JP3592165B2 - 車両の自動変速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は車両の自動変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラックなど商用車においても、自動変速装置を搭載するものが多く見られる。このような自動変速装置として、機械的なクラッチと歯車式のトランスミッションを用い、これらの作動状態を検出する各種センサとこれらを駆動するアクチュエータを設け、各種センサの検出信号に基づいてコントロールユニットにより各アクチュエータを制御することにより、運転者の変速指示(シフトレバー操作)に応じた目標段への変速を半自動的に行うようにしたものが知られている(特開平6−241300号など)。また、運転者の変速指示に依らず、運転状態(アクセル開度とエンジン回転速度)から変速時期を判断し、運転状態に応じた目標段への変速要求を自動的に発生する機能を付加したものがある(日産ディーゼル技報 第60号「電子制御変速操作装置(ESCOT−II,III)の開発」参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような自動変速装置にあっては、クラッチ断続のショックを緩和するため、変速制御の起動時にエンジン出力を絞ると共に、クラッチ断後にエンジン回転を目標値に制御するようになっている(社団法人自動車技術会 学術講演会前刷集951「大型トラクタ用多段トランスミッションの電子制御自動変速システムの開発」参照)。
【0004】
クラッチ断のタイミングについては、変速制御の起動時から所定時間だけ遅延させる制御が行われる。そのため、エンジン出力を絞る過程において、クラッチ前後の軸トルクが均衡化した状態(エンジンから駆動力も制動力も受けないようなタイミング)でクラッチ断が遂行されるので、クラッチ断のショックを低減できるのである。クラッチ断の遅延時間は、アクセル開度に応じて設定することが考えられる。これにより、変速要求が発生すると、そのときのアクスル開度の検出値に基づいて、アクセル開度が大きくなる程、クラッチ断の遅延時間は長くなるように制御される。
【0005】
しかしながら、このような自動変速装置においては、アクセル開度が変化する過渡状態で変速要求が発生する(たとえば、運転者のアクセル操作によって変速要求が自動的に発生する)場合もあり、アクセル開度が変化しない定常状態で変速要求が発生する(たとえば、運転者がアクセルの踏み角を一定に維持しながら変速指示によって変速要求を発生させる)場合もあり、これらはエンジン出力状態(エンジントルクの変化率)が異なるため、クラッチ断の遅延時間を一律の特性(アクセル開度に応じた設定)で制御すると、アクセル開度が変化する過渡状態での変速要求の発生に対し、クラッチ断のタイミングの最適化が得られず、クラッチ断のショックを十分に低減できない。
【0006】
たとえば、車両の加速走行後にアクセル開度を80%から30%へ戻すペダル操作が行われ、アクセル開度30%でシフトアップの変速要求が発生した場合、アクセル開度30%に対応するクラッチ断の遅延時間(アクスル開度30%の定常状態で変速要求が発生する場合と同一の設定時間)でクラッチ断のタイミングを制御すると、エンジン出力の低下が早すぎてクラッチに制動力を作用させるようになり、クラッチ断のショックが十分に低減されないのである。
【0007】
この発明は、このような不具合を有効に解決するための対策手段の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、エンジンに機械的なクラッチを介して歯車式のトランスミッションを連結すると共に、クラッチを断続するクラッチアクチュエータと、トランスミッションのギヤシフト機構を駆動するギヤシフトアクチュエータと、目標段への変速要求を発生する手段と、変速要求の発生時に目標段への変速を遂行するようにクラッチアクチュエータおよびギヤシフトアクチュエータを制御する手段と、を備える車両の自動変速装置において、変速制御の起動時にエンジン出力を絞ると共にクラッチ断のタイミングを設定時間だけ遅延させる手段と、アクセル操作速度を求める手段と、変速要求の発生直前のアクセル操作速度に応じてクラッチ断の遅延時間を可変的に設定する手段と、を設ける。
【0009】
