JP3592983B2 - 挟込み防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車窓閉鎖時の異物の挟込みを防止するための挟込み防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の挟込み防止装置には、例えば、自動車のパワーウィンド装置に適用されているものとして以下のものがある。
【0003】
第1の従来例としは、窓ガラスを開閉駆動するモータに流れる過電流の有無により挟込みを検知するものがある。
【0004】
また、第2の従来例としては、内部に高屈折率の透明液体が充填され、透明液体よりも低屈折率の弾性材料により形成された軟質チューブ体をウエザーストリップ内に埋め込むとともに、軟質チューブ体の長手方向の両側に発光素子と受光素子とを配置したものがある(特開昭58−26621号公報)。この挟込み防止装置では、一端側の発光素子が発光した光を、コアである透明液体中に入射させ軟質チューブ体の内周面で全反射させつつ他端側まで伝搬させて他端側の受光素子に受光させ、その受光素子の受光光量の変化に基づいて異物検出を行うようになっている。
【0005】
すなわち、挟込みが発生し、異物からの応力により軟質チューブ体が弾性変形すると、軟質チューブ体の弾性変形した部分の内周面に入射する光の入射角度が変化するため、透明液体中を伝搬される光の多くが、進行方向を大きく変えられ、全反射が生じる臨界角以下の入射角度で軟質チューブ体の内周面に入射することとなり、導光路である透明液体中から外部へ漏れる。この挟込み防止装置は、この光の漏れにより生じる受光素子の受光光量の減少を検出することにより異物検出を行うようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の第1の従来例では、モータに所定の基準値以上の負荷がかかったときに流れる過電流を検知して挟込みを検出するので、前記基準値をあまり低く設定すると、挟込みが発生していないのに挟込みありと誤判断される場合があり、誤判断防止のために前記基準値をあまり低く設定できず、検出感度が低いという問題もある。このため、手などが挟込まれた際に、大きな力が手に加わってしまう。
【0007】
また、窓ガラスを締め切るときにモータに流れる過電流により挟込み防止装置が誤動作しないようにするため、窓ガラスが完全に閉じられる少し手前で、挟込み防止機能を解除する必要があり、窓ガラスが完全に閉鎖されるまで挟込み防止を確実に行えないという問題がある。
【0008】
さらに、上述の第2の従来例では、軟質チューブ体に透明液体を封入する必要があり、軟質チューブ体の構造が複雑であり、製造コストが高いという問題がある。
【0009】
また、異物にモータからの大きな力が加わる前に挟込みを検出するためには、軟質チューブ体は、比較的小さな応力により容易に弾性変形することが好ましいのであるが、第2の従来例では、透明液体をある一定の圧力で封入しておく必要がある関係上、あまりチューブ体の硬度を低くすると、透明液体の封入の圧力でチューブ体が必要以上に膨れてしまったり、あるいは透明液体の重量によりチューブ体が変形して形状が保持できなくなってしまったりするため、軟質チューブ体を所定の硬度以上とする必要があり、異物からの応力の検出感度が悪いという問題もある。
【0010】
さらに、軟質チューブ体は、内部に透明液体を封入した構成であり、内部圧力の逃げがなく、異物からの応力が加わった際にはその応力の増大に比例して内部圧力が増大するようになっているので、異物からの応力が増大するのに伴ってその応力に対するチューブ体の反発力が増大するようになっている。このため、透明液体を封入したチューブ体は外部からの応力により変形しにくく、この点も、異物からの応力の検出感度を低下させる要因となっている。
【0011】
また、透明液体の封止の信頼性を長期間保持することが難しいという問題もある。
【0012】
さらに、透明液体として水を使用した場合、使用温度によっては水が凍ってしまい、これによって導光路内で光が散乱され、使用不能となるという問題がある。
【0013】
また、通常、軟質チューブ体に使用する弾性材料は、使用温度(−40℃〜+100℃)においては結晶化度が低いため、封入した液体により膨潤しやすく、また使用材料によっては劣化が進行しやすいという問題もある。
