JP3592700B2 - オゾン発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、オゾン発生装置、特に高濃度オゾンを高効率で発生することの可能なオゾン発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図47は例えば「オゾナイザハンドブック」(電気学会オゾナイザ専門委員会編,昭和35年,コロナ社刊)249 頁に示されたOtto−Plate(オットー・プレート)型と呼ばれる従来のオゾン発生装置と同一のものを示す断面図(同図(1))及び左半分の正面図(同図(2))であり、図において、1は電源、2は接地された金属電極、3は接地電極2に対向して設けられ、電源1に接続され高電圧の印加された高圧電極、4は接地電極2および高圧電極3の表面に置かれた誘電体(ガラス板)、5は放電の発生する放電空間、6は放電空間5を形成するための電気絶縁性(誘電体)スペーサである。7、8はそれぞれガスの供給口及び排出口を示す矢印、9はオゾン化ガスの排出管である。また、図48は、たとえば、S.D.Razumovskii 他著「Ozone and its reactions with organic compounds(オゾンと有機化合物を用いたその反応)」ELSEVIER社刊(1984年)に示されるLowther Plate (ローザー・プレート)型と呼ばれるオゾン発生装置を示す断面図(同図(1))及び同図(1)のA−A断面図(同図(2))である。図において、図47と同様の機能を持つ部分には、同一の図番を付けてその説明を省略する。41は接地電極2、3上にコーティングされたセラミックス層であり、ガラス板4と同様の機能をもつ。
【0003】
次に動作について説明する。従来のオゾン発生装置は接地電極2、高圧電極3、誘電体板4の中央部にはガス排出用の穴があけられている。上述のオットー・プレート型の文献にはスペーサ6に関する記述はないが、実際には図47に示すように、誘電体4,4の間隔(空隙長)を保持するため、ガスの流入を邪魔しないような形で放電空間5の周囲に電気絶縁性のスペーサが設置されている。酸素を含む原料ガスはオゾン発生装置の周辺部全周から矢印7の方向に導入され、電源装置1によって高電圧が印加されて放電している放電空間5を通過する際に酸素の一部がオゾンとなり、このオゾンを含むガスがオゾン化ガスとして中央部のガス排出管9を通して矢印8の方向に取り出される。
【0004】
前記放電空間5では放電による発熱があるため、該放電空間5を通過するガスを有効に冷却しないと放電空間5内のガス温度が上昇し、オゾンの発生量が減少する。そのため、接地電極2および高圧電極3は絶縁オイルなど電気絶縁性の液体で冷却し、ガス温度の上昇を抑えている。
【0005】
図48のオゾン発生装置も基本構成は図47のオゾン発生装置と同様である。ただし、ガスの供給口及び排出口が別途設けられており、図に示す方向にガスが流れる点で図47のオゾン発生装置と異なる。また、図48のオゾン発生装置では電気絶縁性(例えばシリコン製)のスペーサ6が図示されており、このスペーサ6が電極2,3間の間隔(空隙長)を保持し、さらにガスが放電空間から漏れださないためのシール材として用いられている。
【0006】
以下、上記従来のオゾン発生装置の特性を図49乃至図52にしたがって説明する。図49〜図52の各図中、Q は原料ガスの流量(STP 換算)、Wは放電電力、CO3は放電部のガス排出口におけるオゾン濃度(STP 換算)、T は冷却水の温度、dは放電空隙長、Sは電極2,3間の放電面積、ηはオゾン収率を表す。W/Q はガス1分子あたりに消費される放電電力であり、オゾン発生特性の重要なパラメータになる。W/Sは電極2,3間の放電空間の単位面積あたりの放電電力(電力密度)であり、ガス温度を反映するパラメータである。オゾン収率ηは単位放電電力あたりのオゾン発生量であり、η=CO3/(W/Q )となる。オゾン発生装置の性能(コンパクト性、効率)としては、ηおよびW/Sが大きいほうが望ましく、CO3も大きいほうがよい。
【0007】
図49は電力密度W/Sおよび放電空隙長dを一定として冷却水温を変化させた場合の分子あたり消費電力W/Q とオゾン濃度CO3の関係を示したものである。前述のように分子あたり消費電力W/Q はオゾン発生に関する基本的パラメータであり、該消費電力W/Q の増大にともないオゾン収率ηは低下する。(図中の直線はオゾン収率ηが一定の線を示し、上方にある直線ほどオゾン収率ηが大きい。)また、消費電力W/Q が小さいところでは冷却水温度T の影響が小さいが、消費電力W/Q が大きくなると冷却水温度T が低いほどオゾン濃度CO3(従ってオゾン収率η)が大きくなる。すなわち、高濃度のオゾンを得るためには、冷却水温を低く設定し、ガス温度を低く保つことが重要となる。
【0008】
図50は冷却水温度T および放電空隙長dを一定として、電力密度W/Sを変化させた場合の消費電力W/Q とオゾン濃度CO3の関係を示したものである。電力密度W/Sが大きくなることは上記図49で冷却水温T が高くなるのと同様の効果をもっていることがわかる。電力密度W/Sが大きくなるのも、冷却水温度T が高くなるのも、放電空間5のガス温度上昇に対して同様の効果をもつからである。
【0009】
図51は冷却水温度TW および電力密度W/Sを一定として放電空隙長dを0.8mmから1.6mmまで変化させた場合の消費電力W/Q に対するオゾン濃度CO3を示したものである。放電空隙長dの増加も冷却水温T の上昇と良く似た効果をもつ。
【0010】
ここで、放電空間の平均ガス温度θavを式(1)のように定義すると、電極の片側のみ冷却した場合のオゾン発生装置の放電空間の平均ガス温度は式(2)となる。ただし、xは空隙方向の距離、dは放電空隙長、θ(x)は距離xでのガス温度、kaはガスの熱伝導率、TW は冷却水温を表す。また、電極の両側を冷却した場合には式(3)となる。
【0011】
【数1】
Figure 0003592700
【0012】
上式(1)〜(3)より、電極の冷却方式によって係数は異なるものの、平均ガス温度θavは放電電力密度W/Sおよび空隙長dに比例することがわかる。すなわち、同一の大きさの電力を投入しても、空隙長dを短く設定すれば、平均ガス温度θavを低く抑えることができ、図51のd=0.8mmの時のように高濃度オゾンが得られる。ところが、空隙長dをあまり短く設定すると、複数のオゾン発生ユニットを多段に構成したとき、各オゾン発生ユニットの放電空間の空隙長dのばらつきが大きくなる。したがって、各放電空間に流れるガス流量Q がばらつき、さらに各放電空間に投入される放電電力Wもばらつくため、等価的な消費電力W/Q が増加し、図49から図51に示すようにオゾンの発生効率が低下する。また図52に示すように、空隙長dをあまり小さくするとオゾンの励起効率自体が低下してしまうことが知られている。図52は、「J. Phys.(物理学会誌)」B38(1988)の Czechの論稿(同誌648頁, Fig.7)から転載した図であり、横軸は空隙長、縦軸はオゾン発生効率である。○,+によりそれぞれ空気と酸素を原料ガスにしたときの結果を示している。該論文ではオゾン発生に関して最適な空隙長は0.8mmから1.1mm程度であるとされている(645頁,第1行)。特に0.6mm程度以下の短空隙での励起効率の低下が強調されている。したがって、従来のオゾン発生装置は、空隙長dが0.8mmから1.5mmの範囲で使用され、熱的問題は電力密度W/Sの小さい領域で使用することにより回避していた。すなわち、装置を大きく構成し、放電面積を大きく設計することにより、オゾンの発生効率を高くしていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来のオゾン発生装置は以上のように構成されているので、放電空間のガス温度を低く保つために、オゾン発生装置を大きく構成し、放電面積Sを大きくすることによって、電力密度W/Sを低く抑える必要があるなどの問題点があった。
