JP3590805B2 - 採血装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、人間、動物等の生体から血液を採取する際に用いる採血装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液内の物質の検出技術の進展にともなって、血液検査時に要する採血量は微量でその目的を達成する事が出来るという事例が多くなっている。数マイクロリットル程度の微量採血については、先端の開口径及び外形が微小(直径が約20μm)なガラス製のマイクロピペットを用いて行う。採血は、毛細血管にこのマイクロピペットを差し込んで行う。毛細血管はまばらに存在するため、皮膚表面を顕微鏡で観察し、動脈と静脈の間を結ぶ毛細血管を画面上で観察しながら、前述のマイクロピペットを位置決めをして、差し込んでいた。人間の痛点は、まばらに存在するため、マイクロピペットのように微小な径のものが差し込まれても痛さを感じない。このようにして、無痛で、微量の採血を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の方法では、皮膚表面の観察装置、マイクロピペットの位置決め装置等が必要であるため、価格が高価であると同時に装置が大型になるという問題点があった。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、小型、低価格でありかつ微量な採血を無痛ですることが可能な採血装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、採血するための微小径の中空針(例えば、マイクロピペット)を複数設けることによって、いずれかの中空針が毛細血管にあたり、採血を行うことができることを見出し本発明を成すに至った。従って、本発明の採血装置は、第1に『微小径の中空針を複数備えた多針構造体と、前記中空針内の圧力を変化させる圧力可変手段とからなり、前記多針構造体は半導体製造技術を用いて製作されていること(請求項1)』から構成する。
【0005】
また、好ましくは第2に『前記多針構造体は空洞構造を有し、該空洞構造は前記中空針の一端に接続していること(請求項2)』から構成する。また、好ましくは第3に『前記圧力可変手段は可撓性を有するメンブレンであること(請求項3)』から構成する。また、好ましくは第4に『前記メンブレンを変形させる変形誘発機構を設けたこと(請求項4)』から構成する。
【0006】
また、メンブレンを熱膨張係数の異なる複数の材料で作製して、このメンブレンに熱を加えることによってメンブレンを変形することができる。従って、好ましくは第5に、『前記メンブレンは熱膨張係数の異なる複数の材料からなり、前記変形誘発機構は熱を発生させる熱発生機構であること(請求項5)』から構成する。
【0007】
【作用】
本発明の採血装置は、微小径の中空針を複数設けた多針構造体を用いることによって、この複数の微小径の中空針のいずれかが毛細血管にあたり、毛細血管に差し込まれた任意の中空針から血液を吸い上げることが可能になるため、皮膚表面の観察装置やマイクロピペット等を位置決めする位置決め装置等の高価で大型な装置を用いずに無痛で微量の採血を行うことができる。
【0008】
また、中空針は微小径なため、ほとんど痛さを感じずに採血を行うことができる。
また、微小径の中空針内の圧力を変化させる弾性部材をメンブレンにすることによって、メンブレンと微小径の中空針を半導体製造技術を用いて一体形成することが可能になる。
【0009】
また、メンブレンを熱膨張係数の異なる複数の材料を用いて、加熱時に複数の微小径の中空針内の圧力を減圧するように構成することによって、熱の変化を用いて血液の採取を行うことができる。
メンブレンを変形させる変形誘発機構としては、上記のように熱変形させるものはマイクロヒータ等を用い、機械的に変形させるものはピエゾ素子、油圧シリンダー、空気圧シリンダー、電磁モータ等のアクチュエータを用いる。また、人間の指の押圧力を用いることでも達成できる。このような変形誘発機構で変形を加えたメンブレンは、ヒータによる加熱の解除や外力(すなわち変形力)の解除により、変形前の状態に戻ろうとするため、複数の微小径の中空針内の圧力を減圧することができ、毛細血管に差し込まれた任意の中空針から血液を採取することができる。
【0010】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限るものではない。
【0011】
【実施例】
図1は、本発明の第1の実施例による採血装置を示す概略断面図である。
