挿入してデータを伝送する直交周波数分割多重信号を受信し、前記パイロット信号を伝送したサブキャリアに対して特定した伝送路特性をシンボル方向とサブキャリア方向に補間して直交周波数分割多重信号を等化する等化処理により得られた受信信号データを補正するためのものであって、
前記受信信号データから、前記パイロット信号を伝送したサブキャリアを抽出するキャリア抽出手段と、
受信側において既知の振幅、位相及びタイミングを有する基準用パイロットを発生するパイロット発生手段と、
前記キャリア抽出手段により抽出された前記パイロット信号を伝送したサブキャリアを、前記パイロット発生手段にて発生した基準用パイロットを用いて複素除算することにより、前記受信信号データに含まれる誤差成分を特定する誤差特定手段と、
前記受信信号データの複素演算を実行することにより、前記誤差特定手段により特定された誤差成分に応じて前記受信信号データを調整する信号調整手段とを備える、
ことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、キャリア抽出手段は、等化処理によって得られた受信信号データからパイロット信号を伝送したサブキャリアを抽出する。誤差特定手段は、キャリア抽出手段により抽出されたサブキャリアを、パイロット発生手段により発生した基準用パイロットを用いて複素除算して受信信号データに含まれる誤差成分を特定する。信号調整手段は、等化処理によって得られた受信信号データの複素演算を実行することにより、誤差特定手段が特定した誤差成分に応じて受信信号データを調整する。
これにより、等化処理ののちにも受信信号データに残存する、例えばレイリーフェージングといった急速に変化する伝送路の特性による誤差成分を除去するための補正が可能となり、受信信号を適切に補正することができる。
【0012】
例えば、前記誤差特定手段は、前記キャリア抽出手段により抽出された前記パイロット信号を伝送したサブキャリアと、前記パイロット発生手段にて発生した基準用パイロットとの位相差を位相誤差として特定し、
前記信号調整手段は、前記受信信号データの位相回転量を制御して前記受信信号データの複素演算を実行することにより、前記誤差特定手段により特定された位相誤差を除去することが望ましい。
これにより、急速に変化する伝送路の特性により受信信号データに含まれた位相誤差成分を適切に除去することができ、正しい伝送データが復元可能となる。
【0013】
例えばレイリーフェージング等により各サブキャリアがシンボル方向に変動する場合には、全てのサブキャリアに渡ってほぼ同一量だけ変動することがある。そこで、前記誤差特定手段は、前記パイロット信号を伝送した全てのサブキャリアについて、前記パイロット発生手段にて発生した基準用パイロットとの位相差を求めて平均化し、位相誤差として前記信号調整手段に通知することが望ましい。
これにより、ノイズによる影響を低減して受信信号データを調整することができ、より適切に受信信号を補正することができる。
【0014】
また、前記誤差特定手段は、前記キャリア抽出手段により抽出された前記パイロット信号を伝送した各サブキャリアと、前記パイロット発生手段にて発生した基準用パイロットとの振幅比を特定し、各サブキャリアについて求めた位相差に、振幅比に応じた重み付けを行って平均化してもよい。
【0015】
前記誤差特定手段は、前記キャリア抽出手段により抽出された前記パイロット信号を伝送したサブキャリアと、前記パイロット発生手段にて発生した基準用パイロットとの振幅比を特定し、
前記信号調整手段は、前記誤差特定手段により特定された振幅比に対応する増幅率で前記受信信号データの増幅処理を実行することにより、前記受信信号データが示す振幅を調整してもよい。
【0016】
また、この発明の第3の観点に係る信号補正方法は、
パイロット信号を所定のサブキャリアに挿入してデータを伝送する直交周波数分割多重信号を受信し、前記パイロット信号を伝送したサブキャリアに対して特定した伝送路特性をシンボル方向とサブキャリア方向に補間して直交周波数分割多重信号を等化する等化処理により得られた受信信号データを補正するための方法であって、
前記受信信号データから、前記パイロット信号を伝送したサブキャリアを抽出するキャリア抽出ステップと、
受信側において既知の振幅、位相及びタイミングを有する基準用パイロットを発生するパイロット発生ステップと、
前記キャリア抽出ステップにて抽出した前記パイロット信号を伝送したサブキャリアと、前記パイロット発生ステップにて発生した基準用パイロットとを複素除算して、前記受信信号データに含まれる誤差成分を特定する誤差特定ステップと、
前記受信信号データの複素演算を実行することにより、前記誤差特定ステップにて特定した誤差成分に応じて前記受信信号データを調整する信号調整ステップとを備える、
ことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、この発明の実施の形態に係る直交周波数分割多重信号受信装置100について詳細に説明する。