【0014】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、オゾンの発生効率が良く、高濃度のオゾンを発生させるオゾン発生装置を得ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るオゾン発生装置は、対向して配置されその間に高電圧が印加されることにより放電を発生せしめる2個の電極と、該電極間に設置される少なくとも1個の誘電体と、前記電極間に原料ガスとして空気を供給するガス供給機構とを備え、前記放電によりオゾンを発生する少なくとも1個のオゾン発生ユニットを有するオゾン発生装置において、放電空隙長が0.6mm以下で、放電空間のガス圧力pと該放電空間の放電空隙長dとの積pdが120Torr・cm 以上であるようにせしめたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の一実施の形態を図について説明する。図1はこの発明の実施の形態1を示す断面図であり、図47に示した従来例と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。図1において、11はヒューズ12を介して電源1に接続された給電板、31は給電板11に電気接触された導電層(電極)である。この導電層31は図47の従来例の高圧電極3に相当する。4は誘電体であり、アルミナセラミックス板により形成されている。このセラミックス板4と導電層31の大きさの関係を図2に示す。図2中、32はガス通路のためにセラミックス板4の中央部に設けられた穴(ガス供給機構)である。この導電層31はセラミックス板4の片面に厚み40ミクロンの銀メタライズ層で形成されている。給電板11と導電層31の一部でも接触しておれば給電板11と導電層31は同電位となる。したがって、たとえ給電板11とセラミックス板4の間に隙間が生じても、両者が同電位であるため、その隙間には電界がかからず、したがってボイド放電が発生することはない。また、セラミックス板4の外周部もしくは内周部を伝って接地電極2に沿面放電が飛ばないように(図1参照)、セラミックス板4の全面に導電層31を形成せず、外周部と内周部に導電層31の形成されていない領域を設けている。沿面放電を防止するための導電層31と接地電極2との距離は、印加電圧にもよるが、通常十分な2mm以上に設定してある。
【0017】
61は金属製のスペーサであり、接地電極2とセラミックス板4との間に挿入されている。該スペーサ61を介してセラミックス板4と接地電極2により、放電の発生する放電空間5が形成され、導電層31及び接地電極2の間に発生する放電により、該放電空間5へのガス供給口(ガス供給機構)7から供給された酸素を含むガスの一部が放電空間5内でオゾン化される。用いるガスは酸素単独でも、窒素と酸素の混合ガスでも空気でもよい。ただし、水分量はなるべく少なく、酸素濃度はなるべく高いほうが効率的である。セラミックス板4、接地電極2はそれぞれ金属スペーサ61を介して面接触されており、セラミックス板4での発熱は、スペーサ61を介して、冷却された接地電極2で有効に吸収される。
【0018】
図1に示す実施の形態1では、2組のオゾン発生ユニットが対向して設けられており、該2組のオゾン発生ユニットの間に、オゾン耐性のあるエチレンプロピレンゴム(以下「EPゴム」と略記する)で構成されたストレス緩衝板(弾性体)100を挿入して、上部の接地電極2を矢印Aの方向から図示しない加圧機構により押圧することにより装置を組み立てている。すなわち、接地電極2とセラミックス板4との間にスペーサ61を介在させるとともに、セラミックス板4の背後から弾性体であるストレス緩衝板100の抗力で押圧することにより、放電空間5の空隙長を一定に保っている。すなわち、機械的や熱的ストレスによりセラミックス板4等に生じる力をストレス緩衝板100により吸収している。従って、主にセラミックス板4の歪みにより空隙長の精度が悪化したり、セラミックス板4が破壊されたりすることがこのストレス緩衝板100により防止される。
【0019】
図48に示した従来例のように、電極2,3あるいはセラミックス層(誘電体)41により構成される空隙間で、放電しない外周部にシリコン製のスペーサ6を挿入する方法では、電極2,3の熱歪みにより空隙長が変化してしまう。この問題を回避するために、本実施の形態においては、図3に示すストレス緩衝板100を用いた。図3において、100はEPゴムよりなるストレス緩衝板、101はガス通路のための開口部(ガス供給機構)、102はオゾンによりEPゴムが腐食されることを防ぐために、EPゴムの表面にフッ素樹脂コートした部分を示す。このストレス緩衝板100は放電空間5とほぼ同程度の大きさを持ち、図1に示すように導電層31の背面に設置することにより、放電空間5の外側から全面にわたって均質に配置することができ、前述したスペーサ61の空隙長を保持する作用を助けて放電空間5の空隙長を高精度に保つことができる。すなわち、例えば熱膨張によりセラミックス板4の厚みが変化し、この変化を緩衝すべくストレス緩衝板100の厚みが変化しても、本実施の形態の構成では空隙長が変化することがない。
【0020】
従って、数百ミクロン程度の超短空隙が要求される場合には、本実施の形態の構成は特に有効である。また、図1に示すように同電位の高圧導電層31の間に挟持され該導電層31に取り囲まれているため、ストレス緩衝板100に電界がかかることはなく、沿面放電の恐れもない。なお、沿面放電によるストレス緩衝板100の劣化を防ぐためにも、図1に示すように、該ストレス緩衝板100の面積は、セラミックス板4の表面に施された導電層31の面積等しいかそれよりも小さくし、ストレス緩衝板100が同電位の導電体31に取り囲まれているほうが望ましい。なお、ストレス緩衝板100は全体的にフッ素樹脂で構成してもよい。
【0021】
次に動作について説明する。ガスは図1において接地電極2の周囲部から矢印7の方向に吸い込まれ、放電空間5を通過後、矢印81の方向に流れ、ガス排出管(ガス供給機構)9を通って矢印8の方向に排出される。動作ガス圧力は2気圧(atm)である。動作ガス圧力を0.5atmから3atmまで変化したときの、空隙長dとオゾン発生効率ηの関係を実験した結果を図4に示す。この結果は原料ガスとして酸素を用いたときの結果である。ガス圧力を増加していくと、最適な空隙長dが変化していくことがわかる。すなわち、ガス圧力の増加に伴い、短い空隙での励起効率が上昇し、長い空隙での励起効率が減少している。この現象は、次の理由によることが本発明者の実験で明らかになり、以下の如く説明できる。
【0022】
(1)接地電極2、導電層31の近傍には大量の正イオンよりなるシース領域が存在する。イオンは電子に比べオゾンを発生する能力が圧倒的に小さいため、空隙長dが短くなるとイオンシースの影響が大きくなりオゾン発生効率ηは減少する。ガス圧力を増加させると正イオンによるシース部の長さが減少するため、短空隙中での励起効率が改善される。通常1気圧でのシース長は0.003mm程度であり、空隙長dに対するシース長の比が50%程度になると励起効率は急激に減少する。したがって短空隙中では圧力の増加に伴いオゾン発生効率ηは急激に増加する。
(2)放電の安定性を示すパラメータの1つに空隙長dとガス圧力pの積(pd値)が知られているが、無声放電式オゾナイザの場合、pd値が0.3atm・cmを超えると、空間的にピンチした放電形態に変化することが明らかになった。放電がピンチすると、空間のガス温度が局所的に上昇し、オゾンの熱分解過程が促進され、オゾン発生効率ηが低下する。長空隙領域で、ガス圧力の増加と共にオゾン発生効率が低下しているのはこのためである。
【0023】
ところで、従来図52に示したデータ以外には、0.5mm以下の短空隙中でのオゾン発生特性は、ほとんど報告されていない。これは、図48に示す従来のオゾン発生装置では、高圧力で運転するとオゾンが漏れだすため実験ができなかったこと、空隙精度の良い実験機が製作できないため、超短空隙のオゾン発生装置は実用性がないと判断されたことなどによると思われる。いずれにせよ、図52は1気圧での結果であるために、短空隙長での励起効率が低かったものと思われる。すなわち、本発明者によるオゾン発生装置は、上述の構成をとることにより精度良く0.6mm以下の空隙が構成できたこと、及び1.5気圧程度以上の高圧ガスを使用したことにより、高効率、コンパクトなオゾン発生装置を実現できたものである。
【0024】
