JP3592111B2 - 基板加熱処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハや液晶表示器用のガラス基板、フォトマスク用のガラス基板、光ディスク用の基板などの基板を加熱プレートに支持させて加熱処理を行う基板加熱処理装置に係り、特には、加熱プレートの温度制御をフィードバック制御で行う基板加熱処理装置の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の基板加熱処理装置は、ヒーターなどの加熱機器を有し、基板を支持して基板に加熱処理を施す加熱プレートと、加熱機器への電力供給を操作する操作機器と、加熱プレートの目標温度を設定する設定機構と、加熱プレートの現在温度を検知する温度センサと、加熱プレートの現在温度を監視し、制御定数を含む所定の制御式に基づき、加熱プレートの現在温度と設定された加熱プレートの目標温度との偏差を打ち消すような加熱機器に対する操作量を順次決定して操作機器を操作しつつ、フィードバック制御によって加熱プレートの温度制御を行うHP制御部とを備えている。そして、HP制御部は、通常、フィードバック制御の動作機能のうち、P(比例)動作やI(積分)動作、D(微分)動作を適宜に併用した制御動作で加熱プレートの温度制御を行っている。
【0003】
周知にように、このような制御動作で加熱プレートの温度制御を行うためには、P制御用の制御定数(比例帯、あるいは、比例ゲイン)を含むP制御用の制御式や、I制御用の制御定数(積分時間)を含むI制御用の制御式、D制御用の制御定数(微分時間)を含むD制御用の制御式を用いて、加熱プレートの現在温度と設定された目標温度との偏差を打ち消すような加熱機器に対する操作量(電力供給量)を順次決定し、その操作量で操作機器を操作するようにしている。
【0004】
このようにして加熱プレートの温度制御をフィードバック制御で行う装置では、従来、制御式に含まれる制御定数を1種類だけ持ち、いかなる目標温度に対しても常に同じ制御定数を用いて加熱プレートの温度制御を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、大きな温度差がある目標温度に対して、常に同じ制御定数を用いて加熱プレートの温度制御を行うと、制御動作が変動するような不都合が起こる。
【0006】
例えば、目標温度が比較的低温(例えば、70℃)の場合と比較的高温(例えば、150℃)の場合とを比較すると、低温の目標温度の場合は加熱プレートからの放熱量が比較的少なく、一方、高温の目標温度の場合は加熱プレートからの放熱量が比較的多くなる。そのため、上記2種類の目標温度に対して同じ制御定数を用いて加熱プレートの温度制御を行い、基板への加熱処理を実施すると、低温の目標温度の場合は放熱量が少ないので加熱プレートの温度がオーバーシュートし、高温の目標温度の場合は放熱量が多いので加熱プレート(処理中の基板)の温度が目標温度に到達するまでに要する時間が長くなる。
【0007】
ところで、近年、基板への加熱処理の高精度化の要求が強まっている。そのような状況下において、上記低温の目標温度の場合のように加熱プレートの温度がオーバーシュートすれば、基板の加熱履歴に悪影響を与え、基板への加熱処理精度が要求される加熱処理精度を満たさなくなるという不都合を招来する。また、基板への加熱処理時間は予め決まっているが、上記高温の目標温度の場合のように加熱プレート(処理中の基板)の温度が目標温度に到達するまでに要する時間が長くなると、所定の加熱処理時間の間に基板を目標温度にまで加熱することができない事態も生じ、その結果、基板への加熱処理精度が要求される加熱処理精度を満たさなくなるという不都合を招来する。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、多種多様な目標温度に対して常に高精度に基板を加熱処理することができる基板加熱処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、加熱手段を有し、基板を支持して基板に加熱処理を施す加熱プレートと、前記加熱手段への電力供給を操作する操作手段と、前記加熱プレートの目標温度(Tt)を設定する目標温度設定手段と、前記加熱プレートの現在温度を検知する温度検知手段と、前記加熱プレートの現在温度を監視し、制御定数を含む所定の制御式に基づき、前記加熱プレートの現在温度と設定された前記加熱プレートの目標温度(Tt)との偏差(e (t) )を打ち消すような前記加熱手段に対する操作量(m (t) )を順次決定して前記操作手段を操作しつつ、フィードバック制御によって前記加熱プレートの温度制御を行う制御手段と、を備えた基板加熱処理装置において、前記制御式に用いる制御定数として、複数種類の目標温度(Tt)と各目標温度(Tt)に適した制御定数とに基づいて予め求められた目標温度(Tt)と制御定数との関係式を記憶するメモリを有し、前記メモリに記憶された前記関係式を用いて、前記目標温度設定手段から設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を決定する制御定数決定手段をさらに備え、 前記制御定数は、比例帯(PB)と積分時間(TI)と微分時間(TD)とからなり、前記制御式は数式m (t) =(100/PB)×〔e (t) +(1/TI)∫e (t)dt +TD× (d e (t) / dt) 〕であり、前記関係式は、6個の定数(a1、b1、a3、b3、a4、b4)を用いて、数式PB=a1×Tt+b1と数式TI=a3×Tt+b3と数式TD=a4×Tt+b4とであり、前記制御手段は、前記制御定数決定手段によって決定された制御定数を用いて前記加熱プレートの温度制御を行うことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、加熱手段を有し、基板を支持して基板に加熱処理を施す加熱プレートと、前記加熱手段への電力供給を操作する操作手段と、前記加熱プレートの目標温度(Tt)を設定する目標温度設定手段と、前記加熱プレートの現在温度を検知する温度検知手段と、前記加熱プレートの現在温度を監視し、制御定数を含む所定の制御式に基づき、前記加熱プレートの現在温度と設定された前記加熱プレートの目標温度(Tt)との偏差(e (t) )を打ち消すような前記加熱手段に対する操作量(m (t) )を順次決定して前記操作手段を操作しつつ、フィードバック制御によって前記加熱プレートの温度制御を行う制御手段と、を備えた基板加熱処理装置において、前記制御式に用いる制御定数として、複数種類の目標温度(Tt)と各目標温度(Tt)に適した制御定数とに基づいて予め求められた目標温度(Tt)と制御定数との関係式を記憶するメモリを有し、前記メモリに記憶された前記関係式を用いて、前記目標温度設定手段から設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を決定する制御定数決定手段をさらに備え、前記制御定数は、比例ゲイン(KP)と積分時間(TI)と微分時間(TD)とからなり、前記制御式は数式m (t) =KP×〔e (t) +(1/TI)∫e (t)dt +TD× (d e (t) / dt) 〕であり、前記関係式は、6個の定数(a2、b2、a3、b3、a4、b4)を用いて、数式KP=a2×Tt+b2と数式TI=a3×Tt+b3と数式TD=a4×Tt+b4とであり、前記制御手段は、前記制御定数決定手段によって決定された制御定数を用いて前記加熱プレートの温度制御を行うことを特徴とするものである。
【0012】
【作用】
請求項1に記載の発明の作用は次のとおりである。
制御定数決定手段は、制御手段が加熱手段に対する操作量(m (t) )を決定するために用いる所定の制御式に含まれる制御定数として、複数種類の目標温度(Tt)と各目標温度(Tt)に適した制御定数とに基づいて予め求められた目標温度(Tt)と制御定数との関係式を記憶するメモリを有している。
目標温度設定手段によって加熱プレートの目標温度(Tt)が設定されると、制御定数決定手段は、メモリに記憶された関係式に目標温度設定手段から設定された目標温度(Tt)を代入して、この目標温度(Tt)に適した制御定数を算出して制御定数を決定する。
【0013】
設定された加熱プレートの目標温度(Tt)に適した制御定数が目標温度設定手段によって決定されると、制御手段は、温度検知手段で検知される加熱プレートの現在温度を監視し、決定された制御定数を用いて所定の制御式に基づき、加熱プレートの現在温度と設定された加熱プレートの目標温度(Tt)との偏差(e (t) )を打ち消すような加熱手段に対する操作量(m (t) )を順次決定して操作手段を操作しつつ、フィードバック制御によって加熱プレートの温度制御を行う。このように温度制御される加熱プレートに基板が支持されて基板への加熱処理が行われる。
さらに、制御定数は、比例動作によるP制御用の制御定数である比例帯(PB)と、積分動作によるI制御用の制御定数である積分時間(TI)と、微分動作によるD制御用の制御定数である微分時間(TD)とからなる。そして、目標温度(Tt)と各制御定数(PB、TI、TD)との関係式は、それぞれ一次式で表すことができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、制御手段が加熱手段に対する操作量(m (t) )を決定するために用いる所定の制御式に含まれる制御定数として、複数種類の目標温度(Tt)と各目標温度(Tt)に適した制御定数とに基づいて予め求められた目標温度(Tt)と制御定数との関係式を記憶するメモリを有している。
目標温度設定手段によって加熱プレートの目標温度(Tt)が設定されると、制御定数決定手段は、メモリに記憶された関係式に目標温度設定手段から設定された目標温度(Tt)を代入して、この目標温度(Tt)に適した制御定数を算出して制御定数を決定する。
【0015】
設定された加熱プレートの目標温度(Tt)に適した制御定数が目標温度設定手段によって決定されると、制御手段は、温度検知手段で検知される加熱プレートの現在温度を監視し、決定された制御定数を用いて所定の制御式に基づき、加熱プレートの現在温度と設定された加熱プレートの目標温度(Tt)との偏差(e (t) )を打ち消すような加熱手段に対する操作量(m (t) )を順次決定して操作手段を操作しつつ、フィードバック制御によって加熱プレートの温度制御を行う。このように温度制御される加熱プレートに基板が支持されて基板への加熱処理が行われる。