【0018】
この発明の実施の形態に係る直交周波数分割多重信号受信装置100は、例えば直交検波器の検波により得られたベースバンドの受信信号データを入力し、送信側から送られた伝送データを復元する。
ここで、直交検波器が検波する信号は、例えば、アンテナにより受信されてダウンコンバートされたのち、ADC(Analog/Digital Converter)によりディジタル化されたIF(Intermediate Frequency)信号である。
【0019】
この直交周波数分割多重信号受信装置100に入力される受信信号データは、送信側において直交周波数分割多重化が施され、シンボル周期で互いに直交する多数のサブキャリアを用いて伝送された直交周波数分割多重信号を、ディジタル化したデータである。
【0020】
この直交周波数分割多重化信号には、シンボル方向(時間方向)に4シンボルを周期とし、サブキャリア方向(周波数方向)に12個のサブキャリアを周期とした所定のサブキャリアに、受信側において既知の振幅及び位相を有するSP(Scattered Pilot;分散パイロット)信号が挿入されている。
【0021】
こうした直交周波数分割多重化信号を受信して伝送データを復元するため、この直交周波数分割多重信号受信装置100は、図1に例示するように、FFT(Fast Fourier Transformation;高速フーリエ変換)回路10と、等化処理回路11と、位相補正処理回路12と、デマッパ回路13とを備えて構成される。
【0022】
FFT回路10は、直交検波器の検波により得られた受信信号データを時間軸上のデータから周波数軸上のデータに変換するためのものであり、周波数軸上のデータに変換した受信信号データを、等化処理回路11に送る。
【0023】
等化処理回路11は、例えばFIR(Finite Impulse Response)フィルタやIIR(Infinite Impulse Response)フィルタ等を用いて構成され、伝送路の特性を示す伝送路特性データを用いて受信信号データの等化処理を実行し、伝送路の影響等により劣化した受信信号データを補償するためのものである。
例えば、等化処理回路11は、FFT回路10によりフーリエ変換された受信信号データから、SP信号を伝送したサブキャリアを抽出し、所定のタイミングで発生させた基準用のSP信号を示すデータで複素除算して、伝送路の特性を示す伝送路特性データを生成する。等化処理回路11は、LPF(Low Pass Filter)として機能するシンボルフィルタ及びサブキャリアフィルタにより、SP信号を伝送したサブキャリアに対して求めた伝送路特性データをフィルタリングし、シンボル方向(時間方向)とサブキャリア方向(周波数方向)に内挿して補間する。こののち、等化処理回路11は、FFT回路10から送られた受信信号データを、補間により得られた全サブキャリアに対する伝送路特性データで複素除算して等化するなどして、位相補正処理回路12に送る。
【0024】
位相補正処理回路12は、等化処理回路11により等化された受信信号データを調整して受信信号の位相等を補正する直交周波数分割多重信号補正器として機能する回路である。
図2は、位相補正処理回路12の構成を示す図である。
図示するように、位相補正処理回路12は、キャリア抽出部20と、パイロット発生部21と、誤差特定処理部22と、信号調整処理部23とを備えている。
【0025】
キャリア抽出部20は、等化処理回路11により等化された受信信号データから、SP信号を伝送したサブキャリアを抽出するためのものである。キャリア抽出部20は、抽出したサブキャリアを誤差特定処理部22に送る。
【0026】
パイロット発生部21は、受信側にて既知の振幅、位相及びタイミングで基準用のSP信号を発生し、誤差特定処理部22に供給するためのものである。
【0027】
誤差特定処理部22は、キャリア抽出部20によりサブキャリアが抽出されたSP信号を、パイロット発生部21にて発生した基準用のSP信号を用いて複素除算することにより、SP信号を伝送したサブキャリアに含まれる誤差を特定するためのものである。
例えば、誤差特定処理部22は、キャリア抽出部20により抽出されたサブキャリアを示すデータを、パイロット発生部21にて発生したSP信号を示すデータで複素除算することにより位相差を求め、サブキャリアに含まれる位相誤差として特定する。
この際、誤差特定処理部22は、SP信号を伝送した全てのサブキャリアについて、パイロット発生部21にて発生したSP信号を用いてそれぞれ複素除算し、位相誤差を平均化してもよい。
誤差特定処理部22は、特定した位相誤差を信号調整処理部23に通知して、受信信号データの調整に供する。
【0028】
信号調整処理部23は、複素演算回路等から構成され、例えば誤差特定処理部22から通知された位相誤差に応じて位相回転量を制御しつつ複素演算を実行し、等化処理回路11から受けた受信信号データを調整して補正するためのものである。