これまでの説明は、投入電力が小さく、オゾン濃度が低い場合の結果についてのものである。オゾン濃度が低い場合には、図4に示すように、各放電空隙長において最適な圧力を用いれば、オゾン発生効率に大きな差が見られず、装置のコンパクト化の観点からは、放電空隙長が短いほうが有利であることが分かる。さらに電力を投入し、オゾン濃度を高めていった場合のオゾン発生特性の変化を図5に示す。図5の横軸はガス1分子あたりに投入されるエネルギーW/Q 、縦軸はオゾン濃度Cを表す。ここでは、放電空隙長の差に起因するガス温度上昇の影響を除くため、放電空間のガス温度が300゜Kになる条件での結果を示している。即ち、放電面積が放電空隙長に比例する電極を用いて、放電によるガス温度上昇が放電空隙長により変化しないようにした。
【0025】
前述したように、オゾン濃度の低い領域ではオゾン発生効率は実験条件にあまり依存しない。ところが、図5に示すように、オゾン濃度が高くなるに従い、各特性に差が見られる。実験データの検討の結果、これらの各特性の変化はガス圧力pと放電空隙長dとの積pdに依存していることが判明した。図6は電子衝突によるオゾン生成(酸素解離)速度kO とオゾン解離反応速度kO との比kと積pdとの関係をまとめたものである。同図より、積pdが大きくなるほど比kが大きくなることが分かる。比kが大きくなるということは電子によるオゾン解離反応が大きくなることを意味し、高オゾン濃度領域でオゾン生成効率が低下することを意味する。オゾン濃度が低い場合には、オゾン発生効率は、オゾン生成速度kO にのみ依存し、比kには依存しない。図6より、高濃度オゾンを発生するためには、比kを小さく抑える必要がある。このためには、同図より、積pdを30Torr・cm以下に設定すればよい。ただし、オゾンは酸素原子と酸素分子と第3体との3体衝突により生成されるため、ガス圧力pがあまり低いとオゾン発生効率は低下してしまう。即ち、ガス圧力pを1気圧(760Torr)程度以上に高くしておく必要がある。この条件を考慮すると放電空隙長dは0.4mm以下にする必要があると結論できる。
【0026】
図6の結果は以下のようにしても説明できる。即ち、図7は電子エネルギー分布を換算電界E/N(ただしNはガス分子の粒子数)の関数としてまとめたものであり、図における換算電界100Td(Td=10−17 Vcm)、200Td、300Tdはそれぞれpd=76Torr・cm、25.8Torr・cm、13Torr・cmに相当することが本発明の発明者の実験から判明している。図7において、酸素の解離エネルギーは6−8eVであり、オゾンの解離エネルギーは2eV及び4eV付近である。また、同図において、8eV付近の電子の存在確率は、あまり換算電界E/N(もしくは積pd)に依存しない。従って、低オゾン濃度領域におけるオゾン発生効率は、換算電界E/N(もしくは積pd)に依存しない。一方、2−4eV付近の電子エネルギーの存在確率は、換算電界E/Nが高いほど(即ち積pdが低いほど)小さい。このことは、換算電界E/Nが高いほど電子によるオゾンの解離反応が小さく、高濃度域でのオゾン発生効率が高くなることを予想させる。このことにより、図6の実験結果、即ち積pdが小さいほど高濃度オゾンが得られることを定性的に説明できる。なお、オゾン濃度が増加した場合、電子エネルギー分布自身も変化するため、オゾンの電子衝突断面積が得られないと定量的な評価は困難である。
【0027】
ここで、原料ガスの酸素濃度が低い場合には、上記電子エネルギー分布に与える換算電界の影響は小さくなるため、上記の最適値は、原料ガスとして酸素濃度が高いガスを用いたときに特に有効である。
【0028】
なお、原料ガスに窒素が含まれる場合、これまでの特性と全く異なったオゾン発生特性が得られることが判明した。酸素と窒素の分率比が1対4である空気を原料ガスに用いて、放電空隙長d、ガス圧力pを変化させてオゾン発生特性を調べたものが図8である。高消費電力W/Q 領域では、消費電力W/Q の増加に対してオゾン濃度は減少することが確認されているが、ここではその領域については示していない。同図より、放電空隙長dが大きいほど、あるいはガス圧力pが高いほど高濃度オゾンが得られることが分かる。
【0029】
図8の結果を放電空隙長dとガス圧力pとの積pdでまとめた結果を図9に示す。同図より、積pdを大きくしたほうが、高濃度オゾンが得られることが分かる。所定の高濃度オゾンを得るためには、積pdを120Torr・cm以上にする必要がある。この結果は、酸素を原料ガスとして用いて行った実験結果(図5)と全く逆の傾向である。
【0030】
また、窒素分率が酸素分率とほぼ等しい場合にも図9と同様な特性が得られることが判明した。さらに、これ以上に窒素分率を高めていった場合、即ち窒素濃度の高い原料ガスを用いた場合には、放電により生成される窒素酸化物(NOx)がオゾンを破壊し、高濃度オゾンが得られないという現象が生じる。また、電子エネルギーが高いほど、即ち積pdが小さいほど、窒素酸化物(NOx)はできやすいため、積pdの小さい領域では、高濃度オゾンが得られない。この物理モデルは放電空隙長dが0.8mm以上の領域では公知の事実であるが、0.6mm以下の放電空隙長でも同様な現象の発生することが上記実験により初めて確認できた。
【0031】
次に、図1及び図10を参照して接地電極2、金属スペーサ61の部分を詳しく説明する。図示していないが接地電極2は水冷されている。この実施の形態の構成では、冷却する部分はすべて接地電位であるため、通常の水を使用することができ、絶縁油や純水を用いる必要はない。もちろん、接地電極に冷却用のフィンを取付け空冷しても、ヒートパイプ冷却でも、チラー水で直冷しても同じ効果が得られる。また、接地電極2の放電部に対応する面に誘電体層をコーティングするか、あるいは接地電極2上に誘電体板を設置しておくと安定な放電が得やすい。接地電極2の上に図に示すような放射状の金属スペーサ61が設置され、このスペーサ61の上にセラミックス板4が置かれ、放電空間5を形成する。したがって、接地電極2上でスペーサ61の存在しない部分が放電空間5となり、スペーサ61が存在する空間は非放電部となる。この構成では、放電部とガス通路は完全に一致し、ガス通路を別途設ける必要がない。また、スペーサ61に用いる材料の厚みで任意の空隙長dが実現できる。さらに、放電電極面積にしめるスペーサ(非放電部)61の割合が大きく、放電領域全域にスペーサ61が存在するため、空隙精度を空間全域に均一に構成することができ、このスペーサ61を介してセラミックス板4を間接的に冷却できる効果もあわせ持つことが判明した。
【0032】
また、非放電部の面積を増加して行くと、ガスの冷却効果が増加していく。ただし、あまり非放電部の面積を増加すると、有効放電部面積が減少し、オゾン発生特性が劣化する。放電部の面積S と非放電部の面積S の比R =S /Sd を変化してオゾン発生特性を調べたものが図11である。R =0の付近ではR の増加に伴いオゾン発生効率が急激に増加している。さらにR を増加するとオゾン発生効率は最大値を迎え、やがて低下してゆく。従来のスペーサを使用しない場合に比較して10%以上オゾンの発生効率が高くなる領域は、スペーサの材料、電力密度、オゾン濃度等、他の条件によって変化するが、およそ5%≦R ≦100%の範囲となる。図11は、ギャップ長0.8mmにおける結果であるが、スペーサによる除熱効果は放電ギャップ長に大きく依存する。ギャップ長を変えて、比R とオゾン発生効率の相対比を示した結果が図12である。図12から明らかなように、ギャップ長が大きくなると,スペーサを介して除熱される効果が高くなるため非放電部の割合を大きくした方が除熱効果が高い。逆にギャップ長が小さい場合には、ガス中を効率的に熱が伝わるため、スペーサによる除熱効果は低くなる。従って、非放電部の割合を小さく設定したほうが除熱効率が高い。ギャツプ長が0.1mmから1.2mmの範囲で、スペーサのない場合と比較してオゾン発生特性が多少とも改善される領域は、図12に示すように、0.5%≦R ≦120%であった。もちろん金属スペーサにアルミ、銅などの熱伝導率の高い材料を用いれば冷却効果は上がり、最大オゾン発生量も増加する。また、腐食の問題を重視する場合には、上記熱伝導率の高い材料にオゾン耐性の材料をメッキ、もしくはコーティングするか、ステンレスを用いることが有効である。
【0033】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、電極を接地して接地電極2とし、導電層31に電源1から高電圧を印加して、接地電極2及び導電層31間に高電圧電界を生じさせていたが、図13に示すように、接地電極2に電源1から高電圧を印加し、導電層31をヒューズ12を介して接地して接地電極として、両電極間に高電圧電界を生じさせるようにしてもよい。
【0034】
実施の形態3.