【0014】
そこで、前記問題点に鑑み、本発明は、簡易な構成で低コスト化が図られ、信頼性も高く、異物からの応力を高感度で検出できるとともに、開閉部材が締め切られる直前に生じる挟込みも検出できる挟込み防止装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための技術的手段は、車窓を開閉する窓ガラスの閉鎖方向下流側端部に沿って設けられ、外力に対して柔軟に変形および復元する弾性材料によって形成され、長手方向に連通する内部空間を有する第1のチューブ体と、前記車窓の内周部における前記窓ガラスの前記閉鎖方向下流側端部に対向する対向部分に沿って設けられ、外力に対して柔軟に変形および復元する弾性材料によって形成され、長手方向に連通する内部空間を有する第2のチューブ体と、前記第1のチューブ体および前記第2のチューブ体の長手方向一方側から前記内部空間内に向けて所定の光をそれぞれ入射させる第1および第2の発光手段と、前記各発光手段によって入射され前記各チューブ体の内周面で反射されつつ前記各チューブ体の長手方向他方側に伝達された前記光をそれぞれ受光する第1および第2の受光手段と、前記窓ガラスの前記閉鎖方向下流側端部と前記車窓の前記内周部の前記対向部分との間の開口幅が所定の基準値以下になったこをと検出する開口幅検出手段と、前記第1の受光手段および前記第2の受光手段の受光光量を検出し、異物からの応力によって前記各チューブ体が弾性変形することにより生じる前記第1の受光手段および前記第2の受光手段の前記受光光量の減少の有無を監視しており、前記開口幅検出手段の検出結果が前記開口幅が前記基準値以下になっていないことを示している状態で、前記第1の受光手段および前記第2の受光手段のうちの少なくともいずれか一方の前記受光光量の減少が生じた場合、および、前記開口幅検出手段の検出結果が前記開口幅が前記基準値以下になっていることを示している状態で、前記第2の受光手段の前記受光光量の減少が生じた場合には、異物ありと判定して判定結果を外部に出力する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記挟込み防止装置は、略逆U字形の断面状を有して一方向に細長く延びる全体的に略樋状の形状に形成され、その内側の略逆U字形の保持溝内に前記第1のチューブ体を保持した状態で、前記保持溝内に挿入された前記窓ガラスの前記閉鎖方向下流側端をその弾性力により両側から挟持するようにして前記閉鎖方向下流側端部に固定される保持部材をさらに備えるのがよい。
【0017】
また、好ましくは、前記各チューブ体の前記内部空間は前記各チューブ体の外部と連通しており、前記各弾性材料よりも低屈折率の気体で満たされているのがよい。
【0018】
さらに、好ましくは、前記各チューブ体の内周面が、前記光を反射する所定の光反射材で被覆されているのがよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態に係る挟込み防止装置が適用されたパワーウィンドウ装置のブロック図である。
【0020】
このパワーウィンド装置は、大略的に、車窓1を開閉する窓ガラス3と、その窓ガラス3を上下方向に開閉駆動するモータ5を有する開閉機構と、その開閉機構のモータ5を駆動制御する制御部7と、窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部に設けられた第1のチューブ体8と、車窓1の内周部における窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部に対向する対向部分に設けられた第2のチューブ体11と、その各チューブ体8,11の内部空間13,14(図2参照)内を通して光(ここでは、波長が例えば950nmの赤外線)15(図2参照)を送受する第1および第2の発光素子(発光手段)17,18および第1および第2の受光素子(受光手段)19,20と、窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部と車窓1の内周部の前記対向部分との間の開口幅が所定の基準値以下になったことを検出する開口幅検出素子(開口幅検出手段)21と、各受光素子19,20の受光光量に基づいて異物の有無を判定する判定部(判定手段)23とを備えている。
【0021】