第2の発明では、第1の発明におけるクラッチ断の遅延時間を可変的に設定する手段として、アクセル開度に応じた遅延時間の定常用マップと、同じく遅延時間を定常マップと異なる特性に設定した過渡用マップと、変速要求の発生直前のアクセル操作速度が所定値以上かどうかを判定する手段と、この判定に基づいてアクセル操作速度が所定値以上でないときは定常用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を、同じくアクセル操作速度が所定値以上のときは過渡用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を選定する手段と、を設ける。
【0010】
第3の発明では、エンジンに機械的なクラッチを介して歯車式のトランスミッションを連結すると共に、クラッチを断続するクラッチアクチュエータと、トランスミッションのギヤシフト機構を駆動するギヤシフトアクチュエータと、運転者の変速指示に応じた目標段への変速要求を発生する手段と、運転状態に応じた目標段への変速要求を発生する手段と、変速要求の発生時に目標段への変速を遂行するようにクラッチアクチュエータおよびギヤシフトアクチュエータを制御する手段と、を備える車両の自動変速装置において、変速制御の起動時にエンジン出力を絞ると共にクラッチ断のタイミングを設定時間だけ遅延させる手段と、変速要求の発生が運転者の変速指示に応じた変速要求かそれとも運転状態に応じた変速要求かを判定する手段と、この判定に応じてクラッチ断の遅延時間を可変的に設定する手段と、を設ける。
【0011】
第4の発明では、第3の発明におけるクラッチ断の遅延時間を可変的に設定する手段として、アクセル開度に応じた遅延時間の定常用マップと、同じく遅延時間を定常マップと異なる特性に設定した過渡用マップと、変速要求の発生に係る判定が運転者の変速指示に応じた変速要求のときは定常用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を、同じく判定が運転状態に応じた変速要求のときに過渡用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を選定する手段と、を設ける。
【0012】
第5の発明においては、エンジンに機械的なクラッチを介して歯車式のトランスミッションを連結すると共に、クラッチを断続するクラッチアクチュエータと、トランスミッションのギヤシフト機構を駆動するギヤシフトアクチュエータと、運転者の変速指示に応じた目標段への変速要求を発生する手段と、運転状態に応じた目標段への変速要求を発生する手段と、変速要求の発生時に目標段への変速を遂行するようにクラッチアクチュエータおよびギヤシフトアクチュエータを制御する手段と、を備える車両の自動変速装置において、変速制御の起動時にエンジン出力を絞ると共にクラッチ断のタイミングを設定時間だけ遅延させる手段と、アクセル操作速度を求める手段と、アクセル開度に応じた遅延時間の定常用マップと、同じく遅延時間を定常マップと異なる特性に設定した過渡用マップと、変速要求の発生が運転者の変速指示に応じた変速要求かそれとも運転状態に応じた変速要求かを判定する手段と、変速要求の発生直前のアクセル操作速度が所定値以上かどうかを判定する手段と、変速要求の発生に係る判定が運転者の変速指示に応じた変速要求のときは、定常用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を、変速要求の発生に係る判定が運転状態に応じた変速要求のときは、変速要求の発生直前のアクセル操作速度が所定値以上であれば、過渡用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を、同じくアクセル操作速度が所定値以上でなければ、定常用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を選定する手段と、を設ける。
【0013】
【発明の効果】
第1の発明では、変速要求が発生すると、変速制御の起動時にエンジン出力が絞られ、クラッチ断のタイミングが設定時間だけ遅延する。この遅延時間は、変速要求の発生直前のアクセル操作速度に応じて設定されるため、アクセル開度が変化しない定常状態で変速要求が発生する場合も、アクセル開度が変化する過渡状態で変速要求が発生する場合も、エンジン出力状態(エンジントルクの変化量)に応じた、クラッチ断のタイミングの最適化が図れ、クラッチ断のショックを十分に低減できる。
【0014】