さらに、制御定数は、比例動作によるP制御用の制御定数である比例ゲイン(KP)と、積分動作によるI制御用の制御定数である積分時間(TI)と、微分動作によるD制御用の制御定数である微分時間(TD)とからなる。そして、目標温度(Tt)と各制御定数(KP、TI、TD)との関係式は、それぞれ一次式で表すことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る基板加熱処理装置の全体構成図である。
【0018】
この実施例に係る基板加熱処理装置は、加熱機器11を有し、上面に基板Wを支持して基板Wに加熱処理を施す加熱プレート1や、コントローラー2、加熱プレート1の目標温度を設定する目標温度設定手段に相当する設定機構3、電源ボックスや工場のユーティリティなどで構成される電力供給源4から加熱プレート1内の加熱機器11への電力供給を操作する操作機器5などを備えている。
【0019】
加熱プレート1には、加熱手段に相当する加熱機器11と、加熱プレート1の温度を検知する温度検知手段に相当する温度センサ12とが内設されている。加熱機器11は、マイカヒーターなどの主加熱機器だけで構成されることもあるし、上記主加熱機器と、それに加えてペルチェ素子などで構成される補助加熱機器を含んで構成されることもある。
【0020】
また、図1では、加熱プレート1の上面に複数個のプロキシミティボール13が配設され、加熱プレート1の上面から微小間隔隔てて基板Wを支持して基板Wに加熱処理を施すように構成しているが、これらプロキシミティボール13を省略して、基板Wを加熱プレート1の上面に直接載置支持して基板Wに加熱処理を施すように構成することもある。
【0021】
さらに、加熱プレート1には、複数本の基板支持ピン14が昇降可能に貫通されている。これら基板支持ピン14は、加熱プレート1に対する基板Wの搬入/搬出を行うためのものであり、エアシリンダなどのアクチュエータ15によって同期して昇降されるように構成されている。図の二点鎖線で示すように、基板支持ピン14が上昇された状態で、加熱プレート1の上方において、図示しない基板搬送装置から基板支持ピン14に基板Wが受け渡されると、図の実線で示すように、基板支持ピン14の先端部が加熱プレート1の内部に納まる下降位置まで基板支持ピン14が下降し、受け取った基板Wをプロキシミティボール13に(あるいは、加熱プレート1の上面に直接)載置支持させて、加熱プレート1に基板Wを搬入させる。また、加熱処理が終わると、基板支持ピン14が下降位置から上昇して、基板Wを加熱プレート1の上方に持ち上げて加熱プレート1から基板Wを搬出する。加熱プレート1の上方に持ち上げられた基板Wは、基板搬送装置によって基板支持ピン14から受け取られて装置の外部に運び出される。
【0022】
コントローラー2は、制御定数決定手段に相当する制御定数決定部21と、制御手段に相当するHP制御部22と、基板支持ピン昇降制御部23とを備えている。このコントローラー2は、例えば、各部21〜23の処理制御をプログラムに従って実行するマイクロコンピューターなどで構成されている。
【0023】
制御定数決定部21はメモリ21aを有する。このメモリ21aには、目標温度と制御定数との関係式が記憶される。詳細は後述するが、制御定数決定部21は、設定機構3から設定された複数種類の目標温度と各目標温度に適した制御定数とに基づいて目標温度と制御定数との関係式を求めてメモリ21aに記憶する。そして、制御定数決定部21は、設定機構3から加熱プレート1に対する目標温度が設定されると、メモリ21aに記憶している関係式を用いて、設定された目標温度に適した制御定数を決定する。決定された制御定数は、設定された目標温度とともにHP制御部22に与えられる。
【0024】
HP制御部22は、制御定数決定部21から制御定数と目標温度とが与えられると、温度センサ12からの検知信号によって加熱プレート1の現在温度を監視し、制御定数決定部21によって決定された制御定数を用いて後述する制御式に基づき、加熱プレート1の現在温度と設定機構3によって設定された加熱プレート1の目標温度との偏差を打ち消すような加熱機器11に対する操作量(電力供給源4から加熱機器11へ供給する電力量)を順次決定して、その電力量の電力を加熱機器11に与えるような操作を行う操作信号を操作機器5に与えて操作機器5を操作しつつ、フィードバック制御によって加熱プレート1の温度制御を行う。
【0025】
この実施例では、例えば、HP制御部22は、フィードバック制御の動作機能のうち、P(比例)動作とI(積分)動作とD(微分)動作とを併用した制御動作(PID動作)で加熱プレート1の温度制御を行うものとする。
【0026】
従って、HP制御部22は、P制御用の制御定数(比例帯、あるいは、比例ゲイン)を含むP制御用の制御式と、I制御用の制御定数(積分時間)を含むI制御用の制御式と、D制御用の制御定数(微分時間)を含むD制御用の制御式とを併用した以下の(1)式または(2)式で表される制御式に基づいて、加熱機器11に対する操作量を順次決定して操作機器5を操作しつつ、加熱プレート1の温度制御を行う。
【0027】
【0028】
但し、m(t) は操作量、PBは比例帯(%)、TIは積分時間、TDは微分時間、e(t) は加熱プレート1の現在温度(温度センサ12の計測値)と設定機構3から設定された加熱プレート1の目標温度との偏差、KPは比例ゲインである。なお、(100/PB)=KPであるので、P制御用の制御定数を比例帯とする場合には(1)式、比例ゲインとする場合には(2)式で表されることになる。
【0029】
制御定数決定部21は、P制御用の制御式に用いるP制御用の制御定数である比例帯PBまたは比例ゲインKPのいずれか一方と、I制御用の制御式に用いるI制御用の制御定数である積分時間TIと、D制御用の制御式に用いるD制御用の制御定数である微分時間TDとを設定機構3から設定された目標温度に応じて決定することになる。
【0030】
HP制御部22は、最初に目標温度が設定されると、加熱プレート1の温度が設定された目標温度になるようにPID制御によって加熱プレート1の温度を制御し、加熱プレート1がその目標温度に到達すると、設定機構3から新たな目標温度が設定されるまで、加熱プレート1の温度を現在の目標温度に維持するように加熱プレート1の温度を制御する。また、基板Wに対する加熱処理を行う際も、現在の目標温度を目標としてPID制御によって加熱プレート1の温度制御を行う。
【0031】
基板支持ピン昇降制御部23は、アクチュエーター15を駆動して基板支持ピン14を昇降制御して、加熱プレート1に対する基板Wの搬入/搬出を行わせる。加熱プレート1に対する基板Wの搬入/搬出は、基板搬送装置の動作制御を行う本装置の上位のメインコントローラ(図示せず)からの指令などに基づき、基板搬送装置の動作とタイミングを取りながら行われる。
【0032】
設定機構3は、オペレータが所要のデータを設定する設定器であってもよいし、上位のメインコントローラーから通信などによって設定される構成であってもよい。
【0033】
次に、目標温度と制御定数との関係式を求めるときの動作と、設定された目標温度に適した制御定数を決定するときの動作について説明する。
【0034】
目標温度と制御定数との関係式を求める動作は、装置が基板製造に用いられるのに先立ち少なくとも1回行われる。
【0035】
まず、実験などによって、複数種類の目標温度に各々適した制御定数が決定され、この実験結果が設定機構3から制御定数決定部21に設定されるとともに、目標温度と制御定数との関係式を求める指示が設定機構3から制御定数決定部21に与えられる。これにより、制御定数決定部21は設定された複数種類の目標温度と各目標温度に適した制御定数の実験値に基づき目標温度と制御定数との関係式を求める。
【0036】
本発明者による実験の結果、目標温度(Ttとする)とP制御用の制御定数である比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)との関係、目標温度TtとI制御用の制御定数である積分時間TIとの関係、及び、目標温度TtとD制御用の制御定数である微分時間TDとの関係はいずれも、以下の(3)式〜(6)式で表される一次式で近似できることが判明した。
【0037】
PB=f1(Tt)=a1×Tt+b1 ……… (3)
KP=f2(Tt)=a2×Tt+b2 ……… (4)
TI=f3(Tt)=a3×Tt+b3 ……… (5)
TD=f4(Tt)=a4×Tt+b4 ……… (6)
【0038】
但し、a1、b1は、複数種類の目標温度と各目標温度Ttに適した比例帯PBの実験値との関係から求められる関係定数であり、同様に、a2、b2は、複数種類の目標温度Ttと各目標温度Ttに適した比例ゲインKPの実験値との関係から求められる関係定数、a3、b3は、複数種類の目標温度Ttと各目標温度Ttに適した積分時間TIの実験値との関係から求められる関係定数、a4、b4は、複数種類の目標温度Ttと各目標温度Ttに適した微分時間TDの実験値との関係から求められる関係定数である。
【0039】
なお、(1)式、(2)式に示すように、操作量m(t) は、P制御式、I制御式、D制御式の複合結果である。従って、上記実験において、ある目標温度Ttに適した制御定数を求める場合も、P制御用の制御定数、I制御用の制御定数、D制御用の制御定数を個別に求めるのではなく、ある目標温度Ttに適したP制御用の制御定数、I制御用の制御定数、D制御用の制御定数を同時に求める。
【0040】
ここで、比例帯PBは、大きく設定すると、操作量の変化が小さく、加熱プレート1の温度変化が鈍くなり、オーバーシュートなどが抑制され、逆に、小さく設定すると、操作量の変化が大きく、加熱プレート1の温度変化が速くなり、目標温度Ttに達する時間が短くなる。また、積分時間TIも大きく(長く)設定すると操作量の変化が小さく、加熱プレート1の温度変化が鈍くなり、オーバーシュートなどが抑制され、逆に、小さく(短く)設定すると、操作量の変化が大きく、加熱プレート1の温度変化が速くなり、目標温度Ttに達する時間が短くなる。さらに、微分時間TDは、大きく(長く)設定すると、P制御及びI制御に対する抑制力が大きく働いて、オーバーシュートなどが抑制され、逆に、小さく(短く)設定すると、P制御及びI制御に対する抑制力が小さくなって、P制御及びI制御が活かされる。