また、図14に示すように、中点接地電源1’を用いて、電極2及び導電層31に該中点接地電源1’から逆層の高電圧を印加して両電極間に高電圧電界を生じさせるようにしてもよい。このようにすることにより、実施の形態1,2のように一方の電極を接地した場合に比して両電極の接地電位との電位差を半分にすることができる。すなわち、図15(1),(2)に示すように、一方の電極を接地した場合の高電圧側の電極電位のピーク値をvとすると、中点接地電源1’を用いた場合の両電極の電位のピーク値はv/2となる。このことにより、電極とオゾン発生装置のアースとの絶縁距離を半分にすることができ、形状のコンパクトなオゾン発生装置を得ることができる。
【0035】
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3では、板状のスペーサ61を放電空間5に挿入する場合について述べたが、図16に示すように、糸状のスペーサ62を用いても同様の効果を奏する。この場合、糸状材料の直径が放電空隙長に相当するので、スペーサが安価に構成でき、空隙長dも任意の長さに設定することができる。
【0036】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では放射状ガス通路を形状するスペーサ61,62について説明したが、ガス通路、スペーサともに形状は任意であり、図17に示すように、非放電部を形成するスペーサ63が放電領域のほぼ全域に飛び石状に分布していてもよく、放電部との面積比率が上記条件を満たしておれば同様の効果を奏する。
【0037】
実施の形態6.
図18は実施の形態5の変形であるが、非放電部を形成するスペーサ64を螺旋状に構成することにより、放電部のガスの流れを均質化することも可能である。
【0038】
実施の形態7.
なお、これまでは金属製のスペーサについて実施の形態を示してきたが、絶縁性の材料でスペーサを構成すれば非放電部を伝って流れる無効誘導電流を低減することができ、電力投入において力率を高くすることができる。この場合には、誘電率が低く、耐電圧が高く、誘電正接(tanδ) が小さく、さらに熱伝導率の高い材料が効果的である。それぞれ
比誘電率 20以下
耐電圧 5kV/mm以上
tanδ 0.1%以下
熱伝導率 0.1W/(cm・deg)
が概略の目安となる。ただし、耐電圧、誘電正接以外は必ずしも上記条件を満たす必要はない。代表的な材料としてはアルミナセラミックス、ベリリア、ガラス、ダイヤモンドなどがある。
【0039】
実施の形態8.
セラミックス4の表面に放電部に対応する部分だけ導電層31を設けることは、前記無効誘導電流を防止する上で重要な意味を有する。図19は図10に示す放射状の放電空間に対応するセラミックス4の表面を示す。図10においてスペーサ61のない部分が放電部になるため、この実施の形態8では図19に示すように、図10の放電部に対応した部分に導電層31が設けられている。図中32はガス流路のためセラミックス板4の中央部にあけられた穴である。この実施の形態8の場合、放電部にのみ電圧が印加され、非放電部(スペーサのある部分)には給電されないため、非放電部を誘導電流が流れることはない。したがって、効率的に電力を放電部に注入することができる。
【0040】
実施の形態9.
接地電極2と非放電部材を一体的に形成すると部品点数を減らすことができる。図20は接地電極2に放電部に相当する溝部を加工することにより、接地電極2と、スペーサの機能を同時に果たしている。図において、21は削られた溝部(凹部)を表し、22は母材表面(凸部)である。従って、この接地電極2の上に誘電体電極を乗せると、溝部21が放電部になり、表面22が非放電部になる。この溝加工の方法としては、通常の機械加工でも可能であるが、エッチング法も有効な手段である。
【0041】
実施の形態10.
また、実施の形態9では、接地電極2に溝を加工する場合について示したが、電極材料と同種材料もしくは異種材料の層を形成し、非放電部に対応する層を形成することも有効な方法である。この場合には図20において、21が母材表面で、22がデポジション部となり、それぞれ、放電部、非放電部に対応する。層の形成方法として、溶射、CVD(ケミカルベーパーデポジション)、プラズマCVDなどが有効である。溶射材料としては、アルミニュウムを代表とする金属材料、セラミックス、ガラスを代表とする誘電体材料がある。
【0042】
実施の形態11.
誘電体と非放電部材を一体で形成することも有効である。図21は誘電体板に凸凹をつけ、スペーサの機能を持たせたものである。図において、4はセラミックス板、42はセラミックス板4の表面、43は同一材料のセラミックスを溶射した層であり、表面が平板の接地電極2と組み合わせると42が放電部、43が非放電部となる。図21はセラミックス表面に凸部を設けた場合について示したが、実施の形態9、10と同様に溶射などで凸部を設けても、エッチングなどで凹部を設けてもよい。凸部の材料は、金属材料でも、誘電体材料でもよい。
【0043】
実施の形態12.
勿論、図22に示すように接地電極2とセラミックス板4に凸凹を設けて、両者を嵌合させ、放電空間5を構成すれば、電極の位置精度をあげることができる。図において、21は接地電極2の切削部、42はセラミックス板4の表面(誘電体)、44はエッチング部(凹部)を示す。接地電極2の堀込み部(放電空間5)の長さと、セラミックス板4のエッチング部44の長さの差が放電空隙長となる。同様に金属電極の凸部と誘電体の凹部で空隙を構成しても同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0044】
実施の形態13.
さらに、図23に示すように電極を構成すれば接地電極、誘電体電極、スペーサの機能をすべて一体型で構成することができる。図23において2は金属製の接地電極で、41は接地電極2の上にコーティングされた、たとえばセラミックス、ガラス等により構成される誘電体層、43はエッチング、もしくは機械加工で削られた部分を示す。こうして完成した一体型の電極を図のように重ねてゆけば、削った部分43で放電空間を、削らない部分で非放電空間を非常にシンプルに構成することができる。もちろん、図24に示すように、図23で誘電体をコーティングした反対側の面にも誘電体をコーティングすれば、より安定な放電が得られる。
【0045】
実施の形態14.
図1に、EPゴムで構成したストレス緩衝板100を示したが、ストレス緩衝板100間もしくはストレス緩衝板100とセラミックス板4との間をガスが漏れることがある。この問題を回避するには、図25に示すように、セラミックス板4の間を例えばシリコンゴム製の充填材等、柔軟性のある材料110でモールドし、一体型に構成することにより、ガス漏れの問題はなくなる。もちろん、セラミックス板4まで同時にモールドしなくても、ストレス緩衝板100部と給電板11をモールドすれば、ストレス緩衝板100の間からのガス漏れは回避できる。尚、図25では、給電板11とセラミックス板4との間に設けられる導電層31の図示は省略してある。
【0046】
実施の形態15.
また、図26に示すように、ベローズ等のバネ状の金属環(弾性体)120を2枚のセラミックス板4の間に挿入し、図示しない導電層31の表面に設置される給電板11と金属環120の円周部を接合して構成すれば、ガス漏れは完全に回避でき、ストレス緩衝効果も十分に得られる。本実施の形態においては、金属環120は、厚さ0.5mmで径の異なる2種類のコバール材で構成され、その上下の円周部が、誘電体板4上に形成された導電層31に接合されている。
【0047】
実施の形態16.