第2の発明では、アクセル開度に応じた遅延時間の定常用マップと、同じく遅延時間を定常マップと異なる特性に設定した過渡用マップと、が備えられ、変速要求の発生直前のアクセル操作速度が所定値以上でないときは、定常用マップから変速要求の発生時のアクセル開度に応じた遅延時間が、同じくアクセル操作速度が所定値以上のときは、過渡用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間が選定される。このため、アクセル開度が変化しない定常状態で変速要求が発生する場合は、定常用マップから選定される遅延時間に基づき、アクセル開度が変化する過渡状態で変速要求が発生する場合は、過渡用マップから選定される遅延時間に基づき、クラッチ断のタイミングが制御されるので、エンジン出力状態に応じた、クラッチ断のタイミングの最適化が得られ、クラッチ断のショックを十分に低減できる。
【0015】
第3の発明では、運転者の変速指示に応じた目標段への変速要求の発生時と、運転状態に応じた目標段への変速要求の発生時と、の間でクラッチ断の遅延時間が異なる設定になる。車両の変速が運転者の変速指示に基づく場合、アクセル開度が変化しない定常状態で変速要求が発生することが多く、車両の変速が運転状態に応じて自動的に行われる場合、運転者はアクセル操作のみとなるため、アクセル開度が変化する過渡状態で変速要求が発生することが多い。したがって、運転者の変速指示に基づく変速要求かそれとも運転状態に基づく自動的な変速要求かの判定に応じてクラッチ断の遅延時間を可変的に設定することにより、エンジン出力状態に応じた、クラッチ断のタイミングの最適化(クラッチ断のショックの低減)が十分に図れる。
【0016】
第4の発明では、アクセル開度に応じた遅延時間の定常用マップと、同じく遅延時間を定常マップと異なる特性に設定した過渡用マップと、が備えられ、車両の変速が運転者の変速指示に基づくときは、定常用マップから変速要求の発生時のアクセル開度に応じた遅延時間が、同じく運転状態に応じて自動的に行われるときは、過渡用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間が選定されるため、エンジン出力状態に応じた、クラッチ断のタイミングの最適化が得られ、クラッチ断のショックを十分に低減できる。
【0017】
第5の発明では、運転者の変速指示に基づく変速要求かそれとも運転状態に基づく自動的な変速要求かに係る判定と、変速要求の発生直前のアクセル操作速度が所定値以上かどうかに係る判定と、に基づいて定常用マップまたは過渡用マップからクラッチ断の遅延時間が選定される。車両の変速が運転状態に応じて自動的に行われる場合、アクセル開度の過渡状態で変速要求が発生すると、アクセル開度の定常状態と異なるクラッチ断の遅延時間が選定されるので、エンジン出力状態に応じた、クラッチ断のタイミングの最適化(クラッチ断のショックの低減)が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1において、1はディーゼルエンジン、2は摩擦クラッチ、3は同期噛合式トランスミッションであり、トランスミッションの出力軸はプロペラシャフト(図示せず)を介してリヤアクスルに連結される。エンジン燃料噴射ポンプに燃料噴射量を制御する電子ガバナ装置1Aが、クラッチ2にその断続操作を行うクラッチブースタ2Aが、トランスミッション3にそのギヤシフト操作を行うギヤシフトユニット3Aがそれぞれ設けられる。27はクラッチブースタ2Aの給排気バルブである。
【0019】
車両の変速制御に必要な検出手段として、エンジン回転速度を検出するエンジン回転センサ29と、アクセルペダル7の踏み量(アクセル開度の要求量)を検出するアクセル開度センサ28と、クラッチ2のストローク位置を検出するクラッチストロークセンサ22と、トランスミッション3のシフト位置を検出するギヤポジションセンサ(ギヤシフトユニット3Aに内蔵される)と、トランスミッション3の出力軸から回転速度を検出する車速センサ21と、トランスミッション3のメインシャフト上を遊転するメインギヤの回転速度を検出するギヤ回転センサ23と、が備えられる。
【0020】
クラッチの手動制御と自動制御を切り替えるため、クラッチペダルの初期位置と作動位置を検出するクラッチスイッチ24,25が設けられる。トランスミッション3の変速指示手段として運転室にシフトレバーユニット4が備えられ、シフトレバーのシフト位置信号(変速指示信号)を出力する。また、運転室にはトランスミッション3の現在段などを表示するディスプレイユニット13と、車両の変速が運転者の変速指示に応じて行われるマニュアル変速モードと運転状態(アクセル開度とエンジン回転速度)に応じて自動的に行われるオート変速モードを選択するためのスイッチ31(自動変速スイッチ)と、が設けられる。26はブレーキペダル(図示せず)の踏込みを検出するブレーキペダルスイッチ、13Aは警報ブザーである。