【0041】
従って、目標温度Ttが低温になるに従って比例帯PB、積分時間TI、微分時間TDのいずれも大きくし、目標温度Ttが高温になるに従って比例帯PB、積分時間TI、微分時間TDのいずれも小さくするようにすれば、低温側の目標温度Ttではオーバーシュートを抑制することができ、高温側の目標温度Ttでは目標温度Ttに到達するまでの時間を短縮することができる。
【0042】
すなわち、上述した(3)式、(5)式、(6)式の関数f1(Tt)、f3(Tt)、f4(Tt)は、a1<0、a3<0、a4<0となり、図2(a)、(c)、(d)に示すようになる。
【0043】
なお、上述したように(100/PB)=KPであるので、比例帯PBと比例ゲインKPとは反比例の関係にある。従って、比例帯PBに代えて比例ゲインKPで考えると、目標温度Ttが低温になるに従って比例ゲインKPを小さくし、目標温度Ttが高温になるに従って比例ゲインKPを大きくすればよく、上述した(4)式の関数f2(Tt)は、a2>0となり、図2(b)に示すようになる。
【0044】
ところで、上述したように、目標温度Ttと各制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係は一次式で近似できるので、少なくとも2種類の目標温度Ttに各々適した比例帯PB(比例ゲインKP)の実験値が与えられれば、(3)式((4)式)の関係定数a1、b1(a2、b2)が確定し、同様に、少なくとも2種類の目標温度Ttに各々適した積分時間TI及び微分時間TDの実験値が与えられれば、(5)式及び(6)式の関係定数a3、b3及びa4、b4が確定する。なお、以下の説明において、特に断らない限り、比例帯PBについて述べる説明は、基本的に、比例ゲインKP、積分時間TI、微分時間TDについても同様であるので、重複する説明は省略する。
【0045】
上述したように、2種類の目標温度Ttに各々適した比例帯PBの実験値に基づき、関係定数a1、b1を確定した場合、少なくとも一方の目標温度Ttに適した比例帯PBの実験値に誤差が含まれていれば、確定した関係定数a1、b1にその誤差が大きく反映される場合もある。従って、3種類以上の目標温度Ttに各々適した比例帯PBの実験値に基づき、最小自乗法などにより、より精度よい関係定数a1、b1を確定することが好ましい。
【0046】
なお、2種類の目標温度Ttに各々適した比例帯PBの実験値で関係定数a1、b1を確定する場合には、加熱プレート1に対する目標温度Ttの最大温度範囲、すなわち、基板Wに対して行う加熱処理の温度範囲において、下限付近と上限付近の目標温度Ttに各々適した比例帯PBの実験値に基づき関係定数a1、b1を確定すれば、近接した2種類の目標温度Ttに各々適した比例帯PBの実験値に基づき関係定数a1、b1を確定するよりも、一方の目標温度Ttに適した比例帯PBの実験値に誤差が含まれていた場合の関係定数a1、b1の誤差を少なくすることができる。例えば、基板Wを70℃〜150℃の範囲内の任意の温度に加熱し得る装置であれば、目標温度Ttが70℃付近と150℃付近に各々適した比例帯PBの実験値から関係定数a1、b1を確定すれば、例えば、目標温度Ttが70℃付近と80℃付近に各々適した比例帯PBの実験値から関係定数a1、b1を確定するよりも関係定数a1、b1の誤差を少なくすることができる。
【0047】
また、目標温度Ttに適した比例帯PBを実験で決定する際は、同じ目標温度Ttに適した比例帯PBを求める実験を複数回行い、それら全ての実験値の平均値や、誤差が大きい実験値を除いた他の実験値の平均値をその目標温度Ttに適した比例帯PBの実験値として決定すれば、目標温度Ttに適した比例帯PBの実験値の誤差自体を軽減することができる。
【0048】
以上のようにして求められた目標温度Ttと比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)との関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、目標温度Ttと積分時間TIとの関係式f3(Tt)及び目標温度Ttと微分時間TDとの関係式f4(Tt)はメモリ21aに記憶され、後述するように、設定機構3から目標温度Ttが設定されたときに、それに適した各制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定する際に参照される。
【0049】
なお、目標温度Ttと各制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの各関係式は、最初に1回求めればよいが、メモリ21aに記憶されている各関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を事後的に変更することもできる。すなわち、複数種類の目標温度Ttに各々適した比例帯PB(あるいは、比例ゲインKP)または/および積分時間TIまたは/および微分時間TDの新たな実験値を設定機構3から設定して所望の制御定数に関する関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))または/およびf3(Tt)または/およびf4(Tt)を求めさせる指示を与えれば、制御定数決定部21は、新たに設定されたデータに基づいて目標温度Ttと所望の制御定数PB(あるいはKP)または/およびTIまたは/およびTDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))または/およびf3(Tt)または/およびf4(Tt)を求めて、それに対応する現在の関係式に代えて新たに求めた関係式をメモリ21aに記憶し、新たな関係式を以後の制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDの決定に用いる。
【0050】
目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDの決定は、目標温度Ttが設定されたときに行われる。このとき、メモリ21aには、目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)が記憶されている。
【0051】
例えば、装置の立ち上げ時の加熱プレート1の目標温度Ttを設定機構3から設定されたり、装置が立ち上がった後、実稼働中に現在の加熱プレート1の目標温度Ttを変更するために、新たな目標温度Ttが設定機構3から設定されると、設定された目標温度Ttが制御定数決定部21に与えられる。
【0052】
制御定数決定部21は、予め求められてメモリ21aに記憶されている目標温度Ttと比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)との関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、目標温度Ttと積分時間TIとの関係式f3(Tt)及び目標温度Ttと微分時間TDとの関係式f4(Tt)にそれぞれ、設定された目標温度Ttを代入して、この目標温度Ttに適した比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)、積分時間TI及び微分時間TDを算出して決定する。
【0053】
HP制御部22は、決定された比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)、積分時間TI及び微分時間TDを用いてPID制御によって加熱プレート1の温度を制御する。
【0054】
以上のように、本実施例によれば、加熱プレート1の目標温度Ttが設定されると、その目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定し、決定した制御定数を用いて加熱プレート1の温度を制御するので、低温側の目標温度Ttではオーバーシュートが抑制され、高温側の目標温度Ttでは目標温度Ttに到達するまでの時間が短縮されるなど、多種多様な目標温度Ttに対して常に高精度に基板Wを加熱処理することができる。
【0055】
また、本実施例では、設定された目標温度Ttを、予め求められた目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)に代入して設定された目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定するので、簡単な演算によって、設定された目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定することができる。しかも、後述するように各種類の目標温度Ttと各目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係テーブルをメモリ21aに記憶するよりもメモリ21aの記憶容量を削減することができる。さらに、設定される目標温度Ttの種類数が多い場合、各種類の目標温度Ttと各目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係テーブルをメモリ21aに記憶する構成は、実現し難いが、そのような場合でも、本実施例のように目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を用いれば、多種類の目標温度Ttそれぞれに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定することができる。また、目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を用いれば、各種類の目標温度Ttに対して1対1に対応する制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定することも可能になり、各種類の目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDをきめ細かく決定することもできる。