第1および第2のチューブ体8,11は、図2に示すように、その長手方向に連通した内部空間13,14を有する中空の弾性部材であり、外力に対して柔軟に変形するとともに復元する柔軟な弾性材料によって形成されている。各チューブ体8,11の内部空間13,14は、チューブ体8,11の外部と連通しており、チューブ体8,11を構成する弾性材料よりも低屈折率の気体(ここでは空気)によって満たされている。また、チューブ体8,11の内周面8a,11aは、光15を効率よく反射するように可能な限り滑らかな面に仕上げられているのが好ましい。
【0022】
チューブ体8,11は外力により容易に変形する必要があるので、使用する弾性材料は、shore D硬度が50以下のものが好ましく、また、挟込み発生時や事故時の衝撃等(例えば100Nの応力)により変形しても復元するとともに、繰り返し変形された場合にも柔軟性を保持でき耐久性に優れたものである必要がある。このような弾性材料としては、例えば、シリコーンゴム、ブタジェンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、アクリロニトリルゴム、ブチルゴム、塩化ビニル、エチレン共重合体(エチレン・プロピレン系共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体など)、スチレン・ブタジェン共重合体などのスチレン系共重合体、ポリアミド系エラストマ、ポリウレタン系エラストマ、ポリエステル系エラストマ、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系エラストマ等を単独で、あるいは複数種類混合したものを用いることができる。
【0023】
このように構成される第1のチューブ体8は、図1に示すように、窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部(点A1から点A2を経た点A3までの部分)に沿って配設されている。第2のチューブ体11は、窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部の点A1から点A3までの部分と対向する窓枠部25の内周部(点B1から点B2を経た点B3までの部分)に、窓枠部25の内周に沿って設けられている。なお、本実施形態では、窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部の点A1から点A3の部分に第1のチューブ体8を配設したが、点A1から点A4の部分に第1のチューブ体8を配設してもよく、これに対応して、第2のチューブ体11も、窓枠部25の内周部の点B1から点B4の区間に第2のチューブ体11を配設するようにしてもよい。
【0024】
このように配設された第1および第2のチューブ体8,11の長手方向両端部は共に開放しており、その一方側には第1および第2の発光素子(赤外線LED等)17,18がそれぞれ配置され、他方側には第1および第2の受光素子(フォトトランジスタ等)19,20がそれぞれ配置されている。
【0025】
第1および第2の発光素子17,18は、図2に示されるように、光15を各チューブ体8,11の一方側から内部空間13,14内に入射させるようになっている。内部空間13,14内に入射された光15は、図2に示されるように、チューブ体8,11が異物からの応力によって変形していない状態にあるときは、チューブ体8,11の内周面8a,11aの各部分に十分に大きな入射角度で入射するので、内周面8,11aで反射されつつ効率よく内部空間13,14内を少ない減衰量で伝搬し、チューブ体8,11の他方側に配置された各受光素子19,20によって十分な光量で受光されるようになっている。ここで、光15が内部空間13,14内を伝搬して受光素子19,20に到達するまでには、内部空間13,14内からの漏れや吸収等により幾分減衰するのであるが、発光素子17,18の発光強度、および受光素子19,20の受光感度を調整することにより、十分に異物からの応力印加を検出できるようになっている。
【0026】