【0029】
図1に示すデマッパ回路13は、例えばROM(Read Only Memory)等から構成され、複素平面上のシンボル配置図に基づいて、位相補正処理回路12により位相等が補正された受信信号データから伝送データを復元するデマッピング処理を実行するためのものである。
すなわち、デマッパ回路13は、例えば64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)といった多値変調方式で変調された受信信号データの同相成分及び直交成分から、複素平面上で予め定められた座標値と伝送データとの対応関係に基づいて、伝送データを復元する。
デマッパ回路13は、復元した伝送データを、デインターリーブ回路等に出力し、伝送データについての処理に供する。
【0030】
以下に、この発明の実施の形態に係る直交周波数分割多重信号受信装置100の動作を説明する。
この直交周波数分割多重信号受信装置100が伝送データを復元する際には、まず、直交検波器の検波により得られた受信信号データをFFT回路10が受けてフーリエ変換を施し、時間軸上のデータから周波数軸上のデータに変換する。FFT回路10は、フーリエ変換を施した受信信号データを等化処理回路11に送る。
【0031】
次に、等化処理回路11は、FFT回路10から受けた受信信号データを等化するための処理を実行する。
図3は、等化処理回路11に入力される受信信号データが示す直交周波数分割多重信号の構成を例示する図である。
図3において、添字SPを付したサブキャリアは、送信側にてSP信号が挿入されたサブキャリアである。
すなわち、SP信号は、シンボル方向(時間方向)に4シンボルを周期とし、サブキャリア方向(周波数方向)に12個のサブキャリアを周期とした所定のサブキャリアに挿入されて伝送される。
【0032】
等化処理回路11は、例えばSP信号を伝送したサブキャリア(図3において添字SPを付して示す)を、受信側において既知の振幅、位相及びタイミングで発生した基準用のSP信号で複素除算することにより、SP信号を伝送したサブキャリアに対する伝送路特性を特定する。
【0033】
等化処理回路11は、SP信号を伝送したサブキャリアに対して特定した伝送路特性を、シンボル方向(時間方向)に補間して、図3において*印を付して示すサブキャリアに対する伝送路特性を求める。
また、等化処理回路11は、伝送路特性をサブキャリア方向(周波数方向)に補間して、図3において−印を付して示すサブキャリアに対する伝送路特性を求める。
【0034】
等化処理回路11は、このようにして全サブキャリアに対して特定した伝送路特性を示すデータを用いて、FFT回路10から受けた受信信号データを複素除算することにより、受信信号データを等化する。
等化処理回路11は、等化した受信信号データを位相補正処理回路12に送る。
【0035】
位相補正処理回路12は、等化処理回路11から受信信号データを受けると、キャリア抽出部20が、SP信号を伝送したサブキャリアを抽出して誤差特定処理部22に送る。
【0036】
誤差特定処理部22は、パイロット発生部21にて発生した基準用のSP信号を示すデータを用いて、キャリア抽出部20から受けたサブキャリアを複素除算することにより、例えばSP信号を伝送したサブキャリアに含まれる位相誤差を特定する。
誤差特定処理部22は、特定した位相誤差を信号調整処理部23に通知する。
【0037】
信号調整処理部23は、誤差特定処理部22から通知された位相誤差に対応して位相回転量を制御し、等化処理回路11から受けた受信信号データの複素演算等を実行することにより、受信信号データに含まれる位相誤差を除去する。
信号調整処理部23は、位相誤差を除去した受信信号データをデマッパ回路13に送る。
【0038】
デマッパ回路13は、位相補正処理回路12により位相が調整された受信信号データを用いてデマッピング処理を実行することにより、伝送データを正しく復元して出力することができる。
【0039】
ここで、例えばレイリーフェージングにより各サブキャリアがシンボル方向(時間方向)に変動する際には、全サブキャリアに渡ってほぼ同一量だけ変動するという傾向がある。このため、等化処理回路11により等化された受信信号データには、全サブキャリアに渡って位相誤差が含まれることがある。
そこで、位相補正処理回路12は、全サブキャリアに渡って受信信号データの位相を調整して、受信信号データを補正する。
【0040】
すなわち、例えば図4に示すように、誤差特定処理部22は、キャリア抽出部20によりSP信号を伝送したとして抽出されたサブキャリアSC1〜SC4を、それぞれパイロット発生部21にて発生した基準用のSP信号SP1〜SP4で除算することにより位相差を求める。
こののち、誤差特定処理部22は、内蔵する平均化処理部30により、SP信号を伝送した全てのサブキャリアに含まれる位相誤差を平均化して、信号調整処理部23に通知する。
【0041】