この採血装置は、空洞構造と複数の微小径の中空針11を有する多針構造体1とメンブレン12と保持機構2とマイクロヒータ3とから構成されており、採血装置を人間が把持しやすいように支持体4を設けている。
【0012】
多針構造体1とメンブレン12は一体形成されており、保持機構2は多針構造体1を保持している。また、メンブレン12は2層構造となっており、中空針側の層がSiで形成され、逆側の層がAuで形成されている。SiはAuよりも熱膨張係数の小さい材料である(Si:2.6PPm/℃、Au:14.2PPm/℃)。
【0013】
このような装置において、中空針11を皮膚表面に押入する。その後、マイクロヒータ3から熱を発生させると、メンブレン12は空洞構造の容積を増加する方向に変形し、空洞構造及び中空針内の負圧力によって血液を採取することができる。
次にこの採血装置の製造方法を図2を用いて説明する。図2は本発明の実施例による多針構造体及びメンブレンの製造方法を示す図である。
【0014】
第1の基板材料である厚みが900μmの100面方位の単結晶シリコン基板21を用意し、基板21の両面に低圧気相成長法により第1の窒化珪素膜22を成膜した、そののちドライエッチング法により部分的に窒化膜を一辺が約30μmの四角形状に多数除去する(2a図)。
次に、シリコン基板21部にドライエッチング法により深さ約500μmの穴を形成した。この穴は、150μm間隔で縦50個、横50個とし、計2500個形成した。その後、第2の窒化珪素膜23を成膜した(2b図)。
【0015】
その後、裏面部の窒化珪素膜22を部分的に除去し、水酸化カリウム等の異方性エッチング液により第1のシリコン基板21を405μmエッチングし、穴の底部に成膜された窒化珪素膜23を露出させた(2c図)。
その後、窒化珪素膜23の露出部をドライエッチング法により除去し、さらに再び異方性エッチングにより厚みが50μmになるまで第1のシリコン基板をエッチングした(2d図)。
【0016】
その後、異方性エッチングにより厚さが10μm前後のメンブレン12を有する第2のシリコン基板25のメンブレン12の片側(異方性エッチングされてない側)にAuを100〜200nm成膜する。そして、この第2のシリコン基板25をガラスからなる接合層24により第1のシリコン基板に陽極接合した(2e図)。
【0017】
その後、ダイシングソーにより、中空針11側からはじめに厚めのブレードで第2のシリコン基板の途中まで切削し、さらに薄いブレードで第2の基板が分割出来るまで切削し、第2のシリコン基板に段差部26を持つ多針構造体を形成した。
この様にして作製した多針構造体1及びメンブレン12を用い、採血装置を作製した。
【0018】
ここで中空針11は直径が30μm前後、肉厚が1μm前後であるため極度な痛みを感じる事はない。さらに多針構造体1は半導体製造技術を用いて製作することが可能であるので安価に製造できる。
第1の実施例ではマイクロヒータ3で熱を発生させていたが、これはメンブレン12上の金属層(Au)に電流を流すことによって熱を発生させてもよい。
【0019】
また、Auの層は、第1の実施例のようにメンブレン12の上に形成することに限らず、メンブレン12の下に形成してもよい。この場合は、メンブレン12に熱が加えられるとメンブレン12は空洞構造の容積を減少する方向に変形し、熱を解除することによって血液の採取ができる。
図3は、本発明の第2の実施例による採血装置を示す概略断面図である。
【0020】
多針構造体1及びメンブレン36は第1の実施例と同様にして作製した。但し、メンブレン36はメンブレン12と異なり、Auを成膜していない。
多針構造体1は、蝶合部32を軸に回転可能なクランプ31と、ばね33により支持体35に固定した。多針構造体1のメンブレン36は、圧縮空気を用いた空気圧シリンダーのシリンダー34を動作させ多針構造体1の空洞構造の容積を減少せしめるように変形を加えた。この変形量は、採血量に寄って決定されるが、本実施例ではメンブレンの中央部の撓み量が50μmとなるようにした。
【0021】
この状態の採血装置を、兎の耳の皮膚表面と人間の左上腕部の皮膚表面に中空針11が刺さるように、人間の手で押し当て、その後に空気圧シリンダーのシリンダー34を後退させてメンブレン部を初期状態に戻した。変形前の状態にメンブレン部を戻すのには、強制的に外力で変形させても良いが、メンブレンの持つばねの性質を利用して、自然に戻してもよい。このようにして多針構造体1の内部に採取された血液量を測定したところ、痛みが殆どなく、2マイクロリットルの血液が採血されていることが判った。
【0022】
このようにして、半導体技術を用いて多針構造体とメンブレンを一体形成することが可能なため、安価に大量に生産することが可能となる。
尚、微小な中空針を複数設けることは、単にガラス性のマイクロピペットを複数設けることでもよい。