一方、窓ガラス3の閉鎖の際に窓ガラス3と窓枠部25との間で異物の挟込みが生じて異物からの圧力が各チューブ体8,11に与えられた場合には、その応力により、図3に示すように、各チューブ体8,11が内部空間13,14が押しつぶされるようにして弾性変形する。また、挟込みが生じないまでも、窓ガラス3の子供の手や首等の異物が窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部や窓枠部25の内周部に当接することによりこれらの部分に異物からの応力が与えられた場合にも、チューブ体8,11は、同様に内部空間13,14が押しつぶされるようにして弾性変形する。
【0027】
このようにチューブ体8,11が弾性変形すると、内部空間13,14内に張り出したチューブ体8,11の変形箇所37の内周面8a,11aによって光15が遮られ、変形箇所の内周面8a,11aに入射した光15の一部または全部が、入射角が小さくなることにより生じる反射率の低下により内周面8a,11aで反射されずにチューブ体8,11を透過して内部空間13,14外に漏れ、あるいは内部空間13,14内を逆行する方向に反射されるなどする結果、受光素子19,20に入射する光15の光量が大きく低下するようになっている。
【0028】
第1および第2の発光素子17,18は、判定部23の制御により光15を発光する。第1および第2の受光素子19,20は、各発光素子17,19が発光した光15を受光して受光光量(受光強度)に応じた電気信号に変換して判定部23に逐次出力する。
【0029】
開口幅検出素子21は、窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部と窓枠部25との間の開口幅が所定の基準値以下になったことを検出し、判定部23に出力する。この基準値は、閉鎖される際に、窓ガラス3が、その閉鎖方向下流側端部が窓枠部25と当接する締め切り位置に至る直前の位置(締め切り直前位置)にあるときの開口幅に対応するように設定される。
【0030】
ここでは、開口幅検出素子21にはリミットスイッチが用いられており、この開口幅検出素子21は、窓ガラス3が締め切り直前位置にあるときの窓ガラス3の下端部に対応する位置に設置されている。そして、この開口幅検出素子21の出力が示す窓ガラス3の検出の有無に基づいて、判定部23が、前記開口幅が前記基準値以下となっているか否かを判断するようになっている。すなわち、窓ガラス3の下端部が素子21よりも下にあり、素子21が窓ガラス3を検出しているときは、前記開口幅が前記基準値以上であると判断され、窓ガラス3の下端部が素子21よりも上にあり、素子21が窓ガラス3を検出していないときは、前記開口幅が前記基準値以下であると判断される。
【0031】
判定部23は、各発光素子17,18を発光させつつ各受光素子19,20の受光光量を検出し、異物からの応力によって各チューブ体8,11が弾性変形することにより生じる各受光素子19,20の受光光量の減少の有無を監視している。そして、判定部23は、開口幅検出素子21の検出結果が前記開口幅が前記基準値以上であることを示している状態で、第1および第2の受光素子19,20のうちの少なくともいずれか一方の受光光量の減少が生じた場合、および、開口幅検出素子21の検出結果が前記開口幅が前記基準値以下になっていることを示している状態で、第2の受光素子20の受光光量の減少が生じた場合には、異物ありと判定して、異物の存在を制御部7に報知する。このような判定部23による異物検出動作は、制御部7の指示によって行われる。
【0032】
これにより、車窓1の前記開口幅が前記基準値以上である場合に、異物から与えられる応力により第1および第2のチューブ体8,11の少なくともいずれか一方が押しつぶされるように弾性変形すると、その弾性変形したチューブ体8,11を介して送受される光15の光量の減少が、受光素子19,20を介して判定部23によって検出され、異物が検出されるようになっている。また、車窓1の前記開口幅が前記基準値以下である場合に、異物から与えられる応力により第2のチューブ体11が押しつぶされるように弾性変形すると、その第2のチューブ体11を介して送受される光15の光量の減少が、受光素子20を介して判定部23によって検出され、異物が検出されるようになっている。
【0033】
