JP3589377B2 - 鍵盤蓋の開閉制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アップライトピアノやアップライト型電子ピアノの回動式の鍵盤蓋の開閉を制御する鍵盤蓋の開閉制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、この種の鍵盤蓋の開閉制御装置を、例えば特願平8−148601号ですでに提案している。この開閉制御装置では、鍵盤蓋を回動自在に取り付けた奥屋根がピアノ本体に着脱自在に取り付けられるとともに、奥屋根の下面に固定されたワンウェイトルク式油圧ダンパなどから成る緩衝器と、緩衝器と鍵盤蓋の間に連結された、複数のリンクバーから成るリンク機構とが設けられている。また、奥屋根の下面と、奥屋根と鍵盤の間に介在する鍵盤押えの一端部とには、切欠きがそれぞれ形成されていて、リンク機構のリンクバーが奥屋根や鍵盤押えと干渉しないようになっている。
【0003】
この構成によれば、鍵盤蓋が閉じ方向に回動したときに、緩衝器の制動力がリンク機構を介して鍵盤蓋に作用することにより、鍵盤蓋をゆっくりと閉じさせることができるので、鍵盤蓋が自重で勢いよく回動し、口棒に強く衝突して鍵盤蓋や口棒が損傷したり、鍵盤蓋と口棒の間に指を挟んだりするのを確実に防止することができる。また、ピアノ本体に対して着脱自在の奥屋根に緩衝器が取り付けられているので、鍵盤蓋の着脱を、奥屋根、緩衝器およびリンク機構と一緒にまとめて行うことができる。したがって、鍵盤蓋を工具などを用いずに容易に着脱できなければならないとするJISの規定を簡単にクリアできるとともに、鍵盤蓋の開閉を、離脱などが生じることなく安定して行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した開閉制御装置では、リンク機構のリンクバーとの干渉を避けるために、奥屋根および鍵盤押えに切欠きが形成されている。このため、鍵盤蓋を開いたときに、これらの切欠きや、その後ろ側のリンクバーの大部分が、見えてしまい、鍵盤蓋を開いたときのピアノの外観を損ねるため、この点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、鍵盤蓋を確実にゆっくりと閉じることができるとともに、鍵盤蓋を開いた状態でのピアノの外観を向上させることができる鍵盤蓋の開閉制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、奥屋根に回動自在に取り付けられた鍵盤蓋の開閉を制御するための鍵盤蓋の開閉制御装置であって、互いに回動自在に連結された複数のリンクバーを有し、一端側の当該リンクバーが鍵盤蓋に固定されたリンク機構と、ケース部品に取り付けられるとともに、リンク機構の他端側のリンクバーが連結され、鍵盤蓋が閉方向に回動するときにリンク機構を介して鍵盤蓋を制動する緩衝器と、奥屋根に隣接して設けられ、リンクバーの干渉を避けるための切欠きが形成された鍵盤押えと、リンクバーに一体に設けられ、鍵盤蓋が開位置にあるときに鍵盤押えの切欠きを塞ぐカバーと、を備えていることを特徴としている。
【0007】
この鍵盤蓋の開閉制御装置では、鍵盤蓋を閉じる場合、鍵盤蓋の閉方向への回動中に、緩衝器がリンク機構を介して鍵盤蓋を制動するので、鍵盤蓋が減速され、鍵盤蓋を確実にゆっくりと閉じさせることができる。また、リンク機構のリンクバーに設けられたカバーが、回動するリンクバーと一緒に移動し、鍵盤蓋が開位置にあるときに鍵盤押えの切欠きを塞ぎ、切欠きおよびその後ろ側のリンクバーを自動的に隠すので、鍵盤蓋を開いた状態でのピアノの外観を向上させることができる。
【0008】
この場合、奥屋根がピアノ本体に着脱自在に取り付けられ、この奥屋根に緩衝器が取り付けられていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、ピアノ本体に対して着脱自在の奥屋根に緩衝器が取り付けられているので、鍵盤蓋の着脱を、奥屋根、緩衝器およびリンク機構と一緒にまとめて行うことができる。したがって、鍵盤蓋を工具などを用いずに容易に着脱でき、JISの規定を簡単にクリアできるとともに、鍵盤蓋の開閉を、離脱などが生じることなく安定して行うことができる。
【0010】