上記実施の形態15の構造では、誘電体板4間からのガスの漏洩は防止できるが、金属環120の両円環部で取り囲まれた内部の空間も完全に密封されてしまい、外気圧の変化に応じて両円環部及び誘電体板4に対してストレスを発生してしまう恐れがある。この問題を回避するためには、金属環120の外側の円環部と誘電体層31との接合を完全に密閉する形では行わず、スポット接合して空気の抜け穴(隙間)を設けておけばよい。外側の円環部をスポット接合するのは、誘電体板4の中心部には活性なオゾンガスが存在するからである。
【0048】
実施の形態17.
また、図27に示すように、金属環120の側壁の一部に空気抜きの孔(隙間)10Aを設けても良い。この場合も、誘電体板4の中心部には活性なオゾンが存在するため、外側の円環部の一部に空気抜きの孔10Aを設けるのが望ましい。
【0049】
実施の形態18.
また、図28に示すように、金属環120の側壁の形状を、中央部に折り返し120Aが存在するような形状にすることにより該金属環120の弾性定数を最的な値に調整することができる。
【0050】
実施の形態19.
更に、図29に示すように、金属環120の側壁の断面形状に複数の折り返し部120B,120Cを設けることによっても、該金属環120の弾性定数を最適な値に調整することができる。
【0051】
実施の形態20.
以上の実施の形態ではセラミックス板4を含んだ導電層31、給電板11等の電極部の円盤状形状に合わせて、金属環120として円環状のものを用いたが、勿論、セラミックス板4、導電層31、給電板11等の電極部が3角形、4角形等の多角形形状の板状部材として形成されていれば、金属環120も、この電極部の形状に合わせて、中空3角柱、中空4角柱等の中空多角形形状に形成すべきである。
【0052】
実施の形態21.
前述した各図においては、図示を省略したが、接地電極2には、図30に示すように、冷却水を流すための空洞(水路)23が設けられている。この空洞23の上面にはオゾン発生装置の放電空間の空隙長を一定にするための上板(電極)24が設けられている。なお、スペーサ61,セラミックス板4,導電層31,給電板11及びストレス緩衝板100等の構成部品は図示を省略している。
【0053】
オゾン発生装置は、通常1.5atm以上の高圧ガスを流通させて動作するため、上板24の上下のガス流通路と冷却水流通路との間で圧力差が生じ、上板24が、図30に示すように、空洞23側に撓んでしまう場合がある。このときの撓み量をδとすると、撓み量δ波、水路の半径aと上板24の厚みtにより、次式のように表せる(Raymond J. Roark及び W. C. Young著「Formulas for Stressand Strain (圧力と張力の公式)」第5版、1986年、マグローヒル(McGraw−Hill) 社刊 International Editions 339頁参照)。
δ=K ×qa /D
D=Et /{12(1−ν )}
ここで、qは上板24の荷重(kg/cm )、Eは上板24のヤング率(kg/cm )、νは上板24のポアソン比、b,aはそれぞれ上板24の内周の半径(cm)及び外周の半形(cm)である。K はb/aにより決まる定数であり、b/a=0.1のときK =0.006である。
【0054】
上式より明らかなように、上板24の厚みtを増せば撓み量δを小さくできるが、通常接地電極2はステンレスで製作するため、熱伝導率が低く、厚みtを厚く設計すると上板24が高温になってしまうので、厚みtは厚く設計ことができない。例えば、放電空間の空隙長が0.2mmのとき、接地電極2の厚みtは4mm程度以下にする必要がある。このため、接地電極2の上板24はある程度撓むことを考慮して設計せざるを得ない。上板24が撓んだときには、放電空隙長が変化し、オゾン発生効率η等のオゾン発生特性が劣化する恐れがある(図4,図12参照)。
【0055】
本実施の形態は、上述の点を考慮し、接地電極2の上板24が撓んだ場合にも、放電空間の空隙長が変化しないようにしたものである。即ち、上板24に対向して設けられているセラミックス板4(図1参照)を上板24の撓みに対応して撓ませることにより、該上板24の撓みを相殺するものである。具体的には、例えば図26乃至図29に示した実施の形態15乃至19のように、セラミックス板4の背面に金属環120等の反発力を有する付勢部材を設け、セラミックス板4に荷重を印加するようにする。セラミックス板4に印加するこの荷重をq 、接地電極2の上板24のヤング率をE 、上板24の厚みをt 、セラミックス板4のヤング率をE 、セラミックス板4の厚みをt 、上板24に掛かる高圧ガスと冷却水との圧力差をq とすると、荷重q は圧力差q に対して次の式を満足すればよい。
≒q ×(E /E )×(t /t
【0056】
荷重q が上式を満足する値よりも極端に大きな値となるとセラミックス板4は破損され、また極端に小さな値となると放電空間の空隙長が一定の値に維持できなくなる。通常の構成では荷重q は、0.1〜0.5kg/cm程度の値であればよい。荷重の掛け方は、バネ定数k(kgf/mm)のn個の付勢部材をlmm圧縮させ、q ×S=nklとなるように設計すればよい。ここで、Sは上板24の面積である。
【0057】
実施の形態22.
また、図31に示すように、2枚のステンレス板(金属板)25,25の間に、例えば銅等の熱伝導率の良い金属で形成された径の異なる円環部材(金属)26,26を2個挟み込んで接地電極2を構成すれば、熱伝導率の良い円環部材26を介して効率的にステンレス板25を冷却することができるため、空洞23の外周の半径aを小さく、内周の半径bを大きく、即ち空洞23の容積を小さく設計できる。これにより、ステンレス板25の板厚を小さくしても接地電極2の機械的強度を大きく保つことができる。この様に構成する場合には、ステンレス板25と円環部材26との接合はロー付けにより行い、ステンレス板25と円環部材26との接触面にロー材を流し込むようにして接合を行うと、除熱効率を高くすることができる。
【0058】
実施の形態23.
以上に記載した実施の形態では、2個の放電空間からなる1組のオゾン発生ユニットに1個のストレス緩衝板100を挿入する場合について説明したが単一の放電空間から構成される低容量のオゾン発生装置にストレス緩衝板100を用いても同様の効果がある。すなわち、例えば図1の下半分のみの構成の1個のオゾン発生ユニットから成るオゾン発生装置に1枚のストレス緩衝板100を用いることにより、該オゾン発生装置の放電空間の空隙長の保守、誘電体の破損の防止等の前述した効果が得られる。さらに、1組のオゾン発生ユニットに1組のストレス緩衝板がある必要はなく、図32に示すように、複数組のオゾン発生ユニット10に1枚のストレス緩衝板100を設けるだけでも効果があり、このようにすれば、部品点数の削減、ストレス緩衝板100からのガス漏れの回避等の効果が得られる。
【0059】
実施の形態24.
図1に示した実施の形態1においては、酸素を含むガスは放電空間5の外周部から吸い込まれ、非放電部と放電部とで構成されたガス流路を伝って中央部の排出口からオゾン化ガスとなって排出される。このようなガスの流れを採用することには、以下のような大きな利点がある。
すなわち、
(1)オゾンを含む活性化の強いガスは放電空間5の外周部には全く漏れないため、放電空間5の外で使用する材料はオゾン耐性を必要とせず、任意の材料が使用できる。
(2)オゾン濃度が高く放電が不安定になる放電部ガス下流域では、ガス流速が速くなり、高オゾン濃度下でも安定な放電が得やすい。
従って、放電が不安定になるような高オゾン濃度下での使用、あるいは安価な材料で装置を構成する必要のある場合はこの方式が有効である。
【0060】
しかるに、図33のようにオゾン発生装置の中心部からガスを送り込み、放電空間5の外周部にガスを排出する構成を採用した場合には以下の利点が得られる。
すなわち、
(1)放電空間のガス下流に行くほど、ガス流路の断面積が大きくなる。一般に、ガス下流域では、ガス温度があがって流速が速くなり、流路の圧力損失が急増するが、この構成を採った実施の形態では比較的低圧力損失で流路を構成することができる。
(2)放電空間の水分量が増加するとオゾン発生効率が減少することが知られているが、この構成では電極冷却水が多少もれても放電空間の水分量が増加することがなく、水によるオゾンの発生効率の低下はない。
水漏れの恐れのある場合、ガス流体系の圧力損失を低く抑える必要がある場合には、この方式が有効である。
【0061】
実施の形態25.