ここで、前記開口幅が前記基準値以下になっている場合とそうでない場合で、異物の有無の判定方法を切り替えるようにしたのは、次のような理由によるものである。すなわち、窓ガラス3が完全に締め切られる際には、一般に窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部は窓枠部25に当接し、異物の有無にかかわらずに第1のチューブ体8が押しつぶされように弾性変形し、窓ガラス3が締め切られる直前の状態では、第1のチューブ体8を用いては異物の検出を行うことができない。このため、窓ガラス3が締め切られる直前の状態では、異物の挟込みと窓ガラス3の締め切りとの誤検出を防止するため、第1のチューブ体8を用いずに、第2のチューブ体11のみを用いて異物検出を行うようにしている。
【0034】
制御部7は、窓ガラス3の開閉を指示する図示しない操作スイッチからの入力に基づき、モータ5を駆動制御して窓ガラス3の開閉を制御する。そして、制御部7は、窓ガラス3を閉鎖させるべきときには、例えば、判定部23に異物検出動作を行わせつつ窓ガラス3を閉動作させ、判定部23から異物ありとの報知出力が与えられない場合にはそのまま窓ガラス3の閉動作を続行して所定位置(例えば全閉位置)まで窓ガラス3を閉鎖する一方、判定部23から異物ありとの報知出力が与えられた場合には、直ちに窓ガラス3の閉動作を停止するととももに窓ガラス3を全開位置まで開動作させるようになっている。
【0035】
次に、第1および第2のチューブ体8,11の配設方法について説明する。
【0036】
図4および図5は、第1のチューブ体8の配設部の断面図である。第1のチューブ体8は、図4および図5に示すように、保持部材31によって窓ガラス3に取り付けられている。この保持部材31は、ゴム等の弾性材料によって形成され、断面形状は略逆U字形であり、一方向に細長く延びる全体的に略樋状の形状を有している。そして、保持部材31は、その内側の略逆U字形の保持溝31a内に第1のチューブ体8を保持した状態で、保持溝31a内に挿入された窓ガラス3の閉鎖方向下流側端をその弾性力により両側から挟持するようにして前記閉鎖方向下流側端部に固定されるようになっている。また、保持部材31の長手方向の両端には、保持溝31a内を外界から遮蔽するための端壁31bが設けられている。
【0037】
この保持部材31の取り付け状態において、保持溝31a内は外部から雨水やほこり等が侵入しないように遮蔽されており、保持部材31によって、第1のチューブ体8、発光素子17、受光素子19、および発光素子17および受光素子19と各リード線33との接続部が保護されている。なお、異物からの応力が与えられた際には、保持部材31は、第1のチューブ体8と一緒に柔軟に弾性変形するとともに、応力印加の解除に伴ってもとの形状に復元するようになっている。
【0038】
また、発光素子17および受光素子19の第1のチューブ体8への取り付けは、以下のようにして行われる。発光素子17は、その発光部17aがチューブ体8の一端部の内部空間13内に挿入された状態で、その発光素子17を包み込むようにしてチューブ体8の一端部に外嵌されるキャップ部材35によって保持されてチューブ体8の一端部に取り付けられる。受光素子19も同様に、図示は省略するが、その受光部がチューブ体8の他端部の内部空間13内に挿入された状態で、その受光素子19を包み込むようにしてチューブ体8の他端部に外嵌されるキャップ部材35によって保持されてチューブ体8の一端部に取り付けられる。
【0039】
なお、発光素子17、受光素子19およびキャップ部材35はチューブ体8と共に保持部材31の保持溝31a内に収容される。また、発光素子17および受光素子19に接続されたリード線33も保持溝31aに収容され、保持部材31の端部(ここでは車両前方側端部)から保持部材31の外部に引き出され、判定部23に接続される。
【0040】
図6は、第2のチューブ体11の配設部の断面図である。本実施形態では、第2のチューブ体11は、図6に示されるように、窓枠部25に設けられるウエザーストリップ41の内周部の窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部に対向する対向部分41aに、ウエザーストリップ41と一体成形されて設けられている。
【0041】