【0056】
上記実施例では、複数種類の目標温度Ttに各々適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDの実験値を設定することで、装置内でそれら実験値に基づいて目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を求めるように構成したが、複数種類の目標温度Ttに各々適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDの実験値に基づいて、オペレーターが目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を求め、求めた関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を装置に設定するように構成してもよい。
【0057】
また、上記実施例では、目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を用いて、設定された目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定するように構成したが、設定される目標温度Ttの種類数が少ない場合、例えば、70℃〜150℃の範囲において10 ℃ごとの目標温度Tt(70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃)のみが設定される(設定される目標温度Ttは9種類)場合には、それら各目標温度Ttと各目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係をテーブル化した関係テーブルを予め作成してメモリ21aに記憶しておき、制御定数決定部21がその関係テーブルを検索して設定された目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定してもよい。
【0058】
このような関係テーブルは、例えば、上述したような関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)をまず求めて、使用予定の各目標温度Ttに適した各制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを、求めた関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)で算出して関係テーブルを作成するようにしてもよいし、使用予定の各目標温度Ttに適した各制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを直接実験によって決定して関係テーブルを作成するようにしてもよい。
【0059】
また、ある程度の温度範囲内の目標温度Ttに対しては、1種類の制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを用いて加熱プレート1の温度制御を行っても、略同じ制御動作で加熱プレート1の温度制御を行うことができる。従って、例えば、図3に示すように、加熱プレート1に対する目標温度Ttの最大温度範囲(例えば、70℃〜150℃)を複数、例えば、低温度域、中温度域、高温度域の3つの温度範囲(70℃以上100℃未満の温度範囲、100℃以上130℃未満の温度範囲、130℃以上150℃以下の温度範囲)に分割して各々の温度範囲に対してそれぞれ1種類の制御定数PBL、PBM、PBS(あるいはKPS、KPM、KPL)、TIL、TIM、TIS及びTDL、TDM、TDSを割り当てるようにし、設定された目標温度Ttが属する温度範囲に割り当てられた制御定数を選択するようにしてもよい。このような構成の場合、上記温度範囲と制御定数との関係を関係式で規定してもよいし関係テーブルにしてもよい。
【0060】
また、PID制御において、制御に最も大きな影響を与えるのはP制御であるので、I制御用とD制御用の各制御定数である積分時間TI、微分時間TDは、いかなる目標温度Ttに対しても常に同じ制御定数を用い、P制御用の制御定数である比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)のみ設定された目標温度Ttに適した制御定数を決定して、その制御定数を用いて加熱プレート1の温度制御を行うようにしても十分な効果が得られる。なお、この場合には、メモリ21aには、目標温度Ttと比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)との関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))あるいは関係テーブルのみを記憶し、制御定数決定部21は、比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)のみを、設定された目標温度Ttに応じて決定すればよい。
【0061】
また、上記実施例では、PID制御によって加熱プレート1の温度制御を行う場合について説明したが、P制御のみやPI制御、PD制御、あるいは、適宜の制御定数を含む制御式を用いたフィードバック制御方式によって加熱プレート1の温度制御を行う場合も本発明は同様に適用することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、目標温度設定手段によって加熱プレートの目標温度(Tt)が設定されると、制御手段が加熱手段に対する操作量(m (t) )を決定するために用いる所定の制御式に含まれる制御定数として、設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を予めメモリに記憶された関係式を用いて決定し、制御手段は、決定された制御定数を用いて加熱プレートの温度制御を行うように構成したので、多種多様な目標温度(Tt)に対して常に高精度に基板を加熱処理することができる基板加熱処理装置を実現することができる。そして、メモリに記憶された関係式は一次式であるので、簡単な演算によって、設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を決定することができる。また、設定される目標温度(Tt)の種類数が多く、多種類の目標温度(Tt)に適した制御定数を決定する必要がある場合にも容易に対応することができる。さらに、各種類の目標温度(Tt)に対して1対1に対応する制御定数を決定することも可能になり、各種類の目標温度(Tt)に適した制御定数をきめ細かく決定することもできる。
【0063】
請求項2に記載の発明によれば、目標温度設定手段によって加熱プレートの目標温度(Tt)が設定されると、制御手段が加熱手段に対する操作量(m (t) )を決定するために用いる所定の制御式に含まれる制御定数として、設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を予めメモリに記憶された関係式を用いて決定し、制御手段は、決定された制御定数を用いて加熱プレートの温度制御を行うように構成したので、多種多様な目標温度(Tt)に対して常に高精度に基板を加熱処理することができる基板加熱処理装置を実現することができる。そして、メモリに記憶された関係式は一次式であるので、簡単な演算によって、設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を決定することができる。また、設定される目標温度(Tt)の種類数が多く、多種類の目標温度(Tt)に適した制御定数を決定する必要がある場合にも容易に対応することができる。さらに、各種類の目標温度(Tt)に対して1対1に対応する制御定数を決定することも可能になり、各種類の目標温度(Tt)に適した制御定数をきめ細かく決定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る基板加熱処理装置の全体構成図である。
【図2】目標温度と制御定数との関係をグラフ化した図である。
【図3】適宜の温度範囲に対して1種類の制御定数を割り当てる場合の目標温度と制御定数との関係をグラフ化した図である。
【符号の説明】
1:加熱プレート
2:コントローラー
3:設定機構
4:電力供給源
5:操作機器
11:加熱機器
12:温度センサ
21:制御定数決定部
21a:メモリ
22:HP制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハや液晶表示器用のガラス基板、フォトマスク用のガラス基板、光ディスク用の基板などの基板を加熱プレートに支持させて加熱処理を行う基板加熱処理装置に係り、特には、加熱プレートの温度制御をフィードバック制御で行う基板加熱処理装置の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の基板加熱処理装置は、ヒーターなどの加熱機器を有し、基板を支持して基板に加熱処理を施す加熱プレートと、加熱機器への電力供給を操作する操作機器と、加熱プレートの目標温度を設定する設定機構と、加熱プレートの現在温度を検知する温度センサと、加熱プレートの現在温度を監視し、制御定数を含む所定の制御式に基づき、加熱プレートの現在温度と設定された加熱プレートの目標温度との偏差を打ち消すような加熱機器に対する操作量を順次決定して操作機器を操作しつつ、フィードバック制御によって加熱プレートの温度制御を行うHP制御部とを備えている。そして、HP制御部は、通常、フィードバック制御の動作機能のうち、P(比例)動作やI(積分)動作、D(微分)動作を適宜に併用した制御動作で加熱プレートの温度制御を行っている。
【0003】
周知にように、このような制御動作で加熱プレートの温度制御を行うためには、P制御用の制御定数(比例帯、あるいは、比例ゲイン)を含むP制御用の制御式や、I制御用の制御定数(積分時間)を含むI制御用の制御式、D制御用の制御定数(微分時間)を含むD制御用の制御式を用いて、加熱プレートの現在温度と設定された目標温度との偏差を打ち消すような加熱機器に対する操作量(電力供給量)を順次決定し、その操作量で操作機器を操作するようにしている。