図34は図1に示した1組のオゾン発生ユニットを40組重ねて構成した大容量オゾン発生装置を示す。この構成で一時間に5kgのオゾンを発生することができる。図において200は圧力容器(容器)、250は図1に示したオゾン発生ユニットを横方向に積層したオゾン発生ユニット群、210は冷却水供給口ポート、211は冷却水排出口ポート、220は高電圧の供給ポート、230は接地ポートである。240は支持柱を示し、2箇の支持柱240によってオゾン発生ユニット群250はそれぞれ位置決めされている。圧力容器200の外部から導入された酸素を含むガス(図示せず)は、オゾン発生ユニット群250の周辺から吸い込まれ、排気口から矢印8の方向にオゾン化ガスとなって排出される。オゾン発生装置に2本の支持柱240を配設し、オゾン発生ユニット群250を横方向に積層したことにより、オゾン発生ユニット群の設置の位置決めが容易になり、メンテナンスも短時間で行える。
【0062】
実施の形態26.
図35は、大容量オゾン発生装置の他の実施の形態を示す図であり、図35(2)はその一部切り欠き側面図、図35(1)はその左方向から見た透視図、図35(3)はその右正面図である。
【0063】
本実施の形態は、図1に示したオゾン発生ユニットを12組積層したオゾン発生ユニット群250を、前述のストレス緩衝板100を介して、電極ユニット押さえバネ(弾性体)320で圧着固定したものである。押さえバネ320は、上記実施の形態21で示した式を満足する荷重gをオゾン発生ユニット群250に印加するように設定されており、バネ定数が5kg/mmで3mm圧縮され、オゾン発生ユニット群250に15kg wの圧力を印加する。420は、各オゾン発生ユニットのセラミックス板4の位置精度を保つための位置決め板(位置決め手段)であり、各オゾン発生ユニットの接地電極2に取り付けられている。
【0064】
オゾン発生ユニット群250は、圧力容器200中に載置され、高電圧供給ポート220を介して、各オゾン発生ユニットに対して高電圧が印加される。また、オゾンを発生する原料ガスは、ガス供給口71から圧力容器200中に導入され、各オゾン発生ユニットの外周部から放電空間中に吸入され、該原料ガスの一部が該放電空間でオゾン化され、ガス排出口72から排出される。
【0065】
オゾン発生器の各発生ユニットは定期的に点検する必要があるので、圧力容器200にはガイドローラ(摺動手段)310が取り付けられており、圧力容器200が全体としてレール311上に載置され、図35(2)の左方向に移動できるようになっている。点検時には、圧力容器200を左方向に移動させ、オゾン発生ユニット群250を露出させて点検する。このとき、オゾン発生ユニットの電極を交換するときには、押さえバネ320を弛めて接地電極2間に挿入されている、導電層31の形成されたセラミックス板4を引き出して電極の交換を行う。このため、接地電極2には該電極2を摺動させるためのベアリング(移動手段)410が取り付けられ、接地電極2はこのベアリング410がレール411上を回転することによって左右方向に摺動して移動できる。また、接地電極2に接続されている冷却水供給口ポート210及び冷却水排出口ポート211は、図35(1),(2)に示すように、水平方向に移動できるようになっている。
【0066】
実施の形態27.
次に、図35の如く積層して用いるのに適した接地電極2の実施の形態について説明する。
図36は、接地電極2の1実施の形態を示す上半分切り欠き平面図(1)と、側面図(2)であり、側面図(2)の上半分は平面図(1)の中心線I−I線に沿った断面図となっている。
接地電極2は、基板2Aの両面に平板2B,2Cが溶接されて構成されており、平板2B,2Cが放電面を形成する。基板2Aには打ち抜きプレスにより、冷却水用の流路512が形成されている。図において、符号412は接地電極2を摺動させるためのベアリング410を取り付けるための切り込み部を表し、この切り込み部412により接地電極2の位置決めが行われる。符号413は接地電極2を積層するための取り付け穴を表し、該取り付け穴413中に支持柱を嵌挿することにより接地電極2を積層する。符号510は冷却水の供給口を表し、符号520は冷却水の排出口を表す。冷却水は、供給口510から接地電極2中に導入され、流路512中を流れて、排出口520から排出される。供給口510の穴径は、他の流路512の断面積より十分に小さく構成されており、冷却水の圧力損失が大きくなる。この様に構成することにより、複数個の接地電極2に均等に冷却水を流通させることができる。もし、この圧力損失の大きな部分が設けられていないと、図35に示す冷却水供給口ポート210に近い接地電極2には大量の冷却水が流れ、冷却水供給口ポート210から遠い接地電極2には冷却水があまり流れないという不都合が生じる。
【0067】
冷却水の流路512は、接地電極2の全面を均等に冷却できるように、曲がりくねった細長い溝状に構成されており、該溝状の流路512の断面積は、各溝部分を流れる冷却水の流速がおよそ1m/s以上となるように、設計されている。更に、流路512中に発生する気泡を有効に排出するために、流路512の一部に細孔(バイパス)513が設けられている。この細孔513は、図36に示すように、流体力学的に気泡の発生しやすい流路512の湾曲部に設けられている。
【0068】
実施の形態28.
図37は、接地電極2の他の実施の形態を示す上半分切り欠き平面図(1)と、側面図(2)であり、側面図(2)の上半分は平面図(1)の中心線II−II線に沿った断面図となっている。
本実施の形態においては、基板2Aの流路512として用いられる溝は、止まり溝512aとして構成されており、基板2Aの裏側表面を放電面として利用することができる。これにより、平板2Bを1枚基板2Aに溶接するのみで接地電極2を構成することができ、部品点数の削減、ひいてはコストの低減が可能となる。
【0069】
実施の形態29.
上述した各実施の形態において、スペーサ61〜64を接地電極2又はセラミックス板4に接着又は溶接して固定すると、接着剤又は溶接部の厚みによりスペーサ61〜64の厚みが変化してしまい精度が落ちる恐れがある。そのため、スペーサ61〜64の固定方法としては、十分な厚み精度を有するスペーサ61〜64を接地電極2とセラミックス板4との間に挟み込んで、締め付ける方法が用いられている。これにより、安価に高精度の空隙長が確保できる。
この方法による場合、図32に示したように、垂直方向にオゾン発生ユニット10を積層してオゾン発生装置を構成する場合には、スペーサ61〜64を固定するのは容易である。しかるに、図34及び図35に示すように、水平方向にオゾン発生ユニットを積層してオゾン発生装置を構成する場合には、スペーサ61〜64を仮固定しておかないと、各オゾン発生ユニットを積層するのが困難である。
【0070】
本実施の形態はこの様な問題を解決するものであり、その構成を図38に示す。
図38(1)は、本実施の形態の接地電極2にスペーサ65を懸下した状態を示す平面図、図38(2)は図38(1)のIII−III線に沿った断面を示す断面図である。
図38に示すように、スペーサ65の上端部は直角に折り曲げられて爪部(嵌合部)422が形成されており、該爪部422が、接地電極2の上端部に設けられたスペーサの位置固定用溝(凹部)421に嵌合するようになっている。この様に構成することにより、図34あるいは図35に示すようにオゾン発生ユニットを水平方向に積層する場合、各オゾン発生ユニットの接地電極2の溝421にスペーサ65の爪部420を嵌合させてスペーサ65を接地電極2に懸下して保持できる。このようにして、各オゾン発生ユニットの接地電極2とセラミックス板4との間にスペーサ65を保持した状態で、オゾン発生ユニットを全体的に積層方向に締め付けることにより、オゾン発生装置を容易に構成できる。即ち、スペーサ65は爪部420で接地電極2に保持されているので、オゾン発生装置の組立工程で、スペーサ65の位置がずれたり、スペーサ65が落下したりすることがない。なお、セラミックス板4が多少湾曲していても、オゾン発生ユニットを全体的に積層方向に圧着する事により、ストレス緩衝板100によりセラミックス板4が圧迫されセラミックス板4の湾曲は矯正されて、各オゾン発生ユニットの放電空間の空隙長の精度はスペーサ65の精度と一致する。このため非常に安価に高精度の空隙長を実現することができ、かつオゾン発生装置の組立、またオゾン発生ユニットの交換等の作業を容易に行うことができるようになる。
【0071】
実施の形態30.