ここで、チューブ体11が一体に設けられるウエザーストリップ41の対向部分41aは、図6に示されるように、窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部と当接しない窓ガラス3の車室内側に設定されている。これによって、締め切り時に窓ガラス3が当接して第2のチューブ体11が押しつぶされることがなく、窓ガラス3が完全に締め切られるまでチューブ体11によって異物が検出できるようになっている。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部および窓枠部25に柔軟に弾性変形する第1および第2のチューブ体8,11をそれぞれ設け、異物からの応力によりそのチューブ体8,11が弾性変形した際に生じるチューブ体8,11の内部空間13,14内を伝搬する光15の光量の減少を検出することにより、異物を検出するようになっているので、各チューブ体8,11に異物からの応力により容易に弾性変形する材質のものを用いることによって、異物からの応力を高感度に検出することができる。
【0043】
また、本実施形態では、車窓1の開口幅が所定の基準値以下になっている状態では、第2のチューブ体11のみを用いて異物の検出が行われるようになっているので、窓ガラス3が完全に締め切られる直前の状態まで異物の検出を行うことができる。
【0044】
さらに、窓ガラス3の閉鎖方向下流側端部に異物検出のための第1のチューブ体8が設けられているため、挟込みには至らないまでも、窓ガラス3の閉鎖の際に子供の手や首等の異物が窓ガラス3上に当接している場合には、その異物を第1のチューブ体8を通じて検出することができ、挟込みを未然に防止することができる。
【0045】
また、各チューブ体8,11の内部空間13,14はチューブ体8,11の外部と連通しており封止する必要がないので、透明液体を封入する必要のある第2の従来例に比して、チューブ体8,11の構成を大幅に簡略化することができ、低コストで作成することができる。
【0046】
さらに、チューブ体8,11の内部には、第2の従来例のように液体等を充填する必要がないので、第2の従来例に比してチューブ体8,11を構成する弾性材料の硬度を十分に小さく設定することができ、これによって、異物からの応力の検出感度を大幅に向上させることができ、手等が挟込まれた場合に、痛みを覚える前に挟込みを検出することができる。この点に関して、本実施形態では、異物からの10N以下の応力を検出可能となっている。
【0047】
また、チューブ体8,11の内部空間13,14は外部と連通しており、チューブ体8,11が異物からの応力により弾性変形しても内部空間13,14内の圧力は増大することはなく、外部からの応力により容易に変形するようになっているので、異物からの応力を高感度で検出することができ、この点においても第2の従来例よりも優れている。
【0048】
さらに、チューブ体8,11の内部空間13,14内に液体等を封入する必要がないので、封入した液体等が漏れ出したりする心配がなく、また、封入した水等の液体が凍ってしまったり、封入液体によりチューブ体8,11が膨潤して劣化しやすくなったりする心配もなく、長期使用に対する信頼性も高いという利点がある。
【0049】
また、第1のチューブ体8の窓ガラス3への取り付けは、第1のチューブ体8を保持部材31の保持溝31a内に挿入した状態で、窓ガラス3の閉鎖方向下流側端を保持部材31の弾性力により両側から挟持するようにして閉鎖方向下流側端部に保持部材31を固定するだけでよいので、取り付けを簡単に行うことができる。
【0050】
さらに、取り付け状態において、保持溝31a内は外部から雨水やほこり等が侵入しないように遮蔽されているため、第1のチューブ体8、発光素子17、受光素子19、および発光素子17および受光素子19と各リード線33との接続部が雨水やほこり等により劣化するのを防止することができる。
【0051】
また、第2のチューブ体11はウエザーストリップ41と一体成形されているので、部品点数および組立工数の削減が図れる。
【0052】
さらに、例えば、第2のチューブ体11がウエザーストリップ41以外の窓枠部25(サイドバイザの内周縁部等)に設けられている場合には、挟込みが生じても異物が第2のチューブ体11が設けられている窓枠部25の部分には当接せずに異物が検出できない場合があるのであるが、本実施形態では、第2のチューブ体11が挟込みが生じた際には確実に異物が当接する部分であるウエザーストリップ41の内周部に設けられているため、異物を確実に検出することができる。
【0053】
