JP3590228B2 - 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に関する。
【0002】
なお、この明細書において、ppm の単位は重量を示すものである。
【0003】
【従来の技術】
アルミニウム電解コンデンサ用電極材として一般に用いられるアルミニウム箔には、その実効面積を拡大して単位面積当たりの静電容量を増大するため、通常、電気化学的あるいは化学的エッチング処理が施される。
【0004】
高圧用と呼ばれるトンネル型エッチングが施されるタイプの陽極箔においては、箔面に対して垂直方向の結晶方位が(100)方位を有する立方体集合組織を優先的に成長させることにより効果的に静電容量増大を図りうることが既に知られている。そして、前記結晶における立方体方位占有率を高めるために、焼鈍条件や箔の表面粗度についての種々の提案がなされている(特開昭47−9953号、特開昭62−228456号等)。また、一方で箔材料の合金組成により前記立方体方位占有率を高めることも種々提案され、箔材料として微量のSbを添加したアルミニウム合金の使用が提案されている。(特開昭50−104710号、特公昭59−12736号、特開平7−150280号等)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記合金組成の箔材料を用いても、最終焼鈍温度を上げると結晶粒が粗大化して静電容量を低下させるという問題点があった。
【0006】
さらに、低圧用と呼ばれるスポンジ型エッチングが施されるタイプの陽極箔においては、最終乾燥工程における加熱処理で結晶粒が粗大成長するとエッチド箔の強度が著しく低下して箔が破断するという問題点もあった。
【0007】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、加熱処理による結晶粒の粗大化を抑止し、ひいては静電容量を増大するとともに箔強度を維持し得る電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、発明者らは鋭意研究の結果、一定の割合でCuとSbとが共存することで、加熱後の結晶粒の粗大化を抑止できることを見出だした。
【0009】
この発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、かかる知見に基づいてなされたものであって、箔合金組成において、アルミニウム純度が99.9%以上であるとともに、Cu:30ppm を超え100ppm 以下およびSb:5〜100ppm を含有し、かつCu含有量CCu(ppm) およびSb含有量CSb(ppm) が10CCu+7CSb≦1350なる関係を満たしていることを基本要旨とする。
【0010】
さらに、この発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、前記範囲のCuおよびSbを基本含有元素として、これらの基本含有元素の他にさらにPb:0.1〜5ppm を含有するもの、これらの基本含有元素の他にGa:1〜50ppm またはZn:1〜50ppm のうちの1種または2種を含有するもの、これらの基本含有元素にPb:0.1〜5ppm と、Ga:1〜50ppm またはZn:1〜50ppm のうちの1種または2種とを含有するものである。
【0011】
この発明に係る電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の合金組成において、アルミニウム純度に99.9%以上を必要とするのは、99.9%未満の純度では、エッチング時にエッチングピットの成長が多くの不純物の存在によって阻害され、本発明の微量添加元素によってもなお均一な深いトンネル状のエッチングピットを形成できず、従って静電容量の高いアルミニウム箔を得ることができないからである。好ましくはアルミニウム純度を99.95%以上とするのが良い。
【0012】
また、基本含有元素であるCuおよびSbは、それぞれ単独でエッチング特性を向上させる他、共存することにより加熱後の再結晶粒の成長速度を抑えて結晶粒の粗大化を抑える効果があり、静電容量の増大および箔強度の維持に寄与する。即ち、Cuは、Alマトリックス中に固溶することにより箔の溶解性を増してエッチングピットの成長を促進し、静電容量を増大させる。Cu含有量CCuが30ppm 以下ではこのような効果に乏しく、100ppm を超えると局部溶解が強まって、エッチングピットの均一分布を妨げ、ひいては静電容量を低下させる。また、Sbは、エッチングピットを高密度かつ均一に分布させることにより静電容量を増大させる。Sb含有量CSbが5ppm 未満ではこのような効果に乏しく、100ppm を超えると著しい表面溶解が起こり、高静電容量箔を得ることができない。さらに、CuおよびSbの共存により上記効果に加えて焼鈍後の結晶粒の粗大化が抑制されて静電容量を増大させることができる。しかし、Cu含有量CCu(ppm) およびSb含有量CSb(ppm) が共に多くなれば、結晶粒の粗大化を阻止する効 果は大きくなるが、その一方で箔が過剰に溶解され、粗大粒の発生抑制効果を上回るエッチング特性の低下が生じて静電容量は低下する。そのため、この発明においては、CuおよびSbの両者が多量に含有される場合を除外するものとし、Cu含有量CCu(ppm) およびSb含有量CSb(ppm) がそれぞれ上記範囲内であって、かつ10CCu+7CSb≦1350なる関係を満たしていることが必要である。
【0013】
従って、本発明におけるCu含有量CCu(ppm) およびSb含有量CSb(ppm) は、図1に示す範囲内となる。また、特に好ましいCu含有量CCuの下限値は35ppm 、上限値は70ppm である。特に好ましいSb含有量CSbの下限値は5ppm 、上限値は70ppm である。
【0014】
さらに、この発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔では、箔合金組成において、前記基本含有元素の他に、Pb、Ga、Znを添加することにより、さらにエッチング特性を向上させて静電容量の増大を図ることができる。