【0021】
変速制御を司るのがトランスミッション(T/M)コントロールユニット11とエンジンコントロールユニット12であり、これらの間はシリアル通信で結ばれる。モードスイッチ31がマニュアル変速モードのときは、シフトユニット4の変速指示信号を受けると、ギヤポジションセンサの検出信号(トランスミッション3の現在段)が変速指示段(目標段)と一致しないときに変速指示段への変速要求を発生する。自動変速スイッチ31がオート変速モードのときは、アクセル開度センサ28の検出信号とエンジン回転センサ29の検出信号とから目標段を求め、この目標段とギヤポジションセンサの検出信号(トランスミッションの現在段)が一致しないときに目標段への変速要求を発生する。
【0022】
運転者の変速指示に基づく変速要求または運転状態に基づく変速要求が発生すると、その要求段(目標段)への変速を円滑に遂行するべく一連の変速処理を制御する。すなわち、変速制御の起動時にエンジン出力を絞る(燃料噴射ポンプのコントロールラックを戻す)と共にクラッチ断のタイミングを設定時間だけ遅延させる。そして、クラッチ断後にトランスミッション3がニュートラルでないときはギヤ抜きを行ってから、エンジン回転を目標値(目標段のギヤ回転)に制御しながら、ギヤ回転が同期領域に入ると、トランスミッション3のギヤ入れおよびクラッチ接を行うのである。
【0023】
図2において、トランスミッションコントロールユニット11は、クラッチ断のタイミングを制御するため、アクセル開度に応じた遅延時間の定常用マップ(a)と、同じく遅延時間を定常マップと異なる特性に設定した過渡用マップ(b)と、が格納される。そして、アクセル開度センサ28の検出信号からアクセル操作速度を求め、自動変速スイッチ31の信号(選択モード)と変速要求の発生時のアクセル開度および変速要求の発生直前のアクセル操作速度に基づいて、定常用マップ(a)または過渡用マップ(b)から、変速制御の起動時にクラッチ断の遅延時間を可変的に設定するようになっている。32は補助ブレーキ(排気ブレーキなど)の作動スイッチであり、トランスミッションコントロールユニット11は、作動スイッチ32の信号および車速センサ21の検出信号などに基づいて、所定条件の成立を判定すると、エンジン回転速度を高めて排気ブレーキなどの制動力を強めるよう、シフトダウンを自動的に遂行する機能が備えられる。34はトランスミッションコントロールユニット11の変速制御手段であり、クラッチブースタ2Aの給排気バルブ27およびギヤシフトユニット3Aを制御対象とするものである。
【0024】
図3はクラッチ断の遅延時間の設定処理を説明するフローチャートであり、ステップ1において、自動変速スイッチ31の信号を読み込む。ステップ2においては、変速要求の発生時にその要求がオート変速モードに基づくもの(つまり、自動変速)かどうかを判定する。この判定がnoのときは、ステップ8,ステップ9において、定常用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を求め、ステップ6において、その検索値をクラッチ断の遅延時間として設定する。これと同時に、ステップ7において、変速制御の起動を指令する。
【0025】
ステップ2の判定がyesのときは、ステップ3,ステップ4へ進み、ステップ4において、変速要求の発生直前のアクセル操作速度(絶対値)が所定値以上かどうかを判定する。この判定がnoのときは、ステップ9へ飛び、既述のように定常用マップ(a)から変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を求める一方、ステップ4の判定がyesのときは、過渡用マップ(b)から変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を求める。そして、ステップ6において、ステップ5またはステップ9の検索値をクラッチ断の遅延時間として設定する。これと同時に、ステップ7において、変速制御の起動を指令するのである。
【0026】