信号調整処理部23は、等化処理回路11から受けた全サブキャリアに対応する受信信号データについて、誤差特定処理部22から通知された位相誤差を除去するための位相回転を施す複素演算を実行し、デマッパ回路13に送る。
これにより、例えばレイリーフェージング等により伝送路の特性が急速に変化して全サブキャリアに遅延が生じ、等化処理回路11の等化処理にて受信信号データに誤差成分が残存した場合に、ノイズによる影響を低減して位相誤差を特定し、受信信号データを調整することができる。
【0042】
以上説明したように、この発明によれば、等化処理回路11によって等化されずに受信信号データに含まれる位相誤差を、SP信号を伝送したサブキャリアから特定して除去することができる。
これにより、例えばレイリーフェージングといった急速に変化する伝送路の特性に対応して受信信号データを調整することができ、伝送データを正しく復元することができる。
【0043】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。
例えば、誤差特定処理部22は、複素除算の結果から、SP信号を伝送したサブキャリアと基準用のSP信号との間の位相差と共に、振幅比を特定することができる。そこで、誤差特定処理部22は、SP信号を伝送した各サブキャリアに含まれる位相誤差を特定して平均化する際に、振幅比に応じた重み付けを行って位相誤差を特定するようにしてもよい。
【0044】
すなわち、誤差特定処理部22は、例えば図5に示すように、アンプAm1〜Am4を備え、サブキャリアSC1〜SC4を基準用のSP信号SP1〜SP4でそれぞれ複素除算することにより、各サブキャリアSC1〜SC4と基準用のSP信号SP1〜SP4との振幅比を特定する。誤差特定処理部22は、各サブキャリアにおいて特定した振幅比に応じてアンプAm1〜Am4の増幅率α1〜α4を制御して重み付けを行ったのち、平均化処理部30により平均化してもよい。
これにより、振幅の小さいSP信号を伝送したサブキャリアに対しては信頼度を下げて位相誤差を特定することができ、より正確に受信信号データを補正することができる。
【0045】
また、上記実施の形態では、位相補正処理回路12が、受信信号データに含まれる位相誤差を除去するものとして説明したが、これに限定されず、受信信号データの振幅を補正するようにしてもよい。
【0046】
この場合、誤差特定処理部22は、SP信号を伝送したサブキャリアと基準用のSP信号との振幅比を複素除算により特定し、信号調整処理部23に通知する。信号調整処理部23は、誤差特定処理部22から通知された振幅比に対応する増幅率の増幅処理を実行することにより、受信信号データが示す直交周波数分割多重信号の振幅を調整すればよい。
【0047】
さらに、位相補正処理回路12は、受信信号データの複素演算を実行することにより、受信信号の位相と振幅の両方を調整するようにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明のように、この発明によれば、等化処理回路から出力された受信信号データに含まれる位相誤差等をパイロット信号から特定して除去することができる。
これにより、急速に変化する伝送路の特性に対応して適切に受信信号を補正し、伝送データを正しく復元することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る直交周波数分割多重信号受信装置の構成を示す図である。
【図2】位相補正処理回路の構成を示す図である。
【図3】直交周波数分割多重信号の構成を示す図である。
【図4】誤差特定処理部の動作を説明するための図である。
【図5】この発明の実施の形態に係る直交周波数分割多重信号受信装置の変形例における誤差特定処理部の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
10 FFT回路
11 等化処理回路
12 位相補正処理回路
13 デマッパ回路
20 キャリア抽出部
21 パイロット発生部
22 誤差特定処理部
23 信号調整処理部
30 平均化処理部
Am1〜Am4 アンプ
100 直交周波数分割多重信号受信装置
Claims (7)
- 分散パイロット信号がシンボル方向とサブキャリア方向に所定周期で挿入された直交周波数分割多重信号を示す受信信号データを入力し、伝送データを復元する直交周波数分割多重信号受信装置であって、
入力された受信信号データをフーリエ変換するフーリエ変換手段と、
前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換された受信信号データから分散パイロット信号を伝送したサブキャリアに対する伝送路特性を特定し、当該伝送路特性をシンボル方向とサブキャリア方向に補間して得られた全サブキャリアに対する伝送路特性に基づいて、前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換された受信信号データを等化する等化処理手段と、