【0015】
Pbは、箔表面の溶解性を増すことによりエッチング初期におけるエッチングピットの局部溶解を抑制する効果があり、エッチングピットの均一分布を図ることができる。このようなPbの含有量は、0.1ppm 未満では前記効果に乏しく、5ppm を超えると過溶解が生じるため、0.1〜5ppm の範囲とする必要がある。特に好ましいPb含有量の下限値は0.3ppm であり、上限値は2ppm である。
【0016】
GaおよびZnは、いずれもAlマトリックス中に固溶して箔表面の溶解性を増すことによりエッチングピットの成長を促進する効果がある。このような効果において、Ga、Znは均等物であり、少なくとも1種を含有すれば良い。また、Ga含有量およびZn含有量は、それぞれ、1ppm 未満では前記効果に乏しく、50ppm を超えると過溶解が生じるため、1〜50ppm の範囲とする必要がある。特に好ましいGa含有量、Zn含有量の下限値はそれぞれ5ppm であり、上限値はそれぞれ20ppm である。
【0017】
【実施例】
次に、この発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の具体的実施例について説明する。
【0018】
まず、表1に示す実施例1〜13、比較例14〜17の各種組成のアルミニウム鋳塊を面削した後、熱間圧延、冷間圧延(中間焼鈍を含む)を施し、厚さ100μmの箔とし、さらに最終焼鈍を行った。中間焼鈍条件は、250℃×10時間、最終焼鈍条件は500℃×5時間である。
【0019】
上述のようにして作製した各アルミニウム箔について、立方体(100)方位占有率および、粒径1000μm以上の粗大粒子の有無を調べた。これらの結果を表1に示す。
【0020】
次に、各アルミニウム箔について、以下の条件でエッチングを実施したのち、得られたアルミニウム箔を以下の条件で化成したときの静電容量を測定した。その結果を、比較例14の静電容量を100としたときの相対比較にて,併せて表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表1の結果から、本発明範囲のCuおよびSbが共存する実施例は、本発明範囲を逸脱する比較例に較べて立方体(100)方位占有率が高く、かつ焼鈍後に粗大粒子の発生がなく、エッチングにより静電容量を増大し得ることを確認し得た。また、CuおよびSbの他に所定範囲のPb、Ga、Znを添加することにより、さらに静電容量の増大しうることも確認し得た。
【0023】
【発明の効果】
この発明に係る電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、箔合金組成において、アルミニウム純度が99.9%以上であるとともに、Cu:30ppm を超え100ppm 以下およびSb:5〜100ppm を含有し、かつCu含有量CCu(ppm) およびSb含有量CSb(ppm) が10CCu+7CSb≦1350なる関係を満たしているから、加熱処理後の粗大結晶の成長が抑制され、かつ立方体(100)方位占有率も高くなる。そのため、エッチング処理により極めて大きな拡面率を得ることができ、大きな静電容量を有し電気的特性に優れた電解コンデンサ電極用アルミニウム箔となしうる。また、粗大結晶の成長が抑制されることにより、箔強度も維持される。
【0024】
また、箔合金組成において、CuおよびSbの基本含有元素の他に、Pb:0.1〜5ppm を含有するもの、Ga:1〜50ppm またはZn:1〜50ppm のうちの1種または2種を含有するもの、あるいは、Pb:0.1〜5ppm と、Ga:1〜50ppm またはZn:1〜50ppm のうちの1種または2種とを含有するものは、いずれもさらに箔の溶解性が増し、さらに大きな静電容量を有する電解コンデンサ電極用アルミニウム箔となしうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の箔合金組成において、CuおよびSbの含有範囲を示すグラフである。
Claims (4)
- 箔合金組成において、アルミニウム純度が99.9%以上であるとともに、Cu:30ppm を超え100ppm 以下およびSb:5〜100ppm を含有し、かつCu含有量CCu(ppm) およびSb含有量CSb(ppm) が10CCu+7CSb≦1350なる関係を満たしていることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
- 箔合金組成において、アルミニウム純度が99.9%以上であるとともに、Cu:30ppm を超え100ppm 以下およびSb:5〜100ppm を含有し、かつCu含有量CCu(ppm) およびSb含有量CSb(ppm) が10CCu+7CSb≦1350なる関係を満たし、さらにPb:0.1〜5ppm を含有していることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
- 箔合金組成において、アルミニウム純度が99.9%以上であるとともに、Cu:30ppm を超え100ppm 以下およびSb:5〜100ppm を含有し、Cu含有量CCu(ppm) およびSb含有量CSb(ppm) が10CCu+7CSb≦1350なる関係を満たし、さらにGa:1〜50ppm またはZn:1〜50ppm のうちの1種または2種を含有していることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
- 箔合金組成において、アルミニウム純度が99.9%以上であるとともに、Cu:30ppm を超え100ppm 以下およびSb:5〜100ppm を含有し、かつCu含有量CCu(ppm) およびSb含有量CSb(ppm) が10CCu+7CSb≦1350なる関係を満たし、さらに、Pb:0.1〜5ppm 、およびGa:1〜50ppm またはZn:1〜50ppm のうちの1種または2種を含有していることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
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