また、中空針の直径は10μm〜50μm程度にすることが、好ましい。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明は、従来必要であった皮膚表面の観察装置、マイクロピペットの位置決め装置等の高価な構成要素を用いる必要がないため、小型で低価格であり、さらに無痛の微量採血をすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による採血装置を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施例による採血装置を構成する多針構造体及びメンブレンの製造方法の一例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施例による採血装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 ・・・多針構造体
2 ・・・保持機構
3 ・・・マイクロヒータ
4 ・・・支持体
11・・・中空針
12・・・メンブレン
21・・・第一のシリコン基板
22・・・窒化珪素膜
23・・・窒化珪素膜
24・・・ガラス膜
25・・・第二のシリコン基板
26・・・段差部
31・・・クランプ
32・・・蝶合部
33・・・ばね
34・・・シリンダー
35・・・支持体
【産業上の利用分野】
本発明は、人間、動物等の生体から血液を採取する際に用いる採血装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液内の物質の検出技術の進展にともなって、血液検査時に要する採血量は微量でその目的を達成する事が出来るという事例が多くなっている。数マイクロリットル程度の微量採血については、先端の開口径及び外形が微小(直径が約20μm)なガラス製のマイクロピペットを用いて行う。採血は、毛細血管にこのマイクロピペットを差し込んで行う。毛細血管はまばらに存在するため、皮膚表面を顕微鏡で観察し、動脈と静脈の間を結ぶ毛細血管を画面上で観察しながら、前述のマイクロピペットを位置決めをして、差し込んでいた。人間の痛点は、まばらに存在するため、マイクロピペットのように微小な径のものが差し込まれても痛さを感じない。このようにして、無痛で、微量の採血を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の方法では、皮膚表面の観察装置、マイクロピペットの位置決め装置等が必要であるため、価格が高価であると同時に装置が大型になるという問題点があった。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、小型、低価格でありかつ微量な採血を無痛ですることが可能な採血装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、採血するための微小径の中空針(例えば、マイクロピペット)を複数設けることによって、いずれかの中空針が毛細血管にあたり、採血を行うことができることを見出し本発明を成すに至った。従って、本発明の採血装置は、第1に『微小径の中空針を複数備えた多針構造体と、前記中空針内の圧力を変化させる圧力可変手段とからなり、前記多針構造体は半導体製造技術を用いて製作されていること(請求項1)』から構成する。
【0005】
また、好ましくは第2に『前記多針構造体は空洞構造を有し、該空洞構造は前記中空針の一端に接続していること(請求項2)』から構成する。また、好ましくは第3に『前記圧力可変手段は可撓性を有するメンブレンであること(請求項3)』から構成する。また、好ましくは第4に『前記メンブレンを変形させる変形誘発機構を設けたこと(請求項4)』から構成する。
【0006】
また、メンブレンを熱膨張係数の異なる複数の材料で作製して、このメンブレンに熱を加えることによってメンブレンを変形することができる。従って、好ましくは第5に、『前記メンブレンは熱膨張係数の異なる複数の材料からなり、前記変形誘発機構は熱を発生させる熱発生機構であること(請求項5)』から構成する。
【0007】
【作用】
本発明の採血装置は、微小径の中空針を複数設けた多針構造体を用いることによって、この複数の微小径の中空針のいずれかが毛細血管にあたり、毛細血管に差し込まれた任意の中空針から血液を吸い上げることが可能になるため、皮膚表面の観察装置やマイクロピペット等を位置決めする位置決め装置等の高価で大型な装置を用いずに無痛で微量の採血を行うことができる。
【0008】
また、中空針は微小径なため、ほとんど痛さを感じずに採血を行うことができる。
また、微小径の中空針内の圧力を変化させる弾性部材をメンブレンにすることによって、メンブレンと微小径の中空針を半導体製造技術を用いて一体形成することが可能になる。