この場合、奥屋根の下面に、リンクバーの干渉を避けるための第2切欠きが形成されており、鍵盤蓋が開位置にあるときに、カバーが、鍵盤押えの切欠きおよび奥屋根の第2切欠きを塞ぐように構成されていることが好ましい。
【0011】
この構成では、リンクバーの干渉を避けるための第2切欠きが奥屋根に形成されている場合でも、この第2切欠きおよび鍵盤押えの切欠きを1つのカバーで同時に塞ぐことにより、ピアノの外観を良好に維持できる。
【0012】
これらの場合、カバーが、取付け孔を有し、この取付け孔を介してリンクバーにきつく嵌め込まれたカバー板で構成されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、カバーが板状に構成されることによって、その軽量化が図られ、かつ狭いスペースにも設置しやすいとともに、リンクバーに嵌め込むだけでカバーを簡単に取り付けることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1〜図3は、本発明を適用したアップライトピアノの鍵盤蓋およびその開閉制御装置を示している。鍵盤蓋1は、合板などで構成され、横長長方形の平面形状および逆L字状の断面形状を有している。鍵盤蓋1は、その後端部が奥屋根3の前端部に蝶番2を介して回動自在に取り付けられており、蝶番2を中心として、図2に示す開位置と、図3に示す閉位置との間で回動することにより、開閉される。
【0015】
奥屋根3は、合板などから成り、その上に立設される上前板(図示せず)と同様に、図示しないピアノ本体に対して着脱自在に構成されている。具体的には、奥屋根3の下面後端部に奥屋根付木4が取り付けられ、腕木5(図1参照)から内方に突出する3つの奥屋根受け6間に奥屋根付木4が上方から嵌合されることにより、奥屋根3が腕木5に着脱自在に取り付けられる。
【0016】
また、奥屋根3の下側には、鍵盤押え7が左右方向に延びるように設けられている。この鍵盤押え7は、図示しない鍵盤の前部が押鍵後に跳ね上がるのを防止するとともに、奥屋根3と鍵盤との間の隙間を塞ぐために、アップライトピアノに通常、設けられるものである。図4に示すように、本実施形態の鍵盤押え7は、金属製のベース板8と、このベース板8に取り付けられたプラスチック製の表皮9とによって、構成されている。
【0017】
このベース板8は、互いに平行な頂部8a、底部8bと、頂部8aおよび底部8bの前端間に斜めに延びる前部8cとから成り、左右の端部が底部8bの部分で拍子木10にそれぞれねじ止めされている(左側のみ図示)。また、表皮9は、頂部9aと、その前端から斜めに延びる前部9bから成り、ベース板8の頂部8aから前部8cの表面に沿って、両面テープなどにより貼り付けられている。また、鍵盤押え7の左端部には、ベース板8aおよび表皮9の頂部8a、9aから前部8c、9bの途中にかけて、切欠き11が形成されている。この切欠き11は、後述する開閉制御装置14のリンク機構16が鍵盤押え7と干渉しないように逃がすためのものである。なお、図中の符号12は棚板、13は棚板12の前面に取り付けられた口棒であり、鍵盤蓋1は、閉位置において口棒13に当接する。
【0018】
本発明に係る開閉制御装置14は、鍵盤蓋1の閉位置側への回動を制動するための緩衝器15と、緩衝器15の制動力を鍵盤蓋1に伝達するためのリンク機構16と、リンク機構16に設けられたカバー板17によって構成されている。
【0019】
緩衝器15は、オイルが充填された円筒形のケーシング18と、ケーシング18に回動自在に嵌合された軸部19とを有するワンウェイトルク式の油圧ダンパで構成され、ケーシング18の部分が、奥屋根3の下面の一方の側部に取付部材20を介して、ねじ止めされている。緩衝器15は、軸部19が図2および図3の反時計方向に回動するときのみ制動を加え、逆方向への回動に対しては制動を行わない、すなわち無負荷となるように構成されている。また、緩衝器15の制動力は、軸部19の時計方向への回動角が大きくなるに従って、次第に大きくなるように設計されている。
【0020】
リンク機構16は、互いに回動自在に連結された第1〜第3のリンクバー21a、21b、21cで構成されている。第1リンクバー21aの端部は、鍵盤蓋1の側面にねじ止めされ、第3リンクバー21cは、緩衝器15の軸部19に固定されている。なお、奥屋根3の下面には、これらのリンクバー21a〜21cが奥屋根3と干渉しないように逃がすための切欠き22(第2切欠き)が形成されている。
【0021】
カバー板17は、弾性を有する硬質ゴムあるいは樹脂などで構成されている。図5に示すように、カバー板17には、所定の大きさの取付け孔23があらかじめ形成されており、カバー板17は、この取付け孔23を介してリンク機構16の第2リンクバー21bにきつく嵌め込むことによって、その所定位置に所定角度で簡単に取り付けられるようになっている。
【0022】
次に、上記構成の開閉制御装置14の動作を説明する。図3は、鍵盤蓋1が閉位置にある状態を示している。この閉位置では、鍵盤蓋1は、同図の時計方向に最大限、回動していて、その前部が口棒13に当接し、図示しない鍵盤および拍子木10などを覆っている。また、鍵盤蓋1にリンク機構16を介して連結された緩衝器15の軸部19は、反時計方向に最大限、回動しているとともに、リンク機構16の第2リンクバー21bに取り付けられたカバー板17は、緩衝器15の軸部19付近まで、後方に退避している。
【0023】
この閉位置から、鍵盤蓋1を引き起こすようにすると、鍵盤蓋1が反時計方向すなわち後方に回動するとともに、緩衝器15の軸部19は、リンク機構16の第3リンクバー21cに引っ張られることにより、時計方向に回動する。この回動は、鍵盤蓋1の前部の角部が図示しない上前板に当接することによって終了し、鍵盤蓋1、リンク機構16および緩衝器15の軸部19は、図2に示す開位置に達する。前述したように、この開位置方向への回動中は、緩衝器15の制動力が作用しないので、鍵盤蓋1を容易に開放することができる。
【0024】
また、このときのリンク機構16の作動に伴い、カバー板17は、第2リンクバー21bと一緒に前方に移動する。そして、鍵盤蓋1が開位置に達したとき、カバー板17は、鍵盤押え7のベース板8の前部8cに裏面側から接して、鍵盤押え7の切欠き11を塞ぐと同時に、鍵盤押え7から突出したカバー板17の上部が奥屋根3の切欠き22を塞ぐ(図1および図2参照)。このように、鍵盤蓋1が開位置にあるときに、カバー板17が、鍵盤押え7の切欠き11および奥屋根3の切欠き22を同時に塞ぎ、これらの切欠き11、22およびその後ろ側の第3リンクバー21cなどを自動的に隠すので、鍵盤蓋1を開いた状態でのピアノの外観を向上させることができる。カバー板17が薄い板状のものであるので、その軽量化が図れるとともに、かつ狭いスペースにも容易に設置することができる。
【0025】
この開位置から、鍵盤蓋1を手前側に倒すようにすると、鍵盤蓋1は時計方向に回動する。このとき、鍵盤蓋1には、リンク機構16を介して、緩衝器15の制動力が作用し、この制動力により、鍵盤蓋1の回動が減速され、緩衝される。また、緩衝器15の制動力は、鍵盤蓋1が閉位置に近づくにつれて次第に増大するので、回動速度が大きくなりやすい鍵盤蓋1の閉じ終わりに制動力が最大となり、鍵盤蓋1を確実にゆっくりと閉じることができる。
【0026】
また、本実施形態の開閉制御装置14では、ピアノ本体に対して着脱自在に構成された奥屋根3に緩衝器15が取り付けられているので、鍵盤蓋1の着脱を、奥屋根3、緩衝器15およびリンク機構16と一緒にまとめて行うことができる。したがって、鍵盤蓋1を工具などを用いずに容易に着脱でき、JISの規定を簡単にクリアできるとともに、鍵盤蓋1の開閉を、離脱などが生じることなく安定して行うことができる。
【0027】
なお、説明した実施形態では、緩衝器15を奥屋根3に取り付けているが、これを他のケース部品、例えば腕木5や棚板12に取り付けるようにしてもよい。また、緩衝器15としてワンウェイトルク式の油圧ダンパを用いているが、他の適当な緩衝器に代えることも可能である。さらに、実施形態は、本発明をアップライトピアノの鍵盤蓋に適用した例であるが、アップライト型電子ピアノの鍵盤蓋に適用してもよいことは、もちろんである。その他、本発明の趣旨の範囲内で細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明の鍵盤蓋の開閉制御装置は、鍵盤蓋を確実にゆっくりと閉じることができるとともに、鍵盤蓋を開いた状態でのピアノの外観を向上させることができるなどの効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるアップライトピアノの鍵盤蓋の開閉制御装置を、鍵盤蓋を開いた状態で、その周辺の構成とともに示す正面図である。
【図2】図1と同様の状態を示す側面図である。
【図3】鍵盤蓋を閉じた状態の、図2と同様の側面図である。
【図4】鍵盤押えの構成を示す斜視図である。
【図5】カバー板の構成およびリンク機構への取付け状況を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 鍵盤蓋
3 奥屋根
7 鍵盤押え
11 鍵盤押えの切欠き
14 開閉制御装置
15 緩衝器
16 リンク機構
17 カバー板
21a 第1リンクバー
21b 第2リンクバー
21c 第3リンクバー
22 奥屋根の切欠き
23 カバー板の取付け孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、アップライトピアノやアップライト型電子ピアノの回動式の鍵盤蓋の開閉を制御する鍵盤蓋の開閉制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、この種の鍵盤蓋の開閉制御装置を、例えば特願平8−148601号ですでに提案している。この開閉制御装置では、鍵盤蓋を回動自在に取り付けた奥屋根がピアノ本体に着脱自在に取り付けられるとともに、奥屋根の下面に固定されたワンウェイトルク式油圧ダンパなどから成る緩衝器と、緩衝器と鍵盤蓋の間に連結された、複数のリンクバーから成るリンク機構とが設けられている。また、奥屋根の下面と、奥屋根と鍵盤の間に介在する鍵盤押えの一端部とには、切欠きがそれぞれ形成されていて、リンク機構のリンクバーが奥屋根や鍵盤押えと干渉しないようになっている。
【0003】
この構成によれば、鍵盤蓋が閉じ方向に回動したときに、緩衝器の制動力がリンク機構を介して鍵盤蓋に作用することにより、鍵盤蓋をゆっくりと閉じさせることができるので、鍵盤蓋が自重で勢いよく回動し、口棒に強く衝突して鍵盤蓋や口棒が損傷したり、鍵盤蓋と口棒の間に指を挟んだりするのを確実に防止することができる。また、ピアノ本体に対して着脱自在の奥屋根に緩衝器が取り付けられているので、鍵盤蓋の着脱を、奥屋根、緩衝器およびリンク機構と一緒にまとめて行うことができる。したがって、鍵盤蓋を工具などを用いずに容易に着脱できなければならないとするJISの規定を簡単にクリアできるとともに、鍵盤蓋の開閉を、離脱などが生じることなく安定して行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した開閉制御装置では、リンク機構のリンクバーとの干渉を避けるために、奥屋根および鍵盤押えに切欠きが形成されている。このため、鍵盤蓋を開いたときに、これらの切欠きや、その後ろ側のリンクバーの大部分が、見えてしまい、鍵盤蓋を開いたときのピアノの外観を損ねるため、この点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、鍵盤蓋を確実にゆっくりと閉じることができるとともに、鍵盤蓋を開いた状態でのピアノの外観を向上させることができる鍵盤蓋の開閉制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、奥屋根に回動自在に取り付けられた鍵盤蓋の開閉を制御するための鍵盤蓋の開閉制御装置であって、互いに回動自在に連結された複数のリンクバーを有し、一端側の当該リンクバーが鍵盤蓋に固定されたリンク機構と、ケース部品に取り付けられるとともに、リンク機構の他端側のリンクバーが連結され、鍵盤蓋が閉方向に回動するときにリンク機構を介して鍵盤蓋を制動する緩衝器と、奥屋根に隣接して設けられ、リンクバーの干渉を避けるための切欠きが形成された鍵盤押えと、リンクバーに一体に設けられ、鍵盤蓋が開位置にあるときに鍵盤押えの切欠きを塞ぐカバーと、を備えていることを特徴としている。
【0007】
この鍵盤蓋の開閉制御装置では、鍵盤蓋を閉じる場合、鍵盤蓋の閉方向への回動中に、緩衝器がリンク機構を介して鍵盤蓋を制動するので、鍵盤蓋が減速され、鍵盤蓋を確実にゆっくりと閉じさせることができる。また、リンク機構のリンクバーに設けられたカバーが、回動するリンクバーと一緒に移動し、鍵盤蓋が開位置にあるときに鍵盤押えの切欠きを塞ぎ、切欠きおよびその後ろ側のリンクバーを自動的に隠すので、鍵盤蓋を開いた状態でのピアノの外観を向上させることができる。
【0008】
この場合、奥屋根がピアノ本体に着脱自在に取り付けられ、この奥屋根に緩衝器が取り付けられていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、ピアノ本体に対して着脱自在の奥屋根に緩衝器が取り付けられているので、鍵盤蓋の着脱を、奥屋根、緩衝器およびリンク機構と一緒にまとめて行うことができる。したがって、鍵盤蓋を工具などを用いずに容易に着脱でき、JISの規定を簡単にクリアできるとともに、鍵盤蓋の開閉を、離脱などが生じることなく安定して行うことができる。
【0010】
この場合、奥屋根の下面に、リンクバーの干渉を避けるための第2切欠きが形成されており、鍵盤蓋が開位置にあるときに、カバーが、鍵盤押えの切欠きおよび奥屋根の第2切欠きを塞ぐように構成されていることが好ましい。
【0011】
この構成では、リンクバーの干渉を避けるための第2切欠きが奥屋根に形成されている場合でも、この第2切欠きおよび鍵盤押えの切欠きを1つのカバーで同時に塞ぐことにより、ピアノの外観を良好に維持できる。
【0012】
これらの場合、カバーが、取付け孔を有し、この取付け孔を介してリンクバーにきつく嵌め込まれたカバー板で構成されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、カバーが板状に構成されることによって、その軽量化が図られ、かつ狭いスペースにも設置しやすいとともに、リンクバーに嵌め込むだけでカバーを簡単に取り付けることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1〜図3は、本発明を適用したアップライトピアノの鍵盤蓋およびその開閉制御装置を示している。鍵盤蓋1は、合板などで構成され、横長長方形の平面形状および逆L字状の断面形状を有している。鍵盤蓋1は、その後端部が奥屋根3の前端部に蝶番2を介して回動自在に取り付けられており、蝶番2を中心として、図2に示す開位置と、図3に示す閉位置との間で回動することにより、開閉される。
【0015】
奥屋根3は、合板などから成り、その上に立設される上前板(図示せず)と同様に、図示しないピアノ本体に対して着脱自在に構成されている。具体的には、奥屋根3の下面後端部に奥屋根付木4が取り付けられ、腕木5(図1参照)から内方に突出する3つの奥屋根受け6間に奥屋根付木4が上方から嵌合されることにより、奥屋根3が腕木5に着脱自在に取り付けられる。
【0016】
また、奥屋根3の下側には、鍵盤押え7が左右方向に延びるように設けられている。この鍵盤押え7は、図示しない鍵盤の前部が押鍵後に跳ね上がるのを防止するとともに、奥屋根3と鍵盤との間の隙間を塞ぐために、アップライトピアノに通常、設けられるものである。図4に示すように、本実施形態の鍵盤押え7は、金属製のベース板8と、このベース板8に取り付けられたプラスチック製の表皮9とによって、構成されている。
【0017】
このベース板8は、互いに平行な頂部8a、底部8bと、頂部8aおよび底部8bの前端間に斜めに延びる前部8cとから成り、左右の端部が底部8bの部分で拍子木10にそれぞれねじ止めされている(左側のみ図示)。また、表皮9は、頂部9aと、その前端から斜めに延びる前部9bから成り、ベース板8の頂部8aから前部8cの表面に沿って、両面テープなどにより貼り付けられている。また、鍵盤押え7の左端部には、ベース板8aおよび表皮9の頂部8a、9aから前部8c、9bの途中にかけて、切欠き11が形成されている。この切欠き11は、後述する開閉制御装置14のリンク機構16が鍵盤押え7と干渉しないように逃がすためのものである。なお、図中の符号12は棚板、13は棚板12の前面に取り付けられた口棒であり、鍵盤蓋1は、閉位置において口棒13に当接する。
【0018】
本発明に係る開閉制御装置14は、鍵盤蓋1の閉位置側への回動を制動するための緩衝器15と、緩衝器15の制動力を鍵盤蓋1に伝達するためのリンク機構16と、リンク機構16に設けられたカバー板17によって構成されている。
【0019】
緩衝器15は、オイルが充填された円筒形のケーシング18と、ケーシング18に回動自在に嵌合された軸部19とを有するワンウェイトルク式の油圧ダンパで構成され、ケーシング18の部分が、奥屋根3の下面の一方の側部に取付部材20を介して、ねじ止めされている。緩衝器15は、軸部19が図2および図3の反時計方向に回動するときのみ制動を加え、逆方向への回動に対しては制動を行わない、すなわち無負荷となるように構成されている。また、緩衝器15の制動力は、軸部19の時計方向への回動角が大きくなるに従って、次第に大きくなるように設計されている。
【0020】
リンク機構16は、互いに回動自在に連結された第1〜第3のリンクバー21a、21b、21cで構成されている。第1リンクバー21aの端部は、鍵盤蓋1の側面にねじ止めされ、第3リンクバー21cは、緩衝器15の軸部19に固定されている。なお、奥屋根3の下面には、これらのリンクバー21a〜21cが奥屋根3と干渉しないように逃がすための切欠き22(第2切欠き)が形成されている。
【0021】
カバー板17は、弾性を有する硬質ゴムあるいは樹脂などで構成されている。図5に示すように、カバー板17には、所定の大きさの取付け孔23があらかじめ形成されており、カバー板17は、この取付け孔23を介してリンク機構16の第2リンクバー21bにきつく嵌め込むことによって、その所定位置に所定角度で簡単に取り付けられるようになっている。
【0022】
次に、上記構成の開閉制御装置14の動作を説明する。図3は、鍵盤蓋1が閉位置にある状態を示している。この閉位置では、鍵盤蓋1は、同図の時計方向に最大限、回動していて、その前部が口棒13に当接し、図示しない鍵盤および拍子木10などを覆っている。また、鍵盤蓋1にリンク機構16を介して連結された緩衝器15の軸部19は、反時計方向に最大限、回動しているとともに、リンク機構16の第2リンクバー21bに取り付けられたカバー板17は、緩衝器15の軸部19付近まで、後方に退避している。
【0023】
この閉位置から、鍵盤蓋1を引き起こすようにすると、鍵盤蓋1が反時計方向すなわち後方に回動するとともに、緩衝器15の軸部19は、リンク機構16の第3リンクバー21cに引っ張られることにより、時計方向に回動する。この回動は、鍵盤蓋1の前部の角部が図示しない上前板に当接することによって終了し、鍵盤蓋1、リンク機構16および緩衝器15の軸部19は、図2に示す開位置に達する。前述したように、この開位置方向への回動中は、緩衝器15の制動力が作用しないので、鍵盤蓋1を容易に開放することができる。
【0024】
また、このときのリンク機構16の作動に伴い、カバー板17は、第2リンクバー21bと一緒に前方に移動する。そして、鍵盤蓋1が開位置に達したとき、カバー板17は、鍵盤押え7のベース板8の前部8cに裏面側から接して、鍵盤押え7の切欠き11を塞ぐと同時に、鍵盤押え7から突出したカバー板17の上部が奥屋根3の切欠き22を塞ぐ(図1および図2参照)。このように、鍵盤蓋1が開位置にあるときに、カバー板17が、鍵盤押え7の切欠き11および奥屋根3の切欠き22を同時に塞ぎ、これらの切欠き11、22およびその後ろ側の第3リンクバー21cなどを自動的に隠すので、鍵盤蓋1を開いた状態でのピアノの外観を向上させることができる。カバー板17が薄い板状のものであるので、その軽量化が図れるとともに、かつ狭いスペースにも容易に設置することができる。
【0025】
この開位置から、鍵盤蓋1を手前側に倒すようにすると、鍵盤蓋1は時計方向に回動する。このとき、鍵盤蓋1には、リンク機構16を介して、緩衝器15の制動力が作用し、この制動力により、鍵盤蓋1の回動が減速され、緩衝される。また、緩衝器15の制動力は、鍵盤蓋1が閉位置に近づくにつれて次第に増大するので、回動速度が大きくなりやすい鍵盤蓋1の閉じ終わりに制動力が最大となり、鍵盤蓋1を確実にゆっくりと閉じることができる。
【0026】
また、本実施形態の開閉制御装置14では、ピアノ本体に対して着脱自在に構成された奥屋根3に緩衝器15が取り付けられているので、鍵盤蓋1の着脱を、奥屋根3、緩衝器15およびリンク機構16と一緒にまとめて行うことができる。したがって、鍵盤蓋1を工具などを用いずに容易に着脱でき、JISの規定を簡単にクリアできるとともに、鍵盤蓋1の開閉を、離脱などが生じることなく安定して行うことができる。
【0027】
なお、説明した実施形態では、緩衝器15を奥屋根3に取り付けているが、これを他のケース部品、例えば腕木5や棚板12に取り付けるようにしてもよい。また、緩衝器15としてワンウェイトルク式の油圧ダンパを用いているが、他の適当な緩衝器に代えることも可能である。さらに、実施形態は、本発明をアップライトピアノの鍵盤蓋に適用した例であるが、アップライト型電子ピアノの鍵盤蓋に適用してもよいことは、もちろんである。その他、本発明の趣旨の範囲内で細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明の鍵盤蓋の開閉制御装置は、鍵盤蓋を確実にゆっくりと閉じることができるとともに、鍵盤蓋を開いた状態でのピアノの外観を向上させることができるなどの効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるアップライトピアノの鍵盤蓋の開閉制御装置を、鍵盤蓋を開いた状態で、その周辺の構成とともに示す正面図である。
【図2】図1と同様の状態を示す側面図である。
【図3】鍵盤蓋を閉じた状態の、図2と同様の側面図である。
【図4】鍵盤押えの構成を示す斜視図である。
【図5】カバー板の構成およびリンク機構への取付け状況を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 鍵盤蓋
3 奥屋根
7 鍵盤押え
11 鍵盤押えの切欠き
14 開閉制御装置
15 緩衝器
16 リンク機構
17 カバー板
21a 第1リンクバー
21b 第2リンクバー
21c 第3リンクバー
22 奥屋根の切欠き
23 カバー板の取付け孔
Claims (4)
- 奥屋根に回動自在に取り付けられた鍵盤蓋の開閉を制御するための鍵盤蓋の開閉制御装置であって、
互いに回動自在に連結された複数のリンクバーを有し、一端側の当該リンクバーが前記鍵盤蓋に固定されたリンク機構と、
ケース部品に取り付けられるとともに、前記リンク機構の他端側の前記リンクバーが連結され、前記鍵盤蓋が閉方向に回動するときに前記リンク機構を介して前記鍵盤蓋を制動する緩衝器と、
前記奥屋根に隣接して設けられ、前記リンクバーの干渉を避けるための切欠きが形成された鍵盤押えと、
前記リンクバーに一体に設けられ、前記鍵盤蓋が開位置にあるときに前記鍵盤押えの前記切欠きを塞ぐカバーと、
を備えていることを特徴とする鍵盤蓋の開閉制御装置。 - 前記奥屋根がピアノ本体に着脱自在に取り付けられ、この奥屋根に前記緩衝器が取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の鍵盤蓋の開閉制御装置。
- 前記奥屋根の下面に、前記リンクバーの干渉を避けるための第2切欠きが形成されており、前記鍵盤蓋が開位置にあるときに、前記カバーが、前記鍵盤押えの前記切欠きおよび前記奥屋根の前記第2切欠きを塞ぐように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の鍵盤蓋の開閉制御装置。
- 前記カバーが、取付け孔を有し、この取付け孔を介して前記リンクバーにきつく嵌め込まれたカバー板で構成されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の鍵盤蓋の開閉制御装置。
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---|---|---|---|
JP04712997A JP3589377B2 (ja) | 1997-02-13 | 1997-02-13 | 鍵盤蓋の開閉制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP04712997A JP3589377B2 (ja) | 1997-02-13 | 1997-02-13 | 鍵盤蓋の開閉制御装置 |
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-
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- 1997-02-13 JP JP04712997A patent/JP3589377B2/ja not_active Expired - Fee Related
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