前記等化処理手段により等化された受信信号データに含まれる誤差を除去するための補正を行う補正処理手段と、
前記補正処理手段により補正された受信信号データから伝送データを復元するデマッピング手段とを備え、
前記補正処理手段は、
前記等化処理手段により等化された受信信号データから、分散パイロット信号を伝送したサブキャリアを抽出するキャリア抽出手段と、
受信側において既知の振幅、位相及びタイミングを有する基準パイロット信号を発生するパイロット発生手段と、
前記パイロット発生手段にて発生した基準パイロット信号を用いて、前記キャリア抽出手段により抽出されたサブキャリアを複素除算することにより、前記等化処理手段により等化された受信信号データに含まれる誤差成分を特定する誤差特定手段と、
前記等化処理手段により等化された受信信号データの複素演算を実行することにより、前記誤差特定手段により特定された誤差成分を除去する信号調整手段とを備える、
ことを特徴とする直交周波数分割多重信号受信装置。 - パイロット信号を所定のサブキャリアに挿入してデータを伝送する直交周波数分割多重信号を受信し、前記パイロット信号を伝送したサブキャリアに対して特定した伝送路特性をシンボル方向とサブキャリア方向に補間して直交周波数分割多重信号を等化する等化処理により得られた受信信号データを補正するための直交周波数分割多重信号補正器であって、
前記受信信号データから、前記パイロット信号を伝送したサブキャリアを抽出するキャリア抽出手段と、
受信側において既知の振幅、位相及びタイミングを有する基準用パイロットを発生するパイロット発生手段と、
前記キャリア抽出手段により抽出された前記パイロット信号を伝送したサブキャリアを、前記パイロット発生手段にて発生した基準用パイロットを用いて複素除算することにより、前記受信信号データに含まれる誤差成分を特定する誤差特定手段と、
前記受信信号データの複素演算を実行することにより、前記誤差特定手段により特定された誤差成分に応じて前記受信信号データを調整する信号調整手段とを備える、
ことを特徴とする直交周波数分割多重信号補正器。 - 前記誤差特定手段は、前記キャリア抽出手段により抽出された前記パイロット信号を伝送したサブキャリアと、前記パイロット発生手段にて発生した基準用パイロットとの位相差を位相誤差として特定し、
前記信号調整手段は、前記受信信号データの位相回転量を制御して前記受信信号データの複素演算を実行することにより、前記誤差特定手段により特定された位相誤差を除去する、
ことを特徴とする請求項2に記載の直交周波数分割多重信号補正器。 - 前記誤差特定手段は、前記パイロット信号を伝送した全てのサブキャリアについて、前記パイロット発生手段にて発生した基準用パイロットとの位相差を求めて平均化し、位相誤差として前記信号調整手段に通知する、
ことを特徴とする請求項3に記載の直交周波数分割多重信号補正器。 - 前記誤差特定手段は、前記キャリア抽出手段により抽出された前記パイロット信号を伝送した各サブキャリアと、前記パイロット発生手段にて発生した基準用パイロットとの振幅比を特定し、各サブキャリアについて求めた位相差に、振幅比に応じた重み付けを行って平均化する、
ことを特徴とする請求項4に記載の直交周波数分割多重信号補正器。 - 前記誤差特定手段は、前記キャリア抽出手段により抽出された前記パイロット信号を伝送したサブキャリアと、前記パイロット発生手段にて発生した基準用パイロットとの振幅比を特定し、
前記信号調整手段は、前記誤差特定手段により特定された振幅比に対応する増幅率で前記受信信号データの増幅処理を実行することにより、前記受信信号データが示す振幅を調整する、
ことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の直交周波数分割多重信号補正器。 - パイロット信号を所定のサブキャリアに挿入してデータを伝送する直交周波数分割多重信号を受信し、前記パイロット信号を伝送したサブキャリアに対して特定した伝送路特性をシンボル方向とサブキャリア方向に補間して直交周波数分割多重信号を等化する等化処理により得られた受信信号データを補正するための信号補正方法であって、
前記受信信号データから、前記パイロット信号を伝送したサブキャリアを抽出するキャリア抽出ステップと、
受信側において既知の振幅、位相及びタイミングを有する基準用パイロットを発生するパイロット発生ステップと、
前記キャリア抽出ステップにて抽出した前記パイロット信号を伝送したサブキャリアと、前記パイロット発生ステップにて発生した基準用パイロットとを複素除算して、前記受信信号データに含まれる誤差成分を特定する誤差特定ステップと、
前記受信信号データの複素演算を実行することにより、前記誤差特定ステップにて特定した誤差成分に応じて前記受信信号データを調整する信号調整ステップとを備える、
ことを特徴とする信号補正方法。
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