【0004】
このようにして加熱プレートの温度制御をフィードバック制御で行う装置では、従来、制御式に含まれる制御定数を1種類だけ持ち、いかなる目標温度に対しても常に同じ制御定数を用いて加熱プレートの温度制御を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、大きな温度差がある目標温度に対して、常に同じ制御定数を用いて加熱プレートの温度制御を行うと、制御動作が変動するような不都合が起こる。
【0006】
例えば、目標温度が比較的低温(例えば、70℃)の場合と比較的高温(例えば、150℃)の場合とを比較すると、低温の目標温度の場合は加熱プレートからの放熱量が比較的少なく、一方、高温の目標温度の場合は加熱プレートからの放熱量が比較的多くなる。そのため、上記2種類の目標温度に対して同じ制御定数を用いて加熱プレートの温度制御を行い、基板への加熱処理を実施すると、低温の目標温度の場合は放熱量が少ないので加熱プレートの温度がオーバーシュートし、高温の目標温度の場合は放熱量が多いので加熱プレート(処理中の基板)の温度が目標温度に到達するまでに要する時間が長くなる。
【0007】
ところで、近年、基板への加熱処理の高精度化の要求が強まっている。そのような状況下において、上記低温の目標温度の場合のように加熱プレートの温度がオーバーシュートすれば、基板の加熱履歴に悪影響を与え、基板への加熱処理精度が要求される加熱処理精度を満たさなくなるという不都合を招来する。また、基板への加熱処理時間は予め決まっているが、上記高温の目標温度の場合のように加熱プレート(処理中の基板)の温度が目標温度に到達するまでに要する時間が長くなると、所定の加熱処理時間の間に基板を目標温度にまで加熱することができない事態も生じ、その結果、基板への加熱処理精度が要求される加熱処理精度を満たさなくなるという不都合を招来する。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、多種多様な目標温度に対して常に高精度に基板を加熱処理することができる基板加熱処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、加熱手段を有し、基板を支持して基板に加熱処理を施す加熱プレートと、前記加熱手段への電力供給を操作する操作手段と、前記加熱プレートの目標温度(Tt)を設定する目標温度設定手段と、前記加熱プレートの現在温度を検知する温度検知手段と、前記加熱プレートの現在温度を監視し、制御定数を含む所定の制御式に基づき、前記加熱プレートの現在温度と設定された前記加熱プレートの目標温度(Tt)との偏差(e (t) )を打ち消すような前記加熱手段に対する操作量(m (t) )を順次決定して前記操作手段を操作しつつ、フィードバック制御によって前記加熱プレートの温度制御を行う制御手段と、を備えた基板加熱処理装置において、前記制御式に用いる制御定数として、複数種類の目標温度(Tt)と各目標温度(Tt)に適した制御定数とに基づいて予め求められた目標温度(Tt)と制御定数との関係式を記憶するメモリを有し、前記メモリに記憶された前記関係式を用いて、前記目標温度設定手段から設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を決定する制御定数決定手段をさらに備え、 前記制御定数は、比例帯(PB)と積分時間(TI)と微分時間(TD)とからなり、前記制御式は数式m (t) =(100/PB)×〔e (t) +(1/TI)∫e (t)dt +TD× (d e (t) / dt) 〕であり、前記関係式は、6個の定数(a1、b1、a3、b3、a4、b4)を用いて、数式PB=a1×Tt+b1と数式TI=a3×Tt+b3と数式TD=a4×Tt+b4とであり、前記制御手段は、前記制御定数決定手段によって決定された制御定数を用いて前記加熱プレートの温度制御を行うことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、加熱手段を有し、基板を支持して基板に加熱処理を施す加熱プレートと、前記加熱手段への電力供給を操作する操作手段と、前記加熱プレートの目標温度(Tt)を設定する目標温度設定手段と、前記加熱プレートの現在温度を検知する温度検知手段と、前記加熱プレートの現在温度を監視し、制御定数を含む所定の制御式に基づき、前記加熱プレートの現在温度と設定された前記加熱プレートの目標温度(Tt)との偏差(e (t) )を打ち消すような前記加熱手段に対する操作量(m (t) )を順次決定して前記操作手段を操作しつつ、フィードバック制御によって前記加熱プレートの温度制御を行う制御手段と、を備えた基板加熱処理装置において、前記制御式に用いる制御定数として、複数種類の目標温度(Tt)と各目標温度(Tt)に適した制御定数とに基づいて予め求められた目標温度(Tt)と制御定数との関係式を記憶するメモリを有し、前記メモリに記憶された前記関係式を用いて、前記目標温度設定手段から設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を決定する制御定数決定手段をさらに備え、前記制御定数は、比例ゲイン(KP)と積分時間(TI)と微分時間(TD)とからなり、前記制御式は数式m (t) =KP×〔e (t) +(1/TI)∫e (t)dt +TD× (d e (t) / dt) 〕であり、前記関係式は、6個の定数(a2、b2、a3、b3、a4、b4)を用いて、数式KP=a2×Tt+b2と数式TI=a3×Tt+b3と数式TD=a4×Tt+b4とであり、前記制御手段は、前記制御定数決定手段によって決定された制御定数を用いて前記加熱プレートの温度制御を行うことを特徴とするものである。
【0012】
【作用】
請求項1に記載の発明の作用は次のとおりである。
制御定数決定手段は、制御手段が加熱手段に対する操作量(m (t) )を決定するために用いる所定の制御式に含まれる制御定数として、複数種類の目標温度(Tt)と各目標温度(Tt)に適した制御定数とに基づいて予め求められた目標温度(Tt)と制御定数との関係式を記憶するメモリを有している。
目標温度設定手段によって加熱プレートの目標温度(Tt)が設定されると、制御定数決定手段は、メモリに記憶された関係式に目標温度設定手段から設定された目標温度(Tt)を代入して、この目標温度(Tt)に適した制御定数を算出して制御定数を決定する。
【0013】
設定された加熱プレートの目標温度(Tt)に適した制御定数が目標温度設定手段によって決定されると、制御手段は、温度検知手段で検知される加熱プレートの現在温度を監視し、決定された制御定数を用いて所定の制御式に基づき、加熱プレートの現在温度と設定された加熱プレートの目標温度(Tt)との偏差(e (t) )を打ち消すような加熱手段に対する操作量(m (t) )を順次決定して操作手段を操作しつつ、フィードバック制御によって加熱プレートの温度制御を行う。このように温度制御される加熱プレートに基板が支持されて基板への加熱処理が行われる。
さらに、制御定数は、比例動作によるP制御用の制御定数である比例帯(PB)と、積分動作によるI制御用の制御定数である積分時間(TI)と、微分動作によるD制御用の制御定数である微分時間(TD)とからなる。そして、目標温度(Tt)と各制御定数(PB、TI、TD)との関係式は、それぞれ一次式で表すことができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、制御手段が加熱手段に対する操作量(m (t) )を決定するために用いる所定の制御式に含まれる制御定数として、複数種類の目標温度(Tt)と各目標温度(Tt)に適した制御定数とに基づいて予め求められた目標温度(Tt)と制御定数との関係式を記憶するメモリを有している。
目標温度設定手段によって加熱プレートの目標温度(Tt)が設定されると、制御定数決定手段は、メモリに記憶された関係式に目標温度設定手段から設定された目標温度(Tt)を代入して、この目標温度(Tt)に適した制御定数を算出して制御定数を決定する。
【0015】
設定された加熱プレートの目標温度(Tt)に適した制御定数が目標温度設定手段によって決定されると、制御手段は、温度検知手段で検知される加熱プレートの現在温度を監視し、決定された制御定数を用いて所定の制御式に基づき、加熱プレートの現在温度と設定された加熱プレートの目標温度(Tt)との偏差(e (t) )を打ち消すような加熱手段に対する操作量(m (t) )を順次決定して操作手段を操作しつつ、フィードバック制御によって加熱プレートの温度制御を行う。このように温度制御される加熱プレートに基板が支持されて基板への加熱処理が行われる。
さらに、制御定数は、比例動作によるP制御用の制御定数である比例ゲイン(KP)と、積分動作によるI制御用の制御定数である積分時間(TI)と、微分動作によるD制御用の制御定数である微分時間(TD)とからなる。そして、目標温度(Tt)と各制御定数(KP、TI、TD)との関係式は、それぞれ一次式で表すことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る基板加熱処理装置の全体構成図である。
【0018】
この実施例に係る基板加熱処理装置は、加熱機器11を有し、上面に基板Wを支持して基板Wに加熱処理を施す加熱プレート1や、コントローラー2、加熱プレート1の目標温度を設定する目標温度設定手段に相当する設定機構3、電源ボックスや工場のユーティリティなどで構成される電力供給源4から加熱プレート1内の加熱機器11への電力供給を操作する操作機器5などを備えている。
【0019】
加熱プレート1には、加熱手段に相当する加熱機器11と、加熱プレート1の温度を検知する温度検知手段に相当する温度センサ12とが内設されている。加熱機器11は、マイカヒーターなどの主加熱機器だけで構成されることもあるし、上記主加熱機器と、それに加えてペルチェ素子などで構成される補助加熱機器を含んで構成されることもある。
【0020】