また、検出用の光15として赤外線を使用しているので、光15を殆どチューブ体8,11によって吸収されることなく伝搬することができ、発光素子17,18の発光光量を小さく抑えて効率よく挟込み検出を行うことができる。
【0054】
以下に、本実施形態の変形例を記載する。
【0055】
図7は、本実施形態に係る第1および第2のチューブ体8,11の変形例の断面図である。この変形例に係るチューブ体8,11では、その内周面8a,11aが光反射材51,53で被覆されている。光反射材51,53は、少なくとも光15の波長領域において高反射率の材料からなり、例えば、銀、ロジウム、クロムなどの金属、あるいはアルミナ、シリカなどのセラミックスなどの高反射率の材料が用いられている。そして、これによって、チューブ体8,11の内周面8a,11aの光反射効率を向上させることができ、発光素子17,18の発光光量を小さく抑えつつ、効率よく挟込みの検出を行うことができるようになっている。
【0056】
また、本実施形態では、第2のチューブ体11をウエザーストリップ41と一体成形したが、ウエザーストリップ41と別に形成したものをウエザーストリップ9の内周部に固着する(あるいは埋め込む)ようにしてもく、あるいは、窓枠部25の内周部におけるウエザーストリップ41以外の部分(例えば、内装部材、サイドバイザの内周縁部)に第2のチューブ体11を配設してもよい。
【0057】
さらに、本実施形態では、検出用の光15に赤外線を使用したが、可視光等の他の光を使用してもよい。
【0058】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、窓ガラスの閉鎖方向下流側端部および車窓の内周部における窓ガラスの閉鎖方向下流側端部に対向する対向部分に柔軟に弾性変形する第1および第2のチューブ体をそれぞれ設け、異物からの応力によりそのチューブ体が弾性変形した際に生じるチューブ体の内部空間内を伝搬する光の光量の減少を検出することにより、異物を検出するようになっているので、各チューブ体に異物からの応力により容易に弾性変形する材質のものを用いることによって、異物からの応力を高感度に検出することができる。
【0059】
また、窓ガラスが完全に締め切られる際には、一般に窓ガラスの閉鎖方向下流側端部は車窓の内周部に当接し、異物の有無にかかわらずに第1のチューブ体が押しつぶされように弾性変形するため、窓ガラスが締め切られる直前の状態では、第1のチューブ体を用いては異物の検出を行うことができないのであるが、本発明では、車窓の開口幅が所定の基準値以下になっている状態では、第2のチューブ体のみを用いて異物の検出が行われるようになっているので、窓ガラスが完全に締め切られる直前の状態まで異物の検出を行うことができる。
【0060】
さらに、窓ガラスの閉鎖方向下流側端部に異物検出のための第1のチューブ体が設けられているため、挟込みには至らないまでも、窓ガラスの閉鎖の際に子供の手や首等の異物が窓ガラス上に当接している場合には、その異物を第1のチューブ体を通じて検出することができ、挟込みを未然に防止することができる。
【0061】
また、各チューブ体の内部空間内には、第2の従来例のように透明液体を封止する必要がないため、各チューブ体の構成を大幅に簡略化することができ、低コストで作成することができるとともに、第2の従来例に比して各チューブ体を構成する弾性材料の硬度を十分に小さく設定することができ、これによって、異物からの応力の検出感度を大幅に向上させることができ、手等が挟込まれた場合に、痛みを覚える前に挟込みを検出させることができる。
【0062】
さらに、チューブ体の内部空間内に液体等を封入する必要がないので、封入した液体等が漏れ出したりする心配がなく、また、封入した水等の液体が凍ってしまったり、封入液体によりチューブ体が膨潤して劣化しやすくなったりする心配もなく、長期使用に対する信頼性も高いという利点がある。
【0063】
請求項2に記載の発明によれば、第1のチューブ体を保持部材の保持溝内に挿入した状態で、窓ガラスの閉鎖方向下流側端を保持部材の弾性力により両側から挟持するようにして閉鎖方向下流側端部に保持部材を固定するだけで、第1のチューブ体の窓ガラスへの取り付けを簡単に行うことができる。
【0064】
また、保持部材が第1のチューブ体に覆い被さるようにして取り付けられるため、保持部材によって第1のチューブ体が保護されるようになっており、第1のチューブ体の劣化を防止することができる。