このような構成により、オート変速モード(自動変速スイッチ31のオン)中にアクセル開度が変化する過渡状態で変速要求が発生すると、クラッチ断の遅延時間が定常状態と異なる値(たとえば、運転者のアクセル戻し操作による場合、短く)なるので、エンジン出力状態に応じた、クラッチ断のタイミングの最適化が得られ、クラッチ断のショックを十分に低減できるのである。
【0027】
図3において、ステップ1,ステップ2,ステップ8については、これらを省略してもよい。つまり、変速要求が発生すると、直ちにステップ3,ステップ4へ進み、ステップ4において、変速要求の発生直前のアクセル操作速度が所定値以上かどうかを判定する。この判定がnoのときは、ステップ9へ飛び、定常用マップ(a)から変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を求める一方、ステップ4の判定がyesのときは、過渡用マップ(b)から変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を求める。そして、ステップ6,ステップ7において、ステップ5の検索値またはステップ9の検索値をクラッチ断の遅延時間として設定すると共に変速制御の起動を指令する。
【0028】
これによると、変速要求がオート変速モードに基づくものかそれともマニュアル変速モードに基づくものかに関係なく、アクセル開度が変化しない定常状態で変速要求が発生する場合は、定常用マップ(a)から検索される遅延時間に基づき、アクセル開度が変化する過渡状態で変速要求が発生する場合は、過渡用マップ(b)から検索される遅延時間に基づき、クラッチ断のタイミングが制御される。
【0029】
トラックなど大型商用車の場合、アクセル開度が変化する過渡状態で変速要求が自動的に発生することが多く、アクセル開度が変化しない定常状態で変速要求が自動的に発生するのは、運転者によってアクセル開度が大きく維持される状態に限られる傾向にあり、したがって図3のステップ4のみ省略することも考えられる。つまり、ステップ1において、モードスイッチ31の信号を読み込む。ステップ2においては、変速要求の発生時にその要求がオート変速モードに基づくもの(つまり、自動変速)かどうかを判定する。そして、ステップ2の判定がnoのときは、ステップ8,ステップ9において、定常用マップ(a)から変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を求め、ステップ6,ステップ7において、その検索値をクラッチ断の遅延時間として設定すると共に変速制御の起動を指令する一方、ステップ2の判定がyesのときは、ステップ3,ステップ5へ進み、過渡用マップ(b)から変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を求め、ステップ6,ステップ7において、その検索値をクラッチ断の遅延時間として設定すると共に変速制御の起動を指令するのである。
【0030】
これによると、アクセル開度が変化する過渡状態で変速要求の発生することが多いオート変速モードの場合、クラッチ断の遅延時間は、アクセル開度が変化しない定常状態で変速要求の発生することが多いマニュアル変速モードの場合と異なる設定になるので、簡単な制御により、クラッチ断のショックを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を表す全体構成図である。
【図2】同じく制御系の一部分を表す機能的なブロック図である。
【図3】同じく制御内容を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1A 電子ガバナ装置
2A クラッチブースタ
3A ギヤシフトユニット
4 シフトレバーユニット
11 トランスミッションコントロールユニット
12 エンジンコントロールユニット
13 ディスプレイユニット
21 車速センサ
22 クラッチストロークセンサ
23 ギヤ回転センサ
24,25 クラッチスイッチ
26 ブレーキペダルスイッチ
28 アクセル開度センサ
29 エンジン回転センサ
31 モード選択スイッチ
33 ギヤポジションセンサ
Claims (5)
- エンジンに機械的なクラッチを介して歯車式のトランスミッションを連結すると共に、クラッチを断続するクラッチアクチュエータと、トランスミッションのギヤシフト機構を駆動するギヤシフトアクチュエータと、目標段への変速要求を発生する手段と、変速要求の発生時に目標段への変速を遂行するようにクラッチアクチュエータおよびギヤシフトアクチュエータを制御する手段と、を備える車両の自動変速装置において、変速制御の起動時にエンジン出力を絞ると共にクラッチ断のタイミングを設定時間だけ遅延させる手段と、アクセル操作速度を求める手段と、変速要求の発生直前のアクセル操作速度に応じてクラッチ断の遅延時間を可変的に設定する手段と、を設けたことを特徴とする車両の自動変速装置。