また、図1では、加熱プレート1の上面に複数個のプロキシミティボール13が配設され、加熱プレート1の上面から微小間隔隔てて基板Wを支持して基板Wに加熱処理を施すように構成しているが、これらプロキシミティボール13を省略して、基板Wを加熱プレート1の上面に直接載置支持して基板Wに加熱処理を施すように構成することもある。
【0021】
さらに、加熱プレート1には、複数本の基板支持ピン14が昇降可能に貫通されている。これら基板支持ピン14は、加熱プレート1に対する基板Wの搬入/搬出を行うためのものであり、エアシリンダなどのアクチュエータ15によって同期して昇降されるように構成されている。図の二点鎖線で示すように、基板支持ピン14が上昇された状態で、加熱プレート1の上方において、図示しない基板搬送装置から基板支持ピン14に基板Wが受け渡されると、図の実線で示すように、基板支持ピン14の先端部が加熱プレート1の内部に納まる下降位置まで基板支持ピン14が下降し、受け取った基板Wをプロキシミティボール13に(あるいは、加熱プレート1の上面に直接)載置支持させて、加熱プレート1に基板Wを搬入させる。また、加熱処理が終わると、基板支持ピン14が下降位置から上昇して、基板Wを加熱プレート1の上方に持ち上げて加熱プレート1から基板Wを搬出する。加熱プレート1の上方に持ち上げられた基板Wは、基板搬送装置によって基板支持ピン14から受け取られて装置の外部に運び出される。
【0022】
コントローラー2は、制御定数決定手段に相当する制御定数決定部21と、制御手段に相当するHP制御部22と、基板支持ピン昇降制御部23とを備えている。このコントローラー2は、例えば、各部21〜23の処理制御をプログラムに従って実行するマイクロコンピューターなどで構成されている。
【0023】
制御定数決定部21はメモリ21aを有する。このメモリ21aには、目標温度と制御定数との関係式が記憶される。詳細は後述するが、制御定数決定部21は、設定機構3から設定された複数種類の目標温度と各目標温度に適した制御定数とに基づいて目標温度と制御定数との関係式を求めてメモリ21aに記憶する。そして、制御定数決定部21は、設定機構3から加熱プレート1に対する目標温度が設定されると、メモリ21aに記憶している関係式を用いて、設定された目標温度に適した制御定数を決定する。決定された制御定数は、設定された目標温度とともにHP制御部22に与えられる。
【0024】
HP制御部22は、制御定数決定部21から制御定数と目標温度とが与えられると、温度センサ12からの検知信号によって加熱プレート1の現在温度を監視し、制御定数決定部21によって決定された制御定数を用いて後述する制御式に基づき、加熱プレート1の現在温度と設定機構3によって設定された加熱プレート1の目標温度との偏差を打ち消すような加熱機器11に対する操作量(電力供給源4から加熱機器11へ供給する電力量)を順次決定して、その電力量の電力を加熱機器11に与えるような操作を行う操作信号を操作機器5に与えて操作機器5を操作しつつ、フィードバック制御によって加熱プレート1の温度制御を行う。
【0025】
この実施例では、例えば、HP制御部22は、フィードバック制御の動作機能のうち、P(比例)動作とI(積分)動作とD(微分)動作とを併用した制御動作(PID動作)で加熱プレート1の温度制御を行うものとする。
【0026】
従って、HP制御部22は、P制御用の制御定数(比例帯、あるいは、比例ゲイン)を含むP制御用の制御式と、I制御用の制御定数(積分時間)を含むI制御用の制御式と、D制御用の制御定数(微分時間)を含むD制御用の制御式とを併用した以下の(1)式または(2)式で表される制御式に基づいて、加熱機器11に対する操作量を順次決定して操作機器5を操作しつつ、加熱プレート1の温度制御を行う。
【0027】
【0028】
但し、m(t) は操作量、PBは比例帯(%)、TIは積分時間、TDは微分時間、e(t) は加熱プレート1の現在温度(温度センサ12の計測値)と設定機構3から設定された加熱プレート1の目標温度との偏差、KPは比例ゲインである。なお、(100/PB)=KPであるので、P制御用の制御定数を比例帯とする場合には(1)式、比例ゲインとする場合には(2)式で表されることになる。
【0029】
制御定数決定部21は、P制御用の制御式に用いるP制御用の制御定数である比例帯PBまたは比例ゲインKPのいずれか一方と、I制御用の制御式に用いるI制御用の制御定数である積分時間TIと、D制御用の制御式に用いるD制御用の制御定数である微分時間TDとを設定機構3から設定された目標温度に応じて決定することになる。
【0030】
HP制御部22は、最初に目標温度が設定されると、加熱プレート1の温度が設定された目標温度になるようにPID制御によって加熱プレート1の温度を制御し、加熱プレート1がその目標温度に到達すると、設定機構3から新たな目標温度が設定されるまで、加熱プレート1の温度を現在の目標温度に維持するように加熱プレート1の温度を制御する。また、基板Wに対する加熱処理を行う際も、現在の目標温度を目標としてPID制御によって加熱プレート1の温度制御を行う。
【0031】
基板支持ピン昇降制御部23は、アクチュエーター15を駆動して基板支持ピン14を昇降制御して、加熱プレート1に対する基板Wの搬入/搬出を行わせる。加熱プレート1に対する基板Wの搬入/搬出は、基板搬送装置の動作制御を行う本装置の上位のメインコントローラ(図示せず)からの指令などに基づき、基板搬送装置の動作とタイミングを取りながら行われる。
【0032】
設定機構3は、オペレータが所要のデータを設定する設定器であってもよいし、上位のメインコントローラーから通信などによって設定される構成であってもよい。
【0033】
次に、目標温度と制御定数との関係式を求めるときの動作と、設定された目標温度に適した制御定数を決定するときの動作について説明する。
【0034】
目標温度と制御定数との関係式を求める動作は、装置が基板製造に用いられるのに先立ち少なくとも1回行われる。
【0035】
まず、実験などによって、複数種類の目標温度に各々適した制御定数が決定され、この実験結果が設定機構3から制御定数決定部21に設定されるとともに、目標温度と制御定数との関係式を求める指示が設定機構3から制御定数決定部21に与えられる。これにより、制御定数決定部21は設定された複数種類の目標温度と各目標温度に適した制御定数の実験値に基づき目標温度と制御定数との関係式を求める。
【0036】
本発明者による実験の結果、目標温度(Ttとする)とP制御用の制御定数である比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)との関係、目標温度TtとI制御用の制御定数である積分時間TIとの関係、及び、目標温度TtとD制御用の制御定数である微分時間TDとの関係はいずれも、以下の(3)式〜(6)式で表される一次式で近似できることが判明した。
【0037】
PB=f1(Tt)=a1×Tt+b1 ……… (3)
KP=f2(Tt)=a2×Tt+b2 ……… (4)
TI=f3(Tt)=a3×Tt+b3 ……… (5)
TD=f4(Tt)=a4×Tt+b4 ……… (6)
【0038】
但し、a1、b1は、複数種類の目標温度と各目標温度Ttに適した比例帯PBの実験値との関係から求められる関係定数であり、同様に、a2、b2は、複数種類の目標温度Ttと各目標温度Ttに適した比例ゲインKPの実験値との関係から求められる関係定数、a3、b3は、複数種類の目標温度Ttと各目標温度Ttに適した積分時間TIの実験値との関係から求められる関係定数、a4、b4は、複数種類の目標温度Ttと各目標温度Ttに適した微分時間TDの実験値との関係から求められる関係定数である。
【0039】
なお、(1)式、(2)式に示すように、操作量m(t) は、P制御式、I制御式、D制御式の複合結果である。従って、上記実験において、ある目標温度Ttに適した制御定数を求める場合も、P制御用の制御定数、I制御用の制御定数、D制御用の制御定数を個別に求めるのではなく、ある目標温度Ttに適したP制御用の制御定数、I制御用の制御定数、D制御用の制御定数を同時に求める。
【0040】
ここで、比例帯PBは、大きく設定すると、操作量の変化が小さく、加熱プレート1の温度変化が鈍くなり、オーバーシュートなどが抑制され、逆に、小さく設定すると、操作量の変化が大きく、加熱プレート1の温度変化が速くなり、目標温度Ttに達する時間が短くなる。また、積分時間TIも大きく(長く)設定すると操作量の変化が小さく、加熱プレート1の温度変化が鈍くなり、オーバーシュートなどが抑制され、逆に、小さく(短く)設定すると、操作量の変化が大きく、加熱プレート1の温度変化が速くなり、目標温度Ttに達する時間が短くなる。さらに、微分時間TDは、大きく(長く)設定すると、P制御及びI制御に対する抑制力が大きく働いて、オーバーシュートなどが抑制され、逆に、小さく(短く)設定すると、P制御及びI制御に対する抑制力が小さくなって、P制御及びI制御が活かされる。
【0041】
従って、目標温度Ttが低温になるに従って比例帯PB、積分時間TI、微分時間TDのいずれも大きくし、目標温度Ttが高温になるに従って比例帯PB、積分時間TI、微分時間TDのいずれも小さくするようにすれば、低温側の目標温度Ttではオーバーシュートを抑制することができ、高温側の目標温度Ttでは目標温度Ttに到達するまでの時間を短縮することができる。
【0042】
すなわち、上述した(3)式、(5)式、(6)式の関数f1(Tt)、f3(Tt)、f4(Tt)は、a1<0、a3<0、a4<0となり、図2(a)、(c)、(d)に示すようになる。
【0043】
なお、上述したように(100/PB)=KPであるので、比例帯PBと比例ゲインKPとは反比例の関係にある。従って、比例帯PBに代えて比例ゲインKPで考えると、目標温度Ttが低温になるに従って比例ゲインKPを小さくし、目標温度Ttが高温になるに従って比例ゲインKPを大きくすればよく、上述した(4)式の関数f2(Tt)は、a2>0となり、図2(b)に示すようになる。
【0044】