もちろん図39に示すように、支持柱240でオゾン発生ユニット群250の位置決めを行い、該オゾン発生ユニット群250を縦方向に積層してもよい。
【0072】
実施の形態31.
さらに、図40に示すように、篭形支持柱241に各オゾン発生ユニットの接地電極2、セラミックス板4を順次嵌挿してオゾン発生装置を組み立てるようにすると、オゾン発生ユニットの各構成部品の位置決めをより容易に、かつ安価に行うことができる。
【0073】
実施の形態32.
オゾン発生ユニットを横方向、もしくは縦方向に多段に積層した場合、各金属電極を冷却する方法が複雑となる。小容量のオゾン発生装置の場合は、前述したように金属電極にフィンを設けて空冷する方法が有効である。しかし、コンパクトにオゾン発生装置を設計するためには、水などの冷媒で直接冷却する必要がある。この場合、各電極において、水の出入りのための配管を各2本接続する必要がある。多段構成を採用する場合、すべての配管をいちいち給水ポートに接続していては、作業が面倒であり、装置の信頼性にかける。実施の形態32はこの問題を解決するものであり、図41にその配管構成を示す。実施の形態32のオゾン発生装置は、接地電極2、セラミックス板4をストレス緩衝板100を介して多段に積層し、接地電極2には図に示すように予め電極の外側を半周とりまく金属配管(冷媒流通機構)212が溶接されている。もう一方の水用の口には配管用ジョイント(冷媒流通機構)213が接続されている。このような状態の接地電極2にセラミックス板4、ストレス緩衝板100で構成されるオゾン発生ユニットをたとえば5段重ねて構成し、それぞれのジョイント213に配管212を接続する。こうしてできあがった1モジュールを本体に移し、給水ポート210のジョイント213に配管(冷媒流通機構)214で接続する。このように構成することにより、オゾン発生モジュールはオゾン発生装置本体の外部で組み立てることができ、本体内の作業は給水ポート210との接続だけですむ。したがって、作業効率は改善され、本体内での水漏れの危険性は非常に小さくなる。
【0074】
実施の形態33.
図42はこの発明の実施の形態33を示す断面図である。この実施の形態は1個の放電空間5を有する小容量のオゾン発生装置である。接地電極2には冷却水211を循環させるための空洞23が底部に設けられ、また周辺部の壁面の上面には、ガス密封用のゴム板330を介して上板24が設けられている。このようにして、ガス供給口71とガス排出口72を除いて密閉された状態となっている。接地電極2の内側の底面上にはスペーサ61を介してセラミックス板4が載置され、放電空間5を形成している。
【0075】
220は高電圧を供給する給電端子であり、給電板2200が先端に接続されている。給電板2200はストレス緩衝板100を押圧しており、ストレス緩衝板100により導電層31を介してセラミックス板4が押圧されることにより放電空間5の空隙長が適正に保たれる。また、ストレス緩衝板100の表面は導電性の薄膜1001により被覆されており、給電板2200はこの薄膜1001を介して導電層31と電気的に接続されている。このように構成することによりストレス緩衝板100として絶縁性の材料を用いることができ、広い範囲の材料を用いることが可能となる。また、ストレス緩衝板100の表面は導電性の薄膜1001により被覆されているため、ストレス緩衝板100の内部には電界が発生せず、従ってボイド放電が発生して素材が劣化することがない。
【0076】
オゾンを発生する原料ガスはガス供給口71から接地電極2と上板24とにより形成される空間に導入され、導電層31と接地電極2との間で高電圧電界が印加された放電空間5中でその原料ガスの一部がオゾン化され、オゾンを含むオゾン化ガスとしてガス排出口72から排出される。
【0077】
実施の形態34.
図43はこの発明の実施の形態34を示す図であり、図43(1)はスペーサ61とストレス緩衝部材(弾性体)1002との位置関係を示す一部省略正面透視図、図43(2)は図(1)のIV−IV線に沿って取った断面図である。
本実施の形態においては、ストレス緩衝部材1002はバネ状部材であり、複数個のストレス緩衝部材1002はそれぞれスペーサ61の上に位置するように設けられている。ストレス緩衝部材1002としてバネ状部材を用いることによりセラミックス板4へ印加される加重の調整が容易となり、また、ストレス緩衝部材1002をスペーサ61の上に配置することによりセラミックス板4の損傷を防止できる。さらに、ストレス緩衝部材1002は接地電極2が最も撓む位置、即ち空洞23の中心位置の上方に配置され、セラミックス板4を接地電極2の撓みに合わせて変形させ、放電空間5の空隙長を一定に保つようにしている。
【0078】
実施の形態35.
図44はこの発明の実施の形態35を示す図であり、図44(1)はスペーサ61とストレス緩衝部材1002との位置関係を示す一部省略正面透視図、図44(2)は図(1)のV−V線に沿って取った断面図である。
本実施の形態においては、絶縁物で構成された部材2210がゴム板330と給電板2200との間に挿入されている。これにより、セラミックス板4に印加される加重が該部材2200により吸収され、該加重が給電端子220にはなんら負荷が掛からず、給電端子220がストレス緩衝部材1002からの反力により破損される恐れがない。
【0079】
実施の形態36.
図45はこの発明の実施の形態36を示す平面図(同図(1))及び断面図(同図(2))である。図45(2)に示すように、本実施の形態においては、各オゾン発生ユニットの接地電極2の端部が、各オゾン発生ユニットを積層した場合に、ガスが流動するガス連結孔350と放電空間5を除いて密閉される空間を形成する。図において、225は電極3に高電圧を給電する高電圧給電継手、260は積層された各オゾン発生ユニットを押圧する押圧用冷却水ジョイント、270は各オゾン発生ユニットを押圧する押さえ板、280はオゾン発生ユニット用ガス継手、290はオゾン発生ユニット用冷却継手、300はオゾン発生ユニット押さえボルト、310はオゾン発生ユニット上板、311はオゾン発生ユニット底板、320はヒューズ止めOリング、330はガス密閉Oリング、340は放電空間5にガスを供給するガス供給室(密閉空間)、350はガス継手280を介して各ガス供給室にオゾン発生のためのガスを供給するガス連結孔である。
【0080】
本実施の形態の接地電極2の片面の周辺部には円周状にOリング溝が構成されており、各オゾン発生ユニットを積層する際該Oリング溝にOリング330を嵌合せしめることによりガス供給室340からのガス漏れが防止される。ガスは、図の矢印7から本実施の形態のオゾン発生装置に供給され、ガス継手280、ガス連結孔350、ガス供給室340を介して各オゾン発生ユニットの放電空間5に供給され、該放電空間5における電極2,3間の放電現象により発生したオゾンガスを含んで矢印8からガス供給継ぎ手280を介して放出される。
【0081】
本実施の形態においては、上述の如く、単に各オゾン発生ユニットを積層することにより接地電極2によりガス供給室340が形成されるので、積層したオゾン発生ユニットを収納してガス流路を形成するための容器が不要となる。
【0082】
実施の形態37.