- クラッチ断の遅延時間を可変的に設定する手段として、アクセル開度に応じた遅延時間の定常用マップと、同じく遅延時間を定常マップと異なる特性に設定した過渡用マップと、変速要求の発生直前のアクセル操作速度が所定値以上かどうかを判定する手段と、この判定に基づいてアクセル操作速度が所定値以上でないときは定常用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を、同じくアクセル操作速度が所定値以上のときは過渡用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を選定する手段と、を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動変速装置。
- エンジンに機械的なクラッチを介して歯車式のトランスミッションを連結すると共に、クラッチを断続するクラッチアクチュエータと、トランスミッションのギヤシフト機構を駆動するギヤシフトアクチュエータと、運転者の変速指示に応じた目標段への変速要求を発生する手段と、運転状態に応じた目標段への変速要求を発生する手段と、変速要求の発生時に目標段への変速を遂行するようにクラッチアクチュエータおよびギヤシフトアクチュエータを制御する手段と、を備える車両の自動変速装置において、変速制御の起動時にエンジン出力を絞ると共にクラッチ断のタイミングを設定時間だけ遅延させる手段と、変速要求の発生が運転者の変速指示に応じた変速要求かそれとも運転状態に応じた変速要求かを判定する手段と、この判定に応じてクラッチ断の遅延時間を可変的に設定する手段と、を設けたことを特徴とする車両の自動変速装置。
- クラッチ断の遅延時間を可変的に設定する手段として、アクセル開度に応じた遅延時間の定常用マップと、同じく遅延時間を定常マップと異なる特性に設定した過渡用マップと、変速要求の発生に係る判定が運転者の変速指示に応じた変速要求のときは定常用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を、同じく判定が運転状態に応じた変速要求のときに過渡用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を選定する手段と、を設けたことを特徴とする請求項3に記載の自動変速装置。
- エンジンに機械的なクラッチを介して歯車式のトランスミッションを連結すると共に、クラッチを断続するクラッチアクチュエータと、トランスミッションのギヤシフト機構を駆動するギヤシフトアクチュエータと、運転者の変速指示に応じた目標段への変速要求を発生する手段と、運転状態に応じた目標段への変速要求を発生する手段と、変速要求の発生時に目標段への変速を遂行するようにクラッチアクチュエータおよびギヤシフトアクチュエータを制御する手段と、を備える車両の自動変速装置において、変速制御の起動時にエンジン出力を絞ると共にクラッチ断のタイミングを設定時間だけ遅延させる手段と、アクセル操作速度を求める手段と、アクセル開度に応じた遅延時間の定常用マップと、同じく遅延時間を定常マップと異なる特性に設定した過渡用マップと、変速要求の発生が運転者の変速指示に応じた変速要求かそれとも運転状態に応じた変速要求かを判定する手段と、変速要求の発生直前のアクセル操作速度が所定値以上かどうかを判定する手段と、変速要求の発生に係る判定が運転者の変速指示に応じた変速要求のときは、定常用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を、変速要求の発生に係る判定が運転状態に応じた変速要求のときは、変速要求の発生直前のアクセル操作速度が所定値以上であれば、過渡用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を、同じくアクセル操作速度が所定値以上でなければ、定常用マップから変速要求の発生時点のアクセル開度に応じた遅延時間を選定する手段と、を設けたことを特徴とする車両の自動変速装置。
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