【0065】
請求項3に記載の発明によれば、各チューブ体の内部空間は外部と連通しており、各チューブ体が異物からの応力により弾性変形しても内部空間内の圧力は増大することはなく、外部からの応力により容易に変形するようになっているので、異物からの応力を高感度で検出することができ、この点においても第2の従来例よりも優れている。
【0066】
請求項4に記載の発明によれば、各チューブ体の内周面が光反射材で被覆されているので、各チューブ体の内周面の光反射効率を向上させることができ、各発光手段の発光光量を小さく抑えつつ、効率よく異物の検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る挟込み防止装置が適用されたパワーウィンドウ装置のブロック図である。
【図2】第1および第2のチューブ体の断面図である。
【図3】応力印加により弾性変形した第1および第2のチューブ体の断面図である。
【図4】第1のチューブ体の配設部の断面図である。
【図5】第1のチューブ体の配設部の断面図である。
【図6】第2のチューブ体の配設部の断面図である。
【図7】第1および第2のチューブ体の変形例の断面図である。
【符号の説明】
1 車窓
3 窓ガラス
5 モータ
7 制御部
8 第1のチューブ体
11 第2のチューブ体
17 第1の発光素子
18 第2の発光素子
19 第1の受光素子
20 第2の受光素子
21 開口幅検出素子
23 判定部
51,53 光反射材

Claims (4)

  1. 車窓を開閉する窓ガラスの閉鎖方向下流側端部に沿って設けられ、外力に対して柔軟に変形および復元する弾性材料によって形成され、長手方向に連通する内部空間を有する第1のチューブ体と、
    前記車窓の内周部における前記窓ガラスの前記閉鎖方向下流側端部に対向する対向部分に沿って設けられ、外力に対して柔軟に変形および復元する弾性材料によって形成され、長手方向に連通する内部空間を有する第2のチューブ体と、
    前記第1のチューブ体および前記第2のチューブ体の長手方向一方側から前記内部空間内に向けて所定の光をそれぞれ入射させる第1および第2の発光手段と、
    前記各発光手段によって入射され前記各チューブ体の内周面で反射されつつ前記各チューブ体の長手方向他方側に伝達された前記光をそれぞれ受光する第1および第2の受光手段と、
    前記窓ガラスの前記閉鎖方向下流側端部と前記車窓の前記内周部の前記対向部分との間の開口幅が所定の基準値以下になったこをと検出する開口幅検出手段と、
    前記第1の受光手段および前記第2の受光手段の受光光量を検出し、異物からの応力によって前記各チューブ体が弾性変形することにより生じる前記第1の受光手段および前記第2の受光手段の前記受光光量の減少の有無を監視しており、前記開口幅検出手段の検出結果が前記開口幅が前記基準値以下になっていないことを示している状態で、前記第1の受光手段および前記第2の受光手段のうちの少なくともいずれか一方の前記受光光量の減少が生じた場合、および、前記開口幅検出手段の検出結果が前記開口幅が前記基準値以下になっていることを示している状態で、前記第2の受光手段の前記受光光量の減少が生じた場合には、異物ありと判定して判定結果を外部に出力する判定手段と、
    を備えることを特徴とする挟込み防止装置。
  2. 前記挟込み防止装置は、
    略逆U字形の断面状を有して一方向に細長く延びる全体的に略樋状の形状に形成され、その内側の略逆U字形の保持溝内に前記第1のチューブ体を保持した状態で、前記保持溝内に挿入された前記窓ガラスの前記閉鎖方向下流側端をその弾性力により両側から挟持するようにして前記閉鎖方向下流側端部に固定される保持部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の挟込み防止装置。
  3. 前記各チューブ体の前記内部空間は前記各チューブ体の外部と連通しており、前記各弾性材料よりも低屈折率の気体で満たされていることを特徴とする請求項1または2に記載の挟込み防止装置。
  4. 前記各チューブ体の内周面が、前記光を反射する所定の光反射材で被覆されていることを特徴とする請求項1または2に記載の挟込み防止装置。
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