ところで、上述したように、目標温度Ttと各制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係は一次式で近似できるので、少なくとも2種類の目標温度Ttに各々適した比例帯PB(比例ゲインKP)の実験値が与えられれば、(3)式((4)式)の関係定数a1、b1(a2、b2)が確定し、同様に、少なくとも2種類の目標温度Ttに各々適した積分時間TI及び微分時間TDの実験値が与えられれば、(5)式及び(6)式の関係定数a3、b3及びa4、b4が確定する。なお、以下の説明において、特に断らない限り、比例帯PBについて述べる説明は、基本的に、比例ゲインKP、積分時間TI、微分時間TDについても同様であるので、重複する説明は省略する。
【0045】
上述したように、2種類の目標温度Ttに各々適した比例帯PBの実験値に基づき、関係定数a1、b1を確定した場合、少なくとも一方の目標温度Ttに適した比例帯PBの実験値に誤差が含まれていれば、確定した関係定数a1、b1にその誤差が大きく反映される場合もある。従って、3種類以上の目標温度Ttに各々適した比例帯PBの実験値に基づき、最小自乗法などにより、より精度よい関係定数a1、b1を確定することが好ましい。
【0046】
なお、2種類の目標温度Ttに各々適した比例帯PBの実験値で関係定数a1、b1を確定する場合には、加熱プレート1に対する目標温度Ttの最大温度範囲、すなわち、基板Wに対して行う加熱処理の温度範囲において、下限付近と上限付近の目標温度Ttに各々適した比例帯PBの実験値に基づき関係定数a1、b1を確定すれば、近接した2種類の目標温度Ttに各々適した比例帯PBの実験値に基づき関係定数a1、b1を確定するよりも、一方の目標温度Ttに適した比例帯PBの実験値に誤差が含まれていた場合の関係定数a1、b1の誤差を少なくすることができる。例えば、基板Wを70℃〜150℃の範囲内の任意の温度に加熱し得る装置であれば、目標温度Ttが70℃付近と150℃付近に各々適した比例帯PBの実験値から関係定数a1、b1を確定すれば、例えば、目標温度Ttが70℃付近と80℃付近に各々適した比例帯PBの実験値から関係定数a1、b1を確定するよりも関係定数a1、b1の誤差を少なくすることができる。
【0047】
また、目標温度Ttに適した比例帯PBを実験で決定する際は、同じ目標温度Ttに適した比例帯PBを求める実験を複数回行い、それら全ての実験値の平均値や、誤差が大きい実験値を除いた他の実験値の平均値をその目標温度Ttに適した比例帯PBの実験値として決定すれば、目標温度Ttに適した比例帯PBの実験値の誤差自体を軽減することができる。
【0048】
以上のようにして求められた目標温度Ttと比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)との関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、目標温度Ttと積分時間TIとの関係式f3(Tt)及び目標温度Ttと微分時間TDとの関係式f4(Tt)はメモリ21aに記憶され、後述するように、設定機構3から目標温度Ttが設定されたときに、それに適した各制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定する際に参照される。
【0049】
なお、目標温度Ttと各制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの各関係式は、最初に1回求めればよいが、メモリ21aに記憶されている各関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を事後的に変更することもできる。すなわち、複数種類の目標温度Ttに各々適した比例帯PB(あるいは、比例ゲインKP)または/および積分時間TIまたは/および微分時間TDの新たな実験値を設定機構3から設定して所望の制御定数に関する関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))または/およびf3(Tt)または/およびf4(Tt)を求めさせる指示を与えれば、制御定数決定部21は、新たに設定されたデータに基づいて目標温度Ttと所望の制御定数PB(あるいはKP)または/およびTIまたは/およびTDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))または/およびf3(Tt)または/およびf4(Tt)を求めて、それに対応する現在の関係式に代えて新たに求めた関係式をメモリ21aに記憶し、新たな関係式を以後の制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDの決定に用いる。
【0050】
目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDの決定は、目標温度Ttが設定されたときに行われる。このとき、メモリ21aには、目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)が記憶されている。
【0051】
例えば、装置の立ち上げ時の加熱プレート1の目標温度Ttを設定機構3から設定されたり、装置が立ち上がった後、実稼働中に現在の加熱プレート1の目標温度Ttを変更するために、新たな目標温度Ttが設定機構3から設定されると、設定された目標温度Ttが制御定数決定部21に与えられる。
【0052】
制御定数決定部21は、予め求められてメモリ21aに記憶されている目標温度Ttと比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)との関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、目標温度Ttと積分時間TIとの関係式f3(Tt)及び目標温度Ttと微分時間TDとの関係式f4(Tt)にそれぞれ、設定された目標温度Ttを代入して、この目標温度Ttに適した比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)、積分時間TI及び微分時間TDを算出して決定する。
【0053】
HP制御部22は、決定された比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)、積分時間TI及び微分時間TDを用いてPID制御によって加熱プレート1の温度を制御する。
【0054】
以上のように、本実施例によれば、加熱プレート1の目標温度Ttが設定されると、その目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定し、決定した制御定数を用いて加熱プレート1の温度を制御するので、低温側の目標温度Ttではオーバーシュートが抑制され、高温側の目標温度Ttでは目標温度Ttに到達するまでの時間が短縮されるなど、多種多様な目標温度Ttに対して常に高精度に基板Wを加熱処理することができる。
【0055】
また、本実施例では、設定された目標温度Ttを、予め求められた目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)に代入して設定された目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定するので、簡単な演算によって、設定された目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定することができる。しかも、後述するように各種類の目標温度Ttと各目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係テーブルをメモリ21aに記憶するよりもメモリ21aの記憶容量を削減することができる。さらに、設定される目標温度Ttの種類数が多い場合、各種類の目標温度Ttと各目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係テーブルをメモリ21aに記憶する構成は、実現し難いが、そのような場合でも、本実施例のように目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を用いれば、多種類の目標温度Ttそれぞれに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定することができる。また、目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を用いれば、各種類の目標温度Ttに対して1対1に対応する制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定することも可能になり、各種類の目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDをきめ細かく決定することもできる。
【0056】
上記実施例では、複数種類の目標温度Ttに各々適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDの実験値を設定することで、装置内でそれら実験値に基づいて目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を求めるように構成したが、複数種類の目標温度Ttに各々適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDの実験値に基づいて、オペレーターが目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を求め、求めた関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を装置に設定するように構成してもよい。
【0057】
また、上記実施例では、目標温度Ttと制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)を用いて、設定された目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定するように構成したが、設定される目標温度Ttの種類数が少ない場合、例えば、70℃〜150℃の範囲において10 ℃ごとの目標温度Tt(70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃)のみが設定される(設定される目標温度Ttは9種類)場合には、それら各目標温度Ttと各目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDとの関係をテーブル化した関係テーブルを予め作成してメモリ21aに記憶しておき、制御定数決定部21がその関係テーブルを検索して設定された目標温度Ttに適した制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを決定してもよい。