【0009】
また、メンブレンを熱膨張係数の異なる複数の材料を用いて、加熱時に複数の微小径の中空針内の圧力を減圧するように構成することによって、熱の変化を用いて血液の採取を行うことができる。
メンブレンを変形させる変形誘発機構としては、上記のように熱変形させるものはマイクロヒータ等を用い、機械的に変形させるものはピエゾ素子、油圧シリンダー、空気圧シリンダー、電磁モータ等のアクチュエータを用いる。また、人間の指の押圧力を用いることでも達成できる。このような変形誘発機構で変形を加えたメンブレンは、ヒータによる加熱の解除や外力(すなわち変形力)の解除により、変形前の状態に戻ろうとするため、複数の微小径の中空針内の圧力を減圧することができ、毛細血管に差し込まれた任意の中空針から血液を採取することができる。
【0010】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限るものではない。
【0011】
【実施例】
図1は、本発明の第1の実施例による採血装置を示す概略断面図である。
この採血装置は、空洞構造と複数の微小径の中空針11を有する多針構造体1とメンブレン12と保持機構2とマイクロヒータ3とから構成されており、採血装置を人間が把持しやすいように支持体4を設けている。
【0012】
多針構造体1とメンブレン12は一体形成されており、保持機構2は多針構造体1を保持している。また、メンブレン12は2層構造となっており、中空針側の層がSiで形成され、逆側の層がAuで形成されている。SiはAuよりも熱膨張係数の小さい材料である(Si:2.6PPm/℃、Au:14.2PPm/℃)。
【0013】
このような装置において、中空針11を皮膚表面に押入する。その後、マイクロヒータ3から熱を発生させると、メンブレン12は空洞構造の容積を増加する方向に変形し、空洞構造及び中空針内の負圧力によって血液を採取することができる。
次にこの採血装置の製造方法を図2を用いて説明する。図2は本発明の実施例による多針構造体及びメンブレンの製造方法を示す図である。
【0014】
第1の基板材料である厚みが900μmの100面方位の単結晶シリコン基板21を用意し、基板21の両面に低圧気相成長法により第1の窒化珪素膜22を成膜した、そののちドライエッチング法により部分的に窒化膜を一辺が約30μmの四角形状に多数除去する(2a図)。
次に、シリコン基板21部にドライエッチング法により深さ約500μmの穴を形成した。この穴は、150μm間隔で縦50個、横50個とし、計2500個形成した。その後、第2の窒化珪素膜23を成膜した(2b図)。
【0015】
その後、裏面部の窒化珪素膜22を部分的に除去し、水酸化カリウム等の異方性エッチング液により第1のシリコン基板21を405μmエッチングし、穴の底部に成膜された窒化珪素膜23を露出させた(2c図)。
その後、窒化珪素膜23の露出部をドライエッチング法により除去し、さらに再び異方性エッチングにより厚みが50μmになるまで第1のシリコン基板をエッチングした(2d図)。
【0016】
その後、異方性エッチングにより厚さが10μm前後のメンブレン12を有する第2のシリコン基板25のメンブレン12の片側(異方性エッチングされてない側)にAuを100〜200nm成膜する。そして、この第2のシリコン基板25をガラスからなる接合層24により第1のシリコン基板に陽極接合した(2e図)。
【0017】
その後、ダイシングソーにより、中空針11側からはじめに厚めのブレードで第2のシリコン基板の途中まで切削し、さらに薄いブレードで第2の基板が分割出来るまで切削し、第2のシリコン基板に段差部26を持つ多針構造体を形成した。
この様にして作製した多針構造体1及びメンブレン12を用い、採血装置を作製した。
【0018】
ここで中空針11は直径が30μm前後、肉厚が1μm前後であるため極度な痛みを感じる事はない。さらに多針構造体1は半導体製造技術を用いて製作することが可能であるので安価に製造できる。
第1の実施例ではマイクロヒータ3で熱を発生させていたが、これはメンブレン12上の金属層(Au)に電流を流すことによって熱を発生させてもよい。
【0019】
また、Auの層は、第1の実施例のようにメンブレン12の上に形成することに限らず、メンブレン12の下に形成してもよい。この場合は、メンブレン12に熱が加えられるとメンブレン12は空洞構造の容積を減少する方向に変形し、熱を解除することによって血液の採取ができる。
図3は、本発明の第2の実施例による採血装置を示す概略断面図である。
【0020】
多針構造体1及びメンブレン36は第1の実施例と同様にして作製した。但し、メンブレン36はメンブレン12と異なり、Auを成膜していない。