これまでの実施の形態においては、電極の中央部にガスの排出口(もしくは供給口)を設け、ガスが外周部から中心部、もしくは中央部から外周部に流れるものであったが、図46に示すように、1つの放電空間のオゾン発生ユニットにガス供給口71、ガス排出口72をそれぞれ備え、放電の発生しない非放電部を形成するスペーサ61を互い違いに交差した2組の櫛歯状に設けることにより、ガス流が放電空間内部を図の左右方向へ交互に通流するように構成できる。図において、2は接地電極、71,72はそれぞれガスの供給口、排出口である。61は非放電部を構成するスペーサであり、供給口71から導入されたガスは、放電部でオゾンに変換されながら図中矢印81の方向に流れ、排出口72から排気される。図48に示す従来のオゾナイザでは放電空間の空隙長が均一に保てない、放電空間内のガスの流れが規定できず、放電してもガスが流れない部分があったが、本実施の形態のごとくガスを通流することにより上記問題点は解決でき、効率のよいオゾン発生が得られる。勿論、図46の電極の外周部に従来のように例えばシリコンゴム等からなるシール材を用いて、放電空間からガスが漏れることを防止することもできる。
【0083】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、対向して配置されその間に高電圧が印加されることにより放電を発生せしめる2個の電極と、該電極間に設置される少なくとも1個の誘電体と、前記電極間に原料ガスとして空気を供給するガス供給機構とを備え、前記放電によりオゾンを発生する少なくとも1個のオゾン発生ユニットを有するオゾン発生装置において、放電空隙長が0.6mm以下で、放電空間のガス圧力pと該放電空間の放電空隙長dとの積pdが120Torr・cm 以上であるようにせしめたので、窒素を多く含む原料ガスを用いても、窒素酸化物の生成を抑え、高濃度オゾンを高効率で発生させることができ、高効率、高濃度なオゾン発生装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1の誘電体電極を示す平面図である。
【図3】この発明の実施の形態1のストレス緩衝板を示す平面図である。
【図4】空隙長とオゾン発生効率の関係を示すグラフ図である。
【図5】投入エネルギーとオゾン濃度との関係を示すグラフ図である。
【図6】オゾン生成速度とオゾン解離反応速度との比kとガス圧力pと放電空隙長dとの積pdとの関係を示すグラフ図である。
【図7】電子エネルギー分布を換算電界の関数として示すグラフ図である。
【図8】酸素と窒素の分率比が1対4である空気原料ガスに用いた場合のオゾン発生特性を示すグラフ図である。
【図9】図8の結果を放電空隙長dとガス圧力pとの積pdでまとめた結果を示すグラフ図である。
【図10】この発明の実施の形態1の放射状金属スペーサを示す平面図である。
【図11】非放電部の面積と放電部の面積の比を変化させたときのオゾン発生効率の変化を示したグラフ図である。
【図12】非放電部の面積と放電部の面積の比を変化させたときのオゾン発生効率の変化を放電空間の空隙長毎に示したグラフ図である。
【図13】この発明の実施の形態2を示す断面図である。
【図14】この発明の実施の形態3を示す断面図である。
【図15】図9の実施の形態3の電極に印加する電圧の波形を示す波形図である。
【図16】この発明の実施の形態4の糸状スペーサを示す平面図である。
【図17】この発明の実施の形態5の飛び石状金属スペーサを示す平面図である。
【図18】この発明の実施の形態6の渦巻き状金属スペーサを示す平面図である。
【図19】この発明の実施の形態8の導電層設置位置を示す平面図である。
【図20】この発明の実施の形態9の削り込み接地電極を示す平面図である。
【図21】この発明の実施の形態11のデポ型誘電体電極を示す平面図である。
【図22】この発明の実施の形態12の嵌合型電極構造を示す断面図である。
【図23】この発明の実施の形態13の一体化した電極構造を示す断面図である。
【図24】この発明の実施の形態13の一体化した電極の改良型を示す断面図である。
【図25】この発明の実施の形態14のモールド型緩衝板を示す断面図である。
【図26】この発明の実施の形態15のストレス緩衝部材を示す断面図である。
【図27】この発明の実施の形態17のストレス緩衝部材を示す断面図である。
【図28】この発明の実施の形態18のストレス緩衝部材を示す断面図である。
【図29】この発明の実施の形態19のストレス緩衝部材を示す断面図である。
【図30】この発明の実施の形態21の接地電極を示す断面図である。
【図31】この発明の実施の形態22の接地電極を示す断面図である。
【図32】この発明の実施の形態23のオゾン発生ユニット群に1個のストレス緩衝板を設置した状態を示す断面図である。
【図33】この発明の実施の形態24のガス流逆転状態を示す断面図である。
【図34】この発明の実施の形態25の横積層型大容量オゾン発生装置を示す断面図及び正面図である。
【図35】この発明の実施の形態26の大容量オゾン発生装置を示す一部切り欠き側面図、左方向からみた透視図及び右正面図である。
【図36】この発明の実施の形態27の接地電極の上半分切り欠き平面図及び側面図である。
【図37】この発明の実施の形態28の接地電極の上半分切り欠き平面図及び側面図である。
【図38】この発明の実施の形態29の接地電極にスペーサを懸下した状態を示す平面図及び側面図である。
【図39】この発明の実施の形態30の縦積層型大容量オゾン発生装置を示す正面図及び断面図である。
【図40】この発明の実施の形態31の篭形支持柱を示す斜視図である。
【図41】この発明の実施の形態32の積層型大容量オゾン発生装置における冷却水配管を示す平面図及び側面図である。
【図42】この発明の実施の形態33のオゾン発生装置を示す断面図である。
【図43】この発明の実施の形態34のオゾン発生装置を示す一部省略正面透視図及び断面図である。
【図44】この発明の実施の形態35のオゾン発生装置を示す一部省略正面透視図及び断面図である。
【図45】この発明の実施の形態36を示す平面図及び断面図である。
【図46】この発明の実施の形態37のオゾン発生装置を示す横断面図である。
【図47】従来のオゾン発生装置を示す断面図及び正面図である。
【図48】従来の他のオゾン発生装置を示す断面図及び正面図である。
【図49】従来のオゾン発生装置のオゾン発生特性の一例を示すグラフ図である。
【図50】従来のオゾン発生装置のオゾン発生特性の他の例を示すグラフ図である。
【図51】従来のオゾン発生装置のオゾン発生特性の他の例を示すグラフ図である。
【図52】放電空隙長に対するオゾン発生効率の一例を示すグラフ図である。
【符号の説明】
2 接地電極(金属電極)、3 高圧電極、4 セラミックス板(誘電体)、5 放電空間、6,61 スペーサ、9 ガス排出管(ガス供給機構)、10 オゾン発生ユニット、10A 孔(隙間)、21 電極切削部(凹部)、22 電極母材表面(凸部)、23 空洞(水路)、24 上板(電極)、25 ステンレス板(金属板)、26 円環部材(金属)、31 導電層(電極)、32 穴(ガス供給機構)、44 誘電体のエッチング部(凹部)、71 ガス供給口(ガス供給機構)、72 ガス排出口(ガス供給機構)、100,1002 ストレス緩衝板(弾性体)、101 開口部(ガス供給機構)、120 金属環(弾性体)、200 圧力容器(容器)、212 金属配管(冷媒流通機構)、213 配管用ジョイント(冷媒流通機構)、214 配管(冷媒流通機構)、220 給電端子、240 支持柱、241 篭形支持柱、310 ガイドローラ(摺動手段)、320 押さえバネ(弾性体)、340 ガス供給室(密閉空間)、410 ベアリング(移動手段)、420 位置決め板(位置決め手段)、421 位置固定用溝(凹部)、422 爪部(嵌合部)、510 冷却水供給口、513 細孔(バイパス)。

Claims (1)

  1. 対向して配置されその間に高電圧が印加されることにより放電を発生せしめる2個の電極と、該電極間に設置される少なくとも1個の誘電体と、前記電極間に原料ガスとして空気を供給するガス供給機構とを備え、前記放電によりオゾンを発生する少なくとも1個のオゾン発生ユニットを有するオゾン発生装置において、放電空隙長が0.6mm以下で、放電空間のガス圧力pと該放電空間の放電空隙長dとの積pdが120Torr・cm 以上であるようにせしめたことを特徴とするオゾン発生装置。
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