【0058】
このような関係テーブルは、例えば、上述したような関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)をまず求めて、使用予定の各目標温度Ttに適した各制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを、求めた関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))、f3(Tt)、f4(Tt)で算出して関係テーブルを作成するようにしてもよいし、使用予定の各目標温度Ttに適した各制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを直接実験によって決定して関係テーブルを作成するようにしてもよい。
【0059】
また、ある程度の温度範囲内の目標温度Ttに対しては、1種類の制御定数PB(あるいはKP)、TI、TDを用いて加熱プレート1の温度制御を行っても、略同じ制御動作で加熱プレート1の温度制御を行うことができる。従って、例えば、図3に示すように、加熱プレート1に対する目標温度Ttの最大温度範囲(例えば、70℃〜150℃)を複数、例えば、低温度域、中温度域、高温度域の3つの温度範囲(70℃以上100℃未満の温度範囲、100℃以上130℃未満の温度範囲、130℃以上150℃以下の温度範囲)に分割して各々の温度範囲に対してそれぞれ1種類の制御定数PBL、PBM、PBS(あるいはKPS、KPM、KPL)、TIL、TIM、TIS及びTDL、TDM、TDSを割り当てるようにし、設定された目標温度Ttが属する温度範囲に割り当てられた制御定数を選択するようにしてもよい。このような構成の場合、上記温度範囲と制御定数との関係を関係式で規定してもよいし関係テーブルにしてもよい。
【0060】
また、PID制御において、制御に最も大きな影響を与えるのはP制御であるので、I制御用とD制御用の各制御定数である積分時間TI、微分時間TDは、いかなる目標温度Ttに対しても常に同じ制御定数を用い、P制御用の制御定数である比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)のみ設定された目標温度Ttに適した制御定数を決定して、その制御定数を用いて加熱プレート1の温度制御を行うようにしても十分な効果が得られる。なお、この場合には、メモリ21aには、目標温度Ttと比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)との関係式f1(Tt)(あるいはf2(Tt))あるいは関係テーブルのみを記憶し、制御定数決定部21は、比例帯PB(あるいは比例ゲインKP)のみを、設定された目標温度Ttに応じて決定すればよい。
【0061】
また、上記実施例では、PID制御によって加熱プレート1の温度制御を行う場合について説明したが、P制御のみやPI制御、PD制御、あるいは、適宜の制御定数を含む制御式を用いたフィードバック制御方式によって加熱プレート1の温度制御を行う場合も本発明は同様に適用することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、目標温度設定手段によって加熱プレートの目標温度(Tt)が設定されると、制御手段が加熱手段に対する操作量(m (t) )を決定するために用いる所定の制御式に含まれる制御定数として、設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を予めメモリに記憶された関係式を用いて決定し、制御手段は、決定された制御定数を用いて加熱プレートの温度制御を行うように構成したので、多種多様な目標温度(Tt)に対して常に高精度に基板を加熱処理することができる基板加熱処理装置を実現することができる。そして、メモリに記憶された関係式は一次式であるので、簡単な演算によって、設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を決定することができる。また、設定される目標温度(Tt)の種類数が多く、多種類の目標温度(Tt)に適した制御定数を決定する必要がある場合にも容易に対応することができる。さらに、各種類の目標温度(Tt)に対して1対1に対応する制御定数を決定することも可能になり、各種類の目標温度(Tt)に適した制御定数をきめ細かく決定することもできる。
【0063】
請求項2に記載の発明によれば、目標温度設定手段によって加熱プレートの目標温度(Tt)が設定されると、制御手段が加熱手段に対する操作量(m (t) )を決定するために用いる所定の制御式に含まれる制御定数として、設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を予めメモリに記憶された関係式を用いて決定し、制御手段は、決定された制御定数を用いて加熱プレートの温度制御を行うように構成したので、多種多様な目標温度(Tt)に対して常に高精度に基板を加熱処理することができる基板加熱処理装置を実現することができる。そして、メモリに記憶された関係式は一次式であるので、簡単な演算によって、設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を決定することができる。また、設定される目標温度(Tt)の種類数が多く、多種類の目標温度(Tt)に適した制御定数を決定する必要がある場合にも容易に対応することができる。さらに、各種類の目標温度(Tt)に対して1対1に対応する制御定数を決定することも可能になり、各種類の目標温度(Tt)に適した制御定数をきめ細かく決定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る基板加熱処理装置の全体構成図である。
【図2】目標温度と制御定数との関係をグラフ化した図である。
【図3】適宜の温度範囲に対して1種類の制御定数を割り当てる場合の目標温度と制御定数との関係をグラフ化した図である。
【符号の説明】
1:加熱プレート
2:コントローラー
3:設定機構
4:電力供給源
5:操作機器
11:加熱機器
12:温度センサ
21:制御定数決定部
21a:メモリ
22:HP制御部
Claims (2)
- 加熱手段を有し、基板を支持して基板に加熱処理を施す加熱プレートと、
前記加熱手段への電力供給を操作する操作手段と、
前記加熱プレートの目標温度(Tt)を設定する目標温度設定手段と、
前記加熱プレートの現在温度を検知する温度検知手段と、
前記加熱プレートの現在温度を監視し、制御定数を含む所定の制御式に基づき、前記加熱プレートの現在温度と設定された前記加熱プレートの目標温度(Tt)との偏差(e (t) )を打ち消すような前記加熱手段に対する操作量(m (t) )を順次決定して前記操作手段を操作しつつ、フィードバック制御によって前記加熱プレートの温度制御を行う制御手段と、
を備えた基板加熱処理装置において、
前記制御式に用いる制御定数として、複数種類の目標温度(Tt)と各目標温度(Tt)に適した制御定数とに基づいて予め求められた目標温度(Tt)と制御定数との関係式を記憶するメモリを有し、前記メモリに記憶された前記関係式を用いて、前記目標温度設定手段から設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を決定する制御定数決定手段をさらに備え、
前記制御定数は、比例帯(PB)と積分時間(TI)と微分時間(TD)とからなり、前記制御式は数式m (t) =(100/PB)×〔e (t) +(1/TI)∫e (t)dt +TD× (d e (t) / dt) 〕であり、前記関係式は、6個の定数(a1、b1、a3、b3、a4、b4)を用いて、数式PB=a1×Tt+b1と数式TI=a3×Tt+b3と数式TD=a4×Tt+b4とであり、
前記制御手段は、前記制御定数決定手段によって決定された制御定数を用いて前記加熱プレートの温度制御を行うことを特徴とする基板加熱処理装置。 - 加熱手段を有し、基板を支持して基板に加熱処理を施す加熱プレートと、
前記加熱手段への電力供給を操作する操作手段と、
前記加熱プレートの目標温度(Tt)を設定する目標温度設定手段と、
前記加熱プレートの現在温度を検知する温度検知手段と、
前記加熱プレートの現在温度を監視し、制御定数を含む所定の制御式に基づき、前記加熱プレートの現在温度と設定された前記加熱プレートの目標温度(Tt)との偏差(e (t) )を打ち消すような前記加熱手段に対する操作量(m (t) )を順次決定して前記操作手段を操作しつつ、フィードバック制御によって前記加熱プレートの温度制御を行う制御手段と、
を備えた基板加熱処理装置において、
前記制御式に用いる制御定数として、複数種類の目標温度(Tt)と各目標温度(Tt)に適した制御定数とに基づいて予め求められた目標温度(Tt)と制御定数との関係式を記憶するメモリを有し、前記メモリに記憶された前記関係式を用いて、前記目標温度設定手段から設定された目標温度(Tt)に適した制御定数を決定する制御定数決定手段をさらに備え、
前記制御定数は、比例ゲイン(KP)と積分時間(TI)と微分時間(TD)とからなり、前記制御式は数式m (t) =KP×〔e (t) +(1/TI)∫e (t)dt +TD× (d e (t) / dt) 〕であり、前記関係式は、6個の定数(a2、b2、a3、b3、a4、b4)を用いて、数式KP=a2×Tt+b2と数式TI=a3×Tt+b3と数式TD=a4×Tt+b4とであり、
前記制御手段は、前記制御定数決定手段によって決定された制御定数を用いて前記加熱プレートの温度制御を行うことを特徴とする基板加熱処理装置。
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