多針構造体1は、蝶合部32を軸に回転可能なクランプ31と、ばね33により支持体35に固定した。多針構造体1のメンブレン36は、圧縮空気を用いた空気圧シリンダーのシリンダー34を動作させ多針構造体1の空洞構造の容積を減少せしめるように変形を加えた。この変形量は、採血量に寄って決定されるが、本実施例ではメンブレンの中央部の撓み量が50μmとなるようにした。
【0021】
この状態の採血装置を、兎の耳の皮膚表面と人間の左上腕部の皮膚表面に中空針11が刺さるように、人間の手で押し当て、その後に空気圧シリンダーのシリンダー34を後退させてメンブレン部を初期状態に戻した。変形前の状態にメンブレン部を戻すのには、強制的に外力で変形させても良いが、メンブレンの持つばねの性質を利用して、自然に戻してもよい。このようにして多針構造体1の内部に採取された血液量を測定したところ、痛みが殆どなく、2マイクロリットルの血液が採血されていることが判った。
【0022】
このようにして、半導体技術を用いて多針構造体とメンブレンを一体形成することが可能なため、安価に大量に生産することが可能となる。
尚、微小な中空針を複数設けることは、単にガラス性のマイクロピペットを複数設けることでもよい。
また、中空針の直径は10μm〜50μm程度にすることが、好ましい。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明は、従来必要であった皮膚表面の観察装置、マイクロピペットの位置決め装置等の高価な構成要素を用いる必要がないため、小型で低価格であり、さらに無痛の微量採血をすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による採血装置を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施例による採血装置を構成する多針構造体及びメンブレンの製造方法の一例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施例による採血装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 ・・・多針構造体
2 ・・・保持機構
3 ・・・マイクロヒータ
4 ・・・支持体
11・・・中空針
12・・・メンブレン
21・・・第一のシリコン基板
22・・・窒化珪素膜
23・・・窒化珪素膜
24・・・ガラス膜
25・・・第二のシリコン基板
26・・・段差部
31・・・クランプ
32・・・蝶合部
33・・・ばね
34・・・シリンダー
35・・・支持体
Claims (5)
- 微小径の中空針を複数備えた多針構造体と、
前記中空針内の圧力を変化させる圧力可変手段とからなり、
前記多針構造体は半導体製造技術を用いて製作されていることを特徴とする採血装置。 - 前記多針構造体は空洞構造を有し、該空洞構造は前記中空針の一端に接続していることを特徴とする請求項1記載の採血装置。
- 前記圧力可変手段は可撓性を有するメンブレンであることを特徴とする請求項1または2記載の採血装置。
- 前記メンブレンを変形させる変形誘発機構を設けたことを特徴とする請求項3記載の採血装置。
- 前記メンブレンは熱膨張係数の異なる複数の材料からなり、
前記変形誘発機構は熱を発生させる熱発生機構であることを特徴とする請求項4記載の採血装置。
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JP28145293A JP3590805B2 (ja) | 1993-11-10 | 1993-11-10 | 採血装置 |
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JP28145293A JP3590805B2 (ja) | 1993-11-10 | 1993-11-10 | 採血装置 |
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JPH07132119A JPH07132119A (ja) | 1995-05-23 |
JP3590805B2 true JP3590805B2 (ja) | 2004-11-17 |
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JP28145293A Expired - Fee Related JP3590805B2 (ja) | 1993-11-10 | 1993-11-10 | 採